JP2005249486A - 超音波厚み測定方法および装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 周囲の環境の変化の影響を受けにくい超音波厚み測定方法および装置を提供する。
【解決手段】 シート状の対象物の一方の表面側に向けて超音波を送信し、他方の表面側からの超音波を受信し、受信強度に基づいて厚みを測定する際に、送信出力を一定に保ちながら、超音波の送信距離と受信距離とを、受信強度が極大となるように調整する。周囲の環境のうち、影響の最も大きい温度の変化に対しても、調整時の温度T0で受信強度が極大となるように調整することができる。調整時の温度T0が常温付近であり、厚みの測定を常温付近で行えば、常温付近の範囲内、たとえば25±2℃程度の範囲内では、受信強度の変化を抑えることが可能である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、薄いシート材などの厚みを超音波で測定する超音波厚み測定方法および装置に関する。
従来から、各種フィルムなどの薄いシート材は、種々の分野に広く用いられている。シート材を製造したり、利用したりする際には、厚みの管理が重要である。シート材の厚みは、機械的な方法や光学的な方法で測定されている。機械的な方法では、シート材の両面を挟んで、その間隔をマイクロメータやダイヤルゲージで測定する。シート材の表面に直接接触する必要があるので、シート材が連続的に生産されていたり、表面に流動状態の塗工被膜が存在するような場合には測定が困難である。光学的な方法では、光がシート材を透過する際の吸収量が厚みに対応することを利用する。このような方法は、シート材を連続的に生産するような場合に特に適している。しかし、光の吸収量はシート材の材質によって異なり、材料毎に較正データを用意しなければならない。
シート材料の厚み測定に、超音波を利用することも考えられる。境界のある流体についての理論上、「板の固有音響抵抗が、周囲媒質のよりも十分大きく、かつ板が十分薄い場合」、「薄板の透過率は、周波数一定であれば、板の質量により決まり、材質には依存しないことになる。」(たとえば、非特許文献1参照。)からである。
シート材料の厚みを超音波で測定する場合、大気中に超音波を出力し、そのエネルギで薄いフィルムなどのシート材料を振動させる。この振動がシート材料の超音波を受ける側と反対側の大気を伝わって、超音波振動子などを振動させ、電気信号に変換されて受信信号となる。
超音波便覧編集委員会編「超音波便覧」丸善株式会社、平成11年8月30日発行、p.47
超音波を利用する測定では、超音波が大気中などの周囲の流体の媒質中を伝搬する波動であることの影響を強く受ける。大気中での音速は330〜350m/s程度であり、超音波の周波数を20k〜100kHz程度とすれば、波長は3.3〜17.5mm程度となる。超音波の媒質中へ出力や媒質中を伝搬する振動の受信には、超音波振動子が利用される。超音波を出力する超音波振動子とシート材との間の送信距離や、振動を受信する超音波振動子とシート材との間の受信距離は、定在波の位相に関連する。
超音波の出力は、超音波振動子を駆動する電気的出力の制御で一定に保つことができる。超音波振動子とシート材との送信距離や受信距離は、機械的に超音波振動子を保持して、一定に保つことができる。しかしながら、温度、湿度、気圧、気体の成分などの周囲の環境が変動すると、音速も変動し、超音波振動子が配置される位置での定在波の位相が変化して、最終的な超音波の受信信号の強度も変動してしまう。フィルムなどのシート材について厚みを測定する環境は、温度、湿度、気圧、気体の成分など、ある程度は変動を抑えることができ、たとえば温度は常温付近とすることができる。しかしながら、環境の変化を完全に生じないようにすることは不可能であり、環境の変化を小さくすることにもコストがかかる。したがって、温度などの周囲の環境の変化があっても、測定精度に影響を受けにくい超音波厚み測定が要望される。
本発明の目的は、周囲の環境の変化の影響を受けにくい超音波厚み測定方法および装置を提供することである。
本発明は、シート状の対象物の一方の表面側に向けて超音波を送信し、他方の表面側からの超音波を受信し、受信強度に基づいて厚みを測定する超音波厚み測定方法において、
送信出力を一定に保ちながら、超音波の送信距離と受信距離とのうちの少なくとも一方を、受信強度が極大となるように調整して、
調整された送信距離および受信距離で、対象物の厚みを測定することを特徴とする超音波厚み測定方法である。
本発明に従えば、シート状の対象物の一方の表面側に向けて超音波を送信し、他方の表面側からの超音波を受信する。シート材などの薄板の透過率は、周波数一定であれば、板の質量により決まり、材質には依存しないことになる。シート材の質量は、密度が均一であれば厚みに比例するので、超音波の受信強度は、シート材の厚みに基づいて変化し、受信強度から厚みを測定することができる。送信出力を一定に保ちながら、超音波の送信距離と受信距離とのうちの少なくとも一方を、受信強度が極大となるように調整するので、送信距離と受信距離とを、調整時の温度での定在波との位相関係が最適な状態に調整することができる。測定出力に対する環境の影響は、温度が最も大きく、二次曲線で近似することができることが判明している。調整直後の状態では、温度変化による受信強度の変化は、近似される二次曲線のピーク付近で生じるようになる。調整された送信距離および受信距離で、対象物の厚みを測定するので、温度変化に対する受信強度の変化を表す曲線上での傾斜角の絶対値が小さい範囲となって、周囲の環境の変化の中で最も測定出力に対する影響が大きくなる温度変化があっても、その温度変化の影響を受けにくくすることができる。
さらに本発明は、シート状の対象物の厚みを測定する超音波厚み測定装置において、
該対象物の一方の表面側に向けて超音波を送信する送信側変換器を保持し、該一方側表面と該送信側変換器との間の送信距離を調整可能な送信手段と、
該対象物の他方の表面側からの超音波を受信する受信側変換器を保持し、該他方側表面と該受信側変換器との間の受信距離を調整可能な受信手段と、
送信手段および受信手段が臨む該対象物の表面の位置を移動可能な移動手段と、
送信手段および受信手段を制御して、送信出力を一定に保ちながら、送信手段による超音波の送信距離、および受信手段による受信距離を、受信強度が極大となるようにそれぞれ調整し、移動手段を制御して、調整された送信距離および受信距離で、送信手段および受信手段が臨む対象物の表面の位置を移動させて、対象物の厚みを測定するように制御する制御手段とを、
含むことを特徴とする超音波厚み測定装置である。
本発明に従えば、シート状の対象物の厚みを測定する超音波厚み測定装置は、送信手段と、受信手段と、移動手段と、制御手段とを含む。送信手段は、対象物の一方の表面側に向けて超音波を送信する送信側変換器を保持し、一方側表面と送信側変換器との間の送信距離を調整可能である。受信手段は、対象物の他方の表面側からの超音波を受信する受信側変換器を保持し、他方側表面と受信側変換器との間の受信距離を調整可能である。移動手段は、送信手段および受信手段が臨む対象物の表面の位置を移動可能であるので、対象物の厚みを測定する位置を、表面に沿って変えることができる。制御手段は、送信手段および受信手段を制御して、送信出力を一定に保ちながら、送信手段による超音波の送信距離、および受信手段による受信距離を、受信強度が極大となるようにそれぞれ調整するので、送信距離と受信距離とを、調整時の温度での定在波との位相関係が最適な状態に調整することができる。測定出力に対する環境の影響は、温度が最も大きく、二次曲線で近似することができることが判明しているので、調整直後の状態では、温度変化による受信強度の変化は、近似される二次曲線のピーク付近で生じるようになる。制御手段は、移動手段を制御して、調整された送信距離および受信距離で、送信手段および受信手段が臨む対象物の表面の位置を移動させて、対象物の厚みを測定するように制御するので、たとえば送信距離および受信距離の調整で基準の厚み部分による較正も行い、対象物の表面に沿って走査しながら較正された基準の厚みに基づく、対象物の厚み測定を行うことができる。
本発明によれば、シート状の対象物の一方の表面側に向けて超音波を送信し、他方の表面側からの超音波を受信する厚み測定の際に、送信出力を一定に保ちながら、超音波の送信距離と受信距離とのうちの少なくとも一方を、受信強度が極大となるように調整するので、周囲の環境の変化の影響を受けにくい超音波厚み測定を行うことができる。
さらに本発明によれば、シート状の対象物の厚みを超音波で測定する際に大きな影響を与える温度の変化に関して、受信強度の変化は、近似される二次曲線のピーク付近で生じるようになり、温度などの周囲の環境の変化の影響を受けにくい超音波厚み測定を行うことができる。送信距離および受信距離の調整で基準の厚み部分による較正も行うようにすれば、対象物の表面に沿って走査しながら較正された基準の厚みに基づく、対象物の厚み測定を行うことができる。
図1は、本発明の実施の一形態で、シート材の厚みに対応する受信強度と温度との関係の一例を示す。本件発明者は、受信強度と温度との関係が、二次曲線で近似可能であることを見出している。後述するように、送信距離と受信距離とを、較正時の温度T0がたとば25℃で、それぞれ極大になるように調整すると、温度の変化に対しても調整時の温度T0で極大となるように調整することができる。すなわち、シート状の対象物の一方の表面側に向けて超音波を送信し、他方の表面側からの超音波を受信し、受信強度に基づいて厚みを測定する際に、送信出力を一定に保ちながら、超音波の送信距離と受信距離とを、受信強度が極大となるように調整すれば、温度の変化に対しても、調整時の温度T0で受信強度は極大となる。温度Tが調整時の温度T0から変化するときの受信強度Vの変化を表す曲線は、調整時の受信強度をV0とし、aを正の定数として、次の(1)式のような二次式で示すことができる。
Figure 2005249486
この曲線上での接線の傾斜は受信強度の温度変化率を表す。すなわち、温度変化率は、(1)式を微分して、次の(2)式で表すことができる。
Figure 2005249486
(2)式は、温度変化率は、調整時の温度T0付近では小さく、調整時の温度T0からの違いが大きくなるほど、絶対値が増大することが判る。また、調整時の温度T0が常温付近であり、厚みの測定を常温付近で行えば、常温付近の範囲内、たとえば25±2℃程度の範囲内では、受信強度の変化を抑えることが可能であることも判る。なお、シート材は合成樹脂のフィルムであり、厚みは約12μmである。
図2は、本発明の実施の一形態としての超音波厚み測定装置1の概略的な電気的構成を示す。超音波厚み測定装置1は、シート材、たとえば数μm〜数100μm程度の厚みの合成樹脂製のフィルム2の厚みを、非破壊的かつ連続的に測定するために用いられる。超音波は、フィルム2の一方表面側に臨む送信手段3から送信されてフィルム2を振動させる。フィルム2の振動によって発生する超音波は、フィルム2の他方側の表面に臨む受信手段4によって受信される。送信手段3および受信手段4は、移動手段5によって、フィルム2の表面に平行な方向に移動可能である。送信手段3、受信手段4および移動手段5は、制御手段6による制御で、フィルム2の厚みを自動的、かつ連続的に測定可能である。フィルム2は、入力側ローラ7から巻戻されて送信手段3と受信手段4との間に通され、出力側ローラ8に巻取られる。移動手段5による移動を、フィルム2が入力側ローラ7から出力側ローラ8に移動する方向と直交する方向に往復するように行わせれば、フィルム2の表面に対して、ジグザグ状に厚みを測定することができる。
厚みの測定は、フィルム2に対する超音波の透過率が厚さに対応していることを利用して行われる。前述の非特許文献1によれば、薄板の固有音響抵抗が周囲媒質の音響抵抗よりも十分に大きく、かつ厚さが十分に薄い場合、透過率をt、超音波の角周波数をω、単位面積当りの薄板の質量をM、周囲媒質の密度をρ、周囲媒質の音速をcとすると、次の(3)式の関係があるとされている。
Figure 2005249486
薄板がフィルム2の場合、柔軟で軽量ではあっても固体であり、大気中では、周囲の空気の音響抵抗に比較して固有音響抵抗は十分に大きいと考えられる。フィルム2の密度は均一とみなすことができるので、質量Mは厚みに対応するはずである。したがって、フィルム2に対する超音波の透過率Tは、フィルム2の厚みの2乗に反比例する。送信手段3から一定の強度で超音波を送信すれば、受信手段4で受信する超音波の受信強度は、フィルム2の透過率tの影響を受け、透過率tは厚みの2乗に反比例する。フィルム2の近傍に厚み較正用試料9を配置しておき、送信手段3および受信手段4の間で厚み測定を行えば、校正用の標準厚みとして測定することができる。フィルム2の厚みは、移動手段5によって、送信手段3および受信手段4をフィルム2の表面を臨む位置に移動させて厚み測定を行い、得られる受信強度と、厚み較正用試料9の厚みを測定して得られる受信強度とを比較して求めることができる。厚み較正用試料9の厚みは、たとえば接触式の厚み計などで測定しておく。このような厚み計は、テーブル上に試料を載置し、テーブル上を昇降変位する針が0.0098N(1gf)程度の抵抗を受けると停止し、0.01μm程度の分解能で機械的に厚みを測定可能である。
送信手段3には、送信側変換器10、発信回路11、送り機構12およびモータ13が含まれる。送信側変換器10は、PZTなどの圧電材料や、磁歪材料などによって形成される超音波振動子を含み、発信回路11から供給される電気エネルギを超音波の振動エネルギに変換する。送り機構12は、送信側変換器10と測定対象物としてのフィルム2の表面との間の距離である送信距離を調整可能にするために設けられる。送り機構12の構成は、光学ステージなど、精密な送りを必要とする場合に使用されるものと同様にすればよい。マイクロメータヘッドなどを利用することもできる。送り機構12に対する駆動は、モータ13によって行う。モータ13としては、たとえばステッピングモータを使用することができ、駆動するパルス数で送り機構12によって、送信側変換器10とフィルム2の一方表面との間の送信距離を調整することができる。モータ13として、サーボモータを使用することもできる。ただし、サーボモータを使用するには、回転出力状態のフィードバック機構が必要となる。
受信手段4には、受信側変換器20、受信回路21、送り機構22およびモータ23が含まれる。送り機構22およびモータ23については、送信手段3の送り機構12およびモータ13とそれぞれ同等である。受信側変換器20も、送信側変換器10と同様に、圧電材料や磁歪材料などで形成される超音波振動子を有し、受信する超音波を電気信号に変換する。受信側変換器20とフィルム2の他方表面との間の受信距離は、モータ23の駆動によって調整することができる。受信回路21は、受信側変換器11からの受信信号を選択的に増幅して、受信強度を求め、受信強度からフィルム2の厚みを、厚み較正用試料9の厚みを基準とする相対的なものとして算出することができる。
超音波厚さ測定装置1は、全体を支えるフレーム30を有する。フレーム30には、移動手段5が送信手段3および受信手段4を移動させる際に、フィルム2の幅方向に沿って往復移動可能に案内するガイド31,32がそれぞれ設けられる。移動手段5の駆動用のモータ33も設けられ、モータ33は、送信手段3および受信手段4のモータ13,23とともに制御手段6によって制御される。
図3は、図2の超音波厚み測定装置1による厚み測定で、図1に示すような受信強度の極大値が得られる送信距離および受信距離と、温度との関係の例を示す。フィルム2は、図1と同様、約12μmの厚みを有する。送信側変換器10および受信側変換器20として、40kHz用の超音波振動子として製造されているものを使用している。温度が25℃での大気中の音速は、346m/sであるので、超音波の波長は8.65mm程度である。したがって、フィルム2の表面から約12mmすなわち3/2波長、約16mmすなわち2波長、約21mmすなわち5/2波長のように、波長の1/2となる距離で最適な測定が可能であることが判る。この最適位置に送信距離および受信距離を設定すれば、図1から判るように、温度変化の影響を受けにくくすることができる。
図4は、図2の超音波厚み測定装置1による厚み測定で、湿度が受信強度に与える影響を示す。フィルム2は、図1と同様に、約12μmの厚みを有する。恒温恒湿槽の関係上、常温よりも高温側でしか測定していないけれども、常温に近い30℃や35℃での相対湿度の変化に伴う受信強度の変化は小さいことが判る。超音波厚み測定装置1を使用するような環境で、温度が常温付近に保たれていれば、相対湿度が大きく変動することは考えられず、湿度の変化よりも温度の変化の影響が大きいことが判る。
図5は、図2の超音波厚み測定装置1による厚み測定で、気圧が受信強度に与える影響を示す。フィルム2は、図1と同様に、約12μmの厚みを有する。気圧の変化の影響も、温度の変化の影響に比較して小さいことが判る。
図6は、図2の超音波厚み測定装置1の外観構成を、図2で入力側ローラ7から出力側ローラ8にフィルム2が移動する方向を紙面に垂直となるような向きで、簡略化して示す。ガイド31,32の長手方向がフィルム2の幅方向となる。ガイド31,32は、フィルム2の表面の上方、および下方にそれぞれ設けられ、上下からフィルム2の厚みを測定する。厚み較正用試料9は、たとえばフィルム2の幅方向の一方側で、ガイド31,32の原点位置に配置する。
図7は、図6の超音波厚み測定装置1を用いて、フィルム2の厚みを連続的に測定する際の制御手段6の制御手順を概略的に示す。ステップs1での電源投入で、制御手段6による制御手順が開始される。ステップs2では、測定する環境の温度を測定する。ステップs3では、移動手段5によって送信手段3および受信手段4をガイド31,32の原点位置に移動させる。原点位置にはたとえば原点検出スイッチなどが設けられ、送信手段3および受信手段4が原点位置にあるか否かを検出可能である。原点位置には、厚み較正用試料9が測定可能な状態で保持されている。
ステップs4では、送信距離および受信距離の調整を行う。まず、ステップs2で測定した温度について、図3に示すような対応関係に基づき、送信手段3および受信手段4の位置を初期設定するように、モータ13,23をそれぞれ駆動する。次に、モータ13,23の一方を駆動して、初期設定した位置の周辺で、微動させながら受信強度が極大となる位置を求めて、位置を調整する。次にモータ13,23の他方を同様に駆動して、受信強度が極大となる位置を求めて、位置を調整する。
ステップs5、ステップs6およびステップs7では、フィルム2に対する厚み測定を、フィルム2の表面に対して走査しながら繰返して行う。ステップs5では、移動手段5によって送信手段3および受信手段4を測定位置まで移動させ、ステップs6で厚み測定を行う。ステップs7では、測定終了か否かを判断し、測定終了でなければステップs5に戻り、測定終了であれば制御手順を終了する。
すなわち、シート状の対象物としてのフィルム2などの厚みを測定する超音波厚み測定装置1は、送信手段3、受信手段4、移動手段5および制御手段6を含む。送信手段3は、対象物の一方の表面側に向けて超音波を送信する送信側変換器10を保持し、その一方側表面と送信側変換器10との間の送信距離を調整可能である。受信手段4は、対象物の他方の表面側からの超音波を受信する受信側変換器20を保持し、その他方側表面と受信側変換器20との間の受信距離を調整可能である。移動手段5は、送信手段3および受信手段4が臨む対象物の表面の位置を移動可能である。制御手段6は、送信手段3および受信手段4を制御して、送信出力を一定に保ちながら、送信手段3による超音波の送信距離、および受信手段4による受信距離を、受信強度が極大となるようにそれぞれ調整し、移動手段5を制御して、調整された送信距離および受信距離で、送信手段3および受信手段4が臨む対象物の表面の位置を移動させて、対象物の厚みを測定するように制御する。
シート材などの薄板の透過率は、周波数一定であれば、板の質量により決まり、材質には依存しないことが知られている。シート材の質量は、密度が均一であれば厚みに比例するので、超音波の受信強度は、シート材の厚みに基づいて変化するので、厚みが既知の厚み較正用試料9に対する受信強度と、フィルム2に対する受信強度とを比較すれば、受信強度から厚みを測定することができる。送信出力を一定に保ちながら、超音波の送信距離と受信距離とのうちの少なくとも一方を、受信強度が極大となるように調整するので、送信距離と受信距離とを、調整時の温度での定在波との位相関係が最適な状態に調整することができる。測定出力に対する環境の影響は、温度が最も大きく、二次曲線で近似することができることが判明している。調整直後の状態では、温度変化による受信強度の変化は、近似される二次曲線のピーク付近で生じるようになる。調整された送信距離および受信距離で、対象物の厚みを測定するので、温度変化に対する受信強度の変化を表す曲線上での傾斜角の絶対値が小さい範囲となって、周囲の環境の変化の中で最も測定出力に対する影響が大きくなる温度変化があっても、その温度変化の影響を受けにくくすることができる。
なお、厚み較正用試料9を用いることによって、フィルム2などのシート材の厚みの絶対値を受信強度の比較に基づいて測定することができるけれども、シート材の厚みの変動を把握するような用途であれば、シート材のみ走査しながら測定すればよい。
さらに、厚みの測定は、シート材自体の厚みばかりではなく、シート材の表面に塗布などによって形成される被膜などに対しても行うことができる。被膜形成前のシート材の厚みを把握しておき、被膜について基準となる試料を作成して較正用に用いれば、被膜の厚みについて、変動を測定することができる。このような被膜としては、たとえば、磁気テープなどの磁性体層、接着フィルムなどの粘着剤や接着剤の層などを対象とすることができる。シート材としては、合成樹脂製のフィルム2ばかりではなく、紙や布、金属箔など、種々の材料に対して厚み測定を行うことができる。
本発明の実施の一形態で、シート材の厚みに対応する受信強度と温度との関係の一例を示すグラフである。 本発明の実施の一形態としての超音波厚み測定装置1の概略的な電気的構成を示すブロック図である。 図2の超音波厚み測定装置1による厚み測定で、図1に示すような受信強度の極大値が得られる送信距離および受信距離と、温度との関係の例を示すグラフである。 図2の超音波厚み測定装置1による厚み測定で、湿度が受信強度に与える影響を示すグラフである。 図2の超音波厚み測定装置1による厚み測定で、気圧が受信強度に与える影響を示すグラフである。 図2の超音波厚み測定装置1の外観構成を、図2で入力側ローラ7から出力側ローラ8にフィルム2が移動する方向を紙面に垂直となるような向きで、簡略化して示す正面図である。 図6の超音波厚み測定装置1を用いて、フィルム2の厚みを連続的に測定する際の制御手段6の制御手順を概略的に示すフローチャートである。
符号の説明
1 超音波厚み測定装置
2 フィルム
3 送信手段
4 受信手段
5 移動手段
6 制御手段
10 送信側変換器
12,22 送り機構
13,23,33 モータ
20 受信側変換器

Claims (2)

  1. シート状の対象物の一方の表面側に向けて超音波を送信し、他方の表面側からの超音波を受信し、受信強度に基づいて厚みを測定する超音波厚み測定方法において、
    送信出力を一定に保ちながら、超音波の送信距離と受信距離とのうちの少なくとも一方を、受信強度が極大となるように調整して、
    調整された送信距離および受信距離で、対象物の厚みを測定することを特徴とする超音波厚み測定方法。
  2. シート状の対象物の厚みを測定する超音波厚み測定装置において、
    該対象物の一方の表面側に向けて超音波を送信する送信側変換器を保持し、該一方側表面と該送信側変換器との間の送信距離を調整可能な送信手段と、
    該対象物の他方の表面側からの超音波を受信する受信側変換器を保持し、該他方側表面と該受信側変換器との間の受信距離を調整可能な受信手段と、
    送信手段および受信手段が臨む該対象物の表面の位置を移動可能な移動手段と、
    送信手段および受信手段を制御して、送信出力を一定に保ちながら、送信手段による超音波の送信距離、および受信手段による受信距離を、受信強度が極大となるようにそれぞれ調整し、移動手段を制御して、調整された送信距離および受信距離で、送信手段および受信手段が臨む対象物の表面の位置を移動させて、対象物の厚みを測定するように制御する制御手段とを、
    含むことを特徴とする超音波厚み測定装置。
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