本発明は、有料道路の通行料金の自動料金支払いシステムで用いる車載器であって、その車載器が運転者に対して交通規制を警告する、交通規制警告機能を有する車載器に関する。
車両は道路交通法を遵守して走行しなければならないが、交通違反をしている車両は多々存在している。しかし、特に速度違反や駐車違反等の交通違反については、警察官がその行為を現認しなければ実際に違反を摘発することは難しい。
このような交通違反をしている運転者は、交通違反をしていることを認識している運転者もいるが、その一方で、運転者が速度違反や駐車違反を認識しないまま、標識を見落としたりした結果、交通違反をしている場合もある。
後者のような場合には、運転者に対して予め交通規制の警告等を行うことが出来れば、交通違反を防止し、その結果、事故の抑止にも繋がると考えられる。
このような観点から、車両に搭載されたナビゲーション装置やGPS衛星からの情報に基づいて、運転者に対して交通規制(本明細書に於いては、制限速度、駐車禁止地域、一方通行等の車両の運転者に課せられた交通規制を意味するものとする)の警告を行うシステムが下記特許文献1乃至特許文献6に開示されている。
特開平5−11700号公報
特開平9−126792号公報
特開2001−143190号公報
特開2001−331893号公報
特開2002−206929号公報
特開2002−313897号公報
財団法人道路システム高度化推進機構 著、「ETC(イーテック)便覧」道路システム高度化推進機構 発行、平成14年4月、p.10−42
国土交通省道路局、"資料4:ETC技術の概要と関連技術の活用に関する提案等"、平成15年12月19日、[online]、インターネット<URL:http://www.its.go.jp/ITS/j-html/Etc/ETCkanren/1_syryo4.pdf>
しかし、上述のようなナビゲーション装置等により運転者に警告を与える場合には、車両側で、各道路の制限速度や駐車禁止地域等を全て管理していなければならない。その為、ナビゲーション装置等に記録された情報を絶えず更新しない限りは、道路の制限速度等が変更された場合でも、従来の制限速度で警告等を運転者に行うこととなる。
一方、近年では、有料道路の通行料金決済をスムースに行う為に、料金所で一時停車し料金の支払いを行うのではなく、車両に設置した車載器と料金所に設けられた路側アンテナとの間で情報の送受信を行うことでノンストップで料金決済を行う、所謂ETC(Electronic Toll Collection System。ETCは財団法人道路システム高度化推進機構の登録商標である)と呼ばれる自動料金支払いシステムが存在している。ETCは上記の非特許文献1に詳しく説明されているように、料金所等の決済場所に設けられた路側アンテナと、車両に設置された車載器との間で近距離無線通信(近距離無線通信には、DSRC(Dedicated Short Range Communications。狭域データ通信)、無線LAN、赤外線通信、ブルートゥース等が該当する)を用いて情報の送受信を行うことによって、通行料金の決済を行うシステムである。尚、本明細書に於いて自動料金支払いシステムとは、近距離無線通信を用いて車載器と路側アンテナとの間の情報の送受信を行うことによって決済を行うシステムを指す。
自動料金支払いシステムで用いる近距離無線通信(特にDSRC)には、無線通信圏内が数メートルから数十メートルであり、この無線通信圏内であれば大量の情報を瞬時にやりとりすることが可能であるという特性があることから、有料道路の通行料金決済にとどまらず、各種の情報を車載器の間で送受信することで、コンテンツ配信等を行うことが提案されている。このような新たな提案は、上記非特許文献2に詳しい。
そこで本発明者等は、この自動料金支払いシステムで用いる車載器を用いることによって、運転者に対して速度違反や駐車違反等の交通規制の警告を行うことが出来る、交通規制警告機能を有する車載器を発明した。
請求項1の発明は、自動料金支払いシステムで用いる車載器であって、前記自動料金支払いシステムで用いるETC用路側アンテナと、交通規制の内容を識別する交通規制識別情報を送信する交通規制用路側アンテナとの間で近距離無線通信により情報の送受信を行うアンテナ部と、前記ETC用路側アンテナ、前記交通規制用路側アンテナとの間で近距離無線通信で送受信する情報を変復調する変復調部と、有料道路の通行料金決済に用いるETCカードからETC情報を読み取るカードインターフェイス部と、前記車載器の制御を行う制御処理部と、前記交通規制識別情報とその内容とが対応づけて記録されており、前記受信する交通規制識別情報の内容を判別する交通規制警告部と、前記読み取ったETC情報を前記変復調部に送信するETC処理部と、を有しており、前記変復調部は、前記ETC情報をASK変復調方式により変復調する手段と、前記交通規制識別情報を前記ASK変復調方式以外の変復調方式により変復調する手段と、からなり、前記制御処理部は、有料道路の通行料金決済を行う場合には前記読み取ったETC情報を前記ASK変復調方式で変復調を行う命令を前記変復調部に送信し、前記交通規制識別情報を受信した場合には前記受信した交通規制識別情報を前記ASK変復調方式以外の変復調方式により変復調する命令を前記変復調部に送信する、交通規制警告機能を有する車載器である。
本発明によって、自動料金支払いシステムで利用する車載器を用いて、運転者に対して交通規制の情報を警告することが可能となる。
請求項2の発明は、自動料金支払いシステムで用いる車載器であって、前記自動料金支払いシステムで用いるETC用路側アンテナと、交通規制の内容を識別する交通規制識別情報を送信する交通規制用路側アンテナとの間で近距離無線通信により情報の送受信を行うアンテナ部と、前記ETC用路側アンテナ、前記交通規制用路側アンテナとの間で近距離無線通信で送受信する情報を変復調する変復調部と、有料道路の通行料金決済に用いるETC情報を記録したICチップ部と、前記車載器の制御を行う制御処理部と、前記交通規制識別情報とその内容とが対応づけて記録されており、前記受信した交通規制識別情報の内容を判別する交通規制警告部と、前記ETC情報を前記ICチップ部から抽出し、それを前記変復調部に送信するETC処理部と、を有しており、前記変復調部は、前記抽出したETC情報をASK変復調方式により変復調する手段と、前記交通規制識別情報を前記ASK変復調方式以外の変復調方式により変復調する手段と、からなり、前記制御処理部は、有料道路の通行料金決済を行う場合には前記抽出したETC情報を前記ASK変復調方式で変復調を行う命令を前記変復調部に送信し、前記交通規制識別情報を受信した場合には前記受信した交通規制識別情報を前記ASK変復調方式以外の変復調方式により変復調する命令を前記変復調部に送信する、交通規制警告機能を有する車載器である。
この車載器は、ETCカードを車載器に挿入することによって、自動料金支払いシステムでの支払いを行う他、ETCカードに記録しているETC情報を、車載器のICチップ部に予め記録しておくことによって、ETCカードの紛失、挿入し忘れ等を防ぐことが出来る。
請求項3の発明は、自動料金支払いシステムで用いる車載器であって、前記自動料金支払いシステムで用いるETC用路側アンテナと、交通規制の内容を識別する交通規制識別情報を送信する交通規制用路側アンテナと、有料道路以外の料金決済をクレジットカードで行う際に用いるクレジットカード決済用路側アンテナとの間で近距離無線通信により情報の送受信を行うアンテナ部と、前記ETC用路側アンテナ、前記交通規制用路側アンテナ、前記クレジットカード決済用路側アンテナとの間で近距離無線通信で送受信する情報を変復調する変復調部と、有料道路の通行料金決済に用いるETC情報とそれ以外の料金決済に用いるクレジットカード情報との双方を記録したICチップ部と、前記車載器の制御を行う制御処理部と、前記交通規制識別情報とその内容とが対応づけて記録されており、前記受信した交通規制識別情報の内容を判別する交通規制警告部と、前記ETC情報又は前記クレジットカード情報を前記ICチップ部から抽出し、それを前記変復調部に送信するETC処理部と、を有しており、前記変復調部は、前記抽出したETC情報をASK変復調方式により変復調する手段と、前記交通規制識別情報又は前記抽出したクレジットカード情報を前記ASK変復調方式以外の変復調方式により変復調する手段と、からなり、前記制御処理部は、有料道路の通行料金決済を行う場合には前記抽出したETC情報を前記ASK変復調方式で変復調を行う命令を前記変復調部に送信し、前記交通規制識別情報を受信した場合又は前記クレジットカード情報を抽出した場合には前記交通規制識別情報又は前記クレジットカード情報を前記ASK変復調方式以外の変復調方式により変復調する命令を前記変復調部に送信する、交通規制警告機能を有する車載器である。
この車載器は、ETCカードを挿入することによって、自動料金支払いシステムでの支払いを行う他、ETCカードに記録しているETC情報、クレジットカードに記録しているクレジットカード情報とを、車載器のICチップ部に予め記録しておくことによって、ETCカードの決済のみならず、他のクレジットカードを用いた料金決済を、クレジットカードの交換をすることなく、実現することが出来る。これによって、運転者がETCカードとクレジットカードの交換作業をすることによる注意力の散漫を防ぐことが出来、事故の予防に繋がる。
請求項4の発明は、前記交通規制警告部は、更に、前記運転者が交通違反を犯した場合の通報先の電話番号又は電子メールアドレスを記録しており、前記車載器は、更に、前記通報先の電話番号に対して架電又は電子メールアドレスに対して電子メールを送信することにより、前記運転者が交通違反を犯していることを通報する通報部を、有する交通規制警告機能を有する車載器である。
又、上述の車載器に、更に通報部を設けることによって交通違反を予め定められた第三者、例えば車両の運転者、所有者、警察署、レッカー会社、会社の責任者に通報することが出来る。これによって運転者が交通違反を犯した場合には第三者に知られることとなるので、運転者に対して交通法規の遵守を促すこととなる。従って交通違反の抑止に繋がる。
請求項5の発明は、前記交通規制用路側アンテナは、前記運転者が交通違反を犯した場合の通報先の電話番号又は電子メールアドレスを記録している管理サーバとデータの送受信が可能であって、前記車載器は、更に通報指示部を有しており、前記交通規制警告部は、前記運転者が交通違反を犯した場合に通報指示を送信する旨の命令を前記通報指示部に対して送信し、前記通報指示部は、前記通報先の電話番号に対して架電又は電子メールアドレスに対して電子メールを送信する通報指示を、前記変復調部にて変復調後、前記アンテナ部から近距離無線通信により前記管理サーバに対して送信する、交通規制警告機能を有する車載器である。
請求項5の発明により、通報先の電話番号や電子メールアドレスを車載器に記録しておかなく必要がなくなる。
請求項6の発明は、前記交通規制警告部は、更に、時刻又は時間を判別する計時機能を有しており、前記受信した交通規制識別情報で判別した交通規制の内容が、所定時刻又は所定時間帯に対する交通規制であった場合、前記計時機能で時刻又は時間帯を判別した後に、前記制御処理部を介して運転者に対して交通規制の警告を行う、交通規制警告機能を有する車載器である。
交通規制の中には、時間帯や時刻が限定されたものがある。この発明によって、このような時間帯や時刻が限定された交通規制にも対応が可能となる。
請求項7の発明は、前記車載器は、更に、ナビゲーション装置と接続可能な外部インターフェイス部を有しており、前記制御処理部は、前記有料道路の通行料金決済、前記クレジットカード決済の処理結果、前記交通規制の内容のうちいずれか一以上を、前記外部インターフェイス部を介して前記ナビゲーション装置に送信し、前記ナビゲーション装置のディスプレイ又はスピーカーに於いてその処理結果を表示、音声再生する、交通規制警告機能を有する車載器である。
車載器をナビゲーション装置と接続し、ナビゲーション装置で表示、音声再生を行っても良い。
請求項8の発明は、前記外部インターフェイス部は、USB接続端子である、交通規制警告機能を有する車載器である。
上述の接続端子としては、USB接続端子を用いることが良い。USB接続端子は汎用性があり、又その着脱も容易だからである。
本発明によって、運転者は交通規制の警告を車載器から把握することが出来、標識の見落とし等による交通違反や交通事故の抑止につなげることが出来る。又、従来のように、ナビゲーション装置等に制限速度や駐車禁止地域等を全く管理する必要がなくなるので、常に最新の情報で警告を受けることが出来る。
本発明の、交通規制警告機能を有する車載器1(以下、車載器1)の基本的システム構成の一例を図1のシステム構成図に示す。車載器1は、アンテナ部2、電源部10、変復調部3、制御処理部4、ETC処理部5、スイッチ部6、セキュリティモジュール部7、カードインターフェイス部8、交通規制警告部11、外部インターフェイス部9、リセット部12とを有している。
アンテナ部2は、有料道路の料金所やインターチェンジ等に設けられた路側アンテナ13(以下、ETC用路側アンテナ13a)、運転者に対して交通情報の送信を行いたい道路又はその近傍に設置された路側アンテナ13(以下、交通規制用路側アンテナ13b)との間で近距離無線通信により情報の送受信を行う手段であり、ETCカード(ETCの決済を行う場合のクレジットカード番号が記載されたクレジットカードの他、ETCで利用する金額を前払いしておきその残額又はそのカードを識別する番号(プリペイドカード番号)が記載されたプリペイドカードも含む)の情報(以下、ETC情報。ETCカード番号(ETCで利用するクレジットカード番号、ETCで利用するプリペイドカード番号)、車載器管理番号、車両登録番号等、ETC用のプリペイドカードの場合は残高、等のうち、いずれか一以上を含む)や交通規制の種類(例えば、制限速度、駐車禁止地域、一方通行等)を識別する交通規制識別情報を送受信する。
尚、アンテナ部2が近距離無線通信により情報の送受信を行う各路側アンテナ13(ETC用路側アンテナ13a、交通規制用路側アンテナ13b、後述するクレジットカード決済用路側アンテナ13c)は、その送受信する情報と設置場所が異なるだけで、自動料金支払いシステムで用いている路側アンテナ13を転用することが出来る。即ちETC用路側アンテナ13aは有料道路の料金所やインターチェンジ等に設置され、交通規制用路側アンテナ13bは運転者に対して交通規制の情報を送信したい場所、例えば道路や交差点等に設置され、クレジットカード決済用路側アンテナ13cは店舗やインターチェンジの各種施設に設置される。
電源部10は、車載器1に対して電力を供給する公知の手段であり、車両のバッテリーから供給されても良いし、太陽電池等により蓄電した電力を車載器1に対して供給しても良い。
変復調部3は、ETC用路側アンテナ13a、交通規制用路側アンテナ13bとの間で近距離無線通信により送受信する情報(ETC情報、交通規制識別情報)を変復調する手段である。変復調部3は、有料道路の通行料金決済を行うETC情報をASK(Amplitude Shift Keying)変復調方式で変復調する手段と、交通規制識別情報をQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変復調方式で変復調する手段とを有している。このように変復調部3で2つの変復調方式を具備するのは、有料道路の通行料金決済ではASK変復調方式が用いられており、それ以外ではQPSK変復調方式が用いられるからである。尚、本発明では交通規制識別情報を受信する場合の変復調方式として、QPSK変復調方式である場合を説明したが、それ以外の変復調方式であっても良い。
カードインターフェイス部8は、車載器1に挿入された、ETC情報が記録されたETCカード(自動料金支払いシステムで用いるETC情報を記録したICカード)の読み取り、書き込みを行う手段である。
交通規制警告部11は、交通規制用路側アンテナ13bから受信する交通規制識別情報とその内容とが対応づけて記録されており、受信した交通規制の内容を判別し、それを制御処理部4を介して運転者に警告する手段である。例えば交通規制識別情報として「10」とその内容として「駐車禁止地域」、交通規制識別情報として「20」とその内容として「制限速度30キロ」、交通規制識別情報として「22」とその内容として「制限速度40キロ」、交通規制識別情報として「24」とその内容として「制限速度50キロ」、交通規制識別情報として「26」とその内容として「制限速度60キロ」等が記録されている。又、制御処理部4から運転者に警告する為の音声データも記録されていると良い。この場合の交通規制警告部11の概念図を図11に示す。又、判別した交通規制の情報を制御処理部4に送信し、制御処理部4で車載器1のディスプレイに表示、車載器1のスピーカーで音声を再生する。
又、交通規制警告部11は更に計時機能(時刻又は時間の計時が可能な機能)を有しており、交通規制用路側アンテナ13bから受信した交通規制識別情報が、時間帯によって駐車禁止、進入禁止、左折・右折・直進禁止、一方通行等(例えば8時から20時までは駐車禁止、通行禁止等)がある場合、その時間帯を計時機能によってチェックした後に、交通規制の情報を制御処理部4に送信するか否か判別しても良い。
セキュリティモジュール部7は、有料道路の通行料金決済を行う際に、自動料金支払いシステムで用いられているセキュリティフォーマット(暗号形式)に従って、カードインターフェイス部8で読み取ったETC情報を暗号化する手段である。暗号化したETC情報は、変復調部3のASK変復調方式によって変復調後、アンテナ部2からETC用路側アンテナ13aに送信される。
又、アンテナ部2で受信した有料道路の通行料金決済に関する処理結果やETC情報は、変復調部3でASK変復調方式によって変復調後、セキュリティモジュール部7に於いて上述のセキュリティフォーマットに従って復号化し、それがカードインターフェイス部8によって、ETCカードに記録される。
スイッチ部6は、交通規制識別情報を交通規制用路側アンテナ13bから受信した場合、交通規制の警告を行うように切り替える手段である。従って、スイッチ部6は、有料道路の通行料金決済を行う場合には、カードインターフェイス部8がETCカードから読み取ったETC情報をセキュリティモジュール部7を介して抽出するように切り替え、交通規制識別情報を受信した場合には、交通規制の種類を抽出するように切り替えるスイッチの役割を果たしている。
制御処理部4は、車載器1の制御を行っている手段であって、有料道路の通行料金決済を行う場合には、制御処理部4はカードインターフェイス部8がETCカードに記録されたETC情報をセキュリティモジュール部7を介して抽出するように、スイッチ部6を切り替える命令を送信し、又、変復調部3に対してはASK変復調方式による変復調を行う命令を送信する。一方、交通規制識別情報を交通規制用路側アンテナ13bから受信した場合には、制御処理部4は、交通規制の種類を抽出するようにスイッチ部6を切り替える命令を送信し、又、変復調部3に対してはQPSK変復調方式による変復調を行う命令を送信する。
又、制御処理部4は、車載器1の表示制御、音声制御等も行っており、ETC処理部5に於ける処理結果を車載器1のディスプレイに表示したり、車載器1のスピーカーを介して音声を再生したりする。更に、制御処理部4は、交通規制警告部11に於ける交通規制の種類を車載器1のディスプレイに表示したり、車載器1のスピーカーを介して音声を再生したりする。
ETC処理部5は、有料道路の通行料金決済を行う為のETC情報を抽出する手段であって、それを変復調部3にて変復調した後、アンテナ部2からETC用路側アンテナ13aに対して送信する。更に、アンテナ部2に於いて受信し、変復調部3に於いて変復調後の情報を、制御処理部4に対して送信することで、例えば車載器1のディスプレイやスピーカーからその処理結果を表示、再生する。
有料道路の通行料金決済を行う場合には、ETC処理部5はスイッチ部6が制御処理部4によってセキュリティモジュール部7を介するようにセットされているので、カードインターフェイス部8でETCカードからETC情報を読み取り、それをセキュリティモジュール部7にて暗号化したETC情報を取得し、それを変復調部3に送信する。
外部インターフェイス部9は、車載器1のセットアップを行うコンピュータ端末や車両に設置されたナビゲーション装置との間を接続する端子部であって、好適にはUSB接続端子であると良い。
リセット部12は、車載器1の設定をリセットする手段である。例えばETC情報の車両登録番号に変更があった場合等にリセット部12を押下する等により、リセットする。
次に、本発明の交通規制警告機能を有する車載器1での処理の流れを、図6のフローチャート図、図1のシステム構成図とを用いて説明する。
車載器1を搭載した車両が、有料道路の料金所やインターチェンジに設けられたETC用路側アンテナ13a、運転者に対して交通情報の送信を行いたい道路又はその近傍に設置された交通規制用路側アンテナ13bに接近をする(S100)。
車載器1がETC用路側アンテナ13a又は交通規制用路側アンテナ13bの通信圏内に到達すると、車載器1とそれらの路側アンテナ13との間で近距離無線通信による通信が開始される(S110)。近距離無線通信にDSRCを用いている場合には、この通信は自動的に開始され、それ以外を用いている場合には、例えば車載器1に設けられた「通信開始」を示すボタンを押下する等の操作により、通信が開始されても良い。
この路側アンテナ13が交通規制識別情報を送信する交通規制用路側アンテナ13bである場合(即ち、S120で「NO」の場合)、制御処理部4は、スイッチ部6に対して交通規制の種類を抽出する為にスイッチを切り替える命令を送信する(S130)。又、制御処理部4は、変復調部3に対してはQPSK変復調方式による変復調を行う命令を送信する。
変復調部3では、制御処理部4からの命令に従ってQPSK変復調方式によって、アンテナ部2で受信した交通規制識別情報を変復調する(S140)。
変復調部3で変復調した交通規制識別情報を制御処理部4は交通規制警告部11に送信し、交通規制警告部11は、当該交通規制識別情報に該当する交通規制の内容を判別する(S150)。例えば受信した交通規制識別情報が「10」の場合、その交通規制の内容として「駐車禁止地域」であることを判別し、交通規制識別情報が「20」の場合、その交通規制の内容として「制限速度30キロ」であることを判別し、交通規制識別情報が「22」の場合、その交通規制の内容として「制限速度40キロ」であることを判別し、交通規制識別情報が「24」の場合、その交通規制の内容として「制限速度50キロ」であることを判別し、交通規制識別情報が「26」の場合、その交通規制の内容として「制限速度60キロ」であることを判別する。
そして交通規制警告部11は、判別した交通規制の内容とその音声データを抽出し、制御処理部4に送信する。制御処理部4はそれを受信し、車載器1のディスプレイに交通規制の内容を表示、車載器1のスピーカーで交通規制の内容の音声データを再生する、ことで運転者に対して警告を与える(S160)。
一方、路側アンテナ13が有料道路の通行料金決済を行うETC用路側アンテナ13aである場合(即ちS120で「YES」の場合)、制御処理部4は、スイッチ部6に対して、セキュリティモジュール部7を介してETC情報を抽出する為に、スイッチ部6を切り替える(S170)。又、制御処理部4は、変復調部3に対してはASK変復調方式による変復調を行う命令を送信する。
ETC処理部5は、スイッチ部6でセキュリティモジュール部7を介するようにセットされているので、カードインターフェイス部8がETCカードからETC情報を読み取り(S180)、それをセキュリティモジュール部7に於いて、自動料金支払いシステムで用いられているセキュリティフォーマット(暗号形式)に従ってETC情報を暗号化する(S190)。
そしてETC処理部5は、暗号化したETC情報を変復調部3に送信する。変復調部3では、制御処理部4からの命令に従ったASK変復調方式によって、ETC処理部5から受信した、暗号化したETC情報を変復調する(S200)。
そしてこのETC情報を車載器1からETC用路側アンテナ13aに対して近距離無線通信により送信することで(S210)、ETC用路側アンテナ13aでETC情報が受信され、それが有料道路の通行料金決済を行う決済サーバに対して送信される。これによって通行料金決済が行われる。
その後、その処理結果の情報が、有料道路の通行料金決済を行う決済サーバからETC用路側アンテナ13aに対して送信され、ETC用路側アンテナ13aから車載器1に対して近距離無線通信により、情報が送信される。この情報を車載器1が近距離無線通信により受信する(S210)。
制御処理部4は変復調部3に対してASK変復調方式による変復調を行う命令を送信しているので、アンテナ部2から情報を受信した変復調部3は、ASK変復調方式により、受信した情報を変復調する(S220)。
そして、スイッチ部6では制御処理部4がセキュリティモジュール部7を介するようにセットしているので、変復調した情報をETC処理部5がセキュリティモジュール部7に送信し、自動料金支払いシステムで用いられているセキュリティフォーマット(暗号形式)に従って、受信した情報を復号化する(S230)。そして復号化した情報を、場合によってはカードインターフェイス部8がETCカードに記録する。
又、ETC処理部5は、制御処理部4を介して処理結果の情報を、車載器1のディスプレイで表示、スピーカーで音声再生を行い、そのことを運転者に対して知らせる(S240)。
本発明の車載器1は、外部インターフェイス部9を介してナビゲーション装置と接続可能にしてあっても良い。即ち車載器1のディスプレイやスピーカーでその表示、音声再生を行う他、車載器1の外部インターフェイス部9を介してナビゲーション装置に対して処理結果の情報を送信し、ナビゲーション装置のディスプレイ、スピーカーでその表示、音声再生を行っても良い。
次に、実施例1の車載器1の他のシステム構成の一例を図2に示す。本実施例の車載器1は、実施例1の車載器1に於けるカードインターフェイス部8の代わりに、ETC情報を記録したICチップ部14を備えている。尚、実施例1と同様の部分は説明を省略する。
ICチップ部14は、従来はETCカードに記録されていたETC情報を記録しているICチップ等の記録媒体である。
セキュリティモジュール部7は、有料道路の通行料金決済を行う際に、自動料金支払いシステムで用いられているセキュリティフォーマット(暗号形式)に従って、ICチップ部14に記録したETC情報を暗号化する手段である。
又、アンテナ部2で受信した有料道路の通行料金決済に関する処理結果やETC情報は、変復調部3でASK変復調方式によって変復調後、セキュリティモジュール部7に於いて上述のセキュリティフォーマットに従って復号化し、ICチップ部14に記録される。
スイッチ部6は、交通規制識別情報を交通規制用路側アンテナ13bから受信した場合、交通規制の警告を行うように切り替える手段である。従って、スイッチ部6は、有料道路の通行料金決済を行う場合には、ICチップ部14に記録しているETC情報をセキュリティモジュール部7を介して抽出するように切り替え、交通規制識別情報を受信した場合には、交通規制の種類を抽出するように切り替えるスイッチの役割を果たしている。
制御処理部4は、車載器1の制御を行っている手段であって、有料道路の通行料金決済を行う場合には、制御処理部4はICチップ部14に記録されたETC情報をセキュリティモジュール部7を介して抽出するように、スイッチ部6を切り替える命令を送信し、又、変復調部3に対してはASK変復調方式による変復調を行う命令を送信する。一方、交通規制識別情報を交通規制用路側アンテナ13bから受信した場合には、制御処理部4は、交通規制の種類を抽出するようにスイッチ部6を切り替える命令を送信し、又、変復調部3に対してはQPSK変復調方式による変復調を行う命令を送信する。
ETC処理部5は、有料道路の通行料金決済を行う為のETC情報を抽出する手段であって、それを変復調部3にて変復調した後、アンテナ部2からETC用路側アンテナ13aに対して送信する。更に、アンテナ部2に於いて受信し、変復調部3に於いて変復調後の情報を、制御処理部4に対して送信することで、例えば車載器1のディスプレイやスピーカーからその処理結果を表示、再生する。
有料道路の通行料金決済を行う場合には、ETC処理部5はスイッチ部6が制御処理部4によってセキュリティモジュール部7を介するようにセットされているので、ICチップ部14からETC情報を読み取り、それをセキュリティモジュール部7にて暗号化したETC情報を取得し、それを変復調部3に送信する。
次に本実施例に於ける車載器1の処理の流れの一例を図7のフローチャート図と図2のシステム構成図とを用いて説明する。尚、S300からS360までは実施例1と同様なので説明を省略する。
路側アンテナ13が有料道路の通行料金決済を行うETC用路側アンテナ13aである場合(即ちS320で「YES」の場合)、制御処理部4は、スイッチ部6に対して、セキュリティモジュール部7を介してETC情報を抽出する為に、スイッチ部6を切り替える(S370)。又、制御処理部4は、変復調部3に対してはASK変復調方式による変復調を行う命令を送信する。
ETC処理部5は、スイッチ部6でセキュリティモジュール部7を介するようにセットされているので、ICチップ部14からETC情報を抽出し(S380)、それをセキュリティモジュール部7に於いて、自動料金支払いシステムで用いられているセキュリティフォーマット(暗号形式)に従ってETC情報を暗号化する(S390)。
そしてETC処理部5は、暗号化したETC情報を変復調部3に送信する。変復調部3では、制御処理部4からの命令に従ったASK変復調方式によって、ETC処理部5から受信した、暗号化したETC情報を変復調する(S400)。
そしてこのETC情報を車載器1からETC用路側アンテナ13aに対して近距離無線通信により送信することで(S410)、ETC用路側アンテナ13aでETC情報が受信され、それが有料道路の通行料金決済を行う決済サーバに対して送信される。これによって通行料金決済が行われる。
その後、その処理結果の情報が、有料道路の通行料金決済を行う決済サーバからETC用路側アンテナ13aに対して送信され、ETC用路側アンテナ13aから車載器1に対して近距離無線通信により、情報が送信される。この情報を車載器1が近距離無線通信により受信する(S410)。
制御処理部4は変復調部3に対してASK変復調方式による変復調を行う命令を送信しているので、アンテナ部2から情報を受信した変復調部3は、ASK変復調方式により、受信した情報を変復調する(S420)。
そして、スイッチ部6では制御処理部4がセキュリティモジュール部7を介するようにセットしているので、変復調した情報をETC処理部5がセキュリティモジュール部7に送信し、自動料金支払いシステムで用いられているセキュリティフォーマット(暗号形式)に従って、受信した情報を復号化する(S430)。そして復号化した情報を、場合によってはICチップ部14に記録する。
又、ETC処理部5は、制御処理部4を介して処理結果の情報を、車載器1のディスプレイで表示、スピーカーで音声再生を行い、そのことを運転者に対して知らせる(S440)。
次に、実施例2の車載器1の他のシステム構成の一例を図3に示す。本実施例の車載器1は、実施例2の車載器1に於けるICチップ部14に、ETC情報の他に、クレジットカード情報(クレジットカード番号、有効期限等)を記録しており、車載器1で、有料道路の通行料金決済、交通規制識別情報の受信の他にも、店舗やサービスエリア等に設けられたクレジットカード決済用路側アンテナ13cにより、クレジットカードで各種施設での料金決済が可能な場合を示している。尚、実施例1又は実施例2と同様の部分は説明を省略する。
アンテナ部2は、有料道路の料金所やインターチェンジ等に設けられたETC用路側アンテナ13a、運転者に対して交通情報の送信を行いたい道路又はその近傍に設置された交通規制用路側アンテナ13b、店舗やサービスエリア等に設けられたクレジットカード決済用路側アンテナ13cとの間で近距離無線通信により情報の送受信を行う手段であり、ETC情報、交通規制識別情報、クレジットカード情報を送受信する。
変復調部3は、それらの路側アンテナ13との間で近距離無線通信により送受信する情報(ETC情報、交通規制識別情報、クレジットカード情報)を変復調する手段である。変復調部3は、有料道路の通行料金決済を行うETC情報をASK(Amplitude Shift Keying)変復調方式で変復調する手段と、それ以外の情報、例えば交通規制識別情報、クレジットカード情報をQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変復調方式で変復調する手段とを有している。このように変復調部3で2つの変復調方式を具備するのは、有料道路の通行料金決済ではASK変復調方式が用いられており、それ以外ではQPSK変復調方式が用いられるからである。
ICチップ部14は、ETCカードに記録されているETC情報と、クレジットカードのクレジットカード情報(例えばクレジットカード番号、有効期限等)とを各々の記録領域に記録しているICチップ等の記録媒体である。
スイッチ部6は、交通規制識別情報又はクレジットカード情報を交通規制用路側アンテナ13b又はクレジットカード決済用路側アンテナ13cから受信した場合、交通規制の警告やクレジットカード決済を行うように切り替える手段である。従って、スイッチ部6は、有料道路の通行料金決済を行う場合には、ICチップ部14に記録しているETC情報を抽出するように切り替え、交通規制識別情報を受信した場合又はクレジットカード決済を行う場合には、セキュリティモジュール部7を介さないで、交通規制警告部11で交通規制の内容を抽出する、或いはICチップ部14に記録しているクレジットカード情報を抽出するように切り替えるスイッチの役割を果たしている。
制御処理部4は、車載器1の制御を行っている手段であって、有料道路の通行料金決済を行う場合には、制御処理部4はICチップ部14に記録されたETC情報をセキュリティモジュール部7を介して抽出するように、スイッチ部6を切り替える命令を送信し、又、変復調部3に対してはASK変復調方式による変復調を行う命令を送信する。一方、交通規制識別情報を交通規制用路側アンテナ13bから受信した場合又はクレジットカード決済を行う場合には、制御処理部4は、セキュリティモジュール部7を介さないようにスイッチ部6を切り替える命令を送信し、又、変復調部3に対してはQPSK変復調方式による変復調を行う命令を送信する。
又、制御処理部4は、車載器1の表示制御、音声制御等も行っており、ETC処理部5に於ける処理結果を車載器1のディスプレイに表示したり、車載器1のスピーカーを介して音声を再生したりする。更に、制御処理部4は、交通規制警告部11に於ける交通規制の種類を車載器1のディスプレイに表示したり、車載器1のスピーカーを介して音声を再生したりする。
ETC処理部5は、有料道路の通行料金決済を行う為のETC情報又は各種施設でのクレジットカード決済を行う為のクレジットカード情報を抽出する手段であって、それを変復調部3にて変復調した後、アンテナ部2からETC用路側アンテナ13a又はクレジットカード決済用路側アンテナ13cに対して送信する。更に、アンテナ部2に於いて受信し、変復調部3に於いて変復調後の情報を、制御処理部4に対して送信することで、例えば車載器1のディスプレイやスピーカーからその処理結果を表示、再生する。
有料道路の通行料金決済を行う場合には、ETC処理部5はスイッチ部6が制御処理部4によってセキュリティモジュール部7を介するようにセットされているので、ICチップ部14からETC情報を読み取り、それをセキュリティモジュール部7にて暗号化したETC情報を取得し、それを変復調部3に送信する。
クレジットカードによる各種施設での料金決済を行う場合には、ETC処理部5はスイッチ部6が制御処理部4によってセキュリティモジュール部7を介さないようにセットされているので、ICチップ部14に記録しているクレジットカード情報を抽出し、それを変復調部3に送信する。尚、クレジットカード情報は、ETC処理部5に於いて、独自の暗号化処理を施した後に、変復調部3に送信しても良い。
次に本実施例に於ける車載器1の処理の流れの一例を図8のフローチャート図と図3のシステム構成図とを用いて説明する。尚、S500からS530までは実施例1又は実施例2と同様なので説明を省略する。
この路側アンテナ13が有料道路の通行料金決済以外の場合であって、交通規制識別情報を送信する交通規制用路側アンテナ13bである場合(即ち、S520で「NO」でありS540で「YES」の場合)、制御処理部4は、変復調部3に対してQPSK変復調方式による変復調を行う命令を送信する。
変復調部3では、制御処理部4からの命令に従ってQPSK変復調方式によって、アンテナ部2で受信した交通規制識別情報を変復調する(S550)。
変復調部3で変復調した交通規制識別情報を制御処理部4は交通規制警告部11に送信し、交通規制警告部11は、当該交通規制識別情報に該当する交通規制の内容を判別する(S560)。例えば受信した交通規制識別情報が「10」の場合、その交通規制の内容として「駐車禁止地域」であるとを判別し、交通規制識別情報が「20」の場合、その交通規制の内容として「制限速度30キロ」であるとを判別し、交通規制識別情報が「22」の場合、その交通規制の内容として「制限速度40キロ」であるとを判別し、交通規制識別情報が「24」の場合、その交通規制の内容として「制限速度50キロ」であるとを判別し、交通規制識別情報が「26」の場合、その交通規制の内容として「制限速度60キロ」であるとを判別する。
そして交通規制警告部11は、判別した交通規制の内容とその音声データを抽出し、制御処理部4に送信する。制御処理部4はそれを受信し、車載器1のディスプレイに交通規制の内容を表示、車載器1のスピーカーで交通規制の内容の音声データを再生する、ことで運転者に対して警告を与える(S570)。
一方、路側アンテナ13が有料道路の通行料金決済以外の場合であって、各種施設でのクレジットカード決済を行う場合(即ち、S520で「NO」でありS540で「NO」の場合)、制御処理部4は、変復調部3に対してQPSK変復調方式による変復調を行う命令を送信する。
ETC処理部5は、スイッチ部6でセキュリティモジュール部7を介さないようにセットされているので、ICチップ部14に記録されたクレジットカード情報を抽出し(S580)、それを変復調部3に送信する。尚、クレジットカード情報は、ETC処理部5に於いて、独自の暗号化処理を施した後に、変復調部3に送信しても良い。
変復調部3では、制御処理部4からの命令に従ったQPSK変復調方式によって、ETC処理部5から受信した、クレジットカード情報を変復調する(S590)。
そしてこのクレジットカード情報を車載器1からクレジットカード決済用路側アンテナ13cに対して近距離無線通信により送信することで(S600)、クレジットカード決済用路側アンテナ13cでクレジットカード情報が受信され、それが各種施設でのクレジットカード決済を行う決済サーバに対して送信される。これによってクレジットカード決済が行われる。
その後、その処理結果の情報が、クレジットカード決済を行う決済サーバからクレジットカード決済用路側アンテナ13cに対して送信され、クレジットカード決済用路側アンテナ13cから車載器1に対して近距離無線通信により、情報が送信される。この情報を車載器1が近距離無線通信により受信する(S600)。
制御処理部4は変復調部3に対してQPSK変復調方式による変復調を行う命令を送信しているので、アンテナ部2から情報を受信した変復調部3は、QPSK変復調方式により、受信した情報を変復調する(S610)。
そしてETC処理部5が、場合によっては、変復調した情報をICチップ部14のクレジットカード情報を記録する領域に記録する。
又、ETC処理部5は、制御処理部4を介して処理結果の情報を、車載器1のディスプレイで表示、スピーカーで音声再生を行い、そのことを運転者に対して知らせる(S690)。
路側アンテナ13が有料道路の通行料金決済を行うETC用路側アンテナ13aである場合(即ちS320で「YES」の場合)、本実施例のS620からS690は、実施例2のS370からS440と同様であるので、説明を省略する。
次に、実施例1乃至実施例3の車載器1の他のシステム構成の一例を図4に示す。本実施例の車載器1は、実施例1乃至実施例3の車載器1に於いて、更に、運転者が違反を犯していることを、架電又は電子メールにより、予め定められた者(例えば運転者、車両所有者、警察署、レッカー会社等)に対して通報する通報部15を有している。尚、図4は車載器1にカードインターフェイス部8がある場合を示しているが、実施例2、実施例3のように、カードインターフェイス部8の代わりにICチップ部14であっても良い。又、実施例1乃至実施例3と同様の部分は説明を省略する。
変復調部3は、各路側アンテナ13(ETC用路側アンテナ13a、交通規制用路側アンテナ13b、クレジットカード決済用路側アンテナ13c)との間で近距離無線通信により送受信する情報(ETC情報、交通規制識別情報、クレジットカード情報)を変復調する手段である。変復調部3は、有料道路の通行料金決済を行うETC情報をASK(Amplitude Shift Keying)変復調方式で変復調する手段と、交通規制識別情報をQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変復調方式で変復調する手段とを有している。このように変復調部3で2つの変復調方式を具備するのは、有料道路の通行料金決済ではASK変復調方式が用いられており、それ以外ではQPSK変復調方式が用いられるからである。尚、本発明では交通規制識別情報を受信する場合の変復調方式として、QPSK変復調方式である場合を説明したが、それ以外の変復調方式であっても良い。
交通規制警告部11は、交通規制用路側アンテナ13bから受信する交通規制識別情報とその内容とが対応づけて記録されており、受信した交通規制の内容を判別し、それを制御処理部4を介して運転者に警告する手段である。更に、交通規制警告部11は、所定要件を満たした場合の運転者、車両所有者、警察署、レッカー会社、会社の責任者等の連絡先(電話番号、電子メールアドレス等)の情報を記録しておく。
例えば交通規制識別情報として「10」とその内容として「駐車禁止地域」、交通規制識別情報として「20」とその内容として「制限速度30キロ」、交通規制識別情報として「22」とその内容として「制限速度40キロ」、交通規制識別情報として「24」とその内容として「制限速度50キロ」、交通規制識別情報として「26」とその内容として「制限速度60キロ」等が記録されている。又、制御処理部4から運転者に警告する為の音声データも記録されていると良い。この場合の交通規制警告部11の概念図を図11に示す。又、判別した交通規制の情報を制御処理部4に送信し、制御処理部4で車載器1のディスプレイに表示、車載器1のスピーカーで音声を再生する。
又、交通規制警告部11は更に計時機能(時刻又は時間の計時が可能な機能)を有しており、交通規制用路側アンテナ13bから受信した交通規制識別情報が、所定時間内は駐車可能(例えば60分以内は駐車可能等)等の時間帯によってその交通規制の内容が変わる場合には、その交通規制識別情報を最初に受信した時刻を記録しておき、当該時間経過後にも再度その交通規制識別情報を受信した場合、運転者、車両所有者、警察署、レッカー会社、会社の責任者等の予め定められた連絡先(電話番号、電子メール等)の情報を抽出し、通報部15に当該連絡先の情報と警告内容とを通報する。
例えば交通規制用路側アンテナ13bから受信した交通規制識別情報の判別した交通規制の内容が、「60分以内は駐車可能」であった場合、当該場所で最初にその交通規制識別情報を受信した時刻を交通規制警告部11は記録しておく。そして60分を経過した後、再度その場所で同じ交通規制識別情報(「60分以内は駐車可能」)を受信した場合には、その車載器1を搭載した車両は、交通規制に違反しているので、それを警告する為に、通報部15から運転者又は車両の所有者にそのメッセージを電子メールによって送信、又は架電によって音声再生する。運転者のみならず、車両所有者、会社の責任者にも警告することによって、運転者が駐車違反をしていることを、車両所有者や会社の責任者が運転者に対して別途架電等により連絡することが出来る。これによって、車両所有者や会社の責任者が駐車違反の交通反則金を支払うリスクを減らすことが出来る。
又、当該車両は交通規制に違反しているので、その旨を警察署、レッカー会社等に連絡しても良い。これによって、警察署が駐車違反を摘発する効率を上げることが出来る。
通報部15は、運転者が違反を犯していることを、架電又は電子メールにより、予め定められた者(例えば運転者、車両所有者、警察署、レッカー会社、会社の責任者等)に対して通報する手段である。
次に、本実施例の車載器1での処理の流れを、図9のフローチャート図、図4のシステム構成図とを用いて説明する。
本実施例のS700からS760は、実施例1のS100からS160、実施例2のS300からS360、実施例3のS500からS570と同様であるので説明を省略する。
交通規制警告部11で交通規制識別情報を判別後、交通規制警告部11は、その計時機能により、当該場所で当該交通規制識別情報を受信した時刻を記録する。そしてその交通規制識別情報で判別した交通規制の内容に応じた時間経過後も、再度その場所で交通規制識別情報を受信した場合、運転者、車両所有者、警察署、レッカー会社等の予め定められた連絡先(電話番号、電子メール等)の情報を抽出し、通報部15に当該連絡先の情報と警告内容とを送信する。
通報部15は、交通規制警告部11から連作先の情報と警告内容とを受信後、その連絡先に対して、運転者が違反をしていることを通報する(S770)。この際に、どの場所で違反しているかを併せて連絡すると良い。この場所の連絡を行う場合には、交通規制用路側アンテナ13bからその交通規制用路側アンテナ13bの位置情報又は識別情報を車載器1で受信し、それを当該警告内容に併せて連絡することで、場所の特定が可能となる。
本実施例のS780からS850は、実施例1のS170からS240まで、実施例2のS370からS440、実施例3のS620からS690と同様であるので説明を省略する。
本実施例のようにすることで、「所定時間内駐車可能」のような交通規制の他、駐車場のパーキングメーターの代わりに、交通規制用路側アンテナ13bを設け、駐車場の管理システムとしても利用することが出来る。
又、駐車場の管理システムとした場合、実施例3のように車載器1がクレジットカード決済可能である場合には、ETC処理部5がICチップ部14に記録したクレジットカード情報を抽出し、変復調部3でQPSK変復調方式による変復調後、交通規制用路側アンテナ13b(又はクレジットカード決済用路側アンテナ13c)に対してクレジットカード情報を送信することで、駐車料金のクレジットカード決済を可能にすることが出来る。
次に、実施例1乃至実施例4の車載器1の他のシステム構成の一例を図5に示す。本実施例の車載器1は、実施例1乃至実施例4の車載器1に於いて、更に、運転者が違反を犯していることを、架電又は電子メールにより、予め定められた者(例えば運転者、車両所有者、警察署、レッカー会社等)に対して通報する場合に、実施例4とは異なり、その旨を管理サーバ17に指示し、管理サーバ17から予め定められた者に対して通報を行う場合を示す。又、実施例4と同様に、図5は車載器1にカードインターフェイス部8がある場合を示しているが、カードインターフェイス部8の代わりにICチップ部14であっても良い。又、実施例1乃至実施例4と同様の部分は説明を省略する。尚、管理サーバ17では運転者が交通違反を犯した場合の通報先をデータベースやデータファイル等に記録している。
交通規制警告部11は、交通規制用路側アンテナ13bから受信する交通規制識別情報とその内容とが対応づけて記録されており、受信した交通規制の内容を判別し、それを制御処理部4を介して運転者に警告する手段である。又、通報指示部16に対して、通報指示を送信するように命令を送信する手段でもある。
例えば交通規制識別情報として「10」とその内容として「駐車禁止地域」、交通規制識別情報として「20」とその内容として「制限速度30キロ」、交通規制識別情報として「22」とその内容として「制限速度40キロ」、交通規制識別情報として「24」とその内容として「制限速度50キロ」、交通規制識別情報として「26」とその内容として「制限速度60キロ」等が記録されている。又、制御処理部4から運転者に警告する為の音声データも記録されていると良い。この場合の交通規制警告部11の概念図を図11に示す。又、判別した交通規制の情報を制御処理部4に送信し、制御処理部4で車載器1のディスプレイに表示、車載器1のスピーカーで音声を再生する。
又、交通規制警告部11は更に計時機能(時刻又は時間の計時が可能な機能)を有しており、交通規制用路側アンテナ13bから受信した交通規制識別情報が、所定時間内は駐車可能(例えば60分以内は駐車可能等)等の時間帯によってその交通規制の内容が変わる場合には、その交通規制識別情報を最初に受信した時刻を記録しておき、当該時間経過後にも再度その交通規制識別情報を受信した場合、その旨を通報指示部16に送信する。
例えば交通規制用路側アンテナ13bから受信した交通規制識別情報の判別した交通規制の内容が、「60分以内は駐車可能」であった場合、当該場所で最初にその交通規制識別情報を受信した時刻を交通規制警告部11は記録しておく。そして60分を経過した後、再度その場所で同じ交通規制識別情報(「60分以内は駐車可能」)を受信した場合には、その車載器1を搭載した車両は、交通規制に違反しているので、それを警告する為に、通報指示部16に対して、管理サーバ17に記録してある当該車載器1の予め定められた通報先(例えば運転者、車両の所有者、会社の責任者、警察署、レッカー会社等)に架電又は電子メールにて送信するように、送信する。そしてそれを受信した後述する通報指示部16が、変復調部3、アンテナ部2を介して近距離無線通信によりその通報指示を交通規制用路側アンテナ13bに送信する。交通規制用路側アンテナ13bは、通報指示を受信すると、管理サーバ17に対して通報指示を送信する。管理サーバ17で通報指示を受信すると、予め登録してある通報先に対して、当該車両の運転者が交通違反を犯している旨のメッセージを電子メールによって送信、又は架電によって音声再生する。これによって、車両所有者や会社の責任者が駐車違反の交通反則金を支払うリスクを減らすことが出来る。
通報指示部16は、運転者が違反を犯していることを予め定められた者(例えば運転者、車両所有者、警察署、レッカー会社、会社の責任者等)に対して管理サーバ17から電子メール又は架電によって通報するように、その通報指示を送信する手段である。
交通規制用路側アンテナ13bは、交通規制違反を犯した場合の通報先を記録している管理サーバ17とデータの送受信が可能である。
次に、本実施例の車載器1での処理の流れを、図10のフローチャート図、図5のシステム構成図とを用いて説明する。
本実施例のS900からS960は、実施例1のS100からS160、実施例2のS300からS360、実施例3のS500からS570、実施例4のS700からS760と同様であるので説明を省略する。
交通規制警告部11で交通規制識別情報を判別後、交通規制警告部11は、その計時機能により、当該場所で当該交通規制識別情報を受信した時刻を記録する。そしてその交通規制識別情報で判別した交通規制の内容に応じた時間経過後も、再度その場所で交通規制識別情報を受信した場合、通報指示部16に対して、通報指示を送信するように命令を送信する。
通報指示の送信命令を受信した通報指示部16は、管理サーバ17に対して、管理サーバに於いて記録している当該車載器の予め定められた通報先(例えば運転者、車両の所有者、会社の責任者、警察署、レッカー会社等)に架電又は電子メールにて送信するように、通報指示を管理サーバ17に送信する(S970)。
具体的には、通報指示部16は、変復調部3で通報指示をQPSK変復調方式により変復調し、それをアンテナ部2から近距離無線通信により交通規制用路側アンテナ13bに対して送信する。この際に車載器1を識別する車載器番号、車両を識別する車両登録番号等を併せて送信しても良い。
車載器1から通報指示を受信した交通規制用路側アンテナ13bは、それを管理サーバ17に送信する。管理サーバ17は通報指示を受信すると、予め記録している通報先に対して、当該車両の運転者が交通違反を犯している旨のメッセージを電子メールによって送信、又は架電によって音声再生する(S980)。これによって、車両所有者や会社の責任者が駐車違反の交通反則金を支払うリスクを減らすことが出来る。
本実施例のS990からS1060は、実施例1のS170からS240まで、実施例2のS370からS440、実施例3のS620からS690、実施例4のS780からS850までと同様であるので説明を省略する。
本実施例のようにすることで、実施例4とは異なり、車載器1で通報先を記録しておかなくても、管理サーバ17から通報をすることが出来、又、実施例4と同様の効果を得ることが出来る。従って、実施例4で上述した駐車場の管理システムを、本実施例のように構成することも出来る。
実施例1乃至実施例5の車載器1を、更に車両に取り付けた速度検出装置と外部インターフェイス部9等を介して接続することにより、交通規制用路側アンテナ13bから受信した交通規制の内容のうち、速度規制に関する場合には、速度検出装置で検出した車両の速度と、当該速度規制とを対比することで、それを超過している場合、或いは法定速度を所定以上超過している場合には、その情報と車両登録番号や車載器管理番号と併せて制御処理部4が車載器1から交通規制用路側アンテナ13bに対して送信することで、交通違反の摘発を可能としても良い。
本発明に於ける各機能は、その機能が論理的に区別されているのみであって、物理上あるいは事実上は同様の領域を為していても良い。
尚、本発明を実施するにあたり本実施態様の機能を実現するソフトウェアのプログラムを記録した記憶媒体をシステムに供給し、そのシステムのコンピュータが記憶媒体に格納されたプログラムを読み出し実行することによって実現されることは当然である。
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラム自体が前記した実施態様の機能を実現することとなり、そのプログラムを記憶した記憶媒体は本発明を当然のことながら構成することになる。
プログラムを供給する為の記憶媒体としては、例えば磁気ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープ、不揮発性のメモリカード等を使用することができる。
又、コンピュータが読み出したプログラムを実行することにより、上述した実施態様の機能が実現されるだけではなく、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステムなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前記した実施態様の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
更に、記憶媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わる不揮発性あるいは揮発性の記憶手段に書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、機能拡張ボードあるいは機能拡張ユニットに備わる演算処理装置などが実際の処理の一部あるいは全部を行い、その処理により前記した実施態様の機能が実現される場合も含まれることは当然である。
本発明によって、運転者は交通規制の警告を車載器から把握することが出来、標識の見落とし等による交通違反や交通事故の抑止につなげることが出来る。又、従来のように、ナビゲーション装置等に制限速度や駐車禁止地域等を全く管理する必要がなくなるので、常に最新の情報で警告を受けることが出来る。
本発明の車載器の基本となるシステム構成の一例を示したシステム構成図である。
本発明の車載器の他のシステム構成の一例を示したシステム構成図である。
本発明の車載器の他のシステム構成の一例を示したシステム構成図である。
本発明の車載器の他のシステム構成の一例を示したシステム構成図である。
本発明の車載器の他のシステム構成の一例を示したシステム構成図である。
本発明の車載器の基本となる処理の流れの一例を示したフローチャート図である。
本発明の車載器の他の処理の流れの一例を示したフローチャート図である。
本発明の車載器の他の処理の流れの一例を示したフローチャート図である。
本発明の車載器の他の処理の流れの一例を示したフローチャート図である。
本発明の車載器の他の処理の流れの一例を示したフローチャート図である。
交通規制識別情報と交通規制の内容との対応関係の一例を示した概念図である。
符号の説明
1:車載器
2:アンテナ部
3:変復調部
4:制御処理部
5:ETC処理部
6:スイッチ部
7:セキュリティモジュール部
8:カードインターフェイス部
9:外部インターフェイス部
10:電源部
11:交通規制警告部
12:リセット部
13:路側アンテナ
13a:ETC用路側アンテナ
13b:交通規制用路側アンテナ
13c:クレジットカード決済用路側アンテナ
14:ICチップ部
15:通報部
16:通報指示部
17:管理サーバ