JP2005266093A - 分散補償器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 チャネル内の各波長成分の光の分散(遅延時間差)が、光線路を敷設した後の環境変化などにより変化しても、その変化分を良好に補償することができ、且つ、簡易に構成することもできる分散補償器を提供する。
【解決手段】 1つ以上のチャネルを含む光信号を入力する手段12と、チャネル内の各波長成分の光を所定の直線方向に沿って異なる位置に結像する第1光学系13,14と、第1光学系の結像面に平行で直線方向に垂直な軸を中心として回転可能な1つ以上の反射素子15を含み、チャネル内の各波長成分の光を反射素子により反射すると共に、該反射素子の回転角に応じて各波長成分どうしの光路差を調整する手段と、反射素子を経たチャネル内の各波長成分の光を互いに重なるように結像する第2光学系13,14と、第2光学系を経たチャネル内の各波長成分の光を新たな光信号として出力する手段12とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光信号に含まれるチャネル内の各波長成分の光の分散(遅延時間差)を補償する分散補償器に関し、特に、波長分割多重(WDM)方式の光通信分野での使用に好適な分散補償器に関する。
光ファイバなどの光線路を伝搬すると、光線路の非零分散波長帯域の光信号の各チャネルには、各々の波長帯域に応じて分散(遅延時間差)が生じる。さらに、このような分散(遅延時間差)は、チャネル内の各波長成分の光にも生じ、信号波形の劣化を引き起こす。また、信号波形が劣化すると、受信時に符号誤りを起こしやすくなる。このため、従来より、チャネル内の各波長成分の光の分散(遅延時間差)を補償することが行われている。
分散補償器は、光線路の伝搬により生じた分散を相殺するように、逆の分散をチャネル内の各波長成分の光に与えるものである。分散補償器としては、簡易な分散補償ファイバ(DCF)が良く知られている。分散補償ファイバでは、光線路を敷設したときの分散を補償することはできるが、敷設後の環境変化などによって分散が変化した場合、その変化分を補償することは困難である。
そこで近年、VIPA型の分散補償器が提案された(例えば特許文献1を参照)。VIPA型の分散補償器は、VIPA板と呼ばれる特殊な波長分散素子に対して自由曲面ミラーを平行移動させることにより、自由曲面ミラーの凹凸形状に応じて分散の補償量を可変できるものである。このため、光線路を敷設した後の環境変化などによる分散の変化分を含めて良好に補償することができる。なお、自由曲面ミラーの移動方向は、VIPA板の波長分散方向に垂直である。自由曲面ミラーには、予想される分散の補償量が凹凸形状として記録されている。
特開2003−309521号公報
しかしながら、上記したVIPA型の分散補償器では、自由曲面ミラーの凹凸形状を非常に高精度に(例えばnmオーダーの精度で)加工する必要があり、高度な加工技術が要求される。
本発明の目的は、チャネル内の各波長成分の光の分散(遅延時間差)が、光線路を敷設した後の環境変化などにより変化しても、その変化分を良好に補償することができ、且つ、簡易に構成することもできる分散補償器を提供することにある。
請求項1に記載の分散補償器は、1つ以上のチャネルを含む光信号を入力する入力手段と、前記光信号に含まれるチャネル内の各波長成分の光を所定の直線方向に沿って異なる位置に結像する第1光学系と、前記第1光学系の結像面に平行で前記直線方向に垂直な軸を中心として回転可能な1つ以上の反射素子を含み、前記第1光学系を経た前記チャネル内の各波長成分の光を前記反射素子により反射すると共に、該反射素子の回転角に応じて各波長成分どうしの光路差を調整する調整手段と、前記反射素子を経て前記光路差が調整された前記チャネル内の各波長成分の光を互いに重なるように結像する第2光学系と、前記第2光学系を経て互いに重ねられた前記チャネル内の各波長成分の光を新たな光信号として出力する出力手段とを備えたものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の分散補償器において、前記調整手段は、前記反射素子を1つ含み、前記1つの反射素子は、前記光信号に含まれる全てのチャネルの光を一括で反射可能な大きさの平面ミラーであり、該平面ミラーの反射面が前記軸と平行に配置されるものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の分散補償器において、前記調整手段は、前記反射素子を複数含み、前記複数の反射素子の各々は、前記光信号に含まれる各々のチャネルの光を一括で反射可能な大きさを有するものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の分散補償器において、前記調整手段は、前記反射素子を1つ含み、前記1つの反射素子は、前記光信号に含まれる少なくとも一部のチャネルの光を一括で反射可能な大きさを有し、少なくとも前記直線方向に沿って移動可能である。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の分散補償器において、前記1つの反射素子は、前記直線方向に垂直な方向に沿って大きさが変化する形状を成し、前記垂直な方向に沿って移動可能である。
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の分散補償器において、前記調整手段は、前記反射素子を1つ含み、前記1つの反射素子は、前記光信号に含まれる全てのチャネルの光を一括で反射可能な大きさのL字型ミラーであり、該L字型ミラーの反射面の折り曲げ部が前記軸と垂直に配置されるものである。
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6の何れか1項に記載の分散補償器において、チャネル内の各波長成分の遅延時間差を測定する測定手段と、前記測定手段による測定結果に基づいて、前記反射素子の回転角を制御する制御手段とを備えたものである。
本発明の分散補償器によれば、チャネル内の各波長成分の光の分散(遅延時間差)が、光線路を敷設した後の環境変化などにより変化しても、その変化分を良好に補償することができ、且つ、簡易に構成することもできる。
以下、図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態の分散補償器10は、図1に示す通り、サーキュレータ11と、入出力用の光ファイバ12と、コリメータレンズ13と、グレーティング14と、回転可能な平面ミラー15と、アクチュエータ16と、分散測定器17と、制御回路18とで構成されている。この分散補償器10は、例えば図2に示す波長分割多重(WDM)方式の光通信システムに組み込まれる。
図2の光通信システムでは、送信端21の発光素子21A(例えばDFB−LD)からのWDM光信号が、シングルモードファイバ(SMF)22と光アンプ23とSMF24と光アンプ25とを経由した後、受信端26に到達する。なお、WDM光信号は、波長帯域の異なる多数のチャネルを多重化したものである。各チャネルの波長帯域の波長幅は極めて狭い(例えば0.8nm程度)。
光線路(SMF22,24)の零分散波長は1300nm帯にあり、WDM光信号の各チャネルの波長帯域は1550nm帯である。このため、光線路(SMF22,24)を長距離伝搬することにより、WDM光信号の各チャネルには、各々の波長帯域に応じて分散(遅延時間差)が生じる。通常、長波長の波長帯域のチャネルほど伝搬速度が速く、受信端26に早く到着する。チャネルどうしの分散(遅延時間差)を確保することにより、4光波混合効果などの非線形光学効果に起因するチャネル相互の影響(クロストーク)を回避できる。
ただし、上記のような分散(遅延時間差)は、チャネル内の各波長成分の光にも生じ、信号波形の劣化を引き起こす。そして、信号波形が劣化すると、受信時に符号誤りを起こしやすくなる。このため、図2の光通信システムでは、受信端26に到達したWDM光信号が受光素子26A(例えばPD)に入射する前に、分散補償ファイバ27と第1実施形態の分散補償器10とを経由させ、チャネル内の各波長成分の光の分散(遅延時間差)を補償している。
分散補償ファイバ27では、主に、光線路(SMF22,24)を敷設したときの分散を補償する。また、分散補償ファイバ27では、各チャネルごとに異なる分散(つまりスロープ成分)を補償することもできる。分散補償ファイバ27による分散の補償量は固定である。受信端26に到達した時点での大部分の分散は、分散補償ファイバ27を伝搬することにより補償される。
第1実施形態の分散補償器10には、分散補償ファイバ27を経て大部分の分散(スロープ成分を含む)が補償された後のWDM光信号が取り込まれる。光線路(SMF22,24)を敷設した後の環境変化(例えば温度やストレスの変化)などによって分散が変化した場合、その変化分は、微小で各チャネルごとに略一定(つまりシフト成分)と考えられ、分散補償器10により補償される。また、敷設時の誤差による残留分散も分散補償器10により補償可能である。分散補償器10による分散の補償量は可変である。
次に、図1に示す第1実施形態の分散補償器10について具体的に説明する。ちなみに、分散補償器10は、ハードウエアとしては1台の分光器の中で光路を二重に巡らすことにより、逆分散型二重分光器として機能するものである。逆分散型二重分光器は、迷光低減に優れた分光器として知られ、逆分散型ダブルモノクロメータまたは零分散分光器と呼ばれることもある。
サーキュレータ11は、3つのポートを持ち、上記の分散補償ファイバ27によって大部分の分散が補償された後のWDM光信号を第1ポートから取り込み、第2ポートに接続された入出力用の光ファイバ12の方向に導く。また、分散補償器10によって微小な分散が補償された後のWDM光信号(後述)を第2ポートから取り込み、第3ポートに接続された分散測定器17および受光素子26Aの方向に導く。
入出力用の光ファイバ12は、単数線(例えば1本のシングルモードファイバ)からなり、サーキュレータ11の第2ポートからのWDM光信号(つまり分散補償ファイバ27によって大部分の分散が補償された後のWDM光信号)を内部に入力する。つまり、WDM光信号に含まれる各チャネル内の各波長成分の光(総じて「WDM光」という)L1を端面からコリメータレンズ13の方向に発散する。WDM光L1の各波長成分の主光線は、互いに共通であり、コリメータレンズ13の光軸と平行で、かつ、その光軸から偏心している。
なお、光ファイバ12からのWDM光L1は、概略、コリメータレンズ13を介してグレーティング14に入射し(L2)、グレーティング14で分波され(L3)、コリメータレンズ13を介して平面ミラー15に入射する(L4)。そして、平面ミラー15で反射した後(L5)、コリメータレンズ13を介してグレーティング14に入射し(L6)、グレーティング14で合波され(L7)、コリメータレンズ13を介して光ファイバ12に戻る(L8)。
詳細は後述するが、分散補償器10の中で光路を二重に巡らす(L1→L2→L3→L4→L5→L6→L7→L8)ことにより、その途中に配置された平面ミラー15の回転角に応じて、微小な分散(上記の分散補償ファイバ27で補償しきれなかった分散)が補償され、補償後のWDM光L8が光ファイバ12の端面に入射する。そして、光ファイバ12は、WDM光L8を新たなWDM光信号として出力する。上記の光ファイバ12は、請求項の「入力手段」,「出力手段」に対応する。
コリメータレンズ13は、光ファイバ12のNA(例えば0.13)に対して最適化された正の焦点距離を有し、その焦点面が光ファイバ12の端面と一致するように配置されている。このため、光ファイバ12の端面から発散したWDM光L1は、コリメータレンズ13によってコリメートされ、平行光となってグレーティング14に入射する(L2)。なお、WDM光L1の他、グレーティング14と平面ミラー15との間を往復する際のWDM光L3,L5や、グレーティング14から光ファイバ12に戻るWDM光L7も、コリメータレンズ13を通過するが、その説明は後述する。
グレーティング14は、多数の直線溝(不図示)が等間隔で1次元配列された反射型の平面回折格子である。直線溝の配列方向は、グレーティング14の波長分散方向に相当する。図1では、直線溝が紙面に垂直で、波長分散方向が紙面に平行である。また、グレーティング14の格子定数は使用波長帯域の数倍程度に大きく、比較的偏光特性が小さく、高次にブレーズされている(いわゆるエシェルグレーティング)。
上記の光ファイバ12からコリメータレンズ13を介してグレーティング14に入射したWDM光L2は、グレーティング14で分散作用を受けて分波される。グレーティング14からコリメータレンズ13に向けて進行するWDM光L3は、0次以外でブレーズが最も強い回折次数の光(例えば1次回折光)であり、各波長成分ごとに進行方向が異なる。ただし、その進行方向は、波長成分に拘わらず、グレーティング14の直線溝に垂直な面(以下「基準面」という)に平行である。ちなみに、この基準面は、コリメータレンズ13の光軸に平行で、図1の紙面とも平行である。
そして、グレーティング14から発生したWDM光L3は、コリメータレンズ13によって各波長成分ごとに集光され(L4)、平面ミラー15に入射する。このとき、コリメータレンズ13は、WDM光L4を各波長成分ごとに異なる位置に結像する。WDM光L4の各波長成分の主光線は、互いに異なるが、何れも、コリメータレンズ13の光軸と平行で、かつ、その光軸から偏心している。
また、WDM光L4の各波長成分の結像位置は、図3(a),(b)に示す通り、コリメータレンズ13の結像面13A(第1実施形態では上記した焦点面と同一面)の中で、上記の基準面に平行な所定の直線方向13Bに沿って一列に並ぶことになる。図3(a)には結像面13Aが紙面と垂直な場合、図3(b)には結像面13Aが紙面と平行な場合の結像位置を“・”により示した。
図3(a),(b)では、WDM光L4の各波長成分に、λ012,…,λk-1kk+1,…,λnn+1の記号を用いた。以下、同じ記号を用いて説明する。なお、実際の波長成分は離散的ではなく連続的と考えられる。さらに、これらの波長成分λ0,…,λn+1のうち、波長成分λ012を「中心波長λ1のチャネル」とする。この場合、中心波長λ1のチャネル内の各波長成分はλ012である。同様に、波長成分λk-1kk+1を「中心波長λkのチャネル」とする。図3には「中心波長λnのチャネル」も図示した。
WDM光L4には、図示した「中心波長λ1のチャネル」,「中心波長λkのチャネル」,「中心波長λnのチャネル」の他、波長帯域の異なる多数のチャネルが含まれている。各チャネルの中心波長λ1,…,λk,…,λnの結像位置は、コリメータレンズ13の結像面13Aの直線方向13Bに沿って等間隔である。なお、上記のグレーティング14とコリメータレンズ13とは総じて請求項の「第1光学系」に対応する。
平面ミラー15は、WDM光L4をコリメータレンズ13に向けて反射するための光学素子であり、WDM光L4に含まれる全てのチャネル(中心波長λ1,…,λk,…,λnのチャネル)の光を一括で反射可能な大きさを有する。また、平面ミラー15は、図4に示す通り、コリメータレンズ13の結像面13Aの近傍に配置され、結像面13Aに平行で直線方向13Bに垂直な軸15aを中心として回転可能である。平面ミラー15の反射面は軸15aと平行である。なお、平面ミラー15の加工に高度な技術は必要ない。このため、平面ミラー15は、従来の自由曲面ミラーと比較して簡易に作製できる。
WDM光L4の各波長成分λ012,…,λk-1kk+1,…,λnn+1の光が平面ミラー15に到達する位置は、図5に“・”で示す通りとなる。結像面13Aにおける結像位置の並びと同様、平面ミラー15における到達位置も、上記の基準面に平行な所定の直線方向に沿って一列に並ぶことになる。分かりやすくするために図5では平面ミラー15の回転角θを大きく示したが、実際には図示例より小さい。
WDM光L4は、平面ミラー15に到達すると、各波長成分λ012,…,λk-1kk+1,…,λnn+1ごとに各々の到達位置で反射して、コリメータレンズ13に向けて進行するWDM光L5となる(図6)。なお、分かりやすくするために図6ではWDM光L5の各波長成分λ0,…,λn+1の主光線がWDM光L5の主光線(図5参照)と平行であるように示したが、実際には平面ミラー15の回転角θに応じて僅かに傾くことになる。
ここで、WDM光L4,L5に含まれる全てのチャネル(中心波長λ1,…,λk,…,λnのチャネル)のうち「中心波長λkのチャネル」に注目し、このチャネル内の各波長成分λk-1kk+1の光路長について説明する。光路長は、各波長成分λk-1kk+1の光が進むべき距離に相当し、平面ミラー15における到達位置がコリメータレンズ13に近いほど短くなる。
例えば図5,図6の場合には、平面ミラー15が反時計回りに回転しているため、各波長成分λk-1kk+1のうち、波長成分λk-1の到達位置が最もコリメータレンズ13に近く、波長成分λk-1の光路長が最も短い。また、波長成分λk+1の到達位置が最もコリメータレンズ13から遠く、波長成分λk+1の光路長が最も長い。なお、平面ミラー15の回転角θがゼロで、平面ミラー15がコリメータレンズ13の結像面13Aと一致する場合、各波長成分λk-1kk+1の光路長は互いに等しくなる。
平面ミラー15がコリメータレンズ13の結像面13Aに対して傾いている場合、「中心波長λkのチャネル」の中で上記のような光路長の差(つまり光路差)があると、光路長が短い波長成分(図5,図6の場合には波長成分λk-1)の光は、短い時間で平面ミラー15から戻って来ることができる。これに対し、光路長が長い波長成分(図5,図6の場合には波長成分λk+1)の光は、平面ミラー15から戻って来るまでに長い時間を要する。
このため、平面ミラー15に向かうWDM光L4において、仮に、「中心波長λkのチャネル」内の各波長成分λk-1kk+1の光に分散(遅延時間差)が無い場合、平面ミラー15から戻って来るWDM光L5の各波長成分λk-1kk+1の光には、図7(a)に示す各々の光路差Ok,Ok+1に応じて分散(遅延時間差)が生じることになる。具体的には、波長成分λk-1の光に対して、波長成分λkの光は、光路差Okに応じた時間tk(=Ok/c)だけ遅れることになる。cは光速である。また、波長成分λk+1の光は、光路差Ok+1に応じた時間tk+1(=Ok+1/c)だけ遅れる。図7(a)の点Sから点Eまでの曲線は、各々の光が一定の時間内に進む経路を表す。
光路差Okは、平面ミラー15における波長成分λk-1の到達位置から波長成分λkの到達位置までの距離Qkの2倍に相当する。距離Qkは、コリメータレンズ13の結像面13Aに垂直な方向の距離である。同様に、光路差Ok+1は、波長成分λk-1の到達位置から波長成分λk+1の到達位置までの距離Qk+1の2倍に相当する。
また、距離Qk,Qk+1は平面ミラー15の回転角θに応じて変化し、これにより光路差Ok,Ok+1も回転角θに応じて変化し、WDM光L5の波長成分λk-1の光に対する波長成分λkk+1の光の遅延時間tk(=Ok/c),tk+1(=Ok+1/c)も回転角θに応じて変化することになる。
距離Qk,Qk+1の単位を“mm”、回転角θの単位を“度”、波長成分λk-1kk+1の単位を“nm”とすると、これらのパラメータどうしの関係(図7(b)参照)は、コリメータレンズ13の結像面13Aでの逆線分散値g(nm/mm)を用いて、次の式(1),(2)のように表される。
k = [(λk −λk-1)/g]・tanθ …(1)
k+1 = [(λk+1−λk-1)/g]・tanθ …(2)
なお、逆線分散値gとは、結像面13Aでの単位長さ(1mm)の間に波長が変化する量である。また、逆線分散値gの大きさは、グレーティング14の直線溝の数(本/mm)と、コリメータレンズ13の焦点距離fとで決まり、グレーティング14の分解能が高いほど小さくなる。
式(1),(2)から分かるように、逆線分散値gが一定の場合、距離Qk,Qk+1は、平面ミラー15の回転角θに応じて変化し、回転角θが大きいほど、その値も大きくなる。なお、回転角θがゼロの場合には、距離Qk,Qk+1の値もゼロになる。そして、距離Qk,Qk+1の2倍に相当する光路差Ok,Ok+1(図7(a))も、同じように回転角θに応じて変化する。つまり、平面ミラー15の回転角θに応じて、各波長成分λk-1kk+1どうしの光路差Ok,Ok+1を調整することができる。
したがって、平面ミラー15がWDM光L4,L5の「中心波長λkのチャネル」内の各波長成分λk-1kk+1の光に与える分散(遅延時間差p)は、次の式(3)により求めることができる。遅延時間差pの単位は“psec/nm”である。遅延時間差pは、単位波長(1nm)あたりの遅延時間を表す。光速cの単位は“mm/psec”である。
p = tk/(λk−λk-1) = tk+1/(λk+1−λk-1)
= [2・Qk]/[c・(λk−λk-1)] = [2・Qk+1]/[c・(λk+1−λk-1)]
= (2・tanθ)/(c・g) …(3)
ここまでの説明は、WDM光L4,L5の「中心波長λkのチャネル」に注目し、このチャネル内の各波長成分λk-1kk+1を例に行ったが、WDM光L4,L5に含まれる他のチャネル(中心波長λ1,…,λnのチャネル)にも共通である。つまり、平面ミラー15がWDM光L4,L5の他のチャネル内の各波長成分の光に与える分散(遅延時間差p)も式(3)と同じである。
平面ミラー15がWDM光L4,L5に与える分散(遅延時間差p)は、式(3)から分かるように、逆線分散値gが一定の場合、平面ミラー15の回転角θに応じて変化し、回転角θが大きいほど、その値も大きくなる。なお、回転角θがゼロの場合には、分散(遅延時間差p)の値もゼロになる。このように、第1実施形態の分散補償器10では、平面ミラー15の回転角θに応じて、WDM光L4,L5に与える分散(遅延時間差p)を調整することができる。
このため、平面ミラー15に向かうWDM光L4において、例えば「中心波長λkのチャネル」内の各波長成分λk-1kk+1の光に図8のような分散(遅延時間差)が有る場合には、その分散(遅延時間差)を相殺するように、逆の分散を式(3)の平面ミラー15の分散(遅延時間差p)によって与えることで、平面ミラー15から戻って来るWDM光L5の各波長成分λk-1kk+1の光の分散(遅延時間差)を補償することができる。図8の点Sから点Eまでの曲線は、各々の光が一定の時間内に進む経路を表す。
また、WDM光L4,L5に含まれる他のチャネル(中心波長λ1,…,λnのチャネル)においても同様であり、式(3)の平面ミラー15の分散(遅延時間差p)に応じて、平面ミラー15から戻って来るWDM光L5の各波長成分の光の分散(遅延時間差)を補償できる。以下、式(3)の平面ミラー15の分散(遅延時間差p)を“平面ミラー15による分散の補償量p”という。
平面ミラー15による分散の補償量pとして最適な値は、例えば図8のような分散(遅延時間差)がWDM光L4の各波長成分に有る場合、その分散による各波長成分の光路差Ok,Ok+1を相殺できるような値に相当する。平面ミラー15の回転角θに応じて各波長成分どうしの光路差Ok,Ok+1を調整することにより、WDM光L5の各波長成分の光の分散(遅延時間差)を補償できる。
平面ミラー15の回転角θの調整は、アクチュエータ16が制御回路18からの指示に基づいて行う。制御回路18は、平面ミラー15による分散の補償量pと回転角θとの関係(上記の式(3))を予め記憶しており、後述の分散測定器17による測定結果に基づいてアクチュエータ16に指示を出し、平面ミラー15の回転角θを制御する。つまり、平面ミラー15の回転角θは、分散測定器17と制御回路18とアクチュエータ16とによって、フィードバック制御される。
平面ミラー15で反射してコリメータレンズ13に向かうWDM光L5(図6)は、その後、コリメータレンズ13を介して平行光となり、各波長成分ごとに異なる角度でグレーティング14に入射する(L6)。そして、WDM光L6は、グレーティング14で逆分散作用を受けて合波され、再びコリメータレンズ13に向かって進行する(L7)。WDM光L7の各波長成分の光は同じ進行方向である。
さらに、グレーティング14で合波されたWDM光L7は、コリメータレンズ13によって集光され(L8)、入出力用の光ファイバ12の端面に入射する。このとき、コリメータレンズ13は、WDM光L8の各波長成分の光を互いに重なるように同じ位置に結像する。上記のグレーティング14とコリメータレンズ13とは総じて請求項の「第2光学系」に対応する。
その後、WDM光L8は、新たなWDM光信号として、光ファイバ12からサーキュレータ11の第2ポートに出力され、第3ポートから分散測定器17および受光素子26Aの方向に導かれる。分散測定器17では、サーキュレータ11の第3ポートから出力される新たなWDM光信号の一部をタッピングし、チャネル内の各波長成分の遅延時間差(psec/nm)を測定する。分散測定器17による測定結果は、制御回路18に出力される。
制御回路18は、分散測定器17による測定結果に基づいて、チャネル内の各波長成分の遅延時間差をゼロとするために必要な「分散の補償量p」を決定し、その補償量pを実現するために必要な平面ミラー15の回転角θを上記の式(3)から計算し、アクチュエータ16に指示を出す。アクチュエータ16は、制御回路18からの指示に基づいて、平面ミラー15の回転角θを調整する。
したがって、第1実施形態の分散補償器10によれば、上記の分散補償ファイバ27で補償しきれなかった微小な分散(つまり光線路(SMF22,24)を敷設した後の環境変化による分散の変化分や敷設時の誤差による残留分散など)を、平面ミラー15の回転角θの調整によって良好に補償することができる。例えば、図9の点線28に示す微小な分散を“平面ミラー15による分散の補償量p”によって相殺し、その分散を略ゼロにすることができる。補償後の分散は例えば実線29の通りである。
その結果、信号波形の劣化が良好に修復されたWDM光信号を受光素子26Aに導くことができるため、受信時に符号誤りが起きることはない。また、第1実施形態の分散補償器10では、簡易に作製可能な平面ミラー15を1軸で回転させる(つまりコリメータレンズ13の結像面13Aに対してチルトさせる)ため、簡易に構成することもできる。平面ミラー15には、予想される分散の補償量pを記憶させる必要がない。
さらに、第1実施形態の分散補償器10によれば、平面ミラー15の大きさを、WDM光L4に含まれる全てのチャネル(中心波長λ1,…,λk,…,λnのチャネル)の光を一括で反射可能な大きさとしたことにより、受光素子26Aに到達するときのチャネルどうしの分散(遅延時間差)を補償することもできる。
また、第1実施形態の分散補償器10によれば、グレーティング14の分解能を高くして、コリメータレンズ13の結像面13Aでの逆線分散値gを小さくすることにより、平面ミラー15の回転角θが小さくても、平面ミラー15による分散の補償量pを大きく確保することができる。このため、平面ミラー15の微小回転によって、効率よく分散(遅延時間差)補償することができる。なお、逆線分散値gを小さくするために、コリメータレンズ13の焦点距離fを調整しても構わない。
さらに、平面ミラー15の回転角θが小さくて済むため、平面ミラー15で反射した後のWDM光L5(図6)の主光線の傾きを小さくすることができる。主光線の傾きとは、コリメータレンズ13の光軸に対する傾きである。その結果、光ファイバ12への戻り光(WDM光L8)の主光線の傾きも小さくなり、光ファイバ12との結合効率(カップリング)の低下を回避することができ、光量損失を小さくできる。
(第2実施形態)
第2実施形態の分散補償器は、上記の平面ミラー15に代えて、図10(a),(b)に示す複数のマイクロミラー31(例えばMEMS(Mycro Electro Mechanical Systems)方式)を設けたものである。第2実施形態の分散補償器の他の構成は、図1の分散補償器10と同じである。
複数のマイクロミラー31は、WDM光L4をコリメータレンズ13に向けて反射するための光学素子であり、WDM光L4に含まれる各々のチャネル(中心波長λ1,…,λk,…,λnのチャネルそれぞれ)の光を一括で反射可能な大きさを有する。また、複数のマイクロミラー31は、コリメータレンズ13の結像面13Aの近傍に配置され、図4(b)に示す直線方向13Bに沿って1次元的に配列されている。さらに、各マイクロミラー31は、結像面13Aに平行で直線方向13B(図4(b)参照)に垂直な軸31aを中心として回転可能である。各マイクロミラー31の反射面は平面状で軸31aと平行である。
第2実施形態の分散補償器によれば、上記の分散補償ファイバ27で補償しきれなかった微小な分散(つまり光線路(SMF22,24)を敷設した後の環境変化による分散の変化分や敷設時の誤差による残留分散など)を、各マイクロミラー31の回転角θの調整によって良好に補償することができる(図9参照)。
その結果、信号波形の劣化が良好に修復されたWDM光信号を受光素子26Aに導くことができるため、受信時に符号誤りが起きることはない。また、第2実施形態の分散補償器では、複数のマイクロミラー31をそれぞれ1軸で回転させる(つまりコリメータレンズ13の結像面13Aに対してチルトさせる)ため、簡易に構成することもできる。複数のマイクロミラー31には、予想される分散の補償量pを記憶させる必要がない。
さらに、第2実施形態の分散補償器によれば、複数のマイクロミラー31の回転角θを個別に制御できるため、WDM光信号の各チャネルごとに分散が異なる場合にも対応できる。つまり、各チャネルでの分散(分散補償器17による測定結果)に応じて、各マイクロミラー31の回転角θを個別に制御することにより、各々の分散を異なる補償量pで相殺することができる。
また、第2実施形態の分散補償器においても、逆線分散値gを小さくすることにより、各マイクロミラー31の微小回転によって、効率よく分散(遅延時間差)補償することができる。さらに、各マイクロミラー31の回転角θが小さくて済むため、光ファイバ12への戻り光(WDM光L8)の主光線の傾きも小さくなり、光ファイバ12との結合効率(カップリング)の低下を回避することができ、光量損失を小さくできる。
(第3実施形態)
第3実施形態の分散補償器は、上記の平面ミラー15やマイクロミラー31に代えて、図11(a)〜(c)の三角ミラー32を設けたものである。第3実施形態の分散補償器の他の構成は、図1の分散補償器10と同じである。
三角ミラー32は、WDM光L4をコリメータレンズ13に向けて反射するための光学素子であり、WDM光L4に含まれる少なくとも一部のチャネル(中心波長λ1,…,λk,…,λnのチャネルの少なくとも一部)の光を一括で反射可能な大きさを有し、直線方向13Bに垂直な方向に沿って大きさが変化する形状(ここでは三角形状)を成す。
また、三角ミラー32は、コリメータレンズ13の結像面13Aの近傍に配置され、結像面13Aに平行で直線方向13Bに垂直な軸32aを中心として回転可能である。三角ミラー32の反射面は平面状で軸32aと平行である。さらに、三角ミラー32は、直線方向13Bに沿って移動可能であり、且つ、直線方向13Bに垂直な方向に沿っても移動可能である。
第3実施形態の分散補償器では、WDM光L4に含まれる全てのチャネル(中心波長λ1,…,λk,…,λnのチャネル)のうち、三角ミラー32に到達した少なくとも一部のチャネルにおいて、上記の分散補償ファイバ27で補償しきれなかった微小な分散(つまり光線路(SMF22,24)を敷設した後の環境変化による分散の変化分や敷設時の誤差による残留分散など)を、三角ミラー32の回転角θの調整によって良好に補償することができる。
例えば、図12の点線33に示す微小な分散のうち、三角ミラー32に到達したチャネルの分散を選択的に“平面ミラー15による分散の補償量p”によって相殺し、その分散を略ゼロにすることができる。補償後の分散は例えば実線34の通りである。
その結果、信号波形の劣化が良好に修復されたWDM光信号を受光素子26Aに導くことができるため、受信時に符号誤りが起きることはない。また、第3実施形態の分散補償器では、三角ミラー32を1軸で回転させる(つまりコリメータレンズ13の結像面13Aに対してチルトさせる)ため、簡易に構成することもできる。三角ミラー32には、予想される分散の補償量pを記憶させる必要がない。
さらに、第3実施形態の分散補償器によれば、三角ミラー32を直線方向13Bに沿って移動させることにより、三角ミラー32に到達するチャネルの波長範囲(つまり分散補償の対象チャネルの選択範囲)を波長分散方向にシフトさせることができる。また、三角ミラー32を直線方向13Bに垂直な方向に沿って移動させることにより、三角ミラー32に到達するチャネルの波長幅(つまり分散補償の対象チャネルの選択幅)を変化させることができる。
また、第3実施形態の分散補償器においても、逆線分散値gを小さくすることにより、三角ミラー32の微小回転によって、効率よく分散(遅延時間差)補償することができる。さらに、三角ミラー32の回転角θが小さくて済むため、光ファイバ12への戻り光(WDM光L8)の主光線の傾きも小さくなり、光ファイバ12との結合効率(カップリング)の低下を回避することができ、光量損失を小さくできる。
さらに、第3実施形態の分散補償器では、三角ミラー32に到達しなかったチャネルが三角ミラー32の後方に進行するため、そのチャネルを別の光学系(不図示)に導いて利用することもできる。
なお、上記した第3実施形態では、1枚の三角ミラー32をコリメータレンズ13の結像面13Aの近傍に配置したが、本発明はこれに限定されない。例えば図13に示す通り、三角ミラー32の周囲に別の平面ミラー35設け、三角ミラー32に到達しなかったチャネルを平面ミラー35によって反射して、コリメータレンズ13に戻すようにしてもよい。この場合、平面ミラー35を固定させても構わないが、平面ミラー35を三角ミラー32と同様に回転可能とすることにより、残りのチャネルの微小な分散についても、平面ミラー35の回転角θの調整によって良好に補償することができる。また、三角ミラー32と平面ミラー35を個別に制御することにより、各々のチャネル帯域の分散を異なる補償量pで相殺することができる。
さらに、上記した第3実施形態では、三角ミラー32を用いたが、コリメータレンズ13の結像面13Aの近傍に配置する反射素子として他の形状のものを用いてもよい。例えば矩形状のように、直線方向13Bに垂直な方向に沿って大きさが変化しないものでも構わない。その場合には、反射素子を直線方向13Bに沿って移動させることにより、分散補償の対象チャネルの選択範囲をシフトさせることができる。
(第4実施形態)
第4実施形態の分散補償器40は、図14に示す通り、図1の平面ミラー15に代えてL字型ミラー41を設け、図1の入出力用の光ファイバ12に代えて入力用の光ファイバ42と出力用の光ファイバ43とを別々に設け、図1のサーキュレータ11を省略したものである。第4実施形態の分散補償器40の他の構成は、図1の分散補償器10と同じである。
入力用の光ファイバ42と出力用の光ファイバ43とは、図15(a)に示す通り、基準面13Cを挟んで対称に配置されている。基準面13Cは、コリメータレンズ13の光軸を含むと共にグレーティング14の直線溝に垂直な面である。光ファイバ42,43の構成は同じである。光ファイバ42,43の端面はコリメータレンズ13の焦点面に位置する。入力用の光ファイバ42は、分散補償ファイバ27からのWDM光信号(L1)を入力する。出力用の光ファイバ43は、この分散補償器40によって微小な分散が補償された新たなWDM光信号(L8)を出力し、分散測定器17と受光素子26Aの方向に導く。
L字型ミラー41は、WDM光L4をコリメータレンズ13に向けて反射するための光学素子であり、WDM光L4に含まれる全てのチャネル(中心波長λ1,…,λk,…,λnのチャネルの全て)の光を一括で反射可能な大きさを有する(図16も参照)。また、図15(b)に示す通り、反射面がL字型に折り曲げられ、2つの平面ミラーを垂直に接合したような形状となっている(いわゆるルーフ型)。
さらに、L字型ミラー41は、コリメータレンズ13の結像面13Aの近傍に配置され、結像面13Aに平行で直線方向13B(図3(b)参照)に垂直な軸41aを中心として回転可能である。また、L字型ミラー41は、反射面が軸41aに対して45度の角度を成し、反射面の折り曲げ部が軸41aと垂直に配置される。L字型ミラー41の反射面は、基準面13Cに対して対称である。
なお、L字型ミラー41の回転角θがゼロのとき、L字型ミラー41の反射面の折り曲げ部は結像面13Aに含まれる。このため、L字型ミラー41に入射したWDM光L4は、その反射面で反射した後、基準面13Cに結像して中間像を形成する。
上記のL字型ミラー41を用いる場合、WDM光L4の各波長成分λ012,…,λk-1kk+1,…,λnn+1の光がL字型ミラー41に到達する位置は、図17に“・”で示す通りとなる。L字型ミラー41における到達位置は、上記の基準面13Cに平行な所定の直線方向に沿って一列に並ぶことになる。WDM光L4は、L字型ミラー41に到達すると、各波長成分λ012,…,λk-1kk+1,…,λnn+1ごとに各々の到達位置で反射して(図18(a)〜(c)参照)、基準面13Cを通過した後、再び反射する。そして、コリメータレンズ13に向けて進行するWDM光L5となる(図19)。
第4実施形態の分散補償器40では、WDM光L4に含まれる全てのチャネル(中心波長λ1,…,λk,…,λnのチャネル)において、上記の分散補償ファイバ27で補償しきれなかった微小な分散(つまり光線路(SMF22,24)を敷設した後の環境変化による分散の変化分や敷設時の誤差による残留分散など)を、L字型ミラー41の回転角θの調整によって良好に補償することができる(図9参照)。
その結果、信号波形の劣化が良好に修復されたWDM光信号を受光素子26Aに導くことができるため、受信時に符号誤りが起きることはない。また、第4実施形態の分散補償器40では、L字型ミラー41を1軸で回転させるため、簡易に構成することもできる。L字型ミラー41には、予想される分散の補償量pを記憶させる必要がない。
また、第4実施形態の分散補償器40においても、逆線分散値gを小さくすることにより、L字型ミラー41の微小回転によって、効率よく分散(遅延時間差)補償することができる。さらに、L字型ミラー41の回転角θが小さくて済むため、光ファイバ43への戻り光(WDM光L8)の主光線の傾きも小さくなり、光ファイバ43との結合効率(カップリング)の低下を回避することができ、光量損失を小さくできる。
さらに、第4実施形態の分散補償器40では、入力用の光ファイバ42と出力用の光ファイバ43とを別構成にして、図1のようなサーキュレータ11を省略するため、サーキュレータによる挿入損失がなくなり、光量損失を小さくできる。
また、第4実施形態の分散補償器40では、入力用の光ファイバ42と出力用の光ファイバ43とが別構成であるため、L字型ミラー41の回転方向が予め分かっている場合には、WDM光L8の主光線の傾き方向を考慮して出力用の光ファイバ43の端面の向きを予め傾けておくことができる。その結果、光ファイバ43とのカップリングの低下を回避できる。出力用の光ファイバ43の端面の向きは、固定させても構わないが、L字型ミラー41の回転角θに応じて光量損失が最も小さくなるように調整しても構わない。
(第5実施形態)
第5実施形態の分散補償器50は、図20に示す通り、図1の入出力用の光ファイバ12に代えて第4実施形態と同様の光ファイバ42,43を設け、図1のサーキュレータ11を省略し、光ファイバ42,43とコリメータレンズ13との間に入力用のマイクロレンズ51と出力用のマイクロレンズ52とリレーレンズ53とを設けたものである。第5実施形態の分散補償器50の他の構成は、図1の分散補償器10と同じである。
入力用のマイクロレンズ51と出力用のマイクロレンズ52とリレーレンズ53とは、図21(a)に示す通り、基準面13Cを挟んで対称に配置されている。マイクロレンズ51,52の構成は同じである。光ファイバ42,43の端面はマイクロレンズ51,52の焦点面に位置する。マイクロレンズ51,52の焦点距離は光ファイバ42,43のNA(例えば0.13)に対して最適化されている。
光ファイバ42からのWDM光L1は、マイクロレンズ51を介して平行光となり、リレーレンズ53を介して一旦集光され(中間像を形成し)、発散する光となってコリメータレンズ13に入射する。一方、コリメータレンズ13からのWDM光L8は、集光光であり、中間像を形成した後、リレーレンズ53を介して平行光となり、マイクロレンズ52を介して光ファイバ43の端面に集光される。
また、第5実施形態の分散補償器50では、図21(b)に示す通り、コリメータレンズ13から平面ミラー15に向かうWDM光L4が集光光であり、平面ミラー15に対して斜めの方向から入射する。ただし、図20と同じ方向から見た場合、WDM光L4の平面ミラー15における到達位置は図5と同様である。そして、平面ミラー15で反射した後のWDM光L5(図6参照)は、図21(b)に示す通り平面ミラー15から斜めの方向に進行する光となる。
第5実施形態の分散補償器50では、WDM光L4に含まれる全てのチャネル(中心波長λ1,…,λk,…,λnのチャネル)において、上記の分散補償ファイバ27で補償しきれなかった微小な分散(つまり光線路(SMF22,24)を敷設した後の環境変化による分散の変化分や敷設時の誤差による残留分散など)を、平面ミラー15の回転角θの調整によって良好に補償することができる(図9参照)。
その結果、信号波形の劣化が良好に修復されたWDM光信号を受光素子26Aに導くことができるため、受信時に符号誤りが起きることはない。また、第5実施形態の分散補償器50では、簡易に作製可能な平面ミラー15を1軸で回転させる(つまりコリメータレンズ13の結像面13Aに対してチルトさせる)ため、簡易に構成することもできる。平面ミラー15には、予想される分散の補償量pを記憶させる必要がない。
また、第5実施形態の分散補償器50においても、逆線分散値gを小さくすることにより、平面ミラー15の微小回転によって、効率よく分散(遅延時間差)補償することができる。さらに、平面ミラー15の回転角θが小さくて済むため、光ファイバ43への戻り光(WDM光L8)の主光線の傾きも小さくなり、光ファイバ43との結合効率(カップリング)の低下を回避することができ、光量損失を小さくできる。
さらに、第5実施形態の分散補償器50では、マイクロレンズ51,52とリレーレンズ53との焦点距離の比に応じて、WDM光L8の主光線の傾き角を平面ミラー15の回転角θよりも小さくすることができる。この場合、コリメータレンズ13とリレーレンズ53との間の中間像に対して、出力用の光ファイバ43の端面における像の結像倍率を大きくすることが好ましい。WDM光L8の主光線の傾き角が小さくなるので、光ファイバ43とのカップリングの低下による光量損失も小さくなる。
また、第5実施形態の分散補償器50では、入力用の光ファイバ42と出力用の光ファイバ43とを別構成にして、図1のようなサーキュレータ11を省略するため、サーキュレータによる挿入損失がなくなり、光量損失を小さくできる。
さらに、第5実施形態の分散補償器50では、入力用の光ファイバ42と出力用の光ファイバ43とが別構成であるため、平面ミラー15の回転方向が予め分かっている場合には、WDM光L8の主光線の傾き方向を考慮して出力用の光ファイバ43の端面の向きを予め傾けておくことができる。その結果、光ファイバ43とのカップリングの低下を回避できる。出力用の光ファイバ43の端面の向きは、固定させても構わないが、平面ミラー15の回転角θに応じて光量損失が最も小さくなるように調整しても構わない。出力用の光ファイバ43の端面の向きを傾ける場合、出力用のマイクロレンズ52を一体で傾けることが好ましい。
(変形例)
なお、上記した実施形態では、1つのコリメータレンズ13を用いて光路を二重に巡らす(L1→L2→L3→L4→L5→L6→L7→L8)例を説明したが、本発明はこれに限定されない。WDM光L1→L2とWDM光L7→L8とで共通のコリメータレンズ、および、WDM光L3→L4とWDM光L5→L6とで共通のコリメータレンズを別構成とする場合にも本発明を適用できる。また、コリメータレンズをWDM光L1→L2用とWDM光L3→L4用とWDM光L5→L6用とWDM光L7→L8用との各々に設けてもよい。さらに、コリメータレンズを屈折系ではなく反射系としてもよい。
また、上記した実施形態では、グレーティング14が反射型の平面回折格子である例を説明したが、本発明はこれに限定されない。透過型のグレーティングを用いた構成にも本発明を適用できる。平面回折格子に代えて凹面回折格子を用いても構わない。この場合、WDM光L3→L4用とWDM光L5→L6用のコリメータ光学系(屈折系または反射系)は不要となる。さらに、波長分散素子としてグレーティング(回折格子)を用いたが、グリズム(グレーティングとプリズムを合体させたもの)を用いることもできる。
さらに、上記した実施形態では、コリメータ光学系(屈折系または反射系)からのWDM光L4を反射する素子(平面ミラー15,マイクロミラー31,三角ミラー32,L字型ミラー41など)の反射面が平面状である例を説明したが、本発明はこれに限定されない。反射面が曲面状である場合にも本発明を適用できる。
また、上記した実施形態では、分散測定器27による測定結果に基づいて、WDM光L4を反射する素子(平面ミラー15,マイクロミラー31,三角ミラー32,L字型ミラー41など)の回転角θをフィードバック制御したが、本発明はこれに限定されない。回転角θをオープンループで制御してもよいし、予め調整した角度に固定させても構わない。
さらに、上記した実施形態では、分散補償ファイバ27の後段に第1実施形態〜第5実施形態の分散補償器を配置した(図2参照)が、本発明はこれに限定されない。第1実施形態〜第5実施形態の分散補償器は、光通信システムの受信端26において分散補償ファイバ27の前段に配置しても構わない。また、送信端21に第1実施形態〜第5実施形態の分散補償器を配置しても同様の効果を得ることができる。
また、上記した実施形態では、光線路がSMF22,24である例を説明したが、本発明はこれに限定されない。非零分散シフトファイバ(NZ−DSF)を光線路として用いた場合にも本発明を適用できる。この場合、分散補償ファイバ27も、光線路の非零分散シフトファイバ(NZ−DSF)の伝送特性に応じた構成に変更する必要がある。
さらに、上記した実施形態では、多数のチャネルを含むWDM光信号を例に説明したが、本発明はこれに限定されない。1つのチャネルを含む光信号であっても複数のチャネルを含むものであっても同じように本発明を適用できる。つまり、1つ以上のチャネルを含む光信号に対して同様の効果を奏する。
第1実施形態の分散補償器10の全体構成を示す図である。 分散補償器10を組み込む光通信システムの一例を示す図である。 WDM光L4の各波長成分の結像位置を説明する図である。 平面ミラー15の構成を説明する図である。 平面ミラー15におけるWDM光L4の各波長成分の到達位置を説明する図である。 平面ミラー15からコリメータレンズ13に向けて進行するWDM光L5を説明する図である。 平面ミラー15がWDM光L4,L5の「中心波長λkのチャネル」内の各波長成分λk-1kk+1の光に与える分散(遅延時間差p)を説明する図である。 平面ミラー15によってWDM光L4の分散(遅延時間差)が補償される様子を示す図である。 平面ミラー15によってWDM光L4の分散(遅延時間差)が補償される様子を示す図である。 第2実施形態の分散補償器におけるマイクロミラー31の構成を説明する図である。 第3実施形態の分散補償器における三角ミラー32の構成を説明する図である。 三角ミラー32によってWDM光L4の分散(遅延時間差)が補償される様子を示す図である。 三角ミラー32の周囲に別の平面ミラー35を設けた構成例を説明する図である。 第4実施形態の分散補償器40の全体構成を示す図である。 光ファイバ42,43とL字型ミラー41の構成を示す側面図である。 L字型ミラー41の構成を説明する図である。 L字型ミラー41におけるWDM光L4の各波長成分の到達位置を説明する図である。 L字型ミラー41における中心波長λ1,…,λk,…,λnの各チャネルの光路を説明する図である。 L字型ミラー41からコリメータレンズ13に向けて進行するWDM光L5を説明する図である。 第5実施形態の分散補償器50の全体構成を示す図である。 光ファイバ42,43とマイクロレンズ51,52とリレーレンズ53と平面ミラー15の構成を示す側面図である。
符号の説明
10,40,50 分散補償器
11 サーキュレータ
12,42,43 光ファイバ
13 コリメータレンズ
13A 結像面
13B 直線方向
14 グレーティング
15,35 平面ミラー
16 アクチュエータ
17 分散測定器
18 制御回路
21 送信端
21A 発光素子
22,24 シングルモードファイバ(SMF)
23,25 光アンプ
26 受信端
26A 受光素子
27 分散補償ファイバ
31 マイクロミラー
32 三角ミラー
41 L字型ミラー
51,52 マイクロレンズ
53 リレーレンズ

Claims (7)

  1. 1つ以上のチャネルを含む光信号を入力する入力手段と、
    前記光信号に含まれるチャネル内の各波長成分の光を所定の直線方向に沿って異なる位置に結像する第1光学系と、
    前記第1光学系の結像面に平行で前記直線方向に垂直な軸を中心として回転可能な1つ以上の反射素子を含み、前記第1光学系を経た前記チャネル内の各波長成分の光を前記反射素子により反射すると共に、該反射素子の回転角に応じて各波長成分どうしの光路差を調整する調整手段と、
    前記反射素子を経て前記光路差が調整された前記チャネル内の各波長成分の光を互いに重なるように結像する第2光学系と、
    前記第2光学系を経て互いに重ねられた前記チャネル内の各波長成分の光を新たな光信号として出力する出力手段とを備えた
    ことを特徴とする分散補償器。
  2. 請求項1に記載の分散補償器において、
    前記調整手段は、前記反射素子を1つ含み、
    前記1つの反射素子は、前記光信号に含まれる全てのチャネルの光を一括で反射可能な大きさの平面ミラーであり、該平面ミラーの反射面が前記軸と平行に配置される
    ことを特徴とする分散補償器。
  3. 請求項1に記載の分散補償器において、
    前記調整手段は、前記反射素子を複数含み、
    前記複数の反射素子の各々は、前記光信号に含まれる各々のチャネルの光を一括で反射可能な大きさを有する
    ことを特徴とする分散補償器。
  4. 請求項1に記載の分散補償器において、
    前記調整手段は、前記反射素子を1つ含み、
    前記1つの反射素子は、前記光信号に含まれる少なくとも一部のチャネルの光を一括で反射可能な大きさを有し、少なくとも前記直線方向に沿って移動可能である
    ことを特徴とする分散補償器。
  5. 請求項4に記載の分散補償器において、
    前記1つの反射素子は、前記直線方向に垂直な方向に沿って大きさが変化する形状を成し、前記垂直な方向に沿って移動可能である
    ことを特徴とする分散補償器。
  6. 請求項1に記載の分散補償器において、
    前記調整手段は、前記反射素子を1つ含み、
    前記1つの反射素子は、前記光信号に含まれる全てのチャネルの光を一括で反射可能な大きさのL字型ミラーであり、該L字型ミラーの反射面の折り曲げ部が前記軸と垂直に配置される
    ことを特徴とする分散補償器。
  7. 請求項1から請求項6の何れか1項に記載の分散補償器において、
    チャネル内の各波長成分の遅延時間差を測定する測定手段と、
    前記測定手段による測定結果に基づいて、前記反射素子の回転角を制御する制御手段とを備えた
    ことを特徴とする分散補償器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009198594A (ja) * 2008-02-19 2009-09-03 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 可変分散補償器

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