JP2005257465A - 自動超音波探傷方法および装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高速探傷を可能とし、あわせて、微小欠陥の検出力を向上する。
【解決手段】アレイ型探触子3、送受信回路4、加算アンプ5、受信信号に基づいて疵の有無を評価する評価回路6、アレイ型探触子3の超音波ビームの集束パターンを制御する遅延回路7と、制御手段8とを備える。制御手段8は、溶接鋼管1の溶接部2全体の粗探傷を行うように遅延回路7を制御し、この結果、評価回路7が疵信号無しと評価した場合には、次の未探傷被検査部においても粗探傷を行うように遅延回路7を制御する。評価回路7が疵信号有りと評価した場合には、溶接部2を複数領域に分割し、各領域を精密探傷するように遅延回路7を制御する。各領域の探傷後、疵信号が受信された領域をさらに複数領域に分割し、各領域をさらに精密探傷するように遅延回路7を制御することを繰り返し行う。
【選択図】図1

Description

この発明は、自動超音波探傷方法および装置、特に、高速探傷が可能で、しかも、微小欠陥の検出力が向上する自動超音波探傷方法および装置に関するものである。
従来、例えば、溶接鋼管の溶接部に内在する欠陥の探傷方法として、超音波による探傷方法が広く採用されている。
特許文献1には、溶接鋼管の溶接部に内在する欠陥を高精度で検出可能な自動超音波探傷方法が開示されている。以下、この探傷方法を従来探傷方法という。この従来探傷方法は、アレイ型探触子との接触面を曲面状に形成したくさびを用い、複数の超音波探触子を1つのグループとする振動子群により超音波ビームを送受信し、前記グループを順次切り替えることによって、超音波ビームの屈折角度を変えて溶接部を走査し、前記切り替え毎に、前記グループの各超音波探触子の送受信に遅延時間を与えて、超音波ビームを溶接部の所定位置で集束させ被検査材を走査するものである。
特開2002−71648号公報
上述した従来探傷方法によれば、振動子グループの切り替え毎に、前記グループの各超音波探触子の送受信に遅延時間を与えて、超音波ビームを溶接部の所定位置で集束させることによって、溶接部に内在する欠陥を高精度で検出可能である。
しかしながら、溶接部の形状、寸法に基づき、溶接部を微小領域に分割し、各分割領域に超音波ビームを集束させ、かつ、移動可能なアレイ型探触子を用いた、いわゆる、セクタースキャン法であり、この方法は、以下に説明するように、全ての分割領域の探傷を行うものであるので、探傷に時間がかかるといった問題があった。以下、このセクタースキャン法を、図面を参照しながら簡単に説明する。
図6は、セクタースキャン法を示す図である。
図6に示すように、溶接鋼管1の溶接部2を複数領域に分割(この例では16分割)し、各領域毎にアレイ型探触子3からの超音波ビームを集束させて、管外表面から内表面に向って順次、精密探傷を16回行う。すなわち、16回パルスを発信することにより行う。しかしながら、この場合、管外表面から11番目の領域に疵(P)が内在しているので、10番目までの探傷は、疵が内在しないにもかかわらず精密探傷を行ったことになる。すなわち、セクタースキャン法は、分割した全ての領域を精密探傷するので、探傷時間が長くなる。
従って、この発明の目的は、高速探傷が可能で、しかも、微小欠陥の検出力が向上する自動超音波探傷方法および装置を提供することにある。
本願発明者等は、上記目的を達成するために鋭意、研究を重ねた結果、以下のような知見を得た。
マニュアル探傷では、受信される受信信号に基づいて健全と思われる部分は粗探傷し、疑わしい部分を精密探傷するのが一般的であり、これを自動探傷方法に適用できれば、高速探傷が可能となる。これを実行するには、まず、超音波ビームを集束させず、肉厚方向の被検査部全体に超音波ビームを当てる粗探傷を行って疵の有無を評価し、疵信号が受信されない場合には、次の未探傷部を同様に粗探傷し、例えば、この未探傷部の粗探傷で疵信号が受信された場合には、被検査材の肉厚方向の被検査部を複数領域に分割し、各分割領域に超音波ビームを集束させた精密探傷を行えば、疵が内在しない部分を探傷する回数が減り、即ち探傷に要する全体の発信パルス数を減らすことができるので高速探傷が可能となる。また、全体の発信パルス数を同じにした場合、より小さな領域に超音波ビームを集束した探傷をすることになり、微小欠陥の検出力が向上する。
この発明は、上述した知見に基づきなされたものであって、下記を特徴とするものである。
請求項1記載の発明は、被検査材にアレイ型探触子から超音波を当てて、前記被検査材の被検査部を粗探傷し、疵信号が受信されない場合には、次の未探傷被検査部を粗探傷し、疵信号が受信された場合には、前記被検査部を複数領域に分割し、各領域を精密探傷した後、疵信号が受信された領域をさらに複数領域に分割し、各領域をさらに精密探傷することを繰り返し行って、前記被検査部に内在する疵を検出することに特徴を有するものである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、被検査材は、溶接鋼管であり、被検査部は、前記溶接鋼管の溶接部であることに特徴を有するものである。
請求項3記載の発明は、被検査材の表面上に配置されるアレイ型探触子と、前記アレイ型探触子からの受信信号に基づいて疵の有無を評価する評価回路と、前記アレイ型探触子の各振動子の送信タイミングを制御することにより超音波ビームの集束パターンを制御する遅延回路と、制御手段とを備え、前記制御手段は、前記被検査材の被検査部の粗探傷を行うように前記遅延回路を制御し、この結果、前記評価回路が疵信号無しと評価した場合には、次の未探傷被検査部においても粗探傷を行うように前記遅延回路を制御し、前記評価回路が疵信号有りと評価した場合には、前記被検査部を複数領域に分割し、各領域を精密探傷するように前記遅延回路を制御し、各領域の探傷後、疵信号が受信された領域をさらに複数領域に分割し、各領域をさらに精密探傷するように前記遅延回路を制御することを繰り返し行うことに特徴を有するものである。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、被検査材は、溶接鋼管であり、被検査部は、前記溶接鋼管の溶接部であることに特徴を有するものである。
この発明によれば、以下のような効果が得られる。
(1)被検査材の肉厚方向の被検査部を粗探傷し、疵信号が受信されない場合には、次の未探傷被検査部を粗探傷し、疵信号が受信された場合には、被検査部を複数領域に分割し、各領域を精密探傷した後、疵信号が受信された領域をさらに複数領域に分割し、各領域をさらに精密探傷することを繰り返し行うことによって、セクタースキャン法に比べ、探傷に要する全体の発信パルス数を減らすことができるので、高速探傷が可能となる。
(2)また、全体の発信パルス数を同じにした場合、より小さな領域に超音波ビームを集束した探傷をすることになり、微小欠陥の検出力が向上する。
次に、この発明の自動超音波探傷方法の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
なお、この例は、被検査部としての溶接鋼管の溶接部に内在する疵を探傷するものであるが、シームレス鋼管、形鋼、厚鋼板等の被検査材に内在する疵の探傷にも適用可能である。
図1は、この発明の自動超音波探傷装置を示すブロック図、図2は、疵信号有無の評価基準を示す図、図3は、探傷順序を示す説明図、図4は、探傷順序を示す別の説明図、図5は、この発明の自動超音波探傷方法のフローチャートである。
図1において、1は、溶接鋼管、2は、溶接鋼管1の溶接部、3は、溶接鋼管1の外表面にセットされたアレイ型探触子、4は、アレイ型探触子3の振動子を励振させ、反射波を電気信号に変換する送受信回路、5は、アレイ型探触子3により受信された信号を加算し増幅する加算アンプ、6は、加算アンプ5からの受信信号に基づいて疵の有無を評価する評価回路、7は、アレイ型探触子3の各振動子の送信タイミングを制御することにより超音波ビームの集束パターンを制御する遅延回路、8は、制御手段である。
制御手段8は、まず、超音波ビームを集束させずに、溶接部2全体に超音波を当てて粗探傷を行うように遅延回路7を制御し、この結果、評価回路6が疵信号無しと評価した場合には、次の未探傷溶接部においても同様に粗探傷するように遅延回路7を制御し、評価回路6が疵信号有りと評価した場合には、溶接部2を複数領域に分割し、各領域に超音波ビームを集束させて各領域を精密探傷するように遅延回路7を制御し、各領域の探傷後、疵信号が受信された領域をさらに複数領域に分割し、各領域に超音波ビームを集束させて各領域をさらに精密探傷するように遅延回路7を制御する。
図3および図4を参照しながら、溶接部2を16(=24)分割して、管外表面から内表面に向かって11番目に疵が内在するとして、この発明の自動超音波探傷装置によって、疵が内在する領域を2分割して精密探傷を繰り返し行った場合の探傷例を説明する。なお、疵が内在する領域の分割数は2分割に限定されず、3分割以上であっても良い。
まず、アレイ型探触子3からの超音波ビームを集束させずに溶接部2全体に当てて粗探傷を行う。図3に第1回目のパルス発信による粗探傷の探傷領域を{で示し、図4(a)に粗探傷時の探傷領域の分割数と超音波が当てられる領域の管外表面からの番号(以下、領域番号とよぶ。)との関係を示す。図4で、探傷(X、Y)は、溶接部をX分割した場合の探傷領域が、領域番号Yの領域に超音波ビームの集束点をあてることを示す。
粗探傷の結果、疵信号無しと評価された場合には、次の未探傷溶接部を同様にして粗探傷する。この溶接部の粗探傷で疵信号有りと評価された場合には、溶接部2を2つの領域に分割し、各領域にそれぞれ超音波ビームを集束させて、それぞれ1次精密探傷する。
図3に、1次精密探傷である2回目および3回目のパルス発信の探傷領域を{で示し、図4(b)に1次精密探傷時の探傷領域の分割数と超音波が当てられる各領域番号との関係を示す。この結果、3回目に行った1次精密探傷で疵信号有りと評価されるので、3回目の溶接部2を2つの領域に分割し、各領域にそれぞれ超音波ビームを集束させて、それぞれ2次精密探傷する。
図3に、2次精密探傷である4回目および5回目のパルス発信の探傷領域を{で示し、図4(c)に2次精密探傷時の探傷領域の分割数と超音波が当てられる各領域番号を示す。この結果、4回目に行った2次精密探傷で疵信号有りと評価されるので、4回目の溶接部2を2つの領域に分割し、各領域にそれぞれ超音波ビームを集束させて、それぞれ3次精密探傷する。
図3に、3次精密探傷である6回目および7回目のパルス発信の探傷領域を{で示し、図4(d)に3次精密探傷時の探傷領域の分割数と超音波が当てられる各領域番号との関係を示す。この結果、7回目に行った3次精密探傷で疵信号有りと評価されるので、7回目の溶接部2を2つの領域に分割し、各領域をそれぞれ4次精密探傷(最終精密探傷)する。
図4(e)に最終精密探傷時の探傷領域の分割数と超音波が当てられる各領域番号との関係を示す。最終精密探傷時の探傷領域の分割数は、16であり、これが最小探傷領域となる。そして、9回目に行った最終精密探傷で領域番号11に疵があることが検出される。
このように、この発明によれば、9回のパルス発信で済むのに対して、従来のセクタースキャン法によれば、探傷結果に関係なく一定のパターンで探傷するため16回のパルス発信が必要となる。このように、この発明により、探傷回数が大幅に減少し、高速探傷が可能となる。
なお、上述の例は、溶接部に1つの疵が内在する場合であるが、2つ以上の疵が内在する場合も、この発明を適用することができる。例えば、上述した例で上下に2つ疵が内在することが粗探傷で検出された場合には、各溶接部に疵が内在するように溶接部を2分割し、各溶接部毎に、この発明を適用して探傷すれば良い。
疵信号有無の評価基準は、図2に示すように、溶接部2の分割数に応じて設定する。各々の分割数に応じた評価基準は、規格またはお客様仕様で要求された人工疵の寸法や工場の管理として決められた人工疵の寸法に基づき、予め人工疵が加工された対比試験片で各分割数に応じた超音波ビームを集束させ実験的に人工疵のエコー高さを求めておき決定する。
分割数が多くなるに従ってより小さな領域に超音波ビームを集束させるので、人工疵エコーは大きくなる。従って、ノイズによる誤検出を防止するために、評価基準は、このエコー高さに対して係数(a、b、c、・・・、ここでa<b<c<、・・・)を初期条件として設定して定義しておく必要がある。
このように、この発明は、従来のセクタースキャン法のように、全ての領域を精密探傷せず、健全と思われる部分は粗探傷し、疑わしい部分を精密探傷するので、高速探傷が可能となる。また、全体の発信パルス数を同じにした場合、より小さな領域に超音波ビームを集束した探傷をすることになり、微小欠陥の検出力が向上する。すなわち、被検査部を16分割するセクタースキャン法では16回のパルスの発信が必要であるが、疵信号を受信した後2つの領域に分割する本発明ならば、16分割までは9回のパルスの発信で済み、残り7回の発信パルス数の分、最小探傷領域がより小さな領域、すなわち被検査部を128分割した領域に超音波ビームを集束できるために、微小欠陥の検出力が向上する。
図5に、この発明の自動超音波探傷方法のフローチャートを示す。
図5のフローチャートは、粗探傷→1次精密探傷→2次精密探傷→m次精密探傷---→n次精密探傷(最終精密探傷)と探傷するシステムにおいて、次の精密探傷をする領域をS個に分割する場合を示す。
図5の中で、各記号の意味は、以下の通りである。
n:被検査部の全分割数。
A:被検査部の外表面からA番目の領域で、領域番号がAであることを示す。
i:0、1、2、---、S
探傷(X、Y):被検査部をX分割した場合の探傷領域が、領域番号Yの領域に超音波ビームの集束点をあてることを示す。
I:S個の分割領域の中で最もエコー高さの高い領域は何番目かを示す。
EH(X、Y):探傷範囲をX分割した場合のY番目のエコー高さを示す。
この発明によれば、分割数Snの場合、従来のセクタースキャン法と比べ、Sn/(Sn+1)倍の探傷速度以上が可能となる。例えば、S:2、n:4とした場合、この発明によれば、16/9倍の探傷速度が可能となる。
この発明の自動超音波探傷装置を示すブロック図である。 疵信号有無の評価基準を示す図である。 探傷順序を示す説明図である。 探傷順序を示す別の説明図である。 この発明の自動超音波探傷方法のフローチャートである。 セクタースキャン法を示す図である。
符号の説明
1:溶接鋼管
2:溶接部
3:アレイ型探触子
4:送受信回路
5:加算アンプ
6:評価回路
7:遅延回路
8:制御手段

Claims (4)

  1. 被検査材にアレイ型探触子から超音波を当てて、前記被検査材の被検査部を粗探傷し、疵信号が受信されない場合には、次の未探傷被検査部を粗探傷し、疵信号が受信された場合には、前記被検査部を複数領域に分割し、各領域を精密探傷した後、疵信号が受信された領域をさらに複数領域に分割し、各領域をさらに精密探傷することを繰り返し行って、前記被検査部に内在する疵を検出することを特徴とする自動超音波探傷方法。
  2. 前記被検査材は、溶接鋼管であり、前記被検査部は、前記溶接鋼管の溶接部であることを特徴とする、請求項1記載の自動超音波探傷方法。
  3. 被検査材の表面上に配置されるアレイ型探触子と、前記アレイ型探触子からの受信信号に基づいて疵の有無を評価する評価回路と、前記アレイ型探触子の各振動子の送信タイミングを制御することにより超音波ビームの集束パターンを制御する遅延回路と、制御手段とを備え、前記制御手段は、前記被検査材の被検査部の粗探傷を行うように前記遅延回路を制御し、この結果、前記評価回路が疵信号無しと評価した場合には、次の未探傷被検査部においても粗探傷を行うように前記遅延回路を制御し、前記評価回路が疵信号有りと評価した場合には、前記被検査部を複数領域に分割し、各領域を精密探傷するように前記遅延回路を制御し、各領域の探傷後、疵信号が受信された領域をさらに複数領域に分割し、各領域をさらに精密探傷するように前記遅延回路を制御することを繰り返し行うことを特徴とする自動超音波探傷装置。
  4. 前記被検査材は、溶接鋼管であり、前記被検査部は、前記溶接鋼管の溶接部であることを特徴とする、請求項3記載の自動超音波探傷装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011209100A (ja) * 2010-03-30 2011-10-20 Hitachi Ltd フェーズドアレイ超音波探傷方法
JP2016035399A (ja) * 2014-08-01 2016-03-17 三菱日立パワーシステムズ株式会社 耐熱部材の溶接部の余寿命検査方法
JP2017191114A (ja) * 2017-07-28 2017-10-19 三菱日立パワーシステムズ株式会社 配管のメンテナンス計画方法

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