JP2005265474A - フッ化物イオンの定量方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 水溶液中に微量に存在するフッ化物イオンを、簡単な操作で、高感度かつ迅速に定量する方法を提供する。
【解決手段】 フッ化物イオン含有水溶液検体試料に、水溶性ジルコニウム(IV)錯体とフラボノールスルホン酸塩を一定濃度になるように加え、pHを調整してなる被検液に励起状態で青色蛍光を発生させ、この青色蛍光について、上記と同じ濃度及びpH調整のされた、水溶性ジルコニウム(IV)錯体とフラボノールスルホン酸塩の水溶液に同様に発生させた青色蛍光を対照として、それに対する蛍光強度の減少度を求め、それに基づいてフッ化物イオン濃度を求めることにより定量する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、水溶液中に微量に存在するフッ化物イオンの濃度を、水溶性ジルコニウム(IV)錯体とフラボノールスルホン酸塩を用いて高感度かつ迅速に定量する方法に関するものである。
従来、フッ化物イオンの定量方法として、アリザリンコンプレクサンのランタン(III)錯体を用いる比色法が知られ、工業用水中のフッ化物イオンを定量する公定法(工業用水試験法JIS K0101,K0102)として採用されている。この方法は、フッ化物イオンの存在下でのランタン(III)錯体の吸収スペクトルの強度変化を用いるものであるが、生成錯体種が複雑であること、発色試薬やその錯体が化学的に不安定で長期の保存(例えば溶液として)が困難であり、発色反応に時間がかかるため加熱しなければならないなどの欠点を有している。
また、アリザリンコンプレクサンのセリウム(III)錯体も同様に比色法として用いられるが(非特許文献1)、感度及び試薬溶液の安定性の点で問題があった。さらに、ジルコニウム(IV)及びアルミニウム(III)などと有機色素化合物との錯体を利用する退色法が古くから知られているが(非特許文献2)、塩酸などの強酸性条件下で反応させなければならない上、発色が温度に著しい影響を受けるため分析精度の点で問題があった。
アナリティカル・ケミストリー(Analytical Chemistry),第3巻,第1308ページ(1962年) 分析化学便覧、改訂4版、第293ページ
本発明の課題は、このような事情のもとで、水溶液中に微量に存在するフッ化物イオンを、簡単な操作で、高感度かつ迅速に定量する方法を提供することにある。
本発明者らは、フッ化物イオンの定量について鋭意研究を重ねた結果、水溶性ジルコニウム(IV)錯体とフラボノールスルホン酸塩とが、水溶液中、調整されたpH域で三元錯体を形成し、励起光で青色蛍光を発生すること、そしてこの水溶液にフッ化物イオンを加えると、フッ化物イオンがフラボノールスルホン酸塩と置換して配位結合し、フラボノールスルホン酸塩を遊離させ、青色蛍光について、フッ化物イオン濃度が増大するにつれ、その強度を減少させ、高濃度では場合によりほとんど消失させることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
(1)フッ化物イオン含有水溶液検体試料に、水溶性ジルコニウム(IV)錯体とフラボノールスルホン酸塩を一定濃度になるように加え、pHを調整してなる被検液に励起状態で青色蛍光を発生させ、この青色蛍光について、上記と同じ濃度及びpH調整のされた、水溶性ジルコニウム(IV)錯体とフラボノールスルホン酸塩の水溶液に同様に発生させた青色蛍光を対照として、それに対する蛍光強度の減少度を求め、それに基づいてフッ化物イオン濃度を求めることを特徴とするフッ化物イオンの定量方法。
(2)水溶性ジルコニウム(IV)錯体が、ジルコニウム(IV)と多座配位子とからなる前記(1)記載の定量方法。
(3)多座配位子が、2個以上のカルボキシル基で置換されたアミン系化合物である前記(1)又は(2)記載の定量方法。
(4)2個以上のカルボキシル基で置換されたアミン系化合物が、エチレンジアミン‐N,N,N′,N′‐テトラ酢酸、N‐(2‐ヒドロキシエチル)エチレンジアミン‐N,N′,N′‐トリ酢酸、ニトリロトリ酢酸である前記(3)記載の定量方法。
(5)フラボノールスルホン酸塩が、フラボノール‐2‐スルホン酸塩である前記(1)ないし(4)のいずれかに記載の定量方法。
(6)フラボノールスルホン酸塩が、フラボノールスルホン酸アルカリ金属塩である前記(1)ないし(5)のいずれかに記載の定量方法。
(7)pHを調整するのを、pH4〜7の範囲になるように行う前記(1)ないし(6)のいずれかに記載の定量方法。
(8)pHを調整するのに、pH調整剤を用いる前記(1)ないし(7)のいずれかに記載の定量方法。
(9)pH調整剤が、有機スルホン酸、有機アミノスルホン酸、有機カルボン酸、有機アミノカルボン酸、有機オキシカルボン酸、有機アミン類、pH緩衝剤である前記(8)記載の定量方法。
(10)水溶性ジルコニウム(IV)錯体及びフラボノールスルホン酸塩又はこれらとpH調整剤とからなるフッ化物イオン定量用試薬キットを用いる前記(1)ないし(9)のいずれかに記載の定量方法。
本発明方法に用いられる水溶性ジルコニウム(IV)錯体の配位子としては、多座配位子が好ましい。多座配位子としては、複数個のカルボキシル基をもつ、シュウ酸等のポリカルボン酸も挙げられるが、好適には2個以上のカルボキシル基で置換されたアミン系化合物、中でもジルコニウム(IV)との錯生成定数が大きいもの、例えば、ニトリロトリ酢酸(NTAとも称す)、エチレンジアミン‐N,N,N′,N′‐テトラ酢酸(EDTAとも称す)、N‐(2‐ヒドロキシエチル)エチレンジアミン‐N,N′,N′‐トリ酢酸(HEDTAとも称す)や、これらに対応するプロピオン酸誘導体等が挙げられる。これらの錯体はその生成反応液から単離精製して用いるのが好ましい。
この水溶性ジルコニウム(IV)錯体としては、例えば[Zr(H2O)2EDTA]2H2O、K2[Zr(CO3)EDTA]3H2O、[Zr(H2O)2HEDTA]Cl等が挙げられる。Zr(IV)の配位数は8であり、6配位のEDTAなどが結合しても2個の配位座が残るので、この残余の配位サイトを用いて単座や2座の配位子との三元錯体を形成することが可能である。
本発明方法に用いられるフラボノールスルホン酸塩については、フラボノールにおける、単環のベンゼン環及び縮合環におけるベンゼン環をスルホン酸塩で置換したものであればよいが、フラボノール‐2‐スルホン酸塩が好ましい。
また、フラボノールスルホン酸塩は、水溶性で水に溶解してフラボノールスルホン酸イオンを生じるものであればよいが、このようなものとしては、フッ化物イオンの定量に影響しない金属塩、好ましくはナトリウム塩やカリウム塩等のアルカリ金属塩、中でもナトリウム塩、特にフラボノール‐2‐スルホン酸ナトリウムが試薬調製が容易であるのでよい。
水溶性ジルコニウム(IV)錯体とフラボノールスルホン酸塩をpHを調整しつつ水溶液とすると、該錯体における残余の配位サイトに、2座配位子のフラボノールスルホン酸塩が結合して三元錯体が形成される。この三元錯体の水溶液は、励起光等での刺激によりもたらされる励起状態で青色蛍光を発生し、それに相応して蛍光スペクトルにおける所定波長領域に蛍光強度のピークをもつ。例えば、このピークの蛍光強度における波長は、フラボノールスルホン酸塩としてフラボノール‐2‐スルホン酸塩を用いた場合には460nmである。
この三元錯体水溶液における水溶性ジルコニウム(IV)錯体とフラボノールスルホン酸塩の割合は、モル比で通常1:1〜10:1、好ましくは2:1〜5:1、中でも2:1〜3:1の範囲で選ばれる。
また、三元錯体の水溶液における該錯体の濃度は、モル濃度で、通常1×10-7〜1×10-2M、好ましくは1×10-6〜1×10-4M、中でも1×10-5〜1×10-4Mの範囲で選ばれる。
この三元錯体の水溶液にフッ化物イオンを加えると、フッ化物イオンにより該錯体におけるフラボノールスルホン酸塩が置換されて遊離し、これに起因して励起状態で発生する青色蛍光について、その蛍光強度は加えられるフッ化物イオンの濃度が増大するにつれ、次第に減少する。
本発明方法においては、フッ化物イオン含有水溶液検体試料に、上記した水溶性ジルコニウム(IV)錯体、フラボノールスルホン酸塩を加え、混合溶液にし、混合溶液のpHを調整し、被検液を調製し、この被検液に、励起状態で青色蛍光を被検蛍光として発生させる。
pH調整は、pHが通常4〜7、好ましくは4.5〜6.0、中でも5.2〜5.8の範囲になるように行うのが好ましく、その際pH調整剤を用いるのがよい。pHがこの範囲を逸脱すると、蛍光強度の変化が小さくなり、感度が低下する。
pH調整剤としては、好ましくは有機スルホン酸、有機アミノスルホン酸、有機カルボン酸、有機アミノカルボン酸、有機オキシカルボン酸、有機アミン類、pH緩衝剤等が用いられる。
有機スルホン酸としては、プロパンスルホン酸、エタンスルホン酸等が、有機アミノスルホン酸としては、2‐モルホリノエタンスルホン酸等が、有機カルボン酸としては、酢酸、フタル酸等が、有機アミノカルボン酸としては、リシン、グリシン、アラニン、グルタミン酸ナトリウム等が、有機オキシカルボン酸としては、乳酸、酒石酸、クエン酸等が、有機アミン類としては、ヘキサメチレンテトラミン、トリエチルアミン、エチルモルホリン等が、pH緩衝剤としては、酢酸塩緩衝液やフタル酸塩緩衝液等がそれぞれ挙げられる。
フッ化物イオン含有水溶液検体試料のフッ化物イオン濃度の定量は、上記被検蛍光について、上記被検液と同じ濃度及びpH調整のされた、水溶性ジルコニウム(IV)錯体とフラボノールスルホン酸塩の水溶液に同様に発生させた青色蛍光を対照として、それに対する蛍光強度の減少度を求め、それに基づいてフッ化物イオン濃度を求めることにより行われる。
蛍光強度の減少度を求めるには、蛍光強度として蛍光スペクトルにおけるピークを示す波長領域(これをピーク波長領域ともいう)のものを用いるのが好ましい。
例えば、ピーク波長領域は、三元錯体としてモル比3:1のZr(IV)−EDTA系錯体とフラボノール‐2‐スルホン酸ナトリウムとからなり、フラボノール‐2‐スルホン酸ナトリウムの濃度がモル濃度で10-5〜5×10-5Mであるものを用いた場合には、460nmである。
上記定量には、検量線を用いるのが簡便である。
検量線は、pH調整された3元錯体水溶液を対照液として調製し、この対照液にフッ化物イオンを加えて該イオン濃度を一定基準で順次変化させた各種標準溶液を調製し、対照液及び各種標準溶液について、それぞれ青色蛍光を対照蛍光及び被検蛍光として発生させ、対照蛍光の蛍光スペクトルにおけるピークの蛍光強度、及び該蛍光強度を示す波長における被検蛍光の蛍光強度を求め、これをグラフ化することにより作成される。
蛍光を発生させるために励起状態とするには、好ましくは励起光、より好ましくは350〜400nmの励起光が用いられ、特に377nmの励起光が最大の蛍光強度を与えるので好ましい。また、蛍光強度を求めるには蛍光光度計を用いるのが好ましい。
蛍光光度計を用いた検量線に基づく検出限界は約100ppb(5×10-6M)で、環境規制値の800ppb(4×10-5M)のフッ化物イオン濃度を容易に計測することができる。
定量は、蛍光の減少が明らかに観察される場合には、目視による濃度判定によってもよい。
本発明方法においては、フッ化物イオン1ppm(5×10-5M)に対して、塩素イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオンがそれぞれ1×10-3M程度共存していても、これらの妨害を受けずにフッ化物イオンを定量することができる。また、Fe(III)、Al(III)、Cu(II)などの陽イオンの共存は、フッ化物イオンの定量を妨害することがあるが、マスキング剤、例えばEDTA等を用いることにより防ぐことができる。
本発明方法においては、水溶性ジルコニウム(IV)錯体とフラボノールスルホン酸塩が、また、必要に応じpH調整剤がフッ化物イオン定量用試薬として用いられるが、これらの各試薬は少なくとも一部、好ましくは全部を固形、好ましくは粉末或いは粒状、中でも混合物とするのがよく、また、逐次或いは同時に加えることができ、特に水溶性ジルコニウム(IV)錯体とフラボノールスルホン酸塩を固形、好ましくは粉末或いは粒状で、又はこれに加え、pH調整剤を好ましくは固形、粉末或いは粒状、中でも混合物で、フッ化物イオン定量用試薬キットにして用いるのが好ましい。
この試薬キットは、混合物であっても、室温で1か月間以上安定に保存可能である上に、蛍光シグナルも室温下で1週間以上安定であり、アリザリンコンプレクサンを用いる従来の比色法よりも定量用試薬の変質の影響に注意を払う必要性が極めて小さい。
本発明方法によれば、水中の微量フッ化物イオンを、室温で迅速に蛍光強度測定により定量することができる。本発明方法は、定量用試薬を固形で供給することができるので、一般の分析操作に不可欠な溶液の調製操作を必要とせず、熟練した技術を持たない者でも利用可能である。従って、半導体工業、表面処理工程から排出されるフッ化物イオン含有排水や地下水中の微量フッ化物イオンの日常的なモニタリングや簡易定量に好適であり、極めて実用的価値が高い。
本発明方法に用いられる水溶性ジルコニウム(IV)錯体としては、その配位子が、2個以上のカルボキシル基で置換されたアミン系化合物、中でもエチレンジアミン‐N,N,N′,N′‐テトラ酢酸、N‐(2‐ヒドロキシエチル)エチレンジアミン‐N,N′,N′‐トリ酢酸、ニトリロトリ酢酸からなる多座配位子であるものが好ましく、また、フラボノールスルホン酸塩としては、フラボノール‐2‐スルホン酸塩、中でもフラボノール‐2‐スルホン酸アルカリ金属塩、特にフラボノール‐2‐スルホン酸ナトリウムが好ましい。
被検液の調製に際し、調整されるpHについては、4.5〜6.0、中でも5.2〜5.8の範囲で選ぶのが好ましく、その際pH調整剤を用いるのがよい。
pH調整剤としては、プロパンスルホン酸、エタンスルホン酸等の有機スルホン酸、2‐モルホリノエタンスルホン酸等の有機アミノスルホン酸、酢酸、フタル酸等の有機カルボン酸、リシン、グリシン、アラニン、グルタミン酸ナトリウム等の有機アミノカルボン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸等の有機オキシカルボン酸、ヘキサメチレンテトラミン、トリエチルアミン、エチルモルホリン等の有機アミン類、酢酸塩緩衝液やフタル酸塩緩衝液等のpH緩衝剤が好ましい。
本発明方法において特に好適には、これらの定量用試薬を、固形、好ましくは粉末或いは粒状で、さらには混合物で、フッ化物イオン定量用試薬キットにして用いるのがよい。
蛍光を発生させるために励起状態とするには、励起光、中でも350〜400nmの励起光、特に377nmの励起光を用いるのが好ましい。
蛍光強度を求めるには蛍光光度計を用いるのが好ましい。
蛍光強度の減少度を求める定量には、被検液について求める蛍光強度を、対照液に対しピーク蛍光強度を示す波長と同じ波長におけるものとするのが好ましい。例えば、この波長は、K2[Zr(CO3)EDTA]3H2Oや[Zr(H2O)2EDTA]2H2O等のジルコニウム(IV)EDTA錯体及びフラボノール‐2‐スルホン酸ナトリウム、場合によりこれらに加えさらに酢酸や2‐モルホリノエタンスルホン酸等のpH調整剤を用いる場合には、460nmとするのが好ましい。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。なお、Mはモル濃度を示す。
製造例1
酢酸ナトリウム14g、2‐モルホリノエタンスルホン酸6g、K2[Zr(CO3)EDTA]3H2O4mg及びフラボノール‐2‐スルホン酸ナトリウム4mgを混合、粉砕して粒径数μ程度の微粉末混合物を調製した。
この混合物より100mg分取して、検体試料25mlに対応する1回分の試薬キットとした。
25mlメスフラスコに、フッ化物イオンを含む水溶液検体試料2mlを採り、水15mlを加えて希釈し、これに製造例1で調製した1回分の試薬キットを添加して溶解したのち、秤線まで水を加えてよく混合し、2、3分室温で放置した。このようにして調製された、被検液(K2[Zr(CO3)EDTA]3H2O及びフラボノール‐2‐スルホン酸ナトリウムの濃度はそれぞれ約10-5モル/リットル、pH5.48)について、蛍光光度計にて励起波長377nmでの蛍光スペクトルを求めた。上記検体試料中のフッ化物イオンの濃度を0.05ppm、0.1ppm、0.5ppm、1ppm、5ppm、10ppmと種々変えた場合の蛍光スペクトルの変化を、対照液について被検液と同様に求めた蛍光スペクトルの変化とともに図1に示す。図1において、横軸は励起波長377nmでの蛍光波長を、縦軸は蛍光強度を示し、フッ化物イオン濃度が増大するにつれ、蛍光強度が低下している。
これより、上記検体試料中のフッ化物イオンの濃度が濃くなるにつれて、最大蛍光波長の約460nmの青色蛍光の強度が減少することが分る。
実施例1と同様の操作を行い、蛍光強度の減少とフッ化物イオンの濃度との関数として検量線を作成した。図2に得られた検量線を示す。
全量25mlの被検液に対して、100ppb−1ppmの範囲でほぼ直線の検量線が得られ、フッ化物イオンの定量が可能であることが分る。
図2において、横軸はフッ化物イオン濃度、縦軸は相対蛍光強度を示す。
測定における励起波長は377nm、蛍光検出波長は460nmである。
2[Zr(CO3)EDTA]3H2O及びフラボノール‐2‐スルホン酸ナトリウムの濃度はそれぞれ10-5モル/リットル、被検液のpHは5.53である。
実施例1においてフッ化物イオンを添加した場合における蛍光スペクトルの変化を示すグラフ。 実施例2において作成した検量線を示すグラフ。

Claims (10)

  1. フッ化物イオン含有水溶液検体試料に、水溶性ジルコニウム(IV)錯体とフラボノールスルホン酸塩を一定濃度になるように加え、pHを調整してなる被検液に励起状態で青色蛍光を発生させ、この青色蛍光について、上記と同じ濃度及びpH調整のされた、水溶性ジルコニウム(IV)錯体とフラボノールスルホン酸塩の水溶液に同様に発生させた青色蛍光を対照として、それに対する蛍光強度の減少度を求め、それに基づいてフッ化物イオン濃度を求めることを特徴とするフッ化物イオンの定量方法。
  2. 水溶性ジルコニウム(IV)錯体が、ジルコニウム(IV)と多座配位子とからなる請求項1記載の定量方法。
  3. 多座配位子が、2個以上のカルボキシル基で置換されたアミン系化合物である請求項1又は2記載の定量方法。
  4. 2個以上のカルボキシル基で置換されたアミン系化合物が、エチレンジアミン‐N,N,N′,N′‐テトラ酢酸、N‐(2‐ヒドロキシエチル)エチレンジアミン‐N,N′,N′‐トリ酢酸、ニトリロトリ酢酸である請求項3記載の定量方法。
  5. フラボノールスルホン酸塩が、フラボノール‐2‐スルホン酸塩である請求項1ないし4のいずれかに記載の定量方法。
  6. フラボノールスルホン酸塩が、フラボノールスルホン酸アルカリ金属塩である請求項1ないし5のいずれかに記載の定量方法。
  7. pHを調整するのを、pH4〜7の範囲になるように行う請求項1ないし6のいずれかに記載の定量方法。
  8. pHを調整するのに、pH調整剤を用いる請求項1ないし7のいずれかに記載の定量方法。
  9. pH調整剤が、有機スルホン酸、有機アミノスルホン酸、有機カルボン酸、有機アミノカルボン酸、有機オキシカルボン酸、有機アミン類、pH緩衝剤である請求項8記載の定量方法。
  10. 水溶性ジルコニウム(IV)錯体及びフラボノールスルホン酸塩又はこれらとpH調整剤とからなるフッ化物イオン定量用試薬キットを用いる請求項1ないし9のいずれかに記載の定量方法。
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