JP2005257170A - 燃料燃焼方法、燃料燃焼装置、ボイラおよび加熱炉 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ジメチルエーテル(DME)貯蔵タンク1からDME供給管2を通じて供給される液体状態のDMEを、減圧弁3で減圧することによって気化させ、気液分離槽4において気体DMEと液体DMEとに分離させる。液体DMEは、二流体噴霧式バーナ8において、噴霧媒体としての気体DMEの噴射によって霧化され、燃焼される。噴霧媒体に空気等を利用していないから、エアポンプ等を設ける必要がなく、省スペースとできるとともに、運転コストを低廉に抑えることができる。
【選択図】 図1
Description
これによれば、液体燃料が霧状に微細化され、外気と接する表面積が増大するので、効率のよい燃焼が可能となる。
しかし、この発明では、液体燃料が気化する際に気化熱が奪われるので、それによって生じる気体成分および液体成分の温度は、元々の液体燃料の温度よりも低くなる。すると、一旦気化によって液体成分が気体成分と液体成分とに分離された後は、液体成分の蒸気圧は低くなり、例えば更にポンプで加圧することにより、気化しにくくなる。そのため、液体成分中には気化による気泡が発生しにくくなり、燃料供給量が安定する結果、安定した燃焼を行うことができ、安全性を高めることができる。
この発明によると、液体燃料としての液体成分と、噴霧媒体としての気体成分とは、気液分離手段によって流体状の燃料から分離されて生じたものである。そのため、流体状の燃料が気液分離手段に送られる前の段階、すなわち、燃料容器から燃料供給管までの間において、液体燃料供給機構と噴霧媒体供給機構とを共通化することができる。そのため、噴霧媒体を供給する目的で蒸気発生器やエアポンプ等を設ける必要がないので、省スペースとなるとともに、製造費用も安価となり、運転コストも低減される。
この発明によると、減圧弁によって減圧された液体燃料が気化する際に気化熱が奪われるから、気化によって分離されて生じる気体成分および液体成分は、気化前の液体燃料に比べて低温になっている。すると、そのぶんだけ、液体成分の蒸気圧は低くなっており、液体成分供給管内において液体成分の気化が起こりにくくなる。そのため、気泡の発生が防止されるから、二流体噴霧式バーナにおいて安定した燃焼を行うことができ、安全性を高めることができる。
この発明によると、バーナ内において、流れる勢いの強い液体成分に対して、側方から流れる勢いの弱い気体成分が合流してくることになる。ここで、気体成分は、液体成分の強い流れによって引き出される形となって液体成分と混合され、液体成分は十分に霧化されることとなるから、燃焼の効率を改善することができる。
図1に本実施形態の燃料燃焼装置を示す。
本実施形態の燃料燃焼装置は、液体燃料としてのジメチルエーテル(以下DMEとする)を加圧して液体状態のまま貯蔵する燃料容器としてのDME貯蔵タンク1と、DME貯蔵タンク1に一端(図1では左端)が連結され、液体状態のDMEを通す、燃料供給管およびガイド管としてのDME供給管2と、DME供給管2に取り付けられ液体状態のDMEの減圧を行う減圧弁3と、DME供給管2の他端に連結されて設けられ、液体状態のDMEを、気体成分としての気体DMEと、液体成分としての液体DMEとに分離させる気液分離槽4と、一端が気液分離槽4の上方部に連結され気体DMEを通す気体成分供給管としての気体DME供給管5と、一端が気液分離槽4の下方部に連結され液体DMEを通す液体成分供給管としての液体DME供給管6と、液体DME供給管6に取り付けられ液体DMEの加圧を行う加圧ポンプ7と、気体DME供給管5の他端から噴出される気体DMEを噴霧媒体として、液体DME供給管6の他端から流出される液体DMEを霧化して燃焼させる二流体噴霧式バーナ8とを備える。
二流体噴霧式バーナ8は、バーナ本体100と、バーナ本体100の後端(図2では左端)に取り付けられるハンドル部200と、バーナ本体100の先端に取り付けられる噴霧燃焼部300とを備える。
バーナ本体100は、ガンボディー101と、ガンボディー101の先端側の側面(図2では右上)に穿設される気体DME供給孔102と、ガンボディー101の後端側の側面(図2では左下)に穿接される液体DME供給孔103とを備える。気体DME供給孔102には管104が螺合され、この管104にはユニオン105によって、気体DME供給管5の他端が連結されている。また、液体DME供給孔103には管106が螺合され、この管106にはユニオン107によって、液体DME供給管6の他端が連結されている。
このハンドル204を把持して操作することにより、二流体噴霧式バーナ8の位置や方向を変えることができる。
アウターノズル310の内壁とインナーノズル320の外壁との間には、断面円輪形状の空隙360が形成され、この空隙360と連続して、ノズルボディー330の内壁とインナーノズル320の外壁との間には、断面円輪形状の空隙370が形成されている。インナーノズル320は、円筒形状であるから、その中心軸に沿って円形孔320Aが形成されている。
バーナチップ340の中心軸上には、インナーノズル320の円形孔320Aに連続して円形穴341が穿設され、円形穴341の底(先端)には、円形穴341よりも小径の噴射孔342が穿設されている。噴射孔342に連続して、先端に開口部343Aを有する二流体混合室343が設けられている。
また、バーナチップ340には、円形穴341と同心の円輪形状断面を有し、かつ、空隙370と連続して形成される円輪形穴344が穿設され、円輪形穴344の底から二流体混合室343に向けて斜め前方方向に穿設された噴射孔345が形成されている。
図1に示すように、DME貯蔵タンク1からDME供給管2を通じて供給される液体状態のDMEは、減圧弁3によって減圧された状態で気液分離槽4に流し込まれる。DMEは沸点が低く(約マイナス25℃)、減圧された状態ではさらに気化しやすくなっている。そのため、液体状態のDMEは、気液分離槽4内において気体成分としての気体DMEと、液体成分としての液体DMEとに分離され、気体DMEは気体DME供給管5へ、液体DMEは液体DME供給管6へと流入される。その後、液体DMEは加圧ポンプ7によって加圧されて二流体噴霧式バーナ8に供給され、気体DMEはそのまま二流体噴霧式バーナ8に供給される。
気体DME供給管5から供給される気体DMEは、管104を通じて気体DME供給孔102からガンボディー101内に流入される。その後、気体DMEは、空隙360内、空隙370内を順次経由されて、バーナチップ340の円輪形穴344へ流入される。
円輪形穴344に流入された気体DMEは、同様に、噴射孔345を通過されることによって加速され、二流体混合室343内に向かって斜め前方方向に噴射される。
すなわち、二流体混合室343内において、気体DMEが液体DMEと混合されることとなり、液体DMEは霧化される。
このように霧化された液体DMEと、気体DMEとは、混合された状態で、二流体混合室343の先端に設けられる開口部343Aから噴射され、着火燃焼される。
また、液体DMEの通過される噴射孔342が図3において前方を向いているのに対し、気体DMEの通過される噴射孔345は図3において斜め前方を向いているから、気体成分としての気体DMEの流路は、液体成分としての液体DMEの流路に側方から合流されることとなっている。
(1)DME貯蔵タンク1からDME供給管2までの間において、液体燃料(液体DME)供給機構と噴霧媒体(気体DME)供給機構とを共通化することができるから、蒸気、空気等の噴霧媒体を供給する目的で蒸気発生器やエアポンプ等を設ける必要がなく、省スペースとなるとともに、製造費用も安価となり、運転コストも低減される。
また、液体状態のDMEが気化することによって発生する気体DMEを無駄にすることなく燃焼に用いることができるから、経済性もよい。
また、前記のように液体DMEが低温かつ低蒸気圧となっているから、液体DMEの気化を防止する目的または高蒸気圧による部材の破損を防止する目的で、液体DME供給管6、加圧ポンプ7、二流体噴霧式バーナ8等の耐久性を高める必要がない。そのため、安価かつ省スペースで製造できる。
また、加圧ポンプ7によって、液体DMEの二流体噴霧式バーナ8への供給圧を高め、液体DMEの供給量を増やすことができるから、二流体噴霧式バーナ8における最大燃焼量を増大させることができる。そのため、広いターンダウン幅を持った燃料燃焼装置とすることができる。
また、広いターンダウン幅を確保するためには、液体DMEの供給圧を高める必要があるが、あまり供給圧を高くしすぎると、液体DME供給管6や、加圧ポンプ7が高圧に耐え切れなくなるおそれがある。しかし、本実施形態では、前記のように、液体DMEを低圧で運転できるため、液体DME供給管6や加圧ポンプ7に大きな負荷をかけてはいない。このように、もともと、大きな負荷がかかっていないのであるから、ターンダウン幅を広く確保するために、液体DMEの供給圧の最大値を高めたとしても、液体DME供給管6や加圧ポンプ7がその圧力に耐え切れず破損してしまうようなことは起こりにくくなる。そのため、本実施形態によれば、液体DME供給管6や加圧ポンプ7の耐圧性能を過大にしなくても、広いターンダウン幅を確保することができる。
しかし、本実施形態によれば、DMEを液体のまま(液体DME)燃焼に用いているので、以上のような問題を解消することができ、燃料転換のための工事費を低廉にすることができる。
図4に、圧力噴霧式バーナおよび二流体噴霧式バーナについての、液体DME供給圧力と、液体DME噴霧量との関係を示す。液体DME噴霧量を増やす際の液体DME供給圧力の増加割合は、二流体噴霧式バーナのほうが小さい。
この図に示されるように、本実施形態の燃料燃焼装置において二流体噴霧式バーナ8を利用することによって、液体DME噴霧量を増やして火力を強めようとする場合にも、圧力噴霧式バーナの場合のように、強い液体DME供給圧力は必要とされなくなる。そのため、液体DME供給管6、加圧ポンプ7および二流体噴霧式バーナ8の耐久性を強くする必要がなく、安価かつ省スペースの燃料燃焼装置とすることができる。
例えば、前記実施形態では、燃焼燃料としてDMEを用いていたが、本発明では、ジエチルエーテル(DEE)、液化石油ガス(LPG)など、沸点が低く、気化しやすい液体燃料を用いてもよい。
また、本実施形態の燃料燃焼装置を備えた加熱炉を製造すれば、この加熱炉は、以上に列記したような作用・効果を奏することができる。
表1に、本発明の燃料燃焼装置を使用して行った燃焼試験、すなわち、液体状態のDMEを減圧気化させて生じた気体DMEを噴霧媒体として、液体DMEを噴霧燃焼させた試験のデータを示す。
次に、表2に、DME燃焼バーナの型式による運転性能比較を示す。
また、気体DME噴霧とすれば、噴霧媒体としてエアポンプ等から供給される余分な空気を使用する必要がなくなるから、運転費の節約になる。
2…DME供給管
3…減圧弁
4…気液分離槽
5…気体DME供給管
6…液体DME供給管
7…加圧ポンプ
8…二流体噴霧式バーナ
100…バーナ本体
200…ハンドル部
300…噴霧燃焼部
340…バーナチップ
342、345…噴射孔
343…二流体混合室
Claims (8)
- 流体状の燃料を気体成分と液体成分とに分離させ、
前記気体成分を噴霧媒体として前記液体成分を霧化させた上で燃焼させることを特徴とする燃料燃焼方法。 - 請求項1に記載の燃料燃焼方法において、前記流体状の燃料は液体燃料とされ、この液体燃料を減圧し前記液体燃料の一部を気化させることによって、前記液体燃料を前記気体成分と前記液体成分とに分離させることを特徴とする燃料燃焼方法。
- 流体状の燃料が入っている燃料容器と、
この燃料容器に一端が連結され、前記燃料を通す燃料供給管と、
この燃料供給管の他端に連結され、前記燃料を気体成分と液体成分とに分離させる気液分離手段と、
一端が前記気液分離手段に連結され、前記気体成分を通す気体成分供給管と、
一端が前記気液分離手段に連結され、前記液体成分を通す液体成分供給管と、
前記気体成分供給管の他端から噴出される前記気体成分を噴霧媒体として、前記液体成分供給管の他端から流出される前記液体成分を霧化して燃焼させる二流体噴霧式バーナとを備えたことを特徴とする燃料燃焼装置。 - 請求項3に記載の燃料燃焼装置において、前記流体状の燃料は液体燃料とされ、前記気液分離手段は、一端が前記燃料供給管の他端に連結されるガイド管と、このガイド管に取り付けられ前記液体燃料の減圧を行う減圧弁と、前記ガイド管の他端に連結される気液分離槽とを備え、前記気体成分供給管は、一端が前記気液分離槽の上方部に連結され、かつ、前記液体成分供給管は、一端が、前記上方部よりも下方において前記気液分離槽に連結されることを特徴とする燃料燃焼装置。
- 請求項3または4に記載の燃料燃焼装置において、前記液体成分の加圧を行う加圧ポンプが前記液体成分供給管に取り付けられることを特徴とする燃料燃焼装置。
- 請求項5に記載の燃料燃焼装置において、前記二流体噴霧式バーナは、前記液体成分供給管の他端に連結され前記液体成分の流路となる液体成分流路と、前記気体成分供給管の他端に連結され、かつ、前記液体成分流路に側方から合流され、前記気体成分の流路となる気体成分流路とを備えることを特徴とする燃料燃焼装置。
- 請求項3から6のいずれかに記載の燃料燃焼装置と、この燃料燃焼装置で発生した熱によって、中に入っている水を沸騰させ蒸気を発生させるボイラ本体と、このボイラ本体に水を圧入させる給水ポンプとを備えたことを特徴とするボイラ。
- 請求項3から6のいずれかに記載の燃料燃焼装置を備えたことを特徴とする加熱炉。
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JP2004069229A JP2005257170A (ja) | 2004-03-11 | 2004-03-11 | 燃料燃焼方法、燃料燃焼装置、ボイラおよび加熱炉 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012107797A (ja) * | 2010-11-17 | 2012-06-07 | Ihi Corp | バーナ及び油噴霧チップの製造方法 |
CN104728840A (zh) * | 2015-04-10 | 2015-06-24 | 合肥依科普工业设备有限公司 | 自气化燃烧器 |
CN105509045A (zh) * | 2016-01-21 | 2016-04-20 | 福建大为能源有限公司 | 一种醇基液体燃料双相自雾化工业型燃烧器 |
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2004
- 2004-03-11 JP JP2004069229A patent/JP2005257170A/ja active Pending
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