JP2005239524A - β−Ga2O3ナノロッドとその製造方法 - Google Patents

β−Ga2O3ナノロッドとその製造方法 Download PDF

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Kimihiro Yasui
公宏 安井
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Noriyoshi Shishido
統悦 宍戸
Yoshio Bando
義雄 板東
Masanori Mitome
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Abstract

【課題】 半導体レーザ、エミッター、フォトニック結晶等の光エレクトロニクス材料などとして有用で、形態や成長方向等が制御されたβ−Ga23ナノロッドと、その製造方法を提供する。
【解決手段】 主としてβ−Ga23で構成され、径が1500nm未満で、アスペクト比が1以上のナノロッド形状を有し、先端部が球形に丸まっているかもしくは球状体が付着した形状であるβ−Ga23ナノロッドを、β−Ga23粉末とグラファイト粉末の混合物を原料とし、これを不活性気流中で1050〜1200℃程度の温度まで加熱し、保持することなくあるいはこの温度で保持して、600〜700℃程度に加熱された島状の金属薄膜を備えた基板上に、β−Ga23ナノロッドを形状を制御して成長させる。
【選択図】 図1

Description

この出願の発明は、β−Ga23ナノロッドとその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、半導体レーザ、エミッター、フォトニック結晶等の光エレクトロニクス材料などとして有用なβ−Ga23ナノロッドと、その形状や成長方向等を制御して製造することを可能とする製造方法に関するものである。
β−Ga23はバンドギャップが4.8eVのワイドバンドギャップ半導体であり、紫外域での発光材料や透明導電体として注目されている材料である。このβ−Ga23のナノロッドについては、既に、アーク放電により製造する方法が知られている。また近年では、より単純なプロセスである気相輸送法により製造する方法についても報告されている(たとえば、非特許文献1、2参照)。
W. Q. Han et al., Solid State Communications 115 (2000) 527-29 G. Gundiah et al., Chemical Physics Letters 351 (2002) 189-194
ナノ物質の合成においては、いかに簡便に、さらには大きさや形状をいかに制御して、出来るだけ多くの量を合成できるか、その創製技術の開発が最も重要とされている。しかしながら、これまでのβ−Ga23ナノロッドの製造においては、ベルト状やワイヤ状のナノロッド、さらにはシート状のものが混在して得られるなど、形態の制御を完全に行うことはできていなかった。また、それらの形状についても、詳細な点については不完全といわざるを得ない状況であった。さらには、β−Ga23ナノロッドの成長方向も不規則であり、光エレクトロニクス材料などとしての実際的な利用において不便であることが予想された。
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、半導体レーザ、エミッター、フォトニック結晶等の光エレクトロニクス材料などとして有用で、形態や成長方向等が制御されたβ−Ga23ナノロッドと、その製造方法を提供することを課題としている。
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、まず第1には、主としてβ−Ga23で構成され、径が1500nm未満で、アスペクト比が1以上のナノロッド形状を有し、先端部に球形の金属が付着していることを特徴とするβ−Ga23ナノロッドを提供する。
そしてこの出願の発明は、上記第1の発明について、第2には、径が600nm未満で、アスペクト比が10以上であることを特徴とするβ−Ga23ナノロッドを、第3には、径が100〜300nm程度で略均一に制御されていることを特徴とするβ−Ga23ナノロッドを、また第4には、先端部の径が細く、根元部の径が太いことを特徴とするβ−Ga23ナノロッドを提供する。
さらに、上記の発明について、第5には、(400)方位に配向成長していることを特徴とするβ−Ga23ナノロッドを、第6には、多数のものが、基板上に、縦横400〜700nmの間隔で成長していることを特徴とするβ−Ga23ナノロッドを、第7には、多数のものが、基板をXY平面とし基板に垂直な方向をZ軸としたときの極座標表示による方位(θ,φ)で、θ=103.7°、φ=0°,90°,180°,270°のいずれかの方位の近傍に傾斜していることを特徴とするβ−Ga23ナノロッドを、第8には、基板と平行に光を入射させたとき、光を共振させることを特徴とするβ−Ga23ナノロッドを、第9には、基板と平行に光を入射させたとき、680nmおよび/または340nm近傍に透過率のピークを有することを特徴とするβ−Ga23ナノロッドを、加えて第10には、球形の金属が、Au、Pt、Niのいずれかの金属からなることを特徴とするβ−Ga23ナノロッドを提供する。
一方で、この出願の発明は、第11には、β−Ga23粉末とグラファイト粉末の混合物を原料とし、これを不活性気流中で1050〜1200℃程度の温度まで加熱し、保持することなくあるいはこの温度で保持して、600〜700℃程度に加熱された島状の金属薄膜を備えた基板上に、β−Ga23ナノロッドを形状を制御して成長させることを特徴とするβ−Ga23ナノロッドの製造方法を提供する。
また、この出願の発明は、上記発明のβ−Ga23ナノロッドの製造方法において、第12には、β−Ga23単結晶の粉末を用いることを特徴とする方法を、第13には、基板が、MgOまたはAl23であることを特徴とする方法を、第14には、金属薄膜が、球径が100〜400nm程度の金属クラスターからなることを特徴とする方法を、第15には、金属薄膜が、Au、Pt、Niのいずれかの金属からなることを特徴とする方法を、第16には、金属薄膜が、スパッタ法により形成されていることを特徴とする方法を、第17には、金属薄膜が、基板上の所望の位置に所望のパターンで形成されていることを特徴とする方法を、第18には、原料の加熱温度を変えることで、得られるβ−Ga23ナノロッドの径を制御することを特徴とする方法を、第19には、加熱温度での保持時間を変えることで、得られるβ−Ga23ナノロッドの形態を変化させることを特徴とする方法を提供する。
他方で、この出願の発明は、第20には、上記いずれかに記載のβ−Ga23ナノロッドを用いていることを特徴とする光学物品や、第21には、基板上に多数成長されたそのβ−Ga23ナノロッドを、ナノロッドが内側になるように2枚重ねていることを特徴とする光学物品なども提供する。
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
なによりもこの出願の発明のβ−Ga23ナノロッドについて特徴的なことは、その形状が制御されているという点である。すなわち、この出願の発明が提供するβ−Ga23ナノロッドは、主としてβ−Ga23で構成されており、その径や成長方向、さらには基板上での配置が詳細に制御されたものとして実現されている。
より具体的には、たとえば径については、この出願の発明のβ−Ga23ナノロッドは1500nm未満で、より代表的には、600nm未満である。そして、径が100〜300nm程度で略均一に制御されたものなどとして実現される。たとえば具体的には、径が約100nmで略均一のものや、約200nmで略均一のものなどである。そしてこの出願の発明のβ−Ga23ナノロッドとしては、径が略均一なもののほかに、根元に相当する部分が太く、先端に向かって徐々に細くなっているものなども考慮することができる。なお、この出願の発明においては、径が1500nm未満と1000nmを超える場合もあるが、これは上述のとおりこの出願の発明の一態様である根元の太いβ−Ga23ナノロッドが、部分的にこのような寸法となる場合を考慮しての値である。したがって、このように径が1000nmを超える部分を含んでいるものについても、“ナノ”ロッドと呼ぶようにしている。
一方、長さについては、数〜数十μmであり、アスペクト比は1以上、より代表的には10以上である。そして、この出願の発明のβ−Ga23ナノロッドは、先端形状も特徴的であり、ロッドの先端には球形の金属が付着している。この金属は製造方法に由来するものであり、たとえばAu、Pt、Ni等の金属からなる。球の大きさについてはβ−Ga23ナノロッドの形状に応じて様々であり、おおよそ球径が1500nm以下、多くは数百nm程度とすることができる。
なお、この出願の発明においてナノロッドの組成を示す際に用いている、「主として」との意は、β−Ga23ナノロッドの全体の50%以上、実際的には70%以上、より好ましくは90%以上がβ−Ga23で構成されていることを示している。
そして、この出願の発明のβ−Ga23ナノロッドは、成長方向が製造に用いる基板に配向した方向に制御されている。たとえば、具体的には、面方位(100)のMgOを基板として用いることで、(400)方位に配向成長したβ−Ga23ナノロッドが実現される。
さらに、基板の上に成長させるという点で、この出願の発明のβ−Ga23ナノロッドは、基板上に多数が成長されたものとしても実現される。そして、β−Ga23ナノロッドの成長方向は、基板として用いた結晶構造に応じて制御されることになる。たとえば前記の面方位(100)のMgOを基板として用いた場合には、その成長方向は、基板をXY平面とし基板に垂直な方向をZ軸としたときの極座標表示による方位(θ,φ)で、θ=103.7°、φ=0°,90°,180°,270°のいずれかの方位もしくはその近傍に傾斜することになる。このようなβ−Ga23ナノロッドは、その規則的な成長により、たとえば基板の上方からβ−Ga23ナノロッド観察した場合、β−Ga23ナノロッドが互いに直交する関係で折り重なっているかのように見ることができる。
そしてまた、この出願の発明のβ−Ga23ナノロッドは、基板上に、400〜700nmの間隔で成長することができる。この間隔は可視光の波長領域(380〜800nm)に含まれることから、この出願の発明のβ−Ga23ナノロッドは可視光などの閉じ込めや回折が可能であり、フォトニック結晶などとして有用である。たとえば、基板と平行に光を入射させたとき、β−Ga23ナノロッドの間隔に対応した特定波長の光を共振させることができる。より具体的には、基板と平行に光を入射させたとき、波長が680nmおよび/または340nm近傍の光に対して共振現象を生じさせ、高い透過率のピークを示すことが確認されている。
以上のようなこの出願の発明のβ−Ga23ナノロッドは、たとえばこの出願の発明の方法により製造することができる。すなわち、この出願の発明のβ−Ga23ナノロッドの製造方法は、β−Ga23粉末とグラファイト粉末の混合物を原料とし、これを不活性気流中で1050〜1200℃程度の温度まで加熱し、保持することなくあるいはこの温度で保持して、600〜700℃に加熱された島状の金属薄膜を備えた基板上に、β−Ga23ナノロッドを形状を制御して成長させることを特徴としている。
出発原料としてのβ−Ga23粉末とグラファイト粉末は、その純度や粒径等に厳密な制限はない。β−Ga23粉末については、加熱によりGaとO、あるいはGa23が、個別に、または同時に、気相の状態で基板に供給されるものであればよい。原料の均質な気化を考慮すると粒径は小さいほうが好ましく、β−Ga23ナノロッドの形状等の品質を高めるためには高純度の原料を用いるのが好ましい。グラファイト粉末は、この出願の発明においては、還元剤として用いるようにしている。したがって、たとえば粉末活性炭等の還元作用を示すものを用いることも可能である。このβ−Ga23粉末とグラファイト粉末は、質量比で、1:1程度の割合で混合するのが好適である。
基板としては、たとえば各種の酸化物単結晶等を用いることが好ましい例として示される。酸化物単結晶としては、具体的には、たとえばZnO、Al23、SrTiO3、LaAlO3、YSZ、TiO2、MgOなどを例示することができ、中でもこの出願の発明においては、MgOやAl23を用いることが好ましい例として示される。これらの単結晶基板については、面方位も任意に選択することができる。この面方位に依存して、β−Ga23ナノロッドの成長方位が決定されると考えられる。そして、この基板は、予め表面に島状の金属薄膜が備えられている。
この出願の発明の方法では、基板上の島状の金属薄膜が備えられた位置にβ−Ga23ナノロッドが成長される。金属薄膜は、たとえば、VIII族もしくはIB族元素のいずれかの金属の単体もしくは合金で構成することができる。より好ましくは、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)などを例示することができる。また、金属薄膜は、金属クラスターで構成されていることが好ましく、その大きさは、径が100〜400nm程度で、膜厚はおよそ2〜5nm、より好ましくは3nm程度を例示することができる。膜厚が薄すぎる場合はβ−Ga23ナノワイヤーが得られてしまうために好ましくない。また、膜厚が厚すぎる場合は得られるβ−Ga23ナノロッドの形状が不均一で制御しにくくなるために好ましくない。このような金属薄膜は、各種の方法により形成することができるが、たとえば、スパッタ法を利用するのが簡便な例として示される。また、この金属薄膜を、基板上の所望の位置に所望のパターンで形成することなども可能となる。そして、この金属薄膜を備えた基板は、気相となったGa、OあるいはGa23がβ−Ga23へと成長する600〜700℃に加熱されている。より具体的には、640℃程度が好ましい温度である。
このような状況下、上記の原料を不活性気流中で1050〜1200℃程度の温度まで加熱する。不活性気流は、主としてキャリアガスとしての役割を持ち、窒素(N2)や、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)などの希ガスを用いることなどができる。そして、これらには、たとえば、少量の水素(H2)などを混ぜることもできる。混合の割合は、10%未満、より実際的には5%程度を目安とすることができる。また、流量については、10ml/min程度とするのが適当な例として示される。
加熱温度については、1050〜1200℃程度の範囲で調整することができる。この加熱温度はβ−Ga23ナノロッドの径の制御において重要な役割を担っている。加熱温度と径の関係については、他の条件により異なってくるため一概には言えないが、たとえば加熱温度を1050℃程度と低めにするとβ−Ga23ナノロッドの径はおよそ100nm前後と細くなり、1200℃程度と比較的高めにすると径はおよそ200nm前後とより太くなる。なお、昇温速度については限定されるものではないが、10℃/min程度が一般的な目安として例示される。このように、この出願の発明においては、加熱温度を変えることで、得られるβ−Ga23ナノロッドの径を所望の値に制御することができる。
そしてさらに、この出願の発明のβ−Ga23ナノロッドの製造方法においては、上記の加熱温度での保持時間を変えることでも、得られるβ−Ga23ナノロッドの形態を変化させることができる。たとえば、加熱温度で保持することなく冷却することで、径が略均一なβ−Ga23ナノロッドを得ることができる。一方、加熱温度で保持することで、先端部が他の条件によって制御された径で、根元に相当する部分が太くなったβ−Ga23ナノロッドを得ることができる。この保持時間とβ−Ga23ナノロッドの形状の関係は、用いる基板などによっても異なってくるため一概には言えないが、所望のβ−Ga23ナノロッドの形状に応じて、たとえば数分〜数時間程度と、任意に設定することができる。
以上のようなこの出願の発明の方法は、いわゆる気相輸送法というシンプルな方法により、形状を制御してβ−Ga23ナノロッドを製造することを可能とするものである。
さらにこの出願の発明が提供する光学物品は、上述のβ−Ga23ナノロッドを用いていることを特徴としている。以上のように制御された形態を有するこの出願の発明のβ−Ga23ナノロッドは、その形状および特性から、半導体レーザ素子や、フォトニック結晶などの光学物品として有用である。また、たとえば、基板上に多数成長されたβ−Ga23ナノロッドを、ナノロッドが内側になるように2枚重ねて用いることなどで、前記光学物品としての応用が拡大される。
以下、添付した図面に沿って実施例を示し、この出願の発明についてさらに詳しく説明する。もちろん、この発明は以下の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
(実施例1)
<A> β−Ga23粉末とグラファイト粉末を質量比が1:1となるように混合し、原料とした。この実施例では、β−Ga23粉末として、光FZ法で作製した高純度、高品質単結晶を用いた。また、MgO(100)面の表面にAuを、厚さ約3nm、径約300nmの島状にスッパッタしてAuクラスターを形成し、これを基板とした。これらの原料と基板を用い、管状炉内で気相輸送法によりβ−Ga23ナノロッドを製造した。基板温度は640℃とし、キャリアガスにはN2(95%)+H2(5%)の混合ガスを流量10ml/minで用いた。加熱条件は、昇温速度10℃/minで1200℃まで加熱し、1200℃で3時間保持した後、降温速度10℃/minで800℃程度まで冷却して、基板を取り出した。
基板上に得られたβ−Ga23ナノロッドを電界放射型走査形電子顕微鏡(FE−SEM、日本電子(株)製:JSM−6321F)で観察した結果を図1に示した。基板付近(根元)がたとえば1000nm近くと太く、先端部の径が数百nmと細い、太さの不均一なβ−Ga23ナノロッドが成長しているのが確認された。ナノロッドの先端は、球形かもしくは球が付着したような形態であるのがわかる。元素マッピングの結果、この球状部はAuからなることが確認された。また、このナノロッドは基板上に垂直ではなく、やや傾斜した方向に成長していた。その傾斜の方位角は90°毎で規則的であるため、図1のように上方より観察した場合、ナノロッドは互いに直交しているように見えるのが確認された。また、これらのナノロッドは300〜700nmの間隔で成長していることもわかった。
さらに、このβ−Ga23ナノロッドをX線回折分析(理学電機(株)製X線回折装置:ガイガーフレックス2013)した結果を図2に示した。β−Ga23のピークのみが見られ、得られたロッド体が確かにβ−Ga23単結晶からなるナノロッドであることが確認できた。なお、MgOのピークは用いた基板に由来するものである。また、このβ−Ga23ナノロッドは(400)方向に配向しており、基板として用いたMgO(面方位(100))に配向して成長することがわかった。
<B> 上記Aで得られたβ−Ga23ナノロッドに、入射方向を変えて光を入射させたときの透過スペクトルを測定し、その結果を図3に示した。(a)は光を基板に垂直な方向で入射させた場合の結果であり、スペクトルには装置のノイズしか観測されなかった。(b)は光を基板と並行に入射させた場合の結果であり、約680nmに大きな透過率のピークが見られた。これは、このβ−Ga23ナノロッドにより光が共振され、強められたものと考えられる。
<C> 上記Aと同様のβ−Ga23ナノロッドを2枚用意し、β−Ga23ナノロッドを内側にして互いがかみ合うように重ね、上記Bと同様の測定を行った結果を図4に示した。光を基板に垂直な方向で入射させた場合(a)は上記Bと同様に装置のノイズしか観測されなかったが、光を基板と並行に入射させた場合(b)には約680nmと約340nmに大きな透過率のピークが見られた。これは、β−Ga23ナノロッドを2枚重ねたことによりロッド間隔が半分になり、半波長のところでより大きな透過率を示したものと考えられる。
(実施例2)
実施例1と同様の原料および基板を用い、管状炉内で気相輸送法によりβ−Ga23ナノロッドを製造した。なお、1200℃の加熱温度まで加熱した後、1200℃で保持することなく、冷却した。
得られたβ−Ga23ナノロッドをFE−SEMで観察した結果を図5に示した。この実施例の場合には、径が200nm前後でほぼ均一なβ−Ga23ナノロッドが得られた。このナノロッドの成長の様子は実施例1の場合と同様であり、直交した状態で成長しているのが確認された。
(実施例3)
実施例1と同様の原料および基板を用い、管状炉内で気相輸送法によりβ−Ga23ナノロッドを製造した。なお、1050℃の加熱温度まで加熱した後、保持することなく、冷却した。
基板上に得られたβ−Ga23ナノロッドをFE−SEMで観察した結果を図6に示した。径が100nm前後でほぼ均一のナノロッドが得られているのが確認された。ナノロッドの先端には、球形の金属が付着しているのがわかる。このナノロッドは、実施例1と同様、基板上に垂直ではなく、やや傾斜した方向に成長していた。その傾斜の方位角は90°毎であるため、図6の様に上方より観察した場合、ナノロッドは互いに直交しているように見えるのが確認された。また、これらのナノロッドは300〜600nm間隔で成長していることもわかった。
さらに、このβ−Ga23ナノロッドをX線回折分析(理学電機(株)製X線回折装置:ガイガーフレックス2013)した結果を図7に示した。β−Ga23のピークのみが見られ、得られたロッド体が確かにβ−Ga23ナノロッドであることが確認できた。なお、MgOのピークは用いた基板に由来するものである。また、このβ−Ga23ナノロッドは(400)方向に配向しており、基板として用いたMgO(面方位(100))に配向して成長することがわかった。
(実施例4)
β−Ga23粉末とグラファイト粉末を質量比が1:1となるように混合し、原料とした。Al23の表面に、換算膜厚で700nmのAuをスパッタしてクラスターを形成し、基板とした。これらの原料と基板を用い、管状炉内で気相輸送法によりβ−Ga23ナノロッドを製造した。基板温度は640℃とし、キャリアガスにはN2(95%)+H2(5%)の混合ガスを流量10ml/minで用いた。加熱条件は、昇温速度10℃/minで1200℃まで加熱し、1200℃で3時間保持した後、降温速度10℃/minで800℃程度まで冷却して、基板を取り出した。
基板上に得られたβ−Ga23ナノロッドをFE−SEMで観察した結果を図8に示した。径が250〜350nm前後でほぼ均一のβ−ナノロッドが得られているのが確認された。ナノロッドの先端の球形金属の径は約500nmであった。また、このナノロッドは、MgO基板を用いた場合とは明らかに異なり、Al23の結晶構造(コランダム構造)に依存した方位に配向成長しているのが確認された。また、これらのナノロッドは300〜600nm間隔で成長していることもわかった。
(比較例1)
実施例3と同様にして、管状炉内で気相輸送法によりβ−Ga23ナノロッドを製造した。ただし、MgOの表面にスパッタするAuを約1nmと薄くして、基板とした。
得られたβ−Ga23ナノロッドをFE−SEMで観察した結果を図9に示した。径が100nm前後で均一であるものの、緩やかに湾曲したβ−Ga23ナノワイヤーが得られているのが確認された。
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、半導体レーザ、エミッター、フォトニック結晶等の光エレクトロニクス材料などとして有用で、形態や成長方向等が制御されたβ−Ga23ナノロッドと、その製造方法が提供される。
実施例で得られた根元が太く先端の細いβ−Ga23ナノロッドの電界放射型走査形電子顕微鏡像を例示した図である。 図1のβ−Ga23ナノロッドのX線回折パターンを例示した図である。 実施例で得られたβ−Ga23ナノロッドに、入射方向を変えて光を入射させたときの透過スペクトルを測定した結果を例示した図である。 実施例で得られたβ−Ga23ナノロッドを重ね、入射方向を変えて光を入射させたときの透過スペクトルを測定した結果を例示した図である。 実施例で得られた径200nmのβ−Ga23ナノロッドの電界放射型走査形電子顕微鏡像を例示した図である。 実施例で得られた径100nmのβ−Ga23ナノロッドの電界放射型走査形電子顕微鏡像を例示した図である。 図6のβ−Ga23ナノロッドのX線回折パターンを例示した図である。 実施例で得られたβ−Ga23ナノロッドの電界放射型走査形電子顕微鏡像を例示した図である。 比較例で得られたβ−Ga23ナノワイヤーの電界放射型走査形電子顕微鏡像を例示した図である。

Claims (21)

  1. 主としてβ−Ga23で構成され、径が1500nm未満で、アスペクト比が1以上のナノロッド形状を有し、先端部に球形の金属が付着していることを特徴とするβ−Ga23ナノロッド。
  2. 径が600nm未満で、アスペクト比が10以上であることを特徴とする請求項1記載のβ−Ga23ナノロッド。
  3. 径が100〜300nm程度で略均一に制御されていることを特徴とする請求項1または2記載のβ−Ga23ナノロッド。
  4. 先端部の径が細く、根元部の径が太いことを特徴とする請求項1または2記載のβ−Ga23ナノロッド。
  5. (400)方位に配向成長していることを特徴とする請求項1ないし4いずれかに記載のβ−Ga23ナノロッド。
  6. 多数のものが、基板上に、縦横400〜700nmの間隔で成長していることを特徴とする請求項1ないし5いずれかに記載のβ−Ga23ナノロッド。
  7. 多数のものが、基板をXY平面とし基板に垂直な方向をZ軸としたときの極座標表示による方位(θ,φ)で、θ=103.7°、φ=0°,90°,180°,270°のいずれかの方位の近傍に傾斜していることを特徴とする請求項1ないし6いずれかに記載のβ−Ga23ナノロッド。
  8. 基板と平行に光を入射させたとき、光を共振させることを特徴とする請求項6または7記載のβ−Ga23ナノロッド。
  9. 基板と平行に光を入射させたとき、680nmおよび/または340nm近傍に透過率のピークを有することを特徴とする請求項6ないし8いずれかに記載のβ−Ga23ナノロッド。
  10. 球形の金属が、Au、Pt、Niのいずれかの金属からなることを特徴とする請求項1ないし9いずれかに記載のβ−Ga23ナノロッド。
  11. β−Ga23粉末とグラファイト粉末の混合物を原料とし、これを不活性気流中で1050〜1200℃程度の温度まで加熱し、保持することなくあるいはこの温度で保持して、600〜700℃程度に加熱された島状の金属薄膜を備えた基板上に、β−Ga23ナノロッドを形状を制御して成長させることを特徴とするβ−Ga23ナノロッドの製造方法。
  12. β−Ga23単結晶の粉末を用いることを特徴とする請求項11記載のβ−Ga23ナノロッドの製造方法。
  13. 基板が、MgOまたはAl23であることを特徴とする請求項11または12記載のβ−Ga23ナノロッドの製造方法。
  14. 金属薄膜が、径が100〜400nm程度の金属クラスターからなることを特徴とする請求項11ないし13いずれかに記載のβ−Ga23ナノロッドの製造方法。
  15. 金属薄膜が、Au、Pt、Niのいずれかの金属からなることを特徴とする請求項11ないし14いずれかに記載のβ−Ga23ナノロッドの製造方法。
  16. 金属薄膜が、スパッタ法により形成されていることを特徴とする請求項11ないし15いずれかに記載のβ−Ga23ナノロッドの製造方法。
  17. 金属薄膜が、基板上の所望の位置に所望のパターンで形成されていることを特徴とする請求項11ないし16いずれかに記載のβ−Ga23ナノロッドの製造方法。
  18. 原料の加熱温度を変えることで、得られるβ−Ga23ナノロッドの径を制御することを特徴とする請求項11ないし17いずれかに記載のβ−Ga23ナノロッドの製造方法。
  19. 加熱温度での保持時間を変えることで、得られるβ−Ga23ナノロッドの形態を変化させることを特徴とする請求項11ないし18いずれかに記載のβ−Ga23ナノロッドの製造方法。
  20. 請求項1ないし10いずれかに記載のβ−Ga23ナノロッドを用いていることを特徴とする光学物品。
  21. 基板上に多数成長されたβ−Ga23ナノロッドを、ナノロッドが内側になるように2枚重ねていることを特徴とする請求項20記載の光学物品。


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