JP2005272516A - 化合物半導体超微粒子の製造方法 - Google Patents

化合物半導体超微粒子の製造方法 Download PDF

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豊将 中野
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Abstract

【課題】 付活元素が非常に効率的に添加されたナノメートルサイズの化合物半導体超微粒子を、容易かつ安価に製造することが可能な化合物半導体超微粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の化合物半導体超微粒子の製造方法は、化合物半導体超微粒子と付活元素イオンとを液体中にて共存させ、これら化合物半導体超微粒子及び付活元素イオンが共存した液体に加熱処理を施すことにより、付活元素を化合物半導体超微粒子に添加することを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、化合物半導体超微粒子の製造方法に関し、特に、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセントディスプレイ(ELD)、電界放射型ディスプレイ(FED)、液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管(CRT)、蛍光表示管(VFD)等の表示装置の蛍光体、あるいは発光ダイオード等の光学素子における蛍光体として好適に用いられる化合物半導体超微粒子の製造方法に関するものである。
化合物半導体粒子、例えば、硫化亜鉛(ZnS)等を主成分とする半導体粒子は、マンガン(Mn)、銅(Cu)、銀(Ag)、テルビウム(Tb)、ツリウム(Tm)、ユーロピウム(Eu)、サマリウム(Sm)、フッ素(F)等の付活元素を添加することにより、光や電子線等のエネルギーを吸収し、発光するという性質を有している。
このため、硫化亜鉛等を主成分とする蛍光体は、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセントディスプレイ(ELD)、電界放射型ディスプレイ(FED)、液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管(CRT)、蛍光表示管(VFD)等の表示装置に蛍光材料として利用されている。
また、硫化亜鉛等のII−VI族化合物半導体は、その粒子の大きさをその物質のボーア半径の2倍よりも小さくすると、量子サイズ効果が発現し、バンドギャップが広がり、その結果、バルクと比較して良好な光吸収特性及び発光特性を示すことになる。
一方、径が数十ナノメートル以下の超微粒子(ナノ粒子)を合成する方法として、ホットソープ法、逆ミセル法、メルカプトエタノールやアクリル酸等の有機配位子を用いた共沈法等がよく知られている。中でも、共沈法は、有機溶媒を用いることなく水中にて合成可能、装置が安価かつ簡便、低コスト等の優れた特徴を有しているために、非常に優れた方法である(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−310770号公報
ところで、従来の硫化亜鉛系の蛍光体は、そのほとんどが1〜10μm程度の粗大な粒子であり、量子サイズ効果が発現するような1〜10nmレベルの粒子を得ることが難しいという問題点があった。
その理由は、硫化亜鉛系の蛍光体は、その蛍光を発現するためには、Mn、Cu、Ag、Tb、F等の付活元素を硫化亜鉛結晶中に添加する必要があり、そのためには、高温で焼成する必要があるが、高温での焼成は粒成長を伴うために、1〜10nmレベルの粒子を得ることが困難だからである。
一方、従来の共沈法は、超微粒子を合成するのに優れているものの、この方法により合成された硫化亜鉛系の蛍光体は、付活元素の固溶度が低く、高発光効率の蛍光体を得ることが難しいという問題点があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、付活元素が非常に効率的に添加されたナノメートルサイズの化合物半導体超微粒子を、容易かつ安価に製造することが可能な化合物半導体超微粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討を行った結果、化合物半導体超微粒子と付活元素イオンとを液体に投入して、これらを液体中にて共存させ、その後、これら化合物半導体超微粒子及び付活元素イオンが共存した液体に加熱処理を施すことにより、付活元素が非常に効率的に添加された化合物半導体超微粒子を容易かつ安価に得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の化合物半導体超微粒子の製造方法は、化合物半導体超微粒子と付活元素イオンとを液体中に共存させ、これら化合物半導体超微粒子及び付活元素イオンが共存した液体に加熱処理を施すことにより、前記付活元素を前記化合物半導体超微粒子に添加することを特徴とする。
本発明の他の化合物半導体超微粒子の製造方法は、化合物半導体超微粒子を構成する元素のイオンと付活元素イオンとが共存する液体を調整し、これらのイオンが共存した液体から共沈法により前記付活元素が添加された化合物半導体超微粒子を析出させ、次いで、この化合物半導体超微粒子が析出した溶液に加熱処理を施すことにより、該溶液中に残存する付活元素を前記化合物半導体超微粒子に添加することを特徴とする。
これらの化合物半導体超微粒子の製造方法では、前記加熱処理の温度範囲は、50℃以上かつ300℃以下であることが好ましい。
前記加熱処理後に、付活元素が添加された化合物半導体超微粒子を酸性溶液により洗浄することが好ましい。
前記化合物半導体は、II−VI族化合物半導体であることが好ましい。
本発明の化合物半導体超微粒子の製造方法によれば、化合物半導体超微粒子と付活元素イオンとを液体中に共存させ、これら化合物半導体超微粒子及び付活元素イオンが共存した液体に加熱処理を施すことにより、前記付活元素を前記化合物半導体超微粒子に添加するので、付活元素を非常に効率的に添加することができ、その添加量を大幅に増加させることができる。したがって、付活元素が非常に効率的に添加されたナノメートルサイズの化合物半導体超微粒子を、容易かつ安価に製造することができる。
本発明の他の化合物半導体超微粒子の製造方法によれば、化合物半導体超微粒子を構成する元素のイオンと付活元素イオンとが共存する液体を調整し、これらのイオンが共存した液体から共沈法により前記付活元素が添加された化合物半導体超微粒子を析出させ、次いで、この化合物半導体超微粒子が析出した溶液に加熱処理を施すことにより、該溶液中に残存する付活元素を前記化合物半導体超微粒子に添加するので、付活元素を非常に効率的に添加することができ、その添加量を大幅に増加させることができる。したがって、付活元素が非常に効率的に添加されたナノメートルサイズの化合物半導体超微粒子を、容易かつ安価に製造することができる。
本発明の化合物半導体超微粒子の製造方法の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本発明の化合物半導体超微粒子の製造方法は、次の(1)または(2)に示す製造方法である。
(1)化合物半導体超微粒子と付活元素イオンとを液体中に共存させ、これら化合物半導体超微粒子及び付活元素イオンが共存した液体に加熱処理を施すことにより、前記付活元素を前記化合物半導体超微粒子に添加する方法。
この方法では、化合物半導体超微粒子と付活元素イオンとを共存させた液体を加熱することにより、溶解と再析出の過程で化合物半導体超微粒子の結晶格子中に付活元素が添加される。
この加熱処理は、液体の状態を維持したままで加熱する方法であれば、開放容器による還流処理、密閉容器による水熱処理のいずれの方法でもよく、その方法を限定するものではない。
加熱の温度範囲は、50℃以上かつ300℃以下であることが好ましい。
また、化合物半導体としては、II−VI族化合物半導体が好ましく、II−VI族化合物半導体としては、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、テルル化カドミウム(CdTe)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化カドミウム(CdO)から選択された1種または2種以上であることが好ましい。
付活元素としては、例えば、マンガン(Mn)、銅(Cu)、銀(Ag)、テルビウム(Tb)、ツリウム(Tm)、ユーロピウム(Eu)、サマリウム(Sm)、フッ素(F)、塩素(Cl)等が挙げられる。
(2)化合物半導体超微粒子を構成する元素のイオンと付活元素イオンとが共存する液体を調整し、これらのイオンが共存した液体から共沈法により前記付活元素が添加された化合物半導体超微粒子を析出させ、次いで、この化合物半導体超微粒子が析出した溶液に加熱処理を施すことにより、該溶液中に残存する付活元素を前記化合物半導体超微粒子に添加する方法。
この方法では、化合物半導体超微粒子を構成する元素のイオンと付活元素イオンとが共存する液体を調整する方法としては、例えば、溶媒中に、各種元素の塩、例えば、酢酸塩、塩化物等を溶解させて調整することができる。
ここで、溶媒としては水系溶媒が好ましく、水系溶媒としては、純水の他、例えば、純水90v/v%−エタノール10v/v%等のエタノールを5〜40v/v%含有した水−エタノール溶液、純水90v/v%−メタノール10v/v%等のメタノールを5〜40v/v%含有した水−メタノール溶液等が好適に用いられる。
この液体を調整した後、共沈法を利用して、付活元素が添加された化合物半導体超微粒子を析出させる。
例えば、硫化亜鉛(ZnS)超微粒子を析出させるには、まず、純水90v/v%−エタノール10v/v%等の水系溶媒に、亜鉛(Zn)源として、例えば、酢酸亜鉛(Zn(CHCOO))、硝酸亜鉛(Zn(NO)等を溶解し、得られた水溶液に、付活元素としてマンガン(Mn)、銅(Cu)、銀(Ag)、テルビウム(Tb)、ツリウム(Tm)、ユーロピウム(Eu)等を添加する。ここで、マンガン(Mn)を添加する場合、酢酸マンガン、塩化マンガン等のマンガン化合物を上記の水溶液に添加すればよい。
次いで、硫黄(S)源として、例えば、硫化ナトリウム(NaS)等を添加する。
この場合、亜鉛(Zn)源である酢酸亜鉛(Zn(CHCOO))、硝酸亜鉛(Zn(NO)等と、硫黄(S)源である硫化ナトリウム(NaS)等とが反応して硫化亜鉛(ZnS)が析出すると同時に、この硫化亜鉛(ZnS)中にMn等の付活元素が取り込まれることとなる。これにより、Mn等の付活元素を含む硫化亜鉛(ZnS)微粒子を作製することができる。
ここで、酢酸亜鉛(Zn(CHCOO))、硝酸亜鉛(Zn(NO)等の亜鉛(Zn)源の替わりに、カドミウム(Cd)源等のIIb族元素の塩を用いれば、カドミウム(Cd)等のIIb族元素の硫化物からなりかつ付活元素が添加された化合物半導体超微粒子を作製することができる。
また、これらIIb族元素の塩を溶解した水溶液に、セレン化ナトリウム(NaSe)等のようなセレン(Se)源を添加することにより、セレン化亜鉛(ZnSe)、セレン化カドミウム(CdSe)等のIIb族元素のセレン化物からなりかつ付活元素が添加された化合物半導体超微粒子を作製することができる。
さらに、これらIIb族元素の塩を溶解した水溶液に、水酸化ナトリウム(NaOH)等のような酸素(O)源を添加することにより、酸化亜鉛(ZnO)、酸化カドミウム(CdO)等のIIb族元素の酸化物からなりかつ付活元素が添加された化合物半導体超微粒子を作製することができる。
上記の水溶液に対しては、必要により、化合物半導体超微粒子の表面に配位する水溶性有機配位子を添加してもよい。この水溶性有機配位子の添加は、硫黄源やセレン源の添加の前でも後でも、いずれでもかまわない。
水溶性有機配位子としては、2−メルカプトエタノール、メルカプト酢酸、2−メルカプトエチルアミン、β−チオジグリコール、2,2’−チオ二酢酸等のチオール類、ヘキサリン酸、オクタリン酸、テトラリン酸、トリリン酸等のポリリン酸類、酢酸、アクリル酸、メタクリル酸等の有機酸等が挙げられる。
このようにして、共沈法により、水系溶媒中に平均一次粒子径が1〜10nm、好ましくは2〜7nmの化合物半導体超微粒子が分散された水系分散液(懸濁液)を作製することができる。
また、上記の水溶液中に、化合物半導体超微粒子の凝集を防止する物質(分散剤)を添加してもよい。
この凝集を防止する物質としては、例えば、炭素数が3以下のチオアルコール類が好適である。
炭素数が3以下のチオアルコール類としては、メルカプト基(−SH)を有する有機化合物(RSH:ただし、Rはアルキル基等の炭化水素基)であればよく、特に限定されないが、例えば、2−メルカプトエタノール、1−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−1−プロパノール、3−メルカプト−2−ブタノール、4−メルカプト−1−ブタノール、3−メルカプト−1−ヘキサノール、6−メルカプト−1−ヘキサノール、β−チオジグリコール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、3,3‘−チオジプロパノール等が好適に用いられる。
また、この際、上記の水溶液中の水素イオン指数(pH)を調整してアルカリ性とすることが好ましい。pHを調整してアルカリ性とする場合、pHは8以上かつ12以下が好ましく、より好ましくは8以上かつ11以下である。
pHの調整には、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、水酸化バリウム水溶液、アンモニア水等の強アルカリ性や弱アルカリ性の水溶液が好適に用いられる。
従来より、微粒子の分散剤として高分子の分散剤が用いられているが、この高分子の分散剤は嵩密度が高いために(理由は正しいでしょうか?)、ナノメートルサイズの化合物半導体超微粒子を分散させる場合に適用することができない。
また、水酸基(−OH)やカルボキシル基(−COOH)を含む水溶性の直鎖高分子も分散効果はあまり得られない。
本実施形態の製造方法においては、分散剤として炭素数が3以下のチオアルコール類を使用するので、ナノメートルサイズの化合物半導体超微粒子を均一分散させることができる。
特に、カルコゲナイド(酸素(O)、硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te)、ポロニウム(Po)の化合物)からなる化合物半導体超微粒子においては、カルコゲン原子の1つである硫黄(S)原子が化合物半導体超微粒子の表面に吸着するため、ナノメートルサイズの化合物半導体超微粒子を凝集なく、しかも均一に分散させることができる。また、分散剤による電子物性的な欠陥が生じる虞もない。
このカルコゲナイド化合物半導体超微粒子の表面に硫黄以外の原子が吸着した場合、この吸着部分は電子物性的に内部と大きく異なり、欠陥となる。このような欠陥は、蛍光発光のエネルギーを吸収して発光強度を非常に小さくしてしまうので、好ましくない。
この炭素数が3以下のチオアルコール類の添加量としては、上記の水溶液中に希薄な濃度で分散したナノメートルサイズの化合物半導体超微粒子の表面に確実に配位させることができることを考慮すると、上記の水溶液中の化合物半導体超微粒子の5倍モル量以上かつ10倍モル量以下が好ましい。
その理由は、この炭素数が3以下のチオアルコール類の添加量が化合物半導体超微粒子の5倍モル量未満では、ナノメートルサイズの化合物半導体超微粒子の表面における配位量が少なすぎて効果が充分に得られず、また、10倍モル量を超えて添加しても分散効果が向上しないからである。
固体表面におけるチオアルコール類の配位は、メルカプト基、アルコール基のいずれでも生じる可能性があるが、この製造方法においては、上記の水溶液中の水素イオン指数(pH)を調整してアルカリ性とすることにより、酸性状態では不活性であったメルカプト基を活性状態にすることができる。これにより、化合物半導体超微粒子の表面に優先的にメルカプト基を配位させることができ、よって、チオアルコール類の親水性のアルコール基を溶媒側に向けることができ、化合物半導体超微粒子同士の凝集等を防止することができる。したがって、化合物半導体超微粒子の水溶液中での分散性を向上させることができる。
この炭素数が3以下のチオアルコール類を分散剤として上記の水溶液中に添加するので、化合物半導体超微粒子を水溶液中に、凝集することなく、しかも均一に分散させることができ、特に、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、テルル化カドミウム(CdTe)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化カドミウム(CdO)等の化合物半導体超微粒子を均一分散させることができる。
また、平均一次粒子径が1〜10nmのナノメートルサイズの化合物半導体超微粒子を凝集なく均一分散させることができる。そして、この平均一次粒子径が1〜10nmのナノメートルサイズの化合物半導体超微粒子は、1mol/L(リットル)〜10mol/Lという高濃度で分散させることができる。
この分散状態では、水溶液中に存在する付活元素のごく一部のみが化合物半導体超微粒子の結晶格子中に取り込まれ、それ以外の付活元素は、化合物半導体超微粒子の表面近傍に凝縮あるいは偏析し、濃度消光の原因となる。
そこで、水溶液中において加熱処理を施すことにより、この水溶液中に存在する付活元素の溶解・再析出、および化合物半導体超微粒子の表面での化合物半導体微粒子の溶解・再析出の過程においては、凝縮あるいは偏析した付活元素が化合物半導体微粒子の結晶格子中に効率的に添加されることとなる。
この加熱処理の温度範囲は、付活元素の種類や量、凝集防止用に添加した化合物の種類や量等により異なるが、概ね50℃以上かつ300℃以下の温度が好ましい。例えば、付活元素としてマンガン(Mn)を、水溶性有機配位子として2−メルカプトエタノールを、それぞれ用いた場合、加熱処理の温度範囲は100℃以上かつ130℃以下が好ましい。
この加熱処理は、水溶液の状態を維持したままで加熱するものであればよく、特に限定されないが、開放容器による還流処理、あるいは密閉容器による水熱処理が好適である。
この加熱処理後に、付活元素が添加された化合物半導体超微粒子を酸性溶液により洗浄することが好ましい。
加熱処理後、この化合物半導体超微粒子の表面に存在する過剰の付活元素を洗浄により除去することにより、より効率的に付活元素が添加された化合物半導体超微粒子を得ることができる。
洗浄には、例えば、酸性溶液を用いることができ、酸性溶液としては、特にその種類は限定されないが、例えば、有機酸、無機酸、有機酸塩、無機酸塩等を用いることができる。また、弱酸性水溶液が好ましい。
本実施形態の化合物半導体超微粒子の製造方法によれば、化合物半導体超微粒子と付活元素イオンとを液体中に共存させ、これら化合物半導体超微粒子及び付活元素イオンが共存した液体に加熱処理を施すので、共沈法、水溶液中における加熱処理、さらに必要に応じて酸による洗浄という、極めて簡便な方法を組み合わせることにより、超徹細で極めて発光効率の高いナノメートルオーダの化合物半導体超微粒子を容易かつ安価に作製することができる。
また、この化合物半導体超微粒子を蛍光体として用いれば、超微細かつ極めて発光効率の高いナノ粒子蛍光体を提供することができる。
したがって、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセントディスプレイ(ELD)、電界放射型ディスプレイ(FED)、液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管(CRT)、蛍光表示管(VFD)等の表示装置の蛍光体、あるいは発光ダイオード等の光学素子における蛍光体の発光効率を大幅に向上させることができる。
以下、実施例1〜3及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
酢酸亜鉛2水和物を純水に溶解して酢酸亜鉛の濃度が0.2mol/L(リットル)の水溶液とし、さらに、この水溶液に、亜鉛の量に対してマンガンの量が0.5原子%(atm%)になるように酢酸マンガン4水和物を添加し、亜鉛・マンガン混液を作製した。
次いで、硫化ナトリウム9水和物を純水に溶解して硫化ナトリウムの濃度が0.4mol/Lの硫化ナトリウム水溶液を作製した。
次いで、上記の亜鉛・マンガン混液に、等量の硫化ナトリウム水溶液を室温(25℃)にて撹拝しながら添加し、中和共沈反応を行った。
次いで、この溶液に、さらに、この溶液中のZn量の5倍モルにあたる量の2−メルカプトエタノールを撹拝しながら添加し、Mn添加ZnS超微粒子分散液を得た。
次に、還流装置を用いて、この分散液を100℃にて3時間、加熱撹拝した。この加熱処理後、高分子中空糸限外濾過膜マイクローザUF(旭化成(株)社製)を用いて、分散液と当量の塩化アンモニウム0.1mol/L水溶液にて洗浄し、その後、純水にて500μS/cmの電気伝導度に達するまで洗浄し、次いで凍結乾燥を施し、Mn添加ZnS超微粒子を得た。
このMn添加ZnS超微粒子の発光特性を、FP−777型蛍光分光光度計(日本分光社製)を用いて測定した。ここでは、334nmの波長の光により励起して発光スペクトルを測定した。測定結果を図1に示す。
(実施例2)
酢酸亜鉛2水和物を純水に溶解して酢酸亜鉛の濃度が0.2mol/L(リットル)の水溶液とし、さらに、この水溶液に、亜鉛の量に対してマンガンの量が0.5原子%(atm%)になるように酢酸マンガン4水和物を添加し、亜鉛・マンガン混液を作製した。
次いで、硫化ナトリウム9水和物を純水に溶解して硫化ナトリウムの濃度が0.4mol/Lの硫化ナトリウム水溶液を作製した。
次いで、上記の亜鉛・マンガン混液に、等量の硫化ナトリウム水溶液を室温(25℃)にて撹拝しながら添加し、中和共沈反応を行った。
次いで、この溶液に、さらに、この溶液中のZn量の5倍モルにあたる量の2−メルカプトエタノールを撹拝しながら添加し、Mn添加ZnS超微粒子分散液を得た。
次に、還流装置を用いて、この分散液を100℃にて3時間、加熱撹拝した。この加熱処理後、高分子中空糸限外濾過膜マイクローザUF(旭化成(株)社製)を用いて、純水にて500μS/cmの電気伝導度に達するまで洗浄し、次いで凍結乾燥を施し、Mn添加ZnS超微粒子を得た。
このMn添加ZnS超微粒子の発光特性を、FP−777型蛍光分光光度計(日本分光社製)を用いて測定した。ここでは、334nmの波長の光により励起して発光スペクトルを測定した。測定結果を図1に示す。
(実施例3)
酢酸亜鉛2水和物を純水に溶解して酢酸亜鉛の濃度が0.2mol/Lの水溶液とし、さらに、この水溶液に、亜鉛の量に対してマンガンの量が0.5原子%(atm%)になるように酢酸マンガン4水和物を添加し、亜鉛・マンガン混液を作製した。
次いで、硫化ナトリウム9水和物を純水に溶解して硫化ナトリウムの濃度が0.4mol/Lの硫化ナトリウム水溶液を作製した。
次いで、上記の亜鉛・マンガン混液に、等量の硫化ナトリウム水溶液を室温(25℃)にて撹拝しながら添加し、中和共沈反応を行った。
次いで、この溶液に、さらに、この溶液中のZn量の5倍モルにあたる量の2−メルカプトエタノールを撹拝しながら添加し、Mn添加ZnS超微粒子分散液を得た。
次に、還流装置を用いて、この分散液を50℃にて3時間、加熱撹拝した。この加熱処理後、高分子中空糸限外濾過膜マイクローザUF(旭化成(株)社製)を用いて、純水にて500μS/cmの電気伝導度に達するまで洗浄し、次いで凍結乾燥を施し、Mn添加ZnS超微粒子を得た。
このMn添加ZnS超微粒子の発光特性を、FP−777型蛍光分光光度計(日本分光社製)を用いて測定した。ここでは、334nmの波長の光により励起して発光スペクトルを測定した。測定結果を図1に示す。
(比較例)
酢酸亜鉛2水和物を純水に溶解して酢酸亜鉛の濃度が0.2mol/L(リットル)の水溶液とし、さらに、この水溶液に、亜鉛の量に対してマンガンの量が0.5原子%(atm%)になるように酢酸マンガン4水和物を添加し、亜鉛・マンガン混液を作製した。
次いで、硫化ナトリウム9水和物を純水に溶解して硫化ナトリウムの濃度が0.4mol/Lの硫化ナトリウム水溶液を作製した。
次いで、上記の亜鉛・マンガン混液に、等量の硫化ナトリウム水溶液を室温(25℃)にて撹拝しながら添加し、中和共沈反応を行った。
次いで、この溶液に、この溶液中のZn量の5倍モルにあたる量の2−メルカプトエタノールを撹拝しながら添加し、Mn添加ZnS超微粒子分散液を得た。
次いで、この分散液を高分子中空糸限外濾過膜マイクローザUF(旭化成(株)社製)を用いて、純水にて500μS/cmの電気伝導度に達するまで洗浄し、次いで凍結乾燥を施し、Mn添加ZnS超微粒子を得た。
このMn添加ZnS超微粒子の発光特性を、FP−777型蛍光分光光度計(日本分光社製)を用いて測定した。ここでは、334nmの波長の光により励起して発光スペクトルを測定した。測定結果を図1に示す。
本発明の化合物半導体超微粒子の製造方法は、付活元素が非常に効率的に添加されたナノメートルサイズの化合物半導体超微粒子を、容易かつ安価に製造することが可能であるから、II−VI族化合物半導体超微粒子はもちろんのこと、III−V族化合物半導体超微粒子等の半導体超微粒子を製造する際にも極めて有用なものである。
実施例1〜3及び比較例の発光スペクトルを示す図である。

Claims (5)

  1. 化合物半導体超微粒子と付活元素イオンとを液体中に共存させ、これら化合物半導体超微粒子及び付活元素イオンが共存した液体に加熱処理を施すことにより、前記付活元素を前記化合物半導体超微粒子に添加することを特徴とする化合物半導体超微粒子の製造方法。
  2. 化合物半導体超微粒子を構成する元素のイオンと付活元素イオンとが共存する液体を調整し、これらのイオンが共存した液体から共沈法により前記付活元素が添加された化合物半導体超微粒子を析出させ、
    次いで、この化合物半導体超微粒子が析出した溶液に加熱処理を施すことにより、該溶液中に残存する付活元素を前記化合物半導体超微粒子に添加することを特徴とする化合物半導体超微粒子の製造方法。
  3. 前記加熱処理の温度範囲は、50℃以上かつ300℃以下であることを特徴とする請求項1または2記載の化合物半導体超微粒子の製造方法。
  4. 前記加熱処理後に、付活元素が添加された化合物半導体超微粒子を酸性溶液により洗浄することを特徴とする請求項1、2または3記載の化合物半導体超微粒子の製造方法。
  5. 前記化合物半導体は、II−VI族化合物半導体であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の化合物半導体超微粒子の製造方法。
JP2004084553A 2004-03-23 2004-03-23 化合物半導体超微粒子の製造方法 Withdrawn JP2005272516A (ja)

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