JP2005272840A - 電気伝導度の優れたポリアニリン及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、ポリアニリンに係り、より詳しくは、電気伝導度の優れた、新しいポリアニリン及びその製造方法に関する。
伝導性高分子は、高分子の主鎖に存在する二重結合等の共役構造(conjugated structure)を有する。従って、水素酸のようなドーピング剤でドーピングさせると、前記伝導性高分子は、共役構造により部分的に荷電を有しながら、電子が非偏在化される特異な現象があるので、他の一般的な有機物に比べる時、優れた電気伝導度の特性を有する。伝導性高分子は、金属が有する電気的、磁気的、光学的特性と、通常の有機高分子が有する優れた機械的性質及び加工性を同時に有するために、化学、物理学、材料工学等の学問分野は勿論、素材産業分野でも大変注目している物質である。
最初に開発された伝導性高分子としては、Shirakawa等が開発したポリアセチレンであるが、ポリアセチレンは空気中で、酸化され易い短所がある。ポリアセチレンに続き、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンのような本性伝導性高分子(intrinsically conducting polymers)が開発された。
このような伝導性高分子は、伝導度によって10-13-10-7S/cmは、帯電防止材料(antistatic materials)、10-6-10-2S/cmは、静電気防止材料(static discharge materials)、1S/cm以上は、電子波遮蔽用材料(EMI shielding materials)または、バッテリー電極、半導体や太陽電池等に用途が変わり、その伝導度の数値を向上させると、さらに多様な用途開発が可能となる。
本性伝導性高分子(intrinsically conducting polymers)の中で、ポリアニリンは、ポリピロール、ポリチオフェン等に比べて、相対的に安く、化学的には大変安定であるだけではなく、水素陽イオンによりドーピングの過程が行われ易いので、関連学界で特に関心を持つ高分子物質である。
一般的に、ポリアニリンは、酸化状態によって、完全還元型のロイコエメラルディン(leuco-emeraldine)、部分酸化型のエメラルディン(emeraldine)、及び完全酸化型のpernigranilineとに分類することができる。
ところが、従来の方法により合成されたポリアニリンは、特に、完全還元型のロイコエメラルディン及び完全酸化型のpernigraniline状態のポリアニリンは、融点が高くて溶融加工(鎔融加工)が不可能であって、メタクレゾールのような沸点の高い溶媒及び汎用有機溶媒でも溶解性が低くて加工工程が行われ難い短所がある。
前記指摘されたような伝導性高分子の問題を改善するために、伝導性高分子の主鎖(backbone)の溶解性を増加させれるように、多様な側鎖(side chain)を伝導性高分子のベンゼンリングやアミン基に導入することによって、アニリン誘導体または、グラフト重合体(graft polymer)のような共重合体(copolymer)を合成したり、各種のドーピング剤、いろんな有機物質や高分子または、可塑剤(plasticizer)等を添加して、伝導性高分子の加工性と伝導度を同時に向上させるための研究が試された。ところが、こんな合成物質等は、改質(reforming)される以前状態の高分子物質に比べて、かえって、電気伝導性が大変減少する問題がある。
ポリアニリンは、電気化学的電荷移動反応(electrically charge transfer reaction)による電気化学的方法または、酸化還元反応または、酸/塩基反応を通じたプロトン化(protonation)による化学的方法により合成される。
代表的な化学的合成方法としては、マクダーミド(MacDiarmid)等が報告したものがある(例えば、特許文献1参照)。マクダーミド等は、水溶液上で、過硫酸アンモニウム(ammonium persulfate)のような酸化剤を利用して、塩酸等に溶かしたアニリン単量体を1-5℃の温度で重合した後、その沈殿物を分離して洗い流した後、ポリアニリンを得た。マクダーミド等が報告した合成方法は、現在まで、幅広く利用されており、一種の標準化されたポリアニリン合成法である。
マクダーミド等が報告した合成法により製造されたエメラルディン塩基(emeraldine base,EB)状のポリアニリンは、分子量が低いが(固有粘度0.8-1.2dl/g)、1-メチル-2-ピロリドン(1-methyl-2-pyrrolidone,NMP)により溶解されて、10-カンフルスルホン酸(10-camphorsulfonic acid,CSA)によりドーピングされたエメラルディン塩(ES.CSA)は、メタクレゾールに少し溶解されると報告された。この溶液から製造されたフィルムの電気伝導度は、最高約100S/cmであるが、塩酸によりドーピングされたエメラルディン塩(ES.HCl)は、約5S/cm程度の電気伝導度を示す。マクダーミド方法により合成されたポリアニリン高分子は、低い分子量、幅広い分子量の分布を有したり、主鎖に側鎖反応が伴って、溶媒に対する溶解の特性と電気伝導度が落ちる短所がある。
酸解離定数pKa値が4.8より小さい水素酸、例えば、フルオロホウ酸(hydrofluroboric acid)、フルオロリン酸(hydrofluorophosphoric acid)、過塩素酸(perchloric acid)等をドープ剤として利用して、高分子リングの微細構造が分子間の水素結合を減少させれるように、キノンジイミン(quinonediimine)ブロックとフェニレンジアミン(phenylenediamine)ブロックとに区分されるブロック性ポリアニリンを製造して、ポリアニリンの加工性が向上できると報告されている(例えば、特許文献2,3参照)。ところが、Abe等によって開示された方法により製造されたポリアニリンリングの酸化の程度が、従来のポリアニリンに比べて、規則的でないために、高い伝導度を期待し辛い。
ベンゼンリングに1つ以上の置換基を有するアニリン単量体をpH7で重合して、メタタイプのポリアニリンを合成する方法が報告されている(例えば、特許文献4参照)。アキタ(Akita)等による方法により合成されたポリアニリンは、メタの位置に連結されている柔軟な分子構造と低い分子量を有して、プロトン伝導度(proton conductivity)を上昇させて、燃料電池(fuel cell)の電解質(electrolyte)として使用される。ところが、アキタ等が開示したメタタイプのポリアニリンは、分子その自体の直線性が欠如して電子移動をし辛くするので、電気伝導度の向上とは関係ない。
ビードル(Beadle)等(Synth.Met.95,29-45,1998)の研究によると前述されたマクダーミド等が提示した一種の標準化された合成法により製造されたポリアニリンにおいて、分子量が増加すればするほど、電気伝導度は増加して、分子量を高めるためには、反応温度を低くしなければならない。反応温度を低くするためには、均一系(homogeneous)水溶液で重合が行われる場合には、通常的に、LiCl、CaF2 等のような金属塩を添加して凍結を防ぐ。ところで、このような金属塩を混合すると、反応完結時間が48時間以上延びて、反応コントロールがし辛くなるだけではなく、反応温度を低くすると、分子量と共に分子量分布も同時に増加する。(分散度2.5以上)
また、側鎖の生成を抑えるために、反応の間に酸化剤としてFeCl2を添加したり、重合反応の間に合成反応が中断されたオリゴメール等の副産物を除去するために、有機溶媒で抽出する過程が行われる。また、乳化重合(emulsion Polymerization)や界面重合(interfacial polymerzation)においても、ポリアニリン主鎖に含まれるベンゼンリングのパラの位置だけではなく、オルソの位置にも添加反応が起きる確率が高いために、側鎖が必然的に多く生成され、伝導度と溶解度低下の原因となる。
ティッセン(Thyssen)等(Synth.Met.29,E357-E362,1989)の研究によるとアニリン単量体を電気化学的方法により重合する場合、高分子リングに、側鎖を誘導するオルソカップリング(ortho coupling)が起きる確率が約10%程度である。このようにパラの位置ではないオルソ等の位置で合成が起きると、同一な分子量の高分子だとしても、パラの位置に連結された高分子に比べて、高分子リングの水力学的大きさが減少して固有粘度は減少される。すなわち、固有粘度が1.2dl/g以下に低く示されても、オルソ等の位置で合成が行われ、側鎖が多く生成されると、実質分子量は大きくなるので、電気伝導度とは関連なしに加工性だけ劣弱になる。
前述した先行特許(特許文献)以外にも、伝導性高分子と関連した多数の研究が行われて、単行本や百科辞典の形で詳しく説明されている(例えば、特許文献5参照)。
ところが、現在までに公開されたポリアニリンの電気伝導度は、最大約100S/cmであって、ビードル等(Synth. Met.95,29-45,1998)の研究によると、零下43℃で、16時間以上反応させて得たポリアニリンの電気伝導度は、最高320S/cmである。しかし、前述したように、低温でポリアニリンを合成する場合には、反応コントロールがし辛く、分子量の分布が増加する問題がある。
伝導性高分子は、その自体は完全直線型を形成し辛いので、結晶型のような秩序が完璧に形成できないので、実際の伝導度が理論的に予測した、約105-6S/cm(Kohlman et al.,Phys.Rev.Lett.78(20),3915,1997)よりもはるかに及ばない。このような電気伝導度の低い高分子としては、プラスチック透明電極や電子気波遮蔽用としては不適合であるために、電気伝導度の優れた伝導性高分子としてのポリアニリンを製造する必要は今も変わらず残っている。
A.G.MacDiarmid,J.C.Chiang,A.F.Richter,N.L.D.Somarisi,inL.Alcacer(ed),Conducting Polymers,Special Applications,Reidel,Dordrecht,1987,p.105
米国特許第5,264,552号明細書
米国特許第5,728,321号明細書
米国特許第6,303,053号明細書
Organic Conductive molecules and Polymers Vo1.I-IV,Ed.By.H.S.Nalwa,JohnWiley & Sons,New York.1997;Handbook of Conducting Polymers Vo1I,II,Ed.By Skotheim et al,Marcel Dekker,New York,1998;ConductivePolymers,P.Chandrasekhar,Kluwer Acade.Pub.Boston,1999
本発明は、前述した問題を解決するために提案されたものであって、本発明の目的は、従来の方法により合成されたポリアニリンに比べて、最高100倍以上電気伝導度が向上されたポリアニリンを提供する。
本発明の他の目的は、低廉な工程だけを必要として、容易に制御でき、電気伝導度が大変改善されたポリアニリンを合成する方法を提供する。
本発明のまた他の利点と特徴は、添付する図面等を通じてより明らかになる。
前述した目的のために、本発明の一観点では、下記の一般式により表示される反復構造を有するポリアニリンにおいて、13C CPMAS NMR スペクトルで化学シフト(chemical shifts)約123ppm及び約158ppmで、少なくとも1つの単一ピーク(single peak)を有したり、または、13C CPMAS NMR スペクトルの結果、化学シフト140ppmの周辺で識別できるピークを有するポリアニリンを提供する。
(一般式で、x及びyは、各々反復単位のキノンジイミン(quinonediimine)構造単位とフェニレンジアミン(phenylenediamine)構造単位のモル分率であって、0<x<1、0<y<1、x+y=1、nは、2以上の整数。)
本発明による前記ポリアニリンは、13C CPMAS NMR スペクトルで化学シフト約138ppm及び約143ppmでピークを形成することを特徴とする。特に、前記ポリアニリンは、13C CPMAS NMR スペクトルで、化学シフト約138ppmでのピークの強度(I138)が化学シフト約143ppmでのピークの強度(I143)より大きくて、望ましくは、I138/I143 は、1.2以上であることを特徴とする。
本発明の他の観点によると、下記の一般式により表示される反復構造を有するポリアニリンにおいて、PASスペクトルで波長約1496cm-1でのピークの強度(I1496)/波長約1508cm-1でのピークの強度(I1508)が1以下であることを特徴とするポリアニリンを提供する。
(一般式で、x及びyは、各々反復単位のキノンジイミン(quinonediimine)構造単位とフェニレンジアミン(phenylenediamine)構造単位のモル分率であって、0<x<1、0<y<1、x+y=1、nは、2以上の整数。)
本発明の他の観点による前記ポリアニリンは、PASスペクトルで波長約760cm-1ないし約875cm-1でのピークの強度(I833)/波長約1475cm-1ないし約1535cm-1でのピークの強度(I1508)が3.5以上であることを特徴とする。
また、本発明の他の観点によると、下記の一般式により表示される反復構造を有するポリアニリンにおいて、Raman分光スペクトルで、波長約1346cm-1ないし約1398cm-1でのピークの強度(I1346-1398)/波長約1125cm-1ないし約1205cm-1でのピークの強度(I1128-1205)が0.6以上であることを特徴とするポリアニリンを提供する。
(一般式で、x及びyは、各々反復単位のキノンジイミン(quinonediimine)構造単位とフェニレンジアミン(phenylenediamine)構造単位のモル分率であって、0<x<1、0<y<1、x+y=1、nは、2以上の整数。)
一方、本発明のまた他の観点によると、下記の一般式により表示される反復構造を有するポリアニリンにおいて、t(tert)-ブトキシカルボニル(butoxycarbonyl)(t-BOC)に置換される場合、溶液状の 13C NMRスペクトルで化学シフト約139.5ppmないし約160ppmの間で4つの重要なピークを有するポリアニリンを提供する。
(一般式で、x及びyは、各々反復単位のキノンジイミン(quinonediimine)構造単位とフェニレンジアミン(phenylenediamine)構造単位のモル分率であって、0<x<1、0<y<1、x+y=1、nは、2以上の整数。)
本発明によってt-BOCに置換されたポリアニリンは、溶液状の 13C NMRスペクトルで、化学シフト約110ppm未満と、化学シフト約130ppmないし約135ppmの間には識別可能のピークを有しない。また、前記ポリアニリンは、溶液状の13C NMRスペクトルで、化学シフト約149ppmないし約152ppmの間には識別可能のピークを有しない。
特に、本発明の置換されたポリアニリンは、溶液状の13C NMRスペクトルで、ベンゼノイド(benzenoid)リング及びキノイド(quinoid)リングの水素化炭素に連関された化学シフトに相応するピークが10個以下であることを特徴とする。望ましくは、前記ポリアニリンは、溶液状の 13C NMRスペクトルで化学シフト約123ppmないし約124ppmの間のピークの強度(I123)が、化学シフト約125ppmでのピークの強度(I125)の1/5以下であることを特徴とする。
さらに、前記ポリアニリンは、溶液状の 13C NMRスペクトルで化学シフト約136ppm及び約138ppmの間に存在する2つのピーク各々の中心で1ppm距離以内に存在するサイドピーク(side peak)の数が2つ以下である。
一方、本発明の他の観点によると、(a)アニリン単量体及び酸溶液を有機溶媒に混合する段階;及び(b)水素酸に溶解された酸化剤を前記酸溶液に混合して前記水素酸でドーピングされたポリアニリンを合成する段階;及び(c)前記ポリアニリンを塩基で脱ドーピングする段階を含むポリアニリンの製造方法を提供する。
望ましくは、前記脱ドーピングされたポリアニリンは、下記一般式により表示される反復構造を有する。
(一般式で、x及びyは、各々反復単位のキノンジイミン(quinonediimine)構造単位とフェニレンジアミン(phenylenediamine)構造単位のモル分率であって、0<x<1、0<y<1、x+y=1、nは、2以上の整数。)
本発明のポリアニリンの製造方法に関連して使用される前記水素酸は無機酸であって、望ましくは、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、ふっ化水素酸(hydrofluoric acid)、または、よう化水素酸(hydroiodic acid)のうちから選択される無機酸である。
また、本発明で使用される前記有機溶媒は、置換されなかったり、または、ヒドロキシル(hydroxyl)、ハロゲン(halogen)、オキシジェン(oxygen)または、カルボキシル(carboxyl)基に置換された脂肪族炭化水素、芳香族化合物または、脂環族化合物を含む。
さらに、本発明で使用される前記酸化剤は、過硫酸アンモニウム(ammonium persulfate)、過酸化水素(Hydrogen peroxide)、二酸化マンガン(manganese dioxide)、重クロム酸カリウム(potassium dichromate)、ヨウ素酸カリウム(potassium iodate)、塩化第二鉄(ferric chloride)、過マンガン酸カリウム(potassium permanganate)、臭素酸カリウム(Potassium bromate)、塩素酸カリウム(Potassium chlorate)、または、これらの混合物を含む。
以下、添付する図面を参照して本発明をより詳しく説明する。
本発明により合成されたポリアニリンは、従来の方法により合成されたポリアニリンに比べて、構造的に直線性が高く、副反応により引き起こされる側鎖の生成が少ないために、溶解度が高く、電気伝導度が遥かに優れている。
従って、本発明により合成されたHCPANIは、優れた電気伝導度によって各種の伝導性フィルム、線維、コーティング、高分子ブレンド(blend)、バッテリー電極や有機半導体に使用される。
また、混合物内で、本発明により合成されたHCPANIの含量が低くても、電気伝導度が優れているために、透明電極や腐食防止、近赤外線の吸収、伝導性エッチングマスク膜等の特殊な用途に適合である。
本発明で製造される伝導性ポリアニリンは、アニリン単量体を酸性水溶液と有機溶媒を含む反応系に投入した後、零下45℃から45℃まで、多様な温度で、化学的酸化により重合される。このように合成されたポリアニリンは、塩基で処理して、エメラルディン塩基(emeraldine base, EB)状に製造する。これらEB状のポリアニリンは、下記の一般式の構造を有する。
(一般式で、x及びyは、各々反復単位のキノンジイミン(quinonediimine)構造単位とフェニレンジアミン(phenylenediamine)構造単位のモル分率であって、0 < x < 1、0 < y < 1、x + y = 1、nは、2以上の整数。)
本発明により合成された前記EB状のポリアニリンは、従来の方法により製造されたポリアニリンに比べて、電気伝導度が最大100倍以上向上された。以下、本明細書では、他の言及のない限り、本発明により合成されたEB状の高伝導性のポリアニリンは、HCPANIと称して、従来の方法により製造されたEB状のポリアニリンは、PANIと称する。
PANI(従来の方法によって製造されたEB状のポリアニリン)は、前記一般式で、x=y=0.5程度の酸化状態だけが明示されているだけてあって、その微細構造が明らかに知られていない。ところが、本発明で合成される電気伝導度の優れたHCPANIは、従来のPANIに比べて、明らかに異なる化学的微細構造を有するが、本発明で合成されたHCPANIと従来の方法により合成されたPANIの化学的構造の差異点を図面を参照して説明する。
図1は、本発明により合成されたポリアニリンの微細構造を述べるために、ポリアニリンの反復単位を概略的に示した化学式であって、図2は、本発明の望ましい実施例により合成された電気伝導度の優れたポリアニリン(HCPANI)の13C CPMAS(Cross Polarization/Magic Angle Spinning)NMR分析による スペクトルを示したものであり、図3は、従来の方法により合成されたポリアニリン(PANI)の13C CPMAS NMR分析によるスペクトルを示したものである。
図2に示したように、本発明の望ましい実施例により合成された HCPANIは、13C CPMAS NMRスペクトルで、化学シフト約140ppmを中心に2つの明らかに分離されたピークを有する。すなわち、本発明により合成されたHCPANIは、化学シフト140ppmの近隣の約138ppmの周辺のピーク(I138)と143ppm(I143)のピークの2つの、明らかに区別されるピークを有する。これに比べて、図3に示したように、従来の方法により合成されたPANIは、13C CPMAS NMRスペクトルで、化学シフト140ppmの周辺で識別が不可能な多数のピークを有する。
ラグナサン(Raghunathan)等の研究によると、EB状で合成されたポリアニリン(PANI)の13C CPMAS NMRスペクトル分析で観察される140ppmの周辺のピーク(I138ppmとI143ppm)は、図1に示しているEB状のポリアニリンの反復単位のうち、キノイドリング(quinoid ring)の水素に連結された炭素(protonated carbon)に当たるピークである(Reghunathan et al.,Synth.Met.18,39-47,1996;Yasuda et al.,Synth.Met.61,239-245,1993)。
ところで、図3に示したように、従来の方法により合成されたPANIは、13C CPMAS NMRスペクトルで、化学シフト140ppmの周辺で、多数の小さいピーク等が集まっている特定のピークの確認がし辛い。一方、本発明の望ましい実施例により合成されたHCPANIは、図2に示したように、140ppmの周辺で明らかに区分される2つのピークが観察される。
特に、本発明により合成されたHCPANIは、13C CPMAS NMRスペクトル分析の結果、140ppmの周辺で形成された2つのピークの強度のうち、化学シフト約138ppmの周辺で形成されたピークの強度(I138)が約143ppmの周辺で形成されたピークの強度(I143)に比べて、より大きいことが確認された(I138>I143)。本発明でこれらピーク間のこの関係は、合成されたHCPANIの電気伝導度に関連して従来と区分される特徴のうちの1つである。
本発明により合成されたHCPANIの 13C CPMAS NMRスペクトル分析で、140ppmの周辺のピークが明らかに区分される、確認可能のピークに区分されるのは、合成された固体状のHCPANIの反復構造を示した図1を参照すると、キノイドリングは、イミン(imine)結合により回転不可能であって、直線ではない−N=結合の屈曲ができるからである。従って、図1に示したキノイドリングに形成された4つのC4炭素のうち、メタ炭素等の間の同等性(equivalence)が見えなくなるからである。結局、本発明で合成されたHCPANIは、前記一般式で表現したポリアニリンの理想的構造に相当近接したものに解析される。
これに比べて、従来のPANIは、キノイドリングに欠陥(defect)等ができるので、前記一般式の構造とは異なる構造を有し、従って、13C CPMAS NMRスペクトル分析で、小さいピーク等が多数複雑に集まっていて確認がし辛い。
実際に、ウェイ(Wei)等は、キノイドリングに、下記化学式のようにアニリン単量体のマイケル付加(Michael addition)反応が起きる可能があることを報告しているので、従来の方法により合成されたPANIは、本発明で合成されたHCPANIとは異なる構造を有する可能性を高める。
また、本発明により合成されたHCPANIは、13C CPMAS NMRスペクトルで、化学シフト約123ppm及び約158ppmで各々、少なくとも1つの単一ピークを有する(図2)。一方、従来の方法により合成されたPANIは、13C CPMAS NMRスペクトルで、化学シフト約123ppm及び約158ppmの近隣で、2つ以上の確認不可能のピークを有する(図3)。
13C CPMAS NMRスペクトル分析から、123ppmの周辺で形成された単一ピークは、図1に示したポリアニリンの反復単位のうち、内部回転がどれほどは可能なベンゼノイドリング(フェニレンジアミン構造単位)の炭素C1とC2から形成されたものである。従って、本発明によるHCPANIは、13C CPMAS NMRスペクトルで、化学シフト約123ppmの周辺で、単一ピークを有すると言うことは、ベンゼノイドリングの炭素C1とC2が同等性を有することを意味して、一方、従来の方法によるPANIが13C CPMAS NMRスペクトルで、化学シフト約123ppmの近隣から分離された多数のピークを有すると言うことは、ベンゼノイドリングの炭素間の同等性がないことを意味する。
ヤスダ(Yasuda)等の研究によると、従来の化学的酸化方法で、通常的に使用されている過硫酸アンモニウムの代わりに、FeCl3を使用してCaO等(Cao et al.Polymer,30,2305,1989)の方法で、ポリアニリン重合を試した(Yasuda et al.,Synth.Met.61,239-245,1993)。ところが、ヤスダ等により合成された固体粉末試料でも13C CPMAS NMRスペクトルで、化学シフト約138ppmの周辺のピークは分離されなく、小さいピーク等が多数集まって形成されて、その強度も143ppmの周辺のピークに比べて低く示された。
さらに、13C CPMAS NMRスペクトル分析において、従来のPANIは、約138ppmの周辺での多数の小さいピーク等によって確認が難しく、その強度が約143ppmの周辺のピークより弱い。一方、本発明により合成されたHCPANIは、約140ppmの周辺で明らかに区分される2つ以上のピークで確認できる。すなわち、本発明により合成されたHCPANIは、ポリアニリンの反復単位のうち、キノイドリングに形成された炭素に欠陥等がほとんどないだけではなく、アニリン単量体等も重合時、ほとんどパラの位置に連結される。このような微細構造の差異点によって本発明のHCPANIは、従来のPANIに比べて、高い電気伝導度を有する。
一方、本発明により合成されたHCPANIは、PAS分析でも注目すべきのスペクトルの形態を有することが確認された。
図4及び図5は、ポリアニリンのように扱い難い高分子粉末の赤外線スペクトルを得るが、適合な光音響分光法(photoacoustic spectroscopy)(PAS)測定の結果を示したものであって、図4は、本発明の望ましい実施例により合成された電気伝導度の優れた粉末状のポリアニリン(HCPANI)のPAS分析によるスペクトルを示したものであり、図5は、従来の方法により合成された粉末状のポリアニリン(PANI)のPAS分析の結果によるスペクトルを示したものである。
一般的に、PAS分析の結果は、他の方法に比べて吸光度が試料の表面形態(morphology)に少し影響を受けるのみ、光度測定法(photometry)にはほとんど関係ないと知られている。図4及び図5の分析の結果は、各々HCPANIとPANIの粉末状と測定の条件を同一な方法で処理して、赤外線の吸光度を定量的に比較した。
図4及び図5の赤外線の吸収ピークのうち、波長1500cm-1の周辺のピークは、図1に示したポリアニリンの反復構造のうち、ベンゼノイドリング(1508cm -1)とキノイドリング(1593cm -1)のリングの伸縮振動(ring stretching vibration)から由来するが、本発明により合成されたHCPANI粉末と、従来の方法により合成されたPANIのピークの形態が相互に異なる。
すなわち、図4に示したように、HCPANIの場合には、波長約1496cm-1の周辺のピークの強度(I1496)が波長約1508cm-1の周辺のピークの強度(I1508)より弱い(I1496/I1508<1)。一方、図5に示したように、PANIの場合には、波長約1500cm-1の周辺のピークの強度は波長約1512cm-1の周辺のピークの強度より強い。
本発明の実施例を通じた確認によると、PASスペクトルで波長約1496cm-1の周辺のピークの強度(I1496)と波長約1508cm-1の周辺のピークの強度(I1508)間の比率が電気伝導度と密接な関連があって、高い伝導度を得るのに重要な構造的差であることが確認された。すなわち、本発明により合成されたHCPANIは、全てI1496/I1508の値が1を超えなく、その値が小さいほど電気伝導度は増加した。
一方、フクカワ(Fukukawa)等の研究によると、ポリアニリンのPAS分析で、833cm-1の周辺のピークは、ポリアニリンの反復単位のうち、パラに位置へと分散されたベンゼンリングから由来する(Fukukawa et al, Macromalecules, 21, 1297-1305, 1988)。
本発明で確認されたことによると、波長約833cm-1の周辺のピーク、すなわち、波長約833cm-1ないし約760cm-1の範囲の赤外線の吸着ピークの強度または、合成された高分子の電気伝導度と密接な関連があることが確認された。つまり、各々の試料に対する相対的な赤外線の吸光度を比較するために、波長約1500cm-1の周辺、すなわち、波長約1535cm-1ないし1475cm-1の範囲の赤外線の吸着ピークの強度(I1500)を内部標準として、波長約833cm-1の周辺のピーク、波長約875cm-1ないし760cm-1の範囲の赤外線の吸着ピークの強度(I833)の相対的な吸光度を比較すると、本発明の一実施例により合成されたHCPANIは、I833/I1500の値が6.3であることに比べて、従来のPANIは2.7に過ぎない。
このような事実は、本発明で合成されたHCPANIにおいて、アニリン単量体のオルソカップリングが従来のPANIに比べて相対的に大変小さいことを意味するが、これは、前述したような13C CPMAS NMRスペクトル分析の結果とは一致する。本発明の他の実施例により合成されたHCPANIは、全てI833/I1500の値が3.5を超えることが確認された。
また、本発明により合成されたHCPANIは、Raman分光分析においても、特徴的なスペクトルの形態を有することが確認された。図6及び図7は、各々本発明の望ましい実施例により合成された電気伝導度の優れたポリアニリン(HCPANI)のRoman分光分析によるスペクトルと、従来の方法により合成されたポリアニリン(PANI)のRoman分光分析によるスペクトルを示している。
図示したように、本発明により合成されたHCPANIと従来のPANIは、相互に明らかに区分される化学的微細構造を有している。すなわち、ラスカ(Laska)等が報告したEBの特徴的なピークである波長約1376cm-1の周辺のピークの強度(Laska et al.,Synth.Met.75,69-74,1995)が本発明のHCPANIと従来のPANIの間で明らかに差を見せている。
より具体的に察すると、吸光度が励起ライン(excitation line)とは関係のないことと知られている1128-1205cm-1の周辺のプレーンブレンディング(plane blending)のC-H振動の面積の強度(I1128-1205)を内部の標準に、1346-1398cm-1の周辺のプレーンブレンディングのC-H振動の面積の強度(I1346-1398)を比較した相対的な吸光度(I1346-1398/I1128-1205)は、望ましくは、0.6を超過して、この値と電気伝導度とは密接な関連があることが確認された。
さらに、図8ないし図10(B)に示したように、本発明により合成されたHCPANIは、従来のPANIに比べて、大変特徴的な微細化学構造を有している。図8は、本発明により合成されたポリアニリンをt(tert)-ブトキシカルボニル(t-BOC)に置換した後、溶液状の13C NMR分析によるスペクトルを示したものであって(HCPANI-tBOC)、図9は、アルドリッチ(Aldrich)社から購入したポリアニリンをt-BOCに置換した後、溶液状の13C NMR分析によるスペクトルを示したものであり(ALD-PANI-tBOC)、図10(A)及び図10(B)は、各々従来の方法のより合成されたポリアニリンをt-BOCに置換した後、溶液状の13C NMR分析によるスペクトルを示したものである(PANI-tBOC)。
図示したように、本発明により合成されたHCPANIは、商業的に入手できたり、従来の方法により合成されたPANIに比べて、溶液状の13C NMRスペクトルの特徴的なピークの形態を有しているが、これは、HCPANIの、明らかに区別される微細化学的構造的差と密接な関連がある。本発明では、このような微細化学的構造の確認のために、CDCl3のような汎用有機NMR溶媒に対する溶解性が増加できるように各々合成されたEB状のポリアニリンをt(tert)-ブトキシカルボニル(t-BOC)に置換した。図面では、各々本発明により合成されたポリアニリン、アルドリッチ社から購入したポリアニリン及び従来の方法により合成されたポリアニリン誘導体に対して各々HCPANI-tBOC、ALD-PANI-tBOC、及びPANI-tBOCとに述べている。
本発明により製造されたHCPANI-tBOCは、溶液状の13C NMRスペクトルで、従来のALD-PANI-tBOCとPANI-tBOCとに比べて、特徴的なピークの形態を有しているが、これは、本発明のHCPANIが従来のPANIとは異なる微細化学的構造を有することを意味する。
先ず、本発明のHCPANI-tBOCは、溶液状の13C NMRスペクトルで、化学シフト約139.5ppmないし約160ppmの間に、4つの識別可能な重要ピークを有している。一方、商業的に入手したALD-PANI-tBOC及び従来のPANI-tBOCは、溶液状の13C NMRスペクトルの前記化学シフト範囲内で、より多い確認不可能または、不規則的なピークを見せている。溶液状の13C NMRスペクトルで、化学シフト約139.5ppmないし約160ppmの間のピーク等は、パラの位置に結合されたポリアニリンに相応する。従って、本発明のHCPANIは、パラの位置を通じて主に連結されており、従来のPANIに比べて、大変改善された直線性を有していることが確認された。
また、本発明により製造されたHCPANI-tBOCは、溶液状の13C NMRスペクトルで、化学シフト約110ppm未満と、化学シフト約130ppmないし約135ppmの間に、識別可能なピークが示されない。溶液状の13C NMRスペクトルで、化学シフト約110ppm未満と、化学シフト約130ppmないし約135ppmの間に示されたピーク等は、メタの位置に連結されたポリアニリンまたは、他の側鎖が形成されたポリアニリンと関連がある。結局、本発明により合成されたHCPANIは、側鎖が形成されなかったり、ほとんどないと言うことが確認された。
また、本発明のHCPANI-tBOCは、溶液状の13C NMRスペクトルで、化学シフト約149ppmないし約152ppmの間に、大変弱いまたは、無視するほどのピークを見せている。つまり、HCPANI-tBOCは、溶液状の13C NMRスペクトルで、前記化学シフトの範囲内で、識別できるピークが見えない。一方、ALD-PANI-tBOCまたは、PANI-tBOCの場合、前記化学シフト範囲で、識別できるピークが見える。溶液状の13C NMRスペクトルで、化学シフト約149ppmないし約152ppmの間のピーク等は、側鎖を有するポリアニリンを形成する副反応(side reactions)と密接な関連がある。
さらに、本発明のHCPANI-tBOCは、溶液状の13C NMRスペクトルで、化学シフト約117ppmないし約139ppmの間に、10個以下のピークを有する。一方、従来のPANI-tBOCは、溶液状の13C NMRスペクトルの、この化学シフト範囲内で、少なくとも13個のピークを有して、ALD-PANI-tBOCの場合、それよりは多いピークが見える。溶液状の13C NMRスペクトルで、化学シフト約117ppmないし約139ppmの間のピーク等は、ポリアニリンの反復単位のうち、ベンゼノイドリング及びキノイドリングの水素と結合している炭素に相応する。従って、本発明によるHCPANI-tBOCは、ベンゼノイドリング及びキノイドリングの水素と結合している炭素に連関された化学シフトに対応して10個以下のピークを有することを特徴とする。
また、本発明のHCPANI-tBOCは、溶液状の13C NMRスペクトルで、化学シフト約123ppmないし約124ppmの間に、大変弱いまたは、無視するほどのピークを有する。すなわち、HCPANI-tBOCの場合、溶液状の13C NMRスペクトルで、化学シフト約123ppmないし約124ppmの間に形成されたピークの強度は、化学シフト約125ppmで形成されたピークの強度の1/5以下である。一方、HCPANI-tBOCの場合、溶液状の13C NMRスペクトルで、化学シフト約123ppmないし約124ppmの間に見えるピークの強度は、溶液状の13C NMRスペクトルで、約124ppmでのピークの強度に、ほとんど匹敵したり、少し低い。さらに、本発明のHCPANI-tBOCの場合、溶液状の13C NMRスペクトルで、化学シフト約136ppm及び約138ppmで形成されたピーク各々の中心から1ppm以下の距離で、2つ以下のサイドピークを有することを特徴とする。
一方、本発明では、電気的伝導度が大変改善されたポリアニリンを合成するための方法を提供する。本発明のHCPANIは、酸溶液に溶解されたアニリン単量体を有機溶媒に混合してアニリン混合溶液を製造し、水素酸に溶解された酸化剤を前記アニリン混合溶液に添加して水素酸でドーピングされたアニリン高分子を合成することによって製造される。場合によって、前記ドーピングされたアニリン高分子は、塩基を使用して脱ドーピングされる。
本発明で使用される前記酸は、望ましくは、水素酸であって、より望ましくは、無機酸である。例えば、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、フッ化水素酸、ヨウ化水素酸等の無機酸であって、望ましくは、塩酸、硝酸、硫酸または、燐酸を含む。
重合段階で使用される水素酸は、望ましくは、無機酸である。前記無機酸は、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、フッ化水素酸、ヨウ化水素酸で構成されるグループから選択される。一方、前記水素酸は、望ましくは、有機酸であって、本発明に関連して使用される有機酸としては、脂肪族スルホン酸、芳香族(aryl)スルホン酸、ハロゲン化スルホン酸または、脂肪族カルボキシル酸である。望ましくは、前記有機酸は、メチルスルホン酸のようなアルキルスルホン酸、パラ-トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、アントラキノン (anthraoquinone)-2-スルホン酸、5-スルホンサリチル酸または、カンフルスルホン酸のような芳香族または、アリールスルホン酸、クロロ化スルホン酸、トリフルオロ(trifluoro)スルホン酸のようなハロゲン化スルホン酸を含む。特に、前記有機酸は、塩酸、硝酸、硫酸または、燐酸のような無機酸である。
また、本発明で使用される前記有機溶媒は、置換されなかったり、または、ヒドロキシ、ハロゲン、酸素または、カルボキシル基に置換された芳香族炭化水素、置換されなかったり、または、ヘテロアトム(heteroatom)に置換された脂環族溶媒または、芳香族溶媒を含む。具体的に、前記有機溶媒は、ペンタクロロエタン(pentachloro ethane)、1,1,2,2-テトラクロロエタン(tetrachloro ethane)、トリクロロエタン(trichloro ethane)、トリクロロエチレン(trichloro ethylene)、ジクロロメタン(dichloro methane)、クロロホルム(chloroform)、エチルブロマイド(ethyl bromide)、塩化エチル(ethyl chloride)、ジクロロプロパン(dichloro propane)、トリクロロエタン(trichloro ethane)のような脂肪族ハライド(halide);イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)、2-メトキシエタノール(methoxy ethanol)、2-ブトキシエタノール(butoxy ethanol)、1-ブタノール(butanol)、1-ペンタノール(pentanol)、イソブタノール(iso-butanol)、ヘキサノール(hexanol)(例えば、エチルヘキサノール)、オクタノール(octanol)(例えば、1-オクタノール)、ドデカノール(dodecanol)または、シクロヘキサノール(cyclohexanol)のようなアルコールを含む。また、前記有機溶媒は、例えば、1,4-ジオキサン(dioxane)、ジクロロエチルエーテル(dichloro ethyl ether)、エチレングリコール モノエチルエーテル(ethylene glycol monoethyl Ether)、ジエチレングリコール モノエチルエーテル(diethylene glycol monoethyl ether)、ジエチレングリコール モノブチルエーテル(diethylene Glycol monobutyl ether)から選択されるエーテル;例えば、4-メチル-2-ペンタノン(pentanon)または、メチルエチルケトン(methyl ethyl ketone)から選択されるケトン;例えば、トルエン(toluene)、キシレン(xylene)、1,2-ジクロロベンゼン(dichloro benzene)または、ニトロベンゼン(nitrobenzene)から選択される芳香族溶媒;例えば、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)のように置換されなかったり、窒素または、酸素に置換された脂環族化合物;または、N-メチル-2-ピロリドン(pyrollidone)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)、N,N-ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、または、これらの化合物等を含む。
一方、本発明で使用される前記酸化剤は、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、 二酸化マンガン、重クロム酸カリウム、ヨウ素酸カリウム、塩化第二鉄、過マンガン酸カリウム、臭素酸カリウム、塩素酸カリウムまたは、これらの化合物を含む。望ましくは、前記酸化剤は、過硫酸アンモニウム、過酸化水素または、二酸化マンガンである。また、ポリアニリンを脱ドーピングさせるのに使用される塩基は、水酸化アンモニウム(ammonium hydroxide)または、その等価物である。
さらに、本発明による重合段階は、-45℃ないし45℃の間の温度で行われて、望ましくは、-45℃ないし5℃であって、より望ましくは、-40℃ないし5℃の間の温度で、水素酸に溶解された酸化剤をアニリン混合溶液と反応させることによって行われる。
下記例証的実施例により本発明の望ましい様態をより詳しく説明する。
[実施例]
[実施例]
<電気伝導度の測定>
電気伝導度は、通常の4ラインプローブ法(4line probe method)により常温で相対湿度50%条件で測定した。金線(gold wire)電極の接触時、腐食防止のために、カーボンペースト(carbon paste)を使用して、一般的に、厚さ1−100μm程度のフィルム型試験片(厚さt、幅w)から電流(i)、電圧(V)、2つの外側の電極と2つの内側の電極間の距離(l)に対する伝導度をケースレー(Keithley)伝導度測定装置を利用して測定した。
伝導度は、下記式を利用して計算して、伝導度の単位は、Siemen/cmまたは、S/cmにした。試験片の伝導度の均一性の可否を確認するために、標準4ポイントプローブ(standard 4 point probe)であるファンデルポー(Van der Pauw)の方法により測定して、結果的に5%以下で一致した。
一般的に、ポリアニリンの電気伝導度には、いろいろの変数が関与すると知られているが、本発明では、高い伝導度を見せる実験条件としてカンフルスルホン酸(CSA)を1:2当量比で使用してメタクレゾールに溶解させて、フィルムを製造した後に測定したり、反応基から得た粉末自体をペレット(pellet)にして測定した。
[実施例1]
[実施例1]
高伝導性ポリアニリン(HCPANI)の製造
本実施例では、HCPANI(エメラルディン塩基、EB)を製造した。先ず、蒸留精製したアニリン100mLを、1M HCl 溶液6Lにゆっくりと添加した後、クロロホルム4Lを前記溶液に混合した。前記混合溶液に温度を-30℃に維持して、過硫酸アンモニウム((NH4)2S2O8)56gが、1M HCl 溶液2Lに溶解されている溶液を前記混合溶液に40分の間、ゆっくりとかき回しながら滴加した。3時間後、反応が完了されて得た沈殿物をろ過紙に濾した後、1M 水酸化アンモニウム(NH4OH)1L溶液で洗浄した。沈殿物を0.1M 水酸化アンモニウム5L溶液に移した後、20時間の間、攪拌した後ろ過して、真空ポンプで48時間乾燥してポリアニリンエメラルディン塩基(EB)1.5gを得ることができた。
合成された高分子は、赤外線分光器により振動吸収バンドが典型的なキノイド作用基の1590cm-1 、ベンゼノイド作用基の1495cm-1 、C-H芳香族の伸縮振動の結果の3010cm-1で示されて、溶液状の核磁気共鳴器による13C NMRスペクトル分析に、芳香族炭素の化学シフトが各々約137ppm及び約141ppmで、特徴的なピークが示されることによって、ポリアニリンの合成が確認された。
[実施例2−4]
[実施例2−4]
アニリン混合溶液と 過硫酸アンモニウムの反応温度を各々0℃、-10℃及び-20℃に維持して、反応時間を2、4、6時間持続したことを除いては、実施例1の方法と手続きを繰り返した。合成された化合物に対して各々紫外線分光器及び核磁気共鳴分析によりエメラルディン塩基状のポリアニリン合成が確認された。
[比較例1]
[比較例1]
本比較例では、従来の方法によりPANI(エメラルディン塩基、EB)を製造した。先ず、蒸留精製したアニリン10mLと1M HCl溶液600mLを三角プラスチックに注入した。続いて、0℃で過硫酸アンモニウム((NH4)2S2O8)5.6gが溶解されている1M HCl 溶液200mLを15分間、ゆっくりとかき回しながら、前記三角プラスチックに滴加した。2時間後に得た沈殿物をろ過紙に濾した後、1M 水酸化アンモニウム(NH4OH)100mL溶液で洗浄した。沈殿物を0.1M 水酸化アンモニウム500mL溶液に移して、20時間の間、攪拌した後ろ過して、真空ポンプで48時間乾燥してポリアニリンエメラルディン塩基(EB)1.5gを得ることができた。
合成された高分子は、赤外線分光機及び核磁気共鳴分析によりエメラルディン塩基状のポリアニリン(PANI)の合成が確認された。
[比較例2−4]
[比較例2−4]
アニリンと過硫酸アンモニウムの反応温度を各々-5℃、-10℃、-15℃に維持して、3MLiCl塩を添加して反応時間を各々4、10、17時間に延長したことを除いては、前記比較例1と同じ手続きと方法を繰り返した。合成された化合物は、各々紫外線分光器及び核磁気共鳴分析によりエメラルディン塩基状のポリアニリンの合成が確認された。
[実施例5]
[実施例5]
合成されたポリアニリンの固有粘度の測定
本実施例では、前記実施例1ないし実施例4により合成されたエメラルディン塩基状のHCPANI塩と、前記比較例1ないし比較例4で各々合成されたエメラルディン塩基状のPANI塩を脱ドーピング(dedoping)させて、各々濃い硫酸に溶解した後、30℃で固有粘度(intrinsic viscosity)を測定した。各々の高分子物質に対する固有粘度は、下記表1に示されている。測定された固有粘度から合成された物質が、全て高分子物質であることが確認された。
[実施例6]
[実施例6]
合成されたポリアニリンの光学的特性の測定
前記実施例1で合成された固体粉末HCPANI試料と前記比較例1で合成された固体粉末PANI試料に対して各々13C CPMAS、PAS、Raman分光分析実験を行った。13C CPMAS核磁気共鳴スペクトルは、100.6MHz、スピニングレート(spinning rate)7KHzで、ブルカー(Bruker)NMR機器から得て、テトラメチルシラン(tetramethyl silane:TMS)を標準に使用した。PASスペクトルを測定するためのIR機器は、マグナ(magna)550PAS探知器(detector)を使用してヘリウムガスを還流させながら測定した。Ramanスペクトルは、RFS-100S、ブルカー機器を使用して、波長1.08μm、レーザーの強度は、10mW条件で測定した。
HCPANIに対する13C CPMAS分析の結果は、図2に示しており、PANIに対する13C CPMAS分析の結果は、図3に示している。HCPANIに対するPAS分析の結果は、図4に示しており、PANIに対するPAS分析の結果は、図5に示している。一方、HCPANIに対するRaman分析の結果は、図6に示しており、PANIに対するRaman分析の結果は、図7に示している。
これらの結果から、前記実施例1により合成されたHCPANIは、13C CPMAS スペクトルで、140ppmの周辺のピーク、すなわち、138ppmの周辺のピークと、143ppmの周辺のピークが明らかに区分されて、143ppmの周辺のピークの強度(I143)<138ppmの周辺のピークの強度(I138)を満足している。また、123ppmと158ppmで各々単一ピークを有していることが確認された。
PAS結果も、I1496/I1508<1.0、I875-760/I1535-1475>3.5を満足している。また、Ramanスペクトルでも、1376cm-1 の周辺のピークの強度(I1345-1398)が1128cm-1ないし1205cm-1 の周辺のピークの強度(I1128-1205)を基準に、従来のPANIは、0.5を超過することができないが、本発明の望ましい実施例により合成されたHCPANIは、0.6を超過したことが確認された。
[実施例7]
[実施例7]
合成されたポリアニリンの光学的特性の測定
本実施例では、前記実施例2ないし実施例4により各々合成されたHCPANI塩を脱ドーピングさせた後に得たEB粒子状のHCPANIと、前記比較例2ないし比較例4により各々合成されたPANI塩を脱ドーピングさせた後に得たEB粒子状のPANIに対して、各々 13C CPMAS、PAS、Raman分光分析実験を行った。13C CPMAS分析の結果から測定されたI138/I143の比率、PASにより計算されたI1508/I1496比率、I875-760/I1535-1475比率及びRaman分析の結果から計算されたI1345-1398/I1128-1205比率は、下記表1に示されている。
[実施例8]
溶液状のNMR測定
[実施例8]
溶液状のNMR測定
本実施例では、前記実施例2で合成されたHCPANI,比較例1で合成されたPANIと商業的に入手できるポリアニリン粉末に対してNMR分析を行った。実施例1のHCPANI塩、比較例1のPANI塩が脱ドーピングされ、エメラルディン塩基状の粉末を得た。この2種類のエメラルディン塩基粉末及び商業的に入手できるポリアニリン粉末(Aldrich、分子量Mw=10、000以下「Ald-PANI」と称する)がt(tert)-ブトキシカルボニル(t-BOC)に置換され、溶液状のNMR分析(13C NMR、Jeol YH400)で、それらの構造が確認できるように溶解度を増加させた。
HCPANI、PANI及びAld-PANIへのt-BOC基の導入は、文献に記載されたように行われた(Lee et al.,Macromolecules,2004,37,pp,4070-4074)。各々のポリアニリン4.0gとピリジン(pyridine)13mLがメチルピロリドン(methylpyrrolidone)(NMP)100mLに添加されて、NMP50mLに溶解されたジ-t(tert)-ブチルジカルボナート(butyldcarbonate)9gを含む溶液が80℃でゆっくりと添加された。混合された溶液は、3時間の間、窒素を還流させて、攪拌される生成物を得た。得た生成物は、メタノール(methanol)で洗浄して乾燥され赤茶色の粉末を得た。
得た粉末は、NMRの溶媒のCDCl3に溶解され、13C NMRスペクトルを得た。図8は、本発明によりt-BOCに置換されたHCPANIのNMR分析の結果を示しており、図9は、商業的に入手したAld-PANIのNMR分析の結果を示している。図10(A)及び図10(B)は、各々従来の方法により製造されたPANIのNMR分析の結果を示している。
図示したように、本発明のHCPANI-tBOCは、溶液状の13C NMRスペクトルで、化学シフト約139ppmないし約160ppmの間に、識別可能な重要なピークを示しており、化学シフト約150ppmで、大変弱いまたは、無視するほどのピークを有している。一方、Ald-PANI-tBOCは、上記化学シフトの範囲内で、多数のピークを有しており、特に、化学シフト約150ppmの周辺で多数のピークを有している。また、HCPANI-tBOCの場合、溶液状の13C NMRスペクトルで、化学シフト約119ppm及び約116ppmで、大変弱いピークを有しているが、Ald-PANI-tBOCの場合、溶液状の13C NMRスペクトルで、約119ppm及び約116ppmで、相対的に大変強いピークを有している。
より具体的に、HCPANI-tBOCは、従来t-BOCに置換されたポリアニリンと比較して、溶液状の13C NMRスペクトルで、次のような特徴的なピークの形態を有していることが確認された。
先ず、HCPANI-tBOCは、溶液状の13C NMRスペクトルで、化学シフト約139.6ppmないし約160ppmの間に、4つの識別可能な重要ピークを有している。また、HCPANI-tBOCは、溶液状の13C NMRスペクトルで、化学シフト約110ppm未満及び化学シフト約130ppmないし約135ppmの間に、識別可能なピークを有しない。さらに、溶液状の13C NMRスペクトルで、化学シフト約149ppm及び約152ppmの間に、大変弱いまたは、無視するほどのピークを有している。
なお、t-BOCに置換されたHCPANIは、ポリアニリンの反復単位のベンゼノイドリング及びキノイドリングの水素に結合された炭素と連関されている化学シフト(約117ppmないし約139ppm)の範囲内で、10個以下のピークを有している。また、HCPANI-tBOCは、溶液状の13C NMRスペクトルで、化学シフト約123ppmないし約124ppmの間に形成されたピークの強度が、化学シフト約125ppmで形成されたピークの強度の1/5以下であることが確認された。さらに、本実施例によりHCPANI-tBOCは、溶液状の13C NMRスペクトルで、化学シフト約136ppm及び約138ppmで形成された2つのピークの中心各々から1ppm以内の距離に、2つ以下のサイドピークを有していることが確認された。
[実施例9]
[実施例9]
ポリアニリンの電気伝導度の測定
本実施例では、前記実施例1ないし前記実施例4により合成されたHCPANI塩と、前記比較例1ないし比較例4により合成されたPANI塩をそのままペレットに製作して、前記方法により電気伝導度を測定した。前記実施例1ないし実施例4により合成されたHCPANI塩の電気伝導度は、16-28S/cmで測定されており、前記比較例1ないし比較例4により合成されたPANI塩の電気伝導度は、2-5S/cmで測定された。
[実施例10]
[実施例10]
ポリアニリンの電気伝導度の測定
本実施例では、前記実施例2ないし実施例4により合成されたHCPANI塩と、前記比較例2ないし比較例4により合成されたPANI塩を脱ドーピングした後に、電気伝導度を測定した。脱ドーピングして得たHCPANIとPANI各々1.23gに有機酸のカンフルスルホン酸(CSA)1.57gを当量比1:2の比率で混合した。続いて、混合物をメタクレゾールに2%(w/w)の濃度に溶解させて、2時間の間、超音波処理(sonication)により溶液を製造した。この溶液0.5mLをスライドガラスにキャスティング(casting)して、50℃で乾燥させ、厚さ0.5μm-0.8μmのフィルムを製造した。各々のポリアニリンから製造されたフィルムを、3つに対して電気伝導度を測定した。各々のポリアニリンフィルムに対して測定した電気伝導度の平均値が下記表1に示されている。
本発明の望ましい実施例に関して前述したが、これは、どこまでも例に過ぎなく、本発明がこれに限定されるのではない。本発明に属する技術分野の当業者には、本発明の精神を毀損しない範囲内で多様に変形と変更が可能である事実は自明であって、そのような変更と変形は、本発明の権利の範囲に属する事実は、添付する請求の範囲によって、より明らかになる。
Claims (24)
- 下記の一般式により表示される反復構造を有するポリアニリンにおいて、
13C CPMAS NMRスペクトルで、化学シフト(chemical shifts)約123ppm及び約158ppmで、少なくとも1つの単一ピーク(single peak)を有したり、または、13C CPMAS NMRスペクトルの結果、化学シフト140ppmの周辺で識別できるピークを有するポリアニリン。
- 13C CPMAS NMRスペクトルで、化学シフト約138ppm及び約143ppmでピークを形成することを特徴とする請求項1に記載のポリアニリン。
- 13C CPMAS NMRスペクトルで、化学シフト約138ppmでのピークの強度(I138)が化学シフト約143ppmでのピークの強度(I143)より大きいことを特徴とする請求項1または、請求項2のいずれかに記載のポリアニリン。
- 13C CPMAS NMRスペクトルで、I138/I143は、1.2以上であることを特徴とする請求項1または、請求項2のいずれかに記載のポリアニリン。
- PASスペクトルで、波長約1496cm-1でのピークの強度(I1496)/波長約1508cm-1でのピークの強度(I1508)が1以下であることを特徴とする請求項1または、請求項2のいずれかに記載のポリアニリン。
- PASスペクトルで、波長約760cm-1ないし約875cm-1でのピークの強度(I833)/波長約1475cm-1ないし約1535cm-1でのピークの強度(I1508)が3.5以上であることを特徴とする請求項1または、請求項2のいずれかに記載のポリアニリン。
- Raman分光スペクトルで、波長約1346cm-1ないし約1398cm-1でのピークの強度(I1346-1398)/波長約1125cm-1ないし約1205cm-1でのピークの強度(I1128-1205)が0.6以上であることを特徴とする請求項1または、請求項2のいずれかに記載のポリアニリン。
- PASスペクトルで、波長約760cm-1ないし約875cm-1でのピークの強度(I833)/波長約1475cm-1ないし約1535cm-1でのピークの強度(I1508)が3.5以上であることを特徴とする請求項8に記載のポリアニリン。
- Raman分光スペクトルで、波長約1346cm-1ないし約1398cm-1でのピークの強度(I1346-1398)/波長約1125cm-1ないし約1205cm-1でのピークの強度(I1128-1205)が0.6以上であることを特徴とする請求項8または、請求項9のいずれかに記載のポリアニリン。
- 溶液状の13C NMRスペクトルで、化学シフト約110ppm未満と、化学シフト約130ppmないし約135ppmの間には識別可能のピークを有しないことを特徴とする請求項12に記載のポリアニリン。
- 溶液状の13C NMRスペクトルで、化学シフト約149ppmないし約152ppmの間には識別可能のピークを有しないことを特徴とする請求項12または、請求項13のいずれかに記載のポリアニリン。
- 溶液状の13C NMRスペクトルで、ベンゼノイド(benzenoid)リング及びキノイド(quinoid)リングの水素化炭素に連関された化学シフトに相応するピークが10個以下であることを特徴とする請求項12または、請求項13のいずれかに記載のポリアニリン。
- 溶液状の 13C NMRスペクトルで、化学シフト約123ppmないし約124ppmの間のピークの強度(I123)が、化学シフト約125ppmでのピークの強度(I125)の1/5以下であることを特徴とする請求項12または、請求項13のいずれかに記載のポリアニリン。
- 溶液状の13C NMRスペクトルで、化学シフト約136ppm及び約138ppmの間に存在する2つのピーク各々の中心で1ppm距離以内に存在するサイドピーク(side peak)の数が2つ以下であることを特徴とする請求項12または、請求項13のいずれかに記載のポリアニリン。
- (a)アニリン単量体及び酸溶液を有機溶媒に混合する段階;
(b)水素酸に溶解された酸化剤を前記酸溶液に混合して前記水素酸でドーピングされたポリアニリンを合成する段階;
(c)前記ポリアニリンを塩基で脱ドーピングする段階を含むポリアニリンの製造方法。 - 前記ポリアニリンは、13C CPMAS NMRスペクトルで、化学シフト(chemical shifts)約123ppm及び約158ppmで、少なくとも1つの単一ピーク(single peak)を有したり、または、13C CPMAS NMRスペクトルの結果、化学シフト140ppmの周辺で識別できるピークを有することを特徴とする請求項18または、請求項19のいずれかに記載のポリアニリンの製造方法。
- 前記水素酸は、無機酸であることを特徴とする請求項18または、請求項19のいずれかに記載のポリアニリンの製造方法。
- 前記無機酸は、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、ふっ化水素酸(hydrofluoric acid)、または、よう化水素酸(hydroiodic acid)のうちから選択されることを特徴とする請求項21に記載のポリアニリンの製造方法。
- 前記有機溶媒は、置換されなかったり、または、ヒドロキシル(hydroxyl)、ハロゲン(halogen)、オキシジェン(oxygen)または、カルボキシル(carboxyl)基に置換された脂肪族炭化水素、芳香族化合物または、脂環族化合物を含むことを特徴とする請求項18または、請求項19のいずれかに記載のポリアニリンの製造方法。
- 前記酸化剤は、過硫酸アンモニウム(ammonium persulfate)、過酸化水素(Hydrogen peroxide)、二酸化マンガン(manganese dioxide)、重クロム酸カリウム(potassium dichromate)、ヨウ素酸カリウム(potassium iodate)、塩化第二鉄(ferric chloride)、過マンガン酸カリウム(potassium permanganate)、臭素酸カリウム(Potassium bromate)、塩素酸カリウム(Potassium chlorate)、または、これらの混合物を含むことを特徴とする請求項18または、請求項19のいずれかに記載のポリアニリンの製造方法。
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