JP2005247641A - 光ファイバ巻取方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 シリコン被覆光ファイバの巻き状態の乱れを防止することができる光ファイバ巻取方法及び装置を提供する。
【解決手段】 光ファイバ巻取装置1は、シリコン被覆光ファイバ2が巻き付けられる巻取用ボビン3と、シリコン被覆光ファイバ2が巻取用ボビン3に巻き付けられる前に、シリコン被覆光ファイバ2に粉体状の潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置5とを有している。潤滑剤塗布装置5は、シリコン被覆光ファイバ2を覆う箱状のカバー13を有し、このカバー13には、シリコン被覆光ファイバ2を挿通させる挿通孔13aが設けられている。カバー13には、潤滑剤を圧送する潤滑剤圧送器14が圧送管15を介して接続されている。また、カバー13には、カバー13内を吸引する吸引器16が排気管17を介して接続されている。
【選択図】 図1
【解決手段】 光ファイバ巻取装置1は、シリコン被覆光ファイバ2が巻き付けられる巻取用ボビン3と、シリコン被覆光ファイバ2が巻取用ボビン3に巻き付けられる前に、シリコン被覆光ファイバ2に粉体状の潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置5とを有している。潤滑剤塗布装置5は、シリコン被覆光ファイバ2を覆う箱状のカバー13を有し、このカバー13には、シリコン被覆光ファイバ2を挿通させる挿通孔13aが設けられている。カバー13には、潤滑剤を圧送する潤滑剤圧送器14が圧送管15を介して接続されている。また、カバー13には、カバー13内を吸引する吸引器16が排気管17を介して接続されている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、シリコン樹脂で被覆してなるシリコン被覆光ファイバを巻き取る光ファイバ巻取方法及び装置に関するものである。
一般に光ファイバを製造する場合、まずプリフォームを電気炉の中で所定の温度で加熱溶融し、自重落下させて線引きを行うことで、糸状のガラスである裸ファイバを得る。そして、裸ファイバに樹脂被覆を施して被覆光ファイバを形成した後、その被覆光ファイバをファイバ巻取装置のボビンによって高速で巻き取る。このとき、ボビンを所定の速度で回転駆動させると共にボビンの回転軸方向に往復移動(トラバース)させることにより、被覆光ファイバがボビンに整列状態で巻き付けられる。
ところで、被覆材料としてシリコン樹脂を用いた場合、シリコン樹脂自体には粘着性があるため、ボビンの材料として一般的に使用されるABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)やポリエチレンとの滑り性がアクリル樹脂等の他の被覆材料と比較して著しく劣る。そのため、そのようなシリコン被覆光ファイバを上記のようにボビンに巻くと、光ファイバのトラバースのターン時に光ファイバがボビンの鍔部に張り付き、光ファイバの巻緩みが生じてしまう。
このような理由から、シリコン被覆光ファイバを巻き取る際には、特許文献1に記載されているように、光ファイバのターン位置を徐々にボビンの内側にずらして、光ファイバを断面台形状になるように巻き付けることにより、光ファイバがボビンの鍔部に触れないようにしている。
特開平6−9240号公報
シリコン被覆光ファイバと巻取用ボビンの材料であるABSやポリエチレンとでは、線膨張係数が大きく異なる。このため、シリコン被覆光ファイバが巻き付けられたボビンを保管したり輸送する際、温度変化によってボビンの胴部が収縮・膨張すると、上層の光ファイバが下層の光ファイバに食い込み、絡み合う現象が発生する。特に、上記の特許文献1のように光ファイバが断面台形状に巻き付けられている場合には、ボビンの左右両端部において光ファイバ同士の絡み合いがより顕著に発生する。このような光ファイバの巻き状態の乱れが生じると、光ファイバをボビンから繰り出す際の光ファイバの断線につながり、加工作業時に大きな障害となる。
本発明の目的は、シリコン被覆光ファイバの巻き状態の乱れを防止することができる光ファイバ巻取方法及び装置を提供することである。
本発明は、シリコン樹脂で被覆してなるシリコン被覆光ファイバを巻き取る光ファイバ巻取方法において、シリコン被覆光ファイバに潤滑剤を塗布しながら、シリコン被覆光ファイバを巻取用ボビンに巻き付けることを特徴とするものである。
このようにシリコン被覆光ファイバに潤滑剤を塗布することにより、シリコン被覆光ファイバの表面の滑り性が良くなるため、巻取用ボビンに巻き付けられたシリコン被覆光ファイバ同士が粘着しにくくなる。このため、シリコン被覆光ファイバが巻き付けられた巻取用ボビンを保管したり輸送する際に、温度変化によって巻取用ボビンの胴部が膨張・収縮しても、上層のシリコン被覆光ファイバが下層のシリコン被覆光ファイバに食い込んで絡み合うことは殆ど無い。これにより、シリコン被覆光ファイバの巻き状態が乱れることを防止できる。また、シリコン被覆光ファイバと巻取用ボビンの鍔部との摩擦抵抗が低減されるため、シリコン被覆光ファイバが鍔部に張り付くことも防止できる。
好ましくは、潤滑剤として、粒子径が10μm以下の粉体状潤滑剤を用いる。これにより、潤滑剤の塗布状態の均一化を図ることができる。また、潤滑剤がシリコン被覆光ファイバに外傷を与えることを防止できる。
潤滑剤として、25℃での粘度が1800cp以下の液体状潤滑剤を用いてよい。これにより、潤滑剤の塗布時の摩擦抵抗が小さくなるため、巻取用ボビンによりシリコン被覆光ファイバを巻き取る時の巻取張力が小さくなる。従って、巻き取ったシリコン被覆光ファイバにかかる側圧による伝送損失を低減することができる。
また、本発明は、シリコン樹脂で被覆してなるシリコン被覆光ファイバを巻き取る光ファイバ巻取装置において、シリコン被覆光ファイバが巻き付けられる巻取用ボビンと、巻取用ボビンを回転駆動させる第1駆動手段と、シリコン被覆光ファイバを巻取用ボビンに巻き付けるときに、シリコン被覆光ファイバを巻取用ボビンに対して巻取用ボビンの回転軸方向に相対的に移動させる第2駆動手段と、シリコン被覆光ファイバを巻取用ボビンに巻き付ける前に、シリコン被覆光ファイバに潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段とを備えることを特徴とするものである。
このような光ファイバ巻取装置においては、第1駆動手段により巻取用ボビンを回転駆動させると共に、第2駆動手段によりシリコン被覆光ファイバを巻取用ボビンに対して巻取用ボビンの回転軸方向に相対的に移動させることにより、シリコン被覆光ファイバが巻取用ボビンに整列状態で巻き付けられる。このとき、シリコン被覆光ファイバが巻取用ボビンに巻き付けられる前に、潤滑剤塗布手段によってシリコン被覆光ファイバに潤滑剤が塗布される。これにより、巻き取ったシリコン被覆光ファイバの表面の滑り性が良くなる。このため、上述したように、巻取用ボビンを保管したり輸送する際に、巻取用ボビンの胴部が温度変化により収縮・膨張しても、シリコン被覆光ファイバ同士が絡み合うことは殆ど無いので、シリコン被覆光ファイバの巻き状態が乱れることを防止できる。また、巻き取り中にシリコン被覆光ファイバが鍔部に張り付いて巻き状態が乱れることも防止できる。
好ましくは、潤滑剤塗布手段は、シリコン被覆光ファイバを挿通させる挿通孔を有し、シリコン被覆光ファイバを覆うカバーと、カバー内に潤滑剤を供給する手段とを有する。これにより、潤滑剤がシリコン被覆光ファイバに塗布されるときに、潤滑剤の飛散が防止される。従って、作業者が潤滑剤を吸引したり、他の設備等に潤滑剤が付着することを防止できる。
このとき、潤滑剤は、粒子径が10μm以下の粉体状潤滑剤であり、潤滑剤塗布手段は、カバー内を吸引する手段を更に有する。このように粉体状潤滑剤を用いることにより、潤滑剤の塗布状態の均一化が図れ、粉体状潤滑剤の粒子径を10μm以下とすることで、潤滑剤がシリコン被覆光ファイバに外傷を与えることを防止できる。また、カバー内を吸引することにより、カバー内に残った余分な粉体状潤滑剤を容易に除去することができる。
潤滑剤は、25℃での粘度が1800cp以下の液体状潤滑剤であり、潤滑剤塗布手段は、カバー内に配置され、カバー内に供給された液体状潤滑剤を浸透させる部材を更に有してもよい。このように25℃での粘度が1800cp以下の液体状潤滑剤を用いることにより、潤滑剤の塗布時の摩擦抵抗が小さくなるため、巻取用ボビンによる巻取張力が小さくなる。従って、巻き取ったシリコン被覆光ファイバにかかる側圧による伝送損失を低減することができる。
本発明によれば、シリコン被覆光ファイバに潤滑剤を塗布しながら、シリコン被覆光ファイバを巻取用ボビンに巻き付けるので、巻き取ったシリコン被覆光ファイバの巻き状態の乱れを防止することができる。これにより、シリコン被覆光ファイバを巻取用ボビンから繰り出す際に、シリコン被覆光ファイバの断線等が生じることを回避できる。
以下、本発明に係わる光ファイバ巻取方法及び装置の好適な実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係わる光ファイバ巻取装置の第1の実施形態を示す概略構成図である。同図において、本実施形態の光ファイバ巻取装置1は、線引き後の裸ファイバをシリコン樹脂で被覆してなるシリコン被覆光ファイバ2を巻き取るための装置である。
シリコン被覆光ファイバ2は、後で何らの処理を施すことなく、例えば単に金属パイプ等に入れて使用される光ファイバである。シリコン被覆光ファイバ2の被覆径は、例えば400μm程度である。
光ファイバ巻取装置1は、シリコン被覆光ファイバ2が巻き付けられる巻取用ボビン3と、シリコン被覆光ファイバ2の搬送経路に設置された複数のローラー(図1では最終ローラーのみ図示)4と、シリコン被覆光ファイバ2が巻取用ボビン3に巻き付けられる前に、シリコン被覆光ファイバ2に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置5とを有している。
巻取用ボビン3は、図2に示すように、円筒状の胴部6と、この胴部6の両側に設けられた鍔部7とからなり、胴部6にシリコン被覆光ファイバ2が巻かれる。巻取用ボビン3は、ABSやポリエチレン等で形成されている。巻取用ボビン3には、駆動モータ8によって回転駆動されるボビン軸9が固定されている。これにより、巻取用ボビン3は、所定の方向(図1に示すA方向)に所定の速度で回転可能となる。
ボビン軸9は、ボビン支持具10に回転自在に支持されている。そして、ボビン支持具10は、ボビン軸9に対して平行に延在するボールネジ11に螺着されている。ボールネジ11は、駆動モータ12によって回転駆動される。この駆動モータ12によりボールネジ11を両方向に回転させることで、巻取用ボビン3がボビン支持具10を介して巻取用ボビン3の回転軸方向(矢印B方向)に往復移動可能となる。これにより、シリコン被覆光ファイバ2が巻取用ボビン3に対して巻取用ボビン3の回転軸方向に相対的に往復移動可能となるので、シリコン被覆光ファイバ2を巻取用ボビン3の胴部6に整列状態で巻き付けることができる。
なお、シリコン被覆光ファイバ2を巻取用ボビン3に対して巻取用ボビン3の回転軸方向に相対的に往復移動させる手法としては、巻取用ボビン3を往復移動させる代わりに、最終ローラー4を巻取用ボビン3の回転軸方向に往復移動させてもよい。
図1に戻り、潤滑剤塗布装置5は、最終ローラー4の上流側に設置されている。潤滑剤塗布装置5は、巻取用ボビン3に向けて走行しているシリコン被覆光ファイバ2を覆う箱状のカバー13を有している。このカバー13には、シリコン被覆光ファイバ2を挿通させる挿通孔13aが設けられている。
カバー13には、潤滑剤圧送器14が圧送管15を介して接続されている。潤滑剤圧送器14は、シリコン被覆光ファイバ2に塗布される粉体状の潤滑剤をエアーで吹き飛ばして圧送する。その潤滑剤は、圧送管15を介してカバー13内に供給される。
粉体状の潤滑剤としては、タルク、ポリアクリル酸塩系やボバール系などの吸水ポリマー、グラファイトパウダー等が用いられる。このとき、潤滑剤の粒子径は10μm以下であるのが好ましい。これにより、シリコン被覆光ファイバ2に対する潤滑剤の塗布状態が不均一になることや、潤滑剤によってシリコン被覆光ファイバ2に外傷が生じることが防止される。
また、カバー13には、カバー13内を吸引するブロワー等の吸引器16が排気管17を介して接続されている。これにより、カバー13内に存在する余分な潤滑剤が吸引器16によって除去されるようになる。
このような潤滑剤塗布装置5を設けることにより、粉体状の潤滑剤を走行中のシリコン被覆光ファイバ2に均一に塗布することができる。また、カバー13は、潤滑剤の飛散防止の機能を果たすことになるので、巻き取ったシリコン被覆光ファイバ2や他の機器等に潤滑剤が付着することを防止できる。
ところで、巻取用ボビン3の材料であるABS、ポリエチレンの線膨張係数は、それぞれ7.0〜9.5×10-5、10〜15×10-5である。この値は、シリコン被覆光ファイバ2の線膨張係数である6.0×10-7に比べて100倍以上も大きい。そのため、シリコン被覆光ファイバ2が巻き付けられた巻取用ボビン3を保管したり輸送する際に、温度が上昇したときに、巻取用ボビン3の胴部6の膨張量に比べてシリコン被覆光ファイバ2の膨張量が小さい。このため、下層のシリコン被覆光ファイバ2が巻取用ボビン3の胴部6に圧迫されて外側に押し出され、上層のシリコン被覆光ファイバ2が部分的に下層のシリコン被覆光ファイバ2に食い込む現象が発生する。シリコン被覆光ファイバ2が食い込んだ箇所では、下層のシリコン被覆光ファイバ2が左右に押しのけられるため、シリコン被覆光ファイバ2の巻きが疎の部分と密な部分が発生してしまう。
その後、温度が低下して巻取用ボビン3の胴部6が収縮したとき、シリコン被覆光ファイバ2自体は表面の摩擦抵抗が大きいため、下層のシリコン被覆光ファイバ2に食い込んだ上層のシリコン被覆光ファイバ2は元に戻ることができない。また、下層のシリコン被覆光ファイバ2においても、巻きに生じたムラがそのまま残ってしまう。このような現象により、温度の上昇・下降のサイクルを繰り返すうちに、徐々に下層のシリコン被覆光ファイバ2と上層のシリコン被覆光ファイバ2とが絡み合い、シリコン被覆光ファイバ2の巻き状態が乱れる現象が起きてしまう。
これに対し本実施形態では、シリコン被覆光ファイバ2に潤滑剤を塗布しながら、シリコン被覆光ファイバ2を巻取用ボビン3に巻き付けるようにしたので、シリコン被覆光ファイバ2の表面の滑り性が良好になる。このため、巻き取られたシリコン被覆光ファイバ2同士が粘り着くことが防止される。従って、シリコン被覆光ファイバ2を保管したり輸送する際に、温度変化によって巻取用ボビン3の胴部6が膨張・収縮しても、上層のシリコン被覆光ファイバ2が下層のシリコン被覆光ファイバ2に食い込んで絡み合うことは殆ど無い。これにより、シリコン被覆光ファイバ2の巻き状態の乱れを防止することができる。
また、シリコン被覆光ファイバ2と巻取用ボビン3の鍔部6との摩擦抵抗が小さくなるため、シリコン被覆光ファイバ2の巻き付け時に、シリコン被覆光ファイバ2が鍔部6に張り付くことも防止できる。これにより、シリコン被覆光ファイバ2を断面台形状に巻き付ける必要がなく、図2に示すように、シリコン被覆光ファイバ2を巻取用ボビン3の鍔部6の際まで積層して巻き付ければよい。従って、シリコン被覆光ファイバ2の保管中や輸送中に、断面台形状に巻いたシリコン被覆光ファイバ2が振動によって巻崩れを起こすことを防止できる。
以上により、シリコン被覆光ファイバ2を巻取用ボビン3から繰り出す際に、シリコン被覆光ファイバ2の断線等が生じにくくなる。従って、シリコン被覆光ファイバ2の加工作業時に、大きな障害が起きることを防止できる。
さらに、シリコン被覆光ファイバ2を断面台形状に巻き付ける場合に比べて、1つの巻取用ボビン3に対するシリコン被覆光ファイバ2の巻き量を増やすことが可能となる。これにより、シリコン被覆光ファイバ2の効率的な巻き取りを実現できる。
図3は、本発明に係わる光ファイバ巻取装置の第2の実施形態を示す概略構成図である。図中、第1の実施形態と同一または同等の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
同図において、本実施形態の光ファイバ巻取装置20は、第1の実施形態における潤滑剤塗布装置5に代えて、潤滑剤塗布装置21を有している。潤滑剤塗布装置21は、潤滑油が貯留された潤滑油溜め22を有し、この潤滑油溜め22には滴下管23が接続されている。滴下管23は、カバー13の内部まで延びている。
潤滑油は、シリコン被覆光ファイバ2に塗布される液体状の潤滑剤であり、例えばシリコンオイル等である。このとき、潤滑油として、25℃での粘度が1800cp以下のものを使用するのが好ましい。この場合には、潤滑油塗布時の摩擦抵抗が小さくなるため、シリコン被覆光ファイバ2を巻取用ボビン3に巻き付ける時の巻取張力を小さくすることができる。従って、巻取後のシリコン被覆光ファイバ2にかかる側圧による伝送損失の増大を抑えることが可能となる。
カバー13内には、スポンジ24が配置されている。スポンジ24は、滴下管23の先端と当接または近接していると共に、走行中のシリコン被覆光ファイバ2を貫通させることが可能な構成となっている。潤滑油溜め22に溜められている潤滑油がスポンジ24に滴下されると、スポンジ24は潤滑油を浸透させた状態となる。このため、スポンジ24の中を通るシリコン被覆光ファイバ2に潤滑油が塗布されることになる。カバー13内におけるスポンジ24の下方には、オイル受け25が配置されている。
このような潤滑剤塗布装置21によりシリコン被覆光ファイバ2に潤滑油を塗布することにより、巻き取ったシリコン被覆光ファイバ2の表面の滑り性が良くなるため、第1の実施形態と同様に、シリコン被覆光ファイバ2の保管・輸送中に、シリコン被覆光ファイバ2の巻き乱れや巻き崩れが生じることを防止できる。
なお、本実施形態では、潤滑油をスポンジ24に滴下させる構成としたが、潤滑油を浸透させる部材としては、特にスポンジ24に限らず、他の繊維質のものであってもよい。また、潤滑油を浸透させたブラシ等を直接シリコン被覆光ファイバ2に当てたり、潤滑油をシリコン被覆光ファイバ2に直接噴霧することにより、潤滑油をシリコン被覆光ファイバ2に塗布してもよい。
次に、実際にシリコン被覆光ファイバを使用し、温度変化によるシリコン被覆光ファイバの巻き状態を評価した結果について説明する。なお、潤滑剤としては、乾燥粒子状のタルクと液状のシリコンオイルとを使用した。また、評価の条件としては、25℃(室温)から0℃、40℃の順に温度を下降、上昇させるサイクルと、25℃(室温)から−40℃、85℃の順に温度を下降、上昇させるサイクルとについて、それぞれ3回ずつ行い、シリコン被覆光ファイバの巻きの状態を観察した。
その結果、シリコン被覆光ファイバに潤滑剤を塗布しない場合には、25℃、0℃、40℃の順に温度変化させる条件でも、巻き乱れが確認された。一方、シリコン被覆光ファイバにタルクを塗布した場合には、25℃、0℃、40℃の順に温度変化させる条件は勿論、25℃、−40℃、85℃の順に温度変化させる厳しい条件でも、巻き乱れは発生しなかった。また、シリコン被覆光ファイバにシリコンオイルを塗布した場合においても、いずれの条件でも巻き乱れは発生しなかった。以上の結果から、シリコン被覆光ファイバに潤滑剤を塗布することにより、温度変化によるシリコン被覆光ファイバの巻き乱れが防止されることを確認できた。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、潤滑剤塗布装置を最終ローラー4の上流側に設置したが、潤滑剤塗布装置の設置場所は、最終ローラー4の下流側であってもよい。
1…光ファイバ巻取装置、2…シリコン被覆光ファイバ、3…巻取用ボビン、4…最終ローラー、5…潤滑剤塗布装置(潤滑剤塗布手段)、6…胴部、7…鍔部、8…駆動モータ(第1駆動手段)、9…ボビン軸(第1駆動手段)、10…ボビン支持具(第2駆動手段)、11…ボールネジ(第2駆動手段)、12…駆動モータ(第2駆動手段)、13…カバー、13a…挿通孔、14…潤滑剤圧送器、15…圧送管、16…吸引器、17…排気管、20…光ファイバ巻取装置、21…潤滑剤塗布装置(潤滑剤塗布手段)、22…潤滑油溜め、23…滴下管、24…スポンジ。
Claims (7)
- シリコン樹脂で被覆してなるシリコン被覆光ファイバを巻き取る光ファイバ巻取方法において、
前記シリコン被覆光ファイバに潤滑剤を塗布しながら、前記シリコン被覆光ファイバを巻取用ボビンに巻き付けることを特徴とする光ファイバ巻取方法。 - 前記潤滑剤として、粒子径が10μm以下の粉体状潤滑剤を用いることを特徴とする請求項1記載の光ファイバ巻取方法。
- 前記潤滑剤として、25℃での粘度が1800cp以下の液体状潤滑剤を用いることを特徴とする請求項1記載の光ファイバ巻取方法。
- シリコン樹脂で被覆してなるシリコン被覆光ファイバを巻き取る光ファイバ巻取装置において、
前記シリコン被覆光ファイバが巻き付けられる巻取用ボビンと、
前記巻取用ボビンを回転駆動させる第1駆動手段と、
前記シリコン被覆光ファイバを前記巻取用ボビンに巻き付けるときに、前記シリコン被覆光ファイバを前記巻取用ボビンに対して前記巻取用ボビンの回転軸方向に相対的に移動させる第2駆動手段と、
前記シリコン被覆光ファイバを前記巻取用ボビンに巻き付ける前に、前記シリコン被覆光ファイバに潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段とを備えることを特徴とする光ファイバ巻取装置。 - 前記潤滑剤塗布手段は、前記シリコン被覆光ファイバを挿通させる挿通孔を有し、前記シリコン被覆光ファイバを覆うカバーと、前記カバー内に前記潤滑剤を供給する手段とを有することを特徴とする請求項4記載の光ファイバ巻取装置。
- 前記潤滑剤は、粒子径が10μm以下の粉体状潤滑剤であり、
前記潤滑剤塗布手段は、前記カバー内を吸引する手段を更に有することを特徴とする請求項5記載の光ファイバ巻取装置。 - 前記潤滑剤は、25℃での粘度が1800cp以下の液体状潤滑剤であり、
前記潤滑剤塗布手段は、前記カバー内に配置され、前記カバー内に供給された前記液体状潤滑剤を浸透させる部材を更に有することを特徴とする請求項5記載の光ファイバ巻取装置。
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JP2007111823A (ja) * | 2005-10-20 | 2007-05-10 | Toko Kikai Seisakusho:Kk | ワイヤ式切断装置 |
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