JP2005262232A - 熱間成形方法 - Google Patents

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Kazuhisa Kusumi
和久 楠見
Jun Maki
純 真木
Masahiro Ogami
正浩 大神
Masayuki Abe
阿部  雅之
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Abstract

【課題】 従来よりも絞り加工時における鋼板の成形性を向上させ、しかも成形後の強度に優れる製品を製造可能な熱間成形方法を提供する。
【解決手段】 鋼板をAC3点から融点までの温度範囲に加熱した後、鋼よりも熱伝導率が小さい材料で構成されたしわ押え部13及びダイ16のフランジ部17を有する金型11を用いて、しわ押え部13とダイ16のフランジ部17とで鋼板を挟み、フェライト、パーライト、ベイナイト、及びマルテンサイト変態のいずれもが生じる温度より高い温度で鋼板の成形を開始して絞り加工を行い、この加工後に急冷する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば、自動車の構造部材、補強部材等の強度が必要とされる製品(部品)を製造するための熱間成形方法に係り、更に詳細には絞り加工(絞り成形)時における鋼板の成形性を向上させ、成形後の強度に優れた製品を製造する熱間成形方法に関する。
従来、例えば、地球環境問題に端を発する自動車の燃費向上対策の一つとして、車体の軽量化が進められており、自動車に使用される鋼板をできるだけ高強度化することが必要となっている。
しかし、自動車の軽量化のために、一般に鋼板を高強度化していくと、伸びやr値(ランクフォード値)が低下し、成形性が低下していく。
このような課題を解決するため、例えば、特許文献1には、鋼板を温間で成形し、その際の熱を利用して強度上昇を図る技術が開示されている。なお、この技術では、鋼中成分を適切に制御した鋼板を使用し、この鋼板を200〜850℃の温度域に保持して成形加工し、この温度域での析出強化を利用して鋼板の強度を上昇させることを狙っている。
また、特許文献2には、プレス成形の精度を向上させる目的で、温間プレス時での降伏強度を低く、常温での降伏強度を高くする高強度鋼板が提案されている。
しかし、これらの技術では、得られる強度に限界が生じる可能性があり、自動車に使用可能な強度を備えた鋼板を製造できない恐れがある。
そこで、より高い強度を得る目的で、特許文献3には、鋼板を成形した後に、これを高温のオーステナイト単相域まで加熱し、その後の冷却過程で硬質相に変態させる技術が開示されている。この方法は、金型間のクリアランスを制限し、その間隙に冷媒を導入することで成形後の製品の焼入れを行い、高強度で且つ形状凍結(形状保持)性に優れた製品を得ることができる方法である。
特開2000−234153号公報 特開2000−87183号公報 特開2002−282951号公報
しかしながら、特許文献3の実施例に示される角筒深絞り金型を使用して鋼板をプレスする場合、例えば鋼板から打ち抜いた高温のブランク(中間製品)を、金型のダイフェイス(ダイのフランジ部)としわ押え部とで挟んだ際に、押えられた部分に温度低下が生じてブランク自体の変形抵抗が上昇し、成形後にパンチ肩や側壁部に割れが生じることが多く、成形できる形状に制約が生じてしまう問題がある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、従来よりも絞り加工時における鋼板の成形性を向上させ、しかも成形後の強度に優れる製品を製造可能な熱間成形方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う請求項1記載の熱間成形方法は、鋼板をAC3点から融点までの温度範囲に加熱した後、鋼よりも熱伝導率が小さい材料で構成されたしわ押え部及びダイのフランジ部を有する金型を用いて、該しわ押え部と該ダイのフランジ部とで前記鋼板を挟み、フェライト、パーライト、ベイナイト、及びマルテンサイト変態のいずれもが生じる温度より高い温度で前記鋼板の成形を開始して絞り加工を行い、この加工後に急冷する。
前記目的に沿う請求項2記載の熱間成形方法は、鋼板をAC3点から融点までの温度範囲に加熱した後、該鋼板に接触する接触部が鋼よりも熱伝導率が小さい材料で構成されたしわ押え部及びダイのフランジ部を有する金型を用いて、該しわ押え部と該ダイのフランジ部の各接触部で前記鋼板を挟み、フェライト、パーライト、ベイナイト、及びマルテンサイト変態のいずれもが生じる温度より高い温度で前記鋼板の成形を開始して絞り加工を行い、この加工後に急冷する。
請求項1及び2記載の熱間成形方法において、鋼板の成形性と成形後の強度を高めるため、鋼板を、その組織がオーステナイト単相域となるAC3点以上融点以下の温度範囲に加熱してオーステナイト変態させている。なお、フェライト、パーライト、ベイナイト、及びマルテンサイト変態のいずれもが生じる温度より高い温度で鋼板の成形を開始することで、鋼板の延性が良好な状態で絞り加工を実施できる。
また、鋼よりも熱伝導率が小さい材料としては、例えば、セラミック、ステンレス鋼等を使用できる。
請求項3記載の熱間成形方法は、請求項1及び2記載の熱間成形方法において、前記鋼よりも熱伝導率が小さい材料はセラミックである。
請求項3記載の熱間成形方法において、セラミックとしては、例えば、アルミナ(Al23 )、ジルコニア(ZrO2 )、サイアロン等を使用できる。
請求項4記載の熱間成形方法は、請求項1〜3記載の熱間成形方法において、前記鋼板は炭素を0.05〜0.55質量%、マンガンを0.1〜3質量%含有し、該鋼板の成形後の急冷は、マルテンサイト変態が生じる冷却速度以上の速度で、且つマルテンサイト変態の開始温度まで行う。
請求項4記載の熱間成形方法において、絞り加工を行う鋼板として、炭素を0.05〜0.55質量%、マンガンを0.1〜3質量%含有するものを使用することで、成形後に例えば、構造部材、補強部材等に使用可能な高張力鋼(ハイテンともいう)にできる。
また、マルテンサイト変態が生じる冷却速度としては、例えば、20℃/秒以上、好ましくは30℃/秒以上の速度である。
そして、急冷は、マルテンサイト変態の開始温度(例えば、400℃程度)以下まで行っているが、より確実に成形後の強度を高めるには、急冷をマルテンサイト変態の終了温度(例えば、300℃程度)以下まで行うことが好ましい。
なお、鋼板としては、鋼板の強度、靱性、その他の特性を向上させるため、炭素、マンガン以外の元素であるアルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、酸素(O)、硫黄(S)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、アンチモン(Sb)、タングステン(W)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、希土類元素(REM)などの元素を目的に応じて最適化したもの、更に金属組織や析出物などを最適化したもの等も使用できる。
請求項5記載の熱間成形方法は、請求項1〜4記載の熱間成形方法において、前記鋼板の成形が行われる成形部位と接触する前記ダイの加工部は、その熱伝導率が鋼と同等又は鋼よりも大きい材料で構成され、前記鋼板の加工後の急冷は、前記成形部位を前記加工部に接触させて行う。
請求項5記載の熱間成形方法において、熱伝導率が鋼と同等の材料としては、例えば、軟鋼、硬鋼等を使用でき、また、熱伝導率が鋼よりも大きい材料としては、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、タングステン、黄銅等を使用できる。
請求項1及びこれに従属する請求項3〜5記載の熱間成形方法は、鋼よりも熱伝導率が小さい材料で構成されたしわ押え部とダイのフランジ部とで鋼板を挟むので、鋼板の押えられた部位の温度低下を抑制し、従来よりも絞り加工時における鋼板の成形性を向上させることができる。
また、鋼板を絞り加工した後、高温の状態から急冷することで、製品の硬度を高め、成形後の強度に優れる製品を製造できる。
請求項2及びこれに従属する請求項3〜5記載の熱間成形方法は、しわ押え部及びダイのフランジ部の鋼よりも熱伝導率が小さい材料で構成された接触部で鋼板を挟むので、鋼板の押えられた部位の温度低下を抑制し、従来よりも絞り加工時における鋼板の成形性を向上させることができる。
また、鋼板を絞り加工した後、高温の状態から急冷することで、製品の硬度を高め、成形後の強度に優れる製品を製造できる。
特に、請求項3記載の熱間成形方法は、鋼よりも熱伝導率が小さい材料はセラミックであるので、簡単な構成で絞り加工時における鋼板の成形性を向上させることができる。
請求項4記載の熱間成形方法は、鋼板の成分を規定し、この鋼板の急冷をマルテンサイト変態が生じる冷却速度以上の速度で、且つマルテンサイト変態の開始温度まで行うので、鋼板の絞り成形後の硬度を高めることができる。
請求項5記載の熱間成形方法は、鋼板の成形部位と接触するダイの加工部を、その熱伝導率が鋼と同等又は鋼よりも大きい材料で構成し、この加工部に鋼板の成形部位を接触させて急冷を行うので、絞り加工から急冷処理までを連続的に行うことができ、作業性が良好で、しかも品質を更に高めた製品を製造できる。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る熱間成形方法を適用する金型の部分側断面図、図2〜図4はそれぞれ同熱間成形方法に適用する第1〜第3の変形例に係る金型の部分側断面図、図5(A)、(B)はそれぞれ同熱間成形方法で製造された製品の斜視図である。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る熱間成形方法は、炭素(C)を0.05〜0.55質量%、マンガン(Mn)を0.1〜3質量%含有し、板厚が1〜3mmの鋼板(ホットプレス用鋼板ともいう)から例えば打ち抜いたブランク(中間製品)10を、金型11を用いて絞り加工(深絞り加工ともいう)を行い、例えば、バンパー補強部材、センターピラー補強部材、ドアインパクト補強部材のような、自動車の構造部材、補強部材等を製造する方法である。以下、詳しく説明する。
まず、鋼板から打ち抜かれたブランク10を、加熱炉(図示しない)内に装入し、オーステナイト単相域であるAC3点から融点までの温度範囲(ブランク10の成分により異なるが、例えば、800〜1500℃、好ましくは900〜1200℃)に加熱してオーステナイト変態させる。
次に、図1に示すように、加熱されたブランク10を、所定形状(例えば、自動車のバンパー補強部材、センターピラー補強部材、ドアインパクト補強部材等を製造可能な形状)の金型11でプレスする。
この金型11は、上部に円錐台状となった突出部分12を備え、ブランク10が載置されるしわ押え部13に対して上下方向に移動可能なパンチ(下金型部)14と、金型11の作動時において、パンチ14の突出部分12の上面と所定の隙間(例えば、ブランク10の板厚)を有して配置される加工部15を備えたダイ(上金型部)16とを有している。なお、このしわ押え部13も、ダイ16に対して上下方向に移動可能となっており、しわ押え部13と、このしわ押え部13に対向するダイ16のフランジ部17との間にブランク10が配置された後、しわ押え部13の上面とダイ16のフランジ部17の下面とでブランク10を押さえることが可能な構成となっている。
しわ押え部13とダイ16のフランジ部17は、鋼よりも熱伝導率が小さい材料(例えば、60W/m/K以下程度)、例えば、アルミナ、ジルコニア、サイアロンなどのセラミック、SUS304などのステンレス鋼等で構成されている。
また、パンチ14と対向するダイ16の加工部15は、鋼と同等の熱伝導率を備えた材料、例えば、軟鋼、硬鋼等や、鋼よりも大きい材料、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、タングステン、黄銅等で構成されている。なお、ダイの加工部の内部に冷媒(例えば水等)を流す冷却管を配置し、加工部による冷却効率を高めることもできる。
そして、パンチ14は、上記したいずれの材料で構成することも可能である。
この金型11の寸法は、図1に示すように、パンチ14の突出部分12の頂部の平面部18の直径が30mm、しわ押え部13の上面からのパンチ14の平面部18の突出高さが20mm、ダイ16の加工部15の外径が120mmとなっている。なお、パンチ14の突出部分12の平面部18周囲に位置する角部19、及びダイ16の加工部15とフランジ部17との境界の角部20の曲率半径は、それぞれ10mmとなっている。
なお、使用する金型の形状及び数値はこれに限定されるものではなく、例えば、以下に示す第1〜第3の変形例に係る金型25、30、40を使用することもできる。
図2に示すパンチ26とダイ27とを有する金型25は、しわ押え部13の上面からのパンチ26の突出部分28の突出高さのみが金型11と異なって30mmとなったものである。
また、図3に示す金型30は、パンチ14と同様の材料で構成され、しわ押え部13と隙間(例えば、10〜50mm程度)を有して配置され、円柱状の突出部分31を有する断面円形のパンチ32と、ダイ16の加工部15に相当する部分が無く、パンチ32の移動方向に開口部33が形成されたダイ34とを有している。従って、ダイ34はブランクを押さえる部分であるフランジ部で構成され、パンチ32がしわ押え部13より上方に突出しても、ブランクの成形部位がダイ34の表面に接触しない構成となっている。
なお、パンチ32の上部に設けられた突出部分31の頂部の平面部35の直径は30mm、ダイ34の開口部33の最大内径は120mmであり、突出部分31の上部周囲の角部36及びダイ34の角部37の曲率半径はそれぞれ10mmとなっている。
これにより、前記した各金型11、25同様、絞り成形時においてブランクの押さえられた部分の温度低下を招くことなく、ブランクの成形を実施できる。
また、金型25は、しわ押え部13及びダイ27のフランジ部17全体を、鋼よりも熱伝導率が小さい材料で構成したが、図4に示すように、しわ押え部41及びダイ42のフランジ部43のブランク10と接触する部分である接触部44、45を、鋼よりも熱伝導率が小さい材料(例えば、加工部15を構成した材料)で構成した金型40を使用することもできる。
ここで、しわ押え部41及びダイ42は、鋼製のしわ押え部本体46及びダイ本体47に、各接触部44、45を、例えば、ねじ構造、嵌め込み構造、接合等により一体的に取付けた構造となっている。
各接触部44、45は、その厚みが例えば5〜20mm程度となっているが、この形状及び数値に限定されるものではなく、また、この構造を、他の金型11、30に適用することも勿論可能である。
前記した金型11を用いて、オーステナイト変態させたブランク10を、パンチ14とダイ16のフランジ部17とで挟み、フェライト、パーライト、ベイナイト、及びマルテンサイト変態のいずれもが生じる温度より高い温度(例えば、700℃以上程度)でブランク10の成形を開始して絞り加工を行なう。
このとき、ブランク10と接触するしわ押え部13及びダイ16のフランジ部17の断熱性が良好であるため、ブランク10の押さえられた部分の温度低下は抑制され、絞り加工時において、ブランク10の延性(流動性)を高めることができる。そして、ブランク10の成形部位がダイ16の加工部15に接触するまでパンチ14を突出させることでブランク10の成形を終了し、引き続きダイ16の加工部15に成形部位を接触させた状態で、加工部15による急冷を行う。
ブランク10の成形部位が接触する加工部15は、熱伝導性が良好であるため、成形部位を急冷して焼入れすることができる。ここで、急冷を、ブランク10の成形部位をダイ16の加工部15接触させた状態で、マルテンサイト変態が生じる冷却速度以上(例えば、20℃/秒以上、好ましくは30℃/秒以上)の速度で、且つマルテンサイト変態の開始温度(例えば、400℃程度)以下、好ましくはマルテンサイト変態の終了温度(例えば、300℃程度)以下まで行う。
これにより、オーステナイト変態させたブランク10を、軟質相(例えば、ベイナイト、パーライト)への変態を抑制、更には防止しながらマルテンサイト変態させることができる。
上記した方法で、ブランク10を金型11で連続的に焼入れ成形することで、図5(A)に示すような、成分に応じた焼入れ強度、例えば、0.22%C鋼では、引張り強度が1470MPa以上程度の製品50を製造できる。また、図5(B)に金型25で製造される製品51を示す。
なお、図3に示す金型30を使用した場合、ブランクの成形部位をダイ34の表面に接触させることができないため、急冷して焼入れすることができず、成形後の製品の硬度を高めることができない。このため、パンチ32による成形を行った後、この成形品を従来使用している同一形状の金型、例えばパンチ、ダイ共に鋼製の金型を使用して再度熱間プレスすることで、成形部位の焼入れを行い、製品の強度を高めることが好ましい。
これにより、他の金型11、25を使用した場合と同等の引張り強度が得られる製品を製造できる。
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
まず、表1に示す化学成分となった鋼種a〜cのスラブを鋳造した。
Figure 2005262232
これらのスラブを1050〜1350℃に加熱し、熱間圧延にて、仕上温度800〜900℃、巻取温度450〜680℃で、板厚4mmの熱延鋼板を製造した。そして、一部の熱延鋼板を、冷間圧延により板厚1.4mmの冷延鋼板とし、この冷延鋼板の一部に、表2に示す溶融アルミめっき(アルミめっき)、合金化溶融亜鉛めっき、溶融亜鉛めっきをそれぞれ施した。
Figure 2005262232
その後、これらの冷延鋼板及び表面処理鋼板から例えば打ち抜いたブランクを、加熱炉によりAC3点以上(融点以下)である950℃のオーステナイト領域に加熱した後、熱間成形加工を行った。なお、鋼板の成形に使用する金型としては、前記実施の形態で説明した各金型11、25、30の形状、サイズの金型A、B、Cをそれぞれ使用し、各金型A〜Cのしわ押え部とダイのフランジ部の材質としては、表3に示すものを使用する。ここで、しわ押え部とダイのフランジ部の材質が、鋼よりも熱伝導率が小さいセラミックとなっているものは、図1〜図3に示すものを使用した場合のものであり、鋼よりも熱伝導率が小さいセラミックを鋼上にインサートしたものとは、図4に示すものを使用した場合のものである。
Figure 2005262232
なお、各金型A〜Cはパンチ形状に倣い、板厚1.4mmのクリアランスにて各ダイの形状を決定した。成形条件としては、鋼板から打抜いた厚み1.4mm、直径150mmの円板状のブランクを使用し、パンチ速度10mm/秒、加圧力100トン、しわ押え力2トン、下死点での保持時間(パンチの突出部分とダイの加工部とで成形部位を挟み込む時間)を5秒とした。なお、しわ押え力は、絞り加工を行う条件を満足できる力であり、成形時においてブランクの動きを完全に止めない程度、即ち、ブランクの流動性を確保できる程度の力としている。
ここで、実施した試験の組み合わせを、前記した表1〜表3の記号に基づき、表4〜表6にそれぞれ示す。なお、表4〜表6中の比較例1〜18は従来例(しわ押え部とダイのフランジ部の各材質が鋼)である。
Figure 2005262232
Figure 2005262232
Figure 2005262232
なお、表4〜表6中の成形結果は、成形後に各金型A〜Cから取り出された図5(A)、(B)に示すような各製品50、51を、目視にて判定した結果であり、表7に示すように、割れ無し(○)、ネッキング発生(△)、割れ発生(×)の3つの基準で判定している。
Figure 2005262232
また、表4〜表6中のしわ発生結果は、図5に示すように、成形後の製品50、51のフランジ52、53と側壁部54、55の様子を目視で観察した結果であり、表8に示すように、しわ無し(○)、フランジしわ発生(□)、側壁部に重なりしわ発生(■)の3つの基準で判定している。
Figure 2005262232
そして、表4〜表6中の成形可否は、表7中の割れ無し、且つ表8中のしわの発生無しの場合を成形可とし、他の場合を成形否とした。
更に、表4〜表6中の硬度は、成形後に各金型A〜Cから取り出した製品50、51のビッカース硬度を測定した結果である。これを表9に示す。
Figure 2005262232
表9に示すように、硬度は、成形前の鋼板をAC3点以上である950℃のオーステナイト領域に加熱した後、AC3点以上である900℃から水焼入れしたときの硬度を基準に、強度が必要とされる部位(成形部位)の硬度が85%以上の場合を「◎」、70%以上85%未満の場合を「○」、50%以上70%未満の場合を「△」、50%未満の場合を「×」とし、70%未満の「△」及び「×」を不合格とした。ここで、硬度の測定箇所は、各製品50、51の側壁部54、55及び底部56、57とし、後工程で除去されるフランジ52、53は測定の範囲から除いた。
実施例1−1〜実施例16−2、及び比較例1〜16は、鋼板として鋼種bを使用し、各金型A〜C、しわ押え部とダイのフランジ部の各材質(材質)、及び各めっき種をそれぞれ用いて、鋼板の成形限界について検討した結果である。
しわ押え部とダイのフランジ部の材質が鋼である比較例の場合、成形高さが低い(20mm:金型A、Cを使用)とき、即ち比較例1、3、5、7、9、11、13、15では成形結果が良好(○)であったが、成形高さが高くなる(30mm:金型B、Cを使用)と成形結果が悪く(△)なった。しかし、材質を鋼よりも熱伝導率が小さいセラミック、もしくは鋼よりも熱伝導率が小さいセラミックを鋼上にインサートした実施例の場合、材質が鋼である場合と比較して、成形高さに影響されることなく、いずれの各金型A〜Cを使用した場合においても成形限界が向上した。
また、金型Cを用いた場合は、成形後の製品を金型C内で保持しても、ブランクの一部がマルテンサイト開始温度まで急冷されなかったため硬度が不十分(×)であったが、加工後に、例えば従来使用しているパンチ、ダイ共に鋼製で同一形状の金型を使用して再度熱間プレスすることで、十分な焼入れ硬度を得ることができる。
従って、金型Cを用いた場合についても、従来よりも金型による絞り加工時における成形性を向上させることができ、しかも十分な焼入れ硬度(◎)を得ることが可能であるため、ここでは実施例としている。
なお、他の金型A、Bの場合は、絞り加工時における成形性を向上させることができることは勿論であるが、焼入れ硬度についても十分であった。また、どのめっき種を用いても、実施例から明らかなように、成形限界が向上し、更に十分な焼入れ硬度を得ることができた。
実施例17−1〜実施例18−2、及び比較例17、比較例18は、鋼板として鋼種a、cをそれぞれ使用し、金型B、各材質、及びめっき種CRをそれぞれ用いて、鋼板の成形限界について検討した結果である。
しわ押え部とダイのフランジ部の材質を鋼よりも熱伝導率が小さいセラミックとした、もしくは鋼よりも熱伝導率が小さいセラミックを鋼上にインサートした実施例の場合、材質が鋼である場合と比較して、成形限界が向上した。
このように、本発明の熱間成形方法を使用することで、従来よりも金型による絞り加工時における鋼板の成形性を向上させ、しかも成形後の強度に優れる製品を製造できることを確認できた。
以上、本発明を、一実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の熱間成形方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
前記実施の形態においては、例えば、バンパー補強部材、センターピラー補強部材、ドアインパクト補強部材のように、自動車の構造部材、補強部材等を製造する熱間成形について説明したが、所定の形状に加工された高張力鋼を使用する分野、例えば、車両、重機、船舶等の構造部材、補強部材等を製造するために、本発明の熱間成形方法を適用することも勿論可能である。
本発明の一実施の形態に係る熱間成形方法を適用する金型の部分側断面図である。 同熱間成形方法に適用する第1の変形例に係る金型の部分側断面図である。 同熱間成形方法に適用する第2の変形例に係る金型の部分側断面図である。 同熱間成形方法に適用する第3の変形例に係る金型の部分側断面図である。 (A)、(B)はそれぞれ同熱間成形方法で製造された製品の斜視図である。
符号の説明
10:ブランク、11:金型、12:突出部分、13:しわ押え部、14:パンチ、15:加工部、16:ダイ、17:フランジ部、18:平面部、19、20:角部、25:金型、26:パンチ、27:ダイ、28:突出部分、30:金型、31:突出部分、32:パンチ、33:開口部、34:ダイ、35:平面部、36、37:角部、40:金型、41:しわ押え部、42:ダイ、43:フランジ部、44、45:接触部、46:しわ押え部本体、47:ダイ本体、50、51:製品、52、53:フランジ、54、55:側壁部、56、57:底部

Claims (5)

  1. 鋼板をAC3点から融点までの温度範囲に加熱した後、鋼よりも熱伝導率が小さい材料で構成されたしわ押え部及びダイのフランジ部を有する金型を用いて、該しわ押え部と該ダイのフランジ部とで前記鋼板を挟み、フェライト、パーライト、ベイナイト、及びマルテンサイト変態のいずれもが生じる温度より高い温度で前記鋼板の成形を開始して絞り加工を行い、この加工後に急冷することを特徴とする熱間成形方法。
  2. 鋼板をAC3点から融点までの温度範囲に加熱した後、該鋼板に接触する接触部が鋼よりも熱伝導率が小さい材料で構成されたしわ押え部及びダイのフランジ部を有する金型を用いて、該しわ押え部と該ダイのフランジ部の各接触部で前記鋼板を挟み、フェライト、パーライト、ベイナイト、及びマルテンサイト変態のいずれもが生じる温度より高い温度で前記鋼板の成形を開始して絞り加工を行い、この加工後に急冷することを特徴とする熱間成形方法。
  3. 請求項1及び2のいずれか1項に記載の熱間成形方法において、前記鋼よりも熱伝導率が小さい材料はセラミックであることを特徴とする熱間成形方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱間成形方法において、前記鋼板は炭素を0.05〜0.55質量%、マンガンを0.1〜3質量%含有し、該鋼板の成形後の急冷は、マルテンサイト変態が生じる冷却速度以上の速度で、且つマルテンサイト変態の開始温度まで行うことを特徴とする熱間成形方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱間成形方法において、前記鋼板の成形が行われる成形部位と接触する前記ダイの加工部は、その熱伝導率が鋼と同等又は鋼よりも大きい材料で構成され、前記鋼板の加工後の急冷は、前記成形部位を前記加工部に接触させて行うことを特徴とする熱間成形方法。
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