JP2005270528A - 人工歯根 - Google Patents

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秀希 青木
Tsuneo Hasegawa
経夫 長谷川
Kazuhide Ozeki
和秀 尾関
Yasuhiro Fukui
康裕 福井
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Abstract

【課題】 人工歯根を骨組織に埋入する際に、人工歯根を深く埋入し過ぎず、義歯との接着強度が強く、審美性の高い人工歯根を提供する。
【解決手段】 義歯が装着された際に義歯を支え固定する義歯支持部(2)と、骨組織に埋入される埋設部(3)と、前記義歯支持部と前記埋設部との間に設けられ、人工歯根が植立された場合には少なくともその一部が歯肉と接触する歯肉接触部(4)とを具備する人工歯根であって、前記歯肉接触部(4)の外形は、前記義歯支持部に近づくほど膨らむ形状であり、前記歯肉接触部と前記義歯支持部との境目には、義歯の下部が搭載される縁部(11)が設けられる人工歯根。
【選択図】 図3

Description

本発明は、人工歯根(インプラント)に関する。さらに詳しくは、義歯を確実に支持でき、適切なインプラント手術を可能とする人工歯根などに関する。
永久歯を抜歯した後の処理として人工歯根を用いたインプラント手術が知られている。人工歯根は、その形状によってブレード型、スクリュー型、シリンダー型、バスケット型などに分類されている。スクリュー型、シリンダー型及びバスケット型の人工歯根には、その外周の一部にらせん状の突起部が設けられネジのように機能するものもある。
図1に従来の人工歯根の例(特許文献1(特開平2−161939号公報)の図1に記載のもの)を示す。図1に示されるように、従来の人工歯根1は、義歯が装着された際に義歯を支え、固定する義歯支持部(2:同公報では義歯装着部)と、骨組織に埋入される埋設部(3:同公報では歯根部)と、前記義歯支持部と前記埋設部との間に設けられ、歯肉の少なくとも一部と接触する歯肉接触部(4:同公報では凸部)とを具備する。そして、埋設部には、らせん状の突起部5が形成されている。そのらせん状の突起部5には、カット面6が設けられている。なお、この例では、歯肉接触部が円柱状の凸部として形成されている。さらに、同公報の図2には、埋設部表面にハイドロキシアパタイトからなる薄膜層が形成された人工歯根が開示されている。なお、図中7は、埋設部のボディ部分である。
図2に従来の人工歯根のうち、図1に示すものとは別の例(特許文献2(特開2001−204743号公報)の図2に記載のもの)を示す。図2に示されるように、この従来の人工歯根1では、義歯支持部2が略円錐台状であり、その側面には、円錐台の軸を中心とした円を描くように形成された凹溝8が設けられる。その人工歯根の埋設部3には、らせん状の突起部5と環状の環状突起9が設けられる。さらに、その環状突起9には、凹部または平坦部10が設けられる。なお、図中7は、埋設部のボディ部分である。
従来の人工歯根では、人工歯根を骨組織に埋入する際に、予定以上に人工歯根を深く埋入してしまうという問題がある。すなわち、人工歯根がどこまで埋め込まれたか把握できず、歯肉接触部までも骨組織に埋入してしまうというという問題がある。
また、従来の人工歯根では、義歯を義歯支持部に固定する際に十分な固定強度が得られないという問題がある。
また、義歯を義歯支持部に固定する場合には、歯科用のセメントが用いられる。このセメントが、義歯と義歯支持部との間からはみ出してしまい、審美性に欠ける場合があるという問題がある。
図1に示されるような、ストレートタイプ(すなわち、各部の中心軸がおよそ一直線となるようなタイプ)の人工歯根では、前歯の人工歯根として適さない。すなわち、このような人工歯根を用いると、前歯が出っ歯になってしまうという問題がある。このような問題を解決するには、義歯支持部と、歯肉接触部及び埋設部とを別々に設けたいわゆる2ピースタイプのものを用いていた。すなわち、歯肉接触部と所定の角度を持って義歯支持部を接続していた。このようにすることで、人工歯根を施術した後の審美性を確保していた。しかしながら、このような2ピースタイプの人工歯根は、ネジにより接続しているため、十分な強度を得ることができず、ネジ部で人工歯根が折れるなどの問題がある。
特開平2−161939号公報 特開2001−204743号公報
本発明は、人工歯根を骨組織に埋入する際に、人工歯根を深く埋入し過ぎない人工歯根を提供することを目的とする。
本発明は、義歯との密着性の強く、義歯の安定性が高い人工歯根を提供することを別の目的とする。
本発明は、容易に義歯を設計、製作できる人工歯根を提供することを別の目的とする。
本発明は、セメントが義歯と義歯支持部との間からはみ出すことを防止し、審美性の高い人工歯根を提供することを別の目的とする。
本発明は、前歯などに用いても、審美性を維持しつつ折れにくい人工歯根を提供することを別の目的とする。
本発明は、咬合により生ずる横方向の応力を緩和できる人工歯根を提供することを別の目的とする。
本発明は、埋設しやすい人工歯根を提供することを別の目的とする。
(1) 上記の課題の少なくともひとつ以上を解決するため、本発明の人工歯根は、義歯が装着された際に義歯を支え、固定する義歯支持部と、骨組織に埋入される埋設部と、前記義歯支持部と前記埋設部との間に設けられ、人工歯根が植立された場合には少なくともその一部が歯肉と接触する歯肉接触部とを具備する人工歯根であって、前記歯肉接触部の外形は、前記義歯支持部に近づくほど膨らむ形状であり、前記歯肉接触部と前記義歯支持部との境目には、義歯の下部が搭載される縁部が設けられる。
本発明の人工歯根は、歯肉接触部の外形が義歯支持部に近づくほど膨らむ形状(特に、円錐台状)なので、人工歯根を骨組織に埋入する際に、歯肉接触部が埋入される抵抗となる。さらには、歯肉接触部が、骨組織に埋入されると、埋設部を埋入する場合とは抵抗が異なるので、術者にその抵抗が伝わる。これにより人工歯根を深く埋入し過ぎる事態を防止し得る。
本発明の人工歯根は、前記歯肉接触部と前記義歯支持部との境目には、義歯の下部が搭載される縁部が設けられるので、義歯の下部を搭載することで、義歯を安定な状態にでき、義歯との強い密着性を得られる人工歯根を提供できる。また、人工歯根に搭載する義歯を製造する際に、この縁部を目印などとして用いることができるので、容易に義歯を製造できることとなる。
本発明の人工歯根は、歯肉接触部と義歯支持部との境目に義歯の下部が埋設される歯埋設溝が設けられるので、義歯の下部をその溝に埋め込むことで十分な接着性を得ることができ、余分なセメントを必要としない。さらには、その溝は、セメントが義歯と義歯支持部との間からはみ出すことを防止することができるので、審美性の高い人工歯根を提供できる。
本発明の人工歯根は、歯肉接触部の外形が義歯支持部に近づくほど膨らむ形状なので、人工歯根を埋め込んだ後にレントゲンなどにより人工歯根の位置を容易に確認できる。
(2) 本発明の人工歯根は、好ましくは、前記縁部の幅の平均が、0.1mm〜0.7mmである。この幅を有する人工歯根であれば、義歯を容易に搭載し、固定することができる。
(3) 本発明の人工歯根は、好ましくは、義歯支持部の上面には、凹部が設けられる。このような構成をとるので、本発明の人工歯根は、義歯とより強固に接着することとなる。すなわち、凹部にまでセメント等の接着剤が入り込み、固化する。すると、この固化物が凹部内で、楔(くさび)のような役割をするので、義歯を接着した際の接着強度が強まるのである。
(4) 本発明の人工歯根は、好ましくは、義歯支持部が円錐台状であり、その側面には、円錐台の軸を中心とした円を描くように形成された凹溝が設けられる。すなわち、義歯支持部が円錐台状なので、効果的に義歯を搭載し、支持できる。また、このような凹溝は、義歯が接着された際に、義歯と人工歯根を強固に接着させることとなる(特開2001−204743号公報参照)。
(5) 本発明の人工歯根は、好ましくは、歯肉接触部の表面の少なくとも一部、好ましくは、全面は、鏡面加工されている。このように、歯肉接触部の表面の少なくとも一部が、鏡面加工されているので、歯肉に接した際に歯肉が感じる違和感が少ないという利点がある。すなわち、歯肉接触部の表面が粗いとちくちくするなど痛みや異物感を与える場合があるが、鏡面加工により歯肉接触部の表面が滑らかになっているので、人工歯根と歯肉との密着性がよく、さらには外部からの感染を防止できる。
(6) 本発明の人工歯根は、好ましくは、前記歯肉接触部の外形が、円錐台状である。義歯支持部に近づくほど膨らむ形状の代表例として円錐台状が挙げられ、この形状であれば、先に説明した機能を発揮できる。
(7) 本発明の人工歯根は、好ましくは、埋設部の表面の少なくとも一部には、リン酸カルシウム系物質を含む薄膜層が形成されている。ハイドロキシアパタイトなどのリン酸カルシウム系物質は、生体親和性が高いので、埋設部の表面には、ハイドロキシアパタイト等を含む薄膜層が形成されていれば、骨組織と早期に高い密着性を得られる。また、早期に人工歯根が安定化することとなる。
(8) 本発明の人工歯根は、好ましくは、前記埋設部の表面の少なくとも一部には、アパタイト焼結体の固体ターゲットを用い、出力200W〜1kW、アルゴン分圧0.01Pa〜10Paのスパッタ法を含む工程により形成されたハイドロキシアパタイトを含む0.1μm〜5μmの膜厚を有する薄膜層が形成されている。特にスパッタ法により形成されたハイドロキシアパタイト層は、緻密であり生体親和性が高まるので、このような構成を採用する人工歯根は、骨組織と高い接着性を得られる。
(9) 本発明の人工歯根は、好ましくは、埋設部の周囲の少なくとも一部には、らせん状の突起部が設けられる。埋設部の先端部分などにらせん状の突起部が設けられるので、らせん状の突起部をネジのように利用して、人工歯根を骨組織に埋入できる。
(10) 本発明の人工歯根は、好ましくは、埋設部の周囲の少なくとも一部には、らせん状の突起部が設けられ、前記らせん状の突起部の少なくとも一部には、凹部、又は平坦部が設けられる。らせん状の突起部の少なくとも一部には、凹部、又は平坦部が設けられるので、人工歯根が埋設された後に、これら凹部や平坦部が抵抗となって、人工歯根が回転することを防止する。このため、人工歯根が埋設された後に、人工歯根が抜ける事態や、人工歯根がさらに深く入り込む事態が発生することを軽減できる。
(11) 本発明の人工歯根は、好ましくは、前記らせん状の突起部は、下方に近づくにつれて先細となる先細突起部を含む。このような、先細突起部を有するので、本発明の人工歯根は、埋設しやすくなる。
(12) 本発明の人工歯根は、好ましくは、前記先細突起部の傾斜は、1°〜30°である。
(13)本発明の人工歯根は、好ましくは、前記先細突起部の長さが1mm〜10mmである。
(14) 本発明の人工歯根の別の態様としては、前記義歯支持部の軸と前記歯肉接触部の軸とのなす角が、1度〜25度である人工歯根があげられる。より具体的な人工歯根は、義歯が装着された際に義歯を支え、固定する義歯支持部と、骨組織に埋入される埋設部と、前記義歯支持部と前記埋設部との間に設けられる歯肉接触部とを具備する人工歯根であって、前記歯肉接触部の外形は、前記義歯支持部に近づくほど膨らむ形状であり、前記歯肉接触部と前記義歯支持部との境目には、義歯の下部が搭載される縁部が設けられ、前記義歯支持部の軸と前記歯肉接触部の軸とのなす角が、1度〜25度である。このように、義歯支持部の軸と前記歯肉接触部の軸とが傾斜していれば、例えば前歯用の人工歯根として好適に用いることができる。
なお、本明細書において「義歯支持部の軸」とは、義歯支持部の重心をとおる軸であり、義歯支持部が円錐台状の場合は円錐台の軸とほぼ一致するものである。「歯肉接触部の軸」についても、義歯支持部の軸と同様に考えることができる。
(15) 本発明の人工歯根は、好ましくは、前記義歯支持部、前記埋設部、及び前記歯肉接触部が一体成形されている。一体形成されているので、本発明の人工歯根は、各部位の連結部として十分な強度を有することとなる。これにより、本発明の人工歯根は、咀嚼中に折れるなどの事態が発生することを軽減できる。
本発明によれば、人工歯根を骨組織に埋入する際に、人工歯根を深く埋入し過ぎる事態を防止し得る人工歯根を提供できる。
本発明によれば、義歯との密着性の強く、義歯の安定性が高い人工歯根を提供することができる。
本発明によれば、容易に義歯を設計、製作できる人工歯根を提供することができる。
本発明によれば、セメントが義歯と義歯支持部との間からはみ出すことを防止し、審美性の高い人工歯根を提供できる。
本発明によれば、前歯にも好適に用いることのでき、折れにくい人工歯根を提供できる。
本発明によれば、埋設しやすい人工歯根を提供できる。
以下に、図面を参照しつつ本発明の人工歯根を説明する。図3は、本発明の人工歯根の基本的要素を示す概略構成図である。
図3に示されるように、本発明の人工歯根1は、義歯が装着された際に義歯を支え、固定する義歯支持部2と、骨組織に埋入される埋設部3と、前記義歯支持部と前記埋設部との間に設けられる歯肉接触部4とを具備する人工歯根であって、前記歯肉接触部4の外形は、前記義歯支持部に近づくほど膨らむ形状(例えば、円錐台状)であり、前記歯肉接触部と前記義歯支持部との境目には、義歯の下部が搭載される縁部11が設けられる。
(1.人工歯根)
人工歯根は、インプラントともよばれ、永久歯を抜歯したのちに永久歯(の歯根)の換わりに植立される人工の歯根である。
(1.1.義歯支持部)
義歯支持部2は、義歯が装着された際に義歯を支え、固定する部である。義歯支持部の形状は、公知の形状を採用でき特に限定されないが、例えば円柱状、楕円柱状、円錐台状、楕円錐台状、テーパー状(先細の形状)が挙げられ、義歯の大きさや形状などにあわせて適切なものが選択されればよい。
義歯支持部の材質は、人工歯根に用いられる公知の材質を、顎の状態や、義歯の形状などに応じて適宜選択すればよい。義歯支持部の材質として、純チタン、チタン合金、チタン・ニッケル合金、コランダムなどの人工サファイア、酸化アルミニウム、タンタルなどを1種類、又はこれらを組み合わせたものを用いることができる。
(1.1.1.縁部)
縁部11は、歯肉接触部4と義歯支持部2との境目にあり、義歯の下部が搭載される部分である。図3に示されるように、縁部11としては、歯肉接触部4の上面のうち義歯支持部2のすそ以外の領域であっても良い。縁部の形状は、図3に示されるように輪状のものが挙げられる。縁部の幅としては、義歯の下部を搭載することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、0.1mm〜0.7mmが挙げられ、好ましくは0.2mm〜0.6mmであり、0.3mm〜0.5mmであってもよく、具体的には、0.25mm、0.4mm、0.5mmなどが挙げられる。特に図示しないが、縁部11には、義歯の下部を埋め込むための溝が設けられていても良い。本発明では、従来の人工歯根には存在しない縁部を設けたので、義歯を安定な状態にでき、また義歯との密着性を高められる結果、余計な接着剤を使用せずに済む。それゆえ、審美性に優れた義歯を有する人工歯根を提供できる。
(1.1.2.凹部)
図3に示されるように、義歯支持部の上面には、好ましくは凹部12が設けられる。凹部は、義歯支持部の上面に設けられた凹み部分である。凹部の形状としては、角柱状、角錐台状、円柱状、円錐台状、楕円柱状、楕円錐台状などその機能を担保しうる公知の形状を採用でき、好ましくは四角柱状、四角錐状、六角柱状、又は六角錐台状であり、特に好ましくは図3に示されるような六角柱状である。多角錐台状とは、義歯支持部の上面には、多角形の切り欠きがあり、内部に行くほど多角形の切り欠きが大きくなるような形状である。凹部にまでセメント等の接着剤が入り込み、固化する。すると、この固化物が凹部内で、楔(くさび)のような役割をするので、義歯を接着した際の接着強度が強まる。
(1.1.3.凹溝)
図3に示されるように、義歯支持部の側面には、好ましくは凹溝8が設けられる。凹溝は、義歯支持部の側面に円錐台の軸を中心とした円を描くように形成された溝である(特開2001−204743号公報参照。同公報では、人工歯根の軸方向に垂直な方向に延びる凹溝とされている。)。凹溝は、義歯支持部の側面にひとつ又は二つ以上設けられていても良い。凹溝は、義歯支持部の側面を一周しても良いし、途中で途切れていても良い。凹溝の形状は、特に限定されないが、例えば円形の溝や、矩形の溝などが挙げられる。このような凹溝は、義歯が接着された際に、義歯と人工歯根を強固に接着させることとなる。
図4は、本発明の人工歯根に義歯13を搭載した際の概略図である。図4(a)は、義歯を搭載した人工歯根の外観を現す概略図である。図4(b)は、図4(a)の断面図である。図4(b)中、14は、セメントなどの接着剤である。図4に示されるように、本発明の人工歯根の義歯支持部は、義歯を支持する。義歯と、義歯支持部との間には、セメントなどの接着剤が塗布され、これが固化することにより義歯と義歯支持部とが接着される。
(1.2.埋設部)
埋設部は、人工歯根のうち骨組織に埋入される部分である。人工歯根は、埋設部の形状によって、ブレード型、スクリュー型、シリンダー型、バスケット型などに分類される。本発明の人工歯根として、好ましくはスクリュー型、シリンダー型、及びバスケット型のいずれかであり、特に好ましくはスクリュー型である。スクリュー型は、埋設部がネジのようになっているものである。スクリュー型は、ブレード型に比べ人工歯根を埋め込む穴が小さくて済み、さらには咀嚼力を効率よく歯につたえることができる。シリンダー型は、埋設部がおよそ円筒状になっているものである。バスケット型は、スクリュー型に類似して埋設部の周囲にらせん状の突起部がありネジのように機能するが、埋設部の周囲には空孔が設けられ、しかも埋設部自体が中空のものである。バスケット型は、中が中空なので、人工歯根の周囲や内部にも骨組織によって囲まれる。その結果人工歯根と、骨組織との接触面積が広くなり、咀嚼力を骨に効果的に伝えることができる。
埋設部の大きさは、人工歯根に用いられる公知の大きさを利用者の年齢、前歯か奥歯かなどの用途に合わせて適宜採用すればよい。埋設部のボディ部の直径としては、例えば2mm〜6mmが挙げられ、好ましくは3mm〜5mmであり、より具体的には3.3mm、3.7mm、4.0mm、5mmが挙げられる。埋設部の長さとしては、例えば、4mm〜14mmが挙げられ、好ましくは6mm〜10mmであり、7mm〜9mmであってもよい。
埋設部の材質は、先に説明した義歯支持部と同様のものを用いることができる。埋設部のボディ部分7の形状は、円柱状、先細の円錐台状などが挙げられる。本発明の人工歯根は、好ましくは、埋設部の周囲の少なくとも一部に、らせん状の突起部が設けられる。埋設部の先端部分などにらせん状の突起部が設けられるので、らせん状の突起部をネジのように利用して、人工歯根を骨組織に埋入できる。
図5は、本発明の人工歯根における埋設部の例を示す図である。図5(a)は、らせん状の突起部と歯肉接触部との間には帯部を有し、先端に突起部を有する埋設部の例を示す概略図である。図5(b)は、環状突起と、切り欠きを有する埋設部の例を示す概略図である。図5(c)は、らせん状の突起部と歯肉接触部との間に凹部を有する埋設部の例を示す概略図である。図5(d)は、らせん状の突起部と歯肉接触部との間に凸部を有する埋設部の例を示す図である。図5(e)は、らせん状の突起部が設けられ、そのらせん状の突起部は、下方に近づくにつれて先細となる先細突起部を含む埋設部の例を示す図である。
図5(a)に示されるように、埋設部は、らせん状の突起部5と歯肉接触部4との間には帯部15を有していてもよい。帯部の厚さとしては、0.5mm〜4mmが挙げられ、1mm〜3mmでもよく、1.5mm〜2.5mmでもよく、1.9mm〜2.1mmでもよい。この帯部は、好ましくは、下方に従うにしたがって、先細となる部分を含んでいる。埋設部の周囲の少なくとも一部には、好ましくはらせん状の突起部が設けられる。らせん状の突起部のピッチ(間隔)としては、0.5mm〜3mmが挙げられ、好ましくは1mm〜2mmである。なお、帯部15は通常埋設部に含まれるが、帯部が歯肉と接触する場合は、帯部が歯肉接触部に含まれていても良い。
前記らせん状の突起部の少なくとも一部には、好ましくは凹部、又は平坦部が設けられる。図5(a)に示されるように、らせん状の突起部の少なくとも一部には、凹部、又は平坦部が設けられるので、人工歯根が埋設された後に、これら凹部や平坦部が抵抗となって、人工歯根が回転することを防止する。このため、人工歯根が埋設された後に、人工歯根が抜ける事態や、人工歯根がさらに深く入り込む事態が発生することを軽減できる。また、図5(a)に示されるように、埋設部は、その先端(下部)に突起部16を有してもよい。突起部16は、例えば埋設部のボディ部分7より太い円柱状であり、人工歯根を植立後、人工歯根が骨組織にさらに埋入する事態を防止し、人工歯根を安定にする。
図5(b)に示されるように、埋設部は、環状突起9を有してもよく、また切り欠き18を有してもよい。環状突起は、人工歯根が植立された後の楔の役割をする。環状突起は、図5(b)に示されるように埋設部のボディ部分7より太く軸を同じくした環状のものが挙げあれ、1つ又は2つ以上設けられても良い。さらには、環状突起には、特に図示しないが、特開2001−204743号公報に記載のもののように平坦部や凹部が設けられていても良い。切り欠き部18は、埋設部の適当な箇所に設けられた切り欠きであり、人工歯根が植立された後は、やはり楔のような役割をして人工歯根を安定にする。
図5(b)に示されるように埋設部のボディ部分7の先端部には、テーパー部17が設けられてもよい。テーパー部は、先端に行くほど細くなっているので、人工歯根を骨組織に埋入する際の押し厚を高め、埋入作業をスムーズなものとすることができる。
図5(c)に示されるように、埋設部は、らせん状の突起部と歯肉接触部との間に凹部19を有してもよい。この凹部は、埋設部のボディ部分7より小さな径を有する円柱からなるものであっても良い。人工歯根が植立された後、この凹部には、骨組織が入り込み人工歯根が強固に固定されることとなる。
図5(d)に示されるように、埋設部は、らせん状の突起部と歯肉接触部との間に凸部20を有するものでもよい。この凸部20は、埋設部のボディ部分7より大きい径を有する円柱からなるものであっても良い。この凸部20は、特開平9−234209号公報にきさいの張り出し部のように隣接する人工歯根と接続可能なものであってもよい。
図5(e)に示されるように、埋設部の少なくとも一部には、らせん状の突起部が設けられ、らせん状の突起部は、下方に近づくにつれて先細となる先細突起部を含むものであってもよい。このような埋設部を有することで、人工歯根を容易に埋設できることとなる。前記先細突起部の傾斜は、1°〜30°があげられ、好ましくは3°〜20°であり、より好ましくは5°〜15°である。また、先細突起部の長さとしては1mm〜10mmがあげられ、好ましくは2mm〜8mmであり、より好ましくは3mm〜6mmである。先細突起部を設けることは、人工歯根を製造する際の手間が増える。しかしながら、人工歯根を埋設しやすくなる。
(1.2.1.薄膜層)
本発明の人工歯根は、好ましくは、埋設部の表面の少なくとも一部(好ましくは全部)に、リン酸カルシウム系物質を含む薄膜層が形成される。ハイドロキシアパタイトなどのリン酸カルシウム系物質は、生体親和性が高いので、埋設部の表面には、ハイドロキシアパタイト等を含む薄膜層が形成されていれば、骨組織との高い接着性を得られる。また、早期に人工歯根が安定化する。リン酸カルシウム系物質としては、ハイドロキシアパタイトの他、α−TCPや、β―TCPなどが挙げられる。
本発明の人工歯根は、好ましくは、前記埋設部の表面の少なくとも一部に、スパッタ法を含む工程により形成されたハイドロキシアパタイトを含む0.3μm〜5μmの膜厚を有する薄膜層が形成される。特にスパッタ法により形成されたハイドロキシアパタイト層は、緻密であり生体親和性が高まるので、このような構成を採用する人工歯根は、骨組織と高い接着性を得られる。薄膜層の膜厚は0.05μm〜10μmが挙げられ、好ましくは0.1μm〜5μmであり、より好ましくは0.5μm〜2μmであり、特に好ましくは0.8μm〜1.5μmである。なお、本明細書において、薄膜層の膜厚とは、薄膜層の平均の膜厚を意味する。
スパッタ法を含む工程によりハイドロキシアパタイトなどのリン酸カルシウム系物質を含む薄膜層を形成するためには、ターゲットとしてリン酸カルシウム系物質を用い、公知のスパッタ法を用いて、人工歯根の表面にリン酸カルシウム系物質を蒸着させる工程を含めばよい。すなわち、スパッタリングの種類、スパッタリングの際の真空度、ガスの種類、ガス圧、放電電圧、スパッタリング装置、排気部の構成、排気速度、スパッタリングの時間などは、公知のスパッタリングにおけるものから適宜選択すればよい。また、スパッタリングの前処理として人工歯根の表面をサンドブラスト、ビーズブラスト、研削加工、切削加工などにより粗面処理を施しても良い。スパッタリングのターゲットとして、好ましくはアパタイト焼結体の固体ターゲットである。粉末のものを用いると、粉末が飛散するので、出力を高くできない。そこで、ターゲットとして、アパタイト焼結体を用いれば、出力を高くできる。出力としては、好ましくは200W〜1kWであり、より好ましくは300W〜800Wであり、より好ましくは400W〜600Wであり、さらに好ましくは450W〜550Wであり、最も好ましくは550Wである。アルゴン分圧として好ましくは0.01Pa〜10Paであり、より好ましくは0.05Pa〜1Paであり、さらに好ましくは0.1Pa〜0.4Paであり、最も好ましくは0.2Paである。
ターゲットは、スパッタリングにより蒸発し、被覆体に蒸着する物質である。ターゲットのリン酸カルシウム系物質としては、ハイドロキシアパタイトや、ハイドロキシアパタイトの前駆体が挙げられる。ハイドロキシアパタイトの前駆体としては、α−TCPや、β―TCPなどが挙げられる。
スパッタリングにより蒸着した薄膜層は、好ましくは、スパッタリングを経た人工歯根を、純水もしくは蒸留水、またはカルシウムイオン、及びリン酸イオンのいずれか、または両方を含む溶液に浸漬する。このような溶液として、好ましくは水溶液、またはこれらのイオンを含むゲルが挙げられる。溶液は、リン酸イオン及びカルシウムイオンを含む溶液でもよいし、リン酸イオンを含む水溶液と、カルシウムイオンを含む水溶液とを用意し、これらに人工歯根を交互に浸漬してもよい。スパッタリングによりハイドロキシアパタイトを人工歯根の表面にコーティングした後は、ハイドロキシアパタイトを含む薄膜層に、ピロリン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、酸化カルシウムなどの副生成物も含まれていることがある。そこで、そのような場合には、人工歯根をリン酸及び/又はカルシウムイオンを含む溶液に浸漬することにより、コーティング層に含まれる副生成物が除去され、またコーティング層表面に新たにハイドロキシアパタイト層が形成されることになる。それゆえ、ハイドロキシアパタイト層の膜厚を維持しつつ、純度が高く、緻密なハイドロキシアパタイト層を得ることができる。
副生成物を除去するためなどの浸漬処理に用いられる装置としては、人工歯根を浸漬できる装置であれば、公知の装置において行うことができ、特に限定されるものではないが、例えば桶形状を有する浸漬槽を用いることができる。
人工歯根を浸漬する溶液が、リン酸イオン及びカルシウムイオンを含む場合、カルシウムとリンとのモル比としては、0.2〜3が挙げられ、好ましくは0.28〜2である。また、人工血清における上記モル比がおよそ1.67であるので、上記モル比として好ましくは1.5〜1.8であり、さらに好ましくは1.65〜1.7であり、特に好ましくは1.67である。なお、人工唾液における上記モル比がおよそ0.28なので、モル比が0.2〜0.8、好ましくは0.25〜0.35としてもよい。このような、モル比の溶液であれば、ハイドロキシアパタイトと近いモル比の溶液であるので、スパッタリングによる副生成物を除去した後に、純度の高いハイドロキシアパタイトが析出することとなる。なお、リン酸イオン及び/又はカルシウムイオンを含む溶液としては、これらのイオンを含むゲルであってもよい。
溶液の温度としては、10℃〜300℃が挙げられ、好ましくは45℃〜200℃であり、より好ましくは60℃〜150℃であり、さらに好ましくは60℃〜90℃である。浸漬時間としては、1時間〜1週間が挙げられ、より好ましくは10時間から3日間が挙げられ、さらに好ましくは15時間〜2日間が挙げられ、特に好ましくは20時間から28時間が挙げられる。
(1.3.歯肉接触部)
歯肉接触部は、義歯支持部と埋設部との間に設けられ、歯肉の少なくとも一部と接触する部である。歯肉接触部の材質は、義歯支持部と同様のものを用いることができる。歯肉接触部の外形は、前記義歯支持部に近づくほど膨らむ形状であり、好ましくは円錐台状である。図5(c)のように、埋設部うち上部に凹部19が設けられる場合は、この部位には通常骨組織が形成されるので、歯肉接触部としてはその上部4を意味すればよい。
図6は、歯肉接触部の形状を説明するための図である。図6(a)は、義歯支持部に近づくほど幅が広がる円錐台状の歯肉接触部の側面図である。図6(b)は、義歯支持部に近づくほど幅が広がる曲線状の側面を有する歯肉接触部の側面図である。本発明の人工歯根は、歯肉接触部の外形が義歯支持部に近づくほど膨らむ形状(特に、円錐台状)なので、人工歯根を骨組織に埋入する際に、歯肉接触部が埋入される抵抗となる。さらには、歯肉接触部が、骨組織に埋入されると、埋設部を埋入する場合とは抵抗が異なるので、術者にその抵抗が伝わる。これにより人工歯根を深く埋入し過ぎる事態を防止し得る。
義歯支持部に近づくほど膨らむ形状は、先に説明したとおり、円錐台状などが挙げられる。歯肉接触部と、歯肉接触部の上面(図3において、縁部11を有する面)の面積(義歯支持部の面積を含むもの)は、歯肉接触部の下面(埋設部の面積を含むもの)の1.01倍〜2倍が挙げられ、好ましくは1.05倍〜1.5倍であり、より好ましくは1.1倍〜1.2倍である。適宜、1.1倍〜1.3倍、1.05倍〜1.25倍、1.05倍〜1.4倍などとしてもよい。具体的な上面の直径としては、4.8mmなどが挙げられる。
歯肉接触部の表面の少なくとも一部(または、全面)には、好ましくは鏡面加工が施される。鏡面加工は、公知の表面研削、表面切削により施せばよい。鏡面加工が施された部分の、表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)で、0.001μm〜0.1μmが挙げられ、好ましくは0.005μm〜0.05μmであり、より好ましくは0.01μm〜0.03μmである。
歯肉接触部にも、リン酸カルシウム系物質を含む薄膜層(特にハイドロキシアパタイトを含む薄膜層)が形成されていても良い。鏡面加工後にリン酸カルシウム系物質を含む薄膜層が形成されても良いし、リン酸カルシウム系物質を含む薄膜層を形成した後に鏡面加工を施しても良い。歯肉接触部にリン酸カルシウム系物質を含む薄膜層を形成するためには、上記の埋設部に薄膜層を形成すると同時に行ってもよい。したがって、歯肉接触部のリン酸カルシウム系物質を含む薄膜層は、埋設部のリン酸カルシウム系物質を含む薄膜層と同様のものを採用でき、その形成方法も同様であってもよい。
(1.4.その他)
本発明の人工歯根は、好ましくは、前記義歯支持部、前記埋設部、及び前記歯肉接触部が一体成形されている。一体形成されているので、本発明の人工歯根は、各部位の連結部として十分な強度を有することとなる。これにより、本発明の人工歯根は、咀嚼中に折れるなどの事態が発生することを軽減できる。
(1.5.製造方法)
本発明の人工歯根は、公知の人工歯根の製造方法に従って製造することができ、特に限定されるものではない。
(2.人工歯根の別の態様−1−)
図7に、本発明の人工歯根の別の例を示す。図7に示されるように本発明の人工歯根の別の態様としては、義歯が装着された際に義歯を支え、固定する義歯支持部と、骨組織に埋入される埋設部と、前記義歯支持部と前記埋設部との間に設けられる歯肉接触部とを具備する人工歯根であって、前記歯肉接触部の外形は、前記義歯支持部に近づくほど膨らむ円錐台状であり、前記歯肉接触部と前記義歯支持部との境目には、義歯の下部が埋設される義歯埋設溝が設けられ、前記義歯支持部と前記歯肉接触部とはともに円錐台状であり、前記義歯支持部の軸21と前記歯肉接触部の軸22とのなす角23が、1度〜25度のものが挙げられる。このように、義歯支持部の軸と前記歯肉接触部の軸とが傾斜していれば、例えば前歯用の人工歯根として好適に用いることができる。
この実施態様における義歯支持部の軸と歯肉接触部の軸とのなす角は、1度〜25度が挙げられ、好ましくは5度〜15度である。義歯支持部の軸とは、義歯支持部の重心をとおる軸であり、義歯支持部が円錐台状の場合は円錐台の軸とほぼ一致する。歯肉接触部の軸も、義歯支持部の軸と同様に考えることができる。なお、この態様の人工歯根についても、先に説明した人工歯根についての構成、製造方法などを全て採用することができる。
(3.人工歯根の別の態様−2−)
本発明の人工歯根の別の具現例は、人工歯根の埋設部の上部に帯部15を設け、更にその帯部が下方に行くにしたがって先細となるような形状(たとえば、1つまたは複数の円錐台状からなる形状)としたものである。この帯部を有する人工歯根としては、これまで説明した人工歯根に以下説明するような帯部を設けたものを用いればよい。この人工歯根は、基本的には、図5(a)に示されるような人工歯根の帯部15に1段階または多段階の傾斜部を設けたものである。咬合により人工歯根には、横方向の応力が働く。この応力は、特に埋設部3と歯肉接触部4との境目など境目に集中する。小さな箇所に応力が集中すると、人工歯根が折れるなどの問題がある。この問題を解決するために、人工歯根の埋設部の上部に帯部15を設け、更にその帯部が下方に行くにしたがって先細となるような形状とすればよい。このような形状にすることで、横方向の応力を緩和することができる。
帯部の厚さとしては、先に説明したと同様、0.5mm〜4mmが挙げられ、1mm〜3mmでもよく、1.5mm〜2.5mmでもよく、1.9mm〜2.1mmでもよい。傾斜部の数としては、1段、2段、または3段以上が挙げられるが、好ましくは2段である。傾斜部としては、帯部の下方に行くほど、先細となるものが好ましい。
図8は、埋設部上部の帯部の例を説明するための図である。図8(a)に示されるように、帯部15としては、下部に進むにしたがい先細となる2つの略円錐台形状の傾斜部(24,25)からなるものが挙げられる。そのうち、上部傾斜部(義歯支持部に近い方)24と、下部傾斜部25との厚さの比としては、3:1〜1:30、1:1〜1:10、1:2〜1:4、2:5〜1:4など、応力を計算して適宜調整すればよい。上部と、下部の傾斜部における傾斜は、上記それぞれの厚さの比に対して以下のものが挙げられる。すなわち、上部傾斜部の傾斜26としては、0度〜1度、または1度〜30度が挙げられ、好ましくは3度〜20度であり、より好ましくは5度〜15度であり、更に好ましくは6度〜10度であり、最も好ましくは7度〜10度である。また、下部傾斜部の傾斜27としては、上部の傾斜より角度が大きいものが好ましく、具体的には10度〜60度が挙げられ、好ましくは15度〜45度であり、より好ましくは20度〜40度であり、更に好ましくは25度〜35度である。具体的には、上部の厚さが1.5mmで傾斜が8度、下部の厚さが0.5mmで傾斜が30度のものが挙げられる。
図8(b)に示されるように、帯部15の別の例としては、下部に進むにしたがい先細となる3つの傾斜部からなるものが挙げられる。それらの傾斜部の厚さ、傾斜は、適宜調整すればよい。
図8(c)に示されるように、帯部15の別の例としては、多段階傾斜のうち、少なくともひとつの傾斜部には傾斜がないものであっても良い。
本発明の人工歯根は、人工歯根として販売され、歯科医による歯科治療に大いに利用され得る。
図1は、従来の人工歯根の例を示す概略図である(特開平2−161939号公報より引用)。 図2は、従来の人工歯根のうち、図1に示すものとは別の例を示す概略図である(特開2001-204743号公報より引用)。 図3は、本発明の人工歯根の基本的要素を示す概略構成図である。 図4は、本発明の人工歯根に義歯13を搭載した際の概略図である。図4(a)は、義歯を搭載した人工歯根の外観をあらわす概略図である。図4(b)は、図4(a)の断面図である。 図5は、本発明の人工歯根における埋設部の例を示す図である。図5(a)は、らせん状の突起部と歯肉接触部との間には帯部を有し、先端に突起部を有する埋設部の例を示す概略図である。図5(b)は、環状突起と、切り欠きを有する埋設部の例を示す概略図である。図5(c)は、らせん状の突起部と歯肉接触部との間に凹部を有する埋設部の例を示す概略図である。図5(d)は、らせん状の突起部と歯肉接触部との間に凸部を有する埋設部の例を示す図である。図5(e)は、らせん状の突起部が設けられ、そのらせん状の突起部は、下方に近づくにつれて先細となる先細突起部を含む埋設部の例を示す図である。 図6は、歯肉接触部の形状を説明するための図である。図6(a)は、義歯支持部に近づくほど幅が広がる円錐台状の歯肉接触部の側面図である。図6(b)は、義歯支持部に近づくほど幅が広がる曲線状の側面を有する歯肉接触部の側面図である。 図7は、本発明の人工歯根の別の例を示す図である。 図8は、埋設部上部の帯部の例を説明するための図である。
符号の説明
1 人工歯根
2 義歯支持部
3 埋設部
4 歯肉接触部
5 突起部
6 カット面
7 埋設部のボディ部分
8 凹溝
9 環状突起
10 凹部または平坦部
11 縁部
12 凹部
13 義歯
14 接着剤
15 帯部
16 突起部
17 テーパー部
18 切り欠き部
19 凹部
20 凸部
21 義歯支持部の軸
22 歯肉接触部の軸
23 義歯支持部の軸と歯肉接触部の軸とがなす角
24 帯部の上部傾斜部
25 帯部の下部傾斜部
26 上部傾斜部の傾斜
27 下部傾斜部の傾斜

Claims (15)

  1. 義歯が装着された際に義歯を支え、固定する義歯支持部と、
    骨組織に埋入される埋設部と、
    前記義歯支持部と前記埋設部との間に設けられ、少なくともその一部が歯肉と接触する歯肉接触部と、
    を具備する人工歯根であって、
    前記歯肉接触部の外形は、前記義歯支持部に近づくほど膨らむ形状であり、
    前記歯肉接触部と前記義歯支持部との境目には、義歯の下部が搭載される縁部が設けられる、人工歯根。
  2. 前記縁部は、その幅の平均が、0.1mm〜0.7mmである請求項1に記載の人工歯根。
  3. 前記義歯支持部の上面には、凹部が設けられる請求項1に記載の人工歯根。
  4. 前記義歯支持部が円錐台状であり、
    前記義歯支持部の側面には、円錐台の軸を中心とした円を描くように形成された凹溝が設けられる請求項1に記載の人工歯根。
  5. 前記歯肉接触部の表面の少なくとも一部は、鏡面加工される請求項1に記載の人工歯根。
  6. 前記歯肉接触部が、円錐台状である請求項1に記載の人工歯根。
  7. 前記埋設部の表面の少なくとも一部には、リン酸カルシウム系物質を1種又は2種以上含む薄膜層が形成される請求項1に記載の人工歯根。
  8. 前記埋設部の表面の少なくとも一部には、アパタイト焼結体の固体ターゲットを用い、出力200W〜1kW、アルゴン分圧0.01Pa〜10Paのスパッタ法を含む工程により形成されたハイドロキシアパタイトを含む0.1μm〜5μmの膜厚を有する薄膜層が形成される請求項1に記載の人工歯根。
  9. 前記埋設部の周囲の少なくとも一部には、らせん状の突起部が設けられる請求項1に記載の人工歯根。
  10. 前記らせん状の突起部の少なくとも一部には、凹部、又は平坦部が設けられる請求項9に記載の人工歯根。
  11. 前記らせん状の突起部は、下方に近づくにつれて先細となる先細突起部を含む請求項9に記載の人工歯根。
  12. 前記先細突起部の傾斜は、1°〜30°である請求項11に記載の人工歯根。
  13. 前記先細突起部の長さが1mm〜10mmである請求項11に記載の人工歯根。
  14. 前記義歯支持部の軸と前記歯肉接触部の軸とのなす角が、1度〜25度である請求項1に記載の人工歯根。
  15. 前記義歯支持部、前記埋設部、及び前記歯肉接触部が一体成形された請求項1、又は請求項14に記載の人工歯根。
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