JP2005257287A - 放射線画像変換パネル及び放射線画像変換パネルの製造方法 - Google Patents

放射線画像変換パネル及び放射線画像変換パネルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 蒸着後の輝尽性蛍光体層の表面処理として、プラズマ処理による蒸着層のクラックが無く、X線耐久性も良好で、簡便かつ短時間で高感度特性が得られる放射線画像変換パネル及び放射線画像変換パネルの製造方法の提供。
【解決手段】 支持体(基板)上に、輝尽性蛍光体層が気相堆積型により設けられている蛍光体シートと該輝尽性蛍光体層の表面を被覆するように設けられる保護層を有する放射線画像変換パネルにおいて、該輝尽性蛍光体層の表面をプラズマ処理した後、該保護層を設けることを特徴とする放射線画像変換パネル。
【選択図】 なし

Description

本発明は、輝尽性蛍光体(以下、蛍光体ともいう)を有する放射線画像変換パネル及び放射線画像変換パネルの製造方法に関し、さらに詳しくは、感度が大きく改善された放射線画像変換パネル及び放射線画像変換パネルの製造方法に関するものである。
X線画像で代表される放射線画像は、病気診断用など多方面にわたり用いられている。このX線画像を得る方法としては、被写体を通過した放射線を、蛍光体層(蛍光スクリーンともいう)に照射し、蛍光体層で発生した可視光を、ハロゲン化銀写真感光材料(以下、感光材料ともいう)等に照射し、その後の現像処理を施して可視画像を得る、いわゆる放射線写真方式が主に利用されている。
しかしながら、近年では、ハロゲン化銀塩を有する感光材料による画像形成方法に代わり、蛍光体層から直接画像を取り出す新たな方法が提案されている。
上記画像形成方法としては、被写体を透過した放射線を蛍光体に吸収させ、しかる後この蛍光体を、例えば光または熱エネルギーで励起することにより、この蛍光体がX線の吸収により蓄積した放射線エネルギーを蛍光として放射し、この蛍光を検出し、画像化する画像形成方法である。具体的には、例えば、米国特許第3,859,527号及び特開昭55−12144号公報などに記載されているような輝尽性蛍光体を用いる放射線画像変換方法である。
この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線画像変換パネルを利用するもので、詳しくは、この放射線画像変換パネルの輝尽性蛍光体層に、被写体を透過した放射線を当て、被写体各部の放射線透過密度に対応する放射線エネルギーを蓄積させ、その後、輝尽性蛍光体を可視光線、赤外線などの電磁波(励起光)で時系列的に励起することにより、該輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギーを輝尽発光として放出させ、この光の強弱による信号を、例えば光電変換した電気信号として取り出し、この信号を感光材料などの既存の画像記録材料、或いはCRTなどに代表される画像表示装置上に可視像として再生する方法である。
上記の放射線画像記録の再生方法は、従来の放射線用感光材料と増感紙とを組み合わせて用いる放射線写真法による場合に比較して、はるかに少ない被曝線量で情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利点がある。
この技術に用いられる輝尽性蛍光体層の表面(支持体に面していない側の表面)には、通常、保護層が設けられており、蛍光体層を化学的な変質或いは物理的な衝撃から保護している。この保護層としては、セルロース誘導体やポリメチルメタクリレートの如き透明な有機高分子物質を適当な溶媒に溶解して調製した溶液を蛍光体層の上に塗布することで形成されたもの、或いはポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートのような有機高分子フィルムや透明なガラス板などの保護膜形成用シートないしはフィルムを別に製作して、これを蛍光体層の表面に適当な接着剤を用いて設けたもの、或いは無機化合物を蒸着などによって蛍光体層上に成膜したものなどが知られている。
このように輝尽性蛍光体は、放射線を照射した後、励起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体であるが、実用上では、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体が一般的に利用される。
従来より放射線画像変換パネルに用いられてきた輝尽性蛍光体の例としては、例えば、特開昭55−12145号、同55−160078号、同56−74175号、同56−116777号、同57−23673号、同57−23675号、同58−206678号、同59−27289号、同59−27980号、同59−56479号、同59−56480号等に記載の希土類元素賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体;特開昭59−75200号、同60−84381号、同60−106752号、同60−166379号、同60−221483号、同60−228592号、同60−228593号、同61−23679号、同61−120882号、同61−120883号、同61−120885号、同61−235486号、同61−235487号等に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体;特開昭59−12144号に記載の希土類元素賦活オキシハライド蛍光体;特開昭58−69281号に記載のセリウム賦活3価金属オキシハライド蛍光体;特開昭60−70484号に記載のビスマス賦活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体;特開昭60−141783号、同60−157100号に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロ燐酸塩蛍光体;特開昭60−157099号に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロ硼酸塩蛍光体;特開昭60−217354号に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属水素化ハロゲン化物蛍光体;特開昭61−21173号、同61−21182号に記載のセリウム賦活希土類複合ハロゲン化物蛍光体;特開昭61−40390号に記載のセリウム賦活希土類ハロ燐酸塩蛍光体;特開昭60−78151号に記載の2価のユーロピウム賦活ハロゲン化セリウム・ルビジウム蛍光体;特開昭60−78153号に記載の2価のユーロピウム賦活ハロゲン蛍光体;特開平7−233369号に記載の液相から析出させた14面体希土類金属賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体;等が知られている。
上記の輝尽性蛍光体のうちで、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する希土類元素賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、及びヨウ素を含有するビスマス賦活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体は、高輝度の輝尽発光を示す。
これらの輝尽性蛍光体を使用した放射線画像変換パネルは、放射線画像情報を蓄積した後、励起光の走査によって蓄積エネルギーを放出するので、走査後に再度放射線画像の蓄積を行うことができ、繰り返し使用できることが利点の一つである。すなわち、従来の放射線写真法では、一回の撮影ごとに放射線用感光材料を消費するのに対して、この放射線画像変換方法では、放射線画像変換パネルを繰り返し使用するので、資源保護、経済効率の面からも有利である。
上述したように、放射線画像記録再生方法は数々の優れた利点を有する方法であるが、この方法に用いられる放射線画像変換パネルにあっても、できる限り高感度でかつ画質(鮮鋭度、粒状性など)の良い画像を与えるものであることが望まれている。
放射線画像変換パネルについては、は真空蒸着等の気相堆積法により蛍光層から結着剤を取除いたパネルおよびその製造方法が提案されている。これによれば、パネルの蛍光層が結着剤を含有しないので蛍光層の充填率が著しく向上すると共に蛍光層中での輝尽励起光および輝尽発光の指向性が向上し、パネルの放射線に対する感度と画像の粒状性が改善されると同時に画像の鮮鋭性も改善される。(例えば、特許文献1を参照)
前記の結着剤を含有しないパネルはスパッタ法、CVD法、蒸着法等種々の気相堆積方法で製造可能であるが、製造コスト等を考慮すると蒸着法が最も好ましい方法と言える。
前述のような高画質が求められる輝尽性蛍光体層が気相堆積型により設けられる放射線画像変換パネルにおいては、熱処理によって特性、特に感度が高くなることが広く知られている。(例えば、特許文献2を参照)
しかし、高温処理のために蒸着層である輝尽性蛍光体層の熱膨張や蒸着層と基板との熱膨張率差や熱応答性(比熱)の違いのために蒸着層のクラック(微細な亀裂)、基板との剥離や付着力低下などの問題を起こしやすいという欠点をかかえており、これらの問題の対処法としては熱処理温度の低音化と長時間化、熱処理温度すなわち最高到達温度へ時間をかけてゆっくり加熱、または、最高到達温度から室温に戻す際もゆっくり冷却するなどの非生産的なプロセス等が必要であり、これらの問題を解消した放射線画像変換パネルが望まれていた。また、加熱処理(シーズニング)すると、X線耐久性が劣る(X線劣化)という問題も生じた。
特開昭61−73100号公報 特公平7−18959号公報
従って本発明の目的は、蒸着後の輝尽性蛍光体層の表面処理として、プラズマ処理による蒸着層のクラックが無く、X線耐久性も良好で、簡便かつ短時間で高感度特性が得られる放射線画像変換パネル及び放射線画像変換パネルの製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は以下の手段により達成される。
(請求項1)
支持体(基板)上に、輝尽性蛍光体層が気相堆積型により設けられている蛍光体シートと該輝尽性蛍光体層の表面を被覆するように設けられる保護層を有する放射線画像変換パネルにおいて、該輝尽性蛍光体層の表面をプラズマ処理した後、該保護層を設けることを特徴とする放射線画像変換パネル。
(請求項2)
前記保護層が励起光を吸収するように着色された励起光吸収層を有していることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像変換パネル。
(請求項3)
所定の大きさに断裁された前記蛍光体シートと、該蛍光体シートの全表面を被覆するように、該蛍光体シートの上下に防湿性保護フィルムを有し、該防湿性保護フィルムは該蛍光体シートに接する面に蛍光体シートとは接着しておらず、かつ、蛍光体シートの周縁より外側にある領域に於いて該防湿性保護フィルムが互いに接着していることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線画像変換パネル。
(請求項4)
支持体(基板)上に輝尽性蛍光体層を気相堆積法により設ける蛍光体シートの輝尽性蛍光体層の蒸着後にプラズマ処理を行い、更に該蛍光体シートと該輝尽性蛍光体層の表面を被覆するように設けられる保護層を有する放射線画像変換パネルの製造方法において、該輝尽性蛍光体層の表面をプラズマ処理した後、該保護層を設けることを特徴とする放射線画像変換パネルの製造方法。
本発明における放射線画像変換パネル及び放射線画像変換パネルの製造方法は、高感度を有し、クラックが無く、X線耐久性にも優れ、画像と基板との接着性に優れた放射線画像を形成することができ優れた効果を有する。
次に本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
本発明のプラズマ処理のプラズマは気体分子が励起され、電離(分子がイオンと電子に分離すること)状態が発生し、正電荷を帯びたイオンと負電荷を帯びた電子の集団が形成される状態をいう。
プラズマは高いエネルギーを持ち、反応性が非常に高い状態にあるため、物質の表面と反応を起こしやすく、この特性から様々な目的に活用されている。具体的には各種プラズマ発生装置を用いることによって、エッチングやクリーニング等の処理がドライに簡便かつ迅速に可能である点で有用な手段である。
即ち、本発明者は鋭意検討した結果、作用機構等の詳細は不明であるが、本発明の気相堆積法による蒸着後に支持体(基板)上に形成された輝尽性蛍光体層の表面を、プラズマ処理後、保護層を設けることにより、本発明の目的を達成できる放射線画像変換パネル及びその製造方法を見出したのである。
本発明の保護層に用いるフィルムは防湿性が付与されていることが好ましく、保護層フィルムの基体となる樹脂フィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリメタクリレートフィルム、ニトロセルロースフィルム、セルロースアセテートフィルム等が使用でき、ポリプロピレンフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等のフィルムが、透明性、強さの面で保護フィルムとして好ましく、フッ素系樹脂含有樹脂組成物層としては、フッ素を含むオレフィン(フルオロオレフィン)の重合体またはフッ素を含むオレフィンを共重合体成分として含む共重合体が耐傷性の面で好ましい。
本発明の保護層は、前記セルロース誘導体やポリメチルメタクリレートなどのような透明な有機高分子物質、或いはポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートなどの有機高分子フィルムを、前記静電誘導防止効果を有する層を形成させ積層フィルムとし、必要とされる搬送耐久性にあわせた厚さで蛍光体層上に形成すればよいが、強度の点から有機高分子フィルムの方が好ましく、必要に応じてフッ素系樹脂含有樹脂組成物層を塗設することができる。
請求項2の発明は、蛍光体シートの全表面を被覆するように、該蛍光体シートの上下に防湿性保護フィルムを有し、該防湿性保護フィルムが該蛍光体シートに接する面は、蛍光体シートとは接着しておらず、かつ、蛍光体シートの周縁より外側にある領域に於いて該防湿性保護フィルムが互いに接着していることを特徴としている。
図1は本発明の放射線画像変換パネルの基本的な構成の一例を示す概略図である。所定の大きさに断裁された、支持体上に輝尽性蛍光体層が設けられている蛍光体シートへの水分の進入をより確実に低減するためには、蛍光体シートの上下の防湿性保護フィルムの周縁が前記蛍光体シートの周縁より外側にあり、蛍光体シートの周縁部より外側の領域で該上下の防湿性保護フィルムが融着或いは接着剤により接着している封止構造(図1)とすることで、蛍光体シートの外周部からの水分進入も阻止できる。
図1において、11は輝尽性蛍光体層(気相堆積型)を表し、12は支持体である。支持体は例えば、結晶化ガラス等が挙げられる。13、14は防湿性保護フィルムを表し、13が蛍光体面、14が蛍光体面裏面の防湿性保護フィルムである。
また、この封止構造を実現するにあたって、該蛍光体面側の防湿性保護フィルムの蛍光体シートに接する側の最外層の樹脂層を、熱融着性を有する樹脂とすることにより、蛍光体シートの周縁部より外側の領域で、該上下の防湿性保護フィルムが融着可能となり封止作業を効率化できる。
ここでいう熱融着性フィルムとは、一般に使用されるインパルスシーラーで融着可能な樹脂フィルムのことで、例えばエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)やポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム等が挙げられるが、本発明はこれに限られるものではない。
本発明の保護層に好ましく用いられるフィルムとして、前記融着フィルムを使用する場合は、必要とされる防湿性にあわせて融着フィルムを複数枚積層することにより最適な防湿性とすることができる。この場合の積層方法としては、一般に知られているどのような方法でもかまわないが、望ましくは、ドライラミネート方式が作業性の面で優れている。
これら前記保護層を有する蛍光体層とは反対側になる外側の表面はマット化されており、該保護層の表面粗さの平均傾斜角Δaが0.01〜0.1であることが放射線画像変換パネルにおいては、更に好ましい。
ここでいう表面粗さの平均傾斜角Δaとは、JIS−B−0601(1998)による算術平均傾斜角Δaのことである。
また保護層のフィルムの表面の表面粗さの平均傾斜角Δaを大きくするためには、保護層のフィルム表面にシリカ等の無機物を分散したフッ素系樹脂含有樹脂組成物層液を塗設する方法や、前記フィルムを複数枚積層する方法において、最表面の樹脂フィルム種を選択する方法等があるが、本発明はこれに限られるものではない。
各種表面形状の樹脂フィルムは広く市場に出回っており、必要とされる平均傾斜角Δaを有するフィルムを選択することは容易である。
ポリプロピレンフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等のフィルムは、強さの面で保護フィルムとして優れた物性を有するにも関わらず、屈折率が大であるために、保護フィルム内部に入射した励起光の一部がフィルムの上下の界面で繰り返し反射して、走査された場所から離れた場所まで伝搬し、輝尽発光を放出させ鮮鋭性が低下する。また、保護フィルムの上下の界面で蛍光体層表面と反対方向に反射された励起光も光検出装置間や周辺部材で再反射して、走査された場所からさらに遠く離れた場所の輝尽性蛍光体層を励起させ輝尽発光を放出させるため、これによりさらに鮮鋭性が低下する。励起光は赤から赤外の長波長のコヒーレントな光であるために、積極的に散乱光や反射光を吸収しない限り、保護フィルム内部や読み取り装置内部の空間で吸収される量は少なく、離れた場所まで伝搬し鮮鋭性を悪化する。
このため、この散乱光や反射光を抑制する効果があると推測される励起光吸収層を設けることが好ましい。
励起光吸収層とは、励起光を選択的に吸収する着色剤を含有する層のことであって、後述する様に、これらの層が、前記保護フィルムの一方の面に塗設されてあってもよいし、両面に塗設されてあってもよいし、或いは保護フィルム自体が着色され励起光吸収層となっていてもよい。
また本発明によりポリプロピレンフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等のフィルムを保護層の構成要素として使用した場合も、被写体の放射線画像以外の濃淡すなわち画像ムラや、保護フィルムの製造工程中に起因すると思われる線状のノイズ等が減少する。
この効果は平均傾斜角Δaが0.01以上であることによって顕著となる。
この値付近の傾斜角Δaで、保護層(保護フィルム)界面での励起光の全反射が防止されると推測されるが、励起光吸収層が保護フィルムに備わっていない場合はこの効果は小さいことから、上記効果は励起光吸収層の散乱防止効果と、表面粗さの平均傾斜角Δaの全反射防止の相乗効果であると推測される。
本発明により、保護層材料として求められる耐水性や防湿性、耐溶剤性を損なうことなく、耐熱性の高い保護フィルムを、画質を劣化させることなく必要な厚みで使用できるようになるため、長期にわたる耐熱性に優れた放射線画像変換パネルの実現が可能となった。
保護フィルムに樹脂フィルムを使用する場合、必要とされる耐傷性や防湿性にあわせて、樹脂フィルムや樹脂フィルムに金属酸化物などを蒸着した蒸着フィルムを複数枚積層した構成とすることができる。
また、上記のようにフィルムを複数枚積層する場合、さらに積層された樹脂フィルム間に励起光吸収層を設けることによって、励起光吸収層が物理的な衝撃や化学的な変質から保護され、安定したプレート性能が長期間維持できより好ましい。励起光吸収層は複数箇所に設けてもよいし、樹脂フィルムを積層するための接着層に着色剤を含有させ励起光吸収層としてもよい。
保護フィルムと蛍光体シートを接着するに際しては、既知のどのような方法でもかまわないが、保護フィルムの蛍光体シートに接する側に予め接着剤(熱融着性を有する樹脂)を塗設しておき、熱ローラ等で熱融着する方法が作業的にも簡単である。
保護フィルムの表面形状は、使用する樹脂フィルムを選択することや、樹脂フィルム表面に無機物等を含んだ塗膜を塗設することで容易に調整できる。また、この塗膜を着色し、励起光吸収層とすることも可能である。さらに近年では任意の表面形状の樹脂フィルムは容易に入手可能である。
前述のように、励起光吸収層放射線画像変換パネルの保護フィルムを着色し、散乱光や反射光を抑制し、鮮鋭性を向上させる方法については、特公昭59−23400号に、放射線画像変換パネルを構成する支持体、下引層、蛍光体層、中間層、保護層の各層が着色された場合の種々の実施形態の一例として記載されている。
本発明において放射線画像変換パネルの保護層に好ましく使用される着色剤としては、該放射線画像変換パネルの励起光を吸収する特性を有する色剤が好ましく用いられる。
好ましくは、保護フィルムの励起光波長における光透過率が、該励起光吸収層を有しないことだけが異なる該保護フィルムの光透過率の98%〜50%(例えば、He−Neレーザー光(633nm))となるように励起光吸収層を設けることである。光透過率が98%を超えると本発明の効果は小さく、50%未満では放射線画像変換パネルの輝度が急激に低下してくる。
いかなる着色剤を用いるかは放射線画像変換パネルに用いる輝尽性蛍光体の種類によって決まるが、放射線画像変換パネル用の輝尽性蛍光体としては、通常、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体が用いられる。このため、着色剤としては通常、青色〜緑色の有機系もしくは無機系の着色剤が用いられる。
青色〜緑色の有機系着色剤の例としては、ザボンファーストブルー3G(ヘキスト社製)、エストロールブリルブルーN−3RL(住友化学社製)、スミアクリルブルーF−GSL(住友化学社製)、D&CブルーNo.1(ナショナル・アニリン社製)、スピリットブルー(保土谷化学社製)、オイルブルーNo.603(オリエント社製)、キトンブルーA(チバ・ガイギー社製)、アイゼンカチロンブルーGLH(保土谷化学社製)、レイクブルーA、F、H(協和産業社製)、ローダリンブルー6GX(協和産業社製)、ブリモシアニン6GX(稲畑産業社製)、ブリルアシッドグリーン6BH(保土谷化学社製)、シアニンブルーBNRS(東洋インキ社製)、ライオノルブルーSL(東洋インキ社製)が挙げられる。青色〜緑色の無機系着色剤の例としては、群青、コバルトブルー、セルリアンブルー、酸化クロム、TiO2−ZnO−CoO−NiO系顔料が挙げられるがこれらに限られるものではない。
(蛍光体シート)
次いで、前記保護フィルムにより被覆することにより放射線画像変換パネルを構成する前記蛍光体シートについて説明する。
本発明の放射線画像変換パネルにおいて、蛍光体シートに用いられる支持体としては、各種高分子材料が用いられる。特に情報記録材料としての取り扱い上、可撓性のあるシート或いはウェブに加工できるものが好適であり、この点からいえばセルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルムが好ましい。
また、これら支持体の厚みは用いる支持体の材質等によって異なるが、一般的には80μm〜1000μmであり、取り扱い上の点から、さらに好ましくは80μm〜500μmである。
これらの支持体の表面は滑面であってもよいし、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的でマット面としてもよい。
さらに、これら支持体は、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的で輝尽性蛍光体層が設けられる面に下引層を設けてもよい。
(気相堆積型の輝尽性蛍光体層)
気相堆積型の輝尽性蛍光体層を形成する輝尽性蛍光体としては、例えば特開昭61−236890号に記載されている二価ユーロピウム賦活複合ハロゲン化物蛍光体等があり、例えば、ヨウ素を含有する希土類元素賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、特には輝尽性蛍光体がEu付加BaFI化合物等が挙げられるが、本発明の放射線画像変換パネルに好ましく用いられる輝尽性蛍光体としては、例えば、特開昭48−80487号に記載されているBaSO4:Axで表される蛍光体、特開昭48−80488号記載のMgSO4:Axで表される蛍光体、特開昭48−80489号に記載されているSrSO4:Axで表される蛍光体、特開昭51−29889号に記載されているNa2SO4、CaSO4及びBaSO4等にMn、Dy及びTbの中少なくとも1種を添加した蛍光体、特開昭52−30487号に記載されているBeO、LiF、MgSO4及びCaF2等の蛍光体、特開昭53−39277号に記載されているLi247:Cu,Ag等の蛍光体、特開昭54−47883号に記載されているLi2O・(Be22)x:Cu,Ag等の蛍光体、米国特許第3,859,527号に記載されているSrS:Ce,Sm、SrS:Eu,Sm、La22S:Eu,Sm及び(Zn,Cd)S:Mnxで表される蛍光体があげられる。又、特開昭55−12142号に記載されているZnS:Cu,Pb蛍光体、一般式がBaO・xAl23:Euであげられるアルミン酸バリウム蛍光体、及び、一般式がM(II)O・xSiO2:Aで表されるアルカリ土類金属珪酸塩系蛍光体があげられる。
又、特開昭55−12143号に記載されている一般式が(Ba1xyMgxCay)Fx:Eu2+で表されるアルカリ土類フッ化ハロゲン化物蛍光体、特開昭55−12144号に記載されている一般式がLnOX:xAで表される蛍光体、特開昭55−12145号に記載されている一般式が(Ba1xM(II)x)Fx:yAで表される蛍光体、特開昭55−84389号に記載されている一般式がBaFX:xCe,yAで表される蛍光体、特開昭55−160078号に記載されている一般式がM(II)FX・xA:yLnで表される希土類元素賦活二価金属フルオロハライド蛍光体、一般式ZnS:A、CdS:A、(Zn,Cd)S:A,Xで表される蛍光体、特開昭59−38278号に記載されている下記いずれかの一般式
xM3(PO42・NX2:yA
xM3(PO42:yA
で表される蛍光体、特開昭59−155487号に記載されている下記いずれかの一般式
nReX3・mAX′2:xEu
nReX3・mAX′2:xEu,ySm
で表される蛍光体等、又、特開昭61−228400号に記載されている一般式M(I)X:xBiで表されるビスマス賦活アルカリハライド蛍光体等が好ましいのものとしてあげられる。
しかしながら、特開昭61−72087号、特開平2−58000号等に記載されたような、下記一般式(1)で表されるアルカリハライド系輝尽性蛍光体が特に好ましい。
一般式(1)
1X・aM2X′2・bM3X″3:eA
式中、M1はLi,Na,K,Rb及びCsから選ばれる少なくとも1種の1価のアルカリ金属原子であり、M2はBe,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd,Cu及びNiから選ばれる少なくとも1種の2価の金属原子であり、M3はSc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Al,Ga及びInから選ばれる少なくとも1種の3価の金属原子であり、X,X′及びX″はF,Cl,Br及びIから選ばれる少なくとも1種のハロゲン原子であり、AはEu,Tb,In,Ga,Cs,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,Yb,Er,Gd,Lu,Sm,Y,Tl,Na,Ag,Cu及びMgから選ばれる少なくとも1種の金属原子であり、又、a,b及びeは、それぞれ0≦a<0.5,0≦b<0.5,0<e≦0.2の範囲の数値を表す。
上記一般式(1)において、M1はK、RbおよびCsから選ばれる少なくとも1種の1価の金属原子であることが好ましく、XはBrおよびIから選ばれる少なくとも1種のハロゲン原子であることが好ましい。
また、M2はBe、Mg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種の2価の金属原子であることが好ましく、M3はY、Ce、Sm、Eu、Al、La、Gd、Lu、GaおよびInから選ばれる少なくとも1種の金属原子であることが好ましい。更に、bとしては0≦b≦0.01であることが好ましく、AはEu、Cs、Sm、TlおよびNaから選ばれる少なくとも1種の原子であることが好ましい。
これらのアルカリハライド系輝尽性蛍光体は気相堆積法により基板上に成膜することで、基板の法線方向に対し一定の傾きをもった(勿論、傾きがなく、基板面に対して垂直でもよいが)細長い柱状結晶を形成する。この様な柱状結晶の形成により、輝尽励起光(又輝尽発光)の横方向への拡散を抑えることができるため、輝尽発光による画像の鮮鋭性がよいことがこれらの蛍光体を用いたときの特徴である。アルカリハライド系輝尽性蛍光体のなかでもRbBr及びCsBr系蛍光体が高輝度、高画質であり好ましい。
本発明において、特に好ましいのはこれらの中でも下記一般式(2)で表される蛍光体である。
一般式(2)
CsX:A
式中、XはBr又はIを表し、AはEu,In,Ga又はCeを表す。
中でもCsBr系蛍光体が特に輝度が高く高画質であり、また本発明の製造方法による基板或いは基板との付着性(接着性)の向上効果も高く好ましい。
本発明において好ましい、これらの輝尽性蛍光体を用いて得られる柱状結晶、即ち各々の結晶がある間隙をおいて柱状に成長している結晶は、前記、特開平2−58000号に記載された方法により得ることができる。
即ち、基板上に輝尽性蛍光体の蒸気又は該原料を供給し、蒸着等の気相成長(堆積)させる方法によって独立した細長い柱状結晶からなる輝尽性蛍光体層を得ることができる。
例えば、蒸着時の輝尽性蛍光体の蒸気流を基板に垂直な方向に対し0〜5度の範囲で入射させることにより、基板面に対してほぼ垂直柱状の結晶を得ることが出来る。
これらの場合において、基板と坩堝との最短部の間隔は輝尽性蛍光体の平均飛程に合わせて概ね10cm〜60cmに設置するのが適当である。
蒸発源となる輝尽性蛍光体は、均一に溶解させるか、プレス、ホットプレスによって成形して坩堝に仕込まれる。この際、脱ガス処理を行うことが好ましい。蒸発源から輝尽性蛍光体を蒸発させる方法は電子銃により発した電子ビームの走査により行われるが、これ以外の方法にて蒸発させることもできる。
また、蒸発源は必ずしも輝尽性蛍光体である必要はなく、輝尽性蛍光体原料を混和したものであってもよい。
また、賦活剤は母体(basic substance)に対して賦活剤(actibator)を混合したものを蒸着してもよいし、母体のみを蒸着した後、あとから賦活剤をドープしてもよい。例えば、母体をCsBrとした場合、CsBrのみを蒸着した後、例えば賦活剤であるInをドープしてもよい。即ち、結晶が独立しているため、膜が厚くとも充分にドープ可能であるし、結晶成長が起こりにくいので、変調伝達関数(MTF)は低下しないからである。
ドーピングは形成された蛍光体の母体層中にドーピング剤(賦活剤)を熱拡散、イオン注入法によって行うことが出来る。
(蛍光体層厚み、結晶の大きさ等)
これらの方法により形成した柱状結晶からなる輝尽性蛍光体層の層厚は目的とする放射線画像変換パネルの放射線に対する感度、輝尽性蛍光体の種類等によって異なるが、50μm〜1000μmの範囲が好ましく、50μm〜800μmがより好ましい。
これらの柱状結晶からなる輝尽性蛍光体層において変調伝達関数(以下、単にMTFともいう)をよくするためには、柱状結晶の大きさ(柱状結晶を基板と平行な面から観察したときの各柱状結晶の断面積の円換算した直径の平均値であり、少なくとも100個以上の柱状結晶を視野中に含む顕微鏡写真から計算する)は0.5〜50μm程度がよく、更に好ましくは、0.5〜20μmである。即ち、柱状結晶が0.5μmより細い場合は、柱状結晶により輝尽励起光が散乱される為にMTFが低下するし、柱状結晶が50μm以上の場合も輝尽励起光の指向性が低下し、MTFは低下する。
該輝尽性蛍光体を気相成長(堆積)させる方法としては蒸着法、スパッタ法及びCVD法がある。
蒸着法は基板(支持体)を蒸着装置内に設置したのち、装置内を排気すると同時に窒素等の不活性なガスを導入口から導入して1.333Pa〜1.33×10-3Pa程度の真空とし、次いで、輝尽性蛍光体の少なくとも1つを抵抗加熱法、エレクトロンビーム法などの方法で加熱蒸発させて支持体表面に輝尽性蛍光体を所望の厚みに堆積させる。この結果、結着剤を含有しない輝尽性蛍光体層が形成されるが、前記蒸着工程では複数回に分けて輝尽性蛍光体層を形成することも可能である。
また、前記蒸着工程では複数の抵抗加熱器或いはエレクトロンビームを用いて蒸着を行うことも可能である。また蒸着法においては、輝尽性蛍光体原料を複数の抵抗加熱器或いはエレクトロンビームを用いて蒸着し、支持体上で目的とする輝尽性蛍光体を合成すると同時に輝尽性蛍光体層を形成することも可能である。更に蒸着法においては、蒸着時に必要に応じて基板(支持体)を冷却或いは加熱してもよい。また、蒸着終了後、輝尽性蛍光体層を加熱処理してもよい。
スパッタ法は前記蒸着法と同様に基板をスパッタ装置内に設置した後、装置内を一旦排気して真空とし、次いでスパッタ用のガスとしてAr、Ne等の不活性ガスを装置内に導入して1.33Pa〜1.33×10-3Pa程度のガス圧とする。次に、前記輝尽性蛍光体をターゲットとして、スパッタリングすることにより基板表面に輝尽性蛍光体を所望の厚さに堆積させる。このスパッタ工程では蒸着法と同様に複数回に分けて輝尽性蛍光体層を形成することも可能であるし、それぞれを用いて同時或いは順次、前記ターゲットをスパッタリングして輝尽性蛍光体層を形成することも可能である。また、スパッタ法では、複数の輝尽性蛍光体原料をターゲットとして用い、これを同時或いは順次スパッタリングして、基板上で目的とする輝尽性蛍光体層を形成する事も可能であるし、必要に応じてO2、H2等のガスを導入して反応性スパッタを行ってもよい。更に、スパッタ法においては、スパッタ時必要に応じて基板を冷却或いは加熱してもよい。また、スパッタ終了後に輝尽性蛍光体層を加熱処理してもよい。
CVD法は目的とする輝尽性蛍光体或いは輝尽性蛍光体原料を含有する有機金属化合物を熱、高周波電力等のエネルギーで分解することにより、基板上に結着剤を含有しない輝尽性蛍光体層を得るものであり、いずれも輝尽性蛍光体層を基板の法線方向に対して特定の傾きをもって独立した細長い柱状結晶に気相成長させることが可能である。
これらの柱状結晶は前記の通り特開平2−58000号に記載された方法、即ち、基板上に輝尽性蛍光体の蒸気又は該原料を供給し、蒸着等の気相成長(堆積)させる方法で得ることができる。
図2は本発明に用いられる気相堆積(蒸着)装置の一例及び該気相堆積装置を用いて支持体12上に輝尽性蛍光体層が蒸着により形成される様子を示す図である。11は形成される輝尽性蛍光体柱状結晶からなる輝尽性蛍光体層を模式的に表している。輝尽性蛍光体の蒸気流Vの基板面の法線方向(P)に対する入射角度をθ2とすると、形成される柱状結晶の基板面の法線方向(P)に対する角度はθ1で表される。入射角度θ2に依存して一定の角度θ1で柱状結晶が形成される。形成された柱状結晶の角度は、輝尽性蛍光体材料によってそれぞれ異なり、例えば、アルカリハライド系蛍光体のうち、本発明において特に好ましいCsBr系蛍光体の場合には、例えば、蒸着時の輝尽性蛍光体の蒸気流を基板に垂直な方向に対し0〜5度の範囲で入射させる(即ちθ2が0〜5度)ことにより、基板面に対してほぼ垂直柱状(θ1がほぼ0度)の結晶を得ることが出来る。
この様にして基板上に形成した輝尽性蛍光体層11は、結着剤を含有していないので、指向性に優れており、輝尽励起光及び輝尽発光の指向性が高く、輝尽性蛍光体を結着剤中に分散した分散型の輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルより層厚を厚くすることができる。更に輝尽励起光の輝尽性蛍光体層中での散乱が減少することで像の鮮鋭性が向上する。
又、柱状結晶間の間隙に結着剤等充填物を充填してもよく、輝尽性蛍光体層の補強となる。又高光吸収率の物質、高光反射率の物質等を充填してもよい。これにより前記補強効果をもたせるほか、輝尽性蛍光体層に入射した輝尽励起光の横方向への光拡散をほぼ完全に防止できる。
高光反射率の物質とは、輝尽励起光(500〜900nm、特に600〜800nm)に対する反射率の高いものをいい、例えばアルミニウム、マグネシウム、銀、インジウムその他の金属など、白色顔料及び緑色から赤色領域の色材を用いることができる。
白色顔料は輝尽発光も反射することができる。白色顔料として、TiO2(アナターゼ型、ルチル型)、MgO、PbCO3・Pb(OH)2、BaSO4、Al23、M(II)FX(但し、M(II)はBa、Sr及びCaの中の少なくとも一種であり、XはCl、及びBrのうちの少なくとも一種である。)、CaCO3、ZnO、Sb23、SiO2、ZrO2、リトポン(BaSO4・ZnS)、珪酸マグネシウム、塩基性珪硫酸鉛、塩基性燐酸鉛、珪酸アルミニウムなどがあげられる。これらの白色顔料は隠蔽力が強く、屈折率が大きいため、光を反射したり、屈折させることにより輝尽発光を容易に散乱し、得られる放射線画像変換パネルの感度を顕著に向上させうる。
また、高光吸収率の物質としては、例えば、カーボン、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化鉄など及び青の色材が用いられる。このうちカーボンは輝尽発光も吸収する。
また、色材は、有機若しくは無機系色材のいずれでもよい。有機系色材としては、ザボンファーストブルー3G(ヘキスト製)、エストロールブリルブルーN−3RL(住友化学製)、D&CブルーNo.1(ナショナルアニリン製)、スピリットブルー(保土谷化学製)、オイルブルーNo.603(オリエント製)、キトンブルーA(チバガイギー製)、アイゼンカチロンブルーGLH(保土ヶ谷化学製)、レイクブルーAFH(協和産業製)、プリモシアニン6GX(稲畑産業製)、ブリルアシッドグリーン6BH(保土谷化学製)、シアンブルーBNRCS(東洋インク製)、ライオノイルブルーSL(東洋インク製)等が用いられる。またカラーインデクスNo.24411、23160、74180、74200、22800、23154、23155、24401、14830、15050、15760、15707、17941、74220、13425、13361、13420、11836、74140、74380、74350、74460等の有機系金属錯塩色材もあげられる。無機系色材としては群青、コバルトブルー、セルリアンブルー、酸化クロム、TiO2−ZnO−Co−NiO系顔料があげられる。
支持体上に蛍光体層が塗設された蛍光体シートは、所定の大きさに断裁することが行われている。断裁に際してはどのような方法でも可能であるが、作業性、精度の面から化粧断裁機、打ち抜き機等を用いることが望ましい。
所定の大きさに断裁された後、支持体上に輝尽性蛍光体層が設けられている前記蛍光体シートの上下に、前記保護フィルムを、図1のように保護フィルムの周縁が前記蛍光体シートの周縁より外側になるように重ね合わせ、蛍光体シートの周縁部より外側の領域で該上下の防湿性保護フィルムを融着或いは接着剤により接着した封止構造とすることで、本発明の放射線画像変換パネルを作製する。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
実施例1
《放射線画像変換パネルの作製》
(気相堆積型の輝尽性蛍光体層の作製)
1mm厚、面積100mm×100mmの結晶化ガラス(日本電気ガラス社製)支持体(基板)の表面に図2に示す気相堆積(蒸着)装置を用いて輝尽性蛍光体(CsBr:Eu)を有する輝尽性蛍光体層を形成した。
尚、蒸着にあたっては、前記支持体を前記気相堆積装置内に設置し、次いで、蛍光体原料(CsBr:Eu)をプレス成形し水冷したルツボ(図示していいない)にいれ蒸着源とした。
その後、気相堆積装置内を排気口にポンプを接続して排気し、更にガス導入口から窒素を導入して(流量1000sccm(sccm:standard、ml/min(1×10-63/min)))、装置内の真空度を6.65×10-3Paに維持した後、蒸着源を650℃に加熱し、ガラス支持体(基板)の一方の面に、CsBr:0.0001Euからなるアルカリハライド蛍光体を支持体表面の法線方向から(すなわち、スリットと蒸着源を支持体の法線方向にあわせ(θ2=約0度))、支持体と蒸発源の距離(d)を60cmとして、支持体と平行な方向に支持体を搬送しながら蒸着を行なった。輝尽性蛍光体層の膜厚が400μmとなったところで蒸着を終了させ、輝尽性蛍光体サンプル(蛍光体シート)を作製した。
(プラズマ処理)
蒸着後に蒸着層の温度を室温に戻してから直ちに表1の条件で実施した。
尚、プラズマ処理には反応性ドライエッチング装置DEM−451(ANELVA社製)を
熱処理にはラボオーブンLP−101(エスペック社製)を用いた。
〈保護フィルム1の作製〉
蛍光体シートの蛍光体面側の保護フィルムとして、下記(A)で示された構成のものを作製した。
構成(A)
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム12/VMPET12/シーラントフィルム30
VMPET:アルミナ蒸着PET(市販品:東洋メタライジング社製)を使用。
シーラントフィルム:熱融着性フィルムでCPP(キャステングポリプロピレン)を使用した。
各樹脂フィルムの後ろの数字はフィルムの膜厚(μm)を示す。
上記”/”はドライラミネーション接着層で、接着剤層の厚みが2.5μmであることを意味する。
使用したドライラミネート用の接着剤は2液反応型のウレタン系接着剤である。
〈保護フィルム2の作製〉
保護フィルム1の作成時使用した接着剤溶液に、予めメチルエチルケトンに分散溶解させた有機系青色着色剤(ザボンファーストブルー3G、ヘキスト社製)を添加しておくことで、接着剤層の全てを励起光吸収層とした。励起光吸収層の透過率は96%とした。ここでいう励起光吸収層の光線透過率とは、He−Neレーザー光(633nm)の光波長における光透過率をいう。
〈蛍光体シートの支持体面側の保護フィルム:裏面保護フィルムの作製〉
蛍光体シートの支持体面側の保護フィルムは、シーラントフィルム/アルミ箔フィルム9μm/ポリエチレンテレフタレート(PET)188μmの構成のドライラミネートフィルムとした。またこの場合の接着剤層の厚みは1.5μmで2液反応型のウレタン系接着剤を使用した。
《蛍光体シートの封止》
上記により得られたの蛍光体シートを、保護フィルム1及び2を使用し、減圧下で周縁部をインパルスシーラーを用いて融着することで封止した(図1)。
尚、13と14のヒートシールは13が保護フィルム1の場合は励起光吸収層(接着剤層)面を、また13が保護フィルム2の場合はシーラントフィルム面となるよう、14の裏面保護フィルムのシーラントフィルム面に合わせて融着させた。
尚、融着部から蛍光体シート周縁部までの距離は1mmとなるように融着した。融着に使用したインパルスシーラーのヒーターは8mm幅のものを使用した。
以上のようにして、表1に示す放射線画像変換パネル(パネル)No.1〜6を作製した。
《放射線画像変換パネルの画像評価》
上記により作製した放射線画像変換パネル1〜6を用い、以下の評価を実施した。
1)感度の評価
放射線画像変換パネルに鉛製のチャートを通して管電圧80kVpのX線を照射した後、パネルHe−Neレーザー光(633nm)で操作して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を受光器(分光感度S−5の光電子像倍管)で受光して電気信号に変換し、これをアナログ/デジタル変換してハードディスクに記録し、記録をコンピューターで分析してハードディスクに記録されているX線像を調べ、感度を下記のように評価した。
パネルNo.1の感度(信号の大きさ)を1.00として他のパネルNo.2〜6をその相対値として表した。
2)画像ムラ、線状ノイズの評価
実施例に則して、各水準を計100枚作成して各放射線画像変換パネルに管電圧80kVpのX線を照射した後、パネルをHe−Neレーザー光(633nm)で操作して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を受光器(分光感度S−5の光電子像倍管)で受光して電気信号に変換し、これを画像再生装置によって画像として再生し出力装置より2倍に拡大してプリントアウトし、得られたプリント画像を目視により観察して画像ムラや線状ノイズの出現を評価した。各100枚の画像ムラ及び線状ノイズそれぞれについて下記のように評価し表1に示した。
(放射線画像変換パネルの蒸着層が基板から剥離していたり、蒸着層に微細でもクラックが発生していると外観上は観察できなくともX線照射画像上は観察が可能である。)
◎:画像ムラや線状ノイズの発生が全くない
○:1〜3枚に淡い画像ムラや線状ノイズが見られる
△:4〜10枚に淡い画像ムラや線状ノイズが見られる
×:11枚以上に淡い画像ムラや線状ノイズが見られる、かつ、濃いところが5枚以下
××:6枚以上に濃い画像ムラや線状ノイズが見られる
3)X線劣化の評価
感度(初期)測定後、試料に管電圧80kVpのX線を合計で1000R照射したのち、ハロゲンランプを照射してX線画像情報を完全に消去した。ついで感度(初期)と同様にして感度(X線照射による劣化後の感度)を測定し、(X線劣化後の感度/初期感度)をX線劣化(値)として表示した。(1.0はX線の照射による感度劣化が全くないことを意味する。)
以上により得られた評価結果を、下記表1に示した。
Figure 2005257287
本発明の放射線画像変換パネルの基本的な構成を示す図である。 本発明に用いられる気相堆積(蒸着)装置の一例を示す図である。
符号の説明
11 輝尽性蛍光体層
12 支持体
13、14 防湿性保護フィルム

Claims (4)

  1. 支持体(基板)上に、輝尽性蛍光体層が気相堆積型により設けられている蛍光体シートと該輝尽性蛍光体層の表面を被覆するように設けられる保護層を有する放射線画像変換パネルにおいて、該輝尽性蛍光体層の表面をプラズマ処理した後、該保護層を設けることを特徴とする放射線画像変換パネル。
  2. 前記保護層が励起光を吸収するように着色された励起光吸収層を有していることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像変換パネル。
  3. 所定の大きさに断裁された前記蛍光体シートと、該蛍光体シートの全表面を被覆するように、該蛍光体シートの上下に防湿性保護フィルムを有し、該防湿性保護フィルムは該蛍光体シートに接する面に蛍光体シートとは接着しておらず、かつ、蛍光体シートの周縁より外側にある領域に於いて該防湿性保護フィルムが互いに接着していることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線画像変換パネル。
  4. 支持体(基板)上に輝尽性蛍光体層を気相堆積法により設ける蛍光体シートの輝尽性蛍光体層の蒸着後にプラズマ処理を行い、更に該蛍光体シートと該輝尽性蛍光体層の表面を被覆するように設けられる保護層を有する放射線画像変換パネルの製造方法において、該輝尽性蛍光体層の表面をプラズマ処理した後、該保護層を設けることを特徴とする放射線画像変換パネルの製造方法。
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