JP2005253770A - 医用画像処理装置及び医用画像処理プログラム - Google Patents

医用画像処理装置及び医用画像処理プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】より少ない基準画像を用いて、コストを抑えつつ、精度良く検出対象陰影画像が異常陰影画像であるか正常画像であるかを判別する。
【解決手段】画像データを画像解析し、腫瘤陰影、微小石灰化クラスタ等の異常陰影である可能性がある検出対象陰影画像を抽出する(ステップS2)。検出対象陰影画像の大きさ、位置及び方向を基準画像に対応する大きさ、位置又は方向に補正し、補正画像を作成し(ステップS3)、補正画像から特徴量を抽出する(ステップS4)。多変量解析を用いて、補正画像から抽出された特徴量と、基準画像の特徴量とを比較し、検出対象陰影画像が異常陰影画像であるか正常画像であるかを判別する(ステップS5)。
【選択図】図3

Description

本発明は、医用画像処理装置及び医用画像処理プログラムに係り、特に医師が医用画像を読影する際、その診断の効率化を図る医用画像処理装置及び医用画像処理プログラムに関する。
医療の分野においては、医用画像のデジタル化が実現され、CR(Computed Radiography)装置、CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等により生成された医用画像データをCRT(Cathode Ray Tube)等の画像表示装置に表示し、この画像表示装置に表示された医用画像を医師が読影して、病変部の状態や経時変化を観察して診断を行っている。
また、医師の読影に対する負担軽減を目的として、デジタル画像処理技術を用いて画像データの解析を行い、乳癌、肺癌等の異常陰影候補を自動的に検出するコンピュータ診断支援装置(Computer-Aided Diagnosis;CAD)が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
検出対象となる陰影画像が異常陰影画像であるか正常画像であるかを判別する方法として、検出対象陰影画像の特徴量を抽出して行う判別分析や類似画像検出等の多変量解析が挙げられる。判別分析では、予め異常陰影画像と正常画像とに分類されている複数の基準画像の特徴量を記憶させておき、その境界を算出し、検出対象陰影画像の特徴量が異常陰影画像と正常画像のどちらに近いかを判別する。また、類似画像検出では、検出対象陰影画像の特徴量を基準画像の特徴量と比較し、類似点の最も多い基準画像を検出する。
このような多変量解析で判別性能を高めるためには、より多くの特徴量を用いることが効果的である。しかし、基準画像のデータ数に対して特徴量が少ない場合には、特徴量の追加により判別性能が向上するが、基準画像のデータ数に対して特徴量が多くなり過ぎると、統計的信頼度が低下し、判別性能が低下する。これを防ぐためには、特徴量の追加とともに、基準画像をより多く収集することが重要である。
また、従来の方法で異常陰影候補を検出する際に、同じ画像でも大きさ、位置、方向が変わると、違った特徴量を示す場合がある。そのため、あらゆる大きさ、位置、方向に対応した異常陰影画像を基準画像として記憶しておかなければならない。
特開2002−112985号公報
しかし、正常画像に比べて異常陰影画像の数ははるかに少ないため、実際に基準画像として多くの異常陰影画像を収集することは困難であった。さらに、あらゆる大きさ、位置、方向に対応した異常陰影画像を作成することは多大な時間とコストがかかるため、現実的ではなかった。
本発明は上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、より少ない基準画像を用いて、コストを抑えつつ、精度良く検出対象陰影画像が異常陰影画像であるか正常画像であるかを判別することができる医用画像処理装置及び医用画像処理プログラムを提供することを課題とする。
請求項1に記載の発明は、予め異常陰影画像と正常画像とに分類されている基準画像と、被写体を撮影して取得された医用画像から抽出された検出対象陰影画像と、を比較する比較手段を有し、当該比較手段による比較結果に基づいて前記検出対象陰影画像が異常陰影画像であるか正常画像であるかを判別するようにした医用画像処理装置において、前記検出対象陰影画像の大きさ、位置又は方向を前記基準画像に対応する大きさ、位置又は方向に補正し、当該補正した検出対象陰影画像を前記比較手段に出力する画像補正手段を備えたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の医用画像処理装置において、前記基準画像は複数あり、各基準画像の大きさ、位置又は方向が統一されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の医用画像処理装置において、前記医用画像は、マンモグラムであることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医用画像処理装置において、前記画像補正手段は、前記検出対象陰影画像のモーメントを用いて主軸角を求め、当該求められた主軸角に基づいて前記検出対象陰影画像の方向を補正することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医用画像処理装置において、前記画像補正手段は、前記検出対象陰影画像の幾何学的特徴を用いて主軸角を求め、当該求められた主軸角に基づいて前記検出対象陰影画像の方向を補正することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の医用画像処理装置において、前記画像補正手段は、アフィン変換を用いて拡大若しくは縮小、平行移動又は回転移動を行うことにより、前記検出対象陰影画像の大きさ、位置又は方向を補正することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の医用画像処理装置において、前記検出対象陰影画像が異常陰影画像であるか正常画像であるかの判別は、前記比較手段による比較結果及び補正前の検出対象陰影画像の解析結果に基づいて行うことを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の医用画像処理装置において、前記異常陰影画像であると判別された検出対象陰影画像の位置の補正における平行移動量、前記異常陰影画像であると判別された検出対象陰影画像の方向の補正における回転角度、前記異常陰影画像であると判別された検出対象陰影画像、又は前記異常陰影画像であると判別された検出対象陰影画像のサイズ情報を表示する表示手段を備えたことを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、コンピュータに、予め異常陰影画像と正常画像とに分類されている基準画像と、被写体を撮影して取得された医用画像から抽出された検出対象陰影画像と、を比較する比較機能と、当該比較機能における比較結果に基づいて前記検出対象陰影画像が異常陰影画像であるか正常画像であるかを判別する判別機能と、を実現させるための医用画像処理プログラムにおいて、前記コンピュータに、前記検出対象陰影画像の大きさ、位置又は方向を前記基準画像に対応する大きさ、位置又は方向に補正する画像補正機能を実現させ、前記比較機能を実現させる際に、前記基準画像と前記補正した検出対象陰影画像とを比較させることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の医用画像処理プログラムにおいて、前記基準画像は複数あり、各基準画像の大きさ、位置又は方向が統一されていることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項9又は10に記載の医用画像処理プログラムにおいて、前記医用画像は、マンモグラムであることを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項9〜11のいずれか一項に記載の医用画像処理プログラムにおいて、前記画像補正機能を実現させる際に、前記検出対象陰影画像のモーメントを用いて主軸角を求めさせ、当該求められた主軸角に基づいて前記検出対象陰影画像の方向を補正させることを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、請求項9〜11のいずれか一項に記載の医用画像処理プログラムにおいて、前記画像補正機能を実現させる際に、前記検出対象陰影画像の幾何学的特徴を用いて主軸角を求めさせ、当該求められた主軸角に基づいて前記検出対象陰影画像の方向を補正させることを特徴とする。
請求項14に記載の発明は、請求項9〜13のいずれか一項に記載の医用画像処理プログラムにおいて、前記画像補正機能を実現させる際に、アフィン変換を用いて拡大若しくは縮小、平行移動又は回転移動を行わせることにより、前記検出対象陰影画像の大きさ、位置又は方向を補正させることを特徴とする。
請求項15に記載の発明は、請求項9〜14のいずれか一項に記載の医用画像処理プログラムにおいて、前記判別機能を実現させる際に、前記比較機能における比較結果及び補正前の検出対象陰影画像の解析結果に基づいて前記検出対象陰影画像が異常陰影画像であるか正常画像であるかを判別させることを特徴とする。
請求項16に記載の発明は、請求項9〜15のいずれか一項に記載の医用画像処理プログラムにおいて、前記コンピュータに、前記異常陰影画像であると判別された検出対象陰影画像の位置の補正における平行移動量、前記異常陰影画像であると判別された検出対象陰影画像の方向の補正における回転角度、前記異常陰影画像であると判別された検出対象陰影画像、又は前記異常陰影画像であると判別された検出対象陰影画像のサイズ情報を表示する表示機能を実現させることを特徴とする。
請求項1、9に記載の発明によれば、基準画像と、大きさ、位置又は方向を基準画像に対応する大きさ、位置又は方向に補正した検出対象陰影画像と、を比較し、この比較結果に基づいて検出対象陰影画像が異常陰影画像であるか正常画像であるかを判別するので、検出対象陰影画像の大きさ、位置又は方向を基準画像に合わせてから基準画像と比較することができる。したがって、あらゆる大きさ、位置又は方向に対応した基準画像を用意しておく必要がないので、より少ない基準画像を用いて、コストを抑えつつ、精度良く検出対象陰影画像が異常陰影画像であるか正常画像であるかを判別することができる。
請求項2、10に記載の発明によれば、各基準画像の大きさ、位置又は方向が統一されているので、容易に検出対象陰影画像の大きさ、位置又は方向を基準画像に対応する大きさ、位置又は方向に補正することができる。
請求項3、11に記載の発明によれば、マンモグラムを対象として検出対象陰影画像が異常陰影画像であるか正常画像であるかを判別することができる。
請求項4、12に記載の発明によれば、検出対象陰影画像のモーメントを用いて主軸角を求め、求められた主軸角に基づいて検出対象陰影画像の方向を補正するので、検出対象陰影画像の方向を基準画像に合わせてから基準画像と比較することができる。
請求項5、13に記載の発明によれば、検出対象陰影画像の幾何学的特徴を用いて主軸角を求め、求められた主軸角に基づいて検出対象陰影画像の方向を補正するので、検出対象陰影画像の方向を基準画像に合わせてから基準画像と比較することができる。
請求項6、14に記載の発明によれば、アフィン変換を用いて拡大若しくは縮小、平行移動又は回転移動を行うことにより、検出対象陰影画像の大きさ、位置又は方向を補正するので、検出対象陰影画像の大きさ、位置又は方向の補正を一度の変換で行うことができる。
請求項7、15に記載の発明によれば、基準画像と補正した検出対象陰影画像とを比較した比較結果及び補正前の検出対象陰影画像の解析結果に基づいて検出対象陰影画像が異常陰影画像であるか正常画像であるかを判別するので、より少ない基準画像を用いて、コストを抑えつつ、精度良く検出対象陰影画像が異常陰影画像であるか正常画像であるかを判別することができる。
請求項8、16に記載の発明によれば、異常陰影画像であると判別された検出対象陰影画像の位置の補正における平行移動量、前記異常陰影画像であると判別された検出対象陰影画像の方向の補正における回転角度、前記異常陰影画像であると判別された検出対象陰影画像、又は前記異常陰影画像であると判別された検出対象陰影画像のサイズ情報を表示するので、これらの情報をユーザに知らせることができる。
[第1の実施の形態]
図1〜図8を参照して本発明の第1の実施の形態における医用画像処理装置1について詳細に説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
まず、医用画像処理装置1の概略構成について説明する。図1に示すように、医用画像処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)2、I/F(InterFace)部3、操作手段4、表示手段5、通信部6、ROM(Read Only Memory)7、RAM(Random Access Memory)8、記憶部9、基準画像データベース10等を備えて構成され、各部はバス11により接続されている。
CPU2は、操作手段4から入力される各種指示や、I/F部3又は通信部6から入力されるデータに従って、ROM7に記憶されている各種プログラムの中から指定されたプログラムをRAM8のワークエリアに展開し、上記プログラムとの協働によって各種処理を実行し、その処理結果をRAM8の所定の領域に格納するとともに、表示手段5に表示させる。
CPU2は、画像データから検出対象陰影画像を抽出し、検出対象陰影画像の大きさ、位置又は方向を基準画像に対応する大きさ、位置又は方向に補正して補正画像を作成し、基準画像と補正画像とを比較し、この比較結果に基づいて検出対象陰影画像が異常陰影画像であるか正常画像であるかを判別して、1つ又は複数の種類の異常陰影候補を検出する(図3参照)。
I/F部3は、画像生成装置Gと接続するためのインターフェイスであり、画像生成装置Gにおいて生成された画像データを医用画像処理装置1に入力する。
画像生成装置Gとしては、被写体を撮影して取得された医用画像が記録されたフィルム上にレーザ光を走査して画像データを取得するレーザデジタイザや、CCD(Charge Coupled Device)等の光電変換素子からなるセンサによりフィルムに記録された画像データを取得するフィルムスキャナ等が適用可能である。
また、フィルムに記録された医用画像を読み取るのではなく、蓄積性蛍光体を用いて医用画像を撮影する撮影装置や、照射された放射線の強度に応じた電荷を生成する放射線検出素子とコンデンサからなるフラットパネルディテクタ等を接続可能な構成としてもよく、画像データの入力方法は特に限定しない。
操作手段4は、カーソルキーや数字キー、各種機能キーからなるキーボードを備えて構成され、各キー操作による押下信号をCPU2に出力する。なお、操作手段4は、必要に応じてマウスやタッチパネル等のポインティングデバイスや、その他の入力装置を備えることとしてもよい。
表示手段5は、LCD(Liquid Crystal Display)等から構成され、CPU2の制御に従って、医用画像や、異常陰影候補の検出結果等の各種表示情報を表示する。
通信部6は、ネットワークインターフェイスカード、モデム、ターミナルアダプタ等の通信用インターフェイスにより構成され、通信ネットワーク上の外部機器と各種情報の送受信を行う。例えば、通信部6を介して画像生成装置Gから画像データを受信する構成としてもよいし、通信部6を介して病院内のサーバや各診療室に設置される診療端末に接続して、異常陰影候補の検出結果を送信する構成としてもよい。
ROM7は、不揮発性の半導体メモリで構成され、CPU2により実行される各種プログラム等を記憶している。
RAM8は、書き換え可能な半導体素子で構成される。RAM8は、データが一時的に保存される記憶媒体であり、CPU2が実行するためのプログラムを展開するためのプログラムエリア、CPU2による各種処理結果等を保存するためのデータエリア、等が形成される。
記憶部9は、磁気的、光学的記録媒体又は半導体メモリ等により構成され、画像生成装置GからI/F部3を介して入力された画像データ、画像データから抽出された検出対象陰影画像、検出対象陰影画像を補正して作成された補正画像、補正画像から抽出された特徴量等を記憶する。
基準画像データベース10は、異常陰影の判別時に基準となる複数の基準画像の特徴量を記憶している。図2に示すように、各基準画像は、所定の大きさの切り出し領域単位で生成され、切り出し領域内における主軸長L1,L2,・・・,Ln、重心位置G1,G2,・・・,Gn及び主軸角が統一されている。ここでは、主軸角が0度となるよう統一されている。また、基準画像は、予め異常陰影画像と正常画像とに分類されている。
主軸長とは、対象図形内に描くことができる最大の長さの線(主軸)の長さをいい、対象の大きさを特徴付ける特徴量の1つである。対象の境界上にある2点の全ての組み合わせについて画素単位の距離を求め、最大の距離を持つ2点を求めることにより、主軸の端点(x1,y1)と(x2,y2)が得られる。主軸長Lは式(1)で与えられる。
Figure 2005253770
主軸角θは、画像のx軸と主軸とのなす角度であって、式(2)で示すように、幾何学的特徴を用いて求められる。主軸角θは、対象の方向を特徴付ける特徴量の1つである。
Figure 2005253770
また、主軸角θは、対象図形のモーメントを用いて求めることもできる。(p+q)次のモーメントmpqは、式(3)で定義される。
Figure 2005253770
ただし、f(x,y)は(x,y)における画像データである。
(p+q)次の重心回りのモーメント(central moment)μpqは、式(4)で定義される。
Figure 2005253770
ここで、
Figure 2005253770
である。
モーメントから求められる主軸角θは、式(6)で表される。
Figure 2005253770
次に、第1の実施の形態における動作について説明する。
図3は、医用画像処理装置1により実行される異常陰影候補検出処理1を説明するフローチャートである。以下、各ステップの処理の主体は、特に言及する場合を除き、CPU2であるとする。ここでは、医用画像データとして、乳房を撮影したマンモグラムを用いた例を説明するが、対象となる部位はこれに限らず、胸部や腹部であってもかまわない。
図3に示すように、まず、画像生成装置Gから画像データがI/F部3を介して入力され(ステップS1)、記憶部9に記憶される。
次に、記憶部9に記憶されている画像データが画像解析され、腫瘤陰影、微小石灰化クラスタ等の異常陰影である可能性がある検出対象陰影画像が抽出される(ステップS2)。
次に、検出対象陰影画像の大きさ、位置及び方向が基準画像に対応する大きさ、位置又は方向に補正され、補正画像が作成される(ステップS3)。
図4を参照して、補正画像作成処理について説明する。
まず、検出対象陰影画像の主軸長が算出され(ステップS11)、基準画像に対応する大きさになるように、拡大率又は縮小率が決定される(ステップS12)。
また、検出対象陰影画像の重心位置が算出され(ステップS13)、基準画像に対応する位置になるように、平行移動条件が決定される(ステップS14)。
また、検出対象陰影画像の主軸角が算出され(ステップS15)、基準画像に対応する方向になるように、回転移動条件が決定される(ステップS16)。
そして、決定された拡大率又は縮小率、平行移動条件、回転移動条件に基づいて、検出対象陰影画像にアフィン変換(affine transformation)が施され、補正画像が作成される(ステップS17)。
図5に、補正画像の例を示す。図5(a)は、主軸長に基づいて拡大することにより作成された補正画像の例である。図5(b)は、重心位置に基づいて平行移動を行うことにより作成された補正画像の例である。図5(c)は、主軸角に基づいて回転移動を行うことにより作成された補正画像の例である。
次に、図3に示すように、補正画像から特徴量が抽出される(ステップS4)。ここでは、特徴量として、テクスチャに関する特徴量を用いる。
図6に、テクスチャ解析に用いる局所パターンの例を示す。図6のf0は、画像に対して3×3の画素ブロック単位で解析を行う際に、中央の画素の画像データの値(画素値)を示す特徴量である。f1は、中央の画素の画像データの値を2倍した値を示し、f2は、中央の画素の画像データの値を3倍した値を示している。f3は、3×3の画素ブロックのうち中央の画素とその右側の画素の画像データの値を掛けた値を表している。f34は、3×3の画素ブロックの中央の画素とその左上の画素と右上の画素の画像データの値を掛けた値を表している。他のパターンについても同様である。
各画素の画像データが図7に示す値である場合に、3×3の画素ブロックFに注目すると、f0は2、f1は2×2=4、・・・、f34は1×2×3=6となる。このようにして、35個の特徴量が算出される。画像データに対して3×3の画素ブロックを1画素ずつずらしていき、全ての領域に対して特徴量を算出する。
次に、図3に示すように、多変量解析を用いて、補正画像から抽出された特徴量と、基準画像データベース10に記憶されている基準画像の特徴量とが比較され、検出対象陰影画像が異常陰影画像であるか正常画像であるかが判別される(ステップS5)。
検出対象陰影画像の判別方法として、判別分析や類似画像検出を用いることができる。判別分析では、予め準備されている正常画像のグループに属する基準画像と異常陰影画像のグループに属する基準画像とに基づいて、特徴量を軸とした特徴量空間上で正常画像と異常陰影画像との境界線を設け、検出対象陰影画像がどちらのグループに属しているかを判別する。図8を参照して、マハラノビス距離を用いた判別分析の例を説明する。マハラノビス距離とは、データの分散を考慮した各グループの中心から判別データ(検出対象陰影画像)までの距離である。図8は、特徴量1と特徴量2を2変数として基準画像をプロットしたものである。図8に示すように、異常陰影画像に分類されている基準画像a1〜a4からなるA群、正常画像に分類されている基準画像b1〜b4からなるB群の2群を準備しておき、判別データXについてA群の中心Gaからのマハラノビス距離Da、B群の中心Gbからのマハラノビス距離Dbをそれぞれ求める。そして、その距離比Da/Dbに基づいて、判別データXがどちらの群に属するかを判別する。距離比Da/Dbが閾値以下である場合には、判別データXはA群に近く異常陰影画像であると判別され、距離比Da/Dbが閾値より大きい場合には、判別データXはB群に近く正常画像であると判別される。図8に、マハラノビス距離比による異常陰影画像と正常画像との境界線Lを示す。
類似画像検出では、式(7)で示される特徴量空間における検出対象陰影画像と基準画像とのユークリッド距離Dを算出して、その距離Dが近い基準画像を類似画像として検出する。
Figure 2005253770
ここで、Zakは検出対象陰影画像のn個の特徴量のうちのk番目の特徴量、Zbkは類似画像検出に用いる基準画像のn個の特徴量のうちのk番目の特徴量である。
距離Dが最短となる基準画像を検出し、その基準画像が異常陰影画像であるか正常画像であるかに基づいて検出対象陰影画像が異常陰影画像であるか正常画像であるかを判別することとしてもよいし、距離Dが近い基準画像を複数枚検出して、異常陰影画像と正常画像の比率に基づいて検出対象陰影画像が異常陰影画像であるか正常画像であるかを判別することとしてもよい。
そして、異常陰影画像であると判別された検出対象陰影画像が異常陰影候補として検出され(ステップS6)、検出結果が表示手段5に表示される(ステップS7)。具体的には、画像データ上の異常陰影候補がマーカー等で示されるとともに、異常陰影画像であると判別された検出対象陰影画像の位置の補正における平行移動量、方向の補正における回転角度、又は異常陰影画像であると判別された検出対象陰影画像のサイズ情報が表示される。ここで、サイズ情報とは、補正前の検出対象陰影画像の大きさ、又は検出対象陰影画像が抽出される際の切り出し画像サイズをいう。
以上で異常陰影候補検出処理1が終了する。
以上説明したように、医用画像処理装置1によれば、検出対象陰影画像の大きさ、位置又は方向を基準画像に対応する大きさ、位置又は方向に補正し、基準画像と補正画像とを比較し、この比較結果に基づいて検出対象陰影画像が異常陰影画像であるか正常画像であるかを判別するので、検出対象陰影画像の大きさ、位置又は方向を基準画像に合わせてから基準画像と比較することができる。したがって、あらゆる大きさ、位置又は方向に対応した基準画像を用意しておく必要がないので、より少ない基準画像を用いて、コストを抑えつつ、精度良く検出対象陰影画像が異常陰影画像であるか正常画像であるかを判別することができる。
また、各基準画像の大きさ、位置又は方向が統一されているので、容易に検出対象陰影画像の大きさ、位置又は方向を基準画像に対応する大きさ、位置又は方向に補正することができる。
また、補正画像を作成する際に、アフィン変換を用いて拡大又は縮小、平行移動、回転移動を行うことにより、検出対象陰影画像の大きさ、位置又は方向の補正を一度の変換で行うことができる。
また、異常陰影画像であると判別された検出対象陰影画像(異常陰影候補)やそのサイズ情報、位置の補正における平行移動量、又は方向の補正における回転角度を表示することにより、これらの情報をユーザに知らせることができる。
なお、第1の実施の形態においては、図2に示すように、各基準画像の切り出し領域が所定の大きさに統一されている場合について説明したが、各基準画像の切り出し領域の大きさは必ずしも統一されていなくてもよい。
[第2の実施の形態]
次に、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態における医用画像処理装置は、第1の実施の形態に示した医用画像処理装置1と同様の構成であるため、同一の構成部分については同一の符号を付し、図示及び説明を省略する。以下、第2の実施の形態に特徴的な構成及び処理について説明する。
CPU2は、画像データから検出対象陰影画像を抽出し、検出対象陰影画像の大きさ、位置又は方向を基準画像に対応する大きさ、位置又は方向に補正して補正画像を作成し、基準画像と補正画像とを比較し、この比較結果及び補正前の検出対象陰影画像の解析結果に基づいて検出対象陰影画像が異常陰影画像であるか正常画像であるかを判別して、1つ又は複数の種類の異常陰影候補を検出する(図9参照)。
次に、動作について説明する。
図9は、第2の実施の形態における医用画像処理装置により実行される異常陰影候補検出処理2を説明するフローチャートである。以下、各ステップの処理の主体は、特に言及する場合を除き、CPU2であるとする。
図9に示すように、まず、画像生成装置Gから画像データがI/F部3を介して入力され(ステップS21)、記憶部9に記憶される。
次に、記憶部9に記憶されている画像データが画像解析され、腫瘤陰影、微小石灰化クラスタ等の異常陰影である可能性がある検出対象陰影画像が抽出される(ステップS22)。
次に、検出対象陰影画像の大きさ、位置及び方向が基準画像に対応する大きさ、位置又は方向に補正され、補正画像が作成される(ステップS23)。そして、補正画像から特徴量が抽出される(ステップS24)。補正画像の作成方法及び特徴量の抽出については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
また、補正前の検出対象陰影画像から円形度、背景画像とのコントラスト、陰影の周辺部から中心部にかけての濃度勾配の強度成分等の特徴量が抽出される(ステップS25)。
そして、補正画像から抽出された特徴量と、補正前の検出対象陰影画像から抽出された特徴量とを多変量解析の入力データとして用いて、検出対象陰影画像が異常陰影画像であるか正常画像であるかが判別される(ステップS26)。画像の大きさや位置、方向によって異なる特徴を示す特徴量については、補正画像から抽出された特徴量を用いて基準画像データベース10に記憶されている基準画像の特徴量との比較により判別を行い、その他の特徴量については、補正前の検出対象陰影画像から抽出された特徴量を用いて判別を行う。
そして、異常陰影画像であると判別された検出対象陰影画像が異常陰影候補として検出され(ステップS27)、検出結果が表示手段5に表示される(ステップS28)。
以上で異常陰影候補検出処理2が終了する。
第2の実施の形態における医用画像処理装置によれば、検出対象陰影画像の大きさ、位置又は方向を基準画像に対応する大きさ、位置又は方向に補正し、基準画像と補正画像とを比較した比較結果及び補正前の検出対象陰影画像の解析結果に基づいて検出対象陰影画像が異常陰影画像であるか正常画像であるかを判別するので、より少ない基準画像を用いて、コストを抑えつつ、精度良く検出対象陰影画像が異常陰影画像であるか正常画像であるかを判別することができる。
なお、上記各実施の形態における記述は、本発明に係る好適な医用画像処理装置の例であり、これに限定されるものではない。医用画像処理装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
第1の実施の形態における医用画像処理装置1の概略構成を示すブロック図である。 基準画像の例を示す図である。 第1の実施の形態における医用画像処理装置1により実行される異常陰影候補検出処理1を示すフローチャートである。 補正画像作成処理を示すフローチャートである。 補正画像の例を示す図である。 テクスチャ解析に用いる局所パターンの例を示す図である。 テクスチャ解析に用いる画像データの例を示す図である。 判別分析におけるマハラノビス距離の概念図である。 第2の実施の形態における医用画像処理装置により実行される異常陰影候補検出処理2を示すフローチャートである。
符号の説明
1 医用画像処理装置
2 CPU
3 I/F部
4 操作手段
5 表示手段
6 通信部
7 ROM
8 RAM
9 記憶部
10 基準画像データベース
11 バス

Claims (16)

  1. 予め異常陰影画像と正常画像とに分類されている基準画像と、被写体を撮影して取得された医用画像から抽出された検出対象陰影画像と、を比較する比較手段を有し、当該比較手段による比較結果に基づいて前記検出対象陰影画像が異常陰影画像であるか正常画像であるかを判別するようにした医用画像処理装置において、
    前記検出対象陰影画像の大きさ、位置又は方向を前記基準画像に対応する大きさ、位置又は方向に補正し、当該補正した検出対象陰影画像を前記比較手段に出力する画像補正手段を備えたことを特徴とする医用画像処理装置。
  2. 前記基準画像は複数あり、各基準画像の大きさ、位置又は方向が統一されていることを特徴とする請求項1に記載の医用画像処理装置。
  3. 前記医用画像は、マンモグラムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の医用画像処理装置。
  4. 前記画像補正手段は、前記検出対象陰影画像のモーメントを用いて主軸角を求め、当該求められた主軸角に基づいて前記検出対象陰影画像の方向を補正することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の医用画像処理装置。
  5. 前記画像補正手段は、前記検出対象陰影画像の幾何学的特徴を用いて主軸角を求め、当該求められた主軸角に基づいて前記検出対象陰影画像の方向を補正することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の医用画像処理装置。
  6. 前記画像補正手段は、アフィン変換を用いて拡大若しくは縮小、平行移動又は回転移動を行うことにより、前記検出対象陰影画像の大きさ、位置又は方向を補正することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の医用画像処理装置。
  7. 前記検出対象陰影画像が異常陰影画像であるか正常画像であるかの判別は、前記比較手段による比較結果及び補正前の検出対象陰影画像の解析結果に基づいて行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の医用画像処理装置。
  8. 前記異常陰影画像であると判別された検出対象陰影画像の位置の補正における平行移動量、前記異常陰影画像であると判別された検出対象陰影画像の方向の補正における回転角度、前記異常陰影画像であると判別された検出対象陰影画像、又は前記異常陰影画像であると判別された検出対象陰影画像のサイズ情報を表示する表示手段を備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の医用画像処理装置。
  9. コンピュータに、予め異常陰影画像と正常画像とに分類されている基準画像と、被写体を撮影して取得された医用画像から抽出された検出対象陰影画像と、を比較する比較機能と、当該比較機能における比較結果に基づいて前記検出対象陰影画像が異常陰影画像であるか正常画像であるかを判別する判別機能と、を実現させるための医用画像処理プログラムにおいて、
    前記コンピュータに、
    前記検出対象陰影画像の大きさ、位置又は方向を前記基準画像に対応する大きさ、位置又は方向に補正する画像補正機能を実現させ、
    前記比較機能を実現させる際に、前記基準画像と前記補正した検出対象陰影画像とを比較させることを特徴とする医用画像処理プログラム。
  10. 前記基準画像は複数あり、各基準画像の大きさ、位置又は方向が統一されていることを特徴とする請求項9に記載の医用画像処理プログラム。
  11. 前記医用画像は、マンモグラムであることを特徴とする請求項9又は10に記載の医用画像処理プログラム。
  12. 前記画像補正機能を実現させる際に、前記検出対象陰影画像のモーメントを用いて主軸角を求めさせ、当該求められた主軸角に基づいて前記検出対象陰影画像の方向を補正させることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の医用画像処理プログラム。
  13. 前記画像補正機能を実現させる際に、前記検出対象陰影画像の幾何学的特徴を用いて主軸角を求めさせ、当該求められた主軸角に基づいて前記検出対象陰影画像の方向を補正させることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の医用画像処理プログラム。
  14. 前記画像補正機能を実現させる際に、アフィン変換を用いて拡大若しくは縮小、平行移動又は回転移動を行わせることにより、前記検出対象陰影画像の大きさ、位置又は方向を補正させることを特徴とする請求項9〜13のいずれか一項に記載の医用画像処理プログラム。
  15. 前記判別機能を実現させる際に、前記比較機能における比較結果及び補正前の検出対象陰影画像の解析結果に基づいて前記検出対象陰影画像が異常陰影画像であるか正常画像であるかを判別させることを特徴とする請求項9〜14のいずれか一項に記載の医用画像処理プログラム。
  16. 前記コンピュータに、
    前記異常陰影画像であると判別された検出対象陰影画像の位置の補正における平行移動量、前記異常陰影画像であると判別された検出対象陰影画像の方向の補正における回転角度、前記異常陰影画像であると判別された検出対象陰影画像、又は前記異常陰影画像であると判別された検出対象陰影画像のサイズ情報を表示する表示機能を実現させることを特徴とする請求項9〜15のいずれか一項に記載の医用画像処理プログラム。
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