JP2005276294A - 磁気転写装置および磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 磁気転写装置において、磁界発生手段からの漏れ磁界による磁化パターンの消去を防止する。
【解決手段】 磁気転写用マスター担体3とスレーブ媒体2との重畳体に対してトラックの接線方向の転写用磁界Hduを印加させた状態で、転写パターン3aの中心(転写中心C)の周りに、該重畳体を回転させることにより、転写パターン3bに応じた磁化パターンを磁気記録面2bに磁気転写させる磁気転写装置において、マスター担体3とスレーブ媒体2を保持する転写ホルダー10の、マスター担体3とスレーブ媒体2の中心孔と係合して位置決めを行う位置決め部15を磁性部材により構成する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、転写パターンを有する磁気転写用マスター担体を用いて磁気記録媒体に対して転写パターンに応じた磁化パターンを磁気的に転写するための磁気転写装置、および磁気転写により磁化パターンが記録されてなる磁気記録媒体に関するものである。
磁気記録媒体においては一般に、情報量の増加に伴い、多くの情報を記録する大容量で、安価で、かつ、好ましくは短時間で必要な箇所が読み出せる、いわゆる高速アクセスが可能な媒体が望まれている。それらの一例としてハードディスク装置やフレキシブルディスク装置に用いられる高密度磁気記録媒体(磁気ディスク媒体)が知られ、その大容量化を実現するためには、狭いトラック幅を正確に磁気ヘッドが走査し、高いS/N比で信号を再生する、いわゆるトラッキングサーボ技術が大きな役割を担っている。このトラッキングサーボを行うために、ディスク中に、ある間隔でトラッキング用のサーボ信号、アドレス情報信号、再生クロック信号等が、いわゆるプリフォーマットとして記録されている。
このプリフォーマットを正確にかつ効率よく行う方法として、上記のようなサーボ信号等の情報を転写パターンとして有するマスター担体を準備し、このマスター担体の転写パターンを磁気記録媒体へ磁気的に転写する磁気転写方法が特許文献1および2等に開示されている。
より詳細には、磁気ディスク媒体等の磁気記録媒体(スレーブ媒体)に転写すべき情報に対応して、同心円状もしくは螺旋状のトラックに沿って形成された凹凸パターンからなる転写パターンを表面に有するマスター担体の該表面とスレーブ媒体の磁気記録面とを密着させてなる重畳体の片側または両側に電磁石装置、永久磁石装置等の磁界発生手段を配設して、上記重畳体の一部に上記転写パターンのトラックの接線方向の磁界を印加しつつ、この磁界発生手段と重畳体とを相対的に転写パターンの中心の周りに回転させることにより上記転写パターンをスレーブ媒体の磁気記録面に磁気転写させるものである。
この磁気転写により、スレーブ媒体の磁気記録面に同心円状もしくは螺旋状の、円周方向に情報を記録する記録トラックが形成され、このスレーブ媒体を磁気記録媒体として使用することが可能となる。
具体的には、電磁石装置のコアの2つの磁極端が転写パターンの内径から外径に亘るように、2つの磁極端のギャップ間に生じる磁界の向きがトラックの接線方向と一致するように上記重畳体と電磁石装置が配置され、重畳体と電磁石装置の一方を他方に対して相対的に1回転以上させることにより全面への磁界印加を行う。図11は、磁気転写時におけるコアの磁極端52a、52bとスレーブ媒体2との位置を模式的に示すものである。コアの磁極端52a、52bの内径方向端部には、漏れ磁界Hmが発生する。マスター担体の転写パターンおよびスレーブ媒体2の磁気記録領域は、輪帯状(ドーナツ状)に形成されているため、その内径が十分に大きければ、この漏れ磁界の影響を受けない。
しかしながら、磁気記録媒体の小型化の要請に伴って、磁気記録媒体の外径と共に磁気記録領域の内径が小さくなる傾向にあり、磁気記録領域の内径が小さいと、図11に示すように、磁極端52a、52bが配置されている領域以外の、該磁極端52a、52bの延長上となる領域Aに漏れ磁界Hmが印加されてしまう虞がある。すなわち、電磁石装置に対して重畳体を半回転以上させた場合、先に記録した領域の内周側トラックの磁化パターンが、半回転後の領域への磁界印加時の漏れ磁界により一部消去されてしまい、該内周側トラックで磁化パターンを良好なS/Nで読み出すことが困難になるという問題が生じる虞がある。
この問題を解決するための本出願人は、特許文献3、4において、磁気転写時における漏れ磁界を防止する方法を提案している。特許文献3においては、磁界発生手段の磁極の転写パターン中心側に、該中心側への漏れ磁界を防ぐ磁気シールド部材を備えた磁気転写装置が記載されている。特許文献4には、スレーブ媒体がセンターコアを有するフレキシブルディスク媒体である場合において、センターコアを表裏から挟んで該センターコアを貫通する磁界を形成する磁界形成手段を備え、転写磁界を発生さする磁界発生手段からの漏れ磁界のセンターコア側への漏れを防止した磁気転写装置が記載されている。
特開平10−40544号公報 特開平10−269566号公報 特開2003−187430号公報 特開2003−187431号公報
しかしながら、特許文献3に記載されている磁気転写装置では、磁界発生手段の磁極に直接シールド部材を設けており、磁極とシールド部材が機械的、磁気的に接合しているため、磁極間に発生する磁界がシールドに流れ込みやすく、低磁場でシールドが飽和磁化状態に達してしまい、現実的には十分なシールド効果を得られない虞がある。
また、特許文献4に記載されている磁気転写装置は、センターコアを有するスレーブ媒体への磁気転写を対象としているため、一般にセンターコアを有しないハードディスク媒体からなるスレーブ媒体には適応できない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、磁界発生手段からの漏れ磁界による記録済み磁化パターンの消去を防止することができる、汎用性の高い磁気転写装置を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、磁気転写装置において良好な転写パターンが磁気転写された磁気記録媒体を提供することを目的とする。
本発明の磁気転写装置は、第1のホルダーと第2のホルダーを備え、両ホルダーにより構成される収容部に、同心円状もしくは螺旋状のトラックに沿って形成された転写パターンを表面に有する磁気転写用マスター担体とディスク状のスレーブ媒体との重畳体を保持する保持手段と、
前記保持手段に保持された前記マスター担体の前記転写パターンの円周方向に沿った転写用磁界を発生させる磁界発生手段とを備え、
前記転写パターンの中心の周りに、前記重畳体を前記磁界発生手段に対して相対的に1回転以上させることにより、前記マスター担体の転写パターンを前記スレーブ媒体の磁気記録面に転写させる磁気転写装置であって、
前記保持手段が、前記回転の中心近傍に、前記転写用磁界の該中心側への漏れを防ぐ磁性部材を備えていることを特徴とするものである。
具体的には、前記保持手段の前記両ホルダーのうちの少なくとも一方のホルダーが、前記マスター担体およびスレーブ媒体をそれぞれの中心孔で前記収容部内において位置決めする位置決め部材を前記回転の中心位置に備えており、該位置決め部材が前記磁性部材で構成されているもの、前記保持手段の前記両ホルダーのうちの少なくとも一方のホルダーの、前記回転の中心近傍に前記磁性部材が埋め込まれているもの、前記保持手段の前記両ホルダーが、前記収容部の外部の前記回転の中心位置に支持部材を備えており、該支持部材が前記磁性部材で構成されているものなどが挙げられる。
前記磁性部材の飽和磁化と体積の積で表される飽和磁化量は、12〜1260T・cm3であることが望ましい。具体的な磁性部材の材料としては、Fe,Co,Ni,Crなどを主成分とするFeCo合金、FeCoNi、ステンレス合金などが挙げられる。
また、前記磁性部材の飽和磁化は、0.1T以上であることが望ましく、さらに好ましくは0.5T以上である。
磁性部材の飽和磁化量は12〜1260T・cm3であることが望ましい。
さらに、前記磁性部材の保磁力は、8〜72kA/m(100〜900Oe)であることが望ましい。
本発明の磁気記録媒体は、本発明の磁気転写装置により、磁気転写用マスター担体から前記転写パターンに基づく磁化パターンが磁気転写されたものであることを特徴とするものである。
本発明の磁気転写装置によれば、磁気転写用マスター担体とディスク状のスレーブ媒体との重畳体を保持する保持手段が、回転の中心近傍に、転写用磁界の該中心側への漏れを防ぐ磁性部材を備えているので、漏れ磁界を取り込みこの漏れ磁界の空間的な広がりを抑制することができるため、磁界発生手段からの漏れ磁界による記録済み磁化パターンの消去を抑制することができる。これにより、スレーブ媒体の磁気記録面に磁気転写された磁化パターンを良好なS/Nで読み出すことができる。
磁性部材の飽和磁化と体積の積で表される飽和磁化量が12〜1260T・cm3であれば、より効果的に磁束を吸い込み漏れ磁界の空間的広がりを抑制する効果を向上させることができる。
また、磁性部材の飽和磁化が0.1T以上であれば、やはり効果的に磁束を吸い込み漏れ磁界の空間的広がりを抑制する効果を向上させることができる。
また、磁性部材が飽和状態になると磁束の吸い込み効果が小さくなるが、磁性部材の保磁力が8〜72kA/mであれば、効果的に磁束の吸い込み漏れ磁界の空間的広がりを抑制する効果を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の磁気転写装置の概略構成を示す斜視図である。図2はマスター担体とスレーブ媒体とを密着保持する転写ホルダーの分解斜視図、図3は転写ホルダーの側面の断面図、図4はマスター担体の同心円状の転写パターンを示す平面図、図5はスレーブ媒体の初期磁化(直流消磁)の方向を上から見た様子を示す平面図である。なお、各図は概略図であり、その厚み等は実際の寸法とは異なる比率で示している。
図1〜図5に示すように、磁気転写装置1は、同心円状のトラックに沿って形成された転写パターン3bを表面に有するマスター担体3に磁気記録面2bを有するスレーブ媒体2を密着させた重畳体を保持する保持手段としての転写ホルダー10と、該転写ホルダー10に保持された状態のマスター担体3の転写パターン30の円周方向に沿った転写用磁界を発生させる電磁石装置50からなる磁界発生手段とを備えている。
この磁気転写装置1は、重畳体に対して円周方向(トラックの接線方向)の転写用磁界を印加させた状態で、転写パターン3bの中心(転写中心C)の周りに、該重畳体を電磁石装置50に対して相対的に回転させることにより、転写パターン3bに応じた磁化パターンを磁気記録面2bに磁気転写させるものである。
電磁石装置50は、転写ホルダー10の半径方向に延びるギャップ51を有するコア52にコイル53が巻き付けられてなる。両電磁石装置50,50はコア52の磁極端52a、52b間のギャップ51にトラックの接線方向(略トラック方向とみなすことができる)に沿った同一の向きの磁界を発生させるものである。なお、磁界発生手段としては、電磁石装置に代えて永久磁石装置で構成してもよい。また、磁界発生手段は、転写ホルダー10の片側にのみ配置される構成であってもよい。
電磁石装置50は、転写ホルダー10内に密着配置されたスレーブ媒体2およびマスター担体3に転写用磁界を印加するときには転写ホルダー10に近接して配置されるが、転写ホルダー10内の空間にマスター担体3およびスレーブ媒体2をセッティングするとき、およびこの空間からスレーブ媒体2およびマスター担体3を取り出すときには、後述の第1のホルダー11と第2のホルダー12の開閉動作が許容されるように待避移動される。
転写ホルダー10は、相対的に接離移動可能な第1のホルダー11と第2のホルダー12とを備え、その内部に形成される内部空間に、スレーブ媒体2およびマスター担体3を収容して、スレーブ媒体2とマスター担体3とを中心位置を合わせた状態で重ね合わせてこの内部空間を減圧することにより対峙密着させるものである。より詳細には、転写ホルダー10の内部空間は、密着時には所定の真空度に減圧されて、スレーブ媒体2とマスター担体3との密着力を得るととともに、密着面のエア抜きを行って密着性を高めるとともに、大気開放時および剥離時には圧縮空気の導入が行われる。また、密着力の印加のために、真空吸引に加えて、転写ホルダーを外部から機械的に加圧してもよい。
第1のホルダー11および第2のホルダー12の背面の中心位置にはそれぞれ支持軸11a、12aが突設されており、該支持軸11a、12aが装置本体に支持され、回転機構に連係されて磁気転写時に中心軸Gの周りに回転駆動される。
第1のホルダー11の内側中心位置には、マスター担体3の中心孔3a、スレーブ媒体2の中心孔2aに係合して両者の位置決めをする位置決め部15が設けられている。この位置決め部15により、マスター担体3とスレーブ媒体2が、その中心が一致するようにして重ねられる。本実施形態においてはこの位置決め部15が磁性部材により構成されている。なお、第1のホルダー11および第2のホルダー12は透磁率の低い材料例えばアルミニウム等によって形成されている。
位置決め部15は、飽和磁化と体積の積で表される飽和磁化量が12〜1260T・cm3であり、飽和磁化が0.1T以上である磁性部材から構成されている。また、この磁性部材の保磁力は、8〜72kA/mである。具体的には、Fe,Co,Ni,Crなどを主成分とするFeCo合金、FeCoNi、ステンレス合金などから構成されている。
図4に示すように、マスター担体3は円盤状であり、その中央部に中心孔3aを備え、同心円状のトラックに沿って形成された転写パターン3bを有するものである。なお、マスター担体3は、中心孔3aの中心と転写パターン3bの中心Cとが一致するように形成されている。本実施形態においては、内周側から外周側の各トラック毎に複数のサーボ領域が設けられ、全体として複数のサーボ領域が放射状に形成されている。各トラックの各サーボ領域毎にそれぞれサーボ信号に応じた微細凹凸パターン(図6参照)がトラックに沿って形成されている。本実施形態においては転写パターンとしてサーボ信号に応じたパターンを有するものとしたが、転写パターンとしてマスター担体が担持する情報はサーボ信号に限るものではなく他のデータ信号を含むものであってもよい。
マスター担体3は、基本的に凹凸パターンを表面に有する基板31と基板31上の少なくとも凸部上面に形成された強磁性層33とを備えてなる(図6参照)。
基板31は非磁性でもよいが、強磁性を有するものが好ましく、中でもNi、もしくはNiを主成分とする合金からなるものが特に好ましい。表面に凹凸パターンを有する基板31の作製は、スタンパー法、フォトリソグラフィー法等を用いて行うことができる。基板の凸部高さ(凹凸パターンの深さ)は、例えば20〜800nmであり、凹凸パターンの凸部の半径方向の長さは50nm〜5μm、円周方向の長さは50nm〜5μmである。
強磁性層33の磁性材料としては、飽和磁化(Ms)の高いものが好ましく、Co、Co合金(CoNi、CoNiZr、CoNbTaZr等)、Fe、Fe合金(FeCo、FeCoNi、FeNiMo、FeAlSi、FeAl、FeTaN)、Ni、Ni合金(NiFe)が挙げられる。特に好ましいのはFeCo、FeCoNiである。強磁性層33としては、主として軟磁性もしくは半硬質磁性等の保磁力の小さい磁性層が用いられている。
なお、強磁性層33上には、耐久性向上のため、炭素を主成分とする硬質保護層を備えることが好ましい。保護層は、ダイアモンドライクカーボン(DLC)やスパッタにより形成された炭素などにより構成することができる。
スレーブ媒体2は、片面もしくは両面に面内磁気記録用の磁気記録面2bを有するハードディスクもしくはフレキシブルディスクであり、その中心部に中心孔2aを備えている。なお、上記スレーブ媒体2として、図5に示すように、磁気記録面2bの磁化が、予め円周方向の一方の向き(矢印M1で示される向き)に初期磁化が施されているものが用いられる。
スレーブ媒体2としては、ハードディスク、高密度フレキシブルディスクなどの、塗布型磁気記録層あるいは金属薄膜型磁気記録層を備えた円盤状磁気記録媒体が好適に使用される。ハードもしくはフレキシブルなディスク状支持体21の片面もしくは両面に磁気記録層22が配されてなるものであり(図6参照)、金属薄膜型磁気記録層を備えた磁気記録媒体の場合、磁性材料として、Co、Co合金(CoPtCr、CoCr、CoPtCrTa、CoPtCrNbTa、CoCrB、CoNi、Co/Pd等)、Fe、Fe合金(FeCo、FePt、FeCoNi)を用いることができる。好ましい磁性層厚は10〜500nmであり、さらに好ましくは20〜200nmである。
また、磁性層の下(基板側)には、該磁性層に必要な磁気異方性を持たせるために非磁性の下地層を設けることが好ましい。下地層としては、Cr、CrTi、CoCr、CrTa、CrMo、NiAl、Ru、Pd等を用いることができるが、結晶構造および格子定数が、その上に設けられる磁性層の結晶構造および格子定数と一致するものを選択する必要がある。好ましい非磁性層の厚みは、10〜150nmであり、さらに好ましくは20〜80nmである。
次に上記実施の形態の磁気転写装置における作用について説明する。
第1のホルダー11と第2のホルダー12とが離間した開状態で第1のホルダー11の位置決め部15にマスター担体3の中心孔3aを係合させてセットする。そして、予め円周方向の一方の向きに初期磁化されたスレーブ媒体2を、その中心孔2aを第1のホルダー11の位置決め部15に係合させてセットした後、第2のホルダー12を第1のホルダー11に接近移動させ閉状態とする。スレーブ媒体2およびマスター担体3を収容した転写ホルダー10の内部空間を真空吸引することにより減圧し、スレーブ媒体2とマスター担体3とに均一に密着力を加え密着させる。密着力の印加のために、真空吸引に加えて、転写ホルダーを外部から機械的に加圧してもよい。
その後、転写ホルダー10の両側に電磁石装置50を接近させ、転写ホルダー10を回転させつつ電磁石装置50によって初期磁化とほぼ反対の向きに転写用磁界Hduを印加し、マスター担体3の転写パターンに応じた磁化パターンをスレーブ媒体2の磁気記録層に転写記録する。
上記磁気転写の様子を詳しく説明する。図6は、面内磁気記録媒体への磁気転写の基本工程を説明するための図であり、磁気記録面に垂直かつトラック方向に平行な断面の一部を示している。図6(a)は磁界を一方向に印加してスレーブ媒体を初期直流磁化する工程、同図(b)はマスター担体とスレーブ媒体とを密着させて初期直流磁界とは略反対方向に磁界を印加する工程、同図(c)は磁気転写後のスレーブ媒体の磁気記録面の状態をそれぞれ示す図である。
図6(a)に示すように、予めスレーブ媒体2にトラック方向の一方の向きの初期直流磁界Hinを印加して磁気記録層22の磁化を該一方の向きに初期直流磁化M1させておく。その後、図6(b)に示すように、このスレーブ媒体2の記録面2bとマスター担体3の転写パターン面とを密着させ、スレーブ媒体2のトラック方向に前記初期直流磁界Hinとは逆方向の転写用磁界Hduを印加する。スレーブ媒体2とマスター担体3の転写パターンの密着した箇所において、転写用磁界Hduは、マスター担体3の凸部に吸い込まれ、この部分に対応するスレーブ媒体2の磁化は反転せずその他の部分の磁化が反転する。その結果、図6(c)に示すように、スレーブ媒体2の記録面2bの磁気記録層22にはマスター担体3の凹凸パターンに応じた情報(例えばサーボ信号)が磁気的に転写記録される。ここでは、スレーブ媒体2が片面に磁気記録面2bを有するものとし、該面へのマスター担体3による磁気転写について説明したが、磁気記録媒体2は両面に磁気記録面を有するものであってもよく、その場合、片面ずつもしくは両面同時にそれぞれの面用のマスター担体と密着させて同様に磁気転写を行えばよい。
ここで、転写ホルダー10の、磁性部材からなる位置決め部15による転写中心C側(すなわち軸G側)への転写用磁界の漏れの防止について説明する。
転写ホルダー10の位置決め部15が磁性部材から構成されている場合には、図7に示すように、コアの磁極端52a、52bの中心部側に生じる漏れ磁界Hmの磁束の多くが透磁率の高い磁性部材からなる位置決め部15中を通るようになるので、漏れ磁界Hmの空間的な広がりは抑制され、磁極端の延長上の領域近傍Aにおける磁化パターンの消去を抑制することができる。したがって、この磁気記録面2bから上記磁化パターンを読み取るときに、この磁化パターンを高いS/Nを持つ信号として読み取ることができる。
上記実施形態においては転写ホルダー10の位置決め部15が磁性部材により構成されたものとしたが、本発明は転写ホルダー10等の保持手段が、回転の中心近傍に転写用磁界の該中心側への漏れを防ぐ磁性部材を備えるものであればよい。
例えば、図8に示すように、位置決め部15は非磁性体であるが、第1および第2のホルダー11、12のそれぞれの回転中心位置に磁性部材16が埋め込まれた転写ホルダー10を備えた磁気転写装置としてもよい。
また、図9に示すように、第1および第2のホルダー11、12の外部の回転中心位置に突設された支持部11a、12aが磁性部材で構成されてなる転写ホルダー10を備えた磁気転写装置としてもよい。
いずれの場合も、磁性部材の飽和磁化と体積の積で表される飽和磁化量が12〜1260T・cm3であり、磁性部材の飽和磁化が0.1T以上、より好ましくは0.5T以上であり、磁性部材の保磁力が8〜72kA/mであることが望ましい。
次に、本発明の実施例および比較例の磁気転写装置について評価を行った結果を説明する。
まず、実施例および比較例の転写装置において使用したマスター担体およびスレーブ媒体たる磁気記録媒体について説明する。
マスター担体は、基板としてスタンパー作製法を用いて作製した円盤状のNi基板を備えてなるものとした。
8インチSiウエハー上に化学増感型レジストを100nm塗布し、電子線により回転中心から半径方向10mm〜40mmの位置までの半径領域に、トラック幅1.0μm、トラックピッチ1.1μm、溝深さ0.1μmであり、半径10mmでビット長が0.15μmであるパターンを各半径位置に対して動径角14°毎に動径角1°の領域に描画し、現像することによりレジストパターンを形成する。このレジストパターン上にNi電導層を10nm、基板温度40℃でスパッタにより形成した。この際のスパッタ条件は、Arスパッタ圧0.15Pa(1.08mTorr)、投入電気力2.80W/cm2とした。Ni電導層を形成後にNi電鋳を行う。電鋳は厚みが0.3mmになるまで行った。電鋳後、レジストからNi基板を剥離し、Ni基板表面に対してクリーニングを行った。Ni基板は、内径12.5mmφ、外径83mmφである。
その後、Ni基板上に、強磁性層(FeCo25at%)を100nm、スパッタ法により形成した。スパッタは、初期真空度は1.33×10-5Pa(1.0×10-7Torr)、基板温度は25℃、Arスパッタ圧は0.15Pa(1.08mTorr)とし、投入電力は3.20W/cm2の条件で行った。
スレーブ媒体としては、真空蒸着装置(芝浦メトロニクス:S-50Sスパッタ装置)において、室温にて1.33×10-5Pa(1.0×10-7Torr)まで減圧した後に、アルゴンを導入して0.4Pa(3.0mTorr)とした条件下で、ガラス板を200℃に加熱し、CrTi:30nm、CoCrPt:30nm、飽和磁化Ms:2.8T(2250Gauss)、保磁力Hc:318kA/m(4000Oe)の磁性層を備えた3.5インチ型の円盤状面内磁気記録媒体を用いた。
なお、以下の実施例においては、既述の図3に示すような磁気転写ホルダーの位置決め部15を磁性体により構成した磁気転写装置を用いており、以下において磁界転写ホルダーの中心部に設置した磁性部材とは、磁性体により構成された位置決め部15に相当するものである。
実施例1:磁気転写ホルダーの中心部に、566T・cm3(飽和磁化1.5T、体積283cm3)、保磁力32kA/m(400Oe)の磁性部材を設置した。
実施例2:磁気転写ホルダーの中心部に、425T・cm3(飽和磁化1.5T、体積283cm3)、保磁力32kA/m(400Oe)の磁性部材を設置した。
実施例3:磁気転写ホルダーの中心部に、5.9T・cm3(飽和磁化2.1T、体積2.8cm3)、保磁力40kA/m(500Oe)の磁性部材を設置した。
実施例4:磁気転写ホルダーの中心部に、1500T・cm3(飽和磁化2.1T、体積714cm3)、保磁力40kA/m(500Oe)の磁性部材を設置した。
実施例5:磁気転写ホルダーの中心部に、50T・cm3(飽和磁化0.1T、体積500cm3)、保磁力96kA/m(1200Oe)の磁性部材を設置した。
実施例6:磁気転写ホルダーの中心部に、60T・cm3(飽和磁化0.1T、体積600cm3)、保磁力4kA/m(50Oe)の磁性部材を設置した。
比較例1:磁気転写ホルダーの中心部に、磁性部材を設置しない磁気転写装置とした。
各磁気転写装置を用いた磁気転写後のスレーブ媒体における転写信号の品位を測定し評価した。
(b)スレーブ記録信号評価方法
各磁気転写装置においてマスター担体から磁気転写により磁化パターンが記録されたスレーブ媒体を電磁変換特性測定装置(協同電子製SS-60)に設置し、半径40mm位置でのヘッド(再生ヘッドギャップ0.11μm、再生トラック幅0.25μm、記録ヘッドギャップ0.15μm、記録トラック幅0.51μmであるGMRヘッド)の線速度が10m/secとなるように設定する。
最内周トラック1周での再生出力を測定する。最内周トラックにおける再生出力は例えば図10に示すようなものである。
測定した再生出力から、
モジュレーション={(最大出力−最小出力)/(最大出力+最小出力)}×100 [%]を求め、モジュレーションの値が1%未満であれば良好(○)、1〜1.5%であれば可(△)、1.5%を超えると不良(×)と評価した。
各実施例および比較例についての観測結果および評価結果を表1に示す。
Figure 2005276294
表1に示すとおり、本発明の実施例1〜6はいずれの評価においても可以上であり、比較例1は不良との結果であった。特に、好ましい飽和磁化および飽和磁化量を有する磁性体を備えた実施例1および2においては良好な結果が得られた。
実施例3および4の評価が可であったのは、磁性部材の飽和磁化量が小さい場合(実施例3)磁束吸い込み効果が十分でなく、逆に飽和磁化量が非常に大きい場合(実施例4)では磁束の吸い込みが強すぎ、転写磁界に悪影響を及ぼしているものと考えられる。また、実施例5および6の評価が可であったのは、漏れ磁界によって磁性部材が飽和状態になると磁束吸い込み効果が小さくなるため、ある程度保磁力が大きい必要があるが、一方で保磁力が大きすぎると転写磁界をゼロに設定しても磁性部材が大きな残留磁化をもつために、外部に磁界を発生させ、スレーブ媒体に一旦記録された情報を変化させてしまうためと考えられる。
実施形態の磁気転写装置の概略を示す斜視図 転写ホルダーの分解斜視図 転写ホルダーの側断面図 マスター担体の平面図 スレーブ媒体の初期直流磁化状態を示す平面図 面内磁気記録媒体への磁気転写方法の基本工程を示す図 実施形態の磁気転写装置における磁気転写時の漏れ磁界の様子を示す平面図 別の形態の転写ホルダーの側断面図 さらに別の形態の転写ホルダーの側断面図 磁気転写装置の概略構成を示す斜視図 従来の磁気転写装置における問題点を説明するための図
符号の説明
1 磁気転写装置
2 スレーブ媒体
2a スレーブ媒体の中心孔
2b 磁気記録面
3 マスター担体
3a マスター担体の中心孔
3b 転写パターン
10 転写ホルダー
11 第1のホルダー
11a 支持部
12 第2のホルダー
12a 支持部
15 位置決め部
21 スレーブ媒体支持体
22 磁性層
31 マスター担体基板
33 強磁性層
50 電磁石装置
51 ギャップ
52 コア
52a、52b コア磁極端
53 コイル

Claims (8)

  1. 第1のホルダーと第2のホルダーを備え、両ホルダーにより構成される収容部に、同心円状もしくは螺旋状のトラックに沿って形成された転写パターンを表面に有する磁気転写用マスター担体とディスク状のスレーブ媒体との重畳体を保持する保持手段と、
    前記保持手段に保持された前記マスター担体の前記転写パターンの円周方向に沿った転写用磁界を発生させる磁界発生手段とを備え、
    前記転写パターンの中心の周りに、前記重畳体を前記磁界発生手段に対して相対的に1回転以上させることにより、前記マスター担体の転写パターンを前記スレーブ媒体の磁気記録面に転写させる磁気転写装置であって、
    前記保持手段が、前記回転の中心近傍に、前記転写用磁界の該中心側への漏れを防ぐ磁性部材を備えていることを特徴とする磁気転写装置。
  2. 前記保持手段の前記両ホルダーのうちの少なくとも一方のホルダーが、前記マスター担体およびスレーブ媒体をそれぞれの中心孔で前記収容部内において位置決めする位置決め部材を前記回転の中心位置に備えており、該位置決め部材が前記磁性部材で構成されていることを特徴とする請求項1記載の磁気転写装置。
  3. 前記保持手段の前記両ホルダーのうちの少なくとも一方のホルダーの、前記回転の中心近傍に前記磁性部材が埋め込まれていることを特徴とする請求項1記載の磁気転写装置。
  4. 前記保持手段の前記両ホルダーが、前記収容部の外部の前記回転の中心位置に支持部材を備えており、該支持部材が前記磁性部材で構成されていることを特徴とする請求項1記載の磁気転写装置。
  5. 前記磁性部材の飽和磁化と体積の積で表される飽和磁化量が12〜1260T・cm3であることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の磁気転写装置。
  6. 前記磁性部材の飽和磁化が0.1T以上であることを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載の磁気転写装置。
  7. 前記磁性部材の保磁力が8〜72kA/mであることを特徴とする請求項1から6いずれか1項記載の磁気転写装置。
  8. 請求項1から7いずれか1項記載の磁気転写装置により、磁気転写用マスター担体から前記転写パターンに基づく磁化パターンが磁気転写されたものであることを特徴とする磁気記録媒体。
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