JP2005275519A - ペンによる筆記システム、ペンによる筆記の管理プログラム及び筆記制御付きペン - Google Patents
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Abstract
【課題】ペンによる筆記システムにおいて、シート上のペンの位置によって書ける、書けないを制御することである。
【解決手段】ペンによる筆記システム10は、シート20と、出入り可能なペン先32を有するペン30と、シート20上のペン30の位置を検出する位置検出装置40と、筆記管理コンピュータ50とを含む。CPU52の筆記制御部70は、シート20上のペン30の位置データ等を取得し(ペン位置取得モジュール72)、これを領域データファイル64のデータと参照し(領域参照モジュール74)、その結果に基づきペン30に対しペン先32を退避させて筆記禁止とする等の処理を行う(筆記規制モジュール76)。筆記データ処理部80は、ペン30の筆記データを取得し(筆記データ取得モジュール82)、これを処理して以後の集計処理等を行う(データ処理モジュール)。
【選択図】図1
【解決手段】ペンによる筆記システム10は、シート20と、出入り可能なペン先32を有するペン30と、シート20上のペン30の位置を検出する位置検出装置40と、筆記管理コンピュータ50とを含む。CPU52の筆記制御部70は、シート20上のペン30の位置データ等を取得し(ペン位置取得モジュール72)、これを領域データファイル64のデータと参照し(領域参照モジュール74)、その結果に基づきペン30に対しペン先32を退避させて筆記禁止とする等の処理を行う(筆記規制モジュール76)。筆記データ処理部80は、ペン30の筆記データを取得し(筆記データ取得モジュール82)、これを処理して以後の集計処理等を行う(データ処理モジュール)。
【選択図】図1
Description
本発明は、ペンを用いてシートに筆記する筆記システムに係り、シート上のペンの位置によって書ける、書けないを制御できるペンによる筆記システム、ペンによる筆記の管理プログラム及び筆記制御ペンに関する。
シートにペンで筆記を行い、その内容をコンピュータ等に送って処理ができれば便利である。そのためには、ペン先の位置検出技術、手書きによる筆記または印字、所定の場所にのみ書き込みができるシート、筆記内容の送信技術等が必要であり、以下に述べるように、様々な技術の提案がされている。
ペンの位置を検出してその座標をコンピュータ等に入力するシステムとしては、特許文献1に、超音波を用いてペン先等の操作子の動きや位置を検出する技術が開示される。また、使用者の手動操作により印字走査を行うものとしては、オンデマンドインクジェットヘッドを搭載した手動操作式印字装置が特許文献2に開示される。また、特許文献3には、印字面の内、少なくとも機械読取り用の情報が加熱印字される機械読取り領域の表面に発色汚れ防止層を設けることが開示される。
また、非特許文献1には、Bluetooth(近距離無線通信技術のコード名)の通信機能を備える専用ぺンを利用し、紙に書いた手書き文字を携帯電話経由でやり取りできる技術が述べられている。この技術は、スウェーデンのアノート社の開発による、微細な点が印刷された特殊な専用紙を用いる。この専用紙に印刷された点は、紙の上にあると仮定した格子に対して、右上、右下、左上、左下のいずれかに位置するように配置してある。点と点の間隔は約0.3mmで、その配置パターンを変えることで、約460万km2に相当する範囲の中の一点を1000ドット/25.4mmの分解能で表せる。この微細な点が印刷された専用紙は、筆記を妨げるようなものではないものの、全体に青みが勝ったように見える。この詳細な内容は、特許文献4にも開示されている。
この専用紙に専用の電子ペンで手書きを行う。専用の電子ペンには、専用紙の微細点を読み取る光学センサが設けられ、読み取り情報は近距離無線通信を用いてアノート社の管理するPLS(Paper Lookup Server)に送られる。PLSは、サービス提供者を特定して、電子ペンからの情報を転送する。この詳細な内容は、特許文献5にも開示されている。
上記非特許文献1等に開示される技術は、シートにペンで筆記を行い、その内容をコンピュータ等に送って処理ができるための要素を一通り含んでいる。しかし、これに用いる電子ペンは、光学センサと無線回路等を含む筆記ペンであって、手で把持してシートに接触すれば、どこでも筆記が行われる。したがって、どの場所に何を記載するかは筆記者の判断にゆだねられている。
例えば、アンケート用紙や答案用紙等に用いられるマークシートでは、所定の記載個所にのみ記載が求められ、他の場所に記載がされると却ってミスと扱われることがある。また、記載個所をきれいに塗りつぶさないと無効とされることもあり、所定のマークあるいは数字のみを有効と扱う場合もある。また、所定の記載場所にきちんと記載するとしても、記載内容が所定のものでないときは有効な記載と扱われないことがある。例えば、あらかじめ選択肢が与えられ、その選択肢の中から回答を選んでそれを記載する等である。
したがって、シートにペンで筆記を行い、その内容をコンピュータ等に送って処理を行うときに、ペンによる筆記を所定の個所にのみ記載できればさらに便利である。
本発明は、ペンを用いてシートに筆記する際に、シート上のペンの位置によって書ける、書けないを制御可能とするペンによる筆記システム、ペンによる筆記の管理プログラム及び筆記制御付きペンを提供することである。
上記目的を達成するため、本発明に係るペンによる筆記システムは、シートにおける筆記可能領域と筆記禁止領域とをシート上の位置に関連付け、領域データとして記憶する記憶装置と、手で把持しシートに筆記するペンと、シート上におけるペンの位置を検出する検出手段と、検出手段により検出されたペンの位置情報と、記憶装置から読み出される領域データとに基づき、ペンの筆記をシートの筆記可能領域のみに規制する規制手段と、を備えることを特徴とする。
また、本発明に係るペンによる筆記システムにおいて、シートの種類を判別するシート判別手段を備え、記憶装置は、さらにシートの種類に関連付けて領域データを記憶し、規制手段は、シートの種類と、ペンの位置情報と、記憶装置から読み出される領域データとに基づき、ペンの筆記を規制することが好ましい。
また、規制手段は、シートの筆記可能領域上に所定の色のみの筆記に規制することが好ましい。
また、本発明に係るペンによる筆記システムにおいて、筆記された筆記データを送信する筆記データ送信手段と、筆記データ送信手段による筆記データと、検出手段によるペンの位置データとをオンラインで受け取り、受け取った情報に基づいて以後の処理を行う筆記データ処理手段と、を備えることが好ましい。
また、筆記データ処理手段は、受け取った情報に基づいて以後の筆記の規制制御を行うことが好ましい。
また、シートは、回答欄を筆記可能領域とする回答用紙であることが好ましい。また、本発明に係るペンによる筆記システムにおいて、さらに、筆記データ処理手段は、受け取った情報に基づいて回答の集計処理を行うことが好ましい。
また、本発明に係るペンによる筆記システムは、シート上の領域を筆記可能領域と筆記禁止領域とに区別する領域識別マークを設けたシートに、ペンで筆記する筆記システムであって、手で把持しシートに筆記するペンと、ペンに設けられ、シートの領域識別マークを読み取る読取手段と、読み取られた領域識別マークの内容と、そのマークと筆記可能領域又は筆記禁止領域との間の相対位置とに基づき、ペンの筆記をシートの筆記可能領域のみに規制する規制手段と、を備えることを特徴とする。
また、本発明に係るペンによる筆記システムは、筆記可能領域と筆記禁止領域とを色に関連付けて表わされたシートについて、手で把持して筆記するペンと、ペンに設けられ、シート上における色を検出する検出手段と、検出手段により検出された色に基づき、ペンの筆記をシートの筆記可能領域のみに規制する規制手段と、を備えることを特徴とする。また、筆記可能領域の色は、シートの下地色であることが好ましい。
また、本発明に係るペンによる筆記システムは、シート上の領域を筆記可能領域と筆記禁止領域とに区別し、少なくとも筆記可能領域または筆記禁止領域のいずれか1つにその領域を識別する領域識別マーク及び領域識別マークの位置情報を設けたシートに、ペンで筆記する筆記システムであって、手で把持しシートに筆記するペンと、ペンに設けられ、シート上のペンの位置に対応する領域識別マーク及びその位置情報を読み取る読取手段と、読み取られた領域識別マーク及びその位置情報に基づき、ペンの筆記を規制する規制手段と、を備えることを特徴とする。
また、本発明に係るペンによる筆記システムにおいて、読み取られたペンの位置情報とペンの筆記内容とを送信する送信手段と、ペンの位置データと筆記データとをオンラインで受け取り、受け取った情報に基づいて以後の処理を行う筆記データ処理手段と、を備えることが好ましい。
また、本発明に係るペンによる筆記の管理プログラムは、シートにおける筆記可能領域と筆記禁止領域とに応じてペンによる筆記を制御する筆記管理コンピュータ上で実行される筆記管理プログラムであって、シート上におけるペンの位置情報を取得する工程と、シートにおける筆記可能領域と筆記禁止領域とをシート上の位置に関連付け領域データとして記憶する記憶装置から領域データを読み出し、読み出された領域データと検出されたシート上のペンの位置情報とを参照する工程と、参照の結果に基づき、ペンの筆記をシートの筆記可能領域のみに規制する規制工程と、を実行することを特徴とする。
また、本発明に係るペンによる筆記の管理プログラムにおいて、ペンによる筆記データを取得する工程と、取得された筆記データに基づき、筆記に関するそれ以後の処理を行う工程と、を実行することが好ましい。
また、本発明に係る筆記制御付きペンは、手で把持して筆記するペンであって、外部からの指示又はペンが認識する情況に応じ、筆記可能状態又は筆記禁止状態に制御する制御手段を備えることを特徴とする。
また、制御手段は、さらに、外部からの指示又はペンが認識する情況に応じ、筆記する色を変更することが好ましい。
また、本発明に係る筆記制御付きペンにおいて、ペンが認識する情況は、筆記対象の光学的な特徴であり、制御手段は、ペンが認識する情況が所定の光学的特徴の場合に筆記可能状態に制御することが好ましい。
また、光学的特徴は、所定の色又はパターンであることが好ましい。また、所定の色は、筆記対象の下地色であることが好ましい。
上記構成の少なくとも1つにより、シートにおける筆記可能領域と筆記禁止領域とはシート上の位置に関連付けて領域データとして記憶される。そして、シート上におけるペンの位置を検出し、検出されたペンの位置と領域データとを参照して、ペンの位置が筆記禁止領域にあれば筆記を禁止する。したがって、シート上のペンの位置によって書ける、書けないが制御でき、記載可能領域を越えて筆記することを防ぐことができる。
また、上記構成の少なくとも1つにより、シートの種類を判別し、その判別にも基づいてペンの筆記を規制する。したがって、筆記可能領域と筆記禁止領域の区別の異なる複数種類のシートについても、ペンの筆記を規制できる。
また、上記構成の少なくとも1つにより、シートの筆記可能領域上の筆記が所定の色のみの筆記に規制される。これにより色の面からの書ける、書けないの制御を可能にする。例えば、色の塗り分け作業を行うときに、色をはみ出して塗ることを防ぐことができる。また、朱書きすべき領域には黒を禁止し、赤を記載可能とすることにより、朱書きをすることができる。
また、上記構成の少なくとも1つにより、ペンにより筆記された筆記データを送信し、これを受け取りペンの位置データと関連付けて以後の処理をオンラインで行う。例えば、今までの筆記内容に応じて、以後の筆記内容につき、所定領域での筆記を禁止し、あるいは所定の色のみの筆記を可能とするなどの規制を制御する。これにより、筆記者に対し、筆記内容の判断を助け、筆記内容が期待される範囲から外れることを防ぐことができる。
また、上記構成の少なくとも1つにより、シートは回答欄が筆記可能領域である回答用紙である。したがって、回答用紙の回答欄にのみ所望の回答を筆記するようにできる。また、上記構成の少なくとも1つにより、筆記データとペンの位置情報をオンラインで受け取り、回答の集計処理を行う。したがって、回答集計をオンラインで行うことが可能になる。
また、上記構成の少なくとも1つにより、シートに筆記可能領域と筆記禁止領域とを区別する領域識別マークが設けられ、これをペンの読取手段により読み取る。そして、読み取られた領域識別マークの内容、すなわち筆記可能領域を表すものか筆記禁止領域を表すものかの内容と、そのマークと筆記可能領域又は筆記禁止領域との間の相対位置とに基づいて筆記規制を行う。ペンの位置が筆記可能領域か筆記禁止領域領域かは、マークとの相対位置で判定するものであり、読み取るべきマークは、位置がわからないと、そのマークから筆記可能領域への相対位置がわからなくなってしまう。そのために、マークの内容とその相対位置に基づいて筆記規制が行われる。領域識別マークは、筆記可能領域又は筆記禁止領域と一致していなくても、その相対位置が明らかであればよい。このようにして、読み取られた領域識別マークが筆記可能を表しているか、筆記禁止を表しているかにより、直接ペンの筆記を規制する。したがって、ペンの位置を領域マークの読み取りで兼ねることができ、特別なペンの位置検出装置を要せず、構成が簡単となる。
また、上記構成の少なくとも1つにより、筆記可能領域と筆記禁止領域とを色で関連付けられたシートを用いる。そして、ペンの検出手段により色を検出する。そしてペンの位置が筆記禁止領域を表す色の上にあれば筆記を禁止する。したがって、検出された色が筆記可能を表しているか、筆記禁止を表しているかにより、直接ペンの筆記を規制する。したがって、ペンの位置をシート上の色の検出で兼ねることができ、特別なペンの位置検出装置を要せず、構成が簡単となる。また、上記構成の少なくとも1つにより、シートの下地色を筆記可能領域を表すものとする。したがって、シートの下地色のところにのみ筆記ができるようになる。
また、上記構成の少なくとも1つにより、シートに領域識別マークとともに位置情報が設けられ、これをペンの読取手段により読み取る。これにより、どこに何が書かれたかがわかるので、それに従い、以後の筆記内容の規制を行う。例えば、今までの筆記内容に応じて、以後の筆記内容につき、所定領域での筆記を禁止し、あるいは所定の色のみの筆記を可能とするなどの規制を制御する。これにより、筆記者に対し、筆記内容の判断を助け、筆記内容が期待される範囲から外れることを防ぐことができる。
また、上記構成の少なくとも1つにより、ペンから筆記データとペンの位置データとを送信し、以後の処理をオンラインで行う。例えば、回答の集計処理等をオンラインで行うことができる。
また、上記構成の少なくとも1つにより、筆記ペンは、外部からの指示又はペンが認識する情況に応じて筆記状態を制御する制御手段を備える。したがって、外部指示や情況に応じて書ける、書けないが制御できる特徴ある筆記制御付きペンを提供できる。
また、上記構成の少なくとも1つにより、外部からの指示又はペンが認識する情況に応じて、筆記する色を変更することができる。したがって、外部指示や情況に応じて筆記する色が変わる特徴ある筆記制御付きペンを提供できる。
また、上記構成の少なくとも1つにより、筆記対象の光学的特徴に応じて筆記制御が行われる。したがって、筆記する場所の光学的特徴に応じて書ける、書けない、あるいは筆記の色を変更する等の特徴ある筆記制御付きペンを提供できる。光学的特徴として、例えば、筆記対象の色やパターンがあげられる。また、筆記対象の下地色でもよい。例えば、シートの白いところのみに筆記可能とする特徴ある筆記制御付きペンを提供できる。
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。以下の説明では、シートは一般的なマークシート、すなわち、回答欄が枠で囲ってあり、その枠の中に所定の内容を筆記するものとするが、それ以外のシートで、筆記可能領域と筆記禁止領域が区別されるものであればよい。例えば、伝票やデータシート等であってもよい。また、シートは平らに置かれるものとして説明するが、曲面状の3次元シートであってもよい。ペンは、ボールペンを例として説明するが、鉛筆等でもよく、カラーボールペン、カラー鉛筆でもよい。また、オンデマンドインクジェットヘッドを先端に有する手動操作ペンでもよく、多色カラーインクジェットヘッドであってもよい。また、ペンによる筆記システムにおける信号のやりとりは有線、すなわち信号線を介して行うものとして説明するが、全部またはその一部を無線で行うこととしてもよい。
図1は、ペンによる筆記システム10のブロック図である。ペンによる筆記システム10は、シート20と、ペン30と、シート20上のペン30の位置を検出する位置検出装置40と、筆記管理コンピュータ50とを含む。
シート20は、筆記可能領域22と筆記禁止領域24とを有する用紙で、例えば、アンケートや答案の回答用紙で、回答欄が枠で囲われて筆記可能領域22とされ、枠で囲われた外の領域が筆記禁止領域24とされるものである。シート20における筆記可能領域22及び筆記禁止領域24は、シート20の種類と、そのシート上の位置座標に関連付けて、筆記管理コンピュータ50の記憶装置62に記憶される。例えば、シート20の種類はシート番号で区別され、筆記可能領域22及び筆記禁止領域24は、そのシートの基準座標系の原点から見たXY座標で領域の境界が記憶される。一例をあげると、「シート番号 00004−p4」で回答用紙の種類0004とその4ページ目を表し、「座標原点はシート左下基準マーク位置、回答欄1=(13.0,18.0),(15.0,18.0),(15.0,20.0),(13.0,20.0)」で、回答欄1の枠を座標原点からのcm単位のXY座標で表すことができる。
ペン30は、先端に出入り可能なボールペン先32を有し、手で把持できるペンである。ペン先の先端は、ボールペン先と、ボールペン先をガイドする筒とを含んで構成される。ペン先退避部34は、ボールペン先を筒に沿って筆記可能に突き出し、あるいは筆記できないように筒の中に退避させる機能を有するもので、具体的にはペン先に小型プランジャ等の電気信号で制御できるアクチュエータを取り付けて用いることができる。より小型化を図るため圧電素子を用いるアクチュエータを用いてもよい。ペン先退避部34の制御は、筆記管理コンピュータ50からの指示に従って行われる。
筆記データ検出部36は、ペン30により筆記された内容を検出する機能を有し、具体的にはペン30に光学センサを設け、筆記パターンを認識することで実現できる。あるいはペン30に加速度センサを設け、ペン30の動きを検出し、筆記パターンを復元することでもよい。この場合には、ペン先退避部34の信号を参照し、筆記状態におけるペン30の動きについて筆記パターンを復元する。また、後述する位置検出装置40によって筆記パターンを認識し、これを用いてもよい。検出された筆記データは、筆記管理コンピュータ50に送られる。
位置検出装置40は、シート20の上におけるペン30の位置、詳しくはペン先32の位置を検出する機能を有する装置である。位置検出装置40は、撮像カメラ等の光学測定器を用いることで実現できる。光学的な測定のほかに、超音波によりペン先32の位置を検出するものとしてもよい。
ペン位置検出部42は、ペン先32の位置をシート20との相対位置として検出するもので、上記の例では、シート20の左下における基準マークの座標を測定し、それに基づき基準座標系の原点と座標軸を定め、その基準座標系におけるペン先32の位置を検出する。基準座標系の算出と、基準座標系に対するペン先32の位置の算出は、ペン30に電子回路を内蔵させて行わせることができる。このようにして検出されたペン先32の位置データは、筆記管理コンピュータ50に送られる。あるいは、位置検出装置40によって得られるシート20の基準マークとペン先32の位置の検出生データを、そのまま筆記管理コンピュータ50に送り、筆記管理コンピュータ50において、基準座標系におけるペン先32の位置座標を算出するものとすることもできる。
また、位置検出装置40は、シート20の種類を検出する機能も有する。シート20の種類の検出は、シート20に識別マークを設け、それを光学的に読み取って行うことができる。シート20の識別マークとしては、シート名やページをあらわす数字、記号を用いてもよく、バーコード等を用いてもよい。図1において、位置検出装置40は、シート20をはさむクリップ44に設けられたカメラの形態で示されているが、クリップ44のシート20をはさむ部分に、識別マーク読取センサ、例えばバーコードリーダーを設けることもできる。
筆記管理コンピュータ50は、CPU52と、ペン30と信号の交信を行うペンI/F(54)と、位置検出装置40のデータを受け取るためのペン位置検出I/F(56)と、キーボード等の入力部58、ディスプレイ等の出力部60、シート20上の筆記可能領域と筆記禁止領域に関するデータやシート20の種類のデータ等を格納する領域データファイル64を有する記憶装置62を含み、これらは内部バスで相互に接続される。また、外部のネットワークに接続する通信制御機能を有してもよい。かかる筆記管理コンピュータ50は、記憶装置を有する一般的なコンピュータ等で構成することができる。
CPU52は、位置検出装置40より受け取る情報に基づき、ペン30に対し、筆記可能とするか筆記禁止とするかの処理等の筆記制御を行う機能を有する。また、CPU52、ペン30から受け取る筆記データに基づき、その筆記より後の処理を行う機能も有する。
筆記制御を行う筆記制御部70の機能は、さらに、位置検出装置40のペン位置検出部42からシート20上のペン30の位置データ等を取得するペン位置取得モジュール72と、取得した情報を記憶装置62の領域データファイル64のデータと参照する領域参照モジュール74と、参照した結果に基づきペン30のペン先退避部34に対しペン先32を退避させて筆記禁止とするかどうか等の処理を行う筆記規制モジュール76とを有する。また、筆記データに対する処理を行う筆記データ処理部80の機能は、さらに、ペン30の筆記データ検出部36から筆記データを取得する筆記データ取得モジュール82と、取得した筆記データを処理して以後の処理を行うデータ処理モジュールを有する。これらの機能はソフトウエアによって実現することができ、具体的には、対応する筆記管理プログラムを実行することで実現できる。また、各機能の一部をハードウエアで実現するように構成してもよい。
ペンI/F(54)は、ペン30、特にペン先退避部34、筆記データ検出部36と信号の交信を行うためのインタフェース回路である。例えばデータのシリアル受送信又はパラレル送受信を行うための回路で構成することができる。同様に、ペン位置検出I/F(56)は、位置検出装置40、特にペン位置検出部42と信号の交信を行うためのインタフェース回路である。
記憶装置62は、データやプログラムを格納し記憶する機能を有し、例えば大容量のハードディスク等で構成できる。特に、領域データファイル64において、シートに関するデータを格納する。シートに関するデータは、シートの種類に関連付けて、その基準座標系、基準マークの位置の定義、および筆記可能領域と筆記禁止領域の座標データを含む。したがって、シートの種類を検索キーとすることで、そのシートの筆記可能領域の座標を読み出すことができる。
筆記管理コンピュータ50の作用、特にCPU52の各機能につき、以下に具体的な筆記制御及び筆記データ処理の手順に基づいて説明する。最初に、位置検出装置40を備えるクリップ44に、筆記制御の対象となるシート20を挟む(シートセット工程)。いまシート20の例として、アンケート調査に対する回答用紙を用いる。上記のように、このシート20には予め回答を記入する枠が設けられ、その枠内が筆記可能領域22で、それ以外が筆記禁止領域24である。また、シート20には、シート20の種類を示すバーコードがシート上辺に設けられ、左下隅にシートの基準座標系の原点となる基準マークが設けられている。
次に、ペン30を回答者が握り、回答の記入のためにシート20上にペン先32を持ってくる(ペン先移動工程)。ここまでの工程は、回答者等が行うもので、ペンによる筆記システム10はこれ以降の工程を処理する。
まず、筆記制御部70のペン位置取得モジュール72の機能により、シート20上におけるペン先32の位置情報を取得する(ペン位置取得工程)。具体的には、ペン位置取得モジュール72がペン位置検出I/F(56)を介して位置検出装置40に指示を与え、シート20の種類のデータをバーコードリーダーにより検出させ、撮像カメラによりシート20の基準マーク及びペン先32の位置を検出させる。検出されたデータは、ペン位置検出部42により処理されて、そのシート20の基準座標系から見たペン先32の座標データとしてペン位置検出I/F(56)を介してCPU52が取得する。取得されるデータは、例えば上記の場合で、シート20の種類が「シート番号 00004−p4」、ペン先32の座標は、シート20の基準座標系の座標原点からcm単位で(14.3,18.8)といったものである。
次に、領域参照モジュール74の機能により、取得した情報と領域データファイル64のデータとを参照し、ペン先32の位置がシート20の筆記可能領域22にあるか筆記禁止領域24にあるか判断する(領域参照工程)。具体的には、取得したシート20の種類を検索キーとして記憶装置62の領域データファイル64を検索し、筆記可能領域の座標データを読み出し、これをペン先32の位置情報と参照する。上記の例で、「シート番号 00004−p4」が検索キーで、検索された筆記可能領域は、回答欄1=(13.0,18.0),(15.0,18.0),(15.0,20.0),(13.0,20.0)」である。これを、ペン先32の座標(14.3,18.8)と比較することで、ペン先32が筆記可能領域にあることがわかる。また、仮にペン先32の座標(14.3,20.8)であったとして、この座標が、シート20のすべての筆記可能領域を参照しても当てはまらないときは、そのペン先32は、筆記禁止領域にあることになる。
そして、筆記規制モジュール76の機能により、参照の結果に基づいてペン30の筆記を規制する(筆記規制工程)。具体的には、筆記規制モジュール76がペンI/F(54)を介しペン先退避部34にペン先退避に関する信号を与える。すなわち、参照の結果、ペン先32が筆記禁止領域24にあるときは「ペン先退避信号=1」を与えて、ペン先32をシート20上から引っ込め、筆記を行わないようにする。参照の結果、ペン先32が筆記可能領域22にあるときは「ペン先退避信号=0」を与えて、ペン先32をシート20上から引っ込めずにそのままとし、筆記を行うことができるようにする。このようにして、シート上のペンの位置によって書ける、書けないを制御できる。
さらに、筆記データ取得モジュール82の機能により、ペン30が行っている筆記データをオンラインで取得する(筆記データ取得工程)。具体的には、筆記データ取得モジュール82が筆記データ検出部36に指示を与え、ペン先32の描く筆記パターンを検出させる。検出した筆記パターンはペンI/F(54)を介して送信されCPU52が取得する。例えば、筆記データが数字の「3」であることが取得される。
次に、データ処理モジュール84の機能により、取得した筆記データに基づき、以後の筆記に関する処理を行う(データ処理工程)。ここでは、この回答欄1へ「3」の記入が行われたときは回答欄2をスキップして、回答欄3へ移るようにアンケート内容が構成されているものとする。この例では、データ処理モジュール84は、「3」のデータが取得されたことに基づき、記憶装置62の領域データファイル64から読み出された領域データのうち、回答欄2のデータを筆記可能領域から削除し、筆記禁止領域に加える。この処理は、例えばCPU52の一時記憶メモリに領域データファイル64を読み出し、その一時記憶メモリの上でデータの加除を行うことで実行できる。
筆記管理コンピュータ50が稼動中において、位置検出装置40はペン先32の位置を常時監視し、その結果に基づき筆記制御部70はペン30の筆記規制を行っているので、一時記憶メモリ上の筆記可能領域のデータが修正されれば、それに従い、オンラインで筆記規制を修正する。したがって、上記の例で、回答欄2が筆記禁止領域に変更されると、ペン先32が回答欄2の枠の中に持ってこられても、ペン先32は引っ込められるので、回答者が筆記しようと思っても、回答欄に字または記号等を書くことができない。
図2は、シート200に、チェックボックス202と、その近傍、好ましくはすぐ後ろの位置に回答欄204とを設ける例を示す図である。この例では、回答欄204は、チェックボックス202の筆記内容に基づいてその筆記規制が行われる領域である。例えば、当初において回答欄204を筆記禁止領域とし、チェックボックス202にペン30がチェックマーク等を筆記したときに、その筆記データを取得し、回答欄204を筆記可能とすることができる。もちろん、逆の設定、例えば当初において回答欄204を筆記可能領域とし、チェックボックス202にペン30がチェックマーク等を筆記したときに、その筆記データを取得し、回答欄204を筆記禁止としてもよい。
また、データ処理モジュール84は、回答状況を集計することができる。例えば、回答用紙に設けられた20の回答の内容によって、回答者の傾向を算出する式が定まっているものとすると、各回答欄におけるそれぞれの筆記データを取得し、オンラインでその式に当てはめ、その回答者における値を集計、算出することができる。あるいは、シートが試験問題の解答用紙であるときは、各解答欄の筆記データをそれぞれの正解と照らしあわせ、オンラインで採点を行うことができる。
上記において、筆記管理コンピュータ50には、ペン30、位置検出装置40を備えたクリップ44の1組が接続されるものとしたが、ネットワーク等を用いて、複数組のペン30及び位置検出装置40を備えたクリップ44が接続されるものとすることができる。例えば、試験会場において、多数の受験者のそれぞれに1組ずつペン30及び位置検出装置40を備えたクリップ44を対応させることで、オンラインの採点を同時に行うことができる。上記のように、ネットワークは有線でも無線でもよく、一部を有線、一部を無線とすることもできる。また、筆記管理コンピュータ50を複数用いて、これらをさらに上位のホストコンピュータとネットワークで接続するものとしてもよい。
上記において、ペン先退避の方法は、アクチュエータによりペン先が突き出し、あるいは引っ込むものとしたが、それ以外の筆記規制を行うものでもよい。例えば、ペン先にキャップがかぶさるような機構を用いてもよい。また、例えば、オンデマンドインクジェットヘッドを先端に有する手動操作ペンを用いるものとするときは、ペン先がシートに接触したことを検出してインクジェットを吐出するものとし、これにさらにペン先退避信号を関係させて、「ペン先退避信号=1」のときは吐出禁止とし、「ペン先退避信号=0」のときはそのまま吐出できるものとしてもよい。
ペンは、単色、すなわち黒色又は青色のものを用いることができ、また、複数色のペン先を内蔵するものとし、これを筆記規制モジュール76の機能により、筆記可能領域に合わせて筆記色を自動選択する規制を行うものとしてもよい。例えば、黒、赤の2色のペン先が突き出し又は退避可能な機構とし、領域データの筆記可能領域を区分してそれぞれの区分に筆記可能な色を指定して記憶する。そして、位置検出装置40により検出されるペン先32の位置と、領域データファイル64のデータとを参照して、その位置が、筆記禁止領域か、黒色筆記可能領域か、赤色筆記可能領域かを判別し、それに従い、ペン先退避部34に指示を与え、対応するペン先のみを突き出すか、全部のペン先を退避させるかを行わせる。これにより、回答者が一々回答色を気にすることなく、正しく所定の色で筆記を行うことができる。
図3は、そのような構成のペン210の断面図を示す図で、ペン210の筐体の中に黒のペン先212、赤のペン先214がそれぞれ独立に作動するプランジャ216,218に接続されている。そして、シートの領域が黒の筆記を可能とするときは黒のペン先212が突き出され、シートの領域が黒の筆記を禁止し朱色の筆記を行うものとするときは、黒のペン先212が引っ込められ、代わって赤のペン先214が突き出される。図4は、シート220における筆記の様子を示す図である。筆記可能領域222,224,226のうち、筆記可能領域222は黒の筆記が可能な領域で、ここに筆記するときは、黒の筆記に規制される。筆記可能領域224,226は朱の筆記が可能な領域で、ここに筆記するときは、赤のペン先のみが突き出し可能で、朱書きのみに規制される。
多色ペンの場合は、オンデマンドインクジェットヘッドを先端に有する手動操作ペンを用いるとさらに便利である。この場合も、筆記規制モジュール76の機能により、シートの所定の位置に所定の色を筆記させることができる。例えば、マスター図形を色分解してこれを領域データファイル64に格納し、多色用のペン30を手で持ってシート20の上に持ってくれば、位置検出装置40によりペン先32を検出し、そのデータと領域データファイル64とを参照した結果に基づき、筆記規制モジュール76は所定の色の吐出指示をペン30のオンデマンドインクジェットヘッドに与える。これにより、容易にマスター図形をなぞって筆記塗布することができる。
上記において、位置検出装置40はシート20を挟むクリップ44に設けられるものとし、ペン30とは別体のものとして説明した。これに代わり、非特許文献1、特許文献4,5に記載される専用紙を用い、ペン30に専用紙に印刷される微細な点を読み取り、これを用いてシート20上のペン30の位置を検出するものとしてもよい。この場合、非特許文献1等に述べられているPLSの位置情報データは、ネットワークにより得ることができ、あるいは必要な部分のデータを記憶装置62に転送してこれを利用することもできる。
シートの筆記可能領域、筆記禁止領域の区分が比較的簡単で、定型的なシートを用いる場合には、より簡単な筆記システムが可能である。図5は、筆記管理コンピュータの機能をペンに内蔵させ、さらに位置検出機能もペンに持たせる筆記システム110のブロック図である。図1と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、図1の要素に対応する要素に付す符号は、できるだけ100を加えて示すようにした。例えば図5におけるペン130は、図1におけるペン30と対応する。ただし、その内容は全く同一のものではない。
図5の筆記システム110の原理を簡単に説明する。図5のシート120は、筆記可能領域122と筆記禁止領域124とが区別され、例えば筆記可能領域122に、筆記可能なことをあらわす領域識別マークと、その位置情報とが設けられている。例えば、シート120が図5で示すように3つの回答欄しかないような場合には、各回答欄内の領域に微小な字で「1」「2」「3」等の識別記号を敷き詰める。これをペン130に設けられる検出センサ140により読み取ることで、ペン先が「1」の回答欄の領域内にあるか、「2」の回答欄の領域内にあるか、「3」の回答欄の領域内にあるか、あるいはこれらの領域以外の筆記禁止領域124にあるかが判別できる。
回答欄が多いときや、普遍性を高めるには、各回答欄に、それぞれ領域識別マークと、シート120の基準座標系における位置情報を敷き詰めるようにすることが望ましい。これらが、シート120における領域データに対応する。
図5の筆記システム110においては、シート120に設けられた領域識別マークと位置情報をペン130で読み取り、これをペン130に内蔵される筆記管理マイクロコンピュータ150により処理して、ペン130の筆記規制あるいは筆記データの処理を行うものである。以下に、図1の筆記システム10と異なる要素を中心に説明する。
ペン130は、先端に出入り可能なボールペン先132を有し、手で把持できるペンで、ペン先132の先端がペン先退避部34の作用により、ボールペン先を筒に沿って筆記可能に突き出し、あるいは筆記できないように筒の中に退避するところは図1のペン30と同じである。退避機構も、図1の説明のところで述べたアクチュエータ等を用いることができる。
ペン130は、上記のペン先132、ペン先退避部34の他に、さらに検出センサ140、筆記管理マイクロコンピュータ150を内蔵する。また、筆記管理マイクロコンピュータ150は、外部のデータ処理装置190とネットワークにより接続される。
検出センサ140は、シート120に設けられる領域識別マークとその位置情報を検出する機能と、シート120に筆記された筆記パターンを検出する機能を有する。かかる検出センサは、例えば光学系と撮像素子の組み合わせ等で得ることができる。検出されたデータは、筆記管理マイクロコンピュータ150に送られる。
筆記管理マイクロコンピュータ150は、CPU152と、ペン先退避部34に信号を送信するためのペン先退避I/F(154)と、検出センサ140と信号の交信を行うためのペン先データI/F(156)と、シート120の領域識別マークやその位置情報に関するデータを格納する領域データファイル164を有する記憶装置62と、外部のデータ処理装置190とネットワーク等を通して交信する通信制御部162とを含み、これらは内部バスで相互に接続される。かかる筆記管理マイクロコンピュータ150は、記憶装置を有する一般的なマイクロコンピュータチップ等で構成することができる。
CPU152は、検出センサ140より受け取る情報に基づき、ペン130に対し、筆記可能とするか筆記禁止とするかの処理等の筆記制御を行う機能を有し、また、ペン130から受け取る筆記データに基づき、その筆記より後の処理を行う機能も有する。
筆記制御を行う筆記制御部70の各機能の内容、及び筆記データに対する処理を行う筆記データ処理部80の機能のうち、筆記データ取得モジュール82の内容は、図1の説明において述べたところと同様である。筆記データ送信モジュール184は、検出センサ140により取得した筆記データについて、その筆記以後の処理を行わせるため、筆記制御部70に転送し、あるいは通信制御部162を介し、外部に送信する機能を有する。
ペン先退避I/F(154)及びペン先データI/F(156)は、それぞれペン先退避部34及び検出センサ140と信号のやりとりを行うためのインタフェース回路である。その内容は図1の説明で述べたところと同様である。
記憶装置62は、データやプログラムを格納し記憶する機能を有し、例えば半導体メモリ等で構成できる。特に領域データファイル164において、シートに関するデータを格納する。シートに関するデータは、筆記可能領域と筆記禁止領域についての領域識別マーク及びその位置座標データを含む。シートの種類が複数あるときは、シートの種類に関連付けて、領域識別マーク及びその位置座標データが格納される。例えば、領域識別マークを、筆記可能領域=1、筆記禁止領域=0とし、位置座標を、シート上に1cmごとに格子状に配置されるグリッド交点の座標をそのまま数字で表すものとすることができる。具体的なデータの例を示すと、図5の場合、「回答欄2=領域識別マーク1、座標(13,18),(15,18),(15,20),(13,20)」などである。
外部のデータ処理装置190は、ペン130の筆記管理マイクロコンピュータ150から受け取った筆記データについてデータ処理を行うデータ処理部192を含む。ここでデータ処理部192は、主として筆記データをその筆記された回答欄と関連付けて、集計や採点等の統計処理を行う機能を有する。
筆記管理マイクロコンピュータ150の作用、特にCPU152の各機能につき、以下に具体的な筆記制御及び筆記データ処理の手順に基づいて説明する。最初に、シート120を用意する。いまシート120の例として、上記のように3つの回答欄を有し、それぞれの回答欄には、領域識別マークとその位置座標が印刷されているアンケート回答用紙を用いる。例えば、図5のペン先132がある回答欄2には、領域識別マーク1と、1cm刻みのグリッド座標の値が(13,18),(15,18),(15,20),(13,20)の範囲で印刷されている。
次に、ペン130を回答者が握り、回答の記入のためにシート120上にペン先132を持ってくる(ペン先移動工程)。ここまでの工程は、回答者等が行うもので、ペンによる筆記システム110はこれ以降の工程を処理する。
まず、筆記制御部70のペン位置取得モジュール72の機能により、シート120上におけるペン先132の位置情報を取得する(ペン位置取得工程)。具体的には、ペン位置取得モジュール72がペン先データI/F(156)を介して検出センサ140に指示を与え、ペン先132の位置に対応するシート120の領域を撮像し、そこに領域識別マークがあるか、あればどの種類の領域識別マークかを検出させる。検出されたデータは、ペン先データI/F(156)を介してCPU152が取得する。図5における上記の例では、ペン先132が回答欄2の領域の大体中央にあるとすると、取得されるデータは、「領域識別マーク1、座標(14,19)」となる。
次に領域参照モジュール74の機能により、取得した情報と領域データファイル164のデータとを参照し、ペン先32の位置がシート120の筆記可能領域122にあるか筆記禁止領域124にあるか判断する(領域参照工程)。具体的には、取得されたデータは「領域識別マーク1、座標(14,19)」であるので、そのままでも筆記可能領域であることがわかる。さらに領域データファイル164を参照することで、取得された座標(14,19)から、ペン先132は、回答欄2の領域にあることがわかる。このペン先132の位置がどの回答欄にあるかの情報を用いて、筆記データに基づくその筆記以後の筆記規制や、色別の筆記規制、筆記データの集計等のより高度な筆記規制を行うことができる。また、仮に取得されたデータが「領域識別マーク0、座標(14,21)」であったとすれば、ペン先132の位置は筆記禁止領域にあることになる。
そして、筆記規制モジュール76の機能により、参照の結果に基づいてペン130の筆記を規制する(筆記規制工程)。具体的には、筆記規制モジュール76がペン先退避I/F(154)を介しペン先退避部34にペン先退避に関する信号を与える。すなわち、参照の結果、ペン先132が筆記禁止領域124にあるときは「ペン先退避信号=1」を与えて、ペン先132をシート120上から引っ込め、筆記を行わないようにする。参照の結果、ペン先132が筆記可能領域122にあるときは「ペン先退避信号=0」を与えて、ペン先132をシート120上から引っ込めずにそのままとし、筆記を行うことができるようにする。このようにして、シート上のペンの位置によって書ける、書けないを制御できる。
さらに、筆記データ取得モジュール82の機能により、ペン130が行っている筆記データをオンラインで取得する(筆記データ取得工程)。具体的には、筆記データ取得モジュール82が検出センサ140に指示を与え、ペン先132の描く筆記パターンを検出させる。検出した筆記パターンはペン先データI/F(154)を介して送信されCPU152が取得する。例えば、筆記データが数字の「3」であることが取得される。
次に、筆記データ送信モジュール184の機能により、取得した筆記データが筆記制御部70と、通信制御部162を経由し外部のデータ処理装置190に転送される(データ送信工程)。ここでは、この回答欄2へ「3」の記入が行われたときは回答欄3をスキップして全回答を終えるようにアンケート内容が構成されているものとする。この例では、筆記制御部70は、筆記データ「3」のデータが転送されると、記憶装置62の領域データファイル164から読み出された領域データのうち、回答欄3のデータを筆記可能領域から削除し、筆記禁止領域に加える。この処理は、例えばCPU152の一時記憶メモリに領域データファイル164を読み出し、その一時記憶メモリの上でデータの加除を行うことで実行できる。
筆記システム110が稼動中において、検出センサ140はペン先132の位置を常時監視し、その結果に基づき筆記制御部70はペン130の筆記規制を行っているので、一時記憶メモリ上の筆記可能領域のデータが修正されれば、それに従い、オンラインで筆記規制を修正する。したがって、上記の例で、回答欄3が筆記禁止領域に変更されると、ペン先132が回答欄3の枠の中に持ってこられても、ペン先132は引っ込められるので、回答者が筆記しようと思っても、回答欄に字または記号等を書くことができない。
また、外部のデータ処理装置190は、回答状況を集計することができる。例えば、回答用紙に設けられた3つの回答の内容によって、回答者の傾向を算出する式が定まっているものとすると、各回答欄におけるそれぞれの筆記データを取得し、オンラインでその式に当てはめ、その回答者における値を集計、算出することができる。あるいは、シートが試験問題の解答用紙であるときは、各解答欄の筆記データをそれぞれの正解と照らしあわせ、オンラインで採点を行うことができる。
上記において、領域データとしては、領域識別マークとともにシートの位置情報を用いるものとして説明した。より簡単には、領域識別マークのみでもよい。また、領域識別マークに代えて、領域識別色を用いてもよい。例えば、回答欄等の筆記可能領域を青色とすることで、ペンに設けられたセンサでペン先の位置が青色であればそのまま筆記を可能とし、他の色のときに筆記を禁止する。このようにすることで、特別なペンの位置検出手段を省略又は簡略化することができる。
また、筆記可能領域と筆記禁止領域との区別を、シート等の筆記対象物の色やパターン等の光学的特徴をそのまま用いてもよい。例えば、筆記対象物の特定の色のところのみ筆記可能とすることができる。その一例として、シートの下地色をそのまま筆記可能領域を表すものとしてもよい。この場合には、回答欄のところは着色せず、他の部分を例えば黄色等の色で着色する。そして、ペンに設けられたセンサでペン先の位置がシートの下地色、すなわち通常は白色であるが、その白色を検出すればそのまま筆記を可能とし、黄色等の他の色のときに筆記を禁止する。このようにすることで、特別なペンの位置検出手段を省略又は簡略化することができる。
また、筆記対象物に対し、特別に着色等を行わない場合において、シートの下地色をそのまま筆記可能領域を表すものとすれば、筆記対象物の下地色のところだけ筆記可能となる。つまり、下地色のところだけに筆記できる。したがって、サイン等をきちんと下地色の部分に行うことができる。また、例えば、下地色の部分のみをを塗りつぶすこともできる。
このように、筆記禁止領域の区分が比較的簡単で、定型的なシートを用いる場合には、より簡単な筆記システムによって、シート上のペンの位置によって書ける、書けないを制御することができる。
10,110 ペンによる筆記システム、20,120,200,220 シート、22,122 筆記可能領域、24,124 筆記禁止領域、30,130,210 ペン、32,132 ペン先、34 ペン先退避部、36 筆記データ検出部、40 位置検出装置、42 ペン位置検出部、44 クリップ、50 筆記管理コンピュータ、52,152 CPU、54 ペンI/F、56 ペン位置検出I/F、58 入力部、60 出力部、62 記憶装置、64,164 領域データファイル、70 筆記制御部、72 ペン位置取得モジュール、74 領域参照モジュール、76 筆記規制モジュール、80 筆記データ処理部、82 筆記データ取得モジュール、84 データ処理モジュール、140 検出センサ、150 筆記管理マイクロコンピュータ、154 ペン先退避I/F、156 ペン先データI/F、162 通信制御部、184 筆記データ送信モジュール、190 データ処理装置、192 データ処理部、202 チェックボックス、204 回答欄、212 黒のペン先、214 赤のペン先、216,218 プランジャ、222 黒の筆記可能領域、224,226 赤の筆記可能領域。
Claims (19)
- シートにおける筆記可能領域と筆記禁止領域とをシート上の位置に関連付け、領域データとして記憶する記憶装置と、
手で把持しシートに筆記するペンと、
シート上におけるペンの位置を検出する検出手段と、
検出手段により検出されたペンの位置情報と、記憶装置から読み出される領域データとに基づき、ペンの筆記をシートの筆記可能領域のみに規制する規制手段と、
を備えることを特徴とするペンによる筆記システム。 - 請求項1に記載の筆記システムにおいて、
シートの種類を判別するシート判別手段を備え、
記憶装置は、さらにシートの種類に関連付けて領域データを記憶し、
規制手段は、シートの種類と、ペンの位置情報と、記憶装置から読み出される領域データとに基づき、ペンの筆記を規制することを特徴とするペンによる筆記システム。 - 請求項1に記載の筆記システムにおいて、
規制手段は、シートの筆記可能領域上に所定の色のみの筆記に規制することを特徴とするペンによる筆記システム。 - 請求項1に記載の筆記システムにおいて、
筆記された筆記データを送信する筆記データ送信手段と、
筆記データ送信手段による筆記データと、検出手段によるペンの位置データとをオンラインで受け取り、受け取った情報に基づいて以後の処理を行う筆記データ処理手段と、
を備えることを特徴とするペンによる筆記システム。 - 請求項4に記載の筆記システムにおいて、
筆記データ処理手段は、受け取った情報に基づいて以後の筆記の規制制御を行うことを特徴とするペンによる筆記システム。 - 請求4に記載の筆記システムにおいて、
シートは、回答欄を筆記可能領域とする回答用紙であることを特徴とするペンによる筆記システム。 - 請求項6に記載の筆記システムにおいて、さらに、
筆記データ処理手段は、受け取った情報に基づいて回答の集計処理を行うことを特徴とするペンによる筆記システム。 - シート上の領域を筆記可能領域と筆記禁止領域とに区別する領域識別マークを設けたシートに、ペンで筆記する筆記システムであって、
手で把持しシートに筆記するペンと、
ペンに設けられ、シートの領域識別マークを読み取る読取手段と、
読み取られた領域識別マークの内容と、そのマークと筆記可能領域又は筆記禁止領域との間の相対位置とに基づき、ペンの筆記をシートの筆記可能領域のみに規制する規制手段と、
を備えることを特徴とするペンによる筆記システム。 - 筆記可能領域と筆記禁止領域とを色に関連付けて表わされたシートについて、手で把持して筆記するペンと、
ペンに設けられ、シート上における色を検出する検出手段と、
検出手段により検出された色に基づき、ペンの筆記をシートの筆記可能領域のみに規制する規制手段と、
を備えることを特徴とするペンによる筆記システム。 - 請求項9に記載の筆記システムにおいて、
筆記可能領域の色は、シートの下地色であることを特徴とするペンによる筆記システム。 - シート上の領域を筆記可能領域と筆記禁止領域とに区別し、少なくとも筆記可能領域または筆記禁止領域のいずれか1つにその領域を識別する領域識別マーク及び領域識別マークの位置情報を設けたシートに、ペンで筆記する筆記システムであって、
手で把持しシートに筆記するペンと、
ペンに設けられ、シート上のペンの位置に対応する領域識別マーク及びその位置情報を読み取る読取手段と、
読み取られた領域識別マーク及びその位置情報に基づき、ペンの筆記を規制する規制手段と、
を備えることを特徴とするペンによる筆記システム。 - 請求項11に記載の筆記システムにおいて、
読み取られたペンの位置情報とペンの筆記内容とを送信する送信手段と、
ペンの位置データと筆記データとをオンラインで受け取り、受け取った情報に基づいて以後の処理を行う筆記データ処理手段と、
を備えることを特徴とするペンによる筆記システム。 - シートにおける筆記可能領域と筆記禁止領域とに応じてペンによる筆記を制御する筆記管理コンピュータ上で実行される筆記管理プログラムであって、
シート上におけるペンの位置情報を取得する工程と、
シートにおける筆記可能領域と筆記禁止領域とをシート上の位置に関連付け領域データとして記憶する記憶装置から領域データを読み出し、読み出された領域データと検出されたシート上のペンの位置情報とを参照する工程と、
参照の結果に基づき、ペンの筆記をシートの筆記可能領域のみに規制する規制工程と、
を実行することを特徴とするペンによる筆記の管理プログラム。 - 請求項13に記載の筆記管理プログラムにおいて、
ペンによる筆記データを取得する工程と、
取得された筆記データに基づき、筆記に関するそれ以後の処理を行う工程と、
を実行することを特徴とするペンによる筆記の管理プログラム。 - 手で把持して筆記するペンであって、
外部からの指示又はペンが認識する情況に応じ、筆記可能状態又は筆記禁止状態に制御する制御手段を備えることを特徴とする筆記制御付きペン。 - 請求項15に記載の筆記制御付きペンにおいて、
制御手段は、さらに、外部からの指示又はペンが認識する情況に応じ、筆記する色を変更することを特徴とする筆記制御付きペン。 - 請求項15に記載の筆記制御付きペンにおいて、
ペンが認識する情況は、筆記対象の光学的な特徴であり、
制御手段は、ペンが認識する情況が所定の光学的特徴の場合に筆記可能状態に制御することを特徴とする筆記制御付きペン。 - 請求項17に記載の筆記制御付きペンにおいて、
光学的特徴は、所定の色又はパターンであることを特徴とする筆記制御付きペン。 - 請求項18に記載の筆記ペンにおいて、
所定の色は、筆記対象の下地色であることを特徴とする筆記制御付きペン。
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CN103576989A (zh) * | 2013-11-01 | 2014-02-12 | 北京汉神科创文化发展有限公司 | 基于书写的人机交互展示系统及方法 |
JP2014233944A (ja) * | 2013-06-05 | 2014-12-15 | コニカミノルタ株式会社 | 画像形成装置 |
CN105679133A (zh) * | 2015-12-31 | 2016-06-15 | 田雪松 | 一种测验生成方法 |
-
2004
- 2004-03-23 JP JP2004084146A patent/JP2005275519A/ja active Pending
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