JP2005255657A - 殺菌,消臭シ−トの製造法とそれに使用される容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 家庭や病院で殺菌や消臭を行うのに便利な速効性のある二酸化塩素含有シ−トを、大規模な設備を要することなく簡便に製造する方法を提供する。
【解決手段】 亜塩素酸塩水溶液を布類又は紙類1.1に含浸し、酸を充填した合成樹脂製の袋体Bと重ね合わせて合成樹脂製の袋体Aに入れ、端部2,2を熱融着した後、袋体Aを押圧して袋体Bを破り、流出する酸を亜塩素酸塩水溶液と反応させて生成する二酸化塩素を布類又は紙類に1,1に含浸させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、二酸化塩素を含浸させた殺菌,消臭シ−トの製造法に関するものである。
二酸化塩素ガスは、強力な酸化剤でありその酸化力により除菌及び殺菌したり、また、悪臭成分を分解することが知られていり、そのために二酸化塩素は殺菌剤、消臭剤として使用されている。このような二酸化塩素は、水の容積の約20倍溶けて黄褐色の水溶液となるので、取扱い上、水溶液の形態で用いることが望まれるが、二酸化塩素水溶液は空気に触れると二酸化塩素ガスを発生させる。そのため二酸化塩素ガスと過酸化炭酸ナトリウム(Na)水溶液に溶解させて亜塩素酸ナトリウム(NaClO)を主成分とするpH9に保持した水溶液、いわゆる安定化二酸化塩素水溶液とすることによって、安定性を維持しつつ二酸化塩素ガスを持続的に発生させることが提案されている(特開昭61−181532号公報)。
このような安定化二酸化塩素水溶液を用いた製品として、安定化二酸化塩素水溶液及び寒天又はゼラチンからなるゲル状二酸化塩素発生組成物が提案され(特開昭57−22102号公報)、また安定化二酸化塩素水溶液、高吸水性樹脂からなるゲル状二酸化塩素発生組成物が提案されている(特開昭61−181532号公報)。
最近では、水に二酸化塩素ガスを溶存させると共に、この水溶液に亜塩素酸リチウム等の亜塩素酸塩、及びクエン酸等のpH調整剤又は酸性を示す界面活性剤を配合することにより、殺菌、消毒等の作用を有する遊離二酸化塩素を高濃度に含有させながら、この濃度を長時間ほぼ一定に保つことが開示されている(特開平11−278808号公報)。また、溶存二酸化塩素に焼成骨材を配合した組成物シ−ト材に塗布又は含浸させた二酸化塩素組成物含有シ−ト材が提案されている(特開2003−55120号公報)。
しかしながら安定化二酸化塩素水溶液はその安定性を維持するためにpH9のアルカリ性に保持されているので、殺菌、消臭等の作用を発現させる二酸化塩素ガスの発生が極めて少なく、十分な効果を達成することは困難である。そこで、安定化二酸化塩素水溶液にその使用直前に酸を添加してそのpHを7以下にすることにより二酸化塩素ガスを発生することが行われているが、このように活性化することは、そのための器具、設備等を必要とするためにコストが高くなるという問題点がある。それ故、大規模に殺菌処理したり消臭処理を行うには好適であっても家庭や病院で簡便に殺菌や消臭するには二酸化塩素ガス発生の調節が難しく効果的に適用できないという問題点がある。また、安定化二酸化塩素水溶液をゲル化剤でゲル化してゲル状組成物とすることは二酸化塩素ガスの発生が極めて少なく効果的ではない。
本発明は、このような問題点を解決することを目的としたものであって、溶存二酸化塩素を高濃度に含有することができ、また特に殺菌作用、消臭作用が速効性であるので、家庭内で使用する場合あるいは医療現場で使用する場合、極めて有用である二酸化塩素含有シ−トの製造法及び製造時に使用される容器を提供するものである。
本発明は、すなわち軟質の合成樹脂よりなる袋体(A)の中に、酸を封入し押圧又は衝撃により破れ易い軟質の合成樹脂よりなる袋体(B)と、亜塩素酸塩水溶液を含浸させた布類あるいは紙類とを重ね合わせて封入し、袋体(A)を押圧するか又は衝撃を与えることにより袋体(B)を破り、その中に封入された酸が流出して亜塩素酸塩水溶液と反応し、生成した二酸化塩素を上記布類あるいは紙類に含浸させて袋体(A)より取り出すことを特徴とする殺菌,消臭シ−トの製造法である。
また本発明は、上記シ−トの製造に使用される容器で、軟質の合成樹脂よりなる袋体(A)の中に、酸を封入し押圧又は衝撃により破れ易い軟質の合成樹脂よりなる袋体(B)と、亜塩素酸塩水溶液を含浸させた布類あるいは紙類とを重ね合わせて封入したことを特徴とする容器である。
本発明に使用される軟質の合成樹脂よりなる袋体としてはポリエチレン、ポリ塩化ビニ−ル等が用いられる。また、布類又は紙類に含浸する亜塩素酸塩としては、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸リチウムのような亜塩素酸アルカリ金属塩又は亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸バリウムのような亜塩素酸のアルカリ土類金属塩が挙げられるが、市販されている亜塩素酸ナトリウムが入手しやすく使用上も問題がない。亜塩素酸ナトリウム水溶液としては市販品の32%又は25%品等が使用できる。袋体(B)としては薄手の軟質合成樹脂を使用してもよいが、内容物が液体であるので、少なくとも1個所押圧もしくは衝撃により破れ易い材質を使用してもよい。
以上のような亜塩素酸塩の活性化剤として用いられ、袋体(B)に充填される酸としては有機酸が好ましく、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、コハク酸、乳酸、フマル酸等が使用できるが特にクエン酸が好ましい。
また、亜塩素酸塩水溶液を含浸させる布類、紙類としては、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の熱可塑性合成繊維を構成繊維とする繊維布もしくは不織布、又は含浸することが可能な柔軟性のある紙が挙げられるが、通常は水分の拡散性に優れた不織布が好ましい。
本発明において製造される二酸化塩素を含浸させた殺菌,消臭シ−トは、布類あるいは紙類であるから、柔軟性に富みかつ広い表面積を有するので、シ−ト内に二酸化塩素が滞留することなく発生効率が良好であり速効性に優れている。特に家庭や病院等で幼児や老人の看護を行う際の排便後の拭き取り、オムツ取り替え時の拭き取り等にその速効性を活かして素早く二酸化塩素による殺菌,消臭を行うことができる。このような製品としてはアルコ−ルを含浸させた濡れティッシュや四級アンモニウム系(塩化ベンザルコニウム)、両性界面活性剤を応用したものが市販されているが、殺菌力も弱く、殺菌力と消臭力を考えると二酸化塩素が感染症対策として有利である。二酸化塩素の殺菌力は塩素の2〜3倍であると言われ大腸菌、黄色ブドウ菌、枯草菌、サルモネラ菌、芽胞菌等、現在社会的に問題となっている多くの菌に対し効果を発揮する。さらには消毒剤として広く知られている次亜塩素酸が、有機物と反応してトリハロメタンやダイオキシン等を発生するのに対し、二酸化塩素にはこれが無い。
また本発明によれば、二酸化塩素含浸シ−トを特別な工業的装置ゃ機器を要せずに製造しうるという利点がある。袋体(A)の中に酸を充填した袋体(B)と亜塩素酸塩水溶液を含浸させたシ−トとを重ね合わせて入れて融着等により封止するだけでよく、任意の使用場所、任意の使用時間に人力により袋体(A)を押圧して袋体(B)を破り容易に二酸化塩素の含浸シ−トをつくることがことができる。また、封止された袋体(A)は1セットの容器として運搬、輸送することが可能であり、使用直前に製品である二酸化塩素含浸シ−トを任意の数量製造使用することができる。
図1は本発明方法により二酸化塩素含有シ−トを製造する方法を例示する説明図であり、ポリ塩化ビニ−ル製又はポリエチレン製の袋体Bを挟んで上下2枚の不織布1,1が重ね合わされている。これらの内容物はポリ塩化ビニ−ル製又はポリエチレン製の袋体Aの両端部2,2より入れられ、熱融着等の手段により封入される。図2は袋体Bの端部を示し、袋体Aを上下より押圧した際にこの部分より内容物の酸が流出するように突起部Cを形成する等して破れ易い構造とする。いま不織布1,1に所定量の亜塩素酸ナトリウム水溶液を含浸させ、また、袋体Bに所定量のクエン酸を封入し、それぞれ袋体Aに入れて重ね合わせ、袋体Aの端部2.2を熱融着して袋体Bと不織布1.1を封入し1セットとする。この容器を使用場所に運び人手で上下方向に押圧すると袋体Bが破れて酸が流出し不織布内の亜塩素酸ナトリウムと反応して二酸化塩素を生成し不織布1,1に含浸する。含浸後の不織布は袋体Aを開封することにより殺菌,消毒用シ−トとして使用する。
本発明方法の他の例を示すと、袋体Bにクエン酸を充填して円柱状とし、その表面に不織布1をロ−ル状に巻き付けて円筒状の不織布を形成する。これに亜塩素酸ナトリウム水溶液を噴霧して含浸させ、このようにして形成された袋体Bと含浸不織布との重ね体を袋体Aに封入して1セットとする。その後の操作は前例と同じようにして殺菌,消臭シ−トをつくることができる。
大きさ30cm×30cm、厚み約1.0mmの不織布を二枚折りにして大きさ15×30cmとし、更に折って約15cm×15cmとした。この不織布に亜塩素酸ナトリウム0.5重量%水溶液30mlを含浸させた。次に大きさ約3cm×10cm、厚み0.1mmのポリエチレン製袋にクエン酸2重量%溶液20mlを充填し、手の平で圧迫すると中のクエン酸溶液が押し出される構造の熱融着を行った。これを芯とし、先に用意した亜塩素酸ナトリウムを含浸させた不織布を折り曲げて15cm×7.5cmとし、7.5cmの間に前記のクエン酸を充填したポリエチレン製袋を挟み込んで得られた重ね体を大きさ9cm×20cmのポリエチレン製袋に入れ、空気を押し出し、熱融着を行って実験用試料とし、これを20個完成させた。
次に試料10個を両手の平で圧迫して中のクエン酸を入れた袋を破り、クエン酸が流出し不織布に浸漬する状態を確認したが、塗布状態、含浸状態も良好で二酸化塩素を含浸した不織布が得られた。さらに残りの10個についても同様の操作を行い、ポリエチレン製袋から得られた二酸化塩素含浸不織布を取り出し、一般生菌の多い厨房の土間に近い壁面を拭き取り、実験用拭き取り試料を採取した。比較のために同じ大きさの放射線殺菌を行った不織布に純水を50ml含浸させたものを10個用意して同様の場所で壁面を拭き取り、試験試料を採取した。表1にその結果を示す。
Figure 2005255657
実施例1と同様に二枚折りにした不織布15cm×30cmを用意した。次にクエン酸0.3重量%溶液を3cm×10cmのポリエチレン製袋に20ml充填したものを用意した。得られたクエン酸の入った直径約2cmの容器を芯にして、先に用意した幅15cm長さ30cmの不織布をロ−ル状に巻き付けて直径約3.5cm、長さ約15cmの円筒状の不織布を形成した。これに亜塩素酸ナトリウム0.075重量%溶液を上部から30mlかけて含浸させた。得られた材料を6.5cm×20cmのポリエチレン製袋に充填し空気を抜いて熱融着を行い実験用試料として5個用意した。これを両手の平で圧迫して中のクエン酸を入れた袋を破り、クエン酸が流出して不織布に浸漬し亜塩素酸ナトリウムと反応して二酸化塩素含浸不織布が得られた。これを大人5人の右手、左手にあてて一般細菌を採取し試験試料とした。また、実施例1と同様に純水の含浸シ−トを用いて比較した。表2にその結果を示す。
Figure 2005255657
本発明方法に使用される殺菌,消臭シ−トを製造する容器を例示する説明図である。 図1に示す袋体Bの一部を拡大した説明図である。
符号の説明
1 不織布
2 袋体Aの熱融着部
A 袋体
B 酸封入用袋体
C 袋体Bの端部

Claims (3)

  1. 軟質の合成樹脂よりなる袋体(A)の中に、酸を封入した押圧又は衝撃により破れ易い軟質の合成樹脂よりなる袋体(B)と、亜塩素酸塩水溶液を含浸させた布類あるいは紙類よりなるシ−トとを重ね合わせて封入し、袋体(A)を押圧するか又は衝撃を与えることにより袋体(B)を破り、その中に封入された酸が流出して亜塩素酸塩水溶液と反応し、生成した二酸化塩素を上記布類あるいは紙類に含浸させて袋体(A)より取り出すことを特徴とする殺菌,消臭シ−トの製造法。
  2. 布類が不織布である請求項1に記載の殺菌,消臭シ−トの製造法。
  3. 軟質の合成樹脂よりなる袋体(A)の中に、酸を封入した押圧又は衝撃により破れ易い軟質の合成樹脂よりなる袋体(B)と、亜塩素酸塩水溶液を含浸させた布類あるいは紙類よりなるシ−トとを重ね合わせて封入したことを特徴とする殺菌,消臭シ−トの製造に使用される容器。
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