JP2005269364A - 通信路状態検出方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 インターネットのようなベストエフォート型サービスを提供するネットワークにおいて、ネットワークにおける通信路の状態を早期に検出する方法、装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】 送信元ノード10のタイムスタンプ埋込手段11が、送信時刻をRTPパケットのヘッダのタイムスタンプに埋め込み、通信手段12が、送信間隔を一定に保ちながらRTPパケットを送信先ノード20へ送信する。送信先ノード20の転送時間処理手段22は、受信したRTPパケットのヘッダのタイムスタンプ(送信時刻)とRTPパケットの受信時刻とに基づいて、RTPパケットの片方向転送時間を算出する。通信路状態判断手段23は、転送時間処理手段22により算出された片方向転送時間の増加傾向を検出し、通信路の状態を判断する。
【選択図】 図5

Description

本発明は、インターネットのようなベストエフォート型サービスを提供するネットワークにおいて、ネットワークの負荷集中や輻輳による転送遅延揺らぎ及びパケット損失を回避するための通信制御に有効な通信路状態検出技術に関する。
インターネットで一般的に用いられるトランスポートプロトコル(伝送プロトコル)であるTCP(Transport Control Protocol)を用いたネットワークにおいて、送信元ノードは、受信確認メッセージ(Acknowledgement)を送信先ノードから受信することにより、送信元ノードと送信先ノードとの間の通信路の状態を把握している。
また、インターネット関連の標準文書であるRFC1889(例えば、非特許文献1を参照。)で勧告されたRTP(REAL−time Transport Protocol)/RTCP(Real−time Control Protocol)を用いたネットワークにおいて、送信先ノードは、送信元ノードから送信されるRTPパケットの到着時間揺らぎを加算平均することによりジッタを算出し、送信元ノードとの間で定期的に取り交わすRTCPパケットを用いてそのジッタ情報を送信元ノードへ通知する。そして、送信元ノードは、送信先ノードとの間の往復転送時間(RTT)をRTCPパケットを用いて算出する。このように、送信元ノードは、前記ジッタ情報及び往復転送時間により、送信元ノードと送信先ノードとの間の通信路の状態を把握している。
また、送信先ノードが、受信バッファに格納されるパケットのデータサイズを監視し、そのデータサイズの増加量が鈍化した場合に、その旨を送信元ノードへ通知する。そして、送信元ノードは、この通知により、送信元ノードと送信先ノードとの間の通信路の状態を把握している。
一方、ネットワークの有効帯域(空き帯域)を測定するPathloadという手法が提案されている。この手法は、送信元ノードから送信先ノードへの片道転送時間の増加/減少傾向を観測しながら、送信元ノードが送信間隔を変更することを繰り返すことにより、片道転送時間がほぼ一定となる送信間隔における帯域を有効帯域と判断するものである(例えば、非特許文献2を参照。)。
RTP:A Transport Protocol for Real-Time Applications、[online]、1996年1月、[平成16年3月10日検索]、インターネット<URL:ftp://ftp.isi.edu/in-notes/rfc1889.txt> M.Jain and C.Dovrolis、"Pathload:A measurement tool for end-to-end available bandwidth"、In Proceedings of Passive and Active Measurements(PAM) Workshop、Mar.2002
ベストエフォート(最大限の努力)型サービスであるインターネットでは、通信を行っているネットワークにおける輻輳を避けることができない。このため、輻輳によるデータの大幅な損失を防ぐための通信制御が行われており、また、輻輳を検出する方法も様々である。
また、TCPを用いたネットワークでは、パケット損失を検出することにより輻輳を判断している。しかし、これはパケット損失に基づいた輻輳判断であるため、パケット損失が発生する程度の輻輳を未然に検出することは不可能である。また、例えば無線通信のように通信路の状態が悪いだけであって、トラヒックが輻輳していない場合でも、パケット損失が発生すると、通信路に輻輳が生じたものと判断してしまう。
また、RTP/RTCPを用いたネットワークでは、RTP/RTCPにより測定されるジッタや往復転送時間は通信路によって様々であるため、通信路の輻輳を判断できる汎用的な閾値を設定することが不可能である。
また、送信先ノードが受信バッファに格納されるパケットのデータサイズを監視するネットワークでは、ネットワークの輻輳によりパケットの転送時間が大きくなった場合に、受信バッファに格納されるパケットのデータサイズの増加量が鈍化する傾向を検出する。しかし、送信側の送信方法によっては、前記受信バッファにおけるデータサイズの増加量鈍化傾向を誤認してしまうケースもある。例えば、ある程度の数のパケットをまとめてバースト転送する場合には、受信バッファのデータサイズの増加量が鈍化する傾向にあるにもかかわらず、その傾向を検出することができないこともあり得る。
そこで、本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、インターネットのようなベストエフォート型サービスを提供するネットワークにおいて、ネットワークにおける通信路の状態を早期に検出する方法、装置及びプログラムを提供することにある。
本発明の請求項1の通信路状態検出方法は、送信元ノードと送信先ノードとの間の通信路の状態を検出する方法において、送信元ノードから送信先ノードへ送信間隔を一定に保ちながらデータを転送し、送信元ノードから送信先ノードへデータを転送するために要する時間を逐次測定し、当該転送時間の増加傾向を判断し、当該増加傾向に基づいて前記通信路の輻輳状態を検出することを最も主な特徴とする。
本発明の請求項2の通信路状態検出方法は、請求項1に記載の通信路状態検出方法において、前記測定した転送時間を用いて、連続するデータの転送時間差を算出し、当該転送時間差に基づいて前記転送時間の増加傾向を判断することを特徴とする。
本発明の請求項3の通信路状態検出方法は、請求項1または2に記載の通信路状態検出方法において、送信元ノードから送信先ノードへ一定の大きさのグループに分けたデータを転送し、前記グループ単位で転送時間の統計情報を算出し、当該統計情報に基づいて前記転送時間の増加傾向を判断することを特徴とする。
本発明の請求項4の通信路状態検出方法は、請求項3に記載の通信路状態検出方法において、前記測定した転送時間を連続するデータ順にそれぞれ比較し、後のデータの転送時間が先のデータの転送時間よりも大きい割合を算出し、当該割合に基づいて前記転送時間の増加傾向を判断することを特徴とする。
本発明の請求項5の通信路状態検出方法は、請求項3に記載の通信路状態検出方法において、前記測定した転送時間を用いて、連続するデータの転送時間差の揺らぎを算出し、同一グループにおける最初のデータを最後のデータとの転送時間差を算出し、前記揺らぎに対する前記最初と最後の転送時間差の割合を算出し、当該割合に基づいて前記転送時間の増加傾向を判断することを特徴とする。
本発明の請求項6の通信装置は、複数の通信装置がネットワークを構成する通信路を介して接続されるデータ転送システムの下で、当該通信路の状態を検出する通信装置において、他の通信装置から当該通信装置へ送信間隔を一定に保ちながらデータを転送する場合に、当該データを転送するために要する時間を逐次測定する手段と、当該手段により測定された転送時間の増加傾向を判断し、当該増加傾向に基づいて前記通信路の輻輳状態を検出する手段とを備えたことを特徴とする。
本発明の請求項7の通信路状態検出プログラムは、複数の通信装置がネットワークを構成する通信路を介して接続されるデータ転送システムの下で、当該通信路の状態を検出する通信装置を構成するコンピュータに実行させる通信状態検出プログラムであって、他の通信装置から当該通信装置へデータを転送するために要する時間を逐次測定する処理と、当該転送時間の増加傾向を判断する処理と、当該増加傾向に基づいて前記通信路の輻輳状態を検出する処理とを実行させることを特徴とする。
本発明によれば、ベストエフォート型サービスを提供するインターネット網等のネットワークにおいて、転送時間の増加傾向に基づいて、データの送受信を行う2地点の通信装置間の通信路における輻輳等の状態を早期に検出することができる。また、これを輻輳回避や通信品質維持のための通信制御に利用することにより、ネットワークの障害や輻輳によるデータ損失や遅延を避けることができ、ネットワークにおける通信品質の向上を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態は、説明を分かりやすくするために効果が顕著である実時間型のデータ転送方法を例にとり、ネットワーク品質を監視する仕組みを備えているRTP/RTCPを利用したものである。図1は、トランスポートプロトコルにRTPを用いた実時間型のデータ転送システムを示すコネクション構成図である。図1に示すように、通信路であるネットワーク3を介して接続される送信元ノード1と送信先ノード2との間は、RTCPのUDP(User Datagram Protocol)チャンネルが確立される。このRTCPは、RTPによるRTPパケットの伝送を制御するために用いられ、データ配信の品質情報をアプリケーションに提供する機能を有する。このようなデータ転送システムの下で、送信元ノード1及び送信先ノード2は、RTPパケットの送受信を行う。
次に、図2を参照して、RTPパケットのヘッダのフォーマットを説明する。RTPパケットは、ヘッダ及びペイロードから構成される。RTPパケットのヘッダは、バージョン番号、パディング、拡張ビット、コントリビュータカウント、マーカビット、ペイロードタイプ、シーケンス番号、タイムスタンプ、同期ソース識別子及び貢献ソース識別子から構成される。本発明の実施の形態では、RTPパケットのヘッダの構成要素のうちのペイロードタイプ及びタイムスタンプを用いる。
以下、本発明の実施の形態の動作について、その概略を説明する。送信元ノード1は、図2に示したRTPパケットのヘッダのペイロードタイプによって規定された周波数で、RTPパケットを送信先ノード2へ送信する送信時間(時刻)を、RTPパケットのヘッダのタイムスタンプに埋め込み、送信間隔を一定に保ちながらRTPパケットを送信先ノード2へ送信する。
送信先ノード2は、送信時刻がタイムスタンプに埋め込まれたRTPパケットを受信すると、当該タイムスタンプとRTPパケットの受信時刻とに基づいて、送信元ノード1から送信先ノード2へのRTPパケットの片方向転送時間(送信元ノード1から送信先ノード2へRTPパケットを転送するのに要する時間)または片方向転送時間差(連続して受信した2つのRTPパケットについて、先のRTPパケットの片方向転送時間と後のRTPパケットの片方向転送時間との時間差)を算出する。そして、送信先ノード2は、算出した片方向転送時間または片方向転送時間差に基づいて、片方向転送時間の増加傾向を検出してネットワーク3の通信路の状態を判断する。例えば、送信先ノード2は、片方向転送時間が増加傾向にあることを検出した場合には、ネットワーク3の通信路はRTPパケットパケットの損失が生じる状態である輻輳状態になる可能性がある(輻輳状態になる直前の状態である)ものと判断する。一方、片方向転送時間が増加傾向にないことを検出した場合には、ネットワーク3の通信路は輻輳状態ではない、または輻輳状態にならないものと判断する。
ここで、本発明の実施の形態では、送信元ノード1が、送信間隔を一定に保ちながらRTPパケットを送信先ノード2へ送信し、送信先ノード2が、他のトラフィック変動に伴う自らのトラフィックにおける片方向転送時間の増加傾向を検出し、通信路が輻輳状態であるか否かを判断する。これに対し、前述した従来のPathload手法では、片道転送時間の増加/減少傾向を検出しながら、送信元ノードが送信間隔を変更することを繰り返すことにより、片道転送時間がほぼ一定となる送信間隔における帯域を有効帯域と判断するものである。従って、本発明の実施の形態と従来のPathload手法とは、目的、データの送信方法、及び監視する片方向転送時間の振る舞いが異なる。以下、実施例1〜5を用いて、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
本発明の第1の実施例について、図3及び図5を参照して説明する。
図3は、実施例1におけるデータ転送システムの構成を示すブロック図である。本データ伝送システムは、送信元ノード10及び送信先ノード20を備え、送信元ノード10及び送信先ノード20は、通信路であるネットワーク30を介して接続される。また、送信元ノード10と送信先ノード20との間は、図1に示したように、RTCPのUDPチャンネルが確立され、RTCPの制御の下でRTPパケットが送受信される。送信元ノード10は、タイムスタンプ埋込手段11及び通信手段12を備えている。送信先ノード20は、通信手段21、転送時間処理手段22及び通信路状態判断手段23を備えている。
送信元ノード10のタイムスタンプ埋込手段11は、RTPパケットのヘッダのペイロードタイプによって規定された周波数で、RTPパケットを送信先ノード20へ送信する送信時刻をヘッダのタイムスタンプに埋め込む。通信手段12は、送信時刻がタイムスタンプに埋め込まれたRTPパケットを、送信間隔を一定に保ちながら送信先ノード20へ送信する。
送信先ノード20の通信手段21は、送信元ノード10から送信されたRTPパケットを受信する。転送時間処理手段22は、受信したRTPパケットのヘッダのタイムスタンプ(送信時刻)とRTPパケットの受信時刻とに基づいて、送信元ノード10から送信先ノード20へのRTPパケットの片方向転送時間を算出する。通信路状態判断手段23は、転送時間処理手段22により算出された片方向転送時間の増加傾向を検出し、通信路の状態を判断する。
次に、図5を参照して、実施例1における送信先ノード20の処理を具体的に説明する。送信先ノード20の通信手段21が送信元ノード10からRTPパケットを受信すると、転送時間処理手段22は、RTPパケットのヘッダのタイムスタンプとRTPパケットの受信時刻とに基づいて、RTPパケットの片方向転送時間を算出する(ステップS501)。この場合、送信元ノード10及び送信先ノード20において、時刻同期がなされているものとする。転送時間処理手段22は、RTPパケットを受信する毎に片方向転送時間(t,t,・・・)を逐次算出する。通信路状態判断手段23は、転送時間処理手段22により算出された片方向転送時間(t,t,・・・)を用いて、所定の条件により片方向転送時間の増加傾向を検出する(ステップS502)。例えば、t<tn+1<・・の場合は、増加傾向にあるものとする。そして、通信路状態判断手段23は、ステップ502において増加傾向を検出した場合には、通信路は輻輳状態になる可能性があるとして通信路の状態を判断する(ステップS503)。
このように、実施例1の特徴は、データが配信される経路の状態を検出する方法として、配信されるデータの片方向転送時間を逐次測定し、その片方向転送時間の増加傾向を検出して通信路の状態を判断することにある。
本発明の第2の実施例について、図3及び図6を参照して説明する。
図3は、実施例2におけるデータ転送システムの構成を示すブロック図である。実施例2のシステム構成と前述の実施例1のシステム構成とは、送信元ノード10のタイムスタンプ埋込手段11及び通信手段12、並びに送信先ノード20の通信手段21が同等であるが、送信先ノード20の転送時間処理手段22及び通信路状態判断手段23が異なる。送信先ノード20の転送時間処理手段22は、受信したRTPパケットのヘッダのタイムスタンプとRTPパケットの受信時刻とに基づいて、RTPパケットの片方向転送時間差を算出する。通信路状態判断手段23は、転送時間処理手段22により算出された片方向転送時間差に基づいて、片方向転送時間の増加傾向を検出し、通信路の状態を判断する。
次に、図6を参照して、実施例2における送信先ノード20の処理を具体的に説明する。送信先ノード20の通信手段21が送信元ノード10からRTPパケットを受信すると、転送時間処理手段22は、RTPパケットのヘッダのタイムスタンプとRTPパケットの受信時刻とに基づいてRTPパケットの片方向転送時間tを算出し、次に受信したRTPパケットのタイムスタンプとRTPパケットの受信時間とに基づいてRTPパケットの片方向転送時間tを算出し、そして、片方向転送時間差(t−t)を算出する(ステップS601)。この場合、送信元ノード10及び送信先ノード20において、時刻同期がなされていなくても、片方向転送時間差の算出が可能である。転送時間処理手段22は、RTPパケットを受信する毎に片方向転送時間差(t−t,t−t,t−t,・・・)を逐次算出する。通信路状態判断手段23は、転送時間処理手段22により算出された片方向転送時間差(t−t,t−t,t−t,・・・)を用いて、所定の条件により片方向転送時間の増加傾向を検出する(ステップS602)。例えば、t−tn−1>0の場合は、片方向転送時間は増加傾向にあるものとすることができる。そして、通信路状態判断手段23は、ステップ602において増加傾向を検出した場合には、通信路は輻輳状態になる可能性があるとして通信路の状態を判断する(ステップS603)。
このように、実施例2の特徴は、データが配信される経路の状態を検出する方法として、配信されるデータの片方向転送時間差を逐次測定し、片方向転送時間の増加傾向を検出して通信路の状態を判断することにある。
本発明の第3の実施例について、図4及び図7を参照して説明する。
図4は、実施例3におけるデータ転送システムの構成を示すブロック図である。本データ伝送システムは、送信ノード100及び送信先ノード200を備え、送信元ノード100及び送信先ノード200は、通信路であるネットワーク300を介して接続される。また、送信元ノード100と送信先ノード200との間は、図1に示したように、RTCPのUDPチャンネルが確立され、RTCPの制御の下でRTPパケットが送受信される。送信元ノード100は、タイムスタンプ埋込手段101、通信手段102及びパケットグループ化手段103を備えている。送信先ノード200は、通信手段201、転送時間処理手段202、通信路状態判断手段203及び統計処理手段204を備えている。
送信元ノード100のタイムスタンプ埋込手段101は、RTPパケットのヘッダのペイロードタイプによって規定された周波数で、RTPパケットを送信先ノード200へ送信する送信時刻をタイムスタンプに埋め込む。パケットグループ化手段103は、送信データである複数のRTPパケットを一定の大きさのグループ(例えば、100パケットの大きさのグループ)に分け、送信先ノード200がそのグループを判別できるようにするため、RTPパケットのヘッダのシーケンス番号等にグループ識別情報を埋め込む。通信手段102は、送信時刻及びグループ識別情報がヘッダに埋め込まれたRTPパケットを、グループ内で送信間隔を一定に保ちながら送信先ノード200へ送信する。
送信先ノード200の通信手段201は、送信元ノード100から送信されたRTPパケットを受信する。転送時間処理手段202は、受信したRTPパケットのヘッダのタイムスタンプとRTPパケットの受信時刻とに基づいて、送信元ノード100から送信先ノード20へのRTPパケットの片方向転送時間を算出する。統計処理手段204は、受信したRTPパケットのヘッダのグループ識別情報に基づいて、RTPパケットのグループを判断し、同一グループに属するRTPパケットの片方向転送時間について統計情報を集計する。例えば、送信ノード100のパケットグループ化手段103が100個のRTPパケットをグループ化した場合には、統計処理手段204は、100個のRTPパケットのうち到着したRTPパケットについて片方向転送時間の統計情報を集計する。通信路状態判断手段203は、通信路状態判断手段203により処理されたグループ単位の片方向転送時間の増加傾向を検出し、通信路の状態を判断する。
次に、図7を参照して、実施例3における送信先ノード200の処理を具体的に説明する。送信先ノード200の通信手段201が送信ノード100からRTPパケットを受信すると、転送時間処理手段202は、RTPパケットのヘッダのタイムスタンプとRTPパケットの受信時刻とに基づいて、RTPパケットの片方向転送時間を算出する(ステップS701)。この場合、送信元ノード10及び送信先ノード20において、時刻同期がなされているものとする。転送時間処理手段202は、RTPパケットを受信する毎に片方向転送時間(t,t,・・・)を逐次算出する。統計処理手段204は、受信したRTPパケットのヘッダのグループ識別情報に基づいて、RTPパケットのグループを判断し、同一グループに属するRTPパケットについて片方向転送時間の統計情報を集計する(ステップS702)。例えば、100個のRTPパケットがグループ化された場合には、統計処理手段204は、100個のRTPパケットのうち到着したRTPパケットについて片方向転送時間(t,t,・・・,t100)の統計情報を集計する。通信路状態判断手段203は、統計処理手段204によりグループ単位に集計された片方向転送時間の統計情報を用いて、予め設定された閾値と比較する等の所定の条件により片方向転送時間の増加傾向を検出する(ステップS703)。そして、通信路状態判断手段23は、ステップ703において増加傾向を検出した場合には、通信路は輻輳状態になる可能性があるとして通信路の状態を判断する(ステップS704)。
このように、実施例3の特徴は、データが配信される経路の状態を検出する方法として、配信されるデータを一定の大きさのグループに分け、グループ単位で片方向転送時間を逐次測定及び総計処理し、その片方向転送時間の増加傾向を検出して通信路の状態を判断することにある。
本発明の第4の実施例について、図4及び図8を参照して説明する。
図4は、実施例4におけるデータ転送システムの構成を示すブロック図である。実施例4のシステム構成と前述の実施例3のシステム構成とは、送信元ノード100のタイムスタンプ埋込手段101、通信手段102及びパケットグループ化手段103、並びに送信先ノード200の通信手段201及び転送時間処理手段202が同等であるが、送信先ノード200の通信路状態判断手段203及び統計処理手段204が異なる。送信先ノード200の統計処理手段204は、受信したRTPパケットのヘッダのグループ識別情報に基づいて、RTPパケットのグループを判断し、同一グループに属するRTPパケットについて、転送時間処理手段202により算出された片方向転送時間に基づいて、片方向転送時間差の統計情報を集計する。すなわち、統計処理手段204は、片方向転送時間の大小関係を比較し、統計処理を行う。ここで、統計処理手段204は、連続するRTPパケットの片方向転送時間差が0より大きい場合をカウントし、片方向転送時間差を集計した母集団に占める割合をグループ単位に算出する。通信路状態判断手段203は、通信路状態判断手段203により処理されたグループ単位の割合に基づいて、片方向転送時間の増加傾向を検出し、通信路の状態を判断する。
次に、図8を参照して、実施例4における送信先ノード200の処理を具体的に説明する。送信先ノード200の通信手段201が送信ノード100からRTPパケットを受信すると、転送時間処理手段202は、RTPパケットのヘッダのタイムスタンプとRTPパケットの受信時刻とに基づいて、RTPパケットの片方向転送時間を算出する(ステップS801)。転送時間処理手段202は、RTPパケットを受信する毎に片方向転送時間(t,t,・・・)を逐次算出する。統計処理手段204は、受信したRTPパケットのヘッダのグループ識別情報に基づいて、RTPパケットのグループを判断し、同一グループに属するRTPパケットの片方向転送時間に基づいて、片方向転送時間差の統計情報を集計する(ステップS802)。例えば、100個のRTPパケットがグループ化された場合には、100個のRTPパケットのうち到着したRTPパケットについて片方向転送時間差(t−t,t−t,・・・,t100−t99)の統計情報を集計する。そして、統計処理手段204は、片方向転送時間差が0より大きい場合をカウントし、片方向転送時間差を集計した母集団(到着したRTPパケットについて片方向転送時間差を算出した数)に占める割合をグループ単位に算出する(ステップS802)。通信路状態判断手段203は、統計処理手段204によりグループ単位に算出された割合を用いて、予め設定された閾値と比較する等の所定の条件により片方向転送時間の増加傾向を検出する(ステップS803)。そして、通信路状態判断手段23は、ステップ803において増加傾向を検出した場合には、通信路は輻輳状態になる可能性があるとして通信路の状態を判断する(ステップS804)。
このように、実施例4の特徴は、データが配信される経路の状態を検出する方法として、配信されるデータを一定の大きさのグループに分け、グループ単位で連続するRTPパケットの片方向転送時間の大小関係を比較及び総計処理し、その片方向転送時間の増加傾向を検出して通信路の状態を判断することにある。
本発明の第5の実施例について、図4及び図9を参照して説明する。
図4は、実施例5におけるデータ転送システムの構成を示すブロック図である。実施例5のシステム構成と前述の実施例3のシステム構成とは、送信元ノード100のタイムスタンプ埋込手段101、通信手段102及びパケットグループ化手段103、並びに送信先ノード200の通信手段201及び転送時間処理手段202が同等であるが、送信先ノード200の通信路状態判断手段203及び統計処理手段204が異なる。送信先ノード200の統計処理手段204は、受信したRTPパケットのヘッダのグループ識別情報に基づいて、RTPパケットのグループを判断し、同一グループに属するRTPパケットについて、転送時間処理手段202により算出された片方向転送時間に基づいて、片方向転送時間差の統計情報を集計する。ここで、統計処理手段204は、連続するRTPパケットの片方向転送時間差の揺らぎに対する、同一グループにおける最初のRTPパケットと最後のRTPパケットとの間の片方向転送時間差の割合をグループ単位に算出する。通信路状態判断手段203は、通信路状態判断手段203により処理されたグループ単位の割合に基づいて、片方向転送時間の増加傾向を検出し、通信路の状態を判断する。
次に、図9を参照して、実施例5における送信先ノード200の処理を具体的に説明する。送信先ノード200の通信手段201が送信ノード100からRTPパケットを受信すると、転送時間処理手段202は、RTPパケットのヘッダのタイムスタンプとRTPパケットの受信時刻とに基づいて、RTPパケットの片方向転送時間を算出する(ステップS901)。転送時間処理手段202は、RTPパケットを受信する毎に片方向転送時間(t,t,・・・)を逐次算出する。統計処理手段204は、受信したRTPパケットのヘッダのグループ識別情報に基づいて、RTPパケットのグループを判断し、同一グループに属するRTPパケットの片方向転送時間に基づいて、片方向転送時間差の統計情報を集計する(ステップS902)。例えば、100個のRTPパケットがグループ化された場合には、100個のRTPパケットのうち到着したRTPパケットについて片方向転送時間差(t−t,t−t,・・・,t100−t99)の統計情報を集計する。そして、統計処理手段204は、連続するRTPパケットの片方向転送時間差の揺らぎ(|t−t|+|t−t|+・・・+|t100−t99|)を算出し、最初に到着したRTPパケットと最後に到着したRTPパケットとの片方向転送時間差(|t100−t|)を算出し、両者の割合を次式により算出する(ステップS902)。
Figure 2005269364

通信路状態判断手段203は、統計処理手段204によりグループ単位に算出された割合を用いて、予め設定された閾値と比較する等の所定の条件により片方向転送時間の増加傾向を検出する(ステップS903)。そして、通信路状態判断手段23は、ステップ903において増加傾向を検出した場合には、通信路は輻輳状態になる可能性があるとして通信路の状態を判断する(ステップS904)。
このように、実施例5の特徴は、データが配信される経路の状態を検出する方法として、配信されるデータを一定の大きさのグループに分け、グループ単位で連続するRTPパケットの片方向転送時間差を算出及び総計処理し、その片方向転送時間の増加傾向を検出して通信路の状態を判断することにある。
以上のように、本発明の実施例1〜5によれば、送信先ノード20,200が受信するRTPパケットについて、その片方向転送時間が増加傾向にある場合に、通信路が輻輳状態になる可能性があるものと判断するようにした。これにより、パケット損失を検出した場合に輻輳が発生したことを判断するTCPとは異なり、パケット損失が発生する程度の輻輳を未然に検出し、早期に輻輳状態を検出することが可能となる。また、片方向転送時間の増加傾向は、ジッタや往復転送時間が異なる通信路に依存するものではないから、様々な負荷状態の通信路に対して、汎用的な閾値を用いて輻輳状態を判断することができる。従って、負荷状態の異なる通信路毎に閾値を設ける必要がないから、容易に通信路状態を判断することが可能となる。また、片方向転送時間の増加傾向は、バースト転送の有無により変わることはないから、バースト転送を行っている場合でも輻輳状態を判断することができる。
尚、上記実施例では、通信路状態判断手段23,203を送信先ノード20,200に備えるようにしたが、送信元ノード10,100に備えるようにしてもよい。この場合、送信元ノード10は、片方向転送時間(t,t,・・・)または片方向転送時間差(t−t,t−t,・・・)を送信先ノード20から受信し、送信元ノード10に備えた通信路状態判断手段が、片方向転送時間の増加傾向を検出する。また、送信元ノード100は、グループ単位に集計された片方向転送時間(t,t,・・・)の統計情報、またはグループ単位に算出された割合を送信先ノード200から受信し、送信元ノード100に備えた通信路状態判断手段が、片方向転送時間の増加傾向を検出する。
また、上記実施例において、送信元ノード1,10,100及び送信先ノード2,20,200は、CPU、RAM等の揮発性の記憶媒体、ROM等の不揮発性の記憶媒体、キーボードやポインティングデバイス等の入力装置、画像やデータを表示する表示装置、及び外部の装置と通信をするためのインタフェースを備えたコンピュータ装置によってそれぞれ構成されるようにしてもよい。この場合、送信元ノード10に備えたタイムスタンプ埋込手段11及び通信手段12は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることにより実現される。また、送信ノード100に備えたタイムスタンプ埋込手段101、通信手段102及びパケットグループ化手段103、送信先ノード20に備えた通信手段21、転送時間処理手段22及び通信路状態判断手段23、そして送信先ノード200に備えた通信手段201、転送時間処理手段202、通信路状態判断手段203及び統計処理手段204も、それぞれこれらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることにより実現される。これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピィーディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもできる。
RTPを用いた実時間型のデータ転送システムを示すコネクション構成図である。 RTPパケットのヘッダのフォーマットを説明するRTPパケット構成図である。 実施例1及び2におけるデータ転送システムの構成を示すブロック図である。 実施例3、4及び5におけるデータ転送システムの構成を示すブロック図である。 実施例1における送信先ノード20の処理を説明するフロー図である。 実施例2における送信先ノード20の処理を説明するフロー図である。 実施例3における送信先ノード200の処理を説明するフロー図である。 実施例4における送信先ノード200の処理を説明するフロー図である。 実施例5における送信先ノード200の処理を説明するフロー図である。
符号の説明
1,10,100 送信元ノード
2,20,200 送信先ノード
3,30,300 ネットワーク
11,101 タイムスタンプ埋込手段
12,21,102,201 通信手段
22,202 転送時間処理手段
23,203 通信路状態判断手段
103 パケットグループ化手段
204 統計処理手段

Claims (7)

  1. 送信元ノードと送信先ノードとの間の通信路の状態を検出する方法において、
    送信元ノードから送信先ノードへ送信間隔を一定に保ちながらデータを転送し、送信元ノードから送信先ノードへデータを転送するために要する時間を逐次測定し、当該転送時間の増加傾向を判断し、当該増加傾向に基づいて前記通信路の輻輳状態を検出することを特徴とする通信路状態検出方法。
  2. 請求項1に記載の通信路状態検出方法において、
    前記測定した転送時間を用いて、連続するデータの転送時間差を算出し、当該転送時間差に基づいて前記転送時間の増加傾向を判断することを特徴とする通信路状態検出方法。
  3. 請求項1または2に記載の通信路状態検出方法において、
    送信元ノードから送信先ノードへ一定の大きさのグループに分けたデータを転送し、
    前記グループ単位で転送時間の統計情報を算出し、当該統計情報に基づいて前記転送時間の増加傾向を判断することを特徴とする通信路状態検出方法。
  4. 請求項3に記載の通信路状態検出方法において、
    前記測定した転送時間を連続するデータ順にそれぞれ比較し、後のデータの転送時間が先のデータの転送時間よりも大きい割合を算出し、当該割合に基づいて前記転送時間の増加傾向を判断することを特徴とする通信路状態検出方法。
  5. 請求項3に記載の通信路状態検出方法において、
    前記測定した転送時間を用いて、連続するデータの転送時間差の揺らぎを算出し、同一グループにおける最初のデータを最後のデータとの転送時間差を算出し、前記揺らぎに対する前記最初と最後の転送時間差の割合を算出し、当該割合に基づいて前記転送時間の増加傾向を判断することを特徴とする通信路状態検出方法。
  6. 複数の通信装置がネットワークを構成する通信路を介して接続されるデータ転送システムの下で、当該通信路の状態を検出する通信装置において、
    他の通信装置から当該通信装置へ送信間隔を一定に保ちながらデータを転送する場合に、当該データを転送するために要する時間を逐次測定する手段と、当該手段により測定された転送時間の増加傾向を判断し、当該増加傾向に基づいて前記通信路の輻輳状態を検出する手段とを備えたことを特徴とする通信装置。
  7. 複数の通信装置がネットワークを構成する通信路を介して接続されるデータ転送システムの下で、当該通信路の状態を検出する通信装置を構成するコンピュータに実行させる通信状態検出プログラムであって、
    他の通信装置から当該通信装置へデータを転送するために要する時間を逐次測定する処理と、当該転送時間の増加傾向を判断する処理と、当該増加傾向に基づいて前記通信路の輻輳状態を検出する処理とを実行させる通信状態検出プログラム。

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