JP2005247155A - 作業車の走行制御装置 - Google Patents

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山中  之史
Yoshihiro Ueda
上田  吉弘
Shigeki Hayashi
繁樹 林
Yuji Kato
裕治 加藤
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Abstract

【課題】 変速操作具にて増速や減速が指令されている状態において旋回指令手段にて直進が指令される状態から右旋回又は左旋回が指令される状態に切り換わるときに、良好な状態で旋回を行うことが可能となる作業車の旋回走行装置を提供する。
【解決手段】 旋回用の無段変速装置8の変速出力を直進用の無段変速装置7と同じ又は略同じ変速出力になる出力同調運転として、増速が指令されているときは、直進用の無段変速装置7の変速出力と同じ変速出力に対応する変速操作状態よりも設定量高速側に変位した変速操作状態を目標変速操作状態として設定し、減速が指令されているときは、直進用の無段変速装置7の変速出力と同じ変速出力に対応する変速操作状態よりも設定量低速側に変位した変速操作状態を目標変速操作状態として設定して旋回用の無段変速装置8の作動を制御する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、直進用の無段変速装置の変速出力を左右一対の走行装置の夫々に伝達する直進用伝動状態、前記直進用の無段変速装置の変速出力を右側の走行装置に伝達し且つ旋回用の無段変速装置の変速出力を左側の走行装置に伝達する左旋回用伝動状態、及び、前記直進用の無段変速装置の変速出力を左側の走行装置に伝達し且つ前記旋回用の無段変速装置の変速出力を右側の走行装置に伝達する右旋回用伝動状態に切り換え自在な伝動状態切換手段と、前記直進用の無段変速装置を変速するための手動操作式の変速操作具と、直進、右方向への旋回、及び、左方向への旋回を指令する旋回指令手段と、前記伝動状態切換手段及び前記旋回用の無段変速装置の作動を制御する走行状態制御手段とが備えられ、前記走行状態制御手段は、前記旋回指令手段の指令にて直進が指令されると、前記伝動状態切換手段を前記直進用伝動状態に切り換えて、前記旋回用の無段変速装置の変速出力が前記直進用の無段変速装置と同じ又は略同じ変速出力になるように前記旋回用の無段変速装置を作動させる出力同調運転を行うように構成され、且つ、前記旋回指令手段にて右方向への旋回が指令されると前記伝動状態切換手段を前記右旋回用伝動状態に切り換え、前記旋回指令手段にて左方向への旋回が指令されると前記伝動状態切換手段を前記左旋回用伝動状態に切り換えるように構成され、更に、前記旋回指令手段にて右方向への旋回及び左方向への旋回が指令されると、前記旋回用の無段変速装置の変速出力が前記直進用の無段変速装置の変速出力よりも低速側の変速出力になるように前記旋回用の無段変速装置を作動させるように構成されている作業車の走行制御装置に関する。
上記構成の作業車の走行制御装置は、直進走行状態においては、手動操作式の変速操作具の目標速度指令に応じて変速される直進用の無段変速装置の変速出力を左右一対の走行装置の夫々に伝達することで左右の走行装置を同じ速度で駆動して直進性を確保するようにしながら、旋回走行を行うときには、旋回中心側とは反対側に位置する走行装置を直進用の無段変速装置にて駆動し、旋回中心側に位置する走行装置を旋回用の無段変速装置にて駆動する状態に切り換え、旋回用の無段変速装置の変速出力が直進用の無段変速装置の変速出力よりも低速側の変速出力になるように旋回用の無段変速装置を作動させて、所望の旋回走行を行えるようにしたものであり、又、旋回指令手段にて直進が指令されている状態においては、前記出力同調運転を行うことによって、直進が指令されている状態から旋回が指令される状態になって直進用伝動状態から右旋回用状態伝動あるいは左旋回用伝動状態に切り換わるときに、旋回用の無段変速装置と直進用の無段変速装置との間での速度差を少なくした状態で切り換えが行えるようにしたものである。
そして、このような構成の作業車の走行制御装置において、従来では、次のように構成されたものがあった。
すなわち、前記変速操作具としての揺動操作自在な変速レバー及び前記旋回指令手段としての揺動操作自在な旋回レバーが備えられ、又、前記伝動状態切換手段として、直進用の無段変速装置と左右一対の走行装置夫々との間に各別に設けられた左右一対の爪クラッチと、旋回用の無段変速装置と左右一対の走行装置夫々との間に各別に設けられた左右一対の摩擦クラッチを備えて、それらのクラッチを油圧シリンダにて切り換え操作することで、直進用伝動状態、右旋回用状態伝動及び左旋回用伝動状態に切り換え自在な伝動状態切換機構が構成され、又、旋回指令手段としての旋回レバーの操作状態を検出する検出センサの情報に基づいて伝動状態切換手段を作動させる制御装置が備えられる構成となっている。そして、変速操作具としての変速レバー、直進用の無段変速装置における被操作体、旋回用の無段変速装置における被操作体、及び、旋回レバーの夫々を機械的に連係される機械式の連係機構を備えて、旋回レバーにて直進が指令されると、機械式の連係機構に連動作用によって、旋回用の無段変速装置の変速出力が直進用の無段変速装置と同じ又は略同じ変速出力になるように旋回用の無段変速装置を作動させ、旋回レバーにて右方向への旋回及び左方向への旋回が指令されると、旋回用の無段変速装置の変速出力が直進用の無段変速装置の変速出力よりも低速側の変速出力になるように旋回用の無段変速装置を作動させるように構成したものがあった(例えば、特許文献1参照。)。従って、前記制御装置と機械式の連係機構とによって前記走行状態制御手段が構成されていた。
又、このような機械式の連係機構を備えるものでは、例えば、旋回用の無段変速装置の変速出力が直進用の無段変速装置と同じ又は略同じ変速出力になるように速度調節する作業が煩わしいものとなったり、旋回用の無段変速装置に対する変速操作も手動操作によって行う必要があり、操作が重くなり操作性が低下する不利があった。
そこで、このような不利を回避するためにアクチュエータ等を用いて旋回用の無段変速装置の作動を制御する構成が考えられるが、上述したような伝動状態切換手段を備える作業車において旋回用の無段変速装置をアクチュエータを用いて変速制御する構成の従来例として、旋回指令手段の操作情報と車速との情報に基づいて旋回用の無段変速装置の作動を制御する構成としたものがあり、上記したような特許文献1に記載した構成にこのような制御構成を用いることが考えられる。
具体的に説明すると、旋回指令手段として、揺動操作式の旋回レバーが設けられ、その旋回レバーの揺動操作角をポテンショメータにて検出して、そのポテンショメータの検出情報に基づいて、直進、右旋回、左旋回のいずれが指令されているかを判別するようにしている。一方、車速の情報、言い換えると直進用の無段変速装置による変速出力の情報を検出するために、直進伝動系の途中のギアに対向して歯数を検出する電磁ピックアップ式の回転センサが設けられ、前記回転センサにて検出される出力回転速度の情報に基づいて旋回用の無段変速装置の回転速度が制御される構成となっていた。例えば、直進が指令されている状態では、旋回用の無段変速装置の出力回転速度が直進状態に対応する速度、すなわち直進用の無段変速装置と同じ出力回転速度になるように制御されることになる。尚、右方向への旋回や左方向への旋回などの旋回が指令されている状態では、旋回レバーの回動操作角が大きいほど旋回用の無段変速装置が減速されるように、前記回転センサにて検出される回転速度の情報と旋回レバーの回動操作角の情報に基づいて目標速度が設定されて、旋回用の無段変速装置の出力回転速度がその目標速度になるように制御が行われることになる(例えば、特許文献2参照)。
特開平11−34908号公報 特開2002−362403号公報
特許文献1に記載したような構成において、上述したような旋回用の無段変速装置の出力回転速度が直進用の無段変速装置と同じ出力回転速度になるように旋回用の無段変速装置の作動を制御する構成とした場合であれば、直進用の無段変速装置は手動操作式の変速操作具による指令に応じて変速されるのに対して、旋回用の無段変速装置は、上述したような回転センサにて検出される直進用の無段変速装置の出力回転速度の検出情報に基づいてそれに対応する目標回転速度を求めて設定することになる。そして、旋回用の無段変速装置の出力回転速度が設定された目標回転速度と同じになるように、旋回用の無段変速装置の作動を制御することになる。
しかしながら、このような構成においては、変速操作具の指令に基づいて増速や減速を行いながら直進している場合、上述したような直進用の無段変速装置における実際の変速操作状態である出力速度の検出結果に応じて制御目標値を設定する処理や旋回用の無段変速装置に対する変速作動処理等を実行するための処理時間が必要であり、しかも増速や減速が行われて直進用の無段変速装置における変速操作状態が刻々と変化しているので、旋回用の無段変速装置における変速操作状態は直進用の無段変速装置における変速操作状態よりも少し遅れた状態で追従することになるから、直進用の無段変速装置と旋回用の無段変速装置との間に速度差が生じることになる。
上述したように旋回用の無段変速装置の出力回転速度と直進用の無段変速装置の出力回転速度との間に差が生じていると、直進が指令されている状態から右方向への旋回又は左方向への旋回が指令されて伝動状態が切り換わるような場合において、直進状態から旋回状態が切り換わるときに、旋回用の無段変速装置が本来の旋回用の目標速度とは異なる速度になり良好な旋回走行を行えないものになるおそれがあった。特に、減速しているときには、旋回用の無段変速装置の変速操作が遅れて直進用の無段変速装置よりも旋回用の無段変速装置が高速になり、旋回が指令されたときに旋回中心側の走行装置が反対側の走行装置よりも高速になって指令された旋回方向とは反対方向に旋回する逆向き旋回が起こるおそれがある。又、直進状態から旋回状態が切り換わり伝動状態が切り換わるときに前記速度差に起因してショックが発生するおそれもあった。
本発明は、変速操作具にて増速や減速が指令されている状態において旋回指令手段にて直進が指令される状態から右旋回又は左旋回が指令される状態に切り換わるときに、良好な状態で旋回を行うことが可能となる作業車の旋回走行装置を提供する点にある。
本発明の第1特徴構成は、直進用の無段変速装置の変速出力を左右一対の走行装置の夫々に伝達する直進用伝動状態、前記直進用の無段変速装置の変速出力を右側の走行装置に伝達し且つ旋回用の無段変速装置の変速出力を左側の走行装置に伝達する左旋回用伝動状態、及び、前記直進用の無段変速装置の変速出力を左側の走行装置に伝達し且つ前記旋回用の無段変速装置の変速出力を右側の走行装置に伝達する右旋回用伝動状態に切り換え自在な伝動状態切換手段と、
前記直進用の無段変速装置を変速するための手動操作式の変速操作具と、
直進、右方向への旋回、及び、左方向への旋回を指令する旋回指令手段と、
前記伝動状態切換手段及び前記旋回用の無段変速装置の作動を制御する走行状態制御手段とが備えられ、
前記走行状態制御手段は、
前記旋回指令手段の指令にて直進が指令されると、前記伝動状態切換手段を前記直進用伝動状態に切り換えて、前記旋回用の無段変速装置の変速出力が前記直進用の無段変速装置と同じ又は略同じ変速出力になるように前記旋回用の無段変速装置を作動させる出力同調運転を行うように構成され、且つ、
前記旋回指令手段にて右方向への旋回が指令されると前記伝動状態切換手段を前記右旋回用伝動状態に切り換え、前記旋回指令手段にて左方向への旋回が指令されると前記伝動状態切換手段を前記左旋回用伝動状態に切り換えるように構成され、更に、前記旋回指令手段にて右方向への旋回及び左方向への旋回が指令されると、前記旋回用の無段変速装置の変速出力が前記直進用の無段変速装置の変速出力よりも低速側の変速出力になるように前記旋回用の無段変速装置を作動させるように構成されている作業車の走行制御装置であって、
前記走行状態制御手段が、前記出力同調運転として、
前記変速操作具により増速が指令されているときは、前記直進用の無段変速装置の変速出力と同じ変速出力に対応する変速操作状態、又は、それよりも設定量高速側に変位した変速操作状態を目標変速操作状態として設定し、
前記変速操作具により減速が指令されているときは、前記直進用の無段変速装置の変速出力と同じ変速出力に対応する変速操作状態よりも設定量低速側に変位した変速操作状態を目標変速操作状態として設定して、
前記旋回用の無段変速装置の変速操作状態が前記目標変速操作状態になるように前記旋回用の無段変速装置の作動を制御するように構成されている点にある。
第1特徴構成によれば、旋回指令手段にて直進が指令され、且つ、変速操作具により減速が指令されているときは、直進用の無段変速装置の変速出力と同じ変速出力に対応する変速操作状態よりも設定量低速側に変位した変速操作状態を目標変速操作状態として設定して、旋回用の無段変速装置の変速操作状態が前記目標変速状態になるように旋回用の無段変速装置の作動を制御することになる。尚、前記変速操作状態としては、無段変速装置における変速用の被操作体の操作位置や無段変速装置の出力回転速度等を用いることができる。
説明を加えると、変速操作具により減速が指令されているときは、変速操作具が移動操作されて直進用の無段変速装置における変速操作状態は刻々と変化しているが、直進用の無段変速装置の変速出力と同じ変速出力に対応する変速操作状態よりも設定量低速側に変位した変速操作状態を目標変速操作状態として設定するから、変速操作具による移動操作方向すなわち減速操作方向に向かって少し先行させた状態で目標変速操作状態を設定することになる。そして、旋回用の無段変速装置の変速操作状態がその目標変速操作状態になるように作動を制御するので、旋回用の無段変速装置の変速操作状態が直進用の無段変速装置の変速操作状態に対して極力遅れが少ない状態又は僅かに減速側に位置する状態で作動することになる。その結果、減速が指令されている状態で旋回が指令されたときに、旋回中心側の走行装置が反対側の走行装置よりも高速になるといった不利や伝動状態の切換の際にショックが発生する等の不利を回避させることが可能となる。
上述したように直進用の無段変速装置の変速出力と同じ変速出力に対応する変速操作状態よりも設定量低速側に変位した変速操作状態を目標変速状態として設定する構成とすることで、直進用の無段変速装置に変速操作状態の検出結果に応じて目標変速操作状態を設定する処理や旋回用の無段変速装置に対する変速作動処理等を実行するのに所定の処理時間が必要であるとしても、そのことによる遅れを解消して旋回用の無段変速装置の変速操作状態が直進用の無段変速装置の変速操作状態に対して遅れの少ない状態で良好に作動することが可能となるのである。
一方、旋回指令手段にて直進が指令され、且つ、変速操作具により増速が指令されているときは、直進用の無段変速装置の変速出力と同じ変速出力に対応する変速操作状態、又は、それよりも設定量高速側に変位した変速操作状態を目標変速操作状態として設定して、旋回用の無段変速装置の変速操作状態が前記目標変速状態になるように旋回用の無段変速装置の作動を制御することになる。
このように変速操作具により増速が指令されているときにも、減速のときと同様に、変速操作具が移動操作されて直進用の無段変速装置における変速操作状態は刻々と変化しているが、直進用の無段変速装置の変速出力と同じ変速出力に対応する変速操作状態、又は、それよりも設定量高速側に変位した変速操作状態を目標変速操作状態として設定するから、旋回用の無段変速装置の変速操作状態が直進用の無段変速装置の変速操作状態に対して極力遅れの少ない状態で良好に作動することが可能となる。従って、増速が指令されている状態で旋回が指令されたときに、伝動状態の切換の際にショックが発生する等の不利を回避させることが可能となる。
従って、変速操作具にて増速や減速が指令されている状態において旋回指令手段にて直進が指令される状態から旋回が指令される状態に切り換わるときに、良好な状態で旋回を行うことが可能となる作業車の旋回走行装置を提供できるに至った。
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記走行状態制御手段が、前記出力同調運転として、前記変速操作具により増速が指令されているときは、前記直進用の無段変速装置の変速出力と同じ変速出力が得られる前記変速操作状態としての前記旋回用の無段変速装置における被操作体の操作位置、又は、それよりも設定量高速側に変位した前記被操作体の操作位置を前記目標変速操作状態として設定し、且つ、前記変速操作具により減速が指令されているときは、前記直進用の無段変速装置の変速出力と同じ変速出力が得られる前記変速操作状態としての前記旋回用の無段変速装置における被操作体の操作位置よりも設定量低速側に変位した前記被操作体の操作位置を前記目標変速操作状態として設定するように構成されている点にある。
第2特徴構成によれば、前記変速操作状態として、旋回用の無段変速装置における被操作体の操作位置の情報を用いるようにしているので、旋回用の無段変速装置による出力回転速度等の回転速度情報を用いる場合に比べて時間遅れの少ない状態で目標変速位置を設定することが可能となる。例えば、伝動系の途中のギアに対向して歯数を検出する電磁ピックアップ式の回転センサを用いて出力回転速度を検出するような場合であれば、所定時間が経過する間におけるギアの歯数をカウントして、その計測結果に基づいて出力回転速度を演算にて求める処理が必要でありそれだけ計測に時間がかかることになるが、被操作体の操作位置の情報を用いる構成であるから、例えば、ポテンショメータ等を用いて被操作体の操作位置を迅速に計測することが可能であり、回転速度情報を用いる場合に比べて出力同調運転を迅速に行うことが可能である。
このように前記変速操作状態として無段変速装置における被操作体の操作位置の情報を用いる構成とした場合であっても、直進用の無段変速装置における被操作体の操作位置の検出情報に基づいて目標変速操作状態を設定する処理やその設定された目標変速操作状態になるように旋回用の無段変速装置を変速作動を行う処理等を実行するための処理時間が必要で、増速や減速が行われていると直進用の無段変速装置と旋回用の無段変速装置との間に速度差が生じることになるが、上記したように、前記変速操作具により減速が指令されているときは、直進用の無段変速装置の変速出力と同じ変速出力が得られる旋回用の無段変速装置における被操作体の操作位置よりも設定量低速側に変位した被操作体の操作位置を目標変速状態として設定するようにしているので、旋回用の無段変速装置における被操作体の操作位置が、直進用の無段変速装置の変速出力と同じ変速出力が得られる旋回用の無段変速装置における被操作体の操作位置に対して極力遅れが少ない状態又は僅かに減速側に位置する状態で作動することになる。
又、変速操作具により増速が指令されているときは、直進用の無段変速装置の変速出力と同じ変速出力が得られる旋回用の無段変速装置における被操作体の操作位置、又は、それよりも設定量高速側に変位した被操作体の操作位置を目標変速状態として設定するようにしているので、旋回用の無段変速装置における被操作体が直進用の無段変速装置における被操作体の位置に対して極力遅れが少ない状態で良好に追従することが可能となるのである。
従って、変速操作具にて増速や減速が指令されている状態において、旋回指令手段にて直進が指令される状態から旋回が指令される状態に切り換わるときに、旋回用の無段変速装置における被操作体が適正な位置に操作されることにより、良好な状態で旋回を行うことが可能となる。
本発明の第3特徴構成は、第1又は第2特徴構成に加えて、前記走行状態制御手段が、前記設定量として、前記直進用の無段変速装置における前記変速操作状態の単位時間あたりの変化量が大きいほど大きい値を設定するように構成されている点にある。
第3特徴構成によれば、直進用の無段変速装置における前記変速操作状態の単位時間あたりの変化量が大きいほど前記設定量として大きい値が設定されることになる。つまり、増減速操作がゆっくりと行われて前記変速操作状態の単位時間あたりの変化量が小さければ、旋回用の無段変速装置における変速操作状態が直進用の無段変速装置における変速操作状態に対して大きく遅れるおそれは少ないが、増減速操作が素早く行われて前記変速操作状態の単位時間あたりの変化量が大きければ、旋回用の無段変速装置における変速操作状態が直進用の無段変速装置における変速操作状態に対する遅れが大きくなる。
そこで、直進用の無段変速装置における前記変速操作状態の単位時間あたりの変化量が大きいほど前記設定量として大きい値を設定する構成とすることにより、変速操作具を増減速するときの変速操作速度の変化にかかわらず、旋回用の無段変速装置の変速操作状態が直進用の無段変速装置の変速操作状態に対して遅れの少ない状態で良好に作動することが可能となる。
本発明の第4特徴構成は、第1特徴構成〜第3特徴構成のいずれかに加えて、前記変速操作具がサーボ機構を用いて前記直進用の無段変速装置を変速操作するように構成され、且つ、前記変速操作具にて指令された変速指令位置を検出する変速指令位置検出手段が備えられ、前記走行状態制御手段が、前記変速指令位置検出手段の検出情報に基づいて、前記変速操作具にて指令される変速指令位置が時間経過に伴って変化している指令速度変化状態から変速指令位置が変化していない指令速度収束状態に変化したことを判別すると、前記設定量を零として前記目標変速操作状態を設定するように構成されている点にある。
第4特徴構成によれば、変速操作具がサーボ機構を用いて直進用の無段変速装置を変速操作するように構成されているので、手動操作により無段変速装置を変速操作するときの操作労力の負担を軽減することができるが、このようにサーボ機構を用いて直進用の無段変速装置を変速する構成においては、変速操作具の操作に対して直進用の無段変速装置の変速操作はすこし動作が遅れることになる。言い換えると、変速操作具にて指令された変速指令位置は直進用の無段変速装置における被操作体の操作位置よりも先行した状態で変化していることになる。
そこで、変速操作具にて指令された変速指令位置が直進用の無段変速装置における被操作体の操作位置よりも先行していることを利用して、変速操作具にて指令された変速指令位置を検出する変速指令位置検出手段を備えて、その変速指令位置検出手段の検出情報に基づいて、変速操作具にて指令される変速指令位置が時間経過に伴って変化している指令速度変化状態から変速指令位置が変化していない指令速度収束状態に変化したか否かを判別する構成とし、指令速度収束状態に変化したことを判別すると、前記目標変速位置設定処理において前記設定量を零として前記目標変速操作状態を設定するようにしている。
説明を加えると、上記したように直進用の無段変速装置の変速出力と同じ変速出力に対応する変速操作状態よりも設定量変位した変速操作状態を目標変速操作状態として設定して出力同調運転を行う場合、変速操作具が前記指令速度収束状態に変化したにもかかわらず旋回用の無段変速装置における変速操作状態が目標変速操作状態に達していないときに、直進用の無段変速装置における変速操作状態に対して前記設定量変位した変速操作状態を目標変速操作状態として設定しておくと、旋回用の無段変速装置における変速操作状態が適正な状態からオーバーシュートするおそれがある。
図11には、直進用の無段変速装置の変速出力と同じ変速出力に対応する変速操作状態よりも設定量変位した変速操作状態を目標変速操作状態として設定して出力同調運転を行う構成として、変速操作具を増速させている状態から一定値で収束させる状態、つまり、前記指令速度変化状態から前記指令速度収束状態に変化したときの直進用の無段変速装置及び旋回用の無段変速装置における変速操作状態の例として、変速用の被操作体の変速位置及び出力回転速度の本出願人による実測データを示している。図中、ラインL11は変速操作具の操作位置を示し、ラインL12は直進用の無段変速装置の変速用の被操作体の変速位置を示し、ラインL13は旋回用の無段変速装置の変速用の被操作体の変速位置を示し、ラインL14は直進用の無段変速装置の出力回転速度を示し、ラインL15は旋回用の無段変速装置の出力回転速度を示している。この図から旋回用の無段変速装置における変速操作状態が適正な状態からオーバーシュートしていることが分かる。
つまり、変速操作具が前記指令速度収束状態に変化した後であっても直進用の無段変速装置における変速操作状態ははまだ目標変速操作状態に収束していないのでアクチュエータの作動制御を継続して実行することになるが、そのとき、直進用の無段変速装置の変速操作状態はその後すぐに収束するにもかかわらず、上述したように設定量変位した変速操作状態を目標変速操作状態として設定してアクチュエータの作動を制御するので、直進用の無段変速装置の変速操作状態が収束した後に、旋回用の無段変速装置における被操作体の操作位置が直進用の無段変速装置における被操作体の操作位置を越えてオーバーシュートするおそれがある。
そこで、変速操作具が前記指令速度収束状態に変化したことを判別すると、前記設定量を零として目標変速操作状態を設定することにより、上述したようなオーバーシュートの発生を回避して、旋回用の無段変速装置の変速操作状態を適正な変速操作状態に収束させることが可能となる。つまり、直進用の無段変速装置における被操作体の操作位置よりも先行した状態で変化している変速操作具の操作状態から、速度指令が一定値に収束することが前もって予測できるので、その変速操作具が指令速度収束状態に変化したときに前記設定量を零とすることで、変速操作具に遅れて収束することになる直進用の無段変速装置における被操作体を、変速操作具の実際の指令位置に対応した操作位置に適正に収束させることが可能となるのである。
以下、本発明に係る作業車の走行制御装置を作業車の一例であるコンバインに適用した場合について図面に基づいて説明する。
図1に作業車の一例であるコンバインの全体側面が示されており、このコンバインは、左右一対のクローラ式の走行装置1R、1Lの駆動で走行する走行機体2の前部に、植立穀稈を刈り取って後方に向けて搬送する刈取搬送装置3を昇降可能に連結し、走行機体2に、刈取搬送装置3からの刈取穀稈を受け取って脱穀・選別処理を実行する脱穀装置4と、脱穀装置4からの穀粒を貯留する穀粒タンク5とを搭載するとともに、穀粒タンク5の前方箇所に搭乗運転部6を備えて構成されている。
次に、このコンバインの伝動構造について説明する。
図2に示すように、直進走行状態における走行速度を高低変速自在な直進用の無段変速装置7と、旋回走行時において旋回中心側に位置する走行装置の走行速度を高低変速自在な操作用の無段変速装置8と、それらの無段変速装置7、8からの動力が入力され、左右の走行装置1R、1Lへの動力が出力されるミッションケース9とを備えて伝動系が構成されている。前記直進用の無段変速装置7と旋回用の無段変速装置8は夫々、コンバインの車体に搭載されているエンジンから伝動ベルト10及び伝動プーリ11を介して駆動される伝動軸12によって駆動される可変油圧ポンプ7A、8Aと、その可変油圧ポンプ7A、8Aからの供給油で回転駆動される油圧モータ7B、8Bとの対で構成された周知構造の静油圧式無段変速装置(HST)によって構成されている。
そして、このコンバインでは、直進用の無段変速装置7の変速出力を左右一対の走行装置1R,1Lの夫々に伝達する直進用伝動状態、前記直進用の無段変速装置7の変速出力を右側の走行装置1Rに伝達し且つ旋回用の無段変速装置8の変速出力を左側の走行装置1Lに伝達する左旋回用伝動状態、及び、前記直進用の無段変速装置7の変速出力を左側の走行装置1Lに伝達し且つ前記旋回用の無段変速装置8の変速出力を右側の走行装置1Rに伝達する右旋回用伝動状態に切り換え自在な伝動状態切換手段としての伝動状態切換機構Aが備えられている。
具体的に説明すると、前記ミッションケース9は、その内部に、前記直進用の無段変速装置7の出力軸20と、前記旋回用の無段変速装置8の出力軸21との夫々が内挿され、これら両出力軸20、21からの動力が左右一対の走行装置1R、1Lに伝達される一方、直進用の無段変速装置7の動力が刈取搬送装置3に伝達される構成となっている。前記直進用の無段変速装置7の出力軸20には、副変速用の大小一対の出力ギヤ20a、20b及び刈取部駆動用の出力ギア20cが固着されている。
副変速軸22には、前記出力ギヤ20a、20bが常時噛合する副変速用の小径ギヤ22aと大径ギヤ22bとが相対回転自在に支持され、その両ギヤ22a、22bの中間位置に、副変速軸22と一体回転する副変速用シフトギヤ22dが軸芯方向で摺動自在に外嵌されている。この副変速用シフトギヤ22dを摺動操作することで高低二段に変速操作自在な副変速装置が構成されている。又、副変速軸22には出力ギア22eが固着されており、この出力ギア22eに対して、支持軸23に一体に設けたセンターギヤ24が常時噛合する状態で設けられている。
前記支持軸23には、センターギヤ24を挾む両側に、そのセンターギヤ24を通して伝えられる動力を前記各無段変速装置7、8のうちの何れの駆動系から入力させるかを左右各別に切り換え自在な伝動状態切換機構Aが設けられている。この伝動状態切り換え機構Dは、外周部に旋回用の無段変速装置8の伝動系に連係された外周ギヤ部25aを備える左右一対の多板式の摩擦クラッチ25、25と、前記センターギヤ24の両側面とこれに対向するシフトギア26との間に形成された左右一対の噛み合いクラッチ27、27とで構成されている。
前記左右のシフトギア26は、回転軸芯方向にシフト操作自在であって、噛み合いクラッチ27が噛み合う状態と、噛み合いクラッチ27が噛み合わない状態とに切り換え自在に構成され、噛み合いクラッチ27、27が夫々噛み合い左右のシフトギア26が共にセンターギヤ24に係合している状態では、シフトギア26を介して、左右の走行装置1R、1Lが同方向に同速駆動される機体直進状態となる。説明を加えると、前記左右のシフトギヤ26、26は夫々、押圧スプリング29、29による押圧力にて噛み合いクラッチ27、27が噛み合う伝動入り状態に付勢されており、左右のシフトギヤ26、26の夫々を押圧スプリング29、29による押圧力に抗して遮断用油圧シリンダ31L、31Rでシフト操作することにより、噛み合いクラッチ27、27が噛み合わない伝動遮断状態に切り換え操作可能に構成されている。この遮断用油圧シリンダ31L、31Rの操作は、図3に示すように、遮断用電磁弁63、64を切り換え操作することにより行うように構成されている。
そして、噛み合いクラッチ27、27が噛み合わない伝動遮断状態において、操向用油圧シリンダ30L、30Rでシフトギヤ26における摩擦板をシフト操作することにより、摩擦クラッチ25、25が圧接する伝動入り状態に切り換え操作可能に構成されている。シフトギヤ26からはファイナルギア35を介して左右一対の走行装置に伝達される。このシフトギヤ26は、噛み合いクラッチ27が噛み合いしているときも噛み合いしていないときも常時走行装置への伝動系の中継ギヤ34に噛合するように構成されている。
前記旋回用の無段変速装置8の出力軸21には、その両端部に伝動ギヤ21a、21bが固着され、両伝動ギヤ21a、21bのそれぞれに前記各摩擦クラッチ25、25の外周ギヤ部25a、25aが噛合されている。前記左右のシフトギア26、26のうちの一方を、センターギヤ24との噛み合いを外す側にシフト操作自在であり、そのシフトギア26の移動した側の摩擦クラッチ25が圧接されて入り状態となると、その摩擦クラッチ25を介して旋回用の無段変速装置8の動力がシフトギア26に伝達され、シフトギア26から中継ギア34及びファイナルギア35を介して一方の走行装置に伝達され、機体旋回状態となる。このシフトギア26はセンターギヤ24に噛合しているとき、及び、摩擦クラッチ25の入り側に操作されているときのいずれのときにおいても、走行装置への伝動系の中継ギヤ34に噛合するように構成されている。
つまり、左右の噛み合いクラッチ27、27が噛み合う状態として、左右の摩擦クラッチ25、25を伝動切り状態にすると直進用伝動状態となり、その直進用伝動状態から左側の噛み合いクラッチ27を切にして左側の摩擦クラッチ25を伝動状態にすると左旋回用伝動状態となり、前記直進用伝動状態から右側の噛み合いクラッチ27を切にして右側の摩擦クラッチ25を伝動状態にすると右旋回用伝動状態となる。
前記直進用の無段変速装置7は、中立位置から正転方向並びに逆転方向夫々について無段階に変速操作可能な構成となっており、又、搭乗運転部6には前後方向に沿って所定の前後操作範囲にわたり手動操作によって揺動可能な変速操作具としての主変速レバー14が設けられている。そして、図3に示すように、可変油圧ポンプ7Aの斜板13が油圧サーボ機構SVを介して主変速レバー14に連係され、主変速レバー14の操作指令に基づいて斜板13の角度を変更することにより油圧モータ7B側の出力状態を無段階に変更するように構成されている。つまり、主変速レバー14が手動操作にて操作されると、その操作に対して油圧サーボ機構SVの作用により油圧操作力にてアシスト操作を行うことにより変速操作を軽く操作することができる構成となっている。尚、油圧サーボ機構SVは周知構成のものであるから詳細な説明はここでは省略する。
次に、直進用の無段変速装置の変速操作構成について説明する。
図5に示すように、主変速レバー14が中立域にあり中立状態が指令されていると、前記斜板13が中立状態となり油圧モータ7Bは回転せず停止状態に維持され、主変速レバー14からの指令が前進増速側もしくは後進増速側への変速指令であると、主変速レバー14の操作指令に応じて上述したような油圧サーボ機構SVによって斜板13の角度が正転方向(前進増速方向)もしく逆転方向(後進増速方向)に油圧操作力のアシスト力によって操作され、油圧モータ7Bが指令位置に応じた速度で正転方向又は逆転方向に回転駆動されるように変速操作される構成となっている。
一方、旋回用の無段変速装置8も直進用の無段変速装置7と同様に、正転方向並びに逆転方向夫々について無段階に変速操作可能な構成となっている。しかし、この旋回用の無段変速装置8は手動操作で変速を行うのではなく、可変油圧ポンプ8Aの斜板15が油圧式の旋回用操作機構16に連係され、この旋回用操作機構16により斜板角を変更することにより油圧モータ8B側の出力状態を変更するように構成されている。この旋回用操作機構16は、図3に示すように、旋回用の無段変速装置8における斜板15に連動連結された複動型の変速用油圧シリンダ17と、この変速用油圧シリンダ17に対する油圧制御を行う油圧制御ユニットVUとを備えて構成されている。前記変速用油圧シリンダ17は、内装される左右一対のバネ17a、17bの付勢力により中立位置に復帰付勢される構成となっている。
次に、前記油圧制御ユニットVUの構成について説明する。
この油圧制御ユニットVUは、図4に示すように、変速用油圧シリンダ17を中立変速位置から正転方向及び逆転方向夫々に駆動すべく油圧供給状態を制御する油圧パイロット式の制御弁36を備えて構成されている。この制御弁36は、中立位置から正方向に移動した正方向出力位置及び前記中立位置から逆方向に移動した逆方向出力位置に移動自在なスプール37と、そのスプール37を中立位置に復帰付勢する付勢手段としての一対のコイルバネ38、39とを備えて構成されている。
又、この制御弁36には、前記スプール37を正方向に移動させるために作動油が供給される正転用の圧力操作部40、及び、前記スプール37を逆方向に移動させるために作動油が供給される逆転用の圧力操作部41が夫々備えられ、正転用の圧力操作部40及び逆転用の圧力操作部41の夫々に対する作動油の供給状態を制御する一対のパイロット圧制御用の電磁弁42、43が、作動用流体を供給する供給状態と作動用流体を排出する排出状態とに切り換え自在で且つ排出状態に復帰付勢される状態で設けられている。
つまり、前記一対のパイロット圧制御用の電磁弁42、43は図示しない油圧ポンプから供給される作動油を前記各圧力操作部40、41に供給する供給状態と油圧ポンプからの供給を停止して圧力操作部40、41を排油路44に接続する排出状態との二位置に切り換え自在な二位置切り換え式の電磁弁で構成され、これらのパイロット圧制御用の電磁弁42、43はバネ45、46により前記排出状態に復帰付勢される構成であり、ソレノイド47、48に通電して励磁することでバネ45、46の付勢力に抗して弁体を操作して前記供給状態に切り換える構成となっている。従って、このパイロット圧制御用の電磁弁42、43は通電を停止すると常に排出状態になりその状態を維持することになる。
そして、前記制御弁36には、変速用の油圧シリンダ17の一対の作動油室17A、17Bに各別に接続される一対の出力ポートOP1、OP2が設けられ、図4に示すような中立位置では、一対の出力ポートOP1、OP2の夫々が排出ポートDPに接続される状態となるように構成されている。従って、この中立位置では変速用油圧シリンダ17は中立位置に復帰する。
前記スプール37が前記正方向出力位置となると、一対の出力ポートOP1、OP2のうちの変速用油圧シリンダ17の正方向操作用の作動油室17Aに接続される一方の正方向出力ポートOP1を入力ポートIPに接続し、且つ、変速用油圧シリンダ17の逆方向操作用の作動油室17Bに接続される逆方向出力ポートOP2を排出ポートDPに接続する状態となる。従って、変速用油圧シリンダ17は正方向(前進増速方向)に移動操作されることになる。また、前記スプール37が前記逆方向出力位置となると、前記正方向出力ポートOP1を排出ポートDPに接続し、且つ、前記逆方向出力ポートOP2を入力ポートIPに接続する状態となる。従って、変速用油圧シリンダ17は逆方向(後進増速方向)に移動操作される。
又、制御装置Hは前記各パイロット圧制御用の電磁弁42、43に対する供給電流をパルス信号にて供給する構成としてあり、そのパルス電流のデューティ比を変更調整することによって、正方向への移動操作並びに逆方向への移動操作の夫々において、一対の出力ポートOP1、OP2の夫々が入力ポートIP及び排出ポートDPのいずれにも接続されない状態で、つまり、変速用油圧シリンダ17の作動位置を位置保持自在な状態に設定することが可能な構成となっている。
上記したような無段変速装置7、8の変速動作について説明を加えると、図5に示すように、斜板13、15の変速位置が中立位置Nを含む所定幅を有する中立域にあれば変速出力(出力回転速度)は零となり、斜板13、15の変速位置がその中立域から所定方向に回動操作されると前進方向への変速出力が無段階に増速操作され、斜板13、15が中立域から所定方向と反対方向に操作されると後進方向への変速出力が無段階に増速操作される構成となっている。
そして、搭乗運転部6には、主変速レバー14にて指令された変速指令位置を検出する変速指令位置検出手段としてのポテンショメータ式の変速レバー検出センサ65が設けられている。又、主変速レバー14の他に、中立位置Nを含む所定幅を有する直進指令用の中立操作域、その中立操作域から正方向に操作される左旋回指令用の左旋回操作域、及び、前記中立操作域から逆方向に操作される右旋回指令用の右旋回操作域の夫々にわたり移動操作自在な旋回指令手段としての旋回レバー56が備えられ、この旋回レバー56が、前記左旋回用操作域及び前記右旋回用操作域の夫々において所定の操作領域の全範囲にわたり移動操作自在で、且つ、前記中立操作域から離れる方向への移動量が大きいほど小となるように前記指令情報としての旋回用の目標速度比率を指令するように構成されている。説明を加えると、前記旋回レバー56の操作位置を検出する回転式のポテンショメータからなる旋回レバーセンサ57が設けられて、旋回指令操作領域において中立域から離れる方向への移動量が大きいほど、言い換えると、中立位置Nからの左右いずれかへの倒し角が大きいほど、大きな旋回力となるような指令情報を指令する構成となっている。
前記サーボ機構SVによって操作される直進用の無段変速装置7における変速用の被操作体としての斜板13の操作位置を検出する直進用の変速位置検出センサ60が設けられ、前記旋回用の無段変速装置8における変速用の被操作体としての斜板15の操作位置を検出する旋回用の変速位置検出手段としてポテンショメータ式の旋回用の変速位置検出センサ61が設けられている。一方、前記直進用の無段変速装置7の出力回転速度を前記出力ギア22eの歯数をカウントすることにより検出する回転センサ58と、前記旋回用の無段変速装置8の出力回転速度を前記伝動ギア21aの歯数をカウントすることにより検出する回転センサ59が設けられている。
そして、上記したような各種のセンサ類の入力情報に基づいて、変速用油圧シリンダ17、操向用油圧シリンダ30R、30L、遮断用油圧シリンダ31L、31Rの動作を制御する走行状態制御手段としてのマイクロコンピュータ利用の制御装置Hが備えられている。
前記制御装置Hは、旋回レバー56の指令にて直進が指令されると、伝動状態切換機構Aを前記直進用伝動状態に切り換えて、旋回用の無段変速装置8の変速出力が直進用の無段変速装置7と同じ又は略同じ変速出力になるように旋回用の無段変速装置8を作動させる出力同調運転を行うように構成され、且つ、旋回レバー56にて右方向への旋回が指令されると伝動状態切換機構Aを右旋回用伝動状態に切り換え、旋回レバー56にて左方向への旋回が指令されると伝動状態切換機構Aを左旋回用伝動状態に切り換えるように構成され、更に、旋回レバー56にて右方向への旋回及び左方向への旋回が指令されると、旋回用の無段変速装置8の変速出力が直進用の無段変速装置の変速出力よりも低速側の変速出力になるように旋回用の無段変速装置8を作動させるように構成されている。
そして、制御装置Hは、前記出力同調運転として、主変速レバー14により増速が指令されているときは、直進用の無段変速装置7の変速出力と同じ変速出力に対応する変速操作状態としての旋回用の無段変速装置8における被操作体としての斜板13の操作位置よりも設定量高速側に変位した変速位置を目標変速位置(目標変速操作状態の一例)として設定し、主変速レバー14により減速が指令されているときは、直進用の無段変速装置7の変速出力と同じ変速出力に対応する変速操作状態としての旋回用の無段変速装置8における被操作体としての斜板13の操作位置よりも設定量低速側に変位した変速位置を目標変速位置(目標変速操作状態の一例)として設定して、旋回用の無段変速装置8の変速操作状態としての斜板13の操作位置が前記目標変速位置になるように旋回用の無段変速装置の作動、具体的には、アクチュエータとしての変速用油圧シリンダ17の作動を制御するように構成されている。又、制御装置Hは、前記設定量として、前記直進用の無段変速装置7における斜板13の操作位置の単位時間あたりの変化量が大きいほど大きい値を設定するように構成されている。更に、前記制御装置Hは、変速レバー検出センサ65の検出情報に基づいて、主変速レバー14にて指令される変速指令位置が時間経過に伴って変化している指令速度変化状態から変速指令位置が変化していない指令速度収束状態に変化したことを判別すると、前記設定量を零として前記目標変速位置を設定するように構成されている。
次に、図7、図8のフローチャートに基づいて制御装置Hによる具体的な制御動作について説明する。
旋回レバー56が中立操作域に操作されていると、後述するような直進用制御を実行し(ステップ1、2)、旋回レバー56が右旋回用操作域に操作されると、旋回中心側つまり右側の操向用油圧シリンダ30R及び遮断用油圧シリンダ31Rを作動させて右側の走行装置1Rに旋回用の無段変速装置8の変速動力を伝達させる右旋回用伝動状態に切り換える(ステップ3、4)。一方、旋回レバー56が左旋回用操作域に操作されると、左側の操向用油圧シリンダ30L及び遮断用油圧シリンダ31Lを作動させて左側の走行装置1Lに旋回用の無段変速装置8の変速動力を伝達させる左旋回用伝動状態に切り換える(ステップ5)。つまり、旋回中心側の走行装置が旋回用の無段変速装置8にて駆動され、旋回中心側とは反対側の走行装置が直進用の無段変速装置7にて駆動される伝動状態に切り換わる。
そして、前記直進用の変速位置検出センサ60の検出値が設定単位時間あたりに設定量以上変化した否かによって主変速レバー14の操作により増減速が指令された否かを判断し、主変速レバー14の操作により増減速が指令されていると判断した場合には、変速位置制御を実行する設定選択条件であるとして、次のような変速位置制御を実行する(ステップ6)。つまり、左右の走行装置1R、1Lが回転方向が同じであって、旋回用の無段変速装置8の変速出力と直進用の無段変速装置7の変速出力の速度比率が旋回レバー56にて指令される旋回半径に対応する速度比率となるように、旋回用の無段変速装置8における斜板15の目標変速位置を演算にて求める(ステップ7)。
その目標変速位置を求める処理について説明を加えると、旋回レバー56の右旋回用操作域又は左旋回用操作域における中立操作域から離れる方向への移動量と旋回半径に対応する速度比率との関係が図6に示すように二次関数に対応する関係として定めて記憶されている。一方、直進用の変速位置センサ60によって検出される直進用の無段変速装置7における斜板13の変速位置と、図6に示すような関係の関数とから、旋回用の無段変速装置8の目標変速位置を求めるのである。
そして、旋回用の変速位置検出センサ61によって検出される旋回用の無段変速装置8における斜板15の変速位置が目標変速位置になるように変速用油圧シリンダ17の作動を制御して変速操作を行う(ステップ8、9、10)。ちなみに、直進用の無段変速装置7は変速レバー14に対する手動操作にて変速位置が調整されることになる。
図6に示す関係について説明を加えると、図6のラインL1は基準となる直進側の無段変速装置の速度を示している。ラインL2は緩旋回モードにおける目標回転速度の変化を示し、ラインL3は信地旋回モードにおける目標回転速度の変化を示し、ラインL4は超信地旋回モードにおける目標回転速度の変化を示しており、ダイヤル操作により旋回モードを3段階に切り換える旋回モード切換え具62にて指定された旋回モードが選択されることになる。ラインL2にて示す緩旋回モードでは、旋回レバー56が最大操作位置にまで操作されると、旋回側の走行装置が反対側の走行装置の走行速度Vの約1/3の速度にまで減速されるように、旋回レバー56の操作位置に対する、左右の走行装置1R、1Lの速度比率の変化特性が予め設定されている。ラインL3で示す信地旋回モードにおいては、旋回レバー56が最大操作位置にまで操作されると、旋回側の走行装置の走行速度が零となるまで減速されるように、旋回レバー56の操作位置に対する左右の走行装置1R、1Lの速度比率が予め設定されている。又、ラインL4に示す超信地旋回モードにおいては、旋回レバー56が最大操作位置にまで操作されると、旋回側の走行装置の走行速度が反対側の走行装置の駆動回転方向とは逆回転方向で、反対側の走行装置の速度と同速度になるように、旋回レバー56の操作位置に対する左右の走行装置1R、1Lの速度比率が予め設定されている。
前記旋回レバー56にて旋回が指令されており、主変速レバー14の操作により増減速が指令されていない場合、言い換えると、主変速レバー14にて同じ速度が指令されている場合には、回転速度制御を実行する設定選択条件であるとして、次のような回転速度制御を実行する(ステップ6)。つまり、左右の走行装置1R、1Lが回転方向が同じであって、旋回用の無段変速装置8の出力回転速度と直進用の無段変速装置7の出力回転速度の速度比率が旋回レバー56にて指令される旋回半径に対応する速度比率となるように、旋回用の無段変速装置8における目標出力回転速度を演算にて求める(ステップ11)。
前記目標出力回転速度を演算にて求める処理について説明を加えると、前記回転センサ58によって検出される直進用の無段変速装置7の出力回転速度と、上述した如く図6に示すように二次関数に対応する関係として定められている関数とから、旋回用の無段変速装置8の目標出力回転速度を求めるのである。そして、回転センサ59によって検出される旋回用の無段変速装置8の出力回転速度が前記目標出力回転速度になるように変速用油圧シリンダ17の作動を制御する(ステップ12、13、14)。
旋回レバー56が中立位置にあるときは直進用制御を実行する(ステップ1、2)。この直進用制御では、旋回用の無段変速装置8の変速出力が直進用の無段変速装置7と同じ又は略同じ変速出力になるように旋回用の無段変速装置8を作動させる出力同調運転を行うことになる。次に、図8のフローチャートに基づいて直進用制御について説明する。
先ず、一対の操向用油圧シリンダ30L、30R及び遮断用油圧シリンダ31L,31Rを夫々切にして伝動状態切換機構Aを直進用伝動状態に切り換える(ステップ15)。そして、直進用の変速位置検出センサ60の検出値に基づいて直進用の無段変速装置7に対する増減速が指令されていることが判別され(ステップ16)、しかも、変速レバー検出センサ65の検出値に基づいて主変速レバー14の移動操作が収束していないことが判別されると(ステップ17)、変速レバー検出センサ65の設定単位時間あたりの移動量から主変速レバー14の移動速度を演算する(ステップ18)。尚、増減速が指令されているか否かの判断は、直進用の変速位置検出センサ60の検出値が設定単位時間あたりに設定量以上変化した否かによって判断する構成となっており、主変速レバー14の移動操作が収束しているか否かの判断は、変速レバー検出センサ65の検出値が設定単位時間あたりに設定量以上変化した否かによって判断する構成となっている。
そして、主変速レバー14により増速が指令されているときは、直進用の無段変速装置7における斜板13の操作位置よりも設定量高速側に変位した位置を直進用の変速状態に対応する目標変速位置として設定し、且つ、主変速レバー14により減速が指令されているときは、直進用の無段変速装置7における斜板13の操作位置に対して設定量低速側に変位した位置を直進用の変速状態に対応する目標変速位置として設定する。しかも、前記設定量として、直進用の無段変速装置7における斜板13の操作位置の単位時間あたりの変化量、すなわち、前記移動速度が大きいほど大きい値を設定する構成となっている。
すなわち、主変速レバー14による操作が増速方向であるときには、直進用の無段変速装置7における斜板13の操作位置の単位時間あたりの変化量(移動速度)が大きいほど大きい値となるように、前記設定量としての増速用のオフセット量を演算する(ステップ20)。一方、主変速レバー14による操作が減速方向であるときには、直進用の無段変速装置7における斜板13の前記移動速度が大きいほど大きい値となるように、前記設定量としての減速用のオフセット量を演算する(ステップ21)。尚、オフセット量は、実験結果等に基づいて予め設定された算出条件に従って求められることになるが、減速用のオフセット量は増速用のオフセット量よりも大きめの値が設定されることになる。減速しているときに旋回用の無段変速装置8の速度の応答遅れが大きいと、直進状態から旋回を指令する状態に切り換わったときに、旋回用の無段変速装置8の出力回転速度が直進用の無段変速装置7の出力回転速度よりも高速になっているおそれがあり、旋回方向とは逆方向に機体が旋回するおそれがある。そこで、減速用のオフセット量は増速用のオフセット量よりも大きめの値を設定して、旋回用の無段変速装置8の出力回転速度が直進用の無段変速装置7の出力回転速度よりもわずかに低速側になるように設定するのである。
次に、上記したようなオフセット量を加味して目標変速位置を設定する(ステップ22)。つまり、主変速レバー14による操作が減速方向であるときには、直進用の変速位置センサ60によって検出される直進用の無段変速装置7の変速位置よりも前記増速用のオフセット量だけ高速側に変位した位置を目標変速位置として設定し、主変速レバー14による操作が減速方向であるときには、直進用の変速位置センサ60によって検出される直進用の無段変速装置7の変速位置よりも前記減速用のオフセット量だけ高速側に変位した位置をオフセット有の目標変速位置として設定するのである。
前記ステップ16において直進用の変速位置検出センサ60の検出値に基づいて直進用の無段変速装置7に対する増減速が指令されていることが判別されているが、ステップ17にて、変速レバー検出センサ65の検出値に基づいて主変速レバー14の移動操作が収束していると判別すると、そのときの変速レバー検出センサ65の検出値に基づいて旋回用の無段変速装置8の斜板15が収束すると予測される目標収束位置を求め、旋回用の変速位置検出センサ61の検出値がその目標収束位置に到達していると、上述したようなオフセット量を加味した目標変速位置ではなく、直進用の変速位置センサ60によって検出される直進用の無段変速装置7の変速位置と同じ値をオフセット無の目標変速位置として設定する(ステップ26、27、28)。旋回用の変速位置検出センサ61の検出値がその目標収束位置に到達していなければ上述したようなオフセット有の目標変速位置を設定することになる。
次に、旋回用の無段変速装置8における斜板15の操作位置が上記したようにして設定された目標変速位置(オフセット有の目標変速位置又はオフセット無の目標変速位置のいずれか)になるように、変速用油圧シリンダ17の作動を制御することになる(ステップ23〜25)。
ステップ16において、直進用の無段変速装置7に対する増減速が指令されていないことが判別され、しかも、旋回用の無段変速装置8における斜板15の変速位置が直進用の無段変速装置7における斜板13の変速位置と同じ又はほぼ同じである場合、つまり、直進用の変速位置検出センサ60の検出値と旋回用の変速位置検出センサ61の検出値との偏差が設定不感帯内にあれば、回転センサ58にて検出される直進用の無段変速装置7の出力回転速度と同じ値を目標出力回転速度として設定する(ステップ29、30)。そして、回転センサ59にて検出される旋回用の無段変速装置8の出力回転速度が前記目標出力回転速度になるように、変速用油圧シリンダ17の作動を制御することになる(ステップ31〜33)。ステップ29にて、旋回用の無段変速装置8における斜板15の変速位置が直進用の無段変速装置7における斜板13の変速位置と同じ又はほぼ同じではない場合、つまり、直進用の変速位置検出センサ60の検出値と旋回用の変速位置検出センサ61の検出値との偏差が設定不感帯を越えて大きい場合には、直進用の変速位置センサ60によって検出される直進用の無段変速装置7の変速位置と同じ値をオフセット無の目標変速位置として設定して、旋回用の無段変速装置8における斜板15の操作位置が目標変速位置になるように、変速用油圧シリンダ17の作動を制御する(ステップ28、ステップ23〜25)。
尚、直進用制御を実行するときは、旋回用の無段変速装置8はいずれの走行装置にも動力を伝動しないので走行装置の走行速度を変速させる機能はないが、手動の変速操作によって変速される直進用の無段変速装置7の回転方向と同じ方向に向けて上記したような目標変速位置又は目標出力回転速度になるように制御することにより、旋回レバー56により旋回操作が指令されて旋回用伝動状態に切り換わったときに、直進用の無段変速装置7と旋回用の無段変速装置8の速度差に起因したショックが発生することを回避させるようにしているのである。
上記したような制御を実行することによって、直進が指令されているときに増減速操作が行われた場合であっても、旋回用の無段変速装置の変速操作状態が直進用の無段変速装置の変速操作状態に対して極力遅れの少ない状態で良好に作動することが可能となった。以下、本出願人の実測データを参照しながら説明する。
図9は、上述したようなオフセット量を加味した目標変速位置ではなく、直進用の変速位置センサ60によって検出される直進用の無段変速装置7の変速位置と同じ値を目標変速位置として設定して、主変速レバー14を増速操作させて車速を増速させたときにおける直進用の無段変速装置及び旋回用の無段変速装置夫々の出力回転速度の時間経過に伴う実測値の変化を示すグラフである。一方、図10は、上述したようなオフセット量を加味した目標変速位置を設定して、主変速レバー14を増速操作させて車速を増速させたときにおける直進用の無段変速装置及び旋回用の無段変速装置夫々の出力回転速度の時間経過に伴う実測値の変化を示すグラフである。尚、図中、ラインL5,L8は主変速レバー14の操作位置の時間経過に伴う実測値であり、ラインL6、L9は直進用の無段変速装置の出力回転速度の時間経過に伴う実測値であり、ラインL7,L10は旋回用の無段変速装置の出力回転速度の時間経過に伴う実測値である。これらの図から明らかなように、オフセット量を加味していない場合には、旋回用の無段変速装置が直進用の無段変速装置に対して大きく遅れるのに対して、オフセット量を加味した目標変速位置を設定して出力同調運転を実行することで、旋回用の無段変速装置が直進用の無段変速装置に対して極力遅れの少ない状態で良好に作動させることが可能になった。
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
(1)上記実施形態では、前記設定量(オフセット量)を前記直進用の無段変速装置における被操作体の操作位置の単位時間あたりの変化量が大きいほど大きい値に設定するように構成したが、このような構成に代えて、前記被操作体の操作位置の単位時間あたりの変化量にかかわらず一定の値を設定するようにしてもよい。
(2)上記実施形態では、前記変速操作具により増速が指令されている場合及び前記変速操作具により減速が指令されている場合の夫々において、前記直進用の無段変速装置の変速出力と同じ変速出力が得られる前記変速操作状態としての前記旋回用の無段変速装置における被操作体の操作位置よりも設定量変位した被操作体の操作位置を目標変速操作状態として設定する構成としたが、このような構成に代えて、次のように構成してもよい。
つまり、前記変速操作具により減速が指令されているときは、直進用の無段変速装置の変速出力と同じ変速出力に対応する変速操作状態よりも設定量低速側に変位した変速操作状態を目標変速操作状態として設定するが、変速操作具により増速が指令されているときには、直進用の無段変速装置の変速出力と同じ変速出力に対応する変速操作状態をそのまま目標変速操作状態として設定する構成としてもよい。
(3)上記実施形態では、前記変速操作具により増速や減速が指令されているときにおける変速操作状態として、無段変速装置の被操作体(斜板)の操作位置の情報を用いるようにしたが、このような構成に代えて、無段変速装置の出力回転速度の情報を用いるようにしてもよい。説明を加えると、例えば、直進用の無段変速装置の出力回転速度を検出して、そのときの変速出力と同じ変速出力が得られる旋回用の無段変速装置の出力回転速度に対して、増速が指令されているときには設定量高速側の出力回転速度を目標変速操作状態として設定したり、減速が指令されているときには設定量低速側の出力回転速度を目標変速操作状態として設定する構成等である。
(4)上記実施形態では、前記変速操作具にて指令される変速指令位置が時間経過に伴って変化している指令速度変化状態から変速指令位置が変化していない指令速度収束状態に変化したことを判別した場合に、旋回用の無段変速装置8の斜板15が収束すると予測される目標収束位置を求めて、旋回用の変速位置検出センサ61の検出値がその目標収束位置に到達していると、前記設定量を零として目標変速位置を設定するようにしたが、この構成に代えて、指令速度収束状態に変化したことを判別すると直ちに前記設定量を零として目標変速位置を設定するようにしてもよい。
(5)上記実施形態では、主変速レバー14が手動操作にて操作されると、その操作に対して油圧サーボ機構SVの作用により油圧操作力にてアシスト操作を行うことにより変速操作を軽く操作することができる構成としたが、この構成に代えて、主変速レバー14と直進用の無段変速装置7の斜板とを直接連動連結する構成として手動操作力にて変速する構成としてもよい。又、このように構成した場合には、前記変速位置制御を実行する場合に、直進用の無段変速装置における被操作体の操作位置を前記主変速レバーセンサ65の検出結果に基づいて直進用の無段変速装置における被操作体の操作位置を計測する構成としてもよい。
(6)上記実施形態では、前記各無段変速装置の出力回転速度を検出する構成として、ミッションケース内の伝動系における途中の伝動ギアの歯数をカウントすることにより回転速度を検出するものを例示したが、この構成に代えて、走行装置に対する最終駆動軸の回転速度を検出するようにしたり、クローラベルトの移動速度を計測するようにしてもよい。
(7)上記実施形態では、旋回指令手段としての旋回レバーの移動操作量をポテンショメータにて検出して、旋回レバーの操作に伴って旋回用の無段変速装置を無段階に変速操作させる構成としたが、このような構成に限らず、例えば、旋回レバーの移動操作量の変位を複数のスイッチで段階的に検出するようにしたり、旋回指令用のスイッチを押し操作する時間で旋回半径を異ならせるように指令する構成等、各種の形態で実施してもよい。
(8)上記実施形態では、作業車としてコンバインを例示したが、コンバインに限らずトラクターやその他の農作業機でもよく建設用作業車等であってもよい。
コンバインの全体側面図 伝動構造を示す概略構成図 制御ブロック図 油圧制御ユニットの構成を示す油圧回路図 変速位置と変速出力との関係を示す図 旋回レバーの操作位置と速度比率との関係を示す図 制御動作のフローチャート 制御動作のフローチャート 増速操作を行ったときの実測データを示す図 増速操作を行ったときの実測データを示す図 増速操作した後に収束させたときの実測データを示す図
符号の説明
1R,1L 走行装置
7、8 無段変速装置
14 変速操作具
15 被操作体
56 旋回指令手段
A 伝動状態切換手段
H 走行状態制御手段
SV サーボ機構

Claims (4)

  1. 直進用の無段変速装置の変速出力を左右一対の走行装置の夫々に伝達する直進用伝動状態、前記直進用の無段変速装置の変速出力を右側の走行装置に伝達し且つ旋回用の無段変速装置の変速出力を左側の走行装置に伝達する左旋回用伝動状態、及び、前記直進用の無段変速装置の変速出力を左側の走行装置に伝達し且つ前記旋回用の無段変速装置の変速出力を右側の走行装置に伝達する右旋回用伝動状態に切り換え自在な伝動状態切換手段と、
    前記直進用の無段変速装置を変速するための手動操作式の変速操作具と、
    直進、右方向への旋回、及び、左方向への旋回を指令する旋回指令手段と、
    前記伝動状態切換手段及び前記旋回用の無段変速装置の作動を制御する走行状態制御手段とが備えられ、
    前記走行状態制御手段は、
    前記旋回指令手段の指令にて直進が指令されると、前記伝動状態切換手段を前記直進用伝動状態に切り換えて、前記旋回用の無段変速装置の変速出力が前記直進用の無段変速装置と同じ又は略同じ変速出力になるように前記旋回用の無段変速装置を作動させる出力同調運転を行うように構成され、且つ、
    前記旋回指令手段にて右方向への旋回が指令されると前記伝動状態切換手段を前記右旋回用伝動状態に切り換え、前記旋回指令手段にて左方向への旋回が指令されると前記伝動状態切換手段を前記左旋回用伝動状態に切り換えるように構成され、更に、前記旋回指令手段にて右方向への旋回及び左方向への旋回が指令されると、前記旋回用の無段変速装置の変速出力が前記直進用の無段変速装置の変速出力よりも低速側の変速出力になるように前記旋回用の無段変速装置を作動させるように構成されている作業車の走行制御装置であって、
    前記走行状態制御手段が、前記出力同調運転として、
    前記変速操作具により増速が指令されているときは、前記直進用の無段変速装置の変速出力と同じ変速出力に対応する変速操作状態、又は、それよりも設定量高速側に変位した変速操作状態を目標変速操作状態として設定し、
    前記変速操作具により減速が指令されているときは、前記直進用の無段変速装置の変速出力と同じ変速出力に対応する変速操作状態よりも設定量低速側に変位した変速操作状態を目標変速操作状態として設定して、
    前記旋回用の無段変速装置の変速操作状態が前記目標変速操作状態になるように前記旋回用の無段変速装置の作動を制御するように構成されている作業車の走行制御装置。
  2. 前記走行状態制御手段が、前記出力同調運転として、
    前記変速操作具により増速が指令されているときは、前記直進用の無段変速装置の変速出力と同じ変速出力が得られる前記変速操作状態としての前記旋回用の無段変速装置における被操作体の操作位置、又は、それよりも設定量高速側に変位した前記被操作体の操作位置を前記目標変速操作状態として設定し、且つ、
    前記変速操作具により減速が指令されているときは、前記直進用の無段変速装置の変速出力と同じ変速出力が得られる前記変速操作状態としての前記旋回用の無段変速装置における被操作体の操作位置よりも設定量低速側に変位した前記被操作体の操作位置を前記目標変速操作状態として設定するように構成されている請求項1記載の作業車の走行制御装置。
  3. 前記走行状態制御手段が、
    前記設定量として、前記直進用の無段変速装置における前記変速操作状態の単位時間あたりの変化量が大きいほど大きい値を設定するように構成されている請求項1又は2記載の作業車の走行制御装置。
  4. 前記変速操作具がサーボ機構を用いて前記直進用の無段変速装置を変速操作するように構成され、且つ、前記変速操作具にて指令された変速指令位置を検出する変速指令位置検出手段が備えられ、
    前記走行状態制御手段が、
    前記変速指令位置検出手段の検出情報に基づいて、前記変速操作具にて指令される変速指令位置が時間経過に伴って変化している指令速度変化状態から変速指令位置が変化していない指令速度収束状態に変化したことを判別すると、前記設定量を零として前記目標変速状態を設定するように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の作業車の走行制御装置。

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