JP2005257345A - 衣料品に付着したvocの高精度測定方法及びその装置 - Google Patents

衣料品に付着したvocの高精度測定方法及びその装置 Download PDF

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淳夫 野崎
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Abstract

【課題】 ハウスシック症候群において、最も対策が遅れている、衣料品に付着した、微量の揮発性有機化合物(VOC)を、オンラインで、高精度・高効率で測定分析・評価することを可能とする測定分析方法及びその装置を提供する。
【解決手段】 衣料品に付着した、微量のVOCを、高精度・高感度で再現性良く分離測定する方法であって、亜臨界ないし超臨界二酸化炭素流体を、衣料品と接触させてVOCを抽出し、次いで、回収したVOCを、クロマト分離、精密定性・定量分析することよりなる、衣料品に付着した微量のVOCの高精度測定分析方法、及びその装置。
【効果】VOCの発生量、発生特性の測定法、分析法、評価方法を確立し、人の健康への影響に基づいて、衣料品におけるVOCの許容基準、その規制の策定のために有用な、VOCの測定分析方法及びその装置を提供することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、衣料品に付着した微量のVOC(揮発性有機化合物、Volatile Organic Compounds)を高精度で測定し、分析する方法及びその装置に関するものであり、更に詳しくは、「衣料品」中に含まれるVOCを、亜臨界ないし超臨界二酸化炭素流体を利用して、抽出分離し、定性・定量分析することを特徴とする、VOCの、高精度測定分析方法及びその装置に関するものである。本発明は、VOCの精密測定方法及びその装置の技術分野において、近年、シックハウス症候群が、身近な環境問題となっていること、その解決は重要な社会的課題であり、その防止のための対応策を策定するためには、標準となるべきVOCの測定・評価技術の開発が不可欠であること、これまでに、シックハウス症候群を引き起こす要因として、主に建材等で使用されているホルムアルデヒド等のVOCが挙げられているが、「衣料品」の仕上げ加工、特殊加工等に使用された、ホルムアルデヒド等の揮発性有機化合物(VOC)もその原因の一つと推定されること、また、VOCに加えて、環境ホルモン物質も含まれる可能性もあり、そして、特に、衣料品は、人体に直接触れることがあるため、発生したVOCが少量であっても継続して人体に接し、また吸引されるため、人体への影響が懸念され、その解決法の開発が急務の課題として注目されていること等、を踏まえ、それらの諸問題を抜本的に解決することを可能とする、新しい技術を提供するものである。本発明は、このような、環境問題等を解決するための技術として、亜臨界ないし超臨界二酸化炭素を利用した、VOCの高精度測定分析方法及びその装置を提供し、特に、シックハウス症候群の対策の一環として、衣料品の客観的評価を可能にすると共に、当技術分野における標準試験法として使用することを可能とする、新規VOC測定分析技術を提供するものとして有用である。
現在の住環境において、特に、化学物質を含む建材や内装材を使用した住宅、ビル等の建築物の高気密化は、建材や内装材から雰囲気中に放散される種々の化学物質により、居住者や使用者等に体調不良等の種々の症状を生じさせている。これらの症状は、多種多様であり、その発症の原因については、未解決の部分が多く、種々の複合要因が考えられることから、通常、シックハウス症候群と呼ばれている。特に、合板接着剤等の建築用接着剤、衣服の糊料等に含まれるホルムアルデヒドは、その原因物質の一つに挙げられており、WHOによるその室内環境基準は、0.08ppm以下に厳しく規制されている。室内空気汚染の汚染源としては、例えば、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン、エチルベンゼン、スチレン、クロルピリホス、フタル酸ジ−n−ブチル等の種々の化学物質が挙げられている。これらの物質は、単独又は複合して、シックハウス症候群、化学物質過敏症等の原因となり、ヒトの体に深刻な影響を与えている。そのため、ガイドラインによりそれらの基準値が定められている。
トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン等の揮発性有機化合物については、個々の分析法が確立されているが、分析法が未だに確立されていない揮発性有機化合物も多数ある。ホルムアルデヒドの分析には、例えば、ホルムアルデヒドを吸着剤に吸着又は吸収剤に吸収させ、ガスクロマトグラフィー(GC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等の高度分析機器を使用して分析する方法、電極上でホルムアルデヒドを酸化し、酸化電位を測定する定電位電解法等の電気化学的分析法、アルカリ水溶液中で過酸化水素と没食子酸との共存下でホルムアルデヒドを酸化した際に発生するオレンジ色の光の発光強度を測定する化学発光法、等が知られている。そして、VOCの分析法は、例えば、文献等に詳細に説明がされている(例えば、特許文献1、2、3参照)。近年、汚染発生源としての建材、施工材等に関する化学物質発生量及び発生特性は、種々研究により解明されつつある。
一方、有害物を含有する家庭用品の規制に関する法律では、繊維製品に関して、例えば、防菌・防カビ剤のトリブチル錫化合物、防虫剤のディルドリン、樹脂加工剤のホルムアルデヒド、防炎加工剤のAPO等の化学物質が規制の対象となっており、その基準含有量が定められている。しかしながら、それらの有害物質類を高精度で測定分析する方法及びその装置については、未だ十分な検討がなされていないのが現状である。
繊維製品の中で、特に、「衣料品」において検出される、ホルムアルデヒド等のVOCは、その仕上げ加工、特殊加工に使用された化学物質が、その発生源として推定されている。衣料品では、VOCの蒸発場所が呼吸器に近接していることから、長期にわたる継続的なVOCの吸入による人の健康への影響が懸念される。したがって、衣料品については、室内のVOC汚染より厳密な対応が必要であり、高精度のVOC測定分析・評価技術の開発が急務であると思われる。すなわち、当技術分野においては、衣料品より発生する、ホルムアルデヒド等のVOCの発生量、及び発生特性の測定、分析、評価方法の確立及びVOC除去対策の開発、そして、人の健康への影響に基づく衣料品からのVOC発生許容基準、規制の策定等が急務の課題となっている。
今日、厚生労働省の室内空気汚染に関わるガイドラインでは、化学物質の採取方法、測定方法等が定められており、対象室内を5時間以上密閉、30分間の捕集管へ吸引採取、ホルムアルデヒドについてはDNPH誘導体化固相吸着、高速液体クロマトグラフ法、あるいは、その他のVOCは固相吸着/加熱脱着法、ガスクロマグラフ/質量分析法の組み合せにより測定されている。しかし、これらの、室内空気汚染の採取方法、測定分析方法をVOC等の測定に適用するには、「衣料品」に付着するVOC量の絶対量が特定できないこと、空気による吸引法によるVOCの分離に限界があり、微量分析の方法が未だ確立されていないこと、測定時間が長く、オンライン化が困難であること、等の多くの課題を有しており、当該技術分野では、それらの諸問題を解決することが要請されている。
特開2002−162322号公報 特開2003−202324号公報 特公表2001−509603号公報
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、「衣料品」に付着した微量のVOCを、客観的に評価するためのデータを得ることが可能な、測定分析方法又はその装置を開発することを目標として、鋭意研究を重ねた結果、亜臨界ないし超臨界二酸化炭素を抽出媒体として利用する新しいVOCの測定分析法及びその装置を開発することに成功し、本発明を完成するに至った。
本発明の目的は、「衣料品」に付着した、健康への影響が懸念される物質である、ホルムアルデヒド等のVOCの測定分析手法として、その標準試験に利用し得る、VOCの測定分析方法及びその装置を提供することである。また、本発明の目的は、「衣料品」に付着した微量のVOCについて、亜臨界ないし超臨界二酸化炭素流体を用いて、高精度に測定分析し、評価技術を提供することである。また、本発明の目的は、「衣料品」に付着した微量のVOCを対象とした、高精度・高効率のオンライン測定分析・評価方法及びその装置を提供することである。更に、本発明の目的は、VOCの発生量、及び発生特性の測定、分析、評価方法を確立し、人の健康への影響に基づく衣料品からのVOC発生特性許容基準、規制の策定のために有用なVOCの測定方法及びその装置を提供することである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)衣料品に付着した、微量の揮発性有機化合物(VOC)を高精度・高感度で再現性良く測定し、分析する方法であって、
(a)亜臨界ないし超臨界二酸化炭素流体を抽出媒体として使用し、それを衣料品と接触させVOCを抽出する、
(b)抽出されたVOCを含む抽出媒体を、吸着剤と接触させてVOCを吸着剤に吸着させて、濃縮した後、吸着剤からVOCを脱離させる、又は、上記VOCを含む抽出媒体を、溶媒と接触させてVOC成分を溶媒に移行させる、
(c)得られたVOC含有成分を、クロマト分離に供した後、定性・定量分析する、
(d)上記(a)〜(c)により、衣料品に付着した、微量のVOCを特定し、その量を分析・決定することを特徴とするVOC測定分析方法。
(2)抽出媒体の亜臨界ないし超臨界二酸化炭素流体を、連続的に流通させて抽出及び吸着操作を行うことを特徴とする上記(1)に記載のVOC測定分析方法。
(3)得られたVOC含有成分を、クロマト分離に供した後、得られた画分を質量分析(MS)することにより、定性・定量分析することを特徴とする上記(1)に記載のVOC測定分析方法。
(4)クロマト分離が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)及び/又は超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)であることを特徴とする上記(1)に記載のVOC測定分析方法。
(5)抽出されたVOCを含む抽出媒体中のVOC濃度を、オンラインでモニターすることを特徴とする上記(1)に記載のVOC測定分析方法。
(6)衣料品に付着した、微量の揮発性有機化合物(VOC)を、高精度・高感度に測定分析する装置であって、抽出媒体の亜臨界ないし超臨界二酸化炭素流体を連続的に流通可能に設置した抽出器とVOC吸着カラム、当該吸着カラムから脱離させたVOC含有成分をクロマト分離するクロマト分離手段、当該クロマト分離手段で分離した画分を定性・定量分析する手段、を具備することを特徴とするVOC測定分析装置。
(7)抽出媒体の亜臨界ないし超臨界二酸化炭素流体を、連続的に抽出器と吸着カラムに流通させる流通ラインを有することを特徴とする上記(6)に記載のVOC測定分析装置。
(8)クロマト分離手段が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)及び/又は超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)であることを特徴とする上記(6)に記載のVOC測定分析装置。
(9)クロマト分離手段で分画した画分を定性・定量分析する手段が、質量分析(MS)であることを特徴とする上記(6)に記載のVOC測定分析装置。
(10)抽出媒体中のVOC濃度をモニターするためのオンライン濃度モニター手段を有することを特徴とする上記(6)に記載のVOC測定分析装置。
次に、本発明について、更に詳細に説明する。
本発明は、我々の生活環境の中で、シックハウス症候群の原因となり得る化学物質の暴露に対して最も対策が遅れている、衣料品を対象とする、VOC測定分析・評価技術について、臨界ないし超臨界二酸化炭素流体及び吸着剤による分析技術を利用することにより、オンラインで、高精度・高効率でVOCを測定分析・評価方法することを特徴とするものである。
シックハウス症候群の多岐にわたる発生源の中でも、衣料品から発生するVOCに関しては、いくつかの化学物質について、法律により基準値が定められているものの、ほとんど研究されていないのが実情である。これらのVOCは、直接肌に触れるものであり、体温によってVOCの発生が促進される発生源となり得る。また、「衣料品」に付着したときには、呼吸域に近いため、「衣料品」に付着した微量のVOCは、住環境の規制基準濃度より低濃度で人体に悪影響を及ぼす可能性が高いことが容易に推察される。そして、衣料品から発生するVOCは、他の発生源に比べ、発生量が小さいため、高精度のVOC採取測定法が要求されるが、採取方法や測定方法の標準化が行われておらず、測定装置の開発についても未だ十分な検討が行われていないのが現状である。
そこで、本発明者らは、市販されている「衣料品」の中から、法規制対象外の製品で、呼吸域に近接して着用する上着について、その化学物質発生量を実験的に求めた。その結果を図2及び図3に示す。
VOCは、試験した11衣料品中6品から検出された。その検出割合は、脂肪族炭化水素が36.4%、芳香族炭化水素が27.33%、その他(未同定物質を含む)が36.45%であった。ハロゲン、テルペン、エステル、ケトン、及びアルコールは検出されなかった。ホルムアルデヒドは、11衣料品中5品から検出されたが、その濃度が定量下限値以下のVOCが多いという結果を得た。
このように、本発明者らの実験により、規制対象外の衣料品においても、VOCを含むことが明らかとなった。本発明は、衣料品中のVOCを、低濃度においても、高精度で、再現性良く、簡便に測定することができる標準試験方法及びその装置を提供すること、それにより、住環境の改善、シックハウス症候群の撲滅の基礎となり得る新しいVOCの測定技術を提供すること可能とするものである。
本発明は、衣料品中に含有されるVOCを測定するにあたり、亜臨界ないし超臨界二酸化炭素流体を抽出媒体として使用し、衣料品中のVOCを分離した後、それを定性・定量することを特徴とするものである。
本発明で、「衣料品」とは、繊維製品全般を意味し、具体的には、例えば、下着、寝衣、手袋、靴下、外衣、中衣、帽子、寝具、カーテン、床敷物等が例示されるが、これらに限定されるものではない。亜臨界ないし超臨界二酸化炭素流体は、液体並みの高密度と気体としての拡散性や粘度を持つ流体であり、有機物質の好適な溶媒としての性質を有しているが、本発明では、亜臨界ないし超臨界二酸化炭素は、VOCの抽出媒体として用いられる。本発明においては、亜臨界ないし超臨界二酸化炭素としては、5〜20MPa、10〜50℃の温度にある二酸化炭素が用いられる。
本発明における、揮発性有機化合物(VOC)とは、常温で揮発する有機化合物を意味し、例えば、沸点が約−19℃のホルムアルデヒド、及び、トルエン、キシレン、パラクロロベンゼン等の有機化合物であって、約50〜250℃の沸点を有する化合物が例示される。
本発明の、衣料品に付着した微量のVOCの高精度測定分析方法は、衣料品より、亜臨界ないし超臨界二酸化炭素流体によりVOCを抽出分離した後、続いて、これを高精度で定性・定量分析するものであって、基本的には、亜臨界ないし超臨界二酸化炭素流体の流通式によるVOCの抽出工程と、VOCの吸着カラムでの吸着及び濃縮工程、吸着カラムからのVOCの脱離工程、又は、VOCを溶媒へ移行させる工程、及びVOCの精密定性・定量分析工程から構成される。本発明の測定分析方法における、VOCの抽出分離には、例えば、試料となる衣料を充填する抽出器と、VOCの吸着カラムを設け、二酸化炭素抽出流体が、抽出器と、吸着カラムとを通して流通することができるように接続する方法が例示される。これらの、抽出器、吸着カラムは、好適には、例えば、オーブン中に収納され、全体が、抽出及び吸収に適した温度に保持される。
抽出器と吸着カラムとを接続する流通ラインには、二酸化炭素供給装置が接続され、そこから、所定の圧力を有する二酸化炭素流体が供給される。このとき、二酸化炭素に、例えば、極性有機溶媒等を混合することによって、抽出するVOCに応じて抽出溶媒の特性を変えることができる。抽出温度を、更に高精度で制御するには、好適には、例えば、流通ライン中に、抽出器、吸着カラムのそれぞれに、ヒーター等を含む温度調整装置が組み込まれる。抽出媒体中のVOCの濃度を検知するためには、例えば、流通ライン中に設けられた、近赤外線、紫外線等を用いたオンライン濃度モニターにより、抽出器から流出する二酸化炭素流体中のVOC濃度を監視する。衣料品中に含有される、VOCは、極微量であるが、本発明のVOC測定法は、高精度であるため、試料であるVOCは少量で十分であって、迅速に、連続して処理できる。
吸着カラムには、高効率のVOC吸着剤が充填される。二酸化炭素流体により抽出されたVOCは、その吸着剤に吸着され、濃縮される。吸着剤に吸着されたVOCは、脱離剤により吸着剤より脱離され、次の、定性・定量工程に供される。これらの吸着処理の代わりに、二酸化炭素流体により抽出されたVOCを溶媒に移行させて、VOC含有成分を得ることも可能である。
二酸化炭素流体により抽出されたVOC含有成分は、クロマト分離に供される。その場合、クロマト分離手段としては、特に限定されるものではないが、例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)、GA(ガスクロマトグラフィー)等が好適に用いられる。しかし、これらに制限されるものではない。
上記クロマト分離により回収したVOC画分は、その一部又は全部が、次の定性・定量分析工程に供される。この時の、精密定性・定量分析に用いる測定手段は、特に、限定されるものではなく、例えば、SFC(超臨界クロマトグラフィー)、(MS)質量分析器を組み合わせた定性・定量方法及び手段が好適なものとして例示される。
本発明は、「衣料品」に付着している、ホルムアルデヒド等の揮発性有機化合物を高精度に測定分析し、シックハウス症候群を防止するための対応に必要な測定分析・評価技術を開発する上で不可欠な、VOCの測定分析方法及びその装置において、「衣料品」に付着している微量のVOCを、亜臨界ないし超臨界二酸化炭素流体を利用して、抽出し、定性・定量分析することを可能とするものである。本発明によれば、測定対象となる、VOCの種類に影響されることはなく、VOCを定性・定量分析することができる。本発明は、衣料品中に含まれるVOCに基づく、シックハウス症候群の対策に強力な基礎技術を提供することが可能であり、VOCの測定技術分野における標準試験法として好適に使用し得る測定分析方法及びその装置を提供することを可能とするものである。
本発明は、衣料品に付着している微量のVOCを、亜臨界ないし超臨界二酸化炭素流体により抽出し、測定する新しいVOCの測定分析方法及びその装置に係るものであり、本発明により、(1)衣料品に付着している、ホルムアルデヒド等の微量のVOCを、高精度に測定し、分析し得る、VOCの測定分析方法及び装置を提供できる、(2)衣料品に付着した、微量のVOCを、亜臨界ないし超臨界二酸化炭素流体を用いて、高精度に、再現性良く、簡便に測定分析・評価することができる、(3)オンラインに適応した、高精度・高効率のVOCの測定分析・評価方法及びその装置を提供できる、(4)本発明の方法は、家庭環境における、VOCの発生量、及び発生特性の測定、分析、評価方法及びVOCの除去対策のために有用である、(5)人の健康への影響に基づき衣料品からのVOC許容基準、規制の策定、及び基礎研究に有用なVOCの測定方法及びその装置を提供できる、という格別な効果を奏する。
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
以下に、本発明の一実施例である、超臨界二酸化炭素による流通式抽出、吸着カラムでの濃縮、吸着カラムからの脱着、クロマトグラフィーによる分離、精密定性定量分析を順次組み合わせたシステムによる、衣料品に含有されるVOCの高精度測定システムについて説明する。
1.装置
所定の温度に温度制御可能なオーブン内に、抽出器及び吸着剤を充填した吸着カラムを設置した。これらの抽出器及び吸着カラムには、外部より流通ラインを介して連続的に所定の圧力及び温度に調整された、二酸化炭素流体を流通させるための、二酸化炭素流体供給手段を接続した。また、上記抽出器で抽出されたVOCを、吸着カラムに移送する過程で抽出物の濃度をモニターするためのオンライン濃度モニターを設置した。更に、当該吸着カラムに吸着・濃縮させたVOCを脱離させた後、当該VOCを分画するためのGPCカラム、分画したVOCをクロマト分離するためのSFCクロマト、精密定性・定量分析するためのMS分析装置を組み合わせて、図1に示したVOC測定・評価装置を構築した。
2.方法
高温高圧の本実施例のVOCの高精度測定方法は、基本的に、試料のVOCが付着している衣料品を抽出器に充填し、超臨界二酸化炭素流体(以下、二酸化炭素流体と記載することがある。)と試料を接触させて、試料中に含まれるVOCを二酸化炭素流体中に抽出する抽出工程、二酸化炭素流体中に抽出されたVOCを吸着カラムの吸着剤に吸着し、濃縮する吸着・濃縮工程、吸着カラムからVOCを脱離する脱離工程、及び、クロマト分離とMS分析を組み合わせ、VOCを定性・定量分析する精密定性・定量分析工程から構成される。
(1)抽出工程
温度制御が可能なオーブンにより、所定の温度に加熱可能に保持された抽出器に、所定の圧力及び温度に調整した二酸化炭素流体を連続的に流通させ、抽出器内を超臨界二酸化炭素流体で満たした。試料のVOCが付着している衣料品を、当該二酸化炭素流体と接触させて、試料中に含まれるVOCを二酸化炭素流体中に抽出した。この流通ラインには、加圧二酸化炭素を供給する手段、例えば、圧力制御装置及び二酸化炭素ボンベから、所定の圧力及び温度の二酸化炭素を供給した。また、流通ラインの抽出器出口側には、オンラインの濃度モニターを設け、オンラインで二酸化炭素流体中の抽出物の濃度を、近赤外線、又は紫外線の吸収量に基づいて監視した。
(2)吸着カラムによる吸着・濃縮工程
吸着カラム中に、吸着剤を収納し、二酸化炭素流体中に抽出されたVOCを、当該吸着カラム中の吸着剤に吸着させてVOCを濃縮した。
(3)吸着カラムからの脱離工程
吸着カラム中に、脱離剤を通過させることにより吸着されたVOCを、脱離した。それにより、吸着カラムからVOCを、脱離させた。
(4)クロマト分離工程
吸着カラムから、所定のVOCを分離するために、脱離させた抽出物を、GPCカラムに通し、VOC成分を分画した。分画されたVOCは、引き続き、次のSFC分析に供した。
(5)測定・評価工程
SFCにより分離採取されたVOCを、MS分析に供し、VOCの定性・定量分析を行った。これらの工程を、順次組み合わせることにより、衣料品に含まれているVOCを高精度で、測定することが可能となった。
以上詳述したように、本発明は、衣料品に付着しているVOCの高精度測定分析方法及びその装置に係るものであり、本発明は、シックハウス症候群を惹き起こす原因の一つとされている「衣料品」に付着した、ホルムアルデヒド等の揮発性有機化合物(VOC)についての基礎的なデータを採取することを可能とするものであり、シックハウス症候群の防止に資するものである。本発明は、VOCを、再現性良く、簡便に、高精度に測定分析する方法及びその装置を提供できるものであり、衣料品に付着しているVOCを、亜臨界ないし超臨界二酸化炭素流体を利用して、抽出し、定性・定量分析することを可能とするものである。
本発明によれば、測定対象となる、VOCの種類に影響されることなく、試料中に含まれる微量のVOCを定量することが可能である。本発明は、衣料品中に含まれるVOCの含有量等の測定値を基礎データとして、ハウスシックハウス症候群の要因を追求し、その対策を講じるための、強力な基礎的技術を提供することを可能とするものであり、VOCの測定技術分野における標準試験法として使用し得る測定分析方法及びその装置を提供するものとして有用である。
本発明のVOC測定装置の模式図を示す。 各種衣料品からのVOCの発生量を示す。 各種衣料品からのホルムアルデヒドの発生量を示す。

Claims (10)

  1. 衣料品に付着した、微量の揮発性有機化合物(VOC)を高精度・高感度で再現性良く測定し、分析する方法であって、
    (1)亜臨界ないし超臨界二酸化炭素流体を抽出媒体として使用し、それを衣料品と接触させVOCを抽出する、
    (2)抽出されたVOCを含む抽出媒体を、吸着剤と接触させてVOCを吸着剤に吸着させて、濃縮した後、吸着剤からVOCを脱離させる、又は、上記VOCを含む抽出媒体を、溶媒と接触させてVOC成分を溶媒に移行させる、
    (3)得られたVOC含有成分を、クロマト分離に供した後、定性・定量分析する、
    (4)上記(1)〜(3)により、衣料品に付着した、微量のVOCを特定し、その量を分析・決定することを特徴とするVOC測定分析方法。
  2. 抽出媒体の亜臨界ないし超臨界二酸化炭素流体を、連続的に流通させて抽出及び吸着操作を行うことを特徴とする請求項1に記載のVOC測定分析方法。
  3. 得られたVOC含有成分を、クロマト分離に供した後、得られた画分を質量分析(MS)することにより、定性・定量分析することを特徴とする請求項1に記載のVOC測定分析方法。
  4. クロマト分離が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)及び/又は超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)であることを特徴とする請求項1に記載のVOC測定分析方法。
  5. 抽出されたVOCを含む抽出媒体中のVOC濃度を、オンラインでモニターすることを特徴とする請求項1に記載のVOC測定分析方法。
  6. 衣料品に付着した、微量の揮発性有機化合物(VOC)を、高精度・高感度に測定分析する装置であって、抽出媒体の亜臨界ないし超臨界二酸化炭素流体を連続的に流通可能に設置した抽出器とVOC吸着カラム、当該吸着カラムから脱離させたVOC含有成分をクロマト分離するクロマト分離手段、当該クロマト分離手段で分離した画分を定性・定量分析する手段、を具備することを特徴とするVOC測定分析装置。
  7. 抽出媒体の亜臨界ないし超臨界二酸化炭素流体を、連続的に抽出器と吸着カラムに流通させる流通ラインを有することを特徴とする請求項6に記載のVOC測定分析装置。
  8. クロマト分離手段が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)及び/又は超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)であることを特徴とする請求項6に記載のVOC測定分析装置。
  9. クロマト分離手段で分画した画分を定性・定量分析する手段が、質量分析(MS)であることを特徴とする請求項6に記載のVOC測定分析装置。
  10. 抽出媒体中のVOC濃度をモニターするためのオンライン濃度モニター手段を有することを特徴とする請求項6に記載のVOC測定分析装置。
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