JP2005246415A - 金属ベルト用鋼帯の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 表面欠陥を低減できる金属ベルト用の鋼帯の製造方法を提供する。
【解決手段】 熱間圧延後のFe基合金鋼帯を素材とし、該素材を用いて冷間圧延を行う金属ベルト用鋼帯の製造方法において、冷間圧延工程中に少なくとも1回以上の酸洗処理を行う工程を含み、少なくとも仕上げの冷間圧延はロールの表面粗さ(Ra)が0.2μm以下のロールを用い、且つ3〜30%の圧下率とし、Fe基合金鋼帯の厚さを0.7mm以下とする金属ベルト用鋼帯の製造方法である。
好ましくは、上記の酸洗処理は2回以上行う金属ベルト用鋼帯の製造方法である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、無段変速機用部品の動力伝達用の金属ベルトに用いる金属ベルト用鋼帯の製造方法に関するものである。
無段変速機用部品の動力伝達用の金属ベルトに用いる金属ベルト用鋼帯として、マルエージング鋼や、マルテンサイト系の鋼があり、高い疲労強度が求められている。
高い疲労強度を劣化させる要因の一つに仕上げ冷間圧延後に鋼帯表面に残存する線状のキズや、面状のキズ等の表面欠陥が挙げられる。これら表面欠陥が残存した鋼帯を用いて製造された部材は、表面欠陥を起点として部材の破断が発生する。
このFe基合金でなる鋼帯の表面欠陥を防止する提案としては、例えば特開2001−47106号(特許文献1参照)として、疲労強度の高い熱延鋼板とその製造方法が提案されている。
特開2001−47106号公報
上述した特許文献1に開示される技術は、高い疲労強度を備えた自動車部品に代表される部品を製造する熱間圧延鋼板とその製造方法を提案するものである。
具体的には、鋼中のC、Si、Mnに関しCeq.=C%+1/6Mn%+1/24Si%で規定する数値が式(1)を満足し、かつ、鋼中のMn、SがS≦0.025%で(2)式を充足し、酸洗後、調質圧延されたコイルの表面において、鋼板の圧延方向および幅方向のそれぞれの平均粗さRa(μm)及び表面粗さRz(μm)が(3)、(4)式を満足するというものである。
この特許文献1に開示されるのは、仕上げ圧延(調質圧延)をダルロールで行い、表面粗さを特定の粗さに調整しようとするものである。
特許文献1によれば、製品の板厚として2.31mmの比較的厚めの鋼帯に対して適用しているが、疲労強度が求められる鋼帯を用いた用途の中には金属ベルト用の鋼帯のように0.7mm以下というような薄帯で、疲労強度が求められるような用途もある。
このような薄帯に対してダルロールを用いての調質圧延は、素材表面に線状欠陥や面状欠陥を故意に形成しようとするものであり、ダルロールで粗らされた表面には部分的に応力集中が発生し易く、薄い金属ベルト用の鋼帯として用いるには不適当である。
本発明の目的は、表面欠陥を低減できる金属ベルト用の鋼帯の製造方法を提供することである。
本発明は上述した課題を解決するためになされたものである。
即ち本発明は、熱間圧延後のFe基合金鋼帯を素材とし、該素材を用いて冷間圧延を行う金属ベルト用帯鋼の製造方法において、冷間圧延工程中に少なくとも1回以上の酸洗処理を行い、少なくとも仕上げの冷間圧延はロールの表面粗さ(Ra)が0.2μm以下のロールを用い、且つ3〜30%の圧下率とし、Fe基合金鋼帯の厚さを0.7mm以下とする金属ベルト用鋼帯の製造方法である。
好ましくは、酸洗処理は2回以上行うことなう金属ベルト用鋼帯の製造方法である。
更に好ましくは、仕上げ冷間圧延後のFe基合金鋼帯の表面において、100mmの範囲内に存在する線状欠陥の深さが5μm以下であり、最大長径が10μm以下の面状欠陥が5個以下である金属ベルト用鋼帯の製造方法である。
上述のFe基合金鋼帯がマルエージング鋼またはマルテンサイト系合金鋼であり、前述のマルエージング鋼の好ましい化学組成は、質量%でTi:0.2〜3.0%、C:0.01%以下、Ni:8.0〜22.0%、Co:2.0〜20.0%、Mo:2.0〜9.0%、Al:1.7%以下、P:0.02%以下、S:0.02%以下、Mn:0.5%以下、Si:0.5%以下、O:30ppm以下、N:30ppm以下、残部は実質的にFeからなる金属ベルト用鋼帯の製造方法である。
また、上記の化学組成に加え、更にMg:1〜100ppmを含有する金属ベルト用鋼帯の製造方法である。
なお、本発明の動力伝達用マルエージング鋼帯には、必要に応じて結晶粒を微細化するのに有効なBを靱性が劣化させない程度の0.01%以下の範囲で含有させても良いし、靭性や延性の改善効果があるとされるCaを0.1%以下の範囲で含有させても良い。
本発明の金属ベルト用鋼帯の製造方法を適用すれば疲労強度を低下させる表面欠陥を著しく低減でき、自動車エンジンの無段変速機用部品の動力伝達用の金属ベルトとして最適とすることができる。
先ず、本発明では、熱間圧延後のFe基合金鋼帯を素材とし、該素材を冷間圧延を行う金属ベルト用帯鋼の製造方法において、冷間圧延工程中に少なくとも1回以上の酸洗処理を行う。
自動車エンジンの無段変速機用部品の動力伝達用の金属ベルトにおいては、10回以上の高サイクル領域において鋼中の介在物に代表される異物を起点として疲労破壊が生じるため、疲労破壊の起点となる異物(砥粒)の混入を防ぐことが必要となる。また、低サイクル領域においては表面欠陥を起点とした疲労破壊を生じるため、表面への異物の噛み込みやキズなどの表面欠陥を防止することも必要となる。
冷間圧延工程の初期段階(例えば板厚が2mm前後)においては、その後の冷間圧延に備えて軟化焼鈍(溶体化処理ともいわれることもある)を行い、冷間圧延材料の表面清浄化とある程度の平坦度の付与や板厚寸法を調整するためにグラインダ研削を行う場合が多い。特に例えばTiやAlを必須で含有するマルエージング鋼では軟化焼鈍後の冷間圧延材表面には酸化被膜が形成されるため、グラインダ研削によって酸化膜を除去するのが効果的である。
この時に、グラインダ研削によって素材に打ち込まれた研削の砥粒の除去や研削粉の除去を最大の目的として酸洗処理を行う。酸洗処理した冷間圧延材の表面からグラインダ研削によって打ち込まれた砥粒や切削粉、冷間圧延工程前の段階(例えば熱間圧延段階)でグラインダ研削されて残留した砥粒が除去され、酸化スケールも除去される。
なお、この時のグラインダ研削−酸洗処理は冷間圧延材を移動させながら連続で処理すると生産性の点から好ましく、勿論、砥粒の打ち込みを完全に防止するために酸洗処理のみとしても良い。
そして、冷間圧延工程の中間段階或いは更に最終段階においては冷間圧延で硬化した冷間圧延材の軟化焼鈍を行うが、材料の材質、厚さに応じてグラインダ研削−酸洗処理の工程か、酸洗処理のみの工程を施すとよい。
この時の酸洗処理により、殆どの砥粒や切削粉を除去でき、実質的に異物の噛み込みを起因とした疲労破壊の危険性を殆どなくすことができることから、冷間圧延工程中には2回以上の酸洗処理を行うのが好ましく、この時の酸洗処理は冷間圧延材を移動させながら連続で処理すると生産性の点から好ましい。
なお、本発明においてFe基合金鋼帯の材質は、自動車エンジンの無段変速機用部品の動力伝達用の金属ベルトに用いるに必要な引張強度として、1200MPa以上が得られるものを用いると良く、好ましい材質、組成に付いては後述する。
そして、少なくとも仕上げの冷間圧延に用いるロールには表面粗さ(Ra)が0.2μm以下のロールを用いる。
これは、表面粗さ(Ra)が0.2μmを超えると、鋼帯表面の部分的な応力集中が起き易くなること、鋼帯表面の線状欠陥や面状欠陥が残存し易く、鋼帯表面の欠陥を起因とする破断の危険性が高まるということと、板厚方向の寸法精度が低くなる場合があるためである。そのため、本発明では冷間圧延に用いるロールの表面粗さを(Ra)が0.2μm以下とする。好ましくは0.02〜0.1の範囲である。
なお、冷間圧延工程で用いるロールの表面粗さ(Ra)が0.2μm以下のロールを用いることが望ましい。
そして、仕上げの冷間圧延で鋼帯の厚さを0.7mm以下とする。
この時の圧下率は3〜30%とする。これは、鋼帯組織の微細化と鋼帯の平坦度(寸法精度)を得るためである。そして、鋼帯の厚みを0.7mm以下とするが、これは、その後に行われる、鋼帯を適当な長さに切断し、両端を接合してリングとして、最終の自動車エンジンの無段変速機用部品の動力伝達用の金属ベルトにするための素材とするためである。
よって、本発明の仕上げ圧延後の厚さは0.7mm以下とするが、下限はおおよそ0.2mm程度となる。
上述の製造方法で得られた仕上げ冷間圧延後の鋼帯は、鋼帯の表面において100mmの範囲内に存在する線状欠陥の深さが5μm以下であり、最大長径が10μm以上の面状欠陥が5個以下とすることができる。線状欠陥の深さが5μm以下、最大長径が10μm以上の面状欠陥が5個以下であれば、鋼帯表面の欠陥を起因とする破断の危険性を回避することが十分に可能である。
なお、本発明で100mmの範囲としたのは、本来であれば表面全体を観察するのが良いが、それは現実的ではなく、従来からの経験として100mmの範囲とすれば100mmを超える範囲の観察結果と比して、表面欠陥不良発生の頻度に差異は無いため、100mmの範囲とした。
そして、本発明で言う線状欠陥とは、長手方向に1μm以上の幅をもって伸びたものを言い、面状欠陥とはエッチングによるピット状のキズや打痕、或いは研削粉や砥粒の噛み込み跡のようなものを言い、その欠陥部が最大長径が10μm以上の領域を持ったものを言う。これらの欠陥の有無、深さの測定は例えば光学顕微鏡で測定すれば良い。
ところで、本発明で用いるFe基合金にはマルエージング鋼またはマルテンサイト系合金鋼であるのが好ましい。これらの合金は熱処理や加工によって強度が約1300MPa以上が得られるためである。
なお、本発明で言うマルエージング鋼とは、マルテンサイト組織にエージング(時効硬化処理)を施すことで1300Mpa以上(好ましくは2000MPa前後)の非常に高い強度と優れた延性が得られる合金であり、Niを8〜25%含む時効硬化型の超強力鋼を言う。
マルテンサイト系合金鋼とは、加工誘起型や熱処理によって金属組織がマルテンサイト相を体積%で50%以上となるものを言い、好ましい化学組成は質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:3.0%以下、Mn:5.0%を越え10.0%以下、Ni:1.0〜12.0%、Cr:4〜18%、MoまたはWの1種または2種が、Mo+1・2Wで0.1〜4.0%、Cu:5.0%以下(0%を含む)、N:0.15%以下(0%を含む)、Al:0.10%以下、O:0.005%以下、残部が実質的にFeの合金である。
次に、上述のマルエージング鋼の好ましい組成について説明する。各元素の含有量は質量%として示す。
Ti:0.2〜3.0%
Tiは時効処理により微細な金属間化合物を形成し、析出することによって強化に寄与するマルエージング鋼において必要不可欠な元素であり0.2%以上含有させるが、その含有量が3.0%を越えて含有させると延性、靱性が劣化するため、Tiの含有量を0.2〜3.0%とした。好ましくは、0.3〜2.0%の範囲である。
C:0.01%以下
Cは炭化物を形成し、金属間化合物の析出量を減少させて疲労強度を低下させるため本発明ではCの上限を0.01%以下とした。なお、下限については、今現在の技術的な限界としては10ppmとするのがせいぜいである。
Ni:8.0〜22.0%
Niは靱性の高い母相組織を形成させるためには不可欠の元素であるが、8.0%未満では靱性が劣化する。一方、22%を越えるとオーステナイトが安定化し、マルテンサイト組織を形成し難くなることから、Niは8.0〜22.0%とした。
Co:2.0〜20.0%
Coはマトリックスであるマルテンサイト組織を安定性に大きく影響することなく、Moの固溶度を低下させることによってMoが微細な金属間化合物を形成して析出するのを促進することによって析出強化に寄与するが、その含有量が2.0%未満では必ずしも十分効果が得られず、また20.0%を越えると脆化する傾向がみられることから、Coの含有量は2.0〜20.0%にした。なお、引張強度を2000MPa前後まで高めるには、Coの範囲を5.0〜20.0%とすれば良い。
Mo:2.0〜9.0%
Moは時効処理により、微細な金属間化合物を形成し、マトリックスに析出することによって強化に寄与する元素であるが、その含有量が2.0%未満の場合その効果が少なく、また9.0%を越えて含有すると延性、靱性を劣化させるFe,Moを主要元素とする粗大析出物を形成しやすくなるため、Moの含有量を2.0〜9.0%とした。
Al:1.7%以下
Alは、時効析出した強化に寄与するだけでなく、脱酸作用を持っているが、1.7%を越えて含有させると靱性が劣化することから、その含有量を1.7%以下とした。好ましい下限は0.02%とすれば良い。
P:0.02%以下、S:0.02%以下
P、Sは粒界脆化させたり、介在物を形成して疲労強度を低下させるので、0.02%以下とすると良く、好ましくは0.01%以下であり、無添加レベル以下でも良い。
Mn:0.5%以下、Si:0.5%以下
Si、Mnは脆化をもたらす粗大な金属間化合物の析出を促進して延性、靭性を低下させたり、介在物を形成して疲労強度を低下させるので、Si、Mn共に0.5%以下にした。好ましくは0.2%未満、更に好ましくは0.01%以下とすれば良く、無添加レベル以下でも良い。
O:30ppm以下
Oは酸化物系介在物を形成するため、30ppm以下に制限する。Oが30ppmを超えて含有すると疲労強度が著しく低下するため、その含有量を30ppm以下にした。好ましくは20ppm以下である。なお、下限については、今現在の技術的な限界としては1ppmとするのがせいぜいである。
N:30ppm以下
Nは窒化物や炭窒化物系介在物を形成するため、30ppm以下に制限する。Nが30ppmを超えて含有すると疲労強度が著しく低下するため、その含有量を30ppmにした。好ましくは20ppm以下である。なお、下限については、今現在の技術的な限界としては2ppmとするのがせいぜいである。
残部は実質的にFe
本発明では上述した元素以外は実質的にFeとしているが、例えばBは結晶粒を微細化するのに有効な元素であるため、靱性が劣化させない程度の0.01%以下の範囲で含有させても良い。Ca、Zrは靭性や延性の改善効果があるため、0.1%以下の範囲で含有させてもよい。また、不可避的に含有する不純物元素は含有されるものである。
本発明においてはMg:1〜100ppmを含有することができる。
Mgを1〜100ppm含有させることで、インゴットの酸素濃度を安定して下げることができ、酸化物の組成がAlに代表されるAlを主成分とする酸化物に代わり、金属元素としてMgを主要成分とする酸化物となり、更にそのサイズも微細化するため、必要に応じて添加する。また、Mgを添加して真空二重溶解を適用すれば、窒化物系介在物の大きさも微細にすることができる。
このMgの効果を得るには1ppm未満では前述の効果が得にくく、100ppmを超えると靭性が劣化するので、Mgを添加する場合には1〜100ppmの範囲とするのが良い。好ましくは2〜70ppmの範囲である。
なお、Mgを添加することにより冷間圧延工程前の素材状態で酸化物系介在物であれば20μm以下に、窒化物系介在物であれば12μm以下に微細化することができ、冷間圧延工程終了後においては、酸化物系介在物は15μm以下とすることができる。
以下、実施例として更に詳しく本発明を説明する。
真空誘導溶解で電極を製造し、真空アーク再溶解を行い鋼塊を得た。鋼塊を1250℃でソーキングを行なった後、熱間鍛造を行なって熱間鍛造品とし、熱間鍛造品を熱間圧延し、熱間圧延後の帯状のFe基合金に形成された酸化スケールは酸洗処理にて除去し、厚み2mmの冷間圧延用の素材とした。
今回のFe基合金鋼帯の素材は2000MPa前後の引張強度を得ることができるマルエージング鋼とした。化学組成を表1に示す。
Figure 2005246415
次に、上記の帯状のFe基合金を用いて、溶体化処理と冷間圧延を繰り返し、厚み0.5mmのマルエージング鋼製の金属ベルト用鋼帯を製造した。仕上げの冷間圧延に用いたロール及び冷間圧延工程で用いたロールの表面粗さは工程No.1及びNo.3〜6までを(Ra)0.045μmとした。工程No.2のロール粗さは(Ra)0.25μmとし、冷間圧延と軟化焼鈍を繰返し行った。
なお、酸洗処理に用いた溶液は硫酸及び硝酸の混合液であり、グラインダ→酸洗処理工程、酸洗処理工程及びグラインダ工程は何れも連続で処理した。軟化焼鈍は900℃として連続熱処理とした。
軟化焼鈍は冷間圧延工程中に2回実施し、軟化焼鈍後の表面処理方法と仕上げ圧延率を表2に示す。
Figure 2005246415
仕上げ冷間圧延後の金属ベルト用鋼帯の表面粗さ、表面欠陥及び砥粒の残存状況を断面から調査した。
金属ベルト用鋼帯の表面粗さは表面粗さ計を用いて測定した。また、表面欠陥は、100mmの範囲内に見られた線状欠陥のうち、最も深いものを表3に示し、最大長径が10μm以上の面状欠陥の個数も測定し、併せて表3に示した。
なお、線状欠陥や面状欠陥の有無、深さの測定は光学顕微鏡及び表面粗さ計で測定し、面状欠陥の場合、最大長径が10μm以上の領域を持ったエッチングによるピット状のキズや打痕、或いは研削粉や砥粒の噛み込み跡が確認できた物をカウントした。この時、表面欠陥としてグラインダ砥粒の残存状況も併せて観察した。
Figure 2005246415
表3に示すように、本発明の製造方法を適用した金属ベルト用鋼帯では、表面の欠陥が極めて少ないことが分かる。また、砥粒の残存も無く表面欠陥を起因とした破壊の危険性が著しく低減されることが分かる。また、本発明の方法を適用した金属ベルト用鋼帯の寸法精度(平坦度)も良好であることが分かる。
そして、工程No.1及び4の金属ベルト用鋼帯を用いて、介在物測定用のサンプルを採取し、介在物の最大長さを測定した。窒化物系介在物は硝酸と塩酸の混合溶液で試料を溶解後、フィルターでろ過し、フィルター上の窒化物系介在物の残渣を電子顕微鏡で観察を行い、サイズを調査した。酸化物系介在物は、エレクトロンビーム溶解で試料を溶解させ、浮上してきた酸化物系介在物について、電子顕微鏡で観察を行い、サイズを調査した。
この時、窒化系介在物の大きさは、窒化物系介在物は矩形形状であるため、長辺aと短辺bを測定し、面積a×bに相当する円の直径をその最大長さとし、酸化物系介在物は、酸化物系介在物に外接する円の直径を非金属介在物の最大長さとした。その結果、No.1では窒化物系介在物が8.5μm、酸化物系介在物が13μmであり、この程度の大きさであれば、10回以上の高サイクル領域において優れた疲労強度が得られるレベルであった。また、No.4では窒化物系介在物が6.5μm、酸化物系介在物が10μmであり、この程度の大きさであれば、10回以上の高サイクル領域において優れた疲労強度が得られるレベルであった。
以上、説明する通り、本発明の製造方法を適用すれば、無段変速機用部品の動力伝達用の金属ベルトに用いる金属ベルト用鋼帯として最適となる。
本発明の製造方法では、表面欠陥が問題となる用途への適用に好適である。

Claims (6)

  1. 熱間圧延後のFe基合金鋼帯を素材とし、該素材を用いて冷間圧延を行う金属ベルト用鋼帯の製造方法において、冷間圧延工程中に少なくとも1回以上の酸洗処理を行う工程を含み、少なくとも仕上げの冷間圧延はロールの表面粗さ(Ra)が0.2μm以下のロールを用い、且つ3〜30%の圧下率とし、Fe基合金鋼帯の厚さを0.7mm以下とすることを特徴とする金属ベルト用鋼帯の製造方法。
  2. 酸洗処理は2回以上行うことを特徴とする請求項1に記載の金属ベルト用鋼帯の製造方法。
  3. 仕上げ冷間圧延後のFe基合金鋼帯の表面において、100mmの範囲内に存在する線状欠陥の深さが5μm以下であり、最大長径が10μm以上の面状欠陥が5個以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の金属ベルト用鋼帯の製造方法。
  4. Fe基合金鋼帯がマルエージング鋼またはマルテンサイト系合金鋼であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の金属ベルト用鋼帯の製造方法。
  5. 請求項4に記載のマルエージング鋼は、質量%でTi:0.2〜3.0%、C:0.01%以下、Ni:8.0〜20.0%、Co:2.0〜22.0%、Mo:2.0〜9.0%、Al:1.7%以下、P:0.02%以下、S:0.02%以下、Mn:0.5%以下、Si:0.5%以下、O:30ppm以下、N:30ppm以下、残部は実質的にFeからなる金属ベルト用鋼帯の製造方法。
  6. 請求項5に記載の化学組成に加え、更にMg:1〜100ppmを含有することを特徴とする特徴とする金属ベルト用鋼帯の製造方法。
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