JP2005268073A - 燃料電池セパレータ - Google Patents

燃料電池セパレータ Download PDF

Info

Publication number
JP2005268073A
JP2005268073A JP2004079659A JP2004079659A JP2005268073A JP 2005268073 A JP2005268073 A JP 2005268073A JP 2004079659 A JP2004079659 A JP 2004079659A JP 2004079659 A JP2004079659 A JP 2004079659A JP 2005268073 A JP2005268073 A JP 2005268073A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas flow
flow path
base material
film
conductive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004079659A
Other languages
English (en)
Inventor
Masanori Matsukawa
政憲 松川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Aisin Takaoka Co Ltd
Original Assignee
Aisin Takaoka Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Aisin Takaoka Co Ltd filed Critical Aisin Takaoka Co Ltd
Priority to JP2004079659A priority Critical patent/JP2005268073A/ja
Publication of JP2005268073A publication Critical patent/JP2005268073A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

【課題】セパレータの表側と裏側とで凹凸関係の相互依存がなくガス流路パターンの設計自由度を高めることができると共に、積層時に面圧の均一化を確保することのできる燃料電池セパレータを提供する。
【解決手段】燃料電池セパレータは、電解エッチングによって凹部11a,11b及び凸部11c,11dが形成されたステンレス基材11と、その凸部11c,11dの頂面11e,11fに積層されたニッケル肉盛部18と、ステンレス基材11及びニッケル肉盛部18の露出面に形成された金皮膜21とを備えている。凸部11c,11dとニッケル肉盛部18と金皮膜21とによりガス流路区画用肉部22,23を形成すると共に、隣り合うガス流路区画用肉部22,23間にガス流路用凹部24,25を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ガス流路一体型の燃料電池セパレータに関するものである。
一般に、燃料ガスの供給を受けて発電を行う燃料電池には、プロトン透過膜を一対のカーボン電極材で挟んでなる薄膜状の電池セルと、薄板状のセパレータとを交互に積層して構成されている。隣り合う電池セル間に介在されるセパレータは、それと接触するカーボン電極材との間にガス流路を構築するための流路構成材としての役割を担っており、セパレータの表面及び裏面には、積層時にガス流路となるべき所定パターンのガス流路用凹部(例えば溝や凹み)が付与されている。従来、かかるガス流路一体型のセパレータにガス流路用凹部を形成する手法として、プレス加工法(例えば特許文献1参照)が知られている。プレス加工法とは、セパレータ基材となる薄肉な金属板にプレスを施してガス流路用凹部を直接的に型押し成形する機械的な加工方法をいう。
特開2000−260439号公報
しかしながら、上述したプレス加工法では、薄肉な金属板にプレス加工を施す関係上、どうしても金属板の表側と裏側とで凹凸関係の相互依存性が避けられない。即ちプレス加工の結果として、一方の側における凹部はその反対側においては必ず凸部として現れる。このように金属板の両側で凹凸関係の相互依存があると、セパレータ基材の表裏各面におけるガス流路パターンにも自ずと制約が生じる。それ故、ガス流路パターンの設計の自由度が小さくなり、セパレータの表裏両面に理想的なパターンのガス流路用凹部を形成することが極めて難しくなる。
また、プレス加工にはプレス歪みという根元的課題がつきまとう。特に燃料電池セパレータは多数積層して使用されるが、いずれかのセパレータにプレス歪みがあると積層時(組立時)に面圧が不均一となる。面圧が不均一なまま燃料電池を組み立てると、セパレータ間に介在される電池セルに局部的なつぶれが生じたり、ガス流路が局部的に狭められ、ガス流路を流れる水蒸気(電池反応によって発生しガス中に混入する)がその狭小化された部位で凝縮・液化したりする原因となる。これらの事態が燃料電池内で生じると、電池性能が低下してしまう。
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、セパレータの表側と裏側とで凹凸関係の相互依存がなくガス流路パターンの設計自由度を高めることができると共に、積層時に面圧の均一化を確保することのできる燃料電池セパレータを提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明の燃料電池セパレータは、少なくとも一方の面に凹部及び凸部を有する薄膜状又は薄板状の通電性基材と、その通電性基材の凸部における頂面に対して積層された肉盛部とを備え、前記通電性基材の凸部と前記肉盛部とによりガス流路区画用肉部を形成すると共に、隣り合うガス流路区画用肉部間にガス流路用凹部を形成したことをその要旨としている。請求項2に記載の発明の燃料電池セパレータは、少なくとも一方の面にエッチングによって凹部及び凸部が形成された薄膜状又は薄板状の通電性基材と、その通電性基材の凸部における頂面に対して積層された肉盛部とを備え、前記通電性基材の凸部と前記肉盛部とによりガス流路区画用肉部を形成すると共に、隣り合うガス流路区画用肉部間にガス流路用凹部を形成したことをその要旨としている。請求項3に記載の発明の燃料電池セパレータは、薄膜状又は薄板状の通電性基材及びその通電性基材の少なくとも一方の面に積層された金属層又は導電性塗膜層に対してエッチングを施すことにより、前記通電性基材に凹部及び凸部を形成すると共に、該凸部の頂面に位置する前記金属層又は前記導電性塗膜層を肉盛部として形成し、且つ、前記通電性基材の凸部と前記肉盛部とによりガス流路区画用肉部を形成すると共に、隣り合うガス流路区画用肉部間にガス流路用凹部を形成したことをその要旨としている。
本発明に係る通電性基材は、燃料電池セパレータの主骨格を構成する部材である。セパレータは複数枚を幾重にも積層して使用され、且つ、単位長さあたりの電池性能を向上させるために積層方向における個々のセパレータの厚みをできるだけ薄くすることが求められる。このため、通電性基材は薄膜状又は薄板状をなしている。尚、当該基材の構成材料として使用可能な通電性材料としては、鉄系(例えばステンレス鋼)、ニッケル系、チタン系、アルミニウム系、マグネシウム系、カーボン系及び導電性樹脂系等の材料を例示することができる。
通電性基材の少なくとも一方の面には、例えばエッチング等により、凹部及び凸部が形成されている。ここで、エッチング(法)とは、エッチング液を準備し、その液中に通電性基材を浸したり、その液を通電性基材に接触させたり等して該通電性基材の不要部位を腐蝕させることにより、凹部(ガス流路用凹部の一部)を当該基材に付与する化学的又は電気化学的な加工方法をいう。エッチングとしては、電解エッチングを例示できる。また、通電性基材に対してエッチングを施す場合、片面だけに施したり、片面ずつ交互に施したり、両面同時に施したりすることができる。なお、通電性基材の少なくとも一方の面に金属層又は導電性塗膜層が積層形成されている場合でも、通電性基材に対してエッチングを施す場合と同様に、片面だけにエッチングを施したり、片面ずつ交互にエッチングを施したり、両面同時にエッチングを施したりすることができる。
通電性基材の凸部における頂面には、その凸部の高さを補足する役割を担う肉盛部が積層するように形成されており、この肉盛部と通電性基材の凸部とにより、所望高さを有するガス流路区画用肉部が形成される。このガス流路区画用肉部は、薄膜状又は薄板状の燃料電池セパレータの表面に凹凸を付与するためのものであり、その実質は、隣り合う凸部(ガス流路区画用肉部)間に出現する凹部(ガス流路用凹部)を燃料電池内のガス流路として機能させるためのガス流路区画用の壁、凸部又は盛上がりである。本発明に係るガス流路区画用肉部とガス流路用凹部との関係は、ガス流路区画用肉部の高さが高くなればなるほど、ガス流路用凹部の深さが深くなるという相対関係にある。肉盛部を構成する材料としては、最低限の機械的強度や所定の通電性を確保する等の観点から金属(例えばニッケル又はその合金)が好ましいが、セパレータ間での通電性確保の問題を別の手段で解決できれば、肉盛部の構成材料は、樹脂(例えば寸法安定性に優れたエンジニアリングプラスチック)等の非金属材料であってもよい。
なお、前記肉盛部の構成材料を金属とする場合には、その肉盛部を電鋳(電鋳法)によって形成することは好ましい(請求項4参照)。電鋳の具体的な方法としては、例えば、凹部及び凸部の形成された薄膜状又は薄板状の通電性基材の凹部に対し、所望のガス流路パターンに対応した形状のマスキングを施した後、非マスキング部(即ち通電性基材の凸部における頂面)に対して肉盛部の構成金属をイオン電着によって堆積する厚着け型の電鋳法が挙げられる。電着完了後にマスキングを除去すれば、所望の平面形状をなす肉盛部が通電性基材の凸部上に出現する。かかる電鋳法によれば、イオン電着の実施条件(例えば、電解質溶液の濃度や温度、通電時の電流密度等の条件)を調節することで、肉盛部の厚みを制御することができる。更に、例えば、上記電鋳法を用いて薄膜状又は薄板状の通電性基材の少なくとも一方の面に金属層を積層形成した後、該金属層の形成された通電性基材に対して前記エッチングを施すことにより、通電性基材に凹部及び凸部を形成すると共に、該凸部の頂面に位置する金属層を肉盛部として形成することができる。
また、前記肉盛部を塗装(塗装法)によって形成することは好ましい(請求項4参照)。塗装の具体的な方法としては、例えば、凹部及び凸部の形成された薄膜状又は薄板状の通電性基材の凸部における頂面に対し、導電性塗料(又は非導電性塗料)をスクリーン印刷等で塗布することにより、所望のガス流路パターンを取り囲む平面形状の塗膜(塗膜層)を形成し、この塗膜をそのまま肉盛部とする塗装法が挙げられる。この塗装法によれば、導電性塗料(又は非導電性塗料)の粘度や重ね塗り回数等の印刷条件を調節することで、肉盛部の厚みを制御することができる。更に、例えば、上記塗装法を用いて薄膜状又は薄板状の通電性基材の少なくとも一方の面に導電性塗膜層(導電性塗膜)を積層形成した後、該導電性塗膜層の形成された通電性基材に対して前記エッチングを施すことにより、通電性基材に凹部及び凸部を形成すると共に、該凸部の頂面に位置する導電性塗膜層を肉盛部として形成することができる。
加えて、前記通電性基材及び前記肉盛部の露出面に、耐蝕性及びセパレータの積層時においてその積層方向への通電性を確保するための皮膜を形成することは好ましい(請求項5参照)。この皮膜には、耐蝕性と導電性という2つの性質が要求される。耐蝕性とは、通電性基材及び肉盛部の露出面を被覆してこれらを酸化等による腐蝕から保護する性質をいう。通電性基材及び肉盛部のそれぞれについての腐蝕の心配が無い場合には、当該耐蝕性皮膜の存在価値は薄れるが、工業的には、通電性基材及び肉盛部の構成材料として腐蝕の危険がある金属材料を使わざるを得ないのが現状であり、かかる耐蝕性皮膜の必要性が高い。
また、上記皮膜がセパレータの積層時においてその積層方向への通電を阻害することがあっては燃料電池として成立し得ないため、当該皮膜の構成材料には、耐蝕性の他に、セパレータの積層時においてその積層方向に所定の通電を確保できる程度の通電性が求められる。即ち、通電性基材及び肉盛部の露出面に形成する皮膜は、所定の耐蝕性を有すると共に当該セパレータを複数積層したときに積層方向への電気的な接触抵抗が良好となる導体又は半導体材料で構成される。なお、当該皮膜の構成材料として使用可能な導体材料としては、例えば金(Au)が挙げられる。つまり、耐蝕性及びセパレータの積層時においてその積層方向への通電性を確保するための皮膜として、前記通電性基材及び前記肉盛部の表面に金皮膜(又は金メッキ)を形成することは好ましい。
本発明の燃料電池セパレータは、例えば厚さ0.05mm〜2mmの薄膜状又は薄板状をなしており、薄膜状又は薄板状の通電性基材の凸部における頂面に対して肉盛部が積層されている構造、すなわち通電性基材の凸部と肉盛部とによりガス流路区画用肉部を形成すると共に、隣り合うガス流路区画用肉部間にガス流路用凹部を形成するという構造を採用している。このため、通電性基材の表裏両面にそれぞれガス流路区画用肉部を形成しても、一方の側のガス流路区画用肉部のパターン形状が、他方の側のガス流路区画用肉部のパターン形状に何らかの影響を与えるということはあり得ない。それ故、従来のプレス加工法によるセパレータと異なり、セパレータの表側と裏側とで凹凸関係の相互依存性が無く、各面におけるガス流路パターンの設計自由度を高めることができる。その結果、燃料電池の性能を向上させることが可能となる。
また、本発明の燃料電池セパレータはプレス加工によらずに製造できるため、プレス歪みに起因するセパレータ積層時(組立時)の面圧不均一を防止できる。このため、セパレータ間に介在される電池セルに局部的なつぶれが生じたり、ガス流路が局部的に挟められ、ガス流路を流れる水蒸気がその狭小化された部位で凝縮・液化したりするといったトラブルを未然に回避して、電池性能の維持・向上を図ることが可能となる。
(付記)
他に、特許請求の範囲の各請求項に記載されないものであって、この明細書に開示した燃料電池セパレータの発明について、以下に記載する。尚、下記発明1〜発明5の作用及び効果は上記に準ずる。
発明1.少なくとも一方の面に凹部及び凸部を有する薄膜状又は薄板状の通電性基材と、その通電性基材の凸部における頂面に対して積層された肉盛部とを備え、前記通電性基材の凸部と前記肉盛部とによりガス流路区画用肉部の基部を形成すると共に、隣り合うガス流路区画用肉部の基部間にガス流路用凹部の基部を形成したことを特徴とする燃料電池セパレータ。
発明2.少なくとも一方の面にエッチングによって凹部及び凸部が形成された薄膜状又は薄板状の通電性基材と、その通電性基材の凸部における頂面に対して積層された肉盛部とを備え、前記通電性基材の凸部と前記肉盛部とによりガス流路区画用肉部の基部を形成すると共に、隣り合うガス流路区画用肉部の基部間にガス流路用凹部の基部を形成したことを特徴とする燃料電池セパレータ。
発明3.薄膜状又は薄板状の通電性基材及びその通電性基材の少なくとも一方の面に積層された金属層又は導電性塗膜層に対してエッチングを施すことにより、前記通電性基材に凹部及び凸部を形成すると共に、該凸部の頂面に位置する前記金属層又は前記導電性塗膜層を肉盛部として形成し、且つ、前記通電性基材の凸部と前記肉盛部とによりガス流路区画用肉部の基部を形成すると共に、隣り合うガス流路区画用肉部の基部間にガス流路用凹部の基部を形成したことを特徴とする燃料電池セパレータ。
発明4.前記肉盛部を電鋳又は塗装によって形成したことを特徴とする発明1から発明3のいずれか一項に記載の燃料電池セパレータ。
発明5.前記通電性基材及び前記肉盛部の露出面に、耐蝕性及びセパレータの積層時においてその積層方向への通電性を確保するための皮膜を形成することにより、前記通電性基材の凸部と前記肉盛部と前記皮膜とによりガス流路区画用肉部を形成すると共に、隣り合うガス流路区画用肉部間にガス流路用凹部を形成したことを特徴とする発明1から発明4のいずれか一項に記載の燃料電池セパレータ。
また、この明細書に開示した発明を燃料電池セパレータの製造方法という観点から把握すると、次のように表現することができる。尚、下記製法発明1〜製法発明6の作用及び効果は、上記発明1〜発明5と同様に上記に準ずる。
製法発明1.薄膜状又は薄板状の通電性基材を準備する準備工程と、その通電性基材の少なくとも一方の面に凹部及び凸部を形成する凹凸形成工程と、その通電性基材の凸部における頂面に肉盛部を積層するように形成して前記通電性基材の凸部と前記肉盛部とによりガス流路区画用肉部又はその基部を形成する肉部形成工程とを備えてなる燃料電池セパレータの製造方法。
製法発明2.薄膜状又は薄板状の通電性基材を準備する準備工程と、その通電性基材の少なくとも一方の面にエッチングを施して凹部及び凸部を形成するエッチング工程と、その通電性基材の凸部における頂面に肉盛部を積層形成して前記通電性基材の凸部と前記肉盛部とによりガス流路区画用肉部又はその基部を形成する肉部形成工程とを備えてなる燃料電池セパレータの製造方法。
製法発明3.薄膜状又は薄板状の通電性基材を準備する準備工程と、その通電性基材の少なくとも一方の面にエッチングを施して凹部及び凸部を形成するエッチング工程と、その通電性基材の凸部における頂面に電鋳法又は塗装法によって肉盛部を積層形成して通電性基材の凸部と肉盛部とによりガス流路区画用肉部又はその基部を形成する肉部形成工程とを備えてなる燃料電池セパレータの製造方法。
製法発明4.薄膜状又は薄板状の通電性基材を準備する準備工程と、その通電性基材の少なくとも一方の面に電鋳法によって金属層を形成する金属層形成工程と、その金属層の形成された通電性基材に対してエッチングを施すことにより、前記通電基材に凹部及び凸部を形成すると共に、該凸部の頂面に位置する前記金属層を肉盛部として形成し、且つ、前記通電性基材の凸部と前記肉盛部とによりガス流路区画用肉部又はその基部を形成する肉部形成工程(又はエッチング工程)とを備えてなる燃料電池セパレータの製造方法。
製法発明5.薄膜状又は薄板状の通電性基材を準備する準備工程と、その通電性基材の少なくとも一方の面に塗装法によって導電性塗膜層を形成する塗膜層形成工程と、その導電性塗膜層の形成された通電性基材に対してエッチングを施すことにより、前記通電基材に凹部及び凸部を形成すると共に、該凸部の頂面に位置する前記導電性塗膜層を肉盛部として形成し、且つ、前記通電性基材の凸部と前記肉盛部とによりガス流路区画用肉部又はその基部を形成する肉部形成工程(又はエッチング工程)とを備えてなる燃料電池セパレータの製造方法。
製法発明6.前記通電性基材及び前記肉盛部の露出面に、耐蝕性及びセパレータの積層時においてその積層方向への通電性を確保するための皮膜を形成する皮膜形成工程を更に備えてなる製法発明1〜5のいずれか一項に記載の燃料電池セパレータの製造方法。
本発明の燃料電池セパレータによれば、薄膜状又は薄板状の通電性基材の凸部における頂面に対して肉盛部が積層されている構造、すなわち通電性基材の凸部と肉盛部とによりガス流路区画用肉部を形成すると共に、隣り合うガス流路区画用肉部間にガス流路用凹部を形成するという構造を採用したため、セパレータの表側と裏側とで凹凸関係の相互依存がなくガス流路パターンの設計自由度を高めることができると共に、積層時に面圧の均一化を確保できる。また、燃料電池セパレータにおけるガス流路パターンの設計自由度を高めることで、燃料電池の性能を向上させることが可能となる。
以下に、本発明の燃料電池セパレータに係る2つの実施形態(第1実施形態及び第2実施形態)をその製造手順例と共に説明する。第1実施形態については、図1〜図4に基づいて説明し、第2実施形態については、図5及び図6に基づいて説明すると共に、第1実施形態に係る図1及び図4を併せ参照して説明する。
(第1実施形態)
先ず、図2(A)に示すように、薄膜状又は薄板状の通電性基材としてのステンレス基材11(SUS304)を準備する(準備工程)。かかる薄膜状のステンレス基材11は、ロールに巻かれた状態で資材メーカーから提供されている。図2(A)は、そのステンレス薄膜ロールから引き出して基材を平らに張った状態を示す。尚、本実施形態のステンレス基材11の厚さは、0.5mmである。
次に、図2(B)に示すように、平らなステンレス基材11の片面にレジストをスクリーン印刷の手法でベタ刷りする。印刷時に使用するレジストは、例えば紫外線硬化型の樹脂(例えばアクリル樹脂系変性物)に助溶剤(例えばグリコールエーテル類)を混入してペースト状にしたものである。ベタ刷り後、ペーストを乾燥させることで、膜厚が約20μm程度の塗膜(レジスト膜)12が形成される。
続いて、図2(C)に示すように、前記塗膜12の上にパターンフィルム13を貼り付ける。パターンフィルム13は光透過性の透明フィルムであるが、そのフィルムには、所望のガス流路パターンに対応した黒色パターン13a(即ち不透明部分)が印刷等によって形成されている。そして、パターンフィルム13を貼り付けたステンレス基材11の上方に配置されたUV光源(図示略)からパターンフィルム13に向けて紫外線(UV)を照射する(レジストの露光)。すると、パターンフィルム13における黒色パターン13a以外の透明部分のみを紫外線が通過し、その透明部分の直下に位置するレジストだけが硬化すると共に、ガス流路パターンに対応した黒色パターン13aの直下に位置するレジストは非硬化のまま残される。
その後、レジスト膜12上からパターンフィルム13を剥がし、露出したレジストの表面を弱アルカリ溶液(例えば炭酸ナトリウム水溶液)で洗浄する(レジストの現像)。すると、非硬化のレジストのみが溶解除去されて、図2(D)に示すように、ステンレス基材11の一方の面上には、UV硬化したレジストのマスキング12aによってマスキングパターン(レジストパターン)が形成される。ステンレス基材11の残るもう一方の面にも、図2(B),(C)及び(D)に示した一連の工程を施して、UV硬化したレジストのマスキング12bによってマスキングパターン(レジストパターン)を形成する。
その結果、図2(E)に示すように、ステンレス基材11の表裏両面にUV硬化レジストからなる複数のマスキング12a,12bによってマスキングパターンが付与される(第1マスキング形成工程)。なお、ステンレス基材11のマスキングされた部位は、ガス流路の一部(後述する凹部11a,11b)を形成した際に後述する凸部(陸部)11c,11dとしてそのまま残す部位、すなわち非エッチング部位であり、ステンレス基材11のマスキングされていない非マスキング部は、エッチング対象となる露出部位である。
次に、ステンレス基材11の両面の非マスキング部に対して、エッチング(本実施形態では電解エッチング)を施すことにより、ステンレス基材11の両面に後述する凹部11a,11b及び凸部11c,11dを形成する(凹凸形成工程又はエッチング工程)。このとき使用したエッチング液は、硝酸、フッ化水素酸、リン酸、塩酸及び硫酸からなる群より複数種の酸を選択・混合して混酸溶液を作り、そこへエッチング速度等を調整するための添加剤を少量(混酸溶液1リットルに対し添加剤を0.1〜0.5ミリリットル程度)加えた電解エッチング処理液(電解液)である。エッチング液の温度を30〜60℃に設定すると共に、図2(E)に示した態様のステンレス基材11等の両面に対し電解エッチング装置(図示略)からエッチング液を噴射供給して、電解エッチングを行った。すると、図3(F)に示すように、マスキングされていないステンレス基材11の部位には凹部11a,11bが凹設されると共に、マスキングされたステンレス基材11の部位はそのまま凸部11c,11dとして残存するように形成される。
続いて、図3(F)に示した態様のステンレス基材11等に付着したエッチング液を除去するための洗浄を行った後、その両面を強アルカリ溶液(例えば水酸化ナトリウム水溶液)で洗浄して、硬化レジストからなるマスキング12a,12bを溶解除去する。すると、図3(G)に示すように、凹部11a,11b及び凸部11c,11dを有するステンレス基材11が得られる。ステンレス基材11の各凹部11a,11b(溝)の深さは、約0.15mm程度であり、したがって、ステンレス基材11の各凸部11c,11dの厚み(高さ)は、約0.15mm程度である。なお、ステンレス基材11の凸部11c,11dは、マスキング12a,12bによって電解エッチングされなかった部位であるため、凹部11a,11bの場合と異なり肉厚の減少はない。
その後、図3(H)に示すように、電解エッチングによって凹部11a,11b及び凸部11c,11dが形成されたステンレス基材11の片面(凹部11a及び凸部11cの形成された面)にレジストをスクリーン印刷の手法でベタ刷りする。印刷時に使用するレジストは、例えば紫外線硬化型の樹脂(例えばアクリル樹脂系変性物)に助溶剤(例えばグリコールエーテル類)を混入してペースト状にしたものである。ベタ刷り後、ペーストを乾燥させることで、膜厚が約20μm及び170μm程度の塗膜(レジスト膜)14が形成される。
続いて、図3(I)に示すように、前記塗膜14の上にパターンフィルム15を貼り付ける。パターンフィルム15は光透過性の透明フィルムであるが、そのフィルムには、ステンレス基材11の凸部11cに対応した黒色パターン15a(即ち不透明部分)が印刷等によって形成されている。そして、パターンフィルム15を貼り付けたステンレス基材11の上方に配置されたUV光源(図示略)からパターンフィルム15に向けて紫外線(UV)を照射する(レジストの露光)。すると、パターンフィルム15における黒色パターン15a以外の透明部分のみを紫外線が通過し、その透明部分の直下に位置するレジストだけが硬化すると共に、ステンレス基材11の凸部11cに対応した黒色パターン15aの直下に位置するレジストは非硬化のまま残される。
その後、レジスト膜14上からパターンフィルム15を剥がし、露出したレジストの表面を弱アルカリ溶液(例えば炭酸ナトリウム水溶液)で洗浄する(レジストの現像)。すると、非硬化のレジストのみが溶解除去されて、図3(J)に示すように、ステンレス基材11の一方の面上には、UV硬化したレジストのマスキング14aによってマスキングパターン(レジストパターン)が形成される。ステンレス基材11の残るもう一方の面(凹部11b及び凸部11dの形成された面)にも、図3(H),(I)及び(J)に示した一連の工程を施して、UV硬化したレジストのマスキング14bによってマスキングパターン(レジストパターン)を形成する。
その結果、図4(K)に示すように、ステンレス基材11の表裏両面にUV硬化レジストからなる複数のマスキング14a,14bによってマスキングパターンが付与される(第2マスキング形成工程)。なお、ステンレス基材11のマスキングされた部位は、後述するガス流路用凹部24,25(基部16,17)の一部として残す部位、すなわち非電鋳部位であり、ステンレス基材11のマスキングされていない非マスキング部は、ステンレス基材11の凸部11c,11dにおける頂面11e,11f、すなわち電鋳対象となる露出部位である。
次に、ステンレス基材11の両面の非マスキング部に対して、厚着け型電鋳法によりニッケル(Ni)を電着する。このとき使用したニッケル浴は、水1リットルあたり硫酸ニッケル350g、塩化ニッケル45g及びホウ酸30gを溶かしてなるニッケル電解質溶液である。ニッケル浴の温度を40〜60℃に設定すると共に、そのニッケル浴中に図4(K)のステンレス基材11を浸し、ステンレス基材11を負極として所定時間、電流密度:10A/dmにて電鋳を行った。すると、図4(L)に示すように、マスキングされていないステンレス基材11の露出面上(凸部11c,11dの頂面11e,11f上)に、ニッケル肉盛部18が積層形成される。
その後、図4(L)に示した態様のステンレス基材11等をニッケル浴から取り出し、その両面を強アルカリ溶液(例えば水酸化ナトリウム水溶液)で洗浄して、硬化レジストからなるマスキング14a,14bを溶解除去する。その結果、図4(M)に示すように、ステンレス基材11の表裏両面(凸部11c,11dの頂面11e,11f)には、ニッケル肉盛部18が残され、後記ガス流路区画用肉部22,23の基部19,20が形成される(肉部形成工程)。
ガス流路区画用肉部22の基部19はステンレス基材11の凸部11cとニッケル肉盛部18とにより形成され、ガス流路区画用肉部23の基部20はステンレス基材11の凸部11dとニッケル肉盛部18とにより形成されている。ニッケル肉盛部18の厚み(高さ)は、好ましくは0.1〜0.5mm程度(本実施形態では0.3mm)であり、このニッケル肉盛部18により、ステンレス基材11の凸部11c,11dの厚み(高さ)を補足することができる。すなわち、凸部11c,11dとニッケル肉盛部18とからなる基部19,20の厚み(高さ)を確保することで、後述するガス流路用凹部11a,11bの基部16,17の深さを確保することができる。
なお、所定の平面形状(パターン)を持ったニッケル肉盛部18をステンレス基材11の凸部11c,11d上に積層形成したことにより、隣り合う基部19,20の間の谷間にはステンレス基材11の凹部11a,11bを含む凹部が出現するが、この凹部は燃料電池セパレータの積層時に、燃料電池内の電池セルに燃料ガス等を供給するためのガス流路(後記ガス流路用凹部24,25)の基部16,17となる。これらの基部16,17は、ステンレス基材11の凹部11a,11bとニッケル肉盛部18の側面とにより形成されている。
更に、上記肉部形成工程後のステンレス基材11に対して金メッキを施し、図4(N)に示すように、金(Au)からなる皮膜をステンレス基材11及びニッケル肉盛部18の露出面に形成した(皮膜形成工程)。この金皮膜21は、ステンレス基材11及びニッケル肉盛部18の露出面を被覆して酸化等による腐蝕から保護するための保護膜である。尚、この保護膜の構成材料として金が使用されたのは、その耐蝕性能の良好なことに加えて、セパレータを複数積層したときに積層方向での電気的な接触抵抗を良好な状態に保つことが可能な金属(導体)だからである。金皮膜21の厚みは、0.01〜10μm程度(本実施形態では0.5μm)である。
図4(N)に示すと共に、図1に拡大して示すように、本実施形態において、ガス流路区画用肉部22は、ステンレス基材11の凸部11cとニッケル肉盛部18と金皮膜21とにより形成され、ガス流路区画用肉部23は、ステンレス基材11の凸部11dとニッケル肉盛部18と金皮膜21とにより形成されている。また、隣り合うガス流路区画用肉部22間にガス流路用凹部24が形成され、隣り合うガス流路区画用肉部23間にガス流路用凹部25が形成されている。これらのガス流路用凹部24,25は燃料電池セパレータの積層時に、燃料電池内の電池セルに燃料ガス等を供給するためのガス流路となる。
図1に示すように、本実施形態における薄膜状又は薄板状の燃料電池セパレータは、凹部11a,11b及び凸部11c,11dを有するステンレス基材11と、そのステンレス基材11の凸部11c,11dにおける頂面11e,11fに対し電鋳によって積層形成されたニッケル肉盛部18と、前記ステンレス基材11及び前記ニッケル肉盛部18の露出面に、耐蝕性及びセパレータの積層時においてその積層方向への通電性を確保するための金皮膜21とを備えたものである。
以上のように、本実施形態の燃料電池セパレータは、ステンレス基材11の凸部11c,11dにおける頂面11e,11fにのみニッケル肉盛部18を積層形成し、更にステンレス基材11及びニッケル肉盛部18の露出面に金皮膜21を積層形成するという構造、すなわちガス流路区画用肉部22,23を凸部11c,11dとニッケル肉盛部18と金皮膜21とにより形成すると共に、これらの隣り合うガス流路区画用肉部22,23間にガス流路用凹部24,25を形成するという構造を採用したため、従来のプレス加工法による燃料電池セパレータと異なり、セパレータの表側と裏側とで凹凸関係の相互依存性が無く、各面におけるガス流路パターンの設計自由度を高めることができて、燃料電池の性能向上を図ることができる。また、この燃料電池セパレータはプレス加工によらないため、プレス歪みに起因するセパレータ積層時(組立時)の面圧不均一を防止でき、面圧不均一に由来する種々のトラブルを未然に回避して、電池性能の維持・向上を図ることができる。
(第2実施形態)
先ず、図5(a)に示すように、上述した第1実施形態と同様に、薄膜状又は薄板状の通電性基材としてのステンレス基材11(SUS304)を準備する(準備工程)。かかる薄膜状のステンレス基材11は、ロールに巻かれた状態で資材メーカーから提供されている。図5(a)は、そのステンレス薄膜ロールから引き出して基材を平らに張った状態を示す。尚、本実施形態のステンレス基材11の厚さは、前記第1実施形態と同様に0.5mmである。
次に、図5(a)に示した平らなステンレス基材11の両面に対して、厚着け型電鋳法によりニッケル(Ni)を電着する。このとき使用したニッケル浴は、水1リットルあたり硫酸ニッケル350g、塩化ニッケル45g及びホウ酸30gを溶かしてなるニッケル電解質溶液である。ニッケル浴の温度を40〜60℃に設定すると共に、そのニッケル浴中にステンレス基材11を浸し、ステンレス基材11を負極として所定時間、電流密度:10A/dmにて電鋳を行った。すると、図5(b)に示すように、ステンレス基材11の両面に金属層としてのニッケル層51が積層形成される(金属層形成工程)。このニッケル層51の厚みは、好ましくは0.1〜0.5mm(本実施形態では0.3mm)である。
続いて、ニッケル層51の形成されたステンレス基材11の片面にレジストをスクリーン印刷の手法でベタ刷りする。印刷時に使用するレジストは、例えば紫外線硬化型の樹脂(例えばアクリル樹脂系変性物)に助溶剤(例えばグリコールエーテル類)を混入してペースト状にしたものである。ベタ刷り後、ペーストを乾燥させることで、図5(c)に示すように、膜厚が約20μm程度の塗膜(レジスト膜)52が形成される。
その後、図5(d)に示すように、前記塗膜52の上にパターンフィルム53を貼り付ける。パターンフィルム53は光透過性の透明フィルムであるが、そのフィルムには、少なくとも所望のガス流路パターンに対応した黒色パターン53a(即ち不透明部分)が印刷等によって形成されている。そして、パターンフィルム13を貼り付けたステンレス基材11の上方に配置されたUV光源(図示略)からパターンフィルム53に向けて紫外線(UV)を照射する(レジストの露光)。すると、パターンフィルム53における黒色パターン53a以外の透明部分のみを紫外線が通過し、その透明部分の直下に位置するレジストだけが硬化すると共に、ガス流路パターンに対応した黒色パターン53aの直下に位置するレジストは非硬化のまま残される。
次に、レジスト膜52上からパターンフィルム53を剥がし、露出したレジストの表面を弱アルカリ溶液(例えば炭酸ナトリウム水溶液)で洗浄する(レジストの現像)。すると、非硬化のレジストのみが溶解除去されて、図5(e)に示すように、ニッケル層51の形成されたステンレス基材11の一方の面上には、UV硬化したレジストのマスキング52aによってマスキングパターン(レジストパターン)が形成される。ニッケル層51の形成されたステンレス基材11の残るもう一方の面にも、図5(c),(d)及び(e)に示した一連の工程を施して、UV硬化したレジストのマスキング52bによってマスキングパターン(レジストパターン)を形成する。
その結果、図6(f)に示すように、ニッケル層51の形成されたステンレス基材11の表裏両面にUV硬化レジストからなる複数のマスキング52a,52bによってマスキングパターンが付与される(マスキング形成工程)。なお、ニッケル層51のマスキングされた部位(マスキング部)は、当該ニッケル層51を後述するニッケル肉盛部18としてそのまま残す部位、すなわち非エッチング部位であり、ニッケル層51のマスキングされていない部位(非マスキング部)は、エッチング対象となる露出部位である。また、ニッケル層51のマスキング部の直下に位置するステンレス基材11の部位も、マスキング部に相当する非エッチング部位であり、ニッケル層51の非マスキング部の直下に位置するステンレス基材11の部位も、非マスキング部であって、エッチング対象となる部位である。
続いて、ニッケル層51の形成されたステンレス基材11の両面の非マスキング部に対して、エッチング(本実施形態では電解エッチング)を施す。このとき使用したエッチング液は、硝酸、フッ化水素酸、リン酸、塩酸及び硫酸からなる群より複数種の酸を選択・混合して混酸溶液を作り、そこへエッチング速度等を調整するための添加剤を少量(混酸溶液1リットルに対し添加剤を0.1〜0.5ミリリットル程度)加えた電解エッチング処理液(電解液)である。エッチング液の温度を30〜60℃に設定すると共に、図6(f)に示した態様のステンレス基材11の両面に対し電解エッチング装置(図示略)からエッチング液を噴射供給して、電解エッチングを行った(エッチング工程)。すると、図6(g)に示すように、ニッケル層51の非マスキング部は不要部位として腐蝕除去されると共に、ニッケル層51のマスキング部はそのままニッケル肉盛部18として残存するように形成される。また、ステンレス基材11の非マスキング部には凹部11a,11bが凹設されると共に、ステンレス基材11のマスキング部はそのまま凸部11c,11dとして残存するように形成される。なお、ステンレス基材11の各凹部11a,11b(溝)の深さは、約0.15mm程度であり、したがって、ステンレス基材11の各凸部11c,11dの厚み(高さ)は、約0.15mm程度である。
そして、図6(g)に示した態様のステンレス基材11等に付着したエッチング液を除去するための洗浄を行った後、その両面を強アルカリ溶液(例えば水酸化ナトリウム水溶液)で洗浄して、硬化レジストからなるマスキング52a,52bを溶解除去する。すると、図6(h)に示すように、前記第1実施形態に係る図4(M)に示した態様と同様に、凹部11a,11b及び凸部11c,11dを有すると共に、凸部11c,11dの頂面11e,11fにニッケル肉盛部18の積層形成されたステンレス基材11が得られる(肉部形成工程)。
ガス流路区画用肉部22の基部19はステンレス基材11の凸部11cとニッケル肉盛部18とにより形成され、ガス流路区画用肉部23の基部20はステンレス基材11の凸部11dとニッケル肉盛部18とにより形成されている。ニッケル肉盛部18の厚み(高さ)は、好ましくは0.1〜0.5mm程度(本実施形態では0.3mm)であり、このニッケル肉盛部18により、ステンレス基材11の凸部11c,11dの厚み(高さ)を補足することができる。すなわち、凸部11c,11dとニッケル肉盛部18とからなる基部19,20の厚み(高さ)を確保することで、後述するガス流路用凹部11a,11bの基部16,17の深さを確保することができる。
なお、所定の平面形状(パターン)を持ったニッケル肉盛部18をステンレス基材11の凸部11c,11d上に積層形成したことにより、隣り合う基部19,20の間の谷間にはステンレス基材11の凹部11a,11bを含む凹部が出現するが、この凹部は燃料電池セパレータの積層時に、燃料電池内の電池セルに燃料ガス等を供給するためのガス流路(後記ガス流路用凹部24,25)の基部16,17となる。これらの基部16,17は、ステンレス基材11の凹部11a,11bとニッケル肉盛部18の側面とにより形成されている。
その後、上記肉部形成工程後のステンレス基材11に対して金メッキを施し、図6(i)に示すように、金(Au)からなる皮膜をステンレス基材11及びニッケル肉盛部18の露出面に形成した(皮膜形成工程)。この金皮膜21は、ステンレス基材11及びニッケル肉盛部18の露出面を被覆して酸化等による腐蝕から保護するための保護膜である。尚、この保護膜の構成材料として金が使用されたのは、その耐蝕性能の良好なことに加えて、セパレータを複数積層したときに積層方向での電気的な接触抵抗を良好な状態に保つことが可能な金属(導体)だからである。金皮膜21の厚みは、0.01〜10μm程度(本実施形態では0.5μm)である。
図6(i)に示すように、本実施形態の燃料電池セパレータの構造は、図4(N)に示した前記第1実施形態の燃料電池セパレータの構造と同じである。従って、図6(i),図4(N)及び図1から理解できるように、本実施形態においても、前記第1実施形態と同様に、ガス流路区画用肉部22は、ステンレス基材11の凸部11cとニッケル肉盛部18と金皮膜21とにより形成され、ガス流路区画用肉部23は、ステンレス基材11の凸部11cとニッケル肉盛部18と金皮膜21とにより形成されている。また、隣り合うガス流路区画用肉部22間にガス流路用凹部24が形成され、隣り合うガス流路区画用肉部23間にガス流路用凹部25が形成されている。これらのガス流路用凹部24,25は燃料電池セパレータの積層時に、燃料電池内の電池セルに燃料ガス等を供給するためのガス流路となる。
本実施形態における薄膜状又は薄板状の燃料電池セパレータも、凹部11a,11b及び凸部11c,11dを有する薄膜状又は薄板状のステンレス基材11と、そのステンレス基材11の凸部11c,11dにおける頂面11e,11fに対して積層するように形成されたニッケル肉盛部18と、前記ステンレス基材11及び前記ニッケル肉盛部18の露出面に、耐蝕性及びセパレータの積層時においてその積層方向への通電性を確保するための金皮膜21とを備えたものである。
以上のように、本実施形態の燃料電池セパレータは、ステンレス基材11の凸部11c,11dにおける頂面11e,11fにのみ積層するようにニッケル肉盛部18を形成し、更にステンレス基材11及びニッケル肉盛部18の露出面に金皮膜21を積層形成するという構造、すなわちガス流路区画用肉部22,23を凸部11c,11dとニッケル肉盛部18と金皮膜21とにより形成すると共に、これらの隣り合うガス流路区画用肉部22,23間にガス流路用凹部24,25を形成するという構造を採用したため、従来のプレス加工法による燃料電池セパレータと異なり、セパレータの表側と裏側とで凹凸関係の相互依存性が無く、各面におけるガス流路パターンの設計自由度を高めることができて、燃料電池の性能向上を図ることができる。また、この燃料電池セパレータはプレス加工によらないため、プレス歪みに起因するセパレータ積層時(組立時)の面圧不均一を防止でき、面圧不均一に由来する種々のトラブルを未然に回避して、電池性能の維持・向上を図ることができる。
(変更例)本発明の各実施形態を以下のように変更してもよい。
・前記各実施形態では、ステンレス基材11の凸部11c,11dとニッケル肉盛部18と金皮膜21とによりガス流路区画用肉部22,23を形成したが、金皮膜21を省略してステンレス基材11の凸部11c,11dとニッケル肉盛部18とによりガス流路区画用肉部を形成してもよい。換言すれば、ガス流路区画用肉部22,23の基部19,20を、そのままガス流路区画用肉部としてもよい。従って、前記各実施形態に係る燃料電池セパレータの製造方法において、皮膜形成工程を省略してもよい。
・前記各実施形態では、隣り合うガス流路区画用肉部22,23間にガス流路用凹部24,25を形成したが、金皮膜21を省略してステンレス基材11の凹部11a,11bとニッケル肉盛部18の側面とによりガス流路用凹部を形成してもよい。すなわち、ガス流路用凹部24,25の基部16,17を、そのままガス流路用凹部としてもよい。
・前記各実施形態のステンレス基材11においては、その両面に凹部11a,11b及び凸部11c,11dを形成する構成としたが、その片面にのみ凹部及び凸部を形成する構成としてもよい。
・前記各実施形態では、図2(B),図3(H)及び図5(c)の工程でペースト状のUV硬化型レジストをベタ刷りしたが、このようなベタ刷りに代えて、UV硬化型のドライフィルムをステンレス基材11の表面に直接貼着することでマスキング用レジスト膜を形成してもよい。ドライフィルムは最初から所定の厚みがある固体として提供されるため、ペーストをベタ刷りする場合に比べて、所望とする厚みの確保が容易になるという利点がある。
・前記各実施形態では、図2(B),図3(H)及び図5(c)のペースト状UV硬化型レジストのベタ刷り並びに図2(C),図3(I)及び図5(d)のパターンフィルムの貼着、露光及び現像を経て、図2(D),図3(J)及び図5(e)のようなマスキングパターンを形成した。これに代えて、ステンレス基材11の表面にペースト状UV硬化型レジストを最初から所望のマスキングパターン形状に印刷しておき、その印刷面の全体に対して紫外線を照射することにより、硬化レジストによるマスキングパターンを直接形成してもよい。この場合には、マスキングパターンの精度は若干落ちるが、露光用パターンフィルムの貼着及び弱アルカリ溶液による洗浄が不要となり、製造過程を簡素化することができる。
・前記第1実施形態では、電鋳法によるニッケル肉盛部18の形成について説明したが、これに代え、塗装法に基づいて同様の肉盛部を形成してもよい。具体的には、例えばニッケル等からなる導電性粒子をペースト化した導電性塗料を所望の平面形状となるように印刷した後、乾燥(造膜)させる塗膜層形成工程を複数回繰り返す方法を例示することができる。この場合、材質の同じ塗膜層を積層するようにしてもよいし、材質の異なる塗膜層を積層するようにしてもよい。
・前記第2実施形態では、ステンレス基材11上に電鋳法によって金属層51を形成したが、これに代えて、ステンレス基材11上に塗装法によって導電性塗膜層(又は非導電性塗膜層)を形成してもよい。具体的には、例えばニッケル等からなる導電性粒子(又は非導電性粒子)をペースト化した導電性塗料(非導電性塗料)を所望の平面形状となるように印刷した後、乾燥(造膜)させる塗膜層形成工程を複数回繰り返す方法を例示することができる。この場合、材質の同じ塗膜層を積層するようにしてもよいし、材質の異なる塗膜層を積層するようにしてもよい。
燃料電池セパレータの一部分を拡大して模式的に示す部分拡大断面図である。 (A)〜(E)は、燃料電池セパレータの第1実施形態における一連の製造手順(序盤)を模式的に示す断面図である。 (F)〜(J)は、燃料電池セパレータの第1実施形態における一連の製造手順(中盤)を模式的に示す断面図である。 (K)〜(N)は、燃料電池セパレータの第1実施形態における一連の製造手順(終盤)を模式的に示す断面図である。 (a)〜(e)は、燃料電池セパレータの第2実施形態における一連の製造手順(前半)を模式的に示す断面図である。 (f)〜(i)は、燃料電池セパレータの第2実施形態における一連の製造手順(後半)を模式的に示す断面図である。
符号の説明
11 ステンレス基材(通電性基材)
11a,11b 凹部
11c,11d 凸部
12 レジストの塗膜(レジスト膜)
12a,12b マスキング
13 パターンフィルム
13a 黒色パターン
14 レジストの塗膜(レジスト膜)
14a,14b マスキング
15 パターンフィルム
15a 黒色パターン
16 ガス流路用凹部の基部
17 ガス流路用凹部の基部
18 ニッケル肉盛部(肉盛部)
19 ガス流路区画用肉部の基部
20 ガス流路区画用肉部の基部
21 金皮膜(皮膜)
22 ガス流路区画用肉部
23 ガス流路区画用肉部
24 ガス流路用凹部
25 ガス流路用凹部
51 ニッケル層(金属層)
52 レジストの塗膜(レジスト膜)
52a,52b マスキング
53 パターンフィルム
53a 黒色パターン

Claims (5)

  1. 少なくとも一方の面に凹部及び凸部を有する薄膜状又は薄板状の通電性基材と、その通電性基材の凸部における頂面に対して積層された肉盛部とを備え、前記通電性基材の凸部と前記肉盛部とによりガス流路区画用肉部を形成すると共に、隣り合うガス流路区画用肉部間にガス流路用凹部を形成したことを特徴とする燃料電池セパレータ。
  2. 少なくとも一方の面にエッチングによって凹部及び凸部が形成された薄膜状又は薄板状の通電性基材と、その通電性基材の凸部における頂面に対して積層された肉盛部とを備え、前記通電性基材の凸部と前記肉盛部とによりガス流路区画用肉部を形成すると共に、隣り合うガス流路区画用肉部間にガス流路用凹部を形成したことを特徴とする燃料電池セパレータ。
  3. 薄膜状又は薄板状の通電性基材及びその通電性基材の少なくとも一方の面に積層された金属層又は導電性塗膜層に対してエッチングを施すことにより、前記通電性基材に凹部及び凸部を形成すると共に、該凸部の頂面に位置する前記金属層又は前記導電性塗膜層を肉盛部として形成し、且つ、前記通電性基材の凸部と前記肉盛部とによりガス流路区画用肉部を形成すると共に、隣り合うガス流路区画用肉部間にガス流路用凹部を形成したことを特徴とする燃料電池セパレータ。
  4. 前記肉盛部を電鋳又は塗装によって形成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の燃料電池セパレータ。
  5. 前記通電性基材及び前記肉盛部の露出面に、耐蝕性及びセパレータの積層時においてその積層方向への通電性を確保するための皮膜を形成したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の燃料電池セパレータ。
JP2004079659A 2004-03-19 2004-03-19 燃料電池セパレータ Pending JP2005268073A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004079659A JP2005268073A (ja) 2004-03-19 2004-03-19 燃料電池セパレータ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004079659A JP2005268073A (ja) 2004-03-19 2004-03-19 燃料電池セパレータ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005268073A true JP2005268073A (ja) 2005-09-29

Family

ID=35092390

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004079659A Pending JP2005268073A (ja) 2004-03-19 2004-03-19 燃料電池セパレータ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005268073A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014209488A (ja) * 2006-01-17 2014-11-06 ヘンケル コーポレイションHenkel Corporation シーラント統合燃料電池部品及びこれを製造する方法及びシステム

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014209488A (ja) * 2006-01-17 2014-11-06 ヘンケル コーポレイションHenkel Corporation シーラント統合燃料電池部品及びこれを製造する方法及びシステム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
DE102009058512B4 (de) Brennstoffzellenkomponente und Verfahren zur Herstellung einer sich wiederholenden Einheit für eine Brennstoffzelle
US10161055B2 (en) Method of forming wiring pattern and etching apparatus for forming wiring pattern
CN108122691B (zh) 锂离子电容器集流体箔材及其制造方法
CN104780710A (zh) 印制线路板及其制作方法
US7901838B2 (en) Corrosion-resistant interconnects for fuel cells
JP2005268073A (ja) 燃料電池セパレータ
JPH09279366A (ja) 微細構造部品の製造方法
CN102229292B (zh) 微缩图文的印刷方法
JP2007311334A (ja) 燃料電池用のセパレータおよびその製造方法
JP2003346828A (ja) 燃料電池セパレータ
JP4815771B2 (ja) 電気部品の製造方法
JP2007111942A (ja) メタルマスク及びその製造方法
TWI703238B (zh) 微孔銅箔製法及微孔銅箔
JP2006202658A (ja) 非水電解液二次電池用負極の製造方法
JP4863244B2 (ja) 印刷用メタルマスク
CN114420457A (zh) 一种固态铝电解电容器用光边可控电极箔的制造方法
JP3834829B2 (ja) エンボス賦型フィルム製造用原版およびその製造方法
JP2010009810A (ja) 燃料電池用セパレータの製造方法
CN106435656A (zh) 一种喷雾片的制作方法
EP2571085A1 (de) Elektrochemische Zelle
DE102012208978B4 (de) Verfahren zum Herstellen einer Brennstoffzellenkomponente
JP2003340648A (ja) 電解加工用電極およびその電極を用いて製造した動圧軸受
JP2697874B2 (ja) 印刷配線板の製造方法
US20220380913A1 (en) Perforated plate structure, such as an electrode
JP2007265845A (ja) 溶融炭酸塩型燃料電池用セパレータおよびその製造方法、並びに、それを用いた溶融炭酸塩型燃料電池