JP2005237694A - 放射線治療用ボーラスの製造方法及び製造装置 - Google Patents

放射線治療用ボーラスの製造方法及び製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】放射性廃棄物を大幅に削減でき、且つ、セットアップ時間を短縮することができる放射線治療用ボーラスの製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】変形可能なビニール製カバー63を有するビニール製容器56内にポリエチレン球54及び空気60を封入した上で、そのビニール製容器56を鋳型装置55の押圧ピン71により外部から押圧して治療対象の患部に対応した形状に成型し、押圧した状態で真空ポンプ65を用いてビニール製容器56内の空気60を排出し、排出後に電磁弁67を閉塞してビニール製容器56を成型された患部に対応した形状に固定し、ボーラス20を構成する。
【選択図】 図11

Description

本発明は荷電粒子線等の放射線を患部に照射して治療を行う放射線治療装置に用いられる放射線治療用ボーラスの製造方法及び製造装置に関わる。
がん治療等に利用される放射線治療装置では、従来、患部の深さ形状に放射線の飛程を合わせる飛程補償装置(ボーラス又はコンペンセータとも称される。以下、ボーラスと記載する。)として、樹脂材料や鑞等を切削したものを用いてきた。このボーラスは患部の形状毎、放射線の照射方向毎に用意する必要があり、一般に放射線治療では、患者毎に平均3個程度のボーラスが製作される。したがって、例えば年間3000人の治療を行う施設では年間9000個のボーラスの切削加工が必要となり、多大な時間、及びコストを必要としていた。
このような背景から、型成形用フレーム内に格子状に配設された多数のピンを治療計画情報から決定される患部形状に基づき進退させて患部の底面に対応した形状の型を形成し、この型と型成形用フレームによって囲まれるスペース内に水性ゲル、寒天、シリコン等を注入して硬化させることによりボーラスを製造する方法が提唱されている(例えば、特許文献1参照。)。この従来技術によれば、ボーラス成形用型を簡易迅速に形成可能であり、ボーラスの製造に要する時間、コストの低減を図ることを可能としている。一方で、有底の中空容器の上部に積層造形法により患部の底面に対応した形状に形成された蓋を装着し、容器の内部空間に水等の液体を注入してボーラスを構成する方法が提唱されている(例えば、特許文献2参照。)。この従来技術によれば、有底の中空容器については再利用可能であり、容器の上部に装着する蓋部分のみ形成及び交換すればよいため、ボーラス製造に要する時間、コストの低減を図ることを可能としている。
特公平6−34835号公報 特開2001−346892号公報
しかしながら、上記特許文献1記載の従来技術では使用後のボーラスは放射性廃棄物となり、また上記特許文献2記載の従来技術では有底の中空容器については再利用可能なものの患部に対応した形状に形成された蓋部分については放射性廃棄物となるため、その廃棄物処理には多大な時間及びコストを必要とする。また、前述したように、標的(患者,患部)が変わる毎、照射方向が変わる毎に形状の異なるボーラスが必要であり、上記従来技術ではその都度ボーラスを交換する必要があることから、その交換作業に手間がかかり、放射線治療におけるセットアップ時間の遅延化の大きな要因となっていた。
本発明の目的は、放射性廃棄物を大幅に削減でき、且つ、セットアップ時間を短縮することができる放射線治療用ボーラスの製造方法及び製造装置を提供することにある。
上記した目的を達成する本発明の特徴は、変形可能な容器内に固体状物質及び流体状物質を封入した上で、その容器を外部より押圧して治療対象の患部に対応した形状に成型し、押圧した状態で容器に設けた出入孔から流体状物質を排出し、排出後に出入孔を閉塞して容器を成型された患部に対応した形状に固定することによって、放射線治療用ボーラスを構成することにある。このようにして成型したボーラスは、使用後には出入孔から容器内に流体状物質を流入させて容器形状の固定を解除し、再び上記手順を繰り返して別の形状に成型することが可能である。したがって、本発明によれば、容器やその内部に封入される固体状及び流体状物質の寿命の範囲内でボーラス全体を繰り返し再利用することが可能であり、放射性廃棄物を大幅に削減することができる。また、本発明のボーラス製造装置を照射装置内に設けることにより、患者や照射方向が変わる毎に必要であったボーラスの交換作業が不要となるので、照射のための機器セットアップ時間を短縮することができる。その結果、1治療室における単位時間当たりの治療人数を増加することができる。
本発明によれば、放射性廃棄物を大幅に削減でき、且つ、セットアップ時間を短縮することができる。
本発明の好適な一実施形態である粒子線治療装置を、図1を用いて説明する。本実施形態の粒子線治療装置(放射線治療装置)1は、荷電粒子ビーム発生装置(放射線発生装置)2及び照射野形成装置15を備える。荷電粒子ビーム発生装置2は、イオン源(図示せず),前段加速器3及びシンクロトロン4を有する。イオン源で発生したイオン(例えば、陽子イオン(または炭素イオン))は前段加速器(例えば直線加速器)3で加速される。前段加速器3から出射されたイオンビームはシンクロトロン4に入射される。このイオンビームは、シンクロトロン4で、高周波加速空胴5から印加される高周波電力によってエネルギーを与えられて加速される。シンクロトロン4内を周回するイオンビームのエネルギーが設定されたエネルギーまでに高められた後、出射用の高周波印加装置6から高周波がイオンビームに印加される。安定限界内で周回しているイオンビームは、この高周波の印加によって安定限界外に移行し、出射用デフレクタ13を通ってシンクロトロン4から出射される。イオンビームの出射の際には、シンクロトロン4に設けられた四極電磁石7及び偏向電磁石8等の電磁石に導かれる電流が設定値に保持され、安定限界もほぼ一定に保持されている。高周波印加装置6への高周波電力の印加を停止することによって、シンクロトロン4からのイオンビームの出射が停止される。
シンクロトロン4から出射されたイオンビームは、ビーム輸送系9を経て照射装置である照射野形成装置(放射線照射装置)15に達する。ビーム輸送系9の一部である逆U字部10及び照射野形成装置15は、回転可能なガントリー(図示せず)に設置される。逆U字部10は偏向電磁石11を有する。イオンビームは、照射野形成装置15から治療台(ベッド)59に乗っている患者61の患部62(例えば癌や腫瘍の発生部位。図2参照。)に照射される。
本実施形態に用いられる照射野形成装置15の詳細構成を図2に基づいて説明する。照射野形成装置15は、二重散乱体方式の照射野形成装置である。照射野形成装置15は、逆U字部10に取り付けられるケーシング16を有し、ケーシング16内に、イオンビーム進行方向(ビーム軸m方向)の上流側より順次、レンジモジュレーションホイール(以下、RMWという)装置17,散乱体装置18,飛程調整装置19,ボーラス20、及びコリメータ22を配置する。
RMW装置17は、RMW24,RMW24を回転駆動するモータ25、及びRMW24とモータ25を支持するRMW支持部材26を有する。RMW24の詳細構造を図3に示す。この図3に示すように、RMW24は、回転軸27,回転軸27と同心円に配置された円筒部材28、及び回転軸27に取り付けられRMW24の半径方向に伸びた複数の翼(本実施形態では3枚、翼部)29を有している。これらの翼29はその周方向における幅が径方向外側に行くほど広くなるように(すなわち円筒部材28側が回転軸27側よりも広くなるように)形成されており、径方向外側の端部は円筒部材28の内周面に取り付けられている。また、RMW24の周方向における翼29,29の間には、それぞれ開口30が形成されている。すなわち、1つのRMW24には3枚の翼29の相互間に形成された開口30が3つ存在する。これら開口30も周方向における幅が径方向外側に行くほど広くなるように形成されている。
上記各翼29は、RMW24の周方向において階段状に配置された複数の平面領域31(すなわち平面領域31は、例えば階段において足を乗せる平面に相当する。)を有しており、ビーム進行方向におけるRMW24の底面から各平面領域31までの各厚みが異なっている(RMW24の底面から各平面領域31までのレベルが異なる)。ここでは、1つの平面領域31の部分におけるその厚みを、平面領域部分の厚みという。すなわち、翼29は、周方向において翼29の両側に位置する開口30からビーム進行方向における最も厚みの厚い翼頂部29Aに位置する平面領域31に向かって各平面領域部分の厚みが増加するように形成されている。各平面領域31は回転軸27から円筒部材28に向かって延びており、その周方向における幅も径方向外側に行くほど広くなっている。
以上のようなRMW24の構成により、RMW24を通過したイオンビームは、通過する平面領域部分の厚みに応じて複数のエネルギー成分を有し、SOBPが拡大されてビーム進行方向(すなわち患者61の患部62の深さ方向)における照射線量を一様にする。
図2に戻り、RMW24のビーム進行方向上流側(RMW24の底面側)には散乱補償体(散乱補償装置)34が一体的に結合して設けられている。図4はこの散乱補償体34の概略構造を示すRMW24の翼29の断面図(図3中IV-IV断面に相当)である(なお、図3では散乱補償体34は図示省略している)。図4に示すように、散乱補償体34は翼29の平面領域部分の厚みに応じてビーム進行方向における厚さが段階的に変わるように形成されており、翼29の最も厚みの厚い翼頂部29Aに対応する領域では最も厚みが薄く(すなわち厚さ0)、開口30の領域に対応する領域では最も厚みが厚くなっている。この散乱補償体34は、比較的散乱強度の大きい(すなわち比較的比重の重い)材料によって構成されており、RMW24におけるイオンビームの散乱量を補償する機能を有する。すなわち、本実施形態のように、RMW24をビーム進行方向における上流側に配置した場合、RMW24のビーム進行方向における厚さ分布(平面領域部分の厚み)の違いによって生じるイオンビームの散乱量の差異により、照射目標でのビーム進行方向に直交する方向における線量分布の均一性が低下するが、上述したように散乱補償体34がRMW24の各平面領域部分の厚みの大小関係と反対の厚みを有する構成となっていることから、各平面領域部分におけるビームの散乱量が一様化され、上記不具合は解消される(実際には、下流側の散乱体装置18,飛程調整装置19による散乱を考慮した上で、照射目標でのビーム進行方向に直交する方向における線量分布が均一となるように各平面領域部分における散乱量が調整される)。なお、本実施形態では、散乱補償体34とRMW24とがイオンビームのビームサイズを拡大する第1散乱体としての役目も果たしている。したがって、散乱補償体34及びRMW24を通過したイオンビームは、ブラッグピークを拡大されると共に、散乱によりビーム進行方向と直交する方向に広げられる。
図2に戻り、散乱補償体34及びRMW24はRMW支持部材26によって回転可能に支持され、またこれら散乱補償体34及びRMW24を回転駆動するモータ25はその下方において同様にRMW支持部材26によって支持される。このRMW支持部材26はケーシング16に固定される。
散乱体装置18は、散乱体18A及びこの散乱体18Aをケーシング16から支持する支持部材18Bを備えている。散乱体18Aは、例えば散乱強度が異なる材料で構成された二重リング構造となっており、径方向内側ほど散乱強度が大きく、径方向外側ほど散乱強度が小さくなるように構成されている。すなわち、入射されるイオンビームの径方向内側部分については大きく散乱し、径方向外側部分については小さく散乱する。これにより、第1散乱体としての散乱補償体34及びRMW24によりビーム進行方向と直交する方向における線量分布が正規分布状となるように広げられたイオンビームを、その径方向内側部分については大きく散乱すると共に径方向外側部分については小さく散乱することにより、ビーム中央部付近(ビーム軸m付近)における線量分布を減少させ周縁部付近の線量を増大させて、ビーム進行方向と直交する方向における線量分布が一様となるように調整する。
飛程調整装置19はイオンビームの飛程を調整するものであり、図5にその構造を示す。この図5に示すように、圧縮空気シリンダ46、及び圧縮空気シリンダ46内に設置されたピストン(図示せず)に連結されるピストンロッド47を有する複数の吸収体操作装置45を有する。これらの吸収体操作装置45は支持枠44に設置される。飛程調整装置19は、ビーム進行方向(ビーム軸m方向)における厚みが異なる吸収体48A〜48Fを有する。これらの吸収体は、個々の吸収体操作装置45に一個ずつ取り付けられる。各吸収体は、炭化水素等の原子番号の小さい物質を含む樹脂で構成される。電磁弁52を有する圧縮空気配管51が、各吸収体操作装置45の圧縮空気シリンダ46にそれぞれ接続される。各圧縮空気配管51は圧縮空気供給装置(図示せず)に接続される。また、飛程調整装置19の各吸収体操作装置45は、それぞれリミットスイッチを備える。吸収体操作装置45のリミットスイッチは、該当する吸収体が、その設定位置に達したことを検出する。なお、飛程調整装置として、対向して配置された2枚の楔板を有し、各楔板を移動させて重なり部の厚みを連続的に変化させる装置を用いてもよい。
図2に戻り、ボーラス20は、治療患者61の患部62の最大深さに合わせてイオンビームの到達深度を調整するものであり、ビーム進行方向に直交する平面上の各位置における飛程を、照射目標である患部62の深さ形状に合わせて調整するものである。このボーラス20は、照射野形成装置15内に設置されたボーラス成型装置21によって成型される。図6は図2に示す照射野形成装置の先端(患者側端部)付近を拡大して示す図である。この図6に示すように、ボーラス成型装置21は、ボーラス20の成型を行う鋳型装置(成型装置)55,鋳型装置55で成型されたボーラス20をビーム位置(図6に示すビーム軸m上の位置)に移動させると共に、使用後にはビーム位置から成型位置(後述の図8に示す位置)に移動させる移動装置57、及びボーラス20内の減圧を行う圧力調整装置58から概略構成されている。
ボーラス20は、図7に示すように十分にたるみを有し自在に変形可能なビニール製カバー63と底板49とからなるビニール製容器(プラスチック製容器)56内に、空気(流体状物質;流体;第2の物質)60及び多数の微細なポリエチレン球(固体状物質;粒子状物質;第1の物質)54が封入された構成となっている。ビニール製カバー63の側面にはゴムネット50が巻き付けられており、鋳型装置55による成型が行われやすいように便宜が図られている。なお、ビニール製容器56内に封入する粒子状物質としては、上記ポリエチレン球54以外に、例えばポリウレタン、ポリスチロールにより構成した粒子を用いてもよい。すなわち、圧力を加えることで変形、或いは内包する流体量が変化する材料であればよい。また、粒子状物質は必ずしも球型である必要は無く、多角形状や繊維状であってもよい。要はビニール製容器56内が減圧されて粒子状物質同士が接触した際に、摩擦が発生するか、又は絡み合うことによって、変形しにくくなる材料であればよい。また、例えば小麦粉やグルテンの様な自然由来物質もポリエチレン球54の代わりに適用可能である。これら封入する材料の密度は水に近ければ好適である。また、ビニール製容器56に出し入れする流体として、空気60の代わりにその他の気体を用いてもよいし、水やアルコール等の液体を用いてもよい。また、ゲル状物質等の流体状物質でもよい。すなわち、ポリエチレン球54等の粒子状物質を溶解せず、且つそれら粒子状物質間に入り込むことで粒子状物質間の摩擦を調整(低減)することが可能であればよい。なお、底板49は例えばアクリルプレート等、イオンビームが透過した際に散乱が小さい物質で構成されており、この底板49とビニール製カバー63とは接着剤等により一体的に固定されている。また、本実施形態ではカバー63としてビニール製カバーを用いているが、これに限定するものではなく、例えばポリイミド,ポリウレタン製等のカバーを用いてもよい。すなわち、変形可能なプラスチック製カバーであればよい。
ビニール製容器56には出入孔64が設けられる。圧力調整装置58は、この出入孔64を介してビニール製容器56内の空気60の排出を行う真空ポンプ(排出装置)65,この真空ポンプ65と出入孔64とを接続するチューブ(流路)66,このチューブ66に設けられチューブ66を連通・遮断可能な電磁弁(弁装置)67,チューブ66に設けられ空気60は通すがポリエチレン球54は通さないフィルタ68、及びタンク69を備えている。なお、チューブ66は例えばビニール製の十分な長さを有する柔軟なチューブであり、移動装置57によるボーラス20の移動に追従して出入孔64と真空ポンプ65とを接続可能としている。
図8はボーラス成型装置21の鋳型装置55の詳細構造を示す図である。なお、この図8では煩雑防止のため押圧ピン71を6本のみしか図示していないが、実際には例えば照射野径を20cm×20cm、押圧ピンの配列を1cm毎とした場合には400本の押圧ピン71が設けられる。また、この図8において、移動装置57によるボーラス20の移動方向(図8及び図6中左右方向)をX軸方向、ビーム進行方向(図8中上下方向)をZ軸方向、これらX軸及びZ軸のそれぞれに直角な方向(図8中紙面に垂直な方向)をY軸方向とする。
この図8に示すように、鋳型装置55は多数の格子状に配列された押圧ピン71と、片持ちフレーム72上に設けられ各押圧ピン71に対応する位置にピン孔73をそれぞれ有する支持部材74とを有しており、押圧ピン71が外周面に有するおねじ構造とピン孔73が内周面に有するめねじ構造とは螺合している。すなわち、押圧ピン71を軸回りに回転させることにより押圧ピン71をZ軸方向に進退可能な構成となっており、押圧ピン71の回転量を調節することでボーラス20方向への押し込み量を調節可能とする。
これら押圧ピン71の上部には、押圧ピン71の上端部にリンク部76を当接させて押圧ピン71を回転駆動させる回転サーボモータ(モータ)77と、この回転サーボモータ77をX・Y・Z方向にそれぞれ移動させるX・Y・Z軸移動機構(モータ移動装置)78A,78B,78Cが配置される。Z軸移動機構78Cは、回転サーボモータ77を支持する支持部材80,この支持部材80に設けられネジ孔(図示せず)を有する支持部材81,この支持部材81のネジ孔と螺合するボールネジ82,このボールネジ82の両端部を回転可能に支持する支持部材83,この支持部材83に取り付けられ、ボールネジ82を回転駆動するZ軸サーボモータ84、及びボールネジ82の一方側端部に連結されたエンコーダ85を有している。さらに、このZ軸移動機構78Cは、支持部材83を支持する支持部材87,この支持部材87に設けられネジ孔(図示せず)を有する支持部材88,この支持部材88のネジ孔と螺合するボールネジ89,このボールネジ89の両端部を回転可能に支持する支持部材90,この支持部材90に取り付けられ、ボールネジ89を回転駆動するX軸サーボモータ91、及びボールネジ89の一方側端部に連結されたエンコーダ92を有するX軸移動機構によって支持されている。さらにまた、このX軸移動機構78Aは、支持部材90を支持する支持部材94,この支持部材94に設けられネジ孔(図示せず)を有する支持部材95,この支持部材95のネジ孔と螺合するボールネジ96,このボールネジ96の両端部を回転可能に支持し、立設フレーム97に取り付けられた支持部材98,この支持部材98に取り付けられ、ボールネジ96を回転駆動するY軸サーボモータ99,支持部材94の姿勢を立設フレーム97と略平行に保つための車輪機構100、及びボールネジ96の一方側端部に連結されたエンコーダ(図示せず)を有するY軸移動機構によって支持されている。なお、上記サーボモータ77,84,91,99は交流サーボモータでも、直流サーボモータでも、又はステップモータでもよい。また、X・Y・Z軸移動機構78A,78B,78Cは上記したボールネジ機構に限らず、例えばラックピニオン機構であってもよい。
図6に戻り、移動装置57は、ケーシング16に設置された圧縮空気シリンダ102、及び圧縮空気シリンダ102内に設置されたピストン(図示せず)に連結されるピストンロッド103を有する。このピストンロッド103の先端にはボーラス20(ビニール製容器56)の底板49が固定される。圧縮空気シリンダ102のロッド側及びボトム側には、それぞれ電磁弁(図示せず)を有する圧縮空気配管(図示せず)が接続され、この圧縮空気配管は圧縮空気供給装置(図示せず)に接続される。すなわち、ボトム側の電磁弁が開いた場合には圧縮空気シリンダ102のボトム側空気室(図示せず)に圧縮空気が供給され、シリンダは伸長する。一方、ロッド側の電磁弁が開いた場合には圧縮空気シリンダ102のロッド側空気室(図示せず)に圧縮空気が供給され、シリンダは縮短する。また、移動装置57はリミットスイッチを備えており、このリミットスイッチは、ボーラス20が設定位置(すなわち成型位置及びビーム位置)に達したことを検出する。なお、圧縮空気シリンダ102の代わりにモータを用いて移動装置57を構成してもよい。
図2に戻り、コリメータ22は、イオンビームをビーム進行方向と直交する平面方向に整形して照射野を患者61の患部62の形状に合わせてコリメートするためのものである。
本実施形態の粒子線治療装置は、照射制御装置(制御装置)105及び駆動制御装置106,107を含む制御システム35を備える。治療計画装置36は、治療する患者61に対する治療計画情報(照射野サイズ,照射方向,飛程,入射エネルギー、及び予めX線CTで撮像した患部62を含む断層画像等)を記憶している。照射制御装置105は、治療計画装置36から取り込んだ治療計画情報に基づき、散乱補償体34及びRMW24の種類,散乱体18Aの種類,飛程調整装置19におけるイオンビームが通過する吸収体の厚さ(飛程調整装置厚さ)、及びボーラス形状情報等の照射条件情報を選択、作成し、メモリ109に記憶する。治療計画情報である飛程及び入射エネルギー等の各情報と、照射条件情報である散乱補償体34及びRMW24の種類,散乱体18Aの種類、及び飛程調整装置厚さ等との関係は、予め、計算あるいは実験により求めておく。なお、照射制御装置105,駆動制御装置106,107、及びメモリ109を個々に設けずに、制御システム35が照射制御装置105,駆動制御装置106,107、及びメモリ109の各機能を発揮するように構成してもよい。
散乱補償体34及びRMW24,散乱体18Aは複数種類準備されており、照射制御装置105によって治療計画情報に基づいて散乱補償体34及びRMW24,散乱体18Aが選定されると、例えばオペレータによってRMW支持部材26及び支持部材18Bに予め取り付けられる。
照射制御装置105は、治療計画情報に基づき選定した飛程調整装置厚み情報を、駆動制御装置106に対して、駆動指令信号と共に出力する。駆動制御装置106は、選定された吸収体の厚み情報に基づいて、その厚みになる吸収体(一枚または複数枚)を飛程調整装置19内の吸収体48A〜48Fの中から選定する。例えば、吸収体48Eの厚みが吸収体厚み情報と一致した場合には吸収体48Eが選定される。駆動制御装置106は、吸収体48Eを操作するそれぞれの吸収体操作装置45に接続された各圧縮空気配管51の電磁弁52を開く。該当する吸収体操作装置45のシリンダ46内に圧縮空気が供給され、吸収体48Eはピストンロッド47の移動により上記設定位置まで押し出される。残りの吸収体はイオンビームの通過位置から離れた場所に位置している。該当する吸収体が設定位置に達したとき、該当する各リミットスイッチの作動によって発生する各位置信号が駆動制御装置106に伝えられる。駆動制御装置106は、照射制御装置105に対して吸収体の移動完了情報を出力する。
また、照射制御装置105は、治療計画情報である断層画像情報からボーラス20の形状情報を作成し、このボーラス形状情報を駆動指令信号と共に駆動制御装置107に出力してボーラス成型装置21を制御する。この照射制御装置105によるボーラス形状情報の作成手順について、図9を用いて説明する。
図9において、オペレータは画像表示装置111を見ながら操作入力装置112を操作する。操作入力装置112からの操作入力は操作判定部115で判定される。オペレータは患部領域を特定するために、X線CTで撮像した患部を含む断層画像を画像表示装置111に表示する。この断層画像は予め撮像されて治療計画装置36に格納されている。断層画像(2次元)は患部の大きさにもよるが、通常40枚程度で、予め位置座標が付されている。
オペレータが操作入力装置112から断層画像表示の操作入力を与えると、操作判定部115が画像データ取込部117に画像取込み指令を与える。画像データ取込部117は、治療計画装置36から複数枚で構成される治療対象である患者61のX線CTの断層画像データを取込み、患部領域設定部116に送信する。
患部領域設定部116に入力された断層画像データは1枚ごとに表示制御部114によって画像表示装置111に表示される。オペレータは画像表示装置111に表示された断層画像に操作入力装置112から治療する患部領域、患者体表などを設定入力すると共にイオンビームの照射方向を決定して入力する。
患部領域設定部116において患部領域、患者体表、照射方向などの情報を付加された全ての断層画像データは、3次元データ作成部118に与えられる。3次元データ作成部118は入力した断層画像データに基づき人体の立体画像(3次元画像)を作成し、メモリ109に格納する。
座標変換部120は操作入力装置112からの操作指令により、メモリ109から3次元画像データを取込み、照射方向から見た患部62の深さ方向の断面の外形2次元画像データを作成する。
水等価厚計算部121は患部62の最深部までの水等価厚(体表面からの距離)を以下のようにして計算する。このことを図10を用いて説明する。
図10において、イオンビームの入射エネルギー,照射野径等から計算できる仮想的な粒子線源37から患部62へ向け放射状に複数の直線38を引き仮想的なイオンビーム通路とする。水等価厚計算部121は、イオンビームの各通路38に沿って体表39から患部62の深部末端(底面位置)までの点線で示す水等価厚41をX線CTにより測定されたCT値(位置座標値)により計算する。図10において点線で示した長さが計算された水等価厚に当たる。
図9に戻り、最大水等価厚探索部122は、水等価厚計算部121において計算された水等価厚の中で最大となる長さ、すなわち最大水等価厚42を探索する。ボーラス水等価厚計算部123は、患部62の底面位置の各点(XY座標で表される)における水等価厚と最大水等価厚42との差43を計算する。この差43に、最大水等価厚42及びイオンビームの入射エネルギー等から算出したボーラス20の最小水等価厚70を加えることにより、各底面位置(XY座標)におけるボーラス20の水等価圧(Z座標で表される)を算出する。
ボーラス形状データ作成部124は、X,Y,Z座標で表されるボーラス20の各位置での水等価厚に基づき、X,Y,Z軸サーボモータ91,99,84及び回転サーボモータ77の駆動量(回転量)を算出する。すなわち、各底面位置(XY座標)まで回転サーボモータ77を移動するためのX,Y,Z軸サーボモータ91,99,84の駆動量と、その位置におけるボーラス20の水等価厚(Z座標)を実現するための回転サーボモータ77の駆動量(押圧ピン71の押し込み量及びねじのピッチより算出される)を算出する。このようにして、ボーラス20の形状情報が作成される。
照射制御装置105は、以上のようにして作成したボーラス形状情報を駆動制御装置107(正確にはモータ駆動制御部125(後述))に出力する。駆動制御装置107は、ボーラス成型装置21のX,Y,Z軸サーボモータ91,99,84及び回転サーボモータ77の駆動制御を行うモータ駆動制御部(制御装置)125,真空ポンプ65及び電磁弁67の駆動制御を行うポンプ・弁駆動制御部126、及び圧縮空気シリンダ102の駆動制御を行うシリンダ駆動制御部127を有している。このような構成の駆動制御部107による駆動制御によって、ボーラス成型装置21はボーラス20の成型を行う。以下、このボーラス20の成型手順について、図11を用いて説明する。
照射制御装置105が駆動制御装置107のシリンダ駆動制御部127に対してボーラス20を成型位置に移動する駆動指令を出力すると、シリンダ駆動制御部127は移動装置57の圧縮空気シリンダ102のロッド側に接続される圧縮空気配管の電磁弁を開く。これにより、シリンダ102のロッド側空気室へ圧縮空気が供給され、シリンダ102が縮短する。圧縮空気シリンダ102が成型位置に達したとき、リミットスイッチの作動によって発生する位置信号がシリンダ駆動制御部127に伝えられる。シリンダ駆動制御部127は、照射制御装置105に対してボーラス20の成型位置への移動完了情報を出力する。さらに、照射制御装置105がポンプ・弁駆動制御部126に対してボーラス20の減圧を解除する駆動指令を出力すると、ポンプ・弁駆動制御部126は圧力調整装置58の電磁弁67を開く。これにより、ボーラス20(ビニール製容器56)内に空気60が流入し、ポリエチレン球54同士の摩擦が減少してポリエチレン球54同士の相対位置変動が許容される状態(言い換えれば、ポリエチレン球54がビニール製容器56内を自由に移動可能な状態)となる(状態1)。
次に、照射制御装置105がモータ駆動制御部125に対して駆動指令と共にボーラス形状情報を出力すると、モータ駆動制御部125は入力されたボーラス形状情報に基づき鋳型装置55の各モータ(回転サーボモータ77,X軸サーボモータ91,Y軸サーボモータ99、及びZ軸サーボモータ84)を駆動する。これにより、回転サーボモータ77は各XY座標に移動され、その座標において押圧ピン71を所定の量回転駆動してボーラス20を当該XY座標におけるZ座標となるように押し込む。同様にして、全てのXY座標における押圧ピン71の回転駆動(押し込み)を行い、ボーラス20を押圧する。なお、このときの回転サーボモータ77の移動量は、各移動機構(X軸移動機構78A,Y軸移動機構78B、及びZ軸移動機構78C)に設けたエンコーダ85,92からの検出信号により、モータ駆動制御部125及び照射制御装置105にフィードバックされる。またこのとき、前述したようにビニール製容器56のビニール製カバー63の側面にはゴムネット50(図11では図示省略)が巻き付けられているため、ビニール製容器56内の圧力が増幅され、ビニール製カバー63の上面は押圧ピン71に密着する。回転サーボモータ77による全押圧ピン71の回転駆動(押し込み)が終了したら、押圧完了信号がモータ駆動制御部125に伝えられる。モータ駆動制御部125は、照射制御装置105に対してボーラス20の押圧完了情報を出力する(状態2)。
押圧完了情報を入力された照射制御装置105は、ポンプ・弁駆動制御部126に対してボーラス20の減圧を開始する駆動指令を出力する。これにより、ポンプ・弁駆動制御部126は真空ポンプ65を起動すると共にチューブ66の電磁弁67を開き、ボーラス20内の空気60を排出する。なおこのとき、ポリエチレン球54はフィルタ68によって堰き止められるため、タンク60側には排出されないようになっている。そして、例えばチューブ66の電磁弁67よりボーラス20側に設けられた図示しない圧力計により、ボーラス20のビニール製容器56内の圧力が所定の圧力まで減圧されたことが検出されると、圧力計の検出信号がポンプ・弁駆動制御装置126に伝えられ、減圧完了情報として照射制御装置105に出力される。これにより、照射制御装置105がポンプ・弁駆動制御部126に対してボーラス20の減圧を停止する駆動指令を出力すると、ポンプ・弁駆動制御部126は真空ポンプ65を停止すると共に電磁弁67を閉じる。真空ポンプ65が停止するとポンプ停止により発生する停止信号がポンプ・弁駆動制御部126に伝えられる。ポンプ・弁駆動制御部126は、照射制御装置105に対してボーラス20の成型完了情報を出力する(状態3)。
成型完了情報を入力された照射制御装置105は、モータ駆動制御部125に対してボーラス20への押圧を解除する駆動指令を出力する。これにより、モータ駆動制御部125は鋳型装置55の各モータ(回転サーボモータ77,X軸サーボモータ91,Y軸サーボモータ99、及びZ軸サーボモータ84)を駆動し、回転サーボモータ77を各XY座標に移動して、その座標における押圧ピン71を押し込むときと反対方向に回転駆動して引き上げる。このとき、ボーラス20のビニール製カバー63内は減圧されておりポリエチレン球54同士の摩擦が増大して相対位置変動が抑制された状態となっているため、押圧ピン71が引き上げられても、ボーラス20は押圧された形状に固定されたままとなる。同様にして、全てのXY座標における押圧ピン71の引き上げを終了したら、押圧解除完了信号がモータ駆動制御部125に伝えられる。モータ駆動制御部125は、照射制御装置105に対してボーラス20の押圧解除情報を出力する(状態4)。
なお、ここではボーラス20への押圧の解除を回転サーボモータ77を用いて押圧ピン1本1本に対して行うようにしたが、例えば別にZ軸方向の駆動機構を設けて鋳型装置55全体をボーラス20より離れる方向に移動させることにより、1度に押圧解除を行うようにしてもよい。
押圧解除情報を入力された照射制御装置105が、駆動制御装置107のシリンダ駆動制御部127に対してボーラス20をビーム位置に移動する駆動指令を出力すると、シリンダ駆動制御部127は移動装置57の圧縮空気シリンダ102のボトム側に接続される圧縮空気配管の電磁弁を開く。これにより、シリンダ102のボトム側空気室へ圧縮空気が供給され、シリンダ102が伸長する。圧縮空気シリンダ102が伸長してボーラス20がビーム位置に達すると、リミットスイッチの作動によって発生する位置信号がシリンダ駆動制御部127に伝えられる。シリンダ駆動制御部127は、照射制御装置105に対してボーラス20のビーム位置への移動完了情報を出力する。
以上の準備が完了した後、治療台59を移動して患者61の患部62の中心を照射野形成装置15のアイソセンタと一致させ、治療開始となる。オペレータは、操作盤(図示せず)から治療開始信号を入力する。その治療開始信号を取り込んだ加速器制御装置(図示せず)の作用によって、所望のエネルギーにまで加速されたイオンビームがシンクロトロン4から出射される。
イオンビームは、照射野形成装置15に達し、照射野形成装置15内でビーム軸mに沿って進行する。すなわち、散乱補償体34及びRMW24でビーム進行方向における放射線量の分布の平坦化が図られる(SOBPが拡大される)と共に、これら散乱補償体34及びRMW24の第1散乱体としての機能によりビーム進行方向と直交する方向に対して円錐状に拡大される。その後、散乱体装置18の散乱体18Aを通過してビーム進行方向に直交する方向における線量分布を平坦化され、飛程調整装置19の各吸収体を通過してエネルギーを減少されて、イオンビームの体内における飛程が調整される。飛程調整装置19を通過したイオンビームはボーラス成型装置21で成型されたボーラス20を通過し、その飛程をビーム進行方向における患部62の形状に合わせて調整される。その後、イオンビームは、コリメータ22を通過することによりビーム進行方向に直交する方向におけるビーム形状が患部62の形状となるようにコリメートされ、治療する患部領域に集中した高線量領域を形成しつつ、患部62に照射される。
以上のような構成である本実施形態によれば、以下のような作用が得られる。すなわち、本実施形態においては、変形可能なビニール製カバー63を有するビニール製容器56内にポリエチレン球54及び空気60を封入した上で、ビニール製カバー63を鋳型装置55の押圧ピン71により外部から押圧して治療対象の患部に対応した形状に成型し、押圧した状態で真空ポンプ65を用いてビニール製容器56内の空気60を排出し、排出後に電磁弁67を閉塞してビニール製容器56を成型された患部に対応した形状に固定し、ボーラス20を構成する。使用後には、電磁弁67を開いてビニール製容器56内に空気を流入させ、容器形状の固定を解除し、再び上記手順を繰り返して別の形状に成型することが可能である。すなわち、従来、患者や患部、又は照射方向が変わる毎にボーラスを交換し、使用後のボーラスについてはその全部又は一部が放射性廃棄物となっていたのに対し、本実施形態によれば、上記手順によってビニール製容器56及びポリエチレン球54の寿命の範囲内でボーラス20全体を繰り返し再利用することが可能であるので、放射性廃棄物を大幅に削減することができる。
また、本実施形態のようにボーラス成型装置21を照射野形成装置15内に設けることにより、機器のセットアップの際に行っていたボーラスの交換作業が不要となる。これにより、放射線治療における機器セットアップ時間を短縮することができる。その結果、1治療室における単位時間当たり(例えば1年)の治療人数を増加することができる。
なお、以上説明してきた実施形態では、X・Y・Z軸移動機構78A,78B,78Cを用いて1台の回転サーボモータ77を移動させつつ各押圧ピン71を上下動させるようにしたが、これに限らない。すなわち、複数台(例えば矩形状に4台)の回転サーボモータ77を設置し、これらをX・Y・Z軸移動機構78A,78B,78Cを用いて移動させつつ一度に複数本(上記の例では4本)の押圧ピン71を回転駆動させるようにしてもよい。これにより、押圧ピン71の押し込み及び引き上げに要する時間が短縮され、さらなるセットアップ時間の短縮を図ることができる。また、さらに回転サーボモータ77の台数を増やし、鋳型装置55の全面の押圧ピン71について一度に回転駆動するようにしてもよい。これにより、さらなるセットアップ時間の短縮を図ることが可能である。
また、上記実施形態では、ボーラス成型装置21を照射野形成装置15の内部に設置したが、これに限らず、照射野形成装置15の外部にボーラス成型装置単体として設けてもよい。その際、例えばベッド59が設置される治療室(図示せず)内に設け、治療している横でボーラスを成型するようにしてもよいし、また別にボーラス成型室を設けるようにしてもよい。この場合には、ボーラスの交換作業が必要となるので、上記実施形態に比べセットアップ時間の短縮効果はやや劣るものの、放射性廃棄物を大幅に削減できる点については同様の効果を得ることができ、さらにボーラス20の移動装置57を不要とすることができる。
またさらに、上記実施形態では、本発明を荷電粒子線を照射して治療を行う粒子線治療装置に適用した場合について説明したが、これに限らず、X線、γ線等の他の放射線を用いて治療を行う放射線治療装置にも適用可能である。
本発明の好適な一実施形態である粒子線治療装置の構成図である。 図1の照射野形成装置の縦断面図である。 RMWの構造を示す斜視図である。 図3のIV−IV断面における断面図である。 図2の飛程調整装置の縦断面図である。 図2に示す照射野形成装置の先端部分の拡大図である。 ボーラスの内部構成及び圧力調整装置の構成を表す図である。 図2のボーラス成型装置の要部構成を表す側面図である。 図2の照射制御装置の機能のうち、ボーラス形状情報の作成に係わる機能を示す機能ブロック図である。 ボーラス形状情報の作成方法を説明するための図である。 ボーラスの成型手順を示す図である。
符号の説明
1 粒子線治療装置(放射線治療装置)
2 荷電粒子ビーム発生装置(放射線発生装置)
15 照射野形成装置(放射線照射装置)
54 ポリエチレン球(固体状物質;粒子状物質;第1の物質)
55 鋳型装置(成型装置)
56 ビニール製容器(プラスチック製容器)
57 移動装置
60 空気(流体状物質;流体;第2の物質)
64 出入孔
65 真空ポンプ(排出装置)
66 チューブ(流路)
67 電磁弁(弁装置)
71 押圧ピン
74 支持部材
77 回転サーボモータ(モータ)
78A,78B,78C X・Y・Z軸移動機構(モータ移動装置)
125 モータ駆動制御部(制御装置)

Claims (16)

  1. 変形可能な容器内に固体状物質及び流体状物質を封入し、
    前記容器を外部より押圧して治療対象の患部に対応した形状に成型し、
    押圧した状態で前記容器に設けた出入孔から前記流体状物質を排出し、
    前記出入孔を閉塞して前記容器の形状を前記成型された患部に対応した形状に固定することを特徴とする放射線治療用ボーラスの製造方法。
  2. 変形可能なプラスチック製容器内に粒子状物質及び流体を封入し、
    前記プラスチック製容器を外部より押圧して治療対象の患部に対応した形状に成型し、
    押圧した状態で前記プラスチック製容器に設けた出入孔から前記流体を排出し、
    前記出入孔を閉塞して前記プラスチック製容器の形状を前記成型された患部に対応した形状に固定することを特徴とする放射線治療用ボーラスの製造方法。
  3. 変形可能な容器内に第1の物質及び第2の物質を封入し、
    前記容器を外部より押圧して治療対象の患部に対応した形状に成型し、
    押圧した状態で、前記容器から前記第2の物質を排出して前記容器の内部圧力を減圧し、前記第1の物質間の摩擦を利用して前記第1の物質間の相対位置変動を抑制することにより、前記容器の形状を前記成型された患部に対応した形状に固定することを特徴とする放射線治療用ボーラスの製造方法。
  4. 前記容器を、治療対象の患部に対応した形状に固定した後に放射線進行位置に移動し、使用後には成型を行う成型位置に移動することを特徴とする請求項1記載の放射線治療用ボーラスの製造方法。
  5. 前記出入孔を開放して前記容器内に前記流体状物質を流入させることにより、前記容器形状の固定を解除することを特徴とする請求項1記載の放射線治療用ボーラスの製造方法。
  6. 前記容器内に前記第2の物質を流入させて前記第1の物質間の摩擦を低減することにより、前記容器形状の固定を解除することを特徴とする請求項3記載の放射線治療用ボーラスの製造方法。
  7. 前記容器の押圧は、格子状に配列された多数の押圧ピンを有する成型装置が前記押圧ピンを前記容器に対しそれぞれ所定の距離押し込むことにより行われることを特徴とする請求項6記載の放射線治療用ボーラスの製造方法。
  8. 前記成型装置による押圧ピンの押し込みは、治療対象である患者の治療計画情報を基に定められる患部形状情報に応じて行われることを特徴とする請求項7記載の放射線治療用ボーラスの製造方法。
  9. 固体状物質及び流体状物質を封入した変形可能な容器と、
    前記容器を外部より押圧して治療対象の患部に対応した形状に成型する成型装置と、
    前記流体状物質を前記容器に設けた出入孔から排出する排出装置と、
    前記排出装置と前記出入孔とを接続する流路と、
    前記流路に設けられ、前記流路を連通・遮断可能な弁装置と
    を備えたことを特徴とする放射線治療用ボーラスの製造装置。
  10. 前記容器を放射線進行位置に移動すると共に、使用後には前記成型装置で成型を行うための成型位置に移動する移動装置を備えたことを特徴とする請求項9記載の放射線治療用ボーラスの製造装置。
  11. 前記成型装置は、格子状に配列され、前記容器に対して進退可能に支持された多数の押圧ピンを有していることを特徴とする請求項10記載の放射線治療用ボーラスの製造装置。
  12. 前記押圧ピンはこの押圧ピンを支持する支持部材が有するめねじ構造に螺合するおねじ構造を有しており、且つ、前記成型装置は前記押圧ピンを回転駆動させるためのモータを備えたことを特徴とする請求項11記載の放射線治療用ボーラスの製造装置。
  13. 前記成型装置は、前記モータを前記格子状に配列された押圧ピンのうちの所定の押圧ピンに対応する位置に移動させるモータ移動装置を備えたことを特徴とする請求項12記載の放射線治療用ボーラスの製造装置。
  14. 治療対象である患者の治療計画情報を基に定められる患部形状情報に応じ、前記モータ移動装置及び前記モータを制御する制御装置を備えたことを特徴とする請求項13記載の放射線治療用ボーラスの製造装置。
  15. 請求項9乃至請求項14のいずれかに記載の放射線治療用ボーラスの製造装置を備えたことを特徴とする放射線照射装置。
  16. 放射線を発生する放射線発生装置と、
    請求項9乃至請求項14のいずれかに記載の放射線治療用ボーラスの製造装置を有し、前記放射線発生装置から放出された放射線を照射対象に照射する放射線照射装置とを備えたことを特徴とする放射線治療装置。
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