JP2005246227A - マイクロカプセルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】超音波や圧力で破壊できる含気泡型マイクロカプセルの歩留まりのよい製造方法を提供する。
【解決手段】発色剤5部を高沸点溶媒95部に溶解して作製した透明のロイコ色素オイル15gと気泡剤15gと壁材14gと他の壁材1gとを撹拌して混合油液を作成する。この混合油液をポリビニルアルコール1.5gを水150gに溶解させた分散安定剤に滴下しながらホモジナイザーにより混合油滴径が4μmになるように撹拌し油・水エマルジョンを作成する。次に壁反応剤1.5%水溶液を滴下し70℃の水槽で温度を保ち撹拌を続けて3時間反応させ、混合油滴との界面で壁材と壁反応剤による界面重合反応により生成されたカプセル壁を有する粒径4μmのマイクロカプセルを得る。水とマイクロカプセルを完全に分離して得たマイクロカプセル粉末を真空乾燥機に入れ降温温度と周囲圧力と保持時間とを所定の条件で制御して、つぶれ等の変形の無い球形の含気泡型のマイクロカプセルを高い製造歩留まりで得る。
【選択図】 図1
【解決手段】発色剤5部を高沸点溶媒95部に溶解して作製した透明のロイコ色素オイル15gと気泡剤15gと壁材14gと他の壁材1gとを撹拌して混合油液を作成する。この混合油液をポリビニルアルコール1.5gを水150gに溶解させた分散安定剤に滴下しながらホモジナイザーにより混合油滴径が4μmになるように撹拌し油・水エマルジョンを作成する。次に壁反応剤1.5%水溶液を滴下し70℃の水槽で温度を保ち撹拌を続けて3時間反応させ、混合油滴との界面で壁材と壁反応剤による界面重合反応により生成されたカプセル壁を有する粒径4μmのマイクロカプセルを得る。水とマイクロカプセルを完全に分離して得たマイクロカプセル粉末を真空乾燥機に入れ降温温度と周囲圧力と保持時間とを所定の条件で制御して、つぶれ等の変形の無い球形の含気泡型のマイクロカプセルを高い製造歩留まりで得る。
【選択図】 図1
Description
本発明は、マイクロカプセル及びその製造方法に関する。
従来、光、熱、圧力等の外部刺激に応答して破壊されるマイクロカプセルが知られている。これらの利用方法としては、例えば多色に発色するマイクロカプセルを含有するインク層を予めコーティングした専用の記録紙を用い、これに画像情報に対応した光や熱を付与して画像形成を行う装置が知られている。(例えば、特許文献1参照。)
また、上記同様に記録紙内にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックに発色する4種のマイクロカプセルと顕色剤とを予め封入した専用の記録紙(フイルム状シート)を用い、外部刺激として上記のように光や熱ではなく、超音波振動エネルギーを用いて各マイクロカプセルをその共振周波数で振動させて所定のマイクロカプセルを破壊して発色させる画像形成装置が提案されている。(例えば、特許文献2参照。)
また、上記のように専用の記録紙ではなく、普通紙上にカラー印刷を行えるようにしたものとして、それぞれ異なる波長の光で硬化する光硬化性樹脂でコーティングした3種類以上の色素カプセルを1種類のトナーに封入して、普通紙上に転写後、波長の異なる3種類以上の光の画像データを、この普通紙上に転写されたトナー画像の上に順次照射してフルカラー発色させる光反応性カラートナー及びそれを用いた印刷方法が提案されている。(例えば、特許文献3参照。)
更に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックに着色した互いに共振周波数の異なる4種の着色中空粒子(含気泡粒子)を、回転する担持体の表面に均一に塗布するとともに帯電させ、選択した共振周波数の超音波振動エネルギーを用いて対応の所定の着色中空粒子を振動させて発色させると同時に普通紙上に転写して画像形成する方法が提案されている。(例えば、特許文献4参照。)
また、発色カプセルに関しては、従来からよく知られたものとして、感圧記録又は感熱記録用のカプセル技術がある。これらは、一般に、カプセルの芯物質として色素用液体が封入されている。(例えば、特許文献5参照。)
また、塗料、インキ、化粧品等のコーティング剤として体積膨張させ、比重を小さくするための充填剤として中空のマイクロカプセルを利用する技術がある。(例えば、特許文献6参照。)
尚、カプセル壁の素材としては、カプセル壁をポリウレタン系で構成する技術が広く知られている。(例えば、特許文献7、8、及び9参照。)
米国特許4,734,704号公報
特開平11−058832号公報([要約]、図1、図6)
特開平08−106172号公報([要約]、図1)
特開平11−058833号公報([要約]、図1)
特開2001−232939号公報([要約]、図1)
特開平08−020604号公報([要約]、図1)
特開平09−290146([要約]、段落[0019]、[0020])
特開平09−263624([要約]、段落[0014]、[0015])
特開2003−096454([要約]、図1)
また、上記同様に記録紙内にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックに発色する4種のマイクロカプセルと顕色剤とを予め封入した専用の記録紙(フイルム状シート)を用い、外部刺激として上記のように光や熱ではなく、超音波振動エネルギーを用いて各マイクロカプセルをその共振周波数で振動させて所定のマイクロカプセルを破壊して発色させる画像形成装置が提案されている。(例えば、特許文献2参照。)
また、上記のように専用の記録紙ではなく、普通紙上にカラー印刷を行えるようにしたものとして、それぞれ異なる波長の光で硬化する光硬化性樹脂でコーティングした3種類以上の色素カプセルを1種類のトナーに封入して、普通紙上に転写後、波長の異なる3種類以上の光の画像データを、この普通紙上に転写されたトナー画像の上に順次照射してフルカラー発色させる光反応性カラートナー及びそれを用いた印刷方法が提案されている。(例えば、特許文献3参照。)
更に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックに着色した互いに共振周波数の異なる4種の着色中空粒子(含気泡粒子)を、回転する担持体の表面に均一に塗布するとともに帯電させ、選択した共振周波数の超音波振動エネルギーを用いて対応の所定の着色中空粒子を振動させて発色させると同時に普通紙上に転写して画像形成する方法が提案されている。(例えば、特許文献4参照。)
また、発色カプセルに関しては、従来からよく知られたものとして、感圧記録又は感熱記録用のカプセル技術がある。これらは、一般に、カプセルの芯物質として色素用液体が封入されている。(例えば、特許文献5参照。)
また、塗料、インキ、化粧品等のコーティング剤として体積膨張させ、比重を小さくするための充填剤として中空のマイクロカプセルを利用する技術がある。(例えば、特許文献6参照。)
尚、カプセル壁の素材としては、カプセル壁をポリウレタン系で構成する技術が広く知られている。(例えば、特許文献7、8、及び9参照。)
ところで、上記の特許文献1や特許文献2に記載のように、マイクロカプセルを含有するインク層を予めコーティングした専用の記録紙を用いる技術は、普通紙が使用できないという問題もあるが、何よりも、複数色の印字工程を繰り返すことから色ずれ管理が難しく、その制御には高度の技術を要するだけでなく装置構成の複雑化が避けられないという大きな問題を有している。
また、上記の技術のいずれにも、具体的なカプセルの構成や製造方法が開示されておらず、画像形成方法もフイルム状シートと顕色シートを併用するものであったりして取り扱いが煩雑である。
また、特許文献3に記載の技術は、普通紙を使える点では好ましいが、光刺激を前提とするため、トナーに封入された色素カプセルへの光の透過性が劣ると共に光エネルギーでコーティングを硬化させる構成のため発色応答性に難があり、近年の高速印刷の要求に応えることができないという問題を有している。
また、特許文献4に記載の技術は、これも普通紙を使える点で好ましく、更に、超音波振動エネルギーを用ことから応答性に優れるが、4種の着色中空粒子を収容部に分散させる構成であり、各色の使用量変化に対する管理、制御が複雑となるため、実用化には更なる改良を要するという問題が残されている。
また、特許文献5に記載の感圧・感熱記録用のカプセルの構造は、基本的にカプセル膜が薄く物理的圧力によって壊れ易いように作られており、超音波による共振破壊が生じるようには設計されていないので、超音波による共振破壊に応用することはできない。
また、特許文献6に記載の技術のように、中空のカプセルを製造する技術にはカプセル壁材としてビニル基を用い内部に気体を封入しガス圧を高くした薄膜中空カプセルがあるが、このような中空カプセルは密閉性を高くする材料を選択する必要がある場合には適さない。また、一般に、カプセル製造のために高圧ガス化装置が必要であり装置が大型化し、カプセルの安価な量産化に適さない。また、このような中空カプセルのいずれも、膜を超音波で破壊しようとして検討されたものではない。
またマイクロカプセルのような、その製造に技術的に手数のかかる製品を製造するには製造歩留まりの良否が大きな問題となるが、上記いずれの特許文献にも製造歩留まりの良否についての記載が見当たらない。
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、超音波や圧力で破壊できる具体的な構成のマイクロカプセル、特に中空のつまり含気泡型のマイクロカプセルの歩留まりのよい製造方法を提供することである。
本発明のマイクロカプセルの製造方法は、所定の共振周波数の超音波によって破壊可能な保護外壁を生成する壁材と、上記保護外壁にて囲繞される所定材料を溶解させる所定の沸点を有する第1の溶剤と該第1の溶剤よりも低沸点の第2の溶剤からなる芯物質と、上記壁材を界面重合させつつ又はその後に、上記第1の溶剤よりも低沸点の上記第2の溶剤を加熱により揮発させて外気と入れ替える工程と、上記壁材の上記界面重合により形成された上記保護外壁からなるマイクロカプセルを冷却するに際し外圧を制御する工程と、を有して、上記保護外壁内に液体相と気体相とを内包させるように構成される。
上記外圧を制御する工程は、例えば温度低下率と外圧上昇率との関係を所定の関係で制御するように構成される。その場合、例えばマイクロカプセルの降温開始時の温度をT0 、そのときの周囲の圧力をP0 、降温中のマイクロカプセルの温度をT、そのときの周囲の圧力をP、係数をa=P0 ×(T+273)/(T0 +273)として、0.9×a≦P≦1.1×aが成り立つように制御することが好ましい。
また、上記所定材料は、例えばロイコ色素で構成され、また、上記保護外壁は、例えばイソシアネート成分からなるように構成されることが好ましい。
本発明によれば、液相と気相が混在する構造により発色反応を瞬時に行うことができる具体的な構成のマイクロカプセルと、このマイクロカプセルの冷却時にカプセルの温度低下率と周囲の外圧上昇率との関係を所定の関係で制御することによる歩留まりの良い製造方法とを提供することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
図1(a) は、本発明の実施形態1におけるマイクロカプセルを製造する材料と工程を説明する図表であり、同図(b) は、上記マイクロカプセルの製造工程の最終工程において行われる温度と気圧と保持時間の制御の状態を具体的に示す図表である。
(実施形態1)
図1(a) は、本発明の実施形態1におけるマイクロカプセルを製造する材料と工程を説明する図表であり、同図(b) は、上記マイクロカプセルの製造工程の最終工程において行われる温度と気圧と保持時間の制御の状態を具体的に示す図表である。
図2(a),(b) は、上記のマイクロカプセルの製造工程中において生成される油滴粒と最終的に形成されるマイクロカプセルを、それぞれ模式的に示す図である。
これらの図1(a),(b) 及び図2(a),(b) を用いて本発明の実施形態1としてのマイクロカプセルの製造方法を以下に説明する。
これらの図1(a),(b) 及び図2(a),(b) を用いて本発明の実施形態1としてのマイクロカプセルの製造方法を以下に説明する。
先ず、シアン色用のマイクロカプセルを作成するために、予めクリスタルバイオレットラクトン(山本化成製ロイコ色素CVL)5部を、高沸点溶媒となるフェニルキシリルエタン(沸点295〜305℃、日本石油化学製SAS−296)95部に加温下で溶解して、シアン発色材としての透明のロイコ色素オイルを作製する。
次に、このシアン色用ロイコ色素オイル15gと、気泡剤として中沸点溶剤のp−キシレン(沸点138℃)15gと、壁材としてトリレジンイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(日本ポリウレタン工業製コロネートL)14gと、更に同じく壁材としてジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート(日本ポリウレタン工業製ミリオネートMR−200)1gとを撹拌して均一に混合させ、芯物質の混合油液を作製する。
続いて、ポリビニルアルコール(重合度1700、けん化度88%、クラレ製PVA217)1.5gを水150gに溶解させた分散安定剤を作製する。
そして、この分散安定剤に上記の芯物質混合油液を滴下しながら、ホモジナイザー(homogenizer:乳剤機、IKA社製ウルトラ・タラックスT25ベーシック )により、上記の芯物質混合油滴が4μmになるように撹拌する。これにより4μmφの芯物質混合油滴のO/W(Oil/Water)のエマルジョンが作製される。
そして、この分散安定剤に上記の芯物質混合油液を滴下しながら、ホモジナイザー(homogenizer:乳剤機、IKA社製ウルトラ・タラックスT25ベーシック )により、上記の芯物質混合油滴が4μmになるように撹拌する。これにより4μmφの芯物質混合油滴のO/W(Oil/Water)のエマルジョンが作製される。
次に、このO/Wエマルジョンを通常の羽付撹拌装置で撹拌しながら、壁反応剤としてのテトラエチレンペンタミン1.5%水溶液を滴下していく。この滴下が終了したならば、70℃の水槽で温度を保ち、撹拌を続けて3時間反応させる。
これにより、芯物質混合油滴との界面で、上記の壁材と壁反応剤による界面重合反応が行われ、保護外壁としての粒径4μmφのカプセル壁が生成される。こうして得られた粒径4μmのマイクロカプセルは、光学顕微鏡で観察したところ球状で芯が液体のマイクロカプセルとなった。
この後、デカンテーション(decantation:固形物を沈降させた後上澄み液だけを流し去る操作 )により水とマイクロカプセルを分離して水を捨て、多量の水で洗浄する作業を繰り返した後、遠心分離機を用いてマイクロカプセルを沈降させて濃厚分散液を得、この濃厚分散液を凍結乾燥装置に入れて液を凍らせてから水分を気化させて乾燥し、マイクロカプセル粉末を得た。この段階では、図2(a) に示すように、マイクロカプセル内に気泡剤を含んではいるが気泡はまだ出来でいない。
上記の図2(a) は、界面重合反応によって生成されたカプセル壁(保護外壁)と、中沸点の気泡剤が揮発するときの様子を示している。図2(a) に示すように、分散油滴1は、ロイコ色素と高沸点溶媒からなるロイコ色素オイルと壁剤とが混合された永久芯物質2と、中沸点の気泡剤からなる一時芯物質3とからなり、周囲を取り囲む分散安定剤4に滴下混合された壁反応剤5との界面重合反応によりカプセル壁(保護外壁)6が形成されている。
続いて、図1(a) に示すように、上記のマイクロカプセル粉末を、真空乾燥機に入れ、温度120℃の状態で24時間保持して、図2(a) の矢印aに示すように、p−キシレンを揮発させ、液体相のロイコ色素オイルと、揮発したp−キシレンと入れ替わった外気からなる気体相とを含んだ含気泡型のロイコ色素オイルを内包するマイクロカプセルを得る。すなわち、図2(b) に示すように、カプセル壁(保護外壁)6に囲繞された液体相のロイコ色素オイル8と、揮発した一時芯物質3と入れ替わった気体相の外気9とを含む含気泡型のロイコ色素を内包するマイクロカプセル7が得られる。
しかし、このまま冷却したのでは粒子の形状が変形する虞があるので、図1(a) の最終工程に示すように、更に上記に続けて真空乾燥機の降温温度と気圧と保持時間とを制御しながら徐々に冷却する。図1(b) の図表はこのときの降温温度と気圧と保持時間の制御状態を示している。
図1(b) に示すように、先ず第1段階として、設定温度110℃、設定圧力987hPa、保持時間2時間とし、第2段階では、設定温度100℃、設定圧力961hPa、保持時間2時間とし、第3段階では、設定温度90℃、設定圧力936hPa、保持時間2時間とし、第4段階では、設定温度80℃、設定圧力910hPa、保持時間2時間とし、第5段階では、設定温度70℃、設定圧力884hPa、保持時間2時間とし、第6段階では、設定温度60℃、設定圧力858hPa、保持時間2時間とし、第7段階では、設定温度50℃、設定圧力833hPa、保持時間2時間とし、そして最終の第8段階で、設定温度40℃、設定圧力807hPa、保持時間2時間とする。
この最終処理後に、真空乾燥機内の圧力を大気圧にして、マイクロカプセル7を取り出して、電子顕微鏡で観察を行ったところ、ほぼ全て図2(b) に示した状態が維持されており、すなわち、つぶれ等の変形の無い球形の含気泡型のマイクロカプセルが高い製造歩留まりで得られることが判明した。
(実施形態2)
図3は、実施形態2としての、上記マイクロカプセルの製造工程の最終工程における温度と気圧と保持時間の制御の他の例を示す図表である。本例においては、実施形態1と同様にマクロカプセルを作成し、更にこのマイクロカプセルを実施形態1と同様に真空乾燥機に入れ120℃の状態で24時間保持してp−キシレンを揮発させた後、図3に示す最終処理を行った。
図3は、実施形態2としての、上記マイクロカプセルの製造工程の最終工程における温度と気圧と保持時間の制御の他の例を示す図表である。本例においては、実施形態1と同様にマクロカプセルを作成し、更にこのマイクロカプセルを実施形態1と同様に真空乾燥機に入れ120℃の状態で24時間保持してp−キシレンを揮発させた後、図3に示す最終処理を行った。
すなわち、先ず第1段階として、設定温度120℃、設定圧力961hPa、保持時間3時間とし、第2段階では、設定温度100℃、設定圧力910hPa、保持時間2時間とし、第3段階では、設定温度80℃、設定圧力858hPa、保持時間2時間とし、第4段階では、設定温度60℃、設定圧力807hPa、保持時間2時間とし、そして最終の第5段階では、設定温度40℃、設定圧力807hPa、保持時間2時間とする。
この最終処理後に、真空乾燥機内の圧力を大気圧にして、含気泡ロイコ色素マイクロカプセル7を取り出して、電子顕微鏡で観察を行ったところ、この場合も、ほぼ全て図2(b) に示した状態が維持されており、すなわち、つぶれ等の変形の無い球形の含気泡カプセルが高い製造歩留まりの状態で得られることが判明した。
このように、含気泡ロイコ色素マイクロカプセル7の冷却時に、カプセルの温度が下がり、カプセル内の圧力が下がっても、周囲の外圧をカプセル内の圧力と同じ圧力に下げることによりカプセル内外の圧力を一定にして、カプセル壁の強度が高温状態で弱くなっていてもカプセルが潰れたり変形することがないようにして、高い製造歩留まりのもとで含気泡型のマイクロカプセルを製造することができる。
また、上述した図1(b) 又は図3に示した真空乾燥機の降温温度、圧力、保持時間の制御は、「マイクロカプセルの降温開始時の温度をT0 、そのときの周囲の圧力をP0 、降温中のマイクロカプセルの温度をT、そのときの周囲の圧力をP、係数をa=P0 ×(T+273)/(T0 +273)として「0.9×a≦P≦1.1×a」が成り立つように制御している。これにより、冷却中のカプセル内外の圧力をほぼ同一に維持することができる。
(実施形態3)
続いて、実施形態3として、ホモジナイザーによる油滴の大きさを6μmとしたこと以外は、全て実施形態1又は2と同様に処理して、最終工程終了後、真空乾燥機から取り出した含気泡ロイコ色素マイクロカプセル7を電子顕微鏡で観察を行ったところ、この場合も、ほぼ全て図2(b) に示した状態が維持されており、すなわち、つぶれ等の変形の無い球形の含気泡カプセルが高い製造歩留まりの状態で得られることが判明した。
続いて、実施形態3として、ホモジナイザーによる油滴の大きさを6μmとしたこと以外は、全て実施形態1又は2と同様に処理して、最終工程終了後、真空乾燥機から取り出した含気泡ロイコ色素マイクロカプセル7を電子顕微鏡で観察を行ったところ、この場合も、ほぼ全て図2(b) に示した状態が維持されており、すなわち、つぶれ等の変形の無い球形の含気泡カプセルが高い製造歩留まりの状態で得られることが判明した。
このように、本発明の含気泡型のマイクロカプセルの製造方法によれば、気泡成分としてカプセル内に閉じこめた揮発性溶剤を加熱して揮発が終わってからの製造工程の最終段階で、高温のカプセルを冷却する際に温度の降温と共に低下するカプセル内の圧力にカプセル周囲の外圧が同じになるように温度と圧力と保持時間を制御するので、最終段階まで冷却が完了したときには、いずれのカプセルもつぶれることなく所定の気泡を含んだマイクロカプセルを、ほぼ100%の製造歩留まりで得ることができる。
尚、上記のように製造工程の最終段階で温度と圧力と保持時間を制御してマイクロカプセルの変形を防止して正しい粒径を維持させる製造方法は、発色を目的とするロイコ色素を含む含気泡型のマイクロカプセルに限ることなく、他の目的で形成される含気泡型のマイクロカプセルの製造にも適用できることは言うまでも無い。
ところで、ロイコ色素は顕色剤と反応して発色する。また、上記実施形態1及び3とから、4μmφと6μmφのマイクロカプセルが得られることが判明しているから、中間の5μmφのマイクロカプセルも容易に得られることが想定できる。したがって、これら3種類の径の異なるマイクロカプセルに、それぞれ、マゼンタ、シアン、イエローのロイコ色素を包含させるようにして、それらのカプセル壁(保護外壁)6を選択的に破壊して顕色剤と反応させ、所望の色を発色させることができる。
上記のようにマイクロカプセル7のカプセル壁6の直径を色毎に異ならせるのは、これらのカプセル壁6を破壊するための超音波に対する共振周波数を色毎に異ならせるためである。また、上記のようにカプセル壁6内に気泡(外気6)を内包すると、カプセル壁6内部の音響インピーダンスを変化させることができることが知られており、より少ないエネルギーの共振によってカプセル壁6を破壊し易くなることが判明している。
図4は、マイクロカプセル7の気泡半径別振幅と周波数依存性を示す図である。同図は、横軸に超音波の共振周波数をHzで示し、縦軸にマイクロカプセル7の振幅(ΔR/Ro)を示している。同図は、マゼンタ、シアン、イエローのロイコ色素をそれぞれ内包するマイクロカプセル7(7M、7C、7Y)の半径の変化率を色別毎に異ならせた時の共振周波数を表したものであり、イエロー(Y)のロイコ色素オイルを内包するマイクロカプセル7Yに照射する共振周波数を7f−yで示し、マゼンタ(M)のロイコ色素オイルを内包するマイクロカプセル7Mに照射する共振周波数を7f−mで示し、シアン(C)のロイコ色素オイルを内包するマイクロカプセル7Cに照射する共振周波数を7f−cで示している。
実験によれば、マイクロカプセル7の最大振幅が50%以上膨張すると、カプセル壁6に亀裂が生じることが確認された。したがって、同図に示すように、膨張率が60%を超える周波数(共振周波数)を持つ超音波を照射することにより、所望のマイクロカプセル7のカプセル壁6を破壊して、内部の発色剤と外部の顕色剤とを混合反応させて、所望の色を発色させることができる。そして、適宜に2種類以上の色を発色させることによりフルカラーの画像を形成することもできる。
(実施形態4)
ところで、所望の色を発色させるためにマイクロカプセル7のカプセル壁6を破壊するには、超音波の照射と限るわけではなく、熱や圧力によっても破壊することができる。したがって、上記のようにして作成した所望の色のロイコ色素オイルを包含するマイクロカプセルと顕色剤オイルを包含するマイクロカプセルとを、ほぼ均一になるように混合したものを用紙に塗布すれば、自己発色型の感圧紙を実現することができる。
ところで、所望の色を発色させるためにマイクロカプセル7のカプセル壁6を破壊するには、超音波の照射と限るわけではなく、熱や圧力によっても破壊することができる。したがって、上記のようにして作成した所望の色のロイコ色素オイルを包含するマイクロカプセルと顕色剤オイルを包含するマイクロカプセルとを、ほぼ均一になるように混合したものを用紙に塗布すれば、自己発色型の感圧紙を実現することができる。
そこで、実施形態4として、顕色剤オイルを包含するマイクロカプセルの製法を以下に述べる。
まず、油相を作製する。この油相の作製では、顕色剤(サリチル酸亜鉛錯塩(三光製R−054))4.5gを、高沸点オイル(呉羽化学製KMC−113)に投入し、スターラによって、70℃で攪拌して溶解させ、顕色剤オイルを作成する。
まず、油相を作製する。この油相の作製では、顕色剤(サリチル酸亜鉛錯塩(三光製R−054))4.5gを、高沸点オイル(呉羽化学製KMC−113)に投入し、スターラによって、70℃で攪拌して溶解させ、顕色剤オイルを作成する。
この顕色剤溶解オイルを室温まで冷却し、気泡材としての酢酸エチル13.5gを追加混合する。更に壁材としてのトリレンジイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネートL)6gを良く混ぜ合わせて芯物質の混合油液すなわち油相を作製する。
次に、水相を作製する。この水相の作製では、ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−205)6gを蒸留水194に投入し、スターラによって室温で溶解させる。
続いて、上記の油相を水相に投入してホモミキサー(TOKUSHU KIKA TKホモミキサー)で6000rpmで5分間の攪拌により乳化させて10μmの油滴を作製する。その後40℃に昇温して、酢酸エチルの臭気が無くなるまで酢酸エチルを気化させる。酢酸エチルを気化させた後、70℃で5時間をかけて重合し、顕色剤溶解オイルのカプセルを含んだ懸濁液を作製する。
続いて、上記の油相を水相に投入してホモミキサー(TOKUSHU KIKA TKホモミキサー)で6000rpmで5分間の攪拌により乳化させて10μmの油滴を作製する。その後40℃に昇温して、酢酸エチルの臭気が無くなるまで酢酸エチルを気化させる。酢酸エチルを気化させた後、70℃で5時間をかけて重合し、顕色剤溶解オイルのカプセルを含んだ懸濁液を作製する。
この懸濁液を多量の水で洗浄したのち、遠心分離機にかけて濃厚液を作製し、凍結乾燥機により粉体の顕色剤カプセルを得る。このように条件はやや異なるが、前述したロイコ色素オイル含有のマイクロカプルの製造方法とほぼ同様にして顕色剤オイルを内包するマイクロカプセルが得られる。
ここで、上記壁材としてのトリレンジイソシアネートは、重要な存在であることが注目される。すなわち、ロイコ色素と異なり顕色剤を内包する場合は、ウレタン壁の材料となるイソシアネート類の中で、トリレンジイソシアネート以外の壁材、例えばヘキサメチレンジイソシアネートでは発泡反応が発生して壁材の用を成さなかった。また、他の壁材、例えばジフェニルメタン、ジイソシアネートなども、発泡反応が発生して壁材として用いることが出来なかった。
(実施形態5)
続いて、自己発色型感圧紙について説明する。
図5は、実施形態5としての自己発色型感圧紙の構成を示す図である。同図に示すように、自己発色型感圧紙10は、支持体としての光沢紙11の上に、前述したロイコ色素オイル内包のマイクロカプセル7とそのロイコ色素と反応してロイコ色素を発色させる実施形態4で得られた顕色剤を内包したマイクロカプセルとを均一に混合した感圧インク層12が形成されている。
続いて、自己発色型感圧紙について説明する。
図5は、実施形態5としての自己発色型感圧紙の構成を示す図である。同図に示すように、自己発色型感圧紙10は、支持体としての光沢紙11の上に、前述したロイコ色素オイル内包のマイクロカプセル7とそのロイコ色素と反応してロイコ色素を発色させる実施形態4で得られた顕色剤を内包したマイクロカプセルとを均一に混合した感圧インク層12が形成されている。
上記の感圧インク層12は、以下のようにして形成される。
先ず顕色剤を内包したマイクロカプセルを5g、ロイコ色素オイルを内包したマイクロカプセル7を5g、澱粉を4g、ラテックス(日本エイアンドエル製S312)を2g、及び水を15gを用意し、これらを混合して、予め用意した光沢紙11にバーコ一タを用いて塗布量が約10g/m^2に成るように塗布して乾燥させる。
先ず顕色剤を内包したマイクロカプセルを5g、ロイコ色素オイルを内包したマイクロカプセル7を5g、澱粉を4g、ラテックス(日本エイアンドエル製S312)を2g、及び水を15gを用意し、これらを混合して、予め用意した光沢紙11にバーコ一タを用いて塗布量が約10g/m^2に成るように塗布して乾燥させる。
乾燥させて出来た図5に示す自己発色型感圧紙10は白色であった、この自己発色型感圧紙10の上に、中厚の白紙を載せて鉛筆にて文字を書くと、自己発色型感圧紙10にも同様の文字が青く発色した。
1 分散油滴
2 永久芯物質
3 一時芯物質
4 分散安定剤
5 壁反応剤
6 カプセル壁(保護外壁)
7 マイクロカプセル
8 ロイコ色素オイル
9 外気
10 自己発色型感圧紙
11 光沢紙
12 感圧インク層
2 永久芯物質
3 一時芯物質
4 分散安定剤
5 壁反応剤
6 カプセル壁(保護外壁)
7 マイクロカプセル
8 ロイコ色素オイル
9 外気
10 自己発色型感圧紙
11 光沢紙
12 感圧インク層
Claims (5)
- 所定の共振周波数の超音波によって破壊可能な保護外壁を生成する壁材と、
前記保護外壁にて囲繞される所定材料を溶解させる所定の沸点を有する第1の溶剤と該第1の溶剤よりも低沸点の第2の溶剤からなる芯物質と、
前記壁材を界面重合させつつ又はその後に、前記第1の溶剤よりも低沸点の前記第2の溶剤を加熱により揮発させて外気と入れ替える工程と、
前記壁材の前記界面重合により形成された前記保護外壁からなるマイクロカプセルを冷却するに際し外圧を制御する工程と、
を有して、
前記保護外壁内に液体相と気体相とを内包させることを特徴とするマイクロカプセルの製造方法。 - 前記外圧を制御する工程は、温度低下率と外圧上昇率との関係を所定の関係で制御することを特徴とする請求項1記載のマイクロカプセルの製造方法。
- 前記外圧を制御する工程は、マイクロカプセルの降温開始時の温度をT0 、そのときの周囲の圧力をP0 、降温中のマイクロカプセルの温度をT、そのときの周囲の圧力をP、係数をa=P0 ×(T+273)/(T0 +273)として、
0.9×a≦P≦1.1×a
が成り立つように制御する、ことを特徴とする請求項2記載のマイクロカプセルの製造方法。 - 前記所定材料は、ロイコ色素であることを特徴とする請求項1記載のマイクロカプセルの製造方法。
- 前記保護外壁は、イソシアネート成分からなることを特徴とする請求項1記載のマイクロカプセルの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004059861A JP2005246227A (ja) | 2004-03-03 | 2004-03-03 | マイクロカプセルの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP (1) | JP2005246227A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016216702A (ja) * | 2015-03-24 | 2016-12-22 | ザ・ボーイング・カンパニーThe Boeing Company | カプセル化触媒及び集束超音波を使用した急速硬化接着剤 |
-
2004
- 2004-03-03 JP JP2004059861A patent/JP2005246227A/ja not_active Withdrawn
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