JP2005262773A - 液体噴射装置および液体噴射装置のヘッド走査制御方法 - Google Patents

液体噴射装置および液体噴射装置のヘッド走査制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】液体噴射ヘッドを保持しているヘッド保持部材を、液体噴射装置の重力方向に対する姿勢に応じて安定して走査方向に関して走査することができる液体噴射装置および液体噴射装置のヘッド走査方法を提供すること。
【解決手段】液体噴射ヘッド30を保持しているヘッド保持部材14と、ヘッド保持部材14を走査方向にガイドするためのガイド部材17と、ガイド部材17に沿ってヘッド保持部材14を走査させる駆動部550と、液体噴射装置10の姿勢を検知するための姿勢検知部600と、液体噴射装置10の姿勢に応じた駆動部550への制御命令情報を記憶させている記憶部603と、姿勢検知部600により検知された液体噴射装置10の姿勢に対応する記憶部603に記憶されている制御命令情報に基づいて、駆動部550の動作を制御してヘッド保持部材14をガイド部材17に沿って走査させる制御部700とを備える。
【選択図】図7

Description

本発明は、液体を噴射するための液体噴射装置および液体噴射装置のヘッド走査方法に関する。
パーソナルコンピュータ等の発達によりグラフィック処理が比較的簡単に実行できるようになったため、ディスプレイに表示される例えばカラー画像のハードコピーを高品質で出力できる記録装置が求められている。
ターゲットに対して液体を噴射させる液体噴射装置として、記録ヘッドから記録媒体に対してインク滴を噴射させて印刷を行うインクジェット式記録装置が知られていた。そして、このようなインクジェット式記録装置は、記録ヘッドのノズルから記録媒体に対して微小なインク滴を吐出させて、所望の文字や図形等の画像を記録する。
このインクジェット式記録装置は、印刷時の騒音が比較的小さく、しかも小さなドットを高い密度で形成できるため、昨今においてはカラー印刷を含めた多くの印刷に使用されている。
インクジェット式記録装置は、インクカートリッジからのインクの供給を受けるインクジェット式記録ヘッドと、記録用紙を記録ヘッドに対して相対的に移動させる紙送り手段を備える。記録ヘッドとキャリッジは、モータを作動することで、記録ヘッドは記録用紙の幅方向に移動し、記録用紙に対してインク滴を吐出させることで記録する。
そして共通のキャリッジ上に、例えばブラックインクを吐出するブラック用記録ヘッドと、イエロー、シアン、マゼンダの各インクの吐出が可能なカラー用記録ヘッドを搭載し、ブラックインクによるテキスト印刷ばかりでなく、各インクの吐出割合を変えることにより、フルカラー印刷を可能としている。
この種のインクジェット式記録装置には、インクカートリッジ内のインク残量の変化によって、キャリッジを移動するためのモータによる駆動条件を変化させているものがある(例えば特許文献1)。
特開平2−263656号公報(第10頁、第3図)
特許文献1に記載されているインクジェット式記録装置では、インクカートリッジ内のインクの残量の変化によって、モータに対する負荷が変動してしまうので、モータの負荷の変動は様々な問題を引き起こす。このために、インク残量を検知して、その検知結果に基づいてモータの駆動トルクを変化させることが提案されている。
これは、インク残量の変化によるキャリッジの負荷が変化することによってキャリッジの走査状況が不安定になるのを回避しようとしており、インクジェット式記録装置自体の重力方向に対する姿勢については検討していない。すなわち、インクジェット式記録装置の重力方向に対する姿勢が変化すると、キャリッジをモータにより走査する場合に変動が生じてしまい、キャリッジを安定して走査制御することができなくなってしまう。
そこで本発明は上記課題を解消し、液体噴射ヘッドを保持しているヘッド保持部材を、液体噴射装置の重力方向に対する姿勢に応じて安定して走査方向に関して走査することができる液体噴射装置および液体噴射装置のヘッド走査方法を提供することを目的としている。
上記目的は、第1の発明にあっては、液体噴射ヘッドから液体を噴射する液体噴射装置であって、前記液体噴射ヘッドを保持しているヘッド保持部材と、前記ヘッド保持部材を走査方向にガイドするためのガイド部材と、前記ガイド部材に沿って前記ヘッド保持部材を走査させる駆動部と、前記液体噴射装置の姿勢を検知するための姿勢検知部と、前記液体噴射装置の前記姿勢に応じた前記駆動部への制御命令情報を記憶させている記憶部と、 前記姿勢検知部により検知された前記液体噴射装置の前記姿勢に対応する前記記憶部に記憶されている前記制御命令情報に基づいて、前記駆動部の動作を制御して前記ヘッド保持部材を前記ガイド部材に沿って走査させる制御部と、を備えることを特徴とする液体噴射装置により、達成される。
第1の発明の構成によれば、ヘッド保持部材は液体噴射ヘッドを保持している。ガイド部材は、ヘッド保持部材を走査方向にガイドするためのものである。駆動部は、ガイド部材に沿ってヘッド保持部材を走査させる。姿勢検知部は、液体噴射装置の姿勢を検知する。
記憶部は、液体噴射装置の姿勢に応じた駆動部への制御命令情報を記憶している。制御部は、姿勢検知部により検知された液体噴射装置の姿勢に対応する記憶部に記憶されている制御命令情報に基づいて、駆動部の動作を制御して、ヘッド保持部材をガイド部材に沿って走査させる。
これにより、液体噴射装置の保持されている姿勢に応じて、制御部は駆動部の動作を制御することができるので、ヘッド保持部材のガイド部材に沿った走査動作を使用環境に応じて安定させることができる。
第2の発明は、第1の発明の構成において、前記制御命令情報の内容は、前記ヘッド保持部材を前記走査方向に走査する際の前記走査方向に関する往路と復路では異なることを特徴とする。
第2の発明の構成によれば、制御命令情報の内容は、ヘッド保持部材を走査方向に走査する際の走査方向に関する往路と復路では異なる。
これにより、液体噴射装置の姿勢に応じて、ヘッド保持部材を走査する場合にその走査方向に関する往路と復路では異なる走査動作を行わせることで、ヘッド保持部材の走査動作を安定させることができる。
第3の発明は、第1の発明または第2の発明の構成において、前記駆動部は電動モータであり、前記電動モータの動作を制御する際に、各制御ステップにおける前記電動モータに加える差分電流量を変化させることを特徴とする。
第3の発明の構成によれば、適切な差分電流量により、前記電動モータ制御を適切に行うことができ、ヘッド保持部材の走査動作が安定する。
第4の発明は、第1の発明ないし第3の発明のいずれかにおいて、前記姿勢検知部は加速度センサを有していることを特徴とする。
第4の発明の構成によれば、姿勢検知部は加速度センサを有しており、この加速度センサが液体噴射装置の姿勢を検知できる。
第5の発明は、第4の発明の構成において、前記姿勢検知部の前記加速度センサは、前記加速度センサの検知方向に対応して規定された規定軸と、前記液体噴射装置の重力方向と、が成す角度により前記液体噴射装置の姿勢を検知することを特徴とする。
第5の発明の構成によれば、姿勢検知部の加速度センサは、加速度センサの検知方向に対応して規定された規定軸と、液体噴射装置の重力方向とが成す角度により液体噴射装置の姿勢を検知する。
これにより、液体噴射装置の姿勢は確実に重力方向を利用して検知することができる。
第6の発明は、第5の発明の構成において、前記規定軸は、前記走査方向と平行であることを特徴とする。
第6の発明の構成によれば、規定軸は走査方向と平行である。
これにより、走査方向と重力方向とが成す角度により液体噴射装置の姿勢を確実に検知することができる。
上記目的は、第7の発明にあっては、液体噴射ヘッドから液体を噴射する液体噴射装置における前記液体噴射ヘッドの走査制御方法であって、前記液体噴射ヘッドを保持しているヘッド保持部材をガイド部材に沿って走査方向に走査する際に、前記液体噴射装置の姿勢を姿勢検知部により検知する姿勢検知ステップと、制御部は、得られた前記液体噴射装置の前記姿勢に応じて、予め前記記憶部に記憶されている前記液体噴射装置の各種の姿勢に応じた前記駆動部への制御命令情報の中から対応する前記制御命令情報を参照して前記ガイド部材に沿って前記ヘッド保持部材を走査させるための駆動部を制御して、前記ヘッド保持部材を前記ガイド部材に沿って走査方向に走査させる走査ステップと、を有することを特徴とする液体噴射装置のヘッド走査方法により、達成される。
これにより、液体噴射装置の保持されている姿勢に応じて、制御部は駆動部の動作を制御することができるので、ヘッド保持部材のガイド部材に沿った走査動作を使用環境に応じて安定させることができる。
以下、本発明の好適な実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の液体噴射装置の実施形態であるインクジェット式記録装置10を示している。
図1に示すインクジェット式記録装置10は、インクジェットプリンタとも呼んでいる。インクジェット式記録装置10は、本体部1を有している。
この本体部1は、例えば搭載台Bの上に置かれている。本体部1は、ヘッド走査軸17、プラテン12、キャリッジ14、インク吸引装置20、記録ヘッド30および複数のインクカートリッジ2,3,4,5、スイッチパネル99、制御ボックス96、エンコーダスケール97、読み取りセンサ98、そして給紙トレー95等を有している。
図2は、図1のインクジェット式記録装置10の内部構造例を示している。記録ヘッド30は、液体噴射ヘッドの一例であり、印刷ヘッドあるいは印字ヘッドとも言う。
図1と図2において、キャリッジ14の上部には、複数のインクカートリッジ2,3,4,5が着脱可能に装着できる。キャリッジ14の下部には、記録ヘッド30が着脱可能に設けられている。キャリッジ14は、ベルト15を介して電動モータ16に機械的に接続されている。ベルト15は2つのプーリ16A,16Bの間に配置されている。電動モータ16、プーリ16A,16Bおよびベルト15は、駆動部550を構成している。
電動モータ16が作動することによって、キャリッジ14はヘッド走査軸17に沿ってプラテン12の軸方向である走査方向Tに往復走行する。このキャリッジ14はヘッド保持部材の一例である。またヘッド走査軸17は、キャリッジ14のガイド部材の一例である。ヘッド走査軸17は、本体部1の設置面1Aと平行である。
本体部1のホームポジション18は、ヘッド走査軸17の一方の端部に位置している。このホームポジション18は、キャリッジ14の走行経路の末端にある非印刷領域である。このホームポジション18には、本体部1の上にインク吸引装置20が配置されている。このインク吸引装置20は、液体吸引装置の一例であり、キャッピングシステムもしくはキャッピング手段とも呼んでいる。
インク吸引装置20は、以下の2つの機能を有する。すなわち、インク吸引装置20は、長時間放置された時に記録ヘッド30のノズル開口のインクの乾燥を防止する保湿機能と、吸引ポンプ19からの負圧をノズル開口に作用させてノズル開口からインクを強制的に吸引して排出させる吸引機能を備える。あるいは、インク吸引装置20は、インク供給路中にある液体中の気泡を記録ヘッドから強制的に排出するための吸引排出機能も有する。
図1と図2に示すように、本体部1の中には加速度センサ8が搭載されている。図2において、加速度センサ8は例えばプラテン12とヘッド走査軸17の付近に設けられている。しかしこの加速度センサ8の位置は特に限定されるものではない。
図1に示すように、本体部1は、エンコーダスケール97と読み取りセンサ98を有している。
このエンコーダスケール97と読み取りセンサ98は、キャリッジ14のヘッド走査方向Tに関する位置の検出を行うためのものである。エンコーダスケール97は、ヘッド走査方向Tに沿って設けられている。読み取りセンサ98は、エンコーダスケール97の目盛りを例えば光学的に読み取る。これによって、キャリッジ14のヘッド走査方向Tに関する走査位置を検出することができる。その他に、本体部1は制御ボックス96を収容している。
図3は、図1に示すインクジェット式記録装置10の電気的な接続例を示している。インクジェット式記録装置10の制御装置7は、ローカルプリンタケーブルまたは通信ネットワークを介してホストコンピュータ40のプリンタドライバ41に接続されている。プリンタドライバ41は、インクジェット式記録装置10の各構成要素に対して印刷やクリーニング動作あるいはインク吸引動作を実行させるためのコマンドを送るソフトウェアを搭載している。
図3に示すインクジェット式記録装置10は、制御装置7の他に、加速度センサ8、インク吸引装置20、インクカートリッジ2,3,4,5、記録ヘッド30、キャリッジ14、用紙搬送機構15A、キャリッジ走査位置検出部300の読み取りセンサ98を含んでいる。インクカートリッジはインクタンクとも言い、液体貯蔵部もしくは液体貯蔵容器の一例である。
図1の実施形態では、複数のインクカートリッジ2ないし5が、キャリッジ14の上に直接搭載されているオンキャリッジ型のものであるが、これに限らずインクカートリッジ2ないし5はキャリッジとは別の位置に搭載されているオフキャリッジ型のものでも勿論構わない。
図3の用紙搬送機構15Aは、紙送りローラ15Cの回転により図1の用紙29をプラテン12上を搬送するようになっている。用紙29は記録媒体の一種である。
図4は、図1に示す記録ヘッド30とインクカートリッジ2ないし5の構造例を示す断面図である。
インクジェット式記録装置10が特にカラープリンタとして用いられる場合には、この記録ヘッド30は、互いに種類の異なる複数種類のインクを吐出するために、インクの種類ごとに独立したインク経路50を有している。
各インクカートリッジ2ないし5からのインクは、インク供給部のインク経路50に流入する。インクの種類ごとに独立したインク経路50は、それぞれ複数の圧力室51に接続されている。各圧力室51には、各ノズル開口列54A,54B,54C,54Dが接続されている。
ノズルプレート62はノズルプレート面61を有していて、このノズルプレート面61には複数のノズル開口列54が設けられている。圧力室51から押し出されたインク滴が、ノズル開口列54A〜54Dのノズル開口55A〜55Dから吐出される。
図5は、ノズルプレート面61におけるノズル開口列54A〜54Dの配列例を示している。異なるインクの種類とは、見かけ上の色の違いにとどまらず、インクの構成成分の種類や比率が異なることを意味する。各ノズル開口列54A〜54Dは、例えば数10から数1000のノズル開口55A〜55Dから構成されている。各ノズル開口列54A〜54Dは、U方向に平行に形成され、かつ走査方向Tに沿って間隔を有している。
図6は、本発明のインクジェット式記録装置の記録ヘッド30の内部構造例を示している。上述したインクカートリッジから供給されるインクは、インク経路50を通って圧力室51へ供給される。印刷の際には、圧力発生素子としての圧電振動子39が伸縮動作することによって、圧力室51の容積を変化させて、圧力室51内のインクに圧力変動を生じさせる。これによって、ノズル開口55A〜55Dからインク滴が吐出できる。
図7は、図1に示す加速度センサ8、制御ボックス96、読み取りセンサ98、駆動部の電動モータ16の電気的な接続例を示している。
制御ボックス96は、図1に示すように本体部1の中に収容されているが、この図7に示すように制御ボックス96は、規定軸傾き演算部602、記憶部603、制御部700を収容している。
図7に示す姿勢検知部600は、姿勢判定部とも呼んでおり、姿勢検知部600は加速度センサ8と規定軸傾き演算部602を有している。
制御部700は、CPU(中央処理装置)601、クロック発生部604、キャリッジ走査制御部608を有している。
図7に示す加速度センサ8は、例えば図2に示すように規定軸Lを中心として本体部1の傾きを検出することができるセンサである。この規定軸Lは、この発明の実施形態では本体部1の設置面1Aと平行な方向に設定されている。規定軸Lは、例えば図2において右側方向がプラス方向であり左側方向がマイナス方向である。
加速度センサ8の種類としては、例えば静電容量型のものやピエゾ抵抗型のものを採用することができる。静電容量型のものは、例えば多結晶シリコンの錘をバネで支えた構造のものを採用でき、錘の動きにより、静電容量を変化させることで規定軸Lに対する本体部1の傾き角度θを検出する。ピエゾ抵抗型のものは、ピエゾ抵抗効果、すなわち応力に比例して抵抗率が変化するのを利用して、やはり規定軸Lに対する本体部1の傾き角度を検出する。
加速度センサ8の規定軸が1軸の場合には、その規定軸と検知しようとする軸の方向を合わせる。規定軸が2軸の場合には、2つの規定軸を含む面内の成分が検出できるように検知軸を設定する。規定軸が3軸以上の場合には、3軸の加速度センサを用いれば、特に検知軸の方向はこだわらない。
図7に示す加速度センサ8は、制御ボックス96内の規定軸傾き演算部602に対して接続されていて、加速度センサ8の加速度データD1は規定軸傾き演算部602に供給される。
規定軸傾き演算部602は、加速度データD1に基づいて、規定軸の単位ベクトルと検知した加速度ベクトルの内積から、g・cosθを算出する。これによって、図7(B)に示すように規定軸Lに対する検知軸ともいう重力方向L1の角度θを得る。規定軸Lが1軸の場合には、内積が検出値なので内積演算は必ずしも必要ではない。
規定軸傾き演算部602は、規定軸傾き(θ)データD2をCPU(中央処理装置)601に供給する。
制御部7の記憶部(例えばROM;Read Only Memory)603は、キャリッジ走査のための制御命令情報1000をCPU601に供給する。
このキャリッジを走査するための制御命令情報1000は、例えば図8に示す記憶部603の中にあらかじめ記憶されている。図8においては、記憶部603は制御命令情報群1001を格納している。制御命令情報群1001は、具体的には例えば制御命令情報C1ないしC5を有している。
図2において、加速度センサ8は、規定軸Lと、本体部1の重力方向L1との成す角度θを検出する。図2の例では、本体部1は搭載台Bの上に設置面1Aを用いて水平状態で設置されている。この場合には、規定軸Lと重力方向L1との成す角度θは90度を形成している。このように傾きを示す角度θは、規定軸Lと重力方向L1が成す角度である。本体部1が設置されている姿勢に応じてこの角度θの値が変化する。
図8(A)に戻ると、制御命令情報C1では、姿勢角度θが0度ないし30度を示しており、制御命令情報C2では、姿勢角度θが30度ないし75度を示し、制御命令情報C3では姿勢角度θが75度ないし105度を示している。さらに制御命令情報C4では姿勢角度θが105度ないし150度を示しており、制御命令情報C5では、姿勢角度θが150度ないし180度を示している。
各制御命令情報C1ないしC5において、それぞれ図2のキャリッジ14がヘッド走査軸17に沿った往路のモードと復路のモードを有している。
図8(B)は、姿勢角度θが0度、90度および180度の場合を示している。姿勢角度θが0度から90度の間では、ヘッド走査軸17の往路では電動モータ16に対して高負荷がかかり、復路では低負荷がかかることを示している。姿勢角度θが90度(水平状態)から180度の間では、図2のヘッド走査軸17の往路では電動モータ16に対して低負荷がかかり復路に対しては高負荷がかかることを示している。
図7に戻ると、制御部700のクロック発生部604はCPU601に対してクロック信号を記憶している。CPU601はキャリッジ走査制御部608に電気的に接続されている。キャリッジ走査制御部608は、CPU601の指令により、駆動部の電動モータ16に対して駆動制御命令(電流量)D4を供給する。読み取りセンサ98は、キャリッジ走査制御部608に対して、キャリッジ14および記録ヘッド30のヘッド走査軸17方向に関する位置の情報D5を供給するようになっている。
図2に示す電動モータ16は、駆動電流を供給することにより、その反対側の方向に逆転することができる回転型のモータである。図9は、電動モータ16の駆動モータ電流の経時変化の例を示している。図9ではキャリッジ14を加速する加速領域R1と、定速で走査する定速領域R2、および減速する減速領域R3を有している。
図9は、駆動モータ電流についての測定結果例を示している。図9は、水平モードH、2つの低負荷モードLL1,LL2、2つの高負荷モードHL1,HL2を示している。水平モードHは、図2に示すように本体部1が設置面1Aを用いて水平な搭載台Bの上に設置されている場合において、電動モータ16に対して供給される駆動モータ電流のモードを示している。
図9の低負荷モードLL1,LL2および高負荷モードHL1,HL2は、図8に示すように各制御命令情報C1,C2,C4,C5に応じて電動モータ16に対して供給されるモータ電流の測定結果例である。
図8において、制御命令情報C1では、往路モードでは高負荷モードHL1が適用され、復路モードでは低負荷モードLL1が適用される。制御命令情報C2では、往路モードでは高負荷モードHL2が適用され、復路モードでは低負荷モードLL2が適用される。
制御命令情報C3では、往路モードおよび復路モードともに水平モードHが適用される。制御命令情報C4では、往路モードでは低負荷モードLL2が適用され、復路モードでは高負荷モードHL2が適用される。制御命令情報C5では、往路モードは低負荷モードLL1が適用され、復路モードでは高負荷モードHL1が適用される。
図10は、電動モータ16の動作を制御する際に、各制御ステップにおける電動モータ16に加える差分電流量を変化させるための構成例を示している。
記憶部603には、あらかじめ図10(B)に示すような位置情報と目標速度のデータDDが記憶されている。
制御装置7には、センサ98側から図1の記録ヘッド30とキャリッジ14の現在の位置情報Fと現在の速度情報SFが供給される。この速度情報SFは演算部98Lがセンサ98からの位置情報Fにより求める。
制御装置7は、インクジェット式記録装置の姿勢に応じて、記録ヘッド30とキャリッジ14が位置情報と目標速度のデータDDに合うようにするために、電動モータ16に対して制御ステップごとに差分電流量を与えることでモータ電流量を変化させるようになっている。
これにより、図9に示すような各モードHL1,HL2,LL1,LL2の駆動モータ電流の経時変化の測定結果が得られる。
この差分電流量については、水平状態を基準差分電流量として、しかも目標速度と現在速度の差が同じであることを前提とした場合には、次のとおりである。
現在速度が目標速度より低い時には早くしたいので正の差分電流量を与えるが、高負荷の時にはこの基準差分電流量よりも多くの差分電流量を電動モータに加える。また、低負荷の時には、この基準差分電流量よりも少ない差分電流量を電動モータに加える。
逆に現在速度が目標速度より高い時には、遅くしたいので負の差分電流量を与えるが、高負荷の時にはこの基準差分電流量よりも絶対値として少ない差分電流量を電動モータに加える。また低負荷の時には、この基準差分電流量よりも絶対値として多い差分電流量を電動モータに加える。
次に、図8〜図15を参照しながら、本発明のインクジェット式記録装置の実施形態におけるヘッド走査方法の具体的な例について説明する。
図12では、インクジェット式記録装置の設置面1Aが搭載台Bの上に水平に置かれている水平状態の例を示している。この場合には、規定軸Lのプラス方向が復路T1であり、マイナス方向が往路T2である。
図13は、本体部1が傾斜して使用される姿勢の例を示している。この場合には、本体部1の設置面1B側が設置面1C側に比べて低い位置にある。
図14は、図13とは逆の例を示しており、本体部1の設置面1B側が設置面1C側に比べて上側に位置している。
図15は、本体部1が縦置き状態に置かれた例を示している。図15(A)では設置面1Bが搭載台Bの上に置かれている。図15(B)では設置面1Cが搭載台Bの上に置かれている。図15の縦置き状態の場合には、ヘッド走査軸17は重力方向(重力軸、検知軸とも呼ぶ)L1に平行である。
まず図12の水平設置状態の例について説明する。
この場合には、ヘッド走査軸17は規定軸Lと平行であり重力方向L1とは垂直である。したがって姿勢角度θは90度である。この場合には、図7のキャリッジ走査制御部608はCPU601からの制御命令情報C3のモードで動作することになる。つまり図8に示すように図12におけるキャリッジ14は、往路T2方向あるいは復路T1方向に走査される場合のいずれにおいても、水平モードHの駆動モータ電流が電動モータ16に供給されることになる。これによって、キャリッジ14および記録ヘッド30は安定してヘッド走査軸17に沿って制御することができる。
図13の場合には、図8に示す姿勢角度θが0度から75度の場合の制御命令情報C1,C2が適用される。この場合には、往路モードでは姿勢角度の大きさに応じて高負荷モードHL1あるいは高負荷モードL2が用いられる。復路モードでは姿勢角度の大きさに応じて低負荷モードLL1あるいは低負荷モードLL2が用いられる。キャリッジ14が往路T2方向に走査される場合には、より大きなモータ駆動電流が電動モータに供給される。キャリッジ14が復路T1に走査される場合には、より小さい駆動モータ電流が電動モータに供給されることになる。
図14の場合には、図8の制御命令情報C4,C5が適用される。この場合には、往路モードでは姿勢角度の大きさに応じて低負荷モードLL1あるいは低負荷モードLL2が用いられる。復路モードでは姿勢角度に応じて高負荷モードHL1あるいは高負荷モードHL2が用いられる。つまりキャリッジ14が往路T2に走査される場合にはより小さい駆動モータ電流が電動モータに供給される。キャリッジ14が復路T1に走査される場合には、より大きい駆動モータ電流が電動モータに供給される。
図13と図14に示すように、本体部1の姿勢、すなわちヘッド走査軸17の傾斜方向と角度に応じて、図7に示す電動モータ16には適切な往路モードおよび復路モードにおける駆動モータ電流が供給できる。
これによって、キャリッジ14および記録ヘッド30そしてカートリッジ2ないし5は、本体部1の使用する姿勢に応じて適切な駆動モータ電流を供給することで安定して走査させることができる。
図15(A)に示す縦置き状態の例では、規定軸Lと重力方向(検知軸)L1の姿勢角度θが0度である。このことから、この場合には電動モータに対して制御命令情報C1に基づいて往路モードでは高負荷モードHL1が適用され、復路モードでは低負荷モードLL1が適用される。
また図15(B)の縦置き状態では、規定軸Lと重力方向L1の成す姿勢角度θは180度である。このために図8に示す制御命令情報C5が用いられる。この場合には、往路モードは低負荷モードLL1が用いられ復路モードでは高負荷モードHL1が用いられる。
図11は、上述したような本体部1の姿勢を検知して電動モータに対して駆動モータ電流を供給する場合のヘッド走査方法の一例を示している。
ステップST1では、使用者が図1のインクジェット式記録装置10の本体部1を所定の姿勢に保持する。
姿勢検知ステップST2では、姿勢検知部の加速度センサ8が本体部1の姿勢を検知する。
その後、走査ステップST3では、図7に示す制御部700のキャリッジ走査制御部608が、検知された本体部1の姿勢に対応する記憶部603内の図8に示す制御命令情報C1ないしC5を参照して、その中から姿勢に対応した制御命令情報を選択する。そしてこの選択した制御命令情報C1に基づいて、図7に示すキャリッジ走査制御部608が電動モータ16に対して駆動制御命令(電流量)D4を与えることにより、例えば図1に示すようなキャリッジ14、記録ヘッド30およびインクカートリッジ2ないし5の構造体は、規定軸Lのマイナス方向(往路)やプラス方向(復路)に沿った走査制御を安定して行う。
ところで本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、次のような例も考えられる。例えば図12に示すように本体部1が水平状態に設置されている場合と、図15(A),図15(B)に示すように本体部1が縦置き状態に設置されている場合には、次のような図12に示すスイッチ990と図15(A)に示すスイッチ991および図15(B)に示すスイッチ992を用いることも可能である。
図12の水平状態の場合には、設置面1Aが搭載台Bの上に置かれているので、本体部1の姿勢は一定であり、姿勢角度θは90度である。このためスイッチ990が設置面1A側に設けられていることにより、設置面1Aが搭載台Bの上に置かれるとスイッチ990がオンになる。これによって、スイッチ990がオンになることで自動的に図7に示すキャリッジ走査制御部608は図8の制御命令情報C3を選択して、電動モータに対して往路モードおよび復路モードともに水平モードHの駆動モータ電流を供給するのである。
また図15(A)の縦置き状態では、設置面1Bが搭載台Bの上に置かれており、姿勢角度θは0度である。スイッチ991は設置面1Bに設けられているので、設置面1Bが搭載台Bに置かれるとスイッチ991がオンになる。これによって、図7のキャリッジ走査制御部608は電動モータ16に対して制御命令情報C1を適用して、電動モータには往路モードでは高負荷モードHL1が適用され復路モードでは低負荷モードLL1が適用される。
図15(B)の縦置き状態では、設置面1Cのスイッチ992がオンすることにより、姿勢角度θが180度であり、これに対応する図8に示す制御命令情報C5が図7のキャリッジ走査制御部608から電動モータ16側に適用される。これによって、往路モードでは低負荷モードLL1が適用され復路モードでは高負荷モードHL1が適用されることになる。
このようにすれば、姿勢角度を検出すると同時にあるいは姿勢角度検出をしなくてもスイッチのオン/オフ操作により、適切な制御命令情報を自動的に選択することができる。
このようなスイッチは本体部1に設けてもよいし設けなくてもよい。
本発明の実施形態では、液体噴射装置の保持されている姿勢に応じて、制御部は駆動部の動作を制御することができるので、ヘッド保持部材のガイド部材に沿った走査動作を使用環境に応じて安定させることができる。液体噴射装置の姿勢に応じて、ヘッド保持部材を走査する場合にその走査方向に関する往路と復路では異なる走査動作を行わせることで、ヘッド保持部材の走査動作を安定させることができる。姿勢検知部は加速度センサを有しており、この加速度センサが液体噴射装置の姿勢を検知する。液体噴射装置の姿勢は確実に重力方向を利用して検知することができる。走査方向と重力方向とが成す角度により液体噴射装置の姿勢を確実に検知することができる。
なお、内積=g・Cosθから算出される姿勢角度θは、必ずしも鉛直方向からの傾きを意味するのではない。重力と加速度が等価であることを考えれば、より好ましくは「重力+移動加速度の合成力」を見かけの重力としてとらえることができるということである。これにより、移動体(自動車等)における移動加速度が変化する環境下においても、本発明の液体噴射装置の実施形態では、ヘッド保持部材とともに記録ヘッドの最適な動作が安定して実現できる。
図示した実施形態においては、例えばブラックインク、シアンインク、マゼンダインク、イエローインクの各インクを使用する4つのインクカートリッジが、キャリッジに装着できるようになっている。このインクカートリッジはこれに限らず、ブラックインク用のインクカートリッジだけを備えているものや、上述したように2つのインクカートリッジを備えていたり、ブラックインクを除いた3色のカラーインク用の3つのインクカートリッジを備えているものや、5つ以上の奇数個のインクカートリッジがキャリッジに装着できるようなものであってもよい。
本発明は、インクジェット式記録装置としての上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。さらに、上述の各実施形態は、相互に組み合わせて構成するようにしてもよい。また、本発明は、インクジェット式記録装置に限らず、プリンタ等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等の液体を吐出する液体噴射ヘッドを用いた液体噴射装置、精密ピペットとしての試料噴射装置等にも適用できる。
本発明の液体噴射装置の実施形態であるインクジェット式記録装置を示す斜視図。 図1のインクジェット式記録装置の内部構造を示す図。 インクジェット式記録装置の電気的接続例を示す図。 記録ヘッドとインクカートリッジ等を示す図。 記録ヘッドのノズルプレート面の形状例を示す図。 記録ヘッドの構造例を示す図。 姿勢検知部、制御部、記憶部、電動モータ等の電気的な接続例を示す図。 記憶部に格納されている制御命令情報の一例を示す図。 電動モータに与える駆動モータ電流の高負荷モード、低負荷モードおよび水平モードの例を示す図。 制御ステップごとに電動モータに対して加える差分電流量を変化させる構成例を示す図。 本発明の実施形態であるインクジェット式記録装置におけるヘッド操作方法の一例を示すフロー図。 インクジェット式記録装置が水平状態に置かれている状態を示す図。 インクジェット式記録装置が傾けて使用されている状態を示す図。 図12の状態とは逆方向にインクジェット式記録装置が傾けて使用されている例を示す図。 インクジェット式記録装置が縦置き状態で置かれている状態を示す図。
符号の説明
2,3,4,5・・・インクカートリッジ(液体貯蔵部の一例)、8・・・加速度センサ、10・・・インクジェット式記録装置(液体噴射装置の一例)、14・・・キャリッジ(ヘッド保持部材の一例)、16・・・電動モータ、17・・・ヘッド走査軸(ガイド部材の一例)、30・・・記録ヘッド(液体噴射ヘッドの一例)、300・・・キャリッジ走査位置検出部、550・・・駆動部、600・・・姿勢検知部(姿勢判定部とも言う)、603・・・記憶部、700・・・制御部

Claims (7)

  1. 液体噴射ヘッドから液体を噴射する液体噴射装置であって、
    前記液体噴射ヘッドを保持しているヘッド保持部材と、
    前記ヘッド保持部材を走査方向にガイドするためのガイド部材と、
    前記ガイド部材に沿って前記ヘッド保持部材を走査させる駆動部と、
    前記液体噴射装置の姿勢を検知するための姿勢検知部と、
    前記液体噴射装置の前記姿勢に応じた前記駆動部への制御命令情報を記憶させている記憶部と、
    前記姿勢検知部により検知された前記液体噴射装置の前記姿勢に対応する前記記憶部に記憶されている前記制御命令情報に基づいて、前記駆動部の動作を制御して前記ヘッド保持部材を前記ガイド部材に沿って走査させる制御部と、を備えることを特徴とする液体噴射装置。
  2. 前記制御命令情報の内容は、前記ヘッド保持部材を前記走査方向に走査する際の前記走査方向に関する往路と復路では異なることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
  3. 前記駆動部は電動モータであり、前記電動モータの動作を制御する際に、各制御ステップにおける前記電動モータに加える差分電流量を変化させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体噴射装置。
  4. 前記姿勢検知部は加速度センサを有していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の液体噴射装置。
  5. 前記姿勢検知部の前記加速度センサは、前記加速度センサの検知方向に対応して規定された規定軸と、前記液体噴射装置の重力方向と、が成す角度により前記液体噴射装置の姿勢を検知することを特徴とする請求項4に記載の液体噴射装置。
  6. 前記規定軸は、前記走査方向と平行であることを特徴とする請求項5に記載の液体噴射装置。
  7. 液体噴射ヘッドから液体を噴射する液体噴射装置における前記液体噴射ヘッドの走査制御方法であって、
    前記液体噴射ヘッドを保持しているヘッド保持部材をガイド部材に沿って走査方向に走査する際に、前記液体噴射装置の姿勢を姿勢検知部により検知する姿勢検知ステップと、
    制御部は、得られた前記液体噴射装置の前記姿勢に応じて、予め前記記憶部に記憶されている前記液体噴射装置の各種の姿勢に応じた前記駆動部への制御命令情報の中から対応する前記制御命令情報を参照して前記ガイド部材に沿って前記ヘッド保持部材を走査させるための駆動部を制御して、前記ヘッド保持部材を前記ガイド部材に沿って走査方向に走査させる走査ステップと、を有することを特徴とする液体噴射装置のヘッド走査方法。
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