JP2005266793A - 導電性エンドレスベルトおよび画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 通紙等によるベルト表面の傷つきを防止して、光沢度の低下を抑制することにより、反射光を用いた位置検出機構に好適に適用可能であって、かつ、コスト的に安価な導電性エンドレスベルトおよび画像形成装置を提供する。
【解決手段】 静電吸着により保持した記録媒体を、駆動部材により循環駆動されて、4種の画像形成体に搬送し、各トナー像を該記録媒体に順次転写するタンデム方式の転写、搬送用導電性エンドレスベルト100である。熱可塑性樹脂を主成分とする基層101上に、温度300℃以下で硬化する熱硬化性樹脂を主成分とし、硬化剤を含有する表層102が積層されてなる。
【選択図】 図1
【解決手段】 静電吸着により保持した記録媒体を、駆動部材により循環駆動されて、4種の画像形成体に搬送し、各トナー像を該記録媒体に順次転写するタンデム方式の転写、搬送用導電性エンドレスベルト100である。熱可塑性樹脂を主成分とする基層101上に、温度300℃以下で硬化する熱硬化性樹脂を主成分とし、硬化剤を含有する表層102が積層されてなる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、複写機、プリンター等の電子写真装置や静電記録装置等における静電記録プロセスにおいて、表面に静電潜像を保持した潜像保持体等の画像形成体表面に現像剤を供給して形成されたトナー像を、紙等の記録媒体へと転写する際に用いられる導電性エンドレスベルト(以下、単に「ベルト」とも称する)およびこれを用いた画像形成装置に関する。
従来から、複写機、プリンター等における静電記録プロセスでは、まず、感光体(潜像保持体)の表面を一様に帯電させ、この感光体に光学系から映像を投射して光の当たった部分の帯電を消去することによって静電潜像を形成し、次いで、この静電潜像にトナーを供給してトナーの静電的付着によりトナー像を形成し、これを紙、OHP、印画紙等の記録媒体へと転写することにより、プリントする方法が採られている。
この場合、カラープリンターやカラー複写機においても、基本的には前記プロセスに従ってプリントが行われるが、カラー印刷の場合には、マゼンタ、イエロー、シアン、ブラックの4色のトナーを用いて色調を再現するもので、これらのトナーを所定割合で重ね合わせて必要な色調を得るための工程が必要であり、この工程を行うためにいくつかの方式が提案されている。
まず、第1には、モノクロ印刷を行う場合と同様に、感光体上にトナーを供給して静電潜像を可視化する際に、前記マゼンタ、イエロー、シアン、ブラックの4色のトナーを順次重ねていくことにより現像を行い、感光体上にカラーのトナー像を形成する多重現像方式がある。この方式によれば比較的コンパクトに装置を構成することが可能であるが、この方式では階調の制御が非常に難しく、高画質が得られないという問題点がある。
第2に、4つの感光ドラムを設け、各ドラムの潜像を夫々マゼンタ、イエロー、シアン、ブラックのトナーで現像することにより、マゼンタによるトナー像、イエローによるトナー像、シアンによるトナー像およびブラックによるトナー像の4つのトナー像を形成し、これらトナー像が形成された感光ドラムを1列に並べて各トナー像を紙等の記録媒体に順次転写して記録媒体上に重ねることにより、カラー画像を再現するタンデム方式がある。この方式は、良好な画像が得られるものの、4つの感光ドラムと、各感光ドラムごとに設けられた帯電機構および現像機構が1列に並べられた状態となり、装置が大型化するとともに高価なものとなる。
図2にタンデム方式の画像形成装置の印字部構成例を示す。感光体ドラム1、帯電ロール2、現像ロール3、現像ブレード4、トナー供給ロール5およびクリーニングブレード6で構成する印字ユニットをイエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックBの各トナーに対応して4個並べており、駆動ローラ(駆動部材)9により循環駆動されて転写搬送ベルト10で搬送した用紙上に、トナーを順次転写しカラー画像を形成する。転写搬送ベルトの帯電および除電は夫々帯電ロール7および除電ロール8で行う。また、用紙をベルトへ吸着させるための用紙帯電には吸着ローラ(図示せず)が使用される。これらの対応により、オゾンの発生を抑えることができる。吸着ローラでは、用紙を搬送路から転写搬送ベルトに乗せるとともに、転写搬送ベルトへの静電吸着を行う。また、転写後の用紙分離は、転写電圧を低くすることにより用紙と転写搬送ベルトの吸着力を弱くして、曲率分離のみで行うことができる。
転写搬送ベルト10の材料としては抵抗体と誘電体があり、夫々に長所、短所を持っている。抵抗体ベルトは電荷の保持が短時間であるため、タンデム型の転写に用いた場合、転写での電荷注入が少なく4色の連続する転写でも比較的電圧の上昇が少ない。また、次の用紙の転写に繰り返して使用されるときも電荷が放出されており、電気的なリセットは必要としない。しかし、環境変動により抵抗値が変化するため、転写効率に影響すること、用紙の厚さや幅の影響を受けやすいことなどが短所となっている。
一方、誘電体ベルトの場合は注入された電荷の自然放出はなく、電荷の注入、放出とも電気的にコントロールしなければならない。しかし、安定に電荷が保持されるので、用紙の吸着が確実で高精度な紙搬送が行える。誘電率は温湿度への依存性も低いため、環境に対しても比較的安定な転写プロセスとなる。欠点は、転写が繰り返されるごとにベルトに電荷が蓄積されるため、転写電圧が高くなることである。
第3に、紙等の記録媒体を転写ドラムに巻き付けてこれを4回転させ、周回ごとに感光体上のマゼンタ、イエロー、シアン、ブラックを順次記録媒体に転写してカラー画像を再現する転写ドラム方式もある。この方式によれば比較的高画質が得られるが、記録媒体が葉書等の厚紙である場合には、これを前記転写ドラムに巻き付けることが困難であり、記録媒体種が制限されるという問題点がある。
前記多重現像方式、タンデム方式および転写ドラム方式に対して、良好な画質が得られ、かつ装置が特に大型化するようなこともなく、しかも記録媒体種が特に制限されるようなこともない方式として、中間転写方式が提案されている。
即ち、この中間転写方式は、感光体上のトナー像を一旦転写保持するドラムやベルトからなる中間転写部材を設け、この中間転写部材の周囲にマゼンタによるトナー像、イエローによるトナー像、シアンによるトナー像およびブラックによるトナー像を形成した4つの感光体を配置して4色のトナー像を中間転写部材上に順次転写することにより、この中間転写部材上にカラー画像を形成し、このカラー画像を紙等の記録媒体上に転写するものである。従って、4色のトナー像を重ね合わせて階調を調整するものであるから、高画質を得ることが可能であり、かつタンデム方式のように感光体を1列に並べる必要がないので装置が特に大型化することもなく、しかも記録媒体をドラムに巻き付ける必要もないので記録媒体種が制限されることもないものである。
中間転写方式によりカラー画像の形成を行う装置として、中間転写部材として無端ベルト状の中間転写部材を用いた画像形成装置を図3に例示する。
図3中、11はドラム状の感光体であり、図中矢印方向に回転するようになっている。この感光体11は、一次帯電器12によって帯電され、次いで画像露光13により露光部分の帯電が消去され、第1の色成分に対応した静電潜像がこの感光体11上に形成され、更に静電潜像が現像器41により第1色のマゼンタトナーMで現像され、第1色のマゼンタトナー画像が感光体11上に形成される。次いで、このトナー画像が、駆動ローラ(駆動部材)30により循環駆動されて感光体11と接触しながら循環回転する中間転写部材20に転写される。この場合、感光体11から中間転写部材20への転写は、感光体11と中間転写部材20とのニップ部において、中間転写部材20に電源28から印加される一次転写バイアスにより行われる。この中間転写部材20に第1色のマゼンタトナー画像が転写された後、前記感光体11はその表面がクリーニング装置14により清掃され、感光体11の1回転目の現像転写操作が完了する。以降、感光体が3回転し、各周回ごとに現像器42〜44を順次用いて第2色のシアントナー画像、第3色のイエロートナー画像、第4色のブラックトナー画像が順次感光体11上に形成され、これが周回ごとに中間転写部材20に重畳転写され、目的のカラー画像に対応した合成カラートナー画像が中間転写部材20上に形成される。なお、図3の装置にあっては、感光体11の周回ごとに現像器41〜44が順次入れ替わってマゼンタトナーM、シアントナーC、イエロートナーY、ブラックトナーBによる現像が順次行われるようになっている。
次に、前記合成カラートナー画像が形成された中間転写部材20に転写ローラ25が当接し、そのニップ部に給紙カセット19から紙等の記録媒体26が給送される。これと同時に二次転写バイアスが電源29から転写ローラ25に印加され、中間転写部材20から記録媒体26上に合成カラートナー画像が転写されて加熱定着され、最終画像となる。合成カラートナー画像を記録媒体26へと転写した後の中間転写部材20は、表面の転写残留トナーがクリーニング装置35により除去され、初期状態に戻り次の画像形成に備えるようになっている。
また、タンデム方式と中間転写方式とを組み合わせたタンデム中間転写方式もある。図4に、無端ベルト状のタンデム中間転写部材を用いてカラー画像の形成を行うタンデム中間転写方式の画像形成装置を例示する。
図示する装置においては、感光体ドラム52a〜52d上の静電潜像を夫々イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックにより現像する第1現像部54a〜第4現像部54dが、タンデム中間転写部材50に沿って順次配置されており、このタンデム中間転写部材50を図中の矢印方向に循環駆動させて、各現像部54a〜54dの感光体ドラム52a〜52d上に形成された4色のトナー像を順次転写することにより、このタンデム中間転写部材50上にカラーのトナー像を形成し、このトナー像を紙等の記録媒体53上に転写することにより、プリントアウトを行う。
なお、図中、符号55は、タンデム中間転写部材50を循環駆動するための駆動ローラ若しくはテンションローラを示し、符号56は記録媒体送りローラ、符号57は記録媒体送り装置、符号58は記録媒体上の画像を加熱等により定着させる定着装置を示す。また、符号59はタンデム中間転写部材50に電圧を印加する電源装置(電圧印加手段)を示し、この電源装置59は、トナー像を、感光ドラム52a〜52dから上記タンデム中間転写部材50に転写する場合と、タンデム中間転写部材50から記録媒体53上に転写する場合とで、印加する電圧の正負を反転させることができるようになっている。
上記各種方式のうち、直接タンデム方式、中間転写方式およびタンデム中間転写方式においては、感光ドラムや記録媒体供給手段等を制御もしくは監視するために、それぞれの方式に用いられる転写搬送ベルト10、中間転写部材20およびタンデム中間転写部材50上のトナー像の先頭位置(あるいは後端位置)を検出することが行われており、その検出は、例えば、固定位置から走行中のベルト表面に所定強度の赤外光を照射して、そのときの反射光を赤外線反射光検知装置(光センサー)で検出することにより行われる。このような方式に係る赤外線反射光検知装置を、対応する図2〜4中に、符号60A〜60Cにて夫々示す。
一方、上述の転写搬送ベルト10等として使用される導電性エンドレスベルトとしては従来、一層または二層以上の積層構造よりなり、これらの層を熱硬化性ポリイミド(PI)樹脂により形成してなるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。熱硬化性ポリイミド樹脂は、各種機械的特性に優れるとともに、電気抵抗の抑制が容易で、赤外線反射光探知装置でトナー像先頭位置を特定するために十分な程度の高い表面反射率を有するなど、ベルト用材料として好適な特性を備えている。
特開平7−156287号公報
しかしながら、熱硬化性ポリイミド樹脂は、上述のように各種特性に優れる反面、非常に高価であるという問題を有している。従って、材料のコストダウンの観点から、熱硬化性ポリイミド樹脂と同等程度に良好な諸特性を備え、かつ、コスト性にも優れたベルトを実現することが求められていた。
一方、上述したように、反射光を用いた検出手段を用いる場合には、ベルト表面の光反射率が重要となる。ところが、特に、タンデム方式の画像形成装置においては、印刷用紙をベルト上に吸着させて印字を行うことから、例えば、数万枚程度の大量の用紙をベルト上に通紙させると、ベルト表面が用紙の繊維により傷ついて、ベルト表面の光沢度が低下してしまうという問題があった。光沢度が低下すると検出に十分な反射光が得られなくなるため、上記反射光検出手段を用いてベルトの回転位置などを制御する場合には、初期の光反射率のみならず、かかる通紙等によるベルト表面の光沢度の低下を抑制することも重要となる。
そこで本発明の目的は、特に、通紙等によるベルト表面の傷つきを防止して、光沢度の低下を抑制することにより、反射光を用いた位置検出機構に好適に適用可能であって、かつ、コスト的に安価な導電性エンドレスベルトおよび画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、下記構成とすることにより、上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の導電性エンドレスベルトは、静電吸着により保持した記録媒体を、駆動部材により循環駆動されて、4種の画像形成体に搬送し、各トナー像を該記録媒体に順次転写するタンデム方式の転写、搬送用導電性エンドレスベルトにおいて、
熱可塑性樹脂を主成分とする基層上に、温度300℃以下で硬化する熱硬化性樹脂を主成分とし、硬化剤を含有する表層が積層されてなることを特徴とするものである。
熱可塑性樹脂を主成分とする基層上に、温度300℃以下で硬化する熱硬化性樹脂を主成分とし、硬化剤を含有する表層が積層されてなることを特徴とするものである。
また、本発明の他の導電性エンドレスベルトは、画像形成体と記録媒体との間に配設され、駆動部材により循環駆動されて、前記画像形成体表面に形成されたトナー像を一旦自己の表面に転写保持し、これを記録媒体へと転写する中間転写部材用の導電性エンドレスベルトにおいて、
熱可塑性樹脂を主成分とする基層上に、温度300℃以下で硬化する熱硬化性樹脂を主成分とし、硬化剤を含有する表層が積層されてなることを特徴とするものである。
熱可塑性樹脂を主成分とする基層上に、温度300℃以下で硬化する熱硬化性樹脂を主成分とし、硬化剤を含有する表層が積層されてなることを特徴とするものである。
さらに、本発明のさらに他の導電性エンドレスベルトは、4種の画像形成体と記録媒体との間に配設され、駆動部材により循環駆動されて、前記4種の画像形成体表面に形成されたトナー像を一旦自己の表面に順次転写保持し、これを記録媒体へと転写するタンデム中間転写部材用の導電性エンドレスベルトにおいて、 熱可塑性樹脂を主成分とする基層上に、温度300℃以下で硬化する熱硬化性樹脂を主成分とし、硬化剤を含有する表層が積層されてなることを特徴とするものである。
また、本発明の他の画像形成装置は、上記本発明の導電性エンドレスベルトを用いたことを特徴とするものである。
本発明によれば、上記構成とすることにより、通紙等によるベルト表面の傷つきを防止して、光沢度の低下を抑制することで、反射光を用いた位置検出機構に好適に適用可能であって、かつ、コスト的にも安価な導電性エンドレスベルト、その製造方法および画像形成装置を実現することができる。
以下、本発明の好適な実施の形態につき詳細に説明する。
導電性エンドレスベルトには、一般に、ジョイントありのものとジョイントなしのもの(いわゆるシームレスベルト)とがあるが、本発明においてはいずれのものであってもよい。好ましくはシームレスベルトである。本発明の導電性エンドレスベルトは、前述したように、タンデム方式、中間転写方式およびタンデム中間転写方式の転写部材等として用いることができるものである。
導電性エンドレスベルトには、一般に、ジョイントありのものとジョイントなしのもの(いわゆるシームレスベルト)とがあるが、本発明においてはいずれのものであってもよい。好ましくはシームレスベルトである。本発明の導電性エンドレスベルトは、前述したように、タンデム方式、中間転写方式およびタンデム中間転写方式の転写部材等として用いることができるものである。
本発明の導電性エンドレスベルトが、例えば、図2に参照符号10で示す転写搬送ベルトの場合、駆動ローラ9等の駆動部材により駆動され、これに伴い搬送される記録媒体上にトナーが順次転写され、カラー画像が形成される。
また、本発明の導電性エンドレスベルトが、例えば、図3に参照符号20で示す中間転写部材の場合、これを駆動ローラ30等の駆動部材により循環駆動させ、感光体ドラム(潜像保持体)11と紙等の記録媒体26との間に配設することで、前記感光体ドラム11の表面に形成されたトナー像を一旦転写保持し、次いでこれを記録媒体26へと転写する。なお、図3の装置は、上述したように、中間転写方式によりカラー印刷を行うものである。
さらに、本発明の導電性エンドレスベルトが、例えば、図4に参照符号50で示すタンデム中間転写部材の場合、感光体ドラム52a〜52dを備える現像部54a〜54dと紙等の記録媒体53との間に配設されて、駆動ローラ55等の駆動部材により循環駆動され、各感光体ドラム52a〜52dの表面に形成された4色のトナー像を一旦転写保持し、次いでこれを記録媒体53へと転写することで、カラー画像を形成する。
図1に、本発明の一例の導電性エンドレスベルトの概略断面図を示す。図示する本発明の導電性エンドレスベルト100は、基層101上に、表層102が積層されてなる二層構造を有する。
本発明においては、表層102が、温度300℃以下で硬化する熱硬化性樹脂を主成分とし、かつ、硬化剤を含有する点が重要である。所定の熱硬化性樹脂とともに硬化剤を用いたことで、表層102の硬度を向上することができ、通紙等によっても表面が傷付きにくいベルト100を実現することが可能となった。従って、長期使用後においてもベルト表面の光沢度を使用初期と同程度に保持することができるので、本発明のベルトは反射光を用いた位置検出手段にも好適に適用可能である。
かかる表層102に用いる熱硬化性樹脂としては、熱硬化性ポリイミド樹脂に比し安価な材料であって、温度300℃以下で硬化し、硬化時に下層の基層101を構成する熱可塑性樹脂に影響を与えないものであれば、特に制限されるものではないが、例えば、ポリエステルウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシウレタン樹脂等を好適に挙げることができる。また、硬化剤としても、特に制限されるものではなく、通常用いられるものを適宜選択して用いることができ、例えば、イソシアネート化合物を挙げることができ、具体的には、コロネートL、コロネートEH、コロネートHL(いずれも日本ポリウレタン工業(株)製)などを用いることができる。イソシアネート成分とポリオール成分とによるウレタン結合(−NH−COO−)を有する熱硬化性樹脂を用いることで、塗膜硬度が高く、弾性を有し、かつ耐摩耗性に優れた表層102を形成することができる。
表層102における硬化剤の含有量は、好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは0.1〜20重量%の範囲内である。硬化剤の含有量をこの範囲内とすることにより、本発明に係る表層102の改良効果をより良好に得ることができる。硬化剤の含有量が少なすぎると効果が不十分となり、一方、多すぎるとコスト高となる。
また、基層101は、熱可塑性樹脂を主成分として構成する。かかる熱可塑性樹脂としては特に制限されるものではなく、慣用の材料を適宜用いることが可能であるが、高強度かつ高剛性等、ベルトに要求される機械的特性を満足しうる材料を選択することが好適である。具体的には例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−エチレンプロピレン−スチレン共重合体、ポリアミド12、ポリアミド6・12、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアセタール、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビリニデン、ポリフッ化ビニル、ポリ六フッ化エチレンプロピレン、ポリ三フッ化エチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアリレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリプロピレン、熱可塑性ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、および、液晶ポリエステル等を挙げることができ、中でも、ポリアミド12およびアクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体が好ましく、ポリアミド12が特に好ましい。
基層101中には、所望に応じ、機能性成分として導電性材料を添加して、導電性の付与、調整を行うことができる。かかる導電性材料としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸・ジメチルエチルアンモニウムの過塩素酸塩、塩素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エトサルフェート塩、ハロゲン化ベンジル塩(臭化ベルジル塩、塩化ベンジル塩等)等の第4級アンモニウムなどの陽イオン界面活性剤;脂肪族スルホン酸、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸塩、高級アルコール燐酸エステル塩等の陰イオン界面活性剤;各種ベタイン等の両性イオン界面活性剤;高級アルコールエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル等の非イオン性帯電防止剤などの帯電防止剤、LiCF2SO2、NaClO4、LiBF4、NaCl等の周期律表第1族の金属塩;Ca(ClO4)2等の周期律表第2族の金属塩:およびこれらの帯電防止剤がイソシアネートと反応する活性水素を有する基(水素基、カルボキシル基、一級乃至二級アミン基等)を1個以上有するものなどが挙げられる。更に、これらと多価アルコール(1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等)またはその誘導体との錯体、或いはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等との錯体などのイオン導電剤;ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボン;SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン;酸化処理を施したカラーインク用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト等;酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅等の金属および金属酸化物;ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマーなどを例示することができる。
これらの導電性材料の添加量は、主成分としての樹脂材料100重量部に対して好ましくは0.01〜30重量部、より好ましくは0.1〜20重量部程度である。
また、基層101中には、上述の成分に加えて他の機能性成分を適宜添加することも可能であり、例えば、各種充填材、カップリング剤、酸化防止剤、滑剤、表面処理剤、顔料、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、中和剤、発泡剤、架橋剤等を適宜配合することができる。さらに、着色剤を添加して着色を施してもよい。
基層101の厚さは、好適には10〜300μmであり、より好適には30〜200μm程度である。また、表層102の厚さは好適には1〜200μmであり、より好適には1〜50μm程度である。
また、本発明においては、基層101と表層102との間に中間層を設けてもよい(図示せず)。中間層は、弾性を有する種々のゴム材料、熱可塑性エラストマー、低硬度ウレタン樹脂等の材料により形成することができ、これによりベルトに弾性を付与して、感光ドラムや紙等の記録媒体との当接転写に際してベルト表面を広い範囲で接触させることができ、高い転写効率を得ることができる。中間層の厚さは、例えば、1〜500μm程度とすることができる。
なお、位置検出手段として前記赤外線反射光探知装置を用いるために、表層102の反射率は、JIS K0134に従い入射角5度で計測したときの相対反射率で、3%以上であることが好ましい。これにより、例えば、950nm程度の波長の赤外線を用いて行われる、赤外線反射光探知装置による、トナー像保持面2aにおけるトナー像の有無の検知を確実に行うことが可能となる。また、表層102の表面粗さは好適には1μm以下であり、これにより、記録媒体へのトナーを転写する際の転写効率を向上することができる。さらに、基層の弾性率は好適には300〜5000MPaであり、これにより、ベルトの寸法精度やクリープ等の機械的特性を確保することができる。
また、本発明の導電性エンドレスベルトを用いた本発明の画像形成装置としては、図2に示すタンデム方式のものや図3に示す中間転写方式のもの、または、図4に示すタンデム中間転写方式のものを例示することができるが、これらには限定されない。尚、図3の装置の場合、本発明の中間転写部材20を回転させる駆動ローラまたは駆動ギアには適宜電源61から電圧を印加することができ、この場合の電圧は直流のみの印加または直流に交流を重量する印加など、印加条件は適時選択することができる。
さらに、本発明の導電性エンドレスベルトの製法は特に制限されるべきものではなく、例えば、基層101については、二軸混練機により主成分としての熱可塑性樹脂と導電性材料等の機能性成分とを混練した後、得られた混練物を最終的なベルトと同周長の環状ダイスを用いて連続押出しすることにより製造する方法を好適に用いることができる。または、静電塗装等の粉体塗装法、ディップ塗装法または遠心注型法も好適に採用することができる。
また、表層102については、上記のようにして形成された無端状の基層102上に塗布により形成することができ、具体的には、基層101を所定寸法の金型の外周面にセットして、スプレー塗装法またはディップ塗装法により塗布形成することができる。好適にはディップ塗装法であり、これにより、厚み精度良好に表層102を形成することができる。塗布完了後、所定の温度、例えば、100〜200℃程度の温度下で20〜120分間乾燥させ、その後、基層101上に表層102が積層されてなるベルトを金型から脱型して、最後に、一本の製品幅に相当する長さに定長裁断することにより、本発明のベルトを得ることができる。
以下、本発明を、実施例により具体的に説明する。
実施例1〜3および比較例
まず、熱可塑性ポリアミド(宇部興産(株)製、商品名:UBEナイロン)を環状ダイスを用いて連続押出しすることにより、厚さ80〜100μmの基層101を形成した。次いで、下記の表1中に示す配合比で混合、攪拌して作製した塗装用塗料を容器に移し、この塗装用塗料中にディッピングすることにより基層101表面に塗装を行って、120℃×30分にて乾燥し、3〜10μmの厚さの表層102を形成した。以上により、各ベルトサンプルを作製した。使用した樹脂および硬化剤の詳細は、下記の表2中に示す。
実施例1〜3および比較例
まず、熱可塑性ポリアミド(宇部興産(株)製、商品名:UBEナイロン)を環状ダイスを用いて連続押出しすることにより、厚さ80〜100μmの基層101を形成した。次いで、下記の表1中に示す配合比で混合、攪拌して作製した塗装用塗料を容器に移し、この塗装用塗料中にディッピングすることにより基層101表面に塗装を行って、120℃×30分にて乾燥し、3〜10μmの厚さの表層102を形成した。以上により、各ベルトサンプルを作製した。使用した樹脂および硬化剤の詳細は、下記の表2中に示す。
各ベルトサンプルについて、表層表面の光反射率を測定した。測定は、JIS K0134(2002)に準拠して、光反射測定機としてU−4000型分光光度計((株)日立製作所製)を用い、使用波長950nmで、正反射法(入射角5度)にて行った。結果は、比較基準(リファレンス)としてアルミ蒸着板を用いて、これに対する相対反射率として得た。通紙用紙としては表面コート紙を用い、また、通紙試験には、市販のカラーレーザープリンター(LBP)を使用して、通紙枚数は3万枚とした。
これらの結果を下記の表3中に示す。
これらの結果を下記の表3中に示す。
100 導電性エンドレスベルト
101 基層
102 表層
101 基層
102 表層
Claims (8)
- 静電吸着により保持した記録媒体を、駆動部材により循環駆動されて、4種の画像形成体に搬送し、各トナー像を該記録媒体に順次転写するタンデム方式の転写、搬送用導電性エンドレスベルトにおいて、
熱可塑性樹脂を主成分とする基層上に、温度300℃以下で硬化する熱硬化性樹脂を主成分とし、硬化剤を含有する表層が積層されてなることを特徴とする導電性エンドレスベルト。 - 画像形成体と記録媒体との間に配設され、駆動部材により循環駆動されて、前記画像形成体表面に形成されたトナー像を一旦自己の表面に転写保持し、これを記録媒体へと転写する中間転写部材用の導電性エンドレスベルトにおいて、
熱可塑性樹脂を主成分とする基層上に、温度300℃以下で硬化する熱硬化性樹脂を主成分とし、硬化剤を含有する表層が積層されてなることを特徴とする導電性エンドレスベルト。 - 4種の画像形成体と記録媒体との間に配設され、駆動部材により循環駆動されて、前記4種の画像形成体表面に形成されたトナー像を一旦自己の表面に順次転写保持し、これを記録媒体へと転写するタンデム中間転写部材用の導電性エンドレスベルトにおいて、
熱可塑性樹脂を主成分とする基層上に、温度300℃以下で硬化する熱硬化性樹脂を主成分とし、硬化剤を含有する表層が積層されてなることを特徴とする導電性エンドレスベルト。 - 前記表層の主成分がポリエステルウレタン樹脂である請求項1〜3のうちいずれか一項記載の導電性エンドレスベルト。
- 前記表層における前記硬化剤の含有量が0.1〜30重量%の範囲内である請求項1〜4のうちいずれか一項記載の導電性エンドレスベルト。
- 前記基層が押出成形により形成され、かつ、前記表層が該基層上に塗布形成されている請求項1〜5のうちいずれか一項記載の導電性エンドレスベルト。
- 記表層が前記基層上にディップ塗装法により塗布形成されている請求項6記載の導電性エンドレスベルト。
- 請求項1〜7のうちいずれか一項記載の導電性エンドレスベルトを用いたことを特徴とする画像形成装置。
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