JP2005240132A - 電解銅箔及び電解銅箔光沢面の電解研磨方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 電解銅箔の光沢面に、電解研磨によって形成された不規則かつ不定長の脈状起伏を備えていることを特徴とする電解銅箔。電解液として硫酸・硫酸銅浴を用い、電解銅箔の光沢面に電解研磨処理を行うことを特徴とする電解銅箔光沢面の電解研磨方法。電解銅箔の粗面側にアノードを配置し光沢面側にカソードを配置して、電解処理を行うことにより、銅箔粗面に平滑めっき処理を行うとともに、銅箔光沢面に逆電解研磨処理を行うことを特徴とする電解銅箔光沢面の電解研磨方法。
【選択図】 図1
Description
従来、粗化処理(被覆による凹凸の形成)し樹脂との接着性を向上させた電解銅箔が使用されていたが、この粗化処理のために銅箔のエッチング性が著しく損なわれ、高アスペクト比でのエッチングが困難となり、エッチング時にアンダーカットが発生し、十分なファインパターン化ができないという問題が生じた。
また、高周波用基板では、銅箔の表面粗さをできるだけ小さくすることが望まれている。このような銅箔のロープロファイル化は、高周波になるに従い銅箔の表面部分に電流が集中して流れる(この現象を表皮効果という)ようになり、銅箔の表面粗さが伝送損失に大きく影響すると考えられているためである。
また、一方では電解銅箔の光沢面に粗化処理(被覆による凹凸の形成)を行う提案もなされている。しかしながら、電解銅箔のこのようなロープロファイル化は工程を複雑にしコスト高になるという問題があり、また電解銅箔と樹脂との適度な接着強度が必ずしも得られないという問題がある。
このため、ハイレベルなファインパターン化及びロープロファイル化の要求はあるが、一方では所期の接着強度を維持することができず、配線が樹脂層から加工段階で剥離してしまうなどの問題が発生した。
また、アンダーカットを防止する目的で、電解銅箔上にリン含有ニッケルめっき層を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、この場合の電解銅箔の面は、粗面であることを要件としており、少なくともそれを許容している技術である。また、特許文献2の実施例は全て、電解銅箔の粗面にリン含有ニッケルめっき層を形成するものである。
しかし、従来は銅箔上に樹脂層を形成するプリント基板用銅箔、特に高周波基板用銅箔に対して、このような総合的な問題が検討されているとは言えず、上記の問題を解決できる好適な銅箔が見出されていないのが現状である。
を提供する。
本発明は、光沢面に電解による研磨を行うことが大きな特徴である。これによって、電解銅箔の光沢面に微細な凹凸が形成される。この凹凸は不規則かつ不定長の脈状起伏を呈しており、後述する図3〜図9に示すように(なお、図3のみ逆電解処理を行っていない生の光沢面を示す。)、その様相はさんご礁の表面に類似している。
この脈状起伏の高低差は2μm以下、特に1μm以下であり、無数の起伏を形成している。
このようにして形成された電解銅箔光沢面の研磨面の光沢度は、幅方向と長さ方向で相違が見られ、無処理(研磨していない)光沢面に比べ、いずれも光沢度は低下する。本発明においては、幅方向の光沢度を50未満とし、長さ方向の光沢度が100未満とする。これによって、特に高周波基板用銅箔に必要なピール強度を得ることができる。
図1に逆電解装置の概念説明図を示す。図1において、電解銅箔1の粗面(M面)側2にアノード3を配置し、光沢面(S面)側4にカソード5を配置して、電解処理を行うことにより、銅箔粗面2に平滑めっき処理を行うとともに、銅箔光沢面4に逆電解研磨処理を行うことによって形成できる。符号6はアッパーロール、符号7はシンカーロールである。
図3は逆電解により2.0g/m2を溶解させたものであり、溶解量は小さいが、不規則かつ不定長の脈状起伏が発生し、無数の凹部も見られるようになる。
図4〜図9は、逆電解により、さらに3.0g/m2、4.0g/m2、5.0g/m2、6.0g/m2、7.0g/m2、8.0g/m2を溶解させた光沢面を示す。溶解量が多くなるにつれて、不規則かつ不定長の脈状起伏が顕著になり、無数の凹部も深くなっているのが分かる。
しかし、後述する実施例及び比較例に示すように、光沢度によって明瞭な差異がある。詳細は後述する。
また、前記耐熱めっき処理に続いて、有機系防錆剤による防錆処理層又はクロメート防錆処理、さらにはこの防錆処理に続いて、シランカップリング剤等によるカップリング剤処理を行うこともできる。このカップリング剤処理によって、常態ピール強度をさらに向上させることができる。防錆処理及びカップリング剤処理も公知の処理を適用することができ、その材料に特に制限されない。
電解研磨による銅の溶解量を3〜10g/m2とすることにより、常態ピール強度を向上させることができる。電解銅箔の光沢面に逆電解研磨し、さらにシランカップリング剤処理した銅箔のピール強度と、銅溶解量との関係を図10に示す。銅溶解量が増大する、すなわち逆電解研磨をより強く行うことにより、光沢面の凹凸は大きくなり銅箔のピール強度が高くなる。
このようにして製造された本発明の電解銅箔は連続的にコイルに巻かれ、その後、さらに電気化学的若しくは化学的又は樹脂等の表面処理又は被覆処理(コーティング)を施してプリント配線板等に使用することができる。
銅箔の厚みは、特に限定する必要はなく、用途に応じた厚みの銅箔に適用できる。例えば高密度配線として使用するためには18μm以下、さらには3〜12μmの厚さのものが要求されているが、本発明の銅箔処理は、このような厚さに制限なく適用できる。また、さらに極薄箔又は18μm以上の、例えば35μm程度の厚い銅箔においても同様に適用できる。
また、その他の表面処理として、必要に応じてクロム系金属、亜鉛系金属、有機系の防錆処理を施すことができる。また、シランカップリング剤等のカップリング剤処理を施すこともできる。これらは、プリント配線基板の銅箔の用途に応じて適宜選択されるものであり、本発明はこれらを全て包含する。
このポリアミック酸ワニスを、本発明の電解銅箔光沢面上に塗布し、さらに乾燥してポリイミド前駆体層としてのポリアミック酸層を形成する。得られたポリアミック酸層を、窒素等の不活性雰囲気下で300°C〜400°Cに加熱してイミド化し、ポリイミド系樹脂層を形成する。
ポリイミド系樹脂層の厚みは特に限定されないが、通常10〜50μmとする。また、ポリアミック酸ワニスには、必要に応じて従来公知の添加剤を配合してもよい。このようにして得られるプリント基板においては、本発明の電解銅箔とポリイミド系樹脂層との接着強度が良好なものとなる。
なお、本発明との対比のために、比較例を掲載した。
回転ドラムを陰極として、電気分解反応により連続的に銅をドラムに電着させ、厚さ35μmの銅箔を製造した。
この銅箔の光沢面(S面)側にカソードを配置し、銅箔をアノードとして、直流による電解処理を施すことにより、銅箔光沢面(S面)側で逆電解研磨処理を行い、銅を3〜8g/m2を溶解させた。
銅箔幅方向の光沢度は13〜40、銅箔長さ方向の光沢度は20〜94であった。
次いで、耐熱処理層として黄銅めっき層を形成した。この時の亜鉛の付着量は4500μg/dm2であった。引続き直ちに、電解亜鉛−クロム処理により防錆層を形成し、さらに0.4%ビニルトリエトキシシラン水溶液をスプレー塗布、乾燥し、シランカップリング剤処理層を形成した。
比較例1及び2は、実施例1において、次のように条件を変更した以外は、実施例1と同様にして銅箔を作製した。
比較例1:銅箔S面側逆電解研磨処理なし(銅溶解量0g/m2)
比較例2:銅箔S面側逆電解研磨処理あり(銅溶解量2g/m2)
上記のように表面処理された銅箔を、ポリフェニレンエーテルを主成分として含浸したガラス繊維基材と加熱プレスし、銅張積層板を作製した。この銅張積層板に、バフ研磨やソフトエッチング等の前処理を施さずにドライフィルムをラミネートし、露光、現像して、密着性を目視で評価した。この結果を表1に示す。
比較例の場合、バフ研磨やソフトエッチング等の前処理を施さないと密着不良がでる場合も見られたが、実施例は全て非常に良好なドライフィルム密着性を有していた。
上記のように表面処理された銅箔を、ポリフェニレンエーテルを主成分として含浸したガラス繊維基材と加熱プレスし、銅張積層板を作製した。この銅張積層板をJIS C 6481に規定する方法で常態ピール強度を測定した。
この結果を同様に表1に示す。比較例に比べ、実施例では絶縁樹脂との密着性に優れていることが確認された。
図10に、高周波用基板(シランカップリング剤処理)とFR−4(シランカップリング剤処理なし)の逆電解銅溶解量とピール強度の関係を示すグラフを、図11に、FR−4(シランカップリング剤処理)の逆電解銅溶解量とピール強度の関係を示すグラフ掲載した。
また、樹脂との密着試験では、常態ピール強度が0.76〜0.89kg/cmといずれも良好な値を示した。これに対し、比較例では0.55、0.59kg/cmと0.6kg/cm未満であった。このようなケースについては、回路剥離を起こす可能性が高くなり好ましくない。
一方、粗さが増加するとエッチング特性に悪影響を与え、銅箔エッチング後の樹脂表面の平滑性を損なうことがあるが、上記のように、光沢面の表面粗さRzと逆電解したRzに殆ど差異がない。これは粗さによるエッチング特性に影響を与えないことを意味し、良好なエッチング特性を有していることも明らかである。
2 粗面(M面)側
3 アノード
4 光沢面(S面)側
5 カソード
6 アッパーロール
7 シンカーロール
Claims (17)
- 電解銅箔の光沢面に、電解研磨によって形成された不規則かつ不定長の脈状起伏を備えていることを特徴とする電解銅箔。
- 脈状起伏の高低差が2μm以下であることを特徴とする請求項1記載の電解銅箔。
- 電解銅箔の光沢面に、電解研磨によって形成された孔径2μm以下の多数の凹部を備えていることを特徴とする電解銅箔。
- 電解銅箔の光沢面に、電解研磨によって形成された孔径2μm以下の多数の凹部を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の電解銅箔。
- 長尺の銅箔の、幅方向の光沢度が50未満であり、長さ方向の光沢度が100未満である電解研磨された光沢面を備えていることを特徴とする電解銅箔。
- 長尺の銅箔の、幅方向の光沢度が50未満であり、長さ方向の光沢度が100未満である電解研磨された光沢面を備えていることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の電解銅箔。
- 電解研磨された光沢面に、Zn、Cu−Zn、Zn−Sn、Zn−Ni、Zn−Co、Cu−Ni−Co、Ni−Co、Ni、Cu−Ni等の耐熱めっき層を備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電解銅箔。
- 前記耐熱めっき層の上に形成された有機系防錆剤による防錆処理層又はクロメート防錆処理層を備えていることを特徴とする請求項7記載の電解銅箔。
- 防錆処理層の上に、カップリング剤処理層を備えていることを特徴とする請求項8記載の電解銅箔。
- 電解液として硫酸・硫酸銅浴を用い、電解銅箔の光沢面に電解研磨処理を行うことを特徴とする電解銅箔光沢面の電解研磨方法。
- 電解銅箔の粗面側にアノードを配置し光沢面側にカソードを配置して、電解処理を行うことにより、銅箔粗面に平滑めっき処理を行うとともに、銅箔光沢面に逆電解研磨処理を行うことを特徴とする請求項10記載の電解銅箔光沢面の電解研磨方法。
- 前記光沢面への電解研磨処理の前に、硫酸・硫酸銅浴を用いて銅箔の粗化面に粗化めっき処理を行うことを特徴とする請求項10又は11記載の電解銅箔光沢面の電解研磨方法。
- 電解銅箔をアノードとし、光沢面側にカソードを配置して、電解処理を行うことにより、銅箔光沢面側で逆電解研磨処理を行うことを特徴とする請求項10記載の電解銅箔光沢面の電解研磨方法。
- 電解研磨後、研磨された光沢面に、Zn、Cu−Zn、Zn−Sn、Zn−Ni、Zn−Co、Cu−Ni−Co、Ni−Co、Ni、Cu−Ni等の耐熱めっき処理を行うことを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の電解銅箔光沢面の電解研磨方法。
- 前記耐熱めっき処理に続いて、有機系防錆剤による防錆処理層又はクロメート防錆処理を行うことを特徴とする請求項14記載の電解銅箔光沢面の電解研磨方法。
- 防錆処理に続いて、カップリング剤処理を行うことを特徴とする請求項15記載の電解銅箔光沢面の電解研磨方法。
- 電解研磨による銅の溶解量が3〜10g/m2であることを特徴とする請求項10〜16のいずれかに記載の電解銅箔光沢面の電解研磨方法。
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