JP2005241277A - 2回路間の誘導ノイズベンチ試験装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 信号線相互間のクロストークの影響を極力抑制したケーブルの最適化設計条件の探知が容易に行えるよう、ケーブリング環境を模擬的に再現して誘導ノイズ試験を行うことができる2回路間の誘導ノイズベンチ試験装置を提供する。
【解決手段】 このベンチ試験装置1は、平板状基台(グランドプレーン)2と、ノイズ発生器5に接続されたノイズ源電線3と、ノイズ測定器6に接続された被測定電線とを備えている。基台2上において、ノイズ源電線3と被測定電線4とが配索可能とされていると共に、ノイズ源電線3と被測定電線4とを近接させて所定長さ並走可能とするカップリング部Cの形成領域が設けられている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、LANケーブルやオーディオ用ケーブル等の信号用ケーブル等の設計に際し、電線相互間に如何なる誘導ノイズが作用するかにつき、実際にケーブル化した場合を模擬して試験を行うことができるようにするための、2回路間の誘導ノイズベンチ試験装置に関するものである。
複数本の信号伝送用メタル信号線を複合化してなるLANケーブルやオーディオ用ケーブル等の信号用ケーブルにおいては、信号線相互間の誘導ノイズによるクロストーク(漏話)の問題が生じるため、そのケーブル設計に際しては、前記クロストークを可及的に抑制できるケーブル構造(遮蔽構造)とすることが望ましい。従ってケーブル設計に当り、実際に複数の信号線を束ね遮蔽層等を形成してケーブリングした上で、特定の信号線に基準信号(雑音信号)を流し、このときに他の信号線に誘導される誘導ノイズを計測して信号線相互間のクロストーク特性を求め、これにより得られたデータをケーブル設計にフィードバックすることが最も望ましいと言える。
しかしながら、クロストーク特性等を最適化すべく遮蔽構造や信号線の配置等を設計変更する度にケーブリング加工を行い、誘導ノイズの試験を行ったのでは、その設計変更の度に手間とコストのかかるケーブリング加工を行わねばならず、その作業の煩わしさは設計効率を極めて悪化させることになる。そこで、信号線を実際にケーブル化したケーブリング環境を模擬的に容易に再現できる試験装置が求められるところであるが、そのような試験装置は未だ提案されていないのが実情である。
従って本発明は、例えば複数本のメタル信号線を複合化させた信号用ケーブル等を設計するに際し、前記信号線相互間の誘導ノイズの影響(クロストークの影響)を極力抑制したケーブルの最適化設計条件の探知が容易に行えるよう、ケーブリング環境を模擬的に再現して誘導ノイズ試験を行うことができる2回路間の誘導ノイズベンチ試験装置を提供することを課題とする。
本発明の請求項1にかかる2回路間の誘導ノイズベンチ試験装置は、接地手段を備える基台と、ノイズ発生器に接続可能とされたノイズ源電線を備えた第1の電気回路と、ノイズ測定器に接続可能とされた被測定電線を備えた第2の電気回路とを備えてなり、前記基台上に、前記ノイズ源電線と被測定電線とが配索可能とされていると共に、両者を近接させて所定長さ並走させるカップリング部形成領域が設けられており、前記基台の接地手段に対し、前記ノイズ源電線及び被測定電線の終端部のアース接続を可能とするアース接続部が設けられていることを特徴とする。
このような構成によれば、ノイズ発生器に第1の電気回路のノイズ源電線を接続して当該ノイズ源電線から誘導ノイズを輻射させることで、実際にケーブル化した場合を模したノイズ発生環境が簡易に再現可能となる。加えて、ノイズ測定器に接続された第2の電気回路の被測定電線に対し、前記ノイズ源電線を並走させて所定の領域にカップリング部を形成し、さらには前記基台の接地手段に対し前記ノイズ源電線及び被測定電線の終端部をアース接続することで、第1及び第2の電気回路間の誘導ノイズ試験環境、すなわち複数本の信号線等を実際にケーブル化した場合の試験環境等も簡易に再現可能となる。そして、前記カップリング部は基台上に設けられるので、基台上において様々なカップリング態様を設定することが容易に可能であり、様々なケーブリング態様を自在に設定することが可能となるものである。
請求項2にかかる誘導ノイズベンチ試験装置は、請求項1において、前記ノイズ測定器と前記被測定電線との間に介装可能とされたインピーダンス変換器を備えていることを特徴とする。この構成によれば、例えばスペクトラムアナライザ等のノイズ測定器の入力インピーダンスと、第2の電気回路の被測定電線のインピーダンスとがマッチングしていない場合に、インピーダンス整合を図ることができるようになる。
請求項3にかかる誘導ノイズベンチ試験装置は、請求項1において、前記基台は、その表面が金属平板で覆われたグランドプレーンからなり、前記金属平板が接地手段として機能することを特徴とする。この構成を採用すれば、前記ノイズ源電線及び被測定電線の終端部を、その直下にあるグランドプレーンたる金属平板と導電接続するだけで、アース接続が行えるようになる。
請求項4にかかる誘導ノイズベンチ試験装置は、請求項1〜3いずれかにおいて、前記カップリング部において、前記ノイズ源電線と被測定電線との並走長さ、並走間隔、及び基台からの配索高さのうちの、少なくとも一つを調整可能とするカップリング調整冶具を備えていることを特徴とする。このような構成によれば、両者の並走長さ、並走間隔、及び基台からの配索高さが、カップリング調整冶具により安定的に設定されると共に、カップリング条件の設定が冶具調整により簡易に行えるようになる。本構成におけるカップリング調整冶具は、ノイズ源電線と被測定電線との位置関係、若しくは基台からの配索高さを固定化できるスペーサ的な役目を果たす冶具であれば特にその形態には制限はない。なお、誘導ノイズ計測に影響を与えないよう、絶縁体で形成されていることが望ましい。
請求項5にかかる誘導ノイズベンチ試験装置は、請求項1において、前記ノイズ発生器が、トラッキングジェネレーターからなることを特徴とする。この構成によれば、周波数が連続的に変化する一定の大きさの正弦波電圧をノイズ源電線に与えることができ、ノイズ発生源の周波数変化に伴う被測定電線のクロストーク測定を行うことができるようになる。
請求項1にかかる2回路間の誘導ノイズベンチ試験装置によれば、例えば信号線等を実際にケーブル化した場合を模したノイズ発生環境が、第1の電気回路のノイズ源電線と第2の電気回路の被測定電線間において簡易に再現可能であり、しかも誘導ノイズ発生状況に大きな影響を与える両者のカップリング態様の設定を基台上で自在に行えるので、実際にケーブル化して試験を行うの場合との相関性が担保された状態で、種々のケーブル構造(遮蔽構造)を模擬して誘導ノイズ試験を行いノイズ測定器でデータを取得することが簡便に行えるようになる。従って、信号線を実際にケーブリングすることなく、信号線相互間のクロストークの影響を極力抑制した信号用ケーブル等の最適化設計条件の探知が、該ベンチ試験装置で容易に行えるようになるという効果を奏する。
請求項2にかかる誘導ノイズベンチ試験装置によれば、インピーダンス変換器を介装させることで、ノイズ測定器の入力インピーダンスと、第2の電気回路の被測定電線のインピーダンスとをマッチングさせて誘導ノイズ測定を行うことができるので、誤差の少ない計測を行うことができる。さらに、ノイズ測定器が低入力インピーダンスである場合に、ハイインピーダンス測定を必要に応じて行うことができるようになるという利点もある。
請求項3にかかる誘導ノイズベンチ試験装置によれば、ノイズ源電線及び被測定電線の終端部を、その直下にあるグランドプレーンたる金属平板と導電接続するだけで、アース接続が行えるので、アース接続が容易となり、作業性を向上させることができる。またグランドプレーンの使用により、大地面反射は既知量と扱え、ノイズ源電線と被測定電線との間の誘導ノイズ測定に影響を与える誤差要因を少なくすることができるという効果を奏する。
請求項4にかかる誘導ノイズベンチ試験装置によれば、ノイズ源電線と被測定電線との並走長さ、並走間隔、及び基台からの配索高さが、カップリング調整冶具により安定的に設定できると共に、カップリング条件の設定が冶具調整により簡易に行えるので、カップリング条件を順次任意に変移させて誘導ノイズ測定を行う場合等に、安定的な誘導ノイズ測定、並びに作業性の向上を実現させることができるという効果を奏する。
請求項5にかかる誘導ノイズベンチ試験装置によれば、周波数が連続的に変化する一定の大きさの正弦波電圧をノイズ源電線に与えることができ、ノイズ発生源の周波数変化に伴う被測定電線のクロストーク測定を行うことができることから、ケーブル設計に必要なデータを効率的に取得できるようになる。
以下図面に基づいて、本発明の具体的実施形態につき詳細に説明する。
図1は、本発明にかかる2回路の誘導ノイズベンチ試験装置1の一例を示す平面図である。このベンチ試験装置1は、接地手段を備える平板状基台(グランドプレーン)2と、トラッキングジェネレーター等からなるノイズ発生器5に接続可能とされたノイズ源電線3(第1の電気回路)と、スペクトラムアナライザ等のノイズ測定器6に接続可能とされた被測定電線4(第2の電気回路)とを備えている。
そして前記基台2上において、前記ノイズ源電線3と被測定電線4とが配索可能とされていると共に、ノイズ源電線3と被測定電線4とを近接させて所定長さ並走可能とするカップリング部Cが所定の領域(カップリング部形成領域)に設けられている。また、前記基台2が備えている接地手段に対し、後述する通り、前記ノイズ源電線3及び被測定電線4の終端部を、それぞれアース接続部においてアース接続することが可能とされている。
前記基台2は、ベンチ試験のための測定フィールドを提供するための平板状基台であると共に、大地面の反射係数を規準化して一定にするためのグランドプレーンとしての役目を果たす。このため基台2は、図3に示すように、底板20の表面に銅、鉄、アルミニウム等の金属平板21が取り付けられた構造を備えている。このようなグランドプレーン(基台)2の使用により大地面反射は既知量と扱え、ノイズ源電線3と被測定電線4との間の誘導ノイズ測定に影響を与える誤差要因を少なくすることができるようになる。なお、基台2は必ずしも平板状でなくても良いが、配索の自由度や、上記グランドプレーンとしての役目を持たせる観点からは、平板状であることが望ましい。
第1の電気回路を構成するノイズ源電線3は、実際の複数本の信号伝送用メタル信号線を複合化してなる通信ケーブル、制御・計装ケーブル、LANケーブル若しくはオーディオ用ケーブル等の信号用ケーブル等において、誘導ノイズの輻射源となる信号線等を模擬的に再現するためのものである。従ってノイズ源電線3としては、前記信号用ケーブル等に用いられている信号伝送用メタル信号線と同等な絶縁電線、同軸コード等を用いることができる。
第2の電気回路を構成する被測定電線4は、前記ノイズ源電線32から誘導ノイズを輻射させた場合に、とのような誘導ノイズが重畳されるか(クロストークが発生するか)を検知するための供試体となるものであって、上記と同様に、例えば信号伝送用メタル信号線と同等な絶縁電線、同軸コード等を用いることができる。
ノイズ源電線3の一端側には、誘導性のノイズ信号を生成するノイズ発生器5が接続される。このノイズ発生器5としては、周波数が連続的に変化する一定の大きさの正弦波電圧を発生できるトラッキングジェネレーターが好適に用いられる。このようなノイズ発生器5であれば、ノイズ源電線3からトラッキングジェネレーターの出力に応じた誘導ノイズを輻射させることができると共に、その誘導ノイズの周波数を容易に変化させることができ、誘導ノイズの周波数特性を測定できるので好ましい。この他、スイッチング機能を備えた高周波電源や各種パルス発生装置等も、本発明におけるノイズ発生器5として用いることができる。
ノイズ源電線3とノイズ発生器5との接続部には、必要に応じてインピーダンス整合器31が介在される。例えばノイズ発生器5としてのトラッキングジェネレーターの入力インピーダンスが50Ωであるならば、これにマッチングさせるよう50Ωのインピーダンス整合器31が介在される。そして該インピーダンスとの整合を図るため、ノイズ源電線3の他端側にも、50Ωのインピーダンス整合器32が取り付けられる。そして、これらインピーダンス整合器31、32、つまりノイズ源電線3の両端部は、基台2の接地手段(金属平板21)にアース接続されてアース接続部とされ、誘導ノイズ測定にあたり無用な外来雑音電波が重畳されないよう対策が施される。
なお、電力線の近傍に布設される信号用ケーブル等の設計用途に本発明のベンチ試験装置1を適用する場合は、前記ノイズ源電線3を電力供給用の電線としても良い。この場合、ノイズ発生器5として、その電力供給用電線の負荷となる電気設備や電気装置を模擬した供試電気装置を準備し、これにノイズ源電線3としての電力供給用電線を接続すると共に該電力供給用電線を基台2上に配索し、前記供試電気装置に通電のON−OFF動作を繰り返すことで誘導ノイズを輻射させることができるような模擬的ノイズ発生装置を用いることができる。
前記被測定電線4の一端側(計測器側終端)には、被測定電線4に誘起される電圧を計測する測定器、すなわち被測定電線4に重畳される誘導ノイズを計測するノイズ測定器6が接続される。このノイズ測定器6としては、広帯域(例えば10kHz〜2GHz程度)の誘導ノイズ計測が行い得る計測器を用いることが望ましく、例えば各種のスペクトラムアナライザを用いることができる。
被測定電線4とノイズ測定器6との接続部には、上記と同様に必要に応じてインピーダンス整合器(インピーダンス変換器)41が介在される。そして該インピーダンス整合器41のインピーダンスとの整合を図るため、被測定電線4の他端側にも、同じインピーダンス値のインピーダンス整合器42が取り付けられる。そして、これらインピーダンス整合器41、22、つまり被測定電線3の両端部は、基台2の接地手段(金属平板21)にアース接続される。また、ノイズ測定器6が低入力インピーダンス(例えば50Ω)である場合であって、該入力インピーダンスを1〜10kΩ程度とするハイインピーダンス測定を行う場合は、そのような高変換率のインピーダンス整合器(インピーダンス変換器)41が介在される。
ノイズ源電線3及び被測定電線4は、基台2上に配索されると共に、基台2上の所定領域にノイズ源電線3と被測定電線4とのカップリング部Cが形成される。このカップリング部Cにおいては、ノイズ源電線3と被測定電線4とを近接させて所定長さ並走させ、ノイズ源電線3から輻射される誘導ノイズが被測定電線4に影響を与える環境を模擬的に作成する。最適な信号線配置の設定やケーブル遮蔽構造の特定には、ノイズ源電線3と被測定電線4とのカップリング態様を様々に変更させてデータを取る必要があることから、該カップリング部Cにおいて、誘導ノイズの生成に影響を与える、ノイズ源電線3と被測定電線4との並走長さ、並走間隔、及び基台2からの配索高さのうちの、少なくとも一つを調整可能とするためのカップリング調整冶具を用いることが望ましい。
図2(a)は、ノイズ源電線3と被測定電線4との並走長さ及び並走間隔を調整するためのカップリング調整冶具7の一例を示す斜視図である。このカップリング調整冶具7は、ノイズ源電線3及び被測定電線4の外周にそれぞれ密嵌合して保持可能な半円型の保持部71、72と、該保持部71、72の間を一定間隔で橋絡する連結部73とから構成されている。このカップリング調整冶具7は、絶縁樹脂成型品で構成され、その長手方向の長さはノイズ源電線3と被測定電線4との所要の並走長さに応じて選定され、また前記連結部73の幅は、両者の所要の並走間隔に応じて選定される。このようなカップリング調整冶具7を用いれば、カップリング条件を簡易に且つ安定的に設定できるようになるので好ましい。
図2(b)は、ノイズ源電線32と被測定電線4とを密接させてカップリングさせる場合を示しており、この場合はノイズ源電線3と被測定電線4とを密接して並走させ、その外周をカップリング調整冶具としての絶縁テープ74で巻回して両者を所定長さ一体化させている。この場合、絶縁テープ74としてはPVCテープ等を用いることができる。
図3は、図2(a)に示したカップリング調整冶具7を用いたカップリング部Cにおいて、さらにノイズ源電線3及び被測定電線4の基台2からの配索高さを調整するための高さ調整冶具75を用いた場合を示す斜視図である。この高さ調整冶具75の厚さを適宜選定することにより、グランドプレーンとしての基台2(金属平板21)からの誘導ノイズ反射波の影響を調整することができるようになる。この高さ調整冶具75としては、種々の絶縁プレート等を用いることができ、例えばカーペット等であっても良い。
以上のようなカップリング部Cの態様の他、クロストークの撚りピッチ依存性等を測定する場合、上記したようなカップリング調整冶具7を用いず、ノイズ源電線3と被測定電線4とを測定目的のピッチで所定長さだけ撚り合せてカップリング部Cを構成しても良い。この場合、ノイズ源電線3と被測定電線4とを直接撚り合わせても良いし、ケーブル化する際に組入れる介在物等を介在させて撚り合わせても良い。
以上説明した本発明に係る2回路間の誘導ノイズベンチ試験装置1を用いた誘導ノイズの測定手順につき、図4のフローチャートに基づいて説明する。測定に際しては、先ず基台2上に模擬ノイズ源となるノイズ源電線3及び被測定電線4の配索が行われる(ステップS1)。この際、必要に応じてノイズ源電線3及び被測定電線4の両端部にそれぞれインピーダンス整合器(インピーダンス変換器)31、32、41、42を取り付けるようにする。
次に、ノイズ源電線3と被測定電線4とを近接させて所定長さ並走させるカップリング部Cが形成される(ステップS2)。このカップリング部Cにおけるノイズ源電線3と被測定電線4との並走長さは、基台2の大型化を避けつつ無限長のケーブルにおいて誘導ノイズを測定する場合と略同等な結果が得られる長さを選択することが望ましく、2m〜5m程度とされる。この際、必要に応じ、図2、図3に示したカップリング調整冶具7等を用い、ノイズ源電線3と被測定電線4とのカップリング態様の調整を図るようにする。このようなカップリング部Cの設定が完了したら、インピーダンス整合器31、32、41、42を基台2の金属平板21と電気的に接続することで、ノイズ源電線3及び被測定電線4の両終端部がアース接続される(ステップS3)。そしてノイズ源電線3にはノイズ発生器5が、被測定電線4にはノイズ測定器6がそれぞれ接続される。
このような基台2上の準備作業が完了したら、ノイズ発生器5としてのトラッキングジェネレーターを動作させて誘導ノイズ測定試験を開始する(ステップS4)。すなわち、トラッキングジェネレーターから周波数が連続的に変化する一定の大きさの正弦波電圧を発生させて、ノイズ源電線3から誘導ノイズを輻射させる。これにより、カップリング部Cにおけるノイズ源電線3と被測定電線4とのカップリング条件に基づいた誘導ノイズが、ノイズ源電線3から被測定電線4へ与えられる。そして、被測定電線4へ誘起された誘導ノイズが、ノイズ測定器6により測定される(ステップS5)。
かかる誘導ノイズ測定を、カップリング部Cにおけるカップリング条件を適宜変更して複数回行うようにし、誘導ノイズに関するデータが所定量収集できたならば、例えばそのデータ解析結果を設計すべきケーブルの遮蔽構造の設定(ケーブル構造の特定)にフィードバックすることで(ステップS6)、誘導ノイズの影響を可及的に受けないの最適ケーブル構造構造を特定することが可能となるものである。
以上本発明の実施形態につき説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本実施形態ではカップリング部Cを直線状に形成した例を示したが、これを湾曲、屈曲させたカップリング部Cであっても良く、誘導ノイズの測定目的に応じて適宜カップリング部Cの形態を定めれば良い。また、ケーブル構造の設計用途以外に、各種電気系統や回路構造の特定等にも、本発明のベンチ試験装置1を適用することができる。
さらに、ノイズ発生器5とノイズ測定器6とを別個に用意する場合について説明したが、市販されているトラッキングジェネレーター付きスペクトラムアナライザ等を用いれば、前記ノイズ発生器5及びノイズ測定器6を一つの計測装置で賄えるので好ましい。
本発明に係る2回路間の誘導ノイズベンチ試験装置の一例を示す平面図である。 本発明で用いるカップリング調整冶具の一例を示す斜視図であり、(a)はノイズ源電線と被測定電線とを一定間隔をおいてカップリングさせる場合の例を、(b)はノイズ源電線と被測定電線とを密接させてカップリングさせる場合の例をそれぞれ示している。 本発明で用いるカップリング調整冶具の一例を示す斜視図であり、ノイズ源電線及び被測定電線の配索高さを調整する場合の例を示している。 本発明のベンチ試験装置を用いた誘導ノイズの測定手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1 誘導ノイズベンチ試験装置
2 基台
21 金属平板(グランドプレーン)
3 ノイズ源電線(第1の電気回路)
4 被測定電線(第2の電気回路)
31、32、41、42 インピーダンス整合器(インピーダンス変換器)
5 ノイズ発生器
6 ノイズ測定器
7 カップリング調整冶具
74 絶縁テープ(カップリング調整冶具)
75 高さ調整冶具
C カップリング部

Claims (5)

  1. 接地手段を備える基台と、ノイズ発生器に接続可能とされたノイズ源電線を備えた第1の電気回路と、ノイズ測定器に接続可能とされた被測定電線を備えた第2の電気回路とを備えてなり、
    前記基台上に、前記ノイズ源電線と被測定電線とが配索可能とされていると共に、両者を近接させて所定長さ並走させるカップリング部形成領域が設けられており、
    前記基台の接地手段に対し、前記ノイズ源電線及び被測定電線の終端部のアース接続を可能とするアース接続部が設けられていることを特徴とする2回路間の誘導ノイズベンチ試験装置。
  2. 前記ノイズ測定器と前記被測定電線との間に介装可能とされたインピーダンス変換器を備えていることを特徴とする請求項1記載の2回路間の誘導ノイズベンチ試験装置。
  3. 前記基台は、その表面が金属平板で覆われたグランドプレーンからなり、前記金属平板が接地手段として機能することを特徴とする請求項1記載の2回路間の誘導ノイズベンチ試験装置。
  4. 前記カップリング部において、前記ノイズ源電線と被測定電線との並走長さ、並走間隔、及び基台からの配索高さのうちの、少なくとも一つを調整可能とするカップリング調整冶具を備えていることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の2回路間の誘導ノイズベンチ試験装置。
  5. 前記ノイズ発生器が、トラッキングジェネレーターからなることを特徴とする請求項1記載の2回路間の誘導ノイズベンチ試験装置。
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