本発明は、手工芸用、学校教材用、玩具用等に使用される造形用粘土の着色技術に関し、特に着色材の水溶出防止を図るのに適用して有効な技術である。
従来、手工芸用、学校教材用、玩具用等に使用される造形用粘土として、天然粘土をはじめ、種々の合成粘土が使用されている。中でも、水系硬化型の合成粘土は、造形後乾燥させた状態で十分に硬化して、造形後の形態保持性が良好なため好んで用いられる。
かかる水系硬化型粘土の着色手法としては、無着色(白色系)の所謂無彩色粘土に、染色による手法、あるいは着色材の水分散体を用いる手法が採用されてきた(例えば、特許文献1、2、3、4、5参照)。
また、合成樹脂粉末を有機または無機顔料の水性エマルジョンおよび架橋剤としての自己架橋型アクリル樹脂との水の存在下で混合し、得られた合成樹脂のゲルを乾燥後粉砕した顔料着色性の合成樹脂粉末を使用して、色移りのない着色粘土を製造する方法も提案されている(例えば、特許文献6参照)。
一方、水系硬化型着色合成粘土を含めた手工芸用、学校教材用、玩具用等に使用される造形用粘土に関しては、使用上の安全に配慮すべく、昭和23年に食品衛生法が施行され、その主旨を汲んで設けられた(社)日本玩具協会の自主規制基準(STマーク認定基準)に適合できるよう努力が図られている。
特公昭47−16421号公報(第1頁右欄第7行〜第29行)
特公昭48−19379号公報(第1頁右欄第8行〜第18行)
特公昭54−3184号公報(第1頁右欄第36行〜第2頁左欄第13行)
特開昭54−153826号公報(第3頁左下欄第11行〜第15行)
特開2001−202004号公報(段落番号[0011])
特開平1−285982号公報(第3頁第7行〜第4頁第1行)
しかし、現在市販されている水系硬化型着色粘土では、(社)日本玩具協会の自主規制基準(STマーク認定基準)でその安全衛生性が認定された「STマーク」表示を有するものは、無彩色(白色系)無着色の水系硬化型着色合成粘土と、有彩色では水溶出が認められても、法定食用色素は安全なため法定食用色素を用いてSTマークを取得している商品はあるが、着色濃度が高くなるにしたがって、作業上、手にはげしく色移行したりして造形用としては適さず、どのような着色濃度においても、色の水溶出がない有彩色の水系硬化型着色合成粘土組成物は知られていない。
すなわち、(社)日本玩具協会の定める自主規制基準(STマーク認定基準)にある色が「水に溶出してはならない」との制限を、現状の水系硬化型着色合成粘土組成物はクリアーすることはできず、STマーク認定を容易に受けられないのが実状である。
これまでの水系硬化型着色合成粘土の着色には、前記の如く、生の無機顔料か有機顔料が、あるいはこれらを粉末分散助剤で易分散化した加工顔料、あるいはこれらの水分散加工着色材が、あるいは染色手法に用いる水溶性染料(反応性染料を含む)が、あるいは法定食用色素が使用されていたため、明らかに水への激しい色の溶出が観察される。
一方、かかる色の水溶出を無くす方法として、無彩色(白色系)無着色水系硬化型着色合成粘土に粒径の大きい非水系着色片を均一に混練したものが市販されているが、しかし、かかる商品は、非水系着色片の粒径が大きく、粘土に一様な着色状態が得られず、着色部分が粘土の地色に点在したような所謂異色点在模様となってしまう。
また、特許文献6に記載の如く、微視的に網目状に結合した透明な樹脂が顔料を抱き込むことにより顔料の水への溶出性は抑制されるものと考えられるが、しかし、水溶出性試験の主旨を満足させるには公報記載の条件だけでは十分ではなく、他の条件が必要と本発明者らは考えた。
上記のように、従来または現状の水系硬化型着色合成粘土組成物には、使用着色材の水溶出性の問題点、あるいは染色手法を用いた場合には染色助剤の安全衛生上の問題点、使用する加工着色材の水溶出性がない場合には均一着色性が十分でない等の問題点が解決されていない。
本発明の目的は、水系硬化型着色粘土における着色材の水溶出性を防止することにある。
本発明者らは上記問題点に鑑み鋭意検討の結果、以下の解決手段を見出した。
本発明では、非水溶性の媒体に着色材を混練させることにより、着色材として用いる顔料の水への溶出性を抑えて、粘土に混合可能な粘土用着色材を構成した。さらに、着色材としては、顔料をそのまま使用しても構わないが、顔料あるいは油溶性染料を予め加工処理することで、一旦加工着色材としてから使用しても構わない。
本発明の粘土用着色材は、非水溶性の媒体に混練させる着色材の下限粒径を特段規制しなくても、水系硬化型粘土に対しての均一着色性、および(社)日本玩具協会の定める自主規制基準(STマーク認定基準)にある色が「水に溶出してはならない」との要件を十分に満たすことができる。
すなわち、本発明は粘土の着色に使用する粘土用着色材であって、前記粘土用着色材は、界面活性剤の共存下に、着色材が非水溶性高沸点不揮発性液体あるいは非水溶性半固体に混練されてなることを特徴とする。かかる構成において、前記界面活性剤は、非イオン系界面活性剤であることを特徴とする。また、前記着色材は、0.05重量%以上、70重量%以下含有されていることを特徴とする。
前記着色材は、有機顔料、あるいは無機顔料、あるいは加工処理された油溶性染料であることを特徴とする。あるいは、前記着色材は、有機顔料、あるいは無機顔料が、分散助剤で易分散化された加工着色材であることを特徴とする。
前記着色材は、有機顔料、あるいは無機顔料、あるいは油溶性染料を樹脂と加熱溶融混練または加熱溶融圧縮し、冷却後に微粉砕して得られる着色樹脂に形成された加工着色材であることを特徴とする。あるいは、前記着色材は、有機顔料、あるいは無機顔料、あるいは油溶性染料を樹脂エマルジョンと混練し、固化した混練物を微粉砕して得られる着色樹脂に形成された加工着色材であることを特徴とする。あるいは、前記着色材には、フラッシング法で得られる加工着色材も含まれる。
以上の構成において、前記加工着色材に含有される着色材は、0.05重量%以上、95重量%以下であることを特徴とする。
前記有機顔料、あるいは前記無機顔料、あるいは前記油溶性染料は、ポリオレフィン等衛生協議会の定める自主規制基準色材ポジティブリスト記載品から選択されたものであることを特徴とする。
但し、ポリオレフィン等衛生協議会の自主規制基準色材ポジティブリストに記載がなくても、使用着色材の各種の安全衛生性に問題のないデータがあれば、この限りではない。
他の本発明は、上記いずれかの粘土用着色材が、水系硬化型粘土に混合されていることを特徴とする水系硬化型着色粘土である。
本発明により、(社)日本玩具協会の自主規制基準(STマーク認定基準)の定める水溶出試験を十分に満足させられる安全な有彩色の水系硬化型着色粘土、および粘土用着色材を提供することができる。
本発明の粘土用着色材では、特に着色材をそのまま用いるのではなく、一旦、非水溶性媒体に着色材を混練して用いるので、着色材の下限粒径の規制を行わなくても、(社)日本玩具協会の自主規制基準(STマーク認定基準)の定める水溶出試験を十分に満足させることができる。
そのため、粘土用着色材に使用する着色材をできるだけ微粒に形成することができ、従来よりも発色性を良好にするとともに、その分、配合量を少なくすることもできる。
また、厳密な粒径規制を行わなくても済むため、製造工程における面倒な粒径管理の手間を省き、その分、製品の生産コストを低く抑えることができる。
本発明では、着色材を、非水溶性高沸点不揮発性液体あるいは非水溶性半固体に混練処理を行っているため、着色材をそのまま粘土に混ぜ込む場合に比べて保湿性が向上し、粘土細工時のパサ付きがなくなり、極めて粘土自体の精緻な造形性の改善が図れた。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明は、非水溶性の高沸点不揮発性液体、あるいは非水溶性半個体に、界面活性剤の共存下、顔料、あるいは顔料、油溶性染料を加工処理した加工着色材等の着色材を混練して形成される粘土用着色材である。
また、もう一つの本発明は、かかる粘土用着色材を用いて製造される水系硬化型着色粘土であり、(社)日本玩具協会の定める自主規制基準(STマーク認定基準)にある色が「水に溶出してはならない」との基準をクリアーすることができるものである。
本発明に係る粘土用着色材の使用形態は、液体、あるいは半固体として提供されるものである。すなわち、無機顔料、有機顔料、あるいはこれら顔料、油溶性染料を加工処理した加工着色材等の着色材の微粉末を、界面活性剤等で易分散化処理して水に不溶の高沸点不揮発性液体に均一混練分散させることにより液体状の粘土用着色材として提供される。あるいは、グリースや固形ワックス等のような半固体を選択すれば、所謂半固体状の粘土用着色材として提供される。
すなわち、生の顔料、あるいは予め生の顔料、油溶性染料に加工処理を施して加工着色材に形成した上で、水に不溶の高沸点不揮発性液体に、あるいは非水溶性半固体に、必要によっては分散助剤、界面活性剤を併用して、ライカ機やオープン型ニーダーで予備混合し、その後、3本ロールで、機械的に均一混練、分散させればよい。
粘土用着色材が液体状、半固体状に形成されているため、微粉末状、微粒子状に比べて比較的に均一着色が得られるまでの混練の手間を短くすることができ、手触りの滑らかな水系硬化型着色合成粘土が製造し易い。さらには、微粉末状、微粒子状の着色剤をそのまま水系硬化型粘土に混ぜる場合に比べて、本発明に係る粘土用着色材を用いた方が水系硬化型粘土の保湿性も向上した。
本発明の粘土用着色材で使用する非水溶性高沸点液体、あるいは非水溶性半固体としては、例えば、流動パラフィン、可塑剤、鉱物油、植物油、グリース等を挙げることができる。これらの内、安全衛生性があり、且つ、安定的な効果を有するものとして、本発明者は、例えば、アセチル・トリ・ブチル・クエン酸(ATBC)、ジイソブチルアジペート(DIBA)を見出した。この内、ATBCに関しては、温度によっては水に僅かに溶けるため、現段階では、DIBAが最適と考えられる。
界面活性剤としては、カチオン系、アニオン系あるいは非イオン系のいずれのものも使用することができる。非イオン系のものの使用で、特に好ましい結果が得られている。例えば、HLB=4.3のソルビタン脂肪酸エステル系を例示することができる。
着色材として使用する顔料、あるいは油溶性染料は、特に、水系硬化型着色粘土の着色に基づく安全衛生性を考慮する場合には、ポリオレフィン等衛生協議会の定める自主規制基準色材ポジティブリスト記載品から選択するようにすればよい。尚、安全衛生性に問題のないデータがあれば、ポリオレフィン等衛生協議会の自主規制基準色材ポジティブリストに記載がなくても、使用してよい。
着色材として使用する顔料は、無機顔料、有機顔料のいずれでも使用することができる。これら顔料の微粉末を、界面活性剤の共存下、上記非水溶性高沸点液体あるいは非水溶性半固体に入れ、3本ロールで均一に混練して使用する。リキッド状、ペースト状、半固体状等にして、これを水系硬化型粘土生地に入れてニーダー等で均一に混練することで水系硬化型着色粘土を製造することができる。
非水溶性高沸点不揮発性液体あるいは非水溶性半固体に混練する着色材としての顔料は、上記のように、そのまま微粉末の状態で加工することなく、すなわち未加工の状態で使用しても構わないが、一旦加工処理して加工着色材としたものを、非水溶性高沸点不揮発性液体あるいは非水溶性半固体に混練する着色材として使用するようにしても構わない。
尚、油溶性染料に関しては、未加工の状態で非水溶性高沸点液体あるいは非水溶性半固体に混練することはせず、一旦、後記する加工処理を施した後に、すなわち加工着色材とした後に使用した。
着色材を加工処理するに際しては、着色材は、加工着色材中の含有量が0.05重量%以上、95重量%以下であればよい。これは、0.05重量%未満の場合には、加工着色材を用いて粘土用着色材を作製し、この粘土用着色材を水系硬化型粘土に混ぜて着色粘土を作る場合に、水系硬化型粘土を適当な着色濃度とするために必要な加工着色材側の着色濃度が低過ぎる場合が発生する。
一方、95重量%を越える場合には、分散助剤の量が着色材に対して少な過ぎる場合が発生し、均一着色に必要な着色材の均一分散が十分に行えない場合が発生する。
かかる加工処理としては、例えば、顔料の微粉末を分散助剤、界面活性剤等で易分散化し、ドライカラー、湿潤性カラー、必要によってはペーストカラー、リキッドカラー等にする加工処理が挙げられる。かかる加工処理により得られた加工着色材は、プロセスカラーとして非水溶性高沸点不揮発性液体あるいは非水溶性半固体に混練する着色材として使用することができる。
また、加工処理としては、例えば、顔料あるいは油溶性染料の微粉末を、樹脂と混合し、加熱溶融混練して得られた加熱溶融混練物を粉砕可能な温度まで冷ました状態で粉砕処理する加工処理を行っても構わない。かかる加工処理により得られた加工着色材は、所謂マスターバッチカラーとして、非水溶性高沸点不揮発性液体あるいは非水溶性半固体に混練する着色材として使用することができる。
樹脂として熱硬化性樹脂を使用する場合には、顔料あるいは油溶性染料の微粉末を、熱硬化性樹脂と加熱溶融圧縮し、得られた加熱溶融圧縮物を粉砕可能な温度まで冷ました状態で粉砕加工する処理を行えばよい。
また、別の加工処理としては、例えば、顔料あるいは油溶性染料等の着色材を含水スラリー状態にし、これに樹脂を溶解させて溶剤をその後加え、真空ニーダーで混練することで水分、溶剤の順に除去し、その後に微粉砕処理を行うフラッシング工法でも構わない。
さらに、加工処理としては、例えば、顔料あるいは油溶性染料の微粉末を、樹脂エマルジョンと混練し、固化した混練物を微粉砕する加工処理を行っても構わない。かかる加工処理により得られた加工着色材もマスターバッチカラーとして、非水溶性高沸点不揮発性液体あるいは非水溶性半固体に混練する着色材として使用することができる。
顔料、油溶性染料を、樹脂に分散させるための分散剤、あるいは分散助剤としては、脂肪酸およびこの誘導体、脂肪酸の金属塩、アマイド系、パラフィン系、あるいはワックス系滑剤、非イオン(両性、ノニオン)系、カチオン系あるいはアニオン系界面活性剤、および可塑剤、植物油、鉱油、合成油、場合によってはグリース、グリセリン等の水に不溶の油性高沸点不揮発性液体、あるいは半固体等から選択すればよい。
また樹脂としては、熱可塑性樹脂、あるいはゴム、あるいは熱硬化性樹脂のいずれをも使用できる。
例えば、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系、あるいはポリスチレン系樹脂、ポリメタアクリル、ポリメチルペンテン、ポリブデン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポバール、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリアクリロニトリル、フッ素樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリメタアクリルスチレン、ポリアリルサルホン、ポリアリレート、ヒドロキシ安息香酸ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリエチレンナフトール、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエステルカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、マレイン酸、ロジン、グルー、石油、テルペン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルホルマール、ポリ2塩化ビニル、塩素化ポリエーテル、耐衝撃性アクリル、ポリアクリルαメチルスチレン、エチルセルロース、酢酸セルローズ、プロピルセルローズ、酢酸・酪酸セルローズ、硝酸セルローズ、ポリウレタン、クマロン、インデン等の各種樹脂、およびこれらの変性、共重合誘導体等から選択すればよい。
尚、かかる樹脂の重合法は限定する必要はなく、例えば、サスペンジョン重合法等によって得られる樹脂、およびエマルジョンが固化して生じる樹脂もこの本発明でいう樹脂の範疇に当然に入る。
ゴムとしては、例えば、天然ゴム、合成天然ゴム、塩素化ポリエチレン、エピクロルヒドリン、ニトリル、ニトリルイソプレン、イソプレン、ウレタン、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、ブタジエン、スチレンブタジエン、ブチル、エチレンプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、クロロプレン、クロロスルホン化ポリエチレン等の各ゴム、およびこれらの変性誘導体等から選択することができる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、尿素樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、不飽和ポリエステル(アルキッド)樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の各樹脂およびこれらの変性誘導体等から選択すればよい。
尚、熱可塑性樹脂の製造に際して架橋重合させて得られた3次元構造を有する樹脂、およびサスペンジョン重合法等によって得られる樹脂、あるいはエマルジョンタイプ、2液混合タイプに架橋剤を併用して重合させた樹脂等もこの熱硬化性樹脂の範疇に入るものとする。
架橋剤としては、例えば、エチレンジアミン、環状脂肪族ポリアミン等のジアミン、ポリアミン類、液状ポリアミド樹脂、フェノールノボラック樹脂、無水酸、フェノール樹脂、エーテル化エステル化アミノ樹脂等が使用できる。
尚、樹脂の重合方法等はどのような方法を採用しても構わない。例えば、エマルジョンタイプ(1液型)を樹脂基材として用いる場合は、エマルジョンと、前述のプロセスカラーと、必要によっては非イオン系界面活性剤、架橋剤等で例示される他の添加剤を混合機で均一に混合した後に固化させ、固化物を機械粉砕して目的とする微粉末状の加工着色材を得るようにしても構わない。
あるいは、2液混合タイプを樹脂基材として用いる場合は、量の多い方の溶液に、例えば前述のプロセスカラーと非イオン系界面活性剤のような他の添加剤を混合機で均一に混合した後、残りの溶液と重合開始剤(硬化剤)を加えて、さらに均一混合し、重合完了後、固化させ、機械粉砕して目的とする微粒子状の加工着色材を得ることができる。
尚、溶液中に架橋剤が含まれている場合は、樹脂が3次元的な網目構造をとるので熱硬化性樹脂を用いた加工着色材となる。
前記記載の樹脂と、前記説明の顔料、あるいは油溶性染料の微粉末とを、均一に加熱混練あるいは均一混合して熱成形し、高濃度に顔料あるいは油溶性染料を含むものを、粉砕可能な温度(例えば、常温)にまで冷却した後に微粉砕すれば、得られた微粒子状着色樹脂が、加工着色材(マスターバッチパウダー)であり、非水溶性高沸点不揮発性液体あるいは非水溶性半固体に混練する着色材として使用することができる。微粉砕に際しては、粉砕コストはかかるが、冷凍粉砕を採用しても構わない。
熱可塑性樹脂やゴムあるいは熱硬化性樹脂と、無機顔料、有機顔料、あるいは油溶性染料は、例えば、ボールミル、タンブラー、デスパー、スーパーミキサー、ヘンセルタイプミキサー等で機械的に均一混合する。
但し、油溶性染料の使用に際しては、ブリードあるいはマイグレーションを起こすので、非水溶性高沸点不揮発性液体、非水溶性半固体、さらには樹脂の内でも結晶性熱可塑性樹脂、ゴムには直接上記油溶性染料は使用しない。
このようにして均一混合後、例えばバンバリーミキサー、2軸スクリュー押出機、1軸スクリュー押出機、加熱プレス機、加圧型ニーダー、オープン型ニーダー、2本ロール、3本ロール等で加熱均一混練し、その後、常温まで冷却して、ブロッキング傾向にあるものについては、ブロッキング防止剤(外部潤滑剤)を適当量均一混合して、粉砕機(必要によっては冷凍粉砕)処理し、目的とする微粒子状の加工着色材が得られる。
このように、本実施の形態で説明する微粒子状の加工着色材は、強力な機械混練と、機械粉砕(含冷凍粉砕)等の機械的な手段により、非水溶性高沸点不揮発性液体あるいは非水溶性半固体に界面活性剤の存在下、均一分散させることで粘土用着色材として形成されることとなる。
着色材として使用する顔料の微粉末、あるいは顔料、油溶性染料を前記加工処理して得られた加工着色材は、非水溶性高沸点不揮発性液体あるいは非水溶性半固体に、粘土用着色材の0.05重量%以上、70重量%以下となるように混合すればよい。
本発明の水系硬化型着色粘土の構成では、上記構成の着色材を用いて構成した粘土用着色材を水系硬化型粘土に所定量混合させて着色状態を創出するため、粘土用着色材の色が当初より薄くては着色させにくく、ある程度の濃さが必要である。
すなわち、粘土用着色材に混合する着色材の量が0.05重量%未満では、本発明の粘土用着色材を混合させて得られる水系硬化型粘土の着色性が十分確保できない場合があり、一方70重量%より多く含有させると、着色材の量が過多となる場合が発生し、均一着色に必要な着色材の均一分散が十分に行えない場合が発生する。そのため、かかる観点から、0.05重量%以上、70重量%以下に設定しておくのが好ましい。より好ましくは、1重量%以上、50重量%以下であればよい。
以上に説明の構成の加工着色材、あるいは顔料をそのまま、非水溶性高沸点液体あるいは非水溶性半固体に、界面活性剤の存在下、混練することで製造した粘土用着色材は、水系硬化型粘土に混練しても色が水に溶出することはない。
本発明者は、当初、上記構成の加工着色材、あるいは顔料、油溶性染料が、(社)日本玩具協会の定める自主規制基準(STマーク認定基準)の水溶出試験の基準で使用する濾紙の目である1μm以下の粒径では、上記水系硬化型粘土に混合した粘土用着色材が水と共に濾紙目を通過するのではないかと気づかったが、その詳細は不明なものの、粘土用着色材に使用する着色材を1μm以下の粒径に設定しても濾紙目の通過が起きないことを今回見出した。そこで、本発明では、粘土用着色材に使用する粒径に関しては、特段下限粒径を設定しなくても構わないと判断した。
因みに、(社)日本玩具協会の定める自主規制基準(STマーク認定基準)の水溶出試験は、次のように規定されている。すなわち、表面積1cm2につき、2mlの割合の40℃の温水を加え、40℃に保ちながら、10分間試料を浸漬した後、アドバンテックNo.5Cの濾紙で濾過し、濾液について目視比色法で色の溶出を判定する。
また、本発明の水系硬化型着色粘土は、上記説明の着色材を用いた粘土用着色材を、水系硬化型粘土に混合すれば製造できる。水系硬化型の粘土としては、種々の特長を有したものが上市され、あるいは考案されているが、その代表的な例として、表1にその組成を示す三つの水系硬化型合成粘土を挙げることができる。
表1に示す組成物1として表示する水系硬化型合成粘土は、水溶性樹脂10重量部と、澱粉30重量部と、繊維素材10重量部と、充填剤5重量部と、水51重量部とからなる。
より具体的には、糊剤としての水溶性樹脂として、疎水性樹脂とポバールの共重合体(登録商標 HVポリマー)を使用する。澱粉としては、例えば、小麦粉等の澱粉質のものなら何でも使用することができる。中でも、粘土のキメ細かさ、肌の白さを得るにはコーンスターチが好ましい。
繊維素材としては、例えばパルプを使用する。充填剤としては、例えば、タルクを使用する。タルク等の無機質粉体以外にも、粘土全体の軽量化を図るためには、シラスバルーン等の多孔質体、発泡ポリスチレン等の発泡微粒球状を使用してもよい。
かかる組成を有する水系硬化型合成粘土では、充填剤をタルクのような無機質の無発泡体より、シラスバルーンあるいは発泡微粒球状(又は粉砕品)樹脂に置き換えることによって、比重は小さくなり、造形後の肌のキメが細かく、かつ適度に軟らかく、肌色が白い水系硬化型合成粘土になる。
かかる水系硬化型合成粘土は、表1に示す配合割合に限定する必要はなく、適宜必要に応じて、次に示すような範囲で配合割合を調節することができる。すなわち、水溶性樹脂量を1〜20重量部、好ましくはポリエチレンオキサイドを0.2〜3重量部、澱粉4〜60重量部、繊維素材1〜20重量部、残部を水、あるいは残部を水および多孔質材とすればよい。
例えば、水溶性樹脂10重量部と、澱粉25重量部と、繊維素材10重量部と、シラスバルーン5重量部と、水50重量部のような配合割合が挙げられる。あるいは、水溶性樹脂10重量部と、澱粉25重量部と、繊維素材10重量部と、微粒球状発泡樹脂5重量部のような配合割合も好ましい例として挙げられる。
表1に示す組成物2として表示する水系硬化型合成粘土は、水溶性樹脂11.2重量部と、澱粉2重量部と、繊維素材8重量部と、微小球状中空体樹脂16重量部、グリセリン5重量部、機械油5重量部、水44.8重量部とからなる。
より具体的には、水溶性樹脂として、カルボキシメチルセルロース(CMCと略記)とポリビニルアルコール(PVAと略記)を使用すればよい。かかるCMCとしては、エーテル化度が1.0以上で、1%水溶液の25℃の粘度が700mPa.sのものを使用した。PVAとしては、ポリビニルアセテートの部分ケン化物でケン化度が88mol%のものを使用した。尚、PVAは、1.2重量部使用した。
澱粉としては、α化澱粉を使用した。繊維素材としては、粉末パルプを使用した。微小球状中空体樹脂としては、粒子中に気体を内包する中空状微小球体の軽量微小素材である。一般に、外殻が塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体で、20〜150ミクロンの粒径で、嵩比重は0.02である。
かかる組成を有する水系硬化型合成粘土は、軽量であり、色も白く、適度な硬さと伸び易さと、適度なもろさを有し、べたつきの少ない合成粘土である。
尚、外殻を形成する樹脂は、酢酸ビニル−アクリロニトリル共重合樹脂、メチルメタクリレート−アクリロニトリル共重合樹脂等でもよい。また、CMCとPVAの比率が、重量比で10:0.5〜10:3の範囲で適宜調節することができる。
表1で組成物3として表示する水系硬化型合成粘土は、水溶性樹脂としてポリビニルアルコール(PVAと略記)10重量部と、ポリエチレンオキサイド(PEOと略記)1重量部、酢酸ビニル樹脂エマルジョン6重量部、微小球状中空体樹脂14重量部、繊維素材4重量部、非イオン系界面活性剤3重量部、水62重量部とからなる。
より具体的には、PVAは、ポリビニルアセテートの部分ケン化物で、ケン化度が88mol%、3%水溶液が20℃の粘度が850mPa.sのものを使用した。PEOは、平均分子量70万のエチレンオキサイドの開環重合体を使用した。酢酸ビニル樹脂エマルジョンは、昭和高分子社製ポリゾールS−6を使用した(使用量は、固形分量で示してある)。
繊維素材には、粉末パルプを使用した。非イオン系界面活性剤は、HLB=8.1〜18.9のポリオキシエチレンアルキルエーテルを使用した。微小中空体球状樹脂は、松本油脂社製のマイクロスフェアーF−50Eを使用した(使用量は、固形分量で示してある)。
かかる水系硬化型合成粘土は、表1の配合割合に限定する必要はなく、適宜必要に応じて、配合割合を調節することができる。
例えば、PVA5〜10重量部、PEO0.5〜1.5重量部、酢酸ビニル樹脂エマルジョン1.5〜7重量部、繊維素材0.5〜4重量部、微小球状中空樹脂5〜15重量部、非イオン系界面活性剤2〜8重量部、残部を水、あるいは水と流動パラフィン、ソルビトール、グリコール類等の補湿剤として、適宜必要に応じて配合割合を調節しても構わない。
かかる組成を有する水系硬化型合成粘土は、硬化時の変形耐久性に優れ、作業性、手触りが良好で、かつ、軽量である。
このようにして前記説明の粘土用着色材を、上記組成の無彩色の水系硬化型合成粘土に所要量混ぜることにより、有彩色の水系硬化型着色合成粘土組成物が製造できる。粘土用着色材の混合量は、水系硬化型着色合成粘土に所要の色の濃さが演出されるように適当量混合すればよい。
次に、代表的な実施例で本発明をより具体的に示すとともに、併せて比較例と対比することにより本発明の有効性を検証する。
本実施例1で説明する粘土用着色材は、未処理の微粉末の顔料からなる着色材を、界面活性剤の共存下、非水溶性高沸点不揮発性液体あるいは非水溶性半固体に混練して作製した。かかる混練に際しては、常温でニーダーにより予備混合し、その後、さらに常温で3本ロールに8回通し均一分散混練させるようにして製造した。
本実施例1では、4種の粘土用着色材を作製し、かかる粘土用着色材をそれぞれ水系硬化型粘土に所定量混合して、粘土用着色材の水溶出性を試験した。かかる結果を、表2に使用した粘土用着色材毎に、実施例1−1、1−2、1−3、1−4として示した。
実施例1−1、1−2、1−3、1−4で示す粘土用加工着色材では、非水溶性高沸点不揮発性液体あるいは非水溶性半固体として可塑剤のDIBAを用いた。界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル(HLB=4.3)の非イオン系界面活性剤を着色材に対して1重量部となるように使用した。
実施例1−1の粘土用着色材は、DIBA60重量部に、上記界面活性剤の存在下、カラーインデックスナンバーピグメントレッド238(山陽色素社製、Permanent Carmine F5B)の赤色有機顔料40重量部を加え、常温でニーダーにより予備混合し、その後、さらに常温で3本ロールに8回通し均一分散混練して製造した。
かかる赤色の粘土用着色材を、前述の組成物1、2、3の3種の水系硬化型粘土に、表1記載の全量100重量部に対して2重量部混練して水系硬化型着色合成粘土を製造した。
このようにして得られた各々の水系硬化型着色合成粘土を、(社)日本玩具協会の定める自主規制基準(STマーク認定基準)の水溶出試験にかけた。その結果を表2の実施例1−1に示す。濾液には着色が見られず、粘土用着色材の水溶出性は認められなかった。
尚、水溶出試験は、次のようにして行った。上記要領で作製した本発明に係る水系硬化型着色合成粘土を、50mm×50mm×1mmの板状にしたものをビーカーに入れ、40℃の温水50mlを加えて浸漬し、ウォーターバス上で40℃、10分間溶出試験を行った。その後、アドバンテックNo.5C濾紙で濾過後、目視比色法で判定した。組成物1〜3のいずれの場合にも、実施例1−1に示す粘土用着色材の色溶出は確認されなかった。
実施例1−2の粘土用着色材は、DIBA50重量部に、上記界面活性剤の存在下、カラーインデックスナンバーピグメントレッド178(クラリアントジャパン、Graphtol Red HF4C)の赤色有機顔料50重量部を加え、常温でニーダーにより予備混合し、その後、さらに常温で3本ロールに8回通し均一分散混練して製造した。かかる赤色の粘土用着色材を、実施例1−1と同様の要領で、前述の組成物1、2、3の3種の水系硬化型粘土に、表1記載の全量100重量部に対して2重量部混練して水系硬化型着色合成粘土を製造した。実施例1−2の構成の水系硬化型着色合成粘土でも、表2の実施例1−2に示すように、組成物1〜3のいずれの場合でも、(社)日本玩具協会の定める自主規制基準(STマーク認定基準)の水溶出試験で色溶出は見られなかった。
実施例1−3の粘土用着色材は、DIBA50重量部に、上記界面活性剤の存在下、カラーインデックスナンバーピグメントイエロー151(大日本インキ化学工業社製、Symuler Fast Yellow 4GO)の黄色有機顔料50重量部を加え、常温でニーダーにより予備混合し、その後、さらに常温で3本ロールに8回通し均一分散混練して製造した。かかる黄色の粘土用着色材を、実施例1−1と同様の要領で、前述の組成物1、2、3の3種の水系硬化型粘土に、表1記載の全量100重量部に対して2重量部混練して水系硬化型着色合成粘土を製造した。実施例1−3の構成の水系硬化型着色合成粘土でも、表2の実施例1−3に示すように、組成物1〜3のいずれの場合でも、(社)日本玩具協会の定める自主規制基準(STマーク認定基準)の水溶出試験で色溶出は見られなかった。
実施例1−4の粘土用着色材は、DIBA50重量部に、上記界面活性剤の存在下、カラーインデックスナンバーピグメントブルー15−3(大日本インキ化学工業社製、Fastogen Blue EP-7)の青色有機顔料50重量部を加え、常温でニーダーにより予備混合し、その後、さらに常温で3本ロールに8回通し均一分散混練して製造した。かかる青色の粘土用着色材を、実施例1−1と同様の要領で、前述の組成物1、2、3の3種の水系硬化型粘土に、表1記載の全量100重量部に対して2重量部混練して水系硬化型着色合成粘土を製造した。実施例1−4の構成の水系硬化型着色合成粘土でも、表2の実施例1−4に示すように、組成物1〜3のいずれの場合でも、(社)日本玩具協会の定める自主規制基準(STマーク認定基準)の水溶出試験で色溶出は見られなかった。
本実施例2で説明する粘土用着色材は、顔料を樹脂と混合し、加熱溶融混練して得られた加熱溶融混練着色物を粉砕可能な温度まで冷ました状態で粉砕して得られる加工着色材を着色材として、非水溶性高沸点不揮発性液体あるいは非水溶性半固体に、界面活性剤の存在下混練することにより製造される。
かかる先ず、加工着色材は、次のようにして製造した。すなわち、メルトフローレートが30g/mm、ビカット軟化点が83℃、融点が105℃、平均粒径190ミクロンの微粒状低密度ポリエチレン100重量部と、カラーインデックスナンバーピグメントイエロー151(大日本インキ化学工業社製、Symuler Fast Yellow 4GO)の黄色有機顔料50重量部と、顔料の分散助剤としてのステアリン酸亜鉛粉末を顔料に対して10重量部とを、ヘンセルタイプミキサーで均一混合した。
その後、加圧型ニーダーで、樹脂温度130℃で均一になるまで混練した。混練後、徐々に冷却しながら、粉砕して加工着色材の粗粉砕物を得た。
このようにして得られた粗粉砕物を、さらに強力冷凍粉砕機(冷媒、液体窒素)で微粉砕した。微粉砕に際しては、再凝集を防止するために、ステアリン酸亜鉛微粉末をブロッキング防止剤として、1重量部を外部潤滑した。分級により、10〜50ミクロンの粒度の微粒子状の加工着色材を得た。
かかる黄色の加工着色材を、界面活性剤の共存下、非水溶性高沸点不揮発性液体あるいは非水溶性半固体としてのDIBA50重量部に、着色材として50重量部混練することで、粘土用着色材を製造した。かかる混練に際しては、常温でニーダーにより予備混合し、その後、さらに常温で3本ロールに8回通し均一分散混練させるようにして製造した。界面活性剤には、前記実施例1の場合と同様に、ソルビタン脂肪酸エステル(HLB=4.3)の非イオン系界面活性剤を着色材に対して1重量部となるように使用した。
かかる黄色の粘土用着色材を、前記実施例1と同様の要領で、前述の組成物1、2、3の3種の水系硬化型粘土に、表1記載の全量100重量部に対して4重量部混練して水系硬化型着色合成粘土を製造した。実施例2に記載の構成の水系硬化型着色合成粘土でも、表2の実施例2に示すように、組成物1〜3のいずれの場合でも、(社)日本玩具協会の定める自主規制基準(STマーク認定基準)の水溶出試験で色溶出は見られなかった。
本実施例3で説明する粘土用着色材も、実施例2と同様に、顔料を樹脂と混合し、加熱溶融混練して得られた加熱溶融混練着色物を粉砕可能な温度まで冷ました状態で粉砕して得られる加工着色材を、非水溶性高沸点不揮発性液体あるいは非水溶性半固体に、界面活性剤の存在下、着色材として混練することにより製造される。
かかる先ず、加工着色材は、次のようにして製造した。すなわち、分子量80〜100万、ガラス転移点130℃、融点150℃、平均粒径20ミクロンの真球状のポリメタアクリル酸メチル100重量部と、カラーインデックスナンバーピグメントブルー15−3(山陽色素社製、Cyanine Blue KRO)の青色有機顔料30重量部と、顔料の分散助剤としてのエチレンビスステアロアマイド粉末を顔料に対して10重量部とを、ヘンセルタイプミキサーで均一混合した。
その後、加圧型ニーダーで、樹脂温度180℃で均一になるまで混練した。混練後、徐々に冷却しながら、粉砕して加工着色材の粗粉砕物を得た。
このようにして得られた粗粉砕物を、さらに強力冷凍粉砕機(冷媒、液体窒素)で微粉砕した。微粉砕に際しては、再凝集を防止するために、エチレンビスステアロアマイド粉末をブロッキング防止剤として、1重量部を外部潤滑した。分級により、10〜50ミクロンの粒度の微粒子状の加工着色材を得た。
かかる青色の加工着色材を、界面活性剤の共存下、非水溶性高沸点不揮発性液体あるいは非水溶性半固体としてのDIBA50重量部に、着色材として50重量部混練することで、粘土用着色材を製造した。かかる混練に際しては、常温でニーダーにより予備混合し、その後、さらに常温で3本ロールに8回通し均一分散混練させるようにして製造した。界面活性剤には、前記実施例1の場合と同様に、ソルビタン脂肪酸エステル(HLB=4.3)の非イオン系界面活性剤を着色材に対して1重量部となるように使用した。
かかる黄色の粘土用着色材を、前記実施例1と同様の要領で、前述の組成物1、2、3の3種の水系硬化型粘土に、表1記載の全量100重量部に対して5重量部混練して水系硬化型着色合成粘土を製造した。実施例3に記載の構成の水系硬化型着色合成粘土でも、表2の実施例3に示すように、組成物1〜3のいずれの場合でも、(社)日本玩具協会の定める自主規制基準(STマーク認定基準)の水溶出試験で色溶出は見られなかった。
本実施例4で説明する粘土用着色材も、実施例2と同様に、顔料を樹脂と混合し、加熱溶融混練して得られた加熱溶融混練着色物を粉砕可能な温度まで冷ました状態で粉砕して得られる加工着色材を、非水溶性高沸点不揮発性液体あるいは非水溶性半固体に、界面活性剤の存在下、着色材として混練することにより製造される。
かかる粘土用着色材は、次のようにして製造した。すなわち、クリヤートップとして使用されている水性エマルジョン塗料のスチレンメタクリル酸メチル共重合体(ポリスチレン分90%、ポリメタアクリル酸メチル10%)で、固形分が45%、粘度3000mPa・s/30℃、メルトフローレト0℃のものを100重量部に、カラーインデックスナンバーピグメントイエロー53(石原産業社製、Tipaque Yellow TY-70S)の黄色無機顔料30重量部と、分散剤として非イオン系界面活性剤のポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB=10.5)を顔料に対して2重量部とエチレンビスステアロアマイド5重量部とを、オープン型ニーダーで、常温で、均一に混練した。その後、180℃に加熱して水分を蒸発させ、重合を完結させた後、徐々に冷却して粉砕し、加工着色材の粗粉砕物とした。
このようにして得られた粗粉砕物は、実施例2と同様に微粉砕し、分級することにより10〜50ミクロンの粒度の黄色の加工着色材にした。微粉砕に際しては、再凝集を防止するために、エチレンビスステアロアマイド1重量部を外部潤滑した。
かかる黄色の加工着色材を、界面活性剤の共存下、非水溶性高沸点不揮発性液体あるいは非水溶性半固体としてのDIBA50重量部に、着色材として50重量部混練することで、粘土用着色材を製造した。かかる混練に際しては、常温でニーダーにより予備混合し、その後、さらに常温で3本ロールに8回通し均一分散混練させるようにして製造した。界面活性剤には、前記実施例1の場合と同様に、ソルビタン脂肪酸エステル(HLB=4.3)の非イオン系界面活性剤を着色材に対して1重量部となるように使用した。
かかる黄色の粘土用着色材を、前記実施例1と同様の要領で、前述の組成物1、2、3の3種の水系硬化型粘土に、表1記載の全量100重量部に対して6重量部混練して水系硬化型着色合成粘土を製造した。実施例4に記載の構成の水系硬化型着色合成粘土でも、表2の実施例4に示すように、組成物1〜3のいずれの場合でも、(社)日本玩具協会の定める自主規制基準(STマーク認定基準)の水溶出試験で色溶出は見られなかった。
本実施例5で説明する粘土用着色材も、実施例2と同様に、顔料を樹脂と混合し、加熱溶融圧縮して得られた加熱溶融圧縮着色物を粉砕可能な温度まで冷ました状態で粉砕して得られる加工着色材を、非水溶性高沸点不揮発性液体あるいは非水溶性半固体に、界面活性剤の存在下、着色材として混練することにより製造される。
かかる粘土用着色材は、次のようにして製造した。すなわち、粉状ユリア樹脂(理研UP、登録商標)100重量部に、カラーインデックスナンバーピグメントブラック10(三菱化学社製、Carbon #45)のカラーファーネスカーボンブラック15重量部を、ヘンセルタイプミキサーで均一混合した。その後、圧縮成形温度170℃、圧縮成形圧力140〜500kg/cm2で熱成形し、冷却後、粉砕し易い板状の成形品を得た。
このようにして得られた成形品を、強力冷凍粉砕機(冷媒、液体窒素)で微粉砕し、微粉砕に際しては再凝集を防止するために、エチレンビスステアロアマイド微粉末を、1重量部を外部潤滑した。さらに分級して10〜50ミクロンの粒度の粘土用着色材を製造した。
かかる黒色の加工着色材を、界面活性剤の共存下、非水溶性高沸点不揮発性液体あるいは非水溶性半固体としてのDIBA50重量部に、着色材として50重量部混練することで、粘土用着色材を製造した。かかる混練に際しては、常温でニーダーにより予備混合し、その後、さらに常温で3本ロールに8回通し均一分散混練させるようにして製造した。界面活性剤には、前記実施例1の場合と同様に、ソルビタン脂肪酸エステル(HLB=4.3)の非イオン系界面活性剤を着色材に対して1重量部となるように使用した。
かかる黒色の粘土用着色材を、前記実施例1と同様の要領で、前述の組成物1、2、3の3種の水系硬化型粘土に、表1記載の全量100重量部に対して10重量部混練して水系硬化型着色合成粘土を製造した。実施例5に記載の構成の水系硬化型着色合成粘土でも、表2の実施例5に示すように、組成物1〜3のいずれの場合でも、(社)日本玩具協会の定める自主規制基準(STマーク認定基準)の水溶出試験で色溶出は見られなかった。
本実施例6で説明する粘土用着色材も、実施例2と同様に、顔料を樹脂と混合し、加熱溶融混練して得られた加熱溶融混練着色物を粉砕可能な温度まで冷ました状態で粉砕して得られる加工着色材を、非水溶性高沸点不揮発性液体あるいは非水溶性半固体に、界面活性剤の存在下、着色材として混練することにより製造される。
かかる粘土用着色材は、次のようにして製造した。すなわち、粒状のスチレンブタジエン合成ゴム(タフプレン、登録商標)100重量部に、カラーインデックスナンバーピグメントグリーン36(BASF社製、Heliogen Green 8GA)の緑色有機顔料20重量部と、顔料に対してロジン20重量部とを、ヘンセルタイプミキサーで均一混合した。その後、加圧型ニーダーで温度150℃で均一になるまで混練した後、徐々に冷却して粉砕し加工着色材の粗粉砕物とした。
このようにして得られた粗粉砕物は、強力冷凍粉砕機(冷媒、液体窒素)で微粉砕し、微粉砕に際しては再凝集を防止するために、ステアリン酸マグネシウム微粉末を、1重量部を外部潤滑した。さらに分級して10〜50ミクロンの粒度の加工着色材を得た。
かかる緑色の加工着色材を、界面活性剤の共存下、非水溶性高沸点不揮発性液体あるいは非水溶性半固体としてのDIBA50重量部に、着色材として50重量部混練することで、粘土用着色材を製造した。かかる混練に際しては、常温でニーダーにより予備混合し、その後、さらに常温で3本ロールに8回通し均一分散混練させるようにして製造した。界面活性剤には、前記実施例1の場合と同様に、ソルビタン脂肪酸エステル(HLB=4.3)の非イオン系界面活性剤を着色材に対して1重量部となるように使用した。
かかる緑色の粘土用着色材を、前記実施例1と同様の要領で、前述の組成物1、2、3の3種の水系硬化型粘土に、表1記載の全量100重量部に対して8重量部混練して水系硬化型着色合成粘土を製造した。実施例6に記載の構成の水系硬化型着色合成粘土でも、表2の実施例6に示すように、組成物1〜3のいずれの場合でも、(社)日本玩具協会の定める自主規制基準(STマーク認定基準)の水溶出試験で色溶出は見られなかった。
本実施例7で説明する粘土用着色材は、樹脂に混練することで加工処理を施した油溶性染料を、非水溶性高沸点不揮発性液体あるいは非水溶性半固体に、界面活性剤の存在下、着色材として混練することにより製造される。
樹脂としてのポリメチルメタアクリレート70重量部に、カラーインデックスナンバーソルベントレッド24(オリエント化学工業社製、Oil Red RR)の油溶性染料30重量部と、染料の分散助剤として非イオン系界面活性剤のポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB=6.3)を油溶性染料に対して2重量部を加え、180℃でニーダーにより均一混練した。その後、混練物を冷却して粗粉砕し、さらに粗粉砕物を強力冷凍粉砕機(冷媒、液体窒素)で微粉砕して加工着色材とした。
かかる赤色の加工着色材を、界面活性剤の共存下、非水溶性高沸点不揮発性液体あるいは非水溶性半固体としてのDIBA50重量部に、着色材として20重量部混練することで、粘土用着色材を製造した。かかる混練に際しては、常温でニーダーにより予備混合し、その後、さらに常温で3本ロールに8回通し均一分散混練させるようにして製造した。界面活性剤には、前記実施例1の場合と同様に、ソルビタン脂肪酸エステル(HLB=4.3)の非イオン系界面活性剤を着色材に対して1重量部となるように使用した。
かかる赤色の粘土用着色材を、前記実施例1と同様の要領で、前述の組成物1、2、3の3種の水系硬化型粘土に、表1記載の全量100重量部に対して8重量部混練して水系硬化型着色合成粘土を製造した。実施例7に記載の構成の水系硬化型着色合成粘土でも、表2の実施例7に示すように、組成物1〜3のいずれの場合でも、(社)日本玩具協会の定める自主規制基準(STマーク認定基準)の水溶出試験で色溶出は見られなかった。
(比較例1)
本比較例1では、前記実施例1〜6までの本発明にかかわる粘土用着色材と比較するため、粘土用の着色材を顔料の水の分散体とした場合を示す。
すなわち、水80重量部、カラーインデックスナンバーピグメントレッド238(山陽色素社製、Permanent Carmine F5B)の赤色有機顔料17重量部と、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB=10.5)2重量部、ジアルキルスルホコハクン酸ナトリウム(固形分70%)1重量部を、ボールミルで均一分散混合して、粘土用の着色材としての赤色有機顔料の水分散体を得た。
かかる赤色の着色材を、前記説明の組成物1、2、3の3種の水系硬化型粘土に、表1記載の全量に対して6重量部を加え、オープン型ニーダーで均一混練することにより均一に着色された水系硬化型着色合成粘土を製造した。
このようにして得られた各々の水系硬化型着色合成粘土を、前記実施の形態1で説明した(社)日本玩具協会の定める自主規制基準(STマーク認定基準)の水溶出試験にかけ、その結果を表2の比較例1としてに示す。濾液は着色しており、明らかに着色材の水溶出性が認められた。
(比較例2)
本比較例2でも、比較例1と同様に、粘土用の着色材を顔料の水分散体とした場合を示す。すなわち、水80重量部、カラーインデックスナンバーピグメントイエロー151(大日本インキ化学工業社製、Symuler Fast Yellow 4GO)の黄色有機顔料15重量部と、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB=10.5)3重量部、ジアルキルスルホコハクン酸ナトリウム(固形分70%)2重量部を、ボールミルで均一分散混合して、黄色有機顔料の水分散体を得た。
かかる黄色の着色材を、前記説明の組成物1、2、3の3種の水系硬化型粘土に、表1記載の全量に対して7重量部を加え、オープン型ニーダーで均一混練することにより均一に着色された水系硬化型着色合成粘土を製造した。
このようにして得られた各々の水系硬化型着色合成粘土を、前記実施の形態1で説明した(社)日本玩具協会の定める自主規制基準(STマーク認定基準)の水溶出試験にかけ、その結果を表2に示す。濾液は着色しており、明らかに着色材の水溶出性が認められた。
(比較例3)
本比較例3でも、比較例1と同様に、粘土用の着色材を顔料の水分散体とした場合を示す。すなわち、水80重量部、前記カラーインデックスナンバーピグメントブルー15−3の青色有機顔料15重量部と、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB=10.5)3重量部、ジアルキルスルホコハクン酸ナトリウム(固形分70%)2重量部を、ボールミルで均一分散混合して、青色有機顔料の水分散体を得た。
かかる青色の着色材を、前記説明の組成物1、2、3の3種の水系硬化型粘土に、表1記載の全量に対して7重量部を加え、オープン型ニーダーで均一混練することにより均一に着色された水系硬化型着色合成粘土を製造した。
このようにして得られた各々の水系硬化型着色合成粘土を、前記実施の形態1で説明した(社)日本玩具協会の定める自主規制基準(STマーク認定基準)の水溶出試験にかけ、その結果を表2に示す。濾液は着色しており、明らかに着色材の水溶出性が認められた。
(比較例4〜8)
本比較例4〜8までは、顔料そのままを粘土用の着色材として用い、前記説明の組成物1、2、3の3種の水系硬化型粘土に、表1記載の全量に対して下記の混合量で、オープン型ニーダーで均一混練することによりおおむね均一に着色された水系硬化型着色合成粘土を製造した。
比較例4では赤色有機顔料として前記ピグメントレッド238を1重量部、比較例5では黄色有機顔料としてピグメントイエロー83(山陽色素社製、Pigment yellow IRC)を1重量部、比較例6では青色有機顔料として前記ピグメントブルー15−3を1重量部、比較例7では赤色無機顔料としてピグメントレッド101〜102(戸田工業社製、弁柄140M)を2重量部、比較例8では黄色無機顔料として前記ピグメントイエロー53を2重量部用いて、水系硬化型着色粘土をつくった。
このようにして得られた各々の水系硬化型着色合成粘土を、前記実施の形態1で説明した(社)日本玩具協会の定める自主規制基準(STマーク認定基準)の水溶出試験にかけ、その結果を表2に示す。比較例4〜8まで、全て濾液は着色しており、明らかに着色材の水溶出性が認められた。
本発明は、上記実施の形態、実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で必要に応じて変更してもよい。
例えば、本発明の粘土用着色材は、前記表1に例示した水系硬化型合成粘土に着色する場合を示したが、当然にその他の組成の合成粘土、天然粘土に混ぜるようにしても構わない。
本発明は、手工芸用、学校教材用、玩具用等に使用される造形用粘土における着色材の水溶出防止着色技術に利用できる。