JP2005243442A - 燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電極反応の有効面積を極力減らすことなくガスのスリップを防止することができる燃料電池を提供する。
【解決手段】 燃料流体流路および酸化剤流体流路の内の少なくとも一方は、流路溝5aが折り返して走行し流路溝の一端から他端へと流体が流れるように構成されており、隣接する上流側流路溝部と下流側流路溝部間にある畝のうち、少なくとも上流側流路溝部の上流部分と下流側流路溝部の下流部分との間にある畝に接するガス拡散層の多孔度は、他の畝に接するガス拡散層および流路溝に接するガス拡散層の多孔度よりも低い。
【選択図】 図2

Description

本発明は、電気化学反応を利用した燃料電池に関し、特に、流路を流れるガスのスリップの防止に関するものである。
通常、燃料電池は、多孔体からなるガス拡散層と触媒層とを有する燃料電極および酸化剤電極間に触媒層を介してイオン伝導性の電解質膜を挟持させてなる電気化学発電素子部と、この電気化学発電素子部の両側に配置され、燃料電極および酸化剤電極にそれぞれ燃料流体(燃料ガス)および酸化剤流体(酸化剤ガス)を供給する燃料流体流路(燃料ガス流路)および酸化剤流体流路(酸化剤ガス流路)が設けられたセパレータ板とを備える。
このような燃料電池において、ガス拡散層は反応ガス(燃料ガス、酸化剤ガス)をガス流路から触媒層にスムーズに移動させたり、生成ガスや水などの反応生成物をガス流路に排出させる機能を有していると同時に、電池の平面方向でみると反応ガスのスリップする経路にもなっており、ガス利用率低下の要因にもなっている。
従来の燃料電池においては、例えば特許文献1の発明の効果の欄に記載されているように、電解質膜を燃料電極および酸化剤電極で狭持してなる単セルと、上記燃料電極に燃料流体を供給し、並行した複数の溝からなる燃料並行流路群および上記酸化剤電極に酸化剤流体を供給し、並行した複数の溝からなる酸化剤並行流路群が折り返して走行するセパレータ板とを、順次積層した積層体からなる燃料電池において、上記並行流路群内の溝間の畝幅より、隣接する並行流路群間の畝幅が大であるようにして、セパレータ流路内でのガスのスリップを減少させようとしている。
特開2001−76746号公報(第3頁、第1図)
しかしながら、上記従来の燃料電池におけるように、溝間距離(畝幅)の制御では、ガス拡散層内のガスのスリップを漸減することは可能であるが、完全に止めることはできない。また、ガスのスリップを極力無くすために畝幅を広くし過ぎると、この部分の触媒層への反応ガスの拡散が難しくなり、電極反応面として有効に作用しなくなるなどの問題点があった。
本発明は、上記のような従来のものの問題点を解決するためになされたものであり、電極反応の有効面積を極力減らすことなくガスのスリップを防止することができる燃料電池を提供することを目的とするものである。
本発明に係る燃料電池は、多孔体からなるガス拡散層と触媒層とを有する燃料電極および酸化剤電極間に上記触媒層を介してイオン伝導性の電解質膜を挟持させてなる電気化学発電素子部と、該電気化学発電素子部の両側に配置され、上記燃料電極および酸化剤電極にそれぞれ燃料流体および酸化剤流体を供給する燃料流体流路および酸化剤流体流路が設けられたセパレータ板とを備える燃料電池において、上記燃料流体流路および酸化剤流体流路の内の少なくとも一方は、流路溝が折り返して走行し上記流路溝の一端から他端へと流体が流れるように構成されており、隣接する上流側流路溝部と下流側流路溝部間にある畝のうち、少なくとも上記上流側流路溝部の上流部分と上記下流側流路溝部の下流部分との間にある畝に接する上記ガス拡散層の多孔度は、他の畝に接する上記ガス拡散層および上記流路溝に接する上記ガス拡散層の多孔度よりも低いものである。
また、燃料流体流路および酸化剤流体流路の内の少なくとも一方は、複数の流路溝とこれらの流路溝が共通に連通する流体供給マニホールドと流体排出マニホールドとで構成される複数の流路群が、隣接する上記流路群を流れる流体の方向が逆方向となるように配置されて構成されおり、隣接する上記流路群間にある畝のうち、少なくとも一方の流路群の上流部と他方の流路群の下流部との間にある畝に接する上記ガス拡散層の多孔度は、他の畝に接する上記ガス拡散層および上記流路溝に接する上記ガス拡散層の多孔度よりも低いものである。
また、燃料流体流路および酸化剤流体流路の内の少なくとも一方は、折り返して走行する流路溝とこの流路溝が連通する流体供給マニホールドと流体排出マニホールドとで構成される複数の流路群が、隣接する上記流路群を流れる流体の方向が同方向となるように配置されて構成されおり、隣接する上記流路群間にある畝に接する上記ガス拡散層の多孔度は、他の畝に接する上記ガス拡散層および上記流路溝に接する上記ガス拡散層の多孔度よりも低いものである。
本発明によれば、燃料流体流路および酸化剤流体流路の内の少なくとも一方は、流路溝が折り返して走行し上記流路溝の一端から他端へと流体が流れるように構成されており、
隣接する上流側流路溝部と下流側流路溝部間にある畝のうち、少なくとも上記上流側流路溝部の上流部分と上記下流側流路溝部の下流部分との間にある畝に接する上記ガス拡散層の多孔度は、他の畝に接する上記ガス拡散層および上記流路溝に接する上記ガス拡散層の多孔度よりも低いので、すなわち、隣接する流路溝間にある畝の内、両流路溝を流れるガスの圧力差の大きい部分にある畝に接するガス拡散層の多孔度を、他の畝および流路溝に接するガス拡散層の多孔度よりも低くしたので、ガスのスリップが生じ易い部分でのガスのスリップを有効に防止することができ、電極反応の有効面積を極力減らすことなくガスのスリップを防止できる。
また、燃料流体流路および酸化剤流体流路の内の少なくとも一方は、複数の流路溝とこれらの流路溝が共通に連通する流体供給マニホールドと流体排出マニホールドとで構成される複数の流路群が、隣接する上記流路群を流れる流体の方向が逆方向となるように配置されて構成されおり、隣接する上記流路群間にある畝のうち、少なくとも一方の流路群の上流部と他方の流路群の下流部との間にある畝に接する上記ガス拡散層の多孔度は、他の畝に接する上記ガス拡散層および上記流路溝に接する上記ガス拡散層の多孔度よりも低いので、すなわち、隣接する流路溝間にある畝の内、両流路溝を流れるガスの圧力差の大きい部分にある畝に接するガス拡散層の多孔度を、他の畝および流路溝に接するガス拡散層の多孔度よりも低くしたので、ガスのスリップが生じ易い部分でのガスのスリップを有効に防止することができ、電極反応の有効面積を極力減らすことなくガスのスリップを防止できる。
また、燃料流体流路および酸化剤流体流路の内の少なくとも一方は、折り返して走行する流路溝とこの流路溝が連通する流体供給マニホールドと流体排出マニホールドとで構成される複数の流路群が、隣接する上記流路群を流れる流体の方向が同方向となるように配置されて構成されおり、隣接する上記流路群間にある畝に接する上記ガス拡散層の多孔度は、他の畝に接する上記ガス拡散層および上記流路溝に接する上記ガス拡散層の多孔度よりも低いので、すなわち、隣接する流路溝間にある畝の内、両流路溝を流れるガスの圧力差の大きい部分にある畝に接するガス拡散層の多孔度を、他の畝および流路溝に接するガス拡散層の多孔度よりも低くしたので、ガスのスリップが生じ易い部分でのガスのスリップを有効に防止することができ、電極反応の有効面積を極力減らすことなくガスのスリップを防止できる。
実施の形態1.
図1〜図4は、本発明の実施の形態1による燃料電池を説明するための図であり、より具体的には、図1は燃料電池の要部を積層方向に沿って切断した様子を模式的に示す断面図、図2はアノード触媒層の側からアノードガス拡散層とアノード側セパレータ板を見た平面図、図3は図2の一部を拡大して示す平面図、図4はアノード触媒層の側からアノードガス拡散層とアノード側セパレータ板を見た平面図である。
本実施の形態では、図1に示すように、アノード(燃料極)側セパレータ板1a、アノードガス拡散層2a、アノード触媒層4a、固体高分子電解質膜3、カソード(酸化剤極)触媒層4b、カソードガス拡散層2b、カソード側セパレータ板1bを順に積層した7層構造のユニットで構成されている。すなわち、多孔体からなるアノードガス拡散層2aとアノード触媒層4aとを有する燃料電極および多孔体からなるカソードガス拡散層2bとカソード触媒層4bとを有する酸化剤電極間に、触媒層4a,4bを介してイオン伝導性の電解質膜3を挟持させてなる電気化学発電素子部100と、電気化学発電素子部100の両側に配置され、燃料電極および酸化剤電極にそれぞれ燃料ガスおよび酸化剤ガスを供給する燃料ガス流路および酸化剤ガス流路が設けられたセパレータ板1a,1bとを備えている。
一般に、アノード側セパレータ板1aおよびカソード側セパレータ板1bの材料には、カーボン、または貴金属メッキを表面に施した金属板などの電気伝導度が高く、ガス透過性の無い材料が用いられる。
また、アノード側セパレータ板1aのアノード電極(アノードガス拡散層2a)側の面にはアノードガス流路となる流路溝5aが形成されており、その反対側の面には図示していないが冷却水の流路溝が形成されることもある。同様に、カソード側セパレータ板1bのカソード電極(カソードガス拡散層2b)側の面にもカソードガス流路となる流路溝5bが形成されており、その反対側の面には図示していないが冷却水の流路溝が形成されることもある。また、アノード側セパレータ板1aにおいて、隣接する流路溝5a間には畝7aが配置され、カソード側セパレータ板1bにおいて、隣接する流路溝5b間には畝7bが配置されている。
一例として、各流路溝5a,5bの高さ(深さ)および幅は共に1mm程度であり、各畝7a,7bの幅も1mm程度である。
なお、図1では電気化学発電素子部100の両側にアノード側セパレータ板1aおよびカソード側セパレータ板1bが配置された発電ユニットを1つ記載しているが、実際には、このようなユニットが複数積層されて燃料電池積層体を構成していることが多い。また、アノード側セパレータ板1aとカソード側セパレータ板1bとは別体に限らず、一方の主表面に燃料ガス流路5a、他方の主表面に酸化剤ガス流路5bがそれぞれ設けられた一体型のセパレータ板を用い、このセパレータ板と電気化学発電素子部100とを交互に積層して燃料電池積層体を構成する場合もある。
アノード、カソードそれぞれのガス拡散層2a,2bは、カーボンペーパー、カーボンフェルト、カーボンクロスなど、電子導電性の良好なカーボンで形成されており、多孔度は60%〜90%程度の通気性のよい多孔体が使われることが多い。
一例として、各ガス拡散層2a,2bの厚さは300μm程度である。
アノード側触媒層4aには白金ルテニウム合金微粒子を担持したカーボン粒子が用いられており、カソード側触媒層4bには白金微粒子を担持したカーボン粒子が用いられている。
一例として、各触媒層4a,4bの厚さは10μm程度である。
アノード触媒層4aとカソード触媒層4b間にはプロトン伝導性を有する固体高分子電解質膜3が配置されており、この固体高分子電解質膜3によって電子とガスを隔絶すると同時に、イオン的にアノードとカソードを連続している。
一例として、固体高分子電解質膜3の厚さは50μm程度である。
本実施の形態による燃料電池は、図2に示すように、燃料ガス流路および酸化剤ガス流路の内の少なくとも一方(図2では燃料ガス流路のみを示しているが、本実施の形態では両方である。)は、4本の流路溝(図2では黒太線で示しているが、網かけで示したガス拡散層2aの下にあるセパレータ板1aに形成されている。)5aが折り返して走行している。さらに、各流路溝5aの両端には4本の流路溝5aが共通に連通するガス供給マニホールド(燃料ガス入口マニホールド)8aとガス排出マニホールド(燃料ガス出口マニホールド)8bとを備えており、流路溝5aの一端から他端へとガスが流れるように構成されている。
さらに、折り返して走行する1本の流路溝5aで、例えば図2の上から4本目の流路溝部と5本目の流路溝部、あるいは8本目の流路溝部と9本目の流路溝部のように、上流側にある上流側流路溝部と下流側にある下流側流路溝部間にあるセパレータ板の畝のうち、少なくとも上流側流路溝部の上流部分と下流側流路溝部の下流部分との間にある畝に接するガス拡散層2aには多孔体の孔内に樹脂が含浸され、その多孔度は、他の畝に接するガス拡散層2aおよび流路溝に接するガス拡散層2aの多孔度よりも低くなっている。以下、このような多孔度の低い部分を低多孔度部と言う。図1ではこのような低多孔度部6a〜6dが4ヶ所に配置されている。
使用する樹脂は、例えば熱可塑性樹脂であり、かつ融点が電池運転温度の上限値以上であればどのような樹脂でもよい。例えば、70℃での電池運転を想定する場合には、ポリエチレン(融点120℃〜130℃)、ポリプロピレン(融点160℃〜170℃)などのポリオレフィン系樹脂が好ましい。
ポリエチレンを含浸する場合には、短冊状、線状または島状に切断したポリエチレンをガス拡散層の必要な箇所に設置して仮止めし、160℃まで温度を上げて圧入(例えばホットプレスなど)する。ポリプロピレンでは180℃から200℃で圧入するのが好ましい。融点より高い温度で充填するほうが生産性の面では好ましい。
含浸する樹脂量は多孔体の孔を完全に満たして多孔度が0になる量を含浸するのが望ましい。ただし、ガス拡散層は電池を運転する時に締め付ける面圧に応じて圧縮されるので、このとき減少する空孔体積も計算して含浸する。樹脂の含浸量が多孔度の100%を超えるとセパレータ板の畝が樹脂で支えられてしまい、均等な面圧がセル面内にかからず好ましくない。
隣接する上流側流路溝部と下流側流路溝部間ではこれらの流路溝を流れるガスに圧力差があるため、上流側流路溝部を流れるガスは上流側流路溝部と下流側流路溝部間にある畝に接するガス拡散層を透過(スリップ)して下流側流路溝部へとバイパスして流れようとする。特に、上流側流路溝部の上流部分と下流側流路溝部の下流部分間でガスの圧力差が大きいため、このようなガスのスリップが生じ易い。
これに対して、本実施の形態では、上流側流路溝部の上流部分と下流側流路溝部の下流部分との間にある畝7aに接するガス拡散層2aには、多孔体の孔内に樹脂が含浸されこの部分の多孔度が他の部分と比べて低くなっているので、このような低多孔度部6a〜6dが透過するガスの隔壁となり、上記のようなガスのスリップを防止することができる。
含浸された樹脂は、ガスの隔壁となってガスのスリップを抑制し、ガスの高利用率運転が可能になるというメリットがある反面、含浸された樹脂によって触媒層4aが覆い隠されてガスの拡散距離が長くなり、結果として有効電極面積が減少するというデメリットも想定される。
そこで図2に示すように、上流側流路溝部と下流側流路溝部間にある畝のうち、特にガスのスリップが生じ易い部分である、上流側流路溝部の上流部分と下流側流路溝部の下流部分との間にある畝に接するガス拡散層のみに樹脂を充填してこの部分のみを低多孔度部6a〜6dとすることにより、ガスのスリップが特に生じ易い部分でのガスのスリップを有効に防止することができ、電極反応の有効面積を極力減らすことなくガスのスリップを防止できる。
特に、ガスのスリップは、ガスの流れと同じ方向に最も生じ易いため、図3に示すように、上流側流路溝部5a1の上流部分と下流側流路溝部5a2の下流部分との間にある畝に接するガス拡散層の内でも特に、上流側流路溝部5a1の上流部分の折り返し部近傍に、すなわちより詳細には完全に折り返す前の、すなわち、流れ方向(図3に白抜き矢印で示す)を転換しつつあるガスの流れ方向の延長線上でこのガスの流れをブロックする位置に樹脂の含浸部分(低多孔度部6e)を設けてもよく、有効電極面積を殆ど減少させることなくガスのスリップを防止できる。なお、この考えを採用すると、図2において、低多孔度部6aは上流側流路溝部の上流部分が折り返していないので、省略することも可能である。
さらに、本実施の形態では、多孔体の孔内に樹脂を含浸することにより透過するガスの隔壁としているので、樹脂の含浸量を制御して多孔度をほぼゼロとすることにより、隔壁の幅は狭くても充分なガスのスリップ防止効果を得ることができる。例えば、畝7a幅が1mmである場合に、その1/10の100μm幅の隔壁とした場合にも、ガスのスリップを防止できることを確認した。そこで、図4に示すように、上流側流路溝部と下流側流路溝部間にある畝に接するガス拡散層の多孔度を、他の畝に接するガス拡散層および流路溝に接するガス拡散層の多孔度よりも低くして低多孔度部6とすることによっても、電極反応の有効面積を極力減らすことなくガスのスリップを防止できる。
低多孔度部6、6a〜6dを、アノードガス拡散層2aおよびカソードガス拡散層2bの図4に示した位置に設けた場合を実施例1、図2に示した位置に設けた場合を実施例2、低多孔度部を設けなかった(樹脂を含浸しなかった)場合を比較例1とし、ガスのスリップ抑制効果について、電池電圧のガス利用率依存性特性および電圧変動幅で比較した。利用率以外の測定条件は、電流密度0.25A/cm、電池温度80℃、カソード加湿露点75℃、アノード加湿露点75℃とし、燃料ガスはメタン改質ガスを想定した水素、二酸化炭素の混合ガス模擬ガスを使用し、酸化剤ガスは空気を使用した。また、上記発電試験には、有効電極面積100cmの単電池を4セル積層したショートスタックを使用した。各々のアノード側セパレータ板は冷却水流路を備え、発電時には75℃の温水を流速100ml/min/cellで冷却水流路に流通させた。ガス拡散層には多孔度85%のカーボンペーパーを用い、スリップ防止用樹脂は、含浸する領域のガス拡散層の空孔体積に対して約100%体積の量のポリエチレンを使用した。
結果を表1〜表3に示す。
表1に示すように、実施例1および実施例2では、燃料利用率90%の高利用率条件において、比較例1での電池の電圧0.67Vと比較してそれぞれ0.70Vおよび0.69Vまで上昇した。しかし、ガスの拡散速度の速い水素を含む燃料ガスでは、ガスの拡散距離の問題は少なく、実施例1と実施例2で殆ど差は無かった。
また、表2に示すように、実施例1および実施例2では、酸化剤(酸素)利用率70%の高利用率条件において、比較例1での電池の電圧0.65Vと比較してそれぞれ0.68Vおよび0.70Vまで上昇した。電極反応速度が酸素ガスの拡散律速となるカソードガス拡散電極の場合、部分的に低多孔度部6a〜6dを設けた実施例2の方が有効であることが分かった。
また、表3に示すように、実施例1および実施例2では、燃料利用率90%の高利用率条件において、比較例1での電圧変動幅±18mVと比較してそれぞれ±5mVおよび±4mVま低い範囲に抑えることができた。
以上説明したように、本実施の形態では、多孔体の孔内に樹脂を含浸して多孔度を低くする(低多孔度部とする)ことにより、ガス拡散層2aにおけるガスのスリップを防止しているので、含浸する樹脂量によってガス拡散層2aの多孔度を制御することができる。したがって、多孔度をほぼゼロとすることにより、ガスのスリップを完全に止めることが可能となる。
このように、樹脂を含浸した部分(低多孔度部6、6a〜6e)はガス拡散層2aを透過するガスの隔壁となるので、低多孔度部6、6a〜6eのガス透過方向(ガス拡散層2aの触媒層4aとの接触面に平行な方向、すなわち電池ユニットの積層方向に垂直な方向)の長さ、すなわち低多孔度部6、6a〜6eの幅は狭くてもよく、畝7a幅に比べて十分に狭くした場合にも充分なスリップ防止効果を得ることができる。
したがって、図4に示すように、上流側流路溝部と下流側流路溝部間にある畝のガスの流れ方向全体に亘って低多孔度部とした場合にも、電極反応の有効面積を極力減らすことなくガスのスリップを防止することができる。
さらに、図2あるいは図3に示すように、低多孔度部6a〜6eを、ガスの圧力差が大きくガスのスリップが最も生じ易い部分に限定して設けることにより、ガスのスリップが最も生じ易い部分でのガスのスリップを有効に防止することができ、電極反応の有効面積を殆ど減少させることなくガスのスリップを防止することができる。
なお、上記では、アノードガス拡散層2aおよびカソードガス拡散層2bの両方に低多孔度部6、6a〜6eを設けたが、アノード、カソードどちら一方のガス拡散層のみに低多孔度部6、6a〜6eを設けてもよい。アノードガス拡散層2aに低多孔度部6、6a〜6eを設ければ、燃料利用率の高い運転が可能となり、カソードガス拡散層2bに低多孔度部6、6a〜6eを設ければ、酸素利用率の高い運転が可能となる。これは、以下の各実施の形態においても特に言及しないが同様である。
また、含浸する場所は、ガス拡散層におけるセパレータ板の畝に接する部分が好ましいが、流路溝に接するガス拡散層にまではみだしていてもよい。
また、低多孔度部6、6a〜6eを設けるのに加えて、上流側にある上流側流路溝部と下流側にある下流側流路溝部間にあるセパレータ板の畝の幅を他の畝の幅より広くしてもよい。このように多孔度の制御と畝幅の制御とを併用することで、電極反応の有効面積を極力減らすことなくガスのスリップをより確実に防止できる。
また、図2および図4では、4本の流路溝5aが折り返して走行し、これらの流路溝5aが共通に連通する流体供給マニホールド8aと流体排出マニホールド8bとを備えている場合について示したが、流路溝5aは4本に限らず複数本、あるいは1本であってもよい。
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2による燃料電池を説明するための図であり、より具体的には、アノード触媒層の側からアノードガス拡散層とアノード側セパレータ板を見た平面図である。
本実施の形態による燃料電池は、図5に示すように、燃料ガス流路および酸化剤ガス流路の内の少なくとも一方(図5では燃料ガス流路)は、複数(図5では6本)の流路溝5aとこれらの流路溝5aが共通に連通する流体供給マニホールド(燃料ガス入口マニホールド)8aと流体排出マニホールド(燃料ガス出口マニホールド)8bとで構成される複数(図5では3個)の流路群が、隣接する流路群を流れる流体の方向が逆方向となるように配置されて構成されている。
さらに、隣接する流路群間にある畝のうち、一方の流路群の上流部と他方の流路群の下流部との間にある畝に接するガス拡散層には多孔体の孔内に樹脂が含浸され、その多孔度は、他の畝に接するガス拡散層および流路溝に接するガス拡散層の多孔度よりも低くなっている。すなわち低多孔度部6f〜6iとなっている。
他の構成は実施の形態1と同様であるので、以下では、主に実施の形態1との相違点について説明する。
隣接する流路群を流れる流体の方向が逆方向となっているので、隣接する流路群間(例えば図5で、上から6本目の流路溝と7本目の流路溝間、あるいは上から12本目の流路溝と13本目の流路溝間など)でも特に、一方の流路群の上流部と他方の流路群の下流部間でガスの圧力差が大きく、一方の流路群の上流部と他方の流路群の下流部間にある畝に接するガス拡散層を透過(スリップ)して一方の流路群の上流部から他方の流路群の下流部へとガスがバイパスして流れようとする。このため、ガス入口マニホールド8aから一方の流路群の上流部に流入したガスは、他方の流路群の下流部へとスリップし、電池反応に寄与することなく他方の流路群のガス出口マニホールド8bから排出されてしまう。
これに対して、本実施の形態では、一方の流路群の上流部と他方の流路群の下流部間にある畝に接するガス拡散層は低多孔度部6f〜6iとなっているので、これらの低多孔度部6f〜6iが透過するガスの隔壁となり、上記のようなガスのスリップを防止することができる。
したがって、本実施の形態によれば、上記実施の形態1の場合と同様に、電極反応の有効面積を極力減らすことなくガスのスリップを防止することができる。
なお、図5では、隣接する流路群間にある畝のうち、一方の流路群の上流部と他方の流路群の下流部との間にある畝に接するガス拡散層のみを低多高度部6f〜6iとした場合について示したが、隣接する流路群間にある畝に接するガス拡散層のガスの流れ方向全体に亘って低多孔度部としてもよいのは実施の形態1の場合と同様である。
また、低多孔度部6f〜6iを設けるのに加えて、隣接する流路群間にあるセパレータ板の畝の幅を他の畝の幅より広くしてもよい。このように多孔度の制御と畝幅の制御とを併用することで、電極反応の有効面積を極力減らすことなくガスのスリップをより確実に防止できる。
また、1つの流路群を構成する流路溝の本数、および流路群の数は図5に示したものに限らないのは言うまでも無い。
実施の形態3.
図6は、本発明の実施の形態3による燃料電池を説明するための図であり、より具体的には、アノード触媒層の側からアノードガス拡散層とアノード側セパレータ板を見た平面図である。
本実施の形態による燃料電池は、図6に示すように、燃料ガス流路および酸化剤ガス流路の内の少なくとも一方(図6では燃料ガス流路のみを示しているが、本実施の形態では両方である。)は、折り返して走行する流路溝(図6では3本の流路溝)とこれらの流路溝が連通する流体供給マニホールド(燃料ガス入口マニホールド)8aと流体排出マニホールド(燃料ガス出口マニホールド)8bとで構成される複数(図6では3個)の流路群が、隣接する流路群を流れる流体の方向が同方向となるように配置されて構成されている。
さらに、隣接する流路群間にある畝に接するガス拡散層には多孔体の孔内に樹脂が含浸され、その多孔度は、他の畝に接するガス拡散層および流路溝に接するガス拡散層の多孔度よりも低くなっている。すなわち低多孔度部6となっている。
他の構成は実施の形態1と同様であるので、以下では、主に実施の形態1との相違点について説明する。
隣接する流路群を流れる流体の方向は同方向であるが、一方の流路群における下流側の流路溝部と他方の流路群における上流側の流路溝部とが隣接しているので、隣接する流路群間でガスの圧力差が大きく、隣接する流路群間にある畝に接するガス拡散層を透過(スリップ)して一方の流路群の上流部(上流側の流路溝部)から他方の流路群の下流部(下流側の流路溝部)へとガスがバイパスして流れようとする。このため、ガス入口マニホールド8aから一方の流路群の上流部に流入したガスは、他方の流路群の下流部へとスリップし、電池反応に殆ど寄与することなく他方の流路群のガス出口マニホールド8bから排出されてしまう。
これに対して、本実施の形態では、隣接する流路群間にある畝に接するガス拡散層は低多孔度部6となっているので、この低多孔度部6が透過するガスの隔壁となり、上記のようなガスのスリップを防止することができる。
実施の形態1でも説明したが、低多孔度部6の幅は狭くてもよく、畝幅に比べて十分に狭くした場合にも充分なスリップ防止効果を得ることができる。したがって、図6に示すように、隣接する流路群間にある畝に接するガス拡散層をガスの流れ方向全体に亘って低多孔度部とした場合にも、電極反応の有効面積を極力減らすことなくガスのスリップを防止することができる。
さらに、本実施の形態でも、各流路群においては、流路溝5aが折り返して走行しているので、実施の形態1の場合と同様に、例えば図6に破線で示すように、上流側流路溝部の上流部分と下流側流路溝部の下流部分との間にある畝に接するガス拡散層に樹脂を充填してこの部分を低多孔度部としてもよい。
また、低多孔度部6を設けるのに加えて、隣接する流路群間にある畝の幅を他の畝の幅より広くしてもよい。このように多孔度の制御と畝幅の制御とを併用することで、電極反応の有効面積を極力減らすことなくガスのスリップをより確実に防止できる。
また、1つの流路群を構成する流路溝の本数(複数本に限らず1本でも可)、流路溝の折り返し回数、および流路群の数は図6に示したものに限らないのは言うまでも無い。
なお、上記各実施の形態において、樹脂は、多孔体の孔内に含浸することでガス拡散層の多孔度を低下させ、ガスのスリップを防止する効果があるが、多孔度を低下させるために多孔体の孔内に含浸する含浸材としては、樹脂に限るものではなく、例えばガラス、酸化物、カーボン、流動性の低い液体などであってもよく、要は、燃料電池内で化学的、電気化学的に安定な材料で、しかもガスの物理的な移動を抑制することができる材料であればよい。
実施の形態4.
図7は、本発明の実施の形態4による燃料電池を説明するための図であり、より具体的には、燃料電池の要部を積層方向に沿って切断した様子を模式的に示す断面図である。
上記各実施の形態では、ガス拡散層の多孔体の孔内に樹脂を含浸することにより低多孔度部を構成したが、本実施の形態では、ガス拡散層を部分的に圧縮することにより低多孔度部を構成する。他の構成は上記各実施の形態と同様であるので、以下では、主に低多孔度部の構成について説明する。
図7に示すように、アノード側セパレータ板1aにおけるの一部の畝7aの高さを他の畝7aより高くした突出畝部70aと、相対するカソード側セパレータ板1bにおけるの一部の畝7bの高さを他の畝7bより高くした突出畝部70bとで、アノードガス拡散層2a、アノード触媒層4a、固体高分子電解質膜3、カソード触媒層4b、およびカソードガス拡散層2bを挟んで面圧をかけると、弾性変形率の相対的に大きいアノードガス拡散層2aおよびカソードガス拡散層2bが圧縮されて多孔度が低下し、低多孔度部6となる。
このように、ガス拡散層を部分的に圧縮することにより多孔度を低くする場合にも、ガス拡散層の圧縮量(畝7a,7bの高さ)を制御することにより多孔度を制御することができる。したがって、多孔度をほぼゼロとすることにより、ガスのスリップを完全に止めることが可能となる。
実施の形態5.
図8は、本発明の実施の形態5による燃料電池を説明するための図であり、より具体的には、燃料電池の要部を積層方向に沿って切断した様子を模式的に示す断面図である。
上記実施の形態4では、突出畝部70a、70bの幅は他の畝7a、7bの幅と同じであったが、本実施の形態では、突出畝部70a、70bにおける他の畝より高さが高く突出している部分(以下、この部分を突起部と言うこともある。)の幅が狭い。
例えば、多孔度80%のカーボンペーパーを圧縮して多孔度0%にするためには厚さを20%まで縮めなくてはならない。実際には、ガス拡散層の圧縮する領域(低多孔度部)は電極反応面積の例えば数%程度であるため、アノード側セパレータ板1aとカソード側セパレータ板1b間にかける圧力は小さくても、ガス拡散層の突起部間に挟まれた部分を圧縮することができる。
さらに、本実施の形態のように、突起部の幅を細くすることにより、突起部に大きな圧力が加わるので、アノード側セパレータ板1aとカソード側セパレータ板1b間にかける圧力はさらに小さくても、ガス拡散層の突起部間に挟まれた部分を圧縮することができ、ガスのスリップする経路を遮断することができる。
電解質膜3や触媒層4a,4bの損傷を考慮すれば、できるだけ小さい圧力で成形するのが好ましい。
さらに、実施の形態1でも述べたが、ガス拡散層の圧縮された部分(低多孔度部6)は、ガスの隔壁となってガスのスリップを抑制し、ガスの高利用率運転が可能になるというメリットがある反面、ガス拡散層の圧縮された部分(低多孔度部6)に対接する触媒層の部分へのガスの拡散距離が長くなり、結果として有効電極面積が減少するというデメリットも想定される。
そこで本実施の形態のように、突起部の幅を狭くして低多孔度部6の面積を狭めることにより、電極反応の有効面積を殆ど減らすことなくガスのスリップを防止できる。
なお、上記各実施の形態では、低多孔度部6,6a〜6eの多孔度がほぼ0%である場合について説明したが、0%に限らないのは言うまでもない。
なお、上記各実施の形態では、本発明を固体高分子形燃料電池に適用した場合について説明したが、リン酸型燃料電池にも適用することができる。
本発明の実施の形態1による燃料電池を説明するための図である。 本発明の実施の形態1による燃料電池を説明するための図である。 本発明の実施の形態1による燃料電池を説明するための図である。 本発明の実施の形態1による燃料電池を説明するための図である。 本発明の実施の形態2による燃料電池を説明するための図である。 本発明の実施の形態3による燃料電池を説明するための図である。 本発明の実施の形態4による燃料電池を説明するための図である。 本発明の実施の形態5による燃料電池を説明するための図である。
符号の説明
1a アノード側セパレータ板、1b カソード側セパレータ板、2a アノードガス拡散層、2b カソードガス拡散層、3 電解質膜、4a アノード触媒層、4b カソード触媒層、5a 燃料ガス流路溝、5a1 上流側流路溝部、5a2 下流側流路溝部、5b 酸化剤ガス流路溝、6,6a〜6e 低多孔度部、7a アノード側セパレータ畝、7b カソード側セパレータ畝、70a、70b 突出畝部、8a 燃料ガス入口マニホールド、8b 燃料ガス出口マニホールド、18a 酸化剤ガス入口マニホールド、18b 酸化剤ガス出口マニホールド。

Claims (5)

  1. 多孔体からなるガス拡散層と触媒層とを有する燃料電極および酸化剤電極間に上記触媒層を介してイオン伝導性の電解質膜を挟持させてなる電気化学発電素子部と、該電気化学発電素子部の両側に配置され、上記燃料電極および酸化剤電極にそれぞれ燃料流体および酸化剤流体を供給する燃料流体流路および酸化剤流体流路が設けられたセパレータ板とを備える燃料電池において、
    上記燃料流体流路および酸化剤流体流路の内の少なくとも一方は、流路溝が折り返して走行し上記流路溝の一端から他端へと流体が流れるように構成されており、
    隣接する上流側流路溝部と下流側流路溝部間にある畝のうち、少なくとも上記上流側流路溝部の上流部分と上記下流側流路溝部の下流部分との間にある畝に接する上記ガス拡散層の多孔度は、他の畝に接する上記ガス拡散層および上記流路溝に接する上記ガス拡散層の多孔度よりも低い
    ことを特徴とする燃料電池。
  2. 多孔体からなるガス拡散層と触媒層とを有する燃料電極および酸化剤電極間に上記触媒層を介してイオン伝導性の電解質膜を挟持させてなる電気化学発電素子部と、該電気化学発電素子部の両側に配置され、上記燃料電極および酸化剤電極にそれぞれ燃料流体および酸化剤流体を供給する燃料流体流路および酸化剤流体流路が設けられたセパレータ板とを備える燃料電池において、
    上記燃料流体流路および酸化剤流体流路の内の少なくとも一方は、複数の流路溝とこれらの流路溝が共通に連通する流体供給マニホールドと流体排出マニホールドとで構成される複数の流路群が、隣接する上記流路群を流れる流体の方向が逆方向となるように配置されて構成されおり、
    隣接する上記流路群間にある畝のうち、少なくとも一方の流路群の上流部と他方の流路群の下流部との間にある畝に接する上記ガス拡散層の多孔度は、他の畝に接する上記ガス拡散層および上記流路溝に接する上記ガス拡散層の多孔度よりも低い
    ことを特徴とする燃料電池。
  3. 多孔体からなるガス拡散層と触媒層とを有する燃料電極および酸化剤電極間に上記触媒層を介してイオン伝導性の電解質膜を挟持させてなる電気化学発電素子部と、該電気化学発電素子部の両側に配置され、上記燃料電極および酸化剤電極にそれぞれ燃料流体および酸化剤流体を供給する燃料流体流路および酸化剤流体流路が設けられたセパレータ板とを備える燃料電池において、
    上記燃料流体流路および酸化剤流体流路の内の少なくとも一方は、折り返して走行する流路溝とこの流路溝が連通する流体供給マニホールドと流体排出マニホールドとで構成される複数の流路群が、隣接する上記流路群を流れる流体の方向が同方向となるように配置されて構成されおり、
    隣接する上記流路群間にある畝に接する上記ガス拡散層の多孔度は、他の畝に接する上記ガス拡散層および上記流路溝に接する上記ガス拡散層の多孔度よりも低い
    ことを特徴とする燃料電池。
  4. 多孔度の低いガス拡散層は、多孔体の孔内に樹脂が含浸されていることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の燃料電池。
  5. 多孔度の低いガス拡散層に接する畝は、他のガス拡散層に接する畝よりも高さが高いことを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の燃料電池。
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