JP2005237682A - ドレナージカテーテル用チューブ及びドレナージカテーテル - Google Patents

ドレナージカテーテル用チューブ及びドレナージカテーテル Download PDF

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Abstract

【課題】 留置時に患者に与える苦痛が小さく、体内に挿入しやすく、さらには、体内での破断が防止されたドレナージカテーテル用チューブとそれを備えたドレナージカテーテルを提供する。
【解決手段】 ポリウレタン系樹脂からなる外層と、ポリオレフィン系樹脂からなる内層との間に、接着性ポリオレフィン樹脂からなる中間層を備えるドレナージカテーテル用チューブ。このドレナージカテーテル用チューブを備えてなるドレナージカテーテル。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ドレナージカテーテル用チューブ及びドレナージカテーテルに関し、より詳しくは、留置時に患者に与える苦痛が小さく、体内に挿入しやすく、さらには、体内での破断が防止されたドレナージカテーテル用チューブと、それを備えてなるドレナージカテーテルに関する。
病変などにより、消化液や血液などの体液が体内に異常に溜まった患者に対しては、溜まった体液を人為的に体外へ排出させる手技(ドレナージ)が一般的に行われている。
例えば、胆管の狭窄や閉塞などにより、胆汁が胆管から排出されなくなった患者に対しては、経皮経肝胆管ドレナージ法(Percutaneous Transhepatic Cholangiography Drainage、以下「PTCD」と略記する。)により、人為的に胆管から胆汁を排出させる。このPTCDでは、特許文献1に記載されているようなドレナージカテーテルを、体外から経皮経肝的に胆管内に挿入・留置し、このドレナージカテーテルの内腔を排出路として胆汁の排出を行なう。
このPTCDに用いられるドレナージカテーテルにおいて、ドレナージカテーテルを構成するカテーテルチューブとしては、特許文献1に挙げられているようなポリエチレン製やポリウレタン製のチューブが一般に用いられている。
特開2003−126266号公報
しかしながら、ポリエチレン製のカテーテルチューブを用いたドレナージカテーテルでは、そのチューブの剛直さのために、胆管内留置時に胆管内壁に大きな応力を与え、その結果、患者へ与える苦痛が重大となるという問題があった。
一方、ポリウレタン製のカテーテルチューブを用いたドレナージカテーテルでは、チューブが柔軟であるので、胆管内留置時における患者の苦痛は軽微である。しかしながら、チューブのコシが不十分であるので、経皮経肝的に行なう胆管への挿入が困難となるという問題があった。さらに、ポリウレタン自体の強度が十分でないこと、及び、胆管内への留置が長期間にわたるとチューブの内腔を流れる胆汁等によりポリウレタンが徐々に分解されることに起因して、体内でチューブが破断してしまうという問題もあった。
上記したような従来技術の事情に鑑み、本発明の目的は、留置時に患者に与える苦痛が小さく、体内に挿入しやすく、さらには、体内での破断が防止されたドレナージカテーテル用チューブとそれを備えたドレナージカテーテルを提供することにある。
本発明者らは、ドレナージカテーテル用チューブを構成する材料について鋭意検討を重ねた結果、ドレナージカテーテル用チューブを、ポリウレタン系樹脂からなる外層と、ポリオレフィン系樹脂からなる内層との間に、接着性ポリオレフィン樹脂からなる中間層を備えた構成にすることにより前記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明の第一によれば、ポリウレタン系樹脂からなる外層と、ポリオレフィン系樹脂からなる内層との間に、接着性ポリオレフィン樹脂からなる中間層を備えるドレナージカテーテル用チューブが提供される。
本発明のドレナージカテーテル用チューブでは、外層のポリウレタン系樹脂が、25〜37℃のガラス転移温度を有することが好ましい。
本発明のドレナージカテーテル用チューブでは、内層のポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレンであることが好ましい。
本発明のドレナージカテーテル用チューブでは、中間層の接着性ポリオレフィン樹脂が、内層のポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィンに極性基を有する化合物をグラフト反応させてなる樹脂であることが好ましい。
本発明のドレナージカテーテル用チューブでは、内層のポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレンであり、中間層の接着性ポリオレフィン樹脂が、ポリエチレンにエチレン性不飽和ジカルボン酸無水物をグラフト反応させてなる樹脂であることが好ましい。
本発明の第二によれば、前記のドレナージカテーテル用チューブを備えてなるドレナージカテーテルが提供される。
本発明によれば、留置時に患者に与える苦痛が小さく、体内に挿入しやすく、さらには、体内での破断が防止されたドレナージカテーテル用チューブとそれを備えたドレナージカテーテルが提供される。
図1は、本発明のドレナージカテーテル用チューブ1の断面図である。図1に示すドレナージカテーテル用チューブ1は、外層2と、内層3と、中間層4とから構成されている。
本発明のドレナージカテーテル用チューブ1の外層2は、ポリウレタン系樹脂により形成される。本発明で用いられるポリウレタン系樹脂は、ウレタン結合を有する高分子化合物であり、ポリウレタンのみならず、ポリウレタンウレア、ポ
リウレタン・シリコーンブロック共重合体、フッ素化ポリウレタン、フッ素化ポリウレタンウレアなどのポリウレタン系ポリマーが含まれる。また、ポリウレタンとポリジメチルシロキサンとのブレンドなど、ポリウレタン系樹脂と異種ポリマーとのブレンド物も使用できる。
本発明のドレナージカテーテル用チューブ1は、外層2がポリウレタン系樹脂により形成されているので、チューブ1の表面を柔軟にすることができる。したがって、本発明のドレナージカテーテル用チューブ1を備えたドレナージカテーテルでは、留置時に胆管壁などの内臓壁に与える応力が小さくなり、患者へ与える苦痛が小さくなる。
本発明のドレナージカテーテル用チューブ1の外層2を形成するポリウレタン系樹脂としては、ポリウレタンを用いることが好ましい。ポリウレタンとしては、例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)や水添MDI、ヘキサメチレンジイソシアネートなどのジイソシアネートと1,4−ブタンジオールやエチレングリコールなどの短鎖ジオールからなるウレタン結合をハードセグメントとし、ポリオキシテトラメチレングリコールやポリオキシプロピレングリコールなどのポリエーテル、エチレンアジペートやブチレンアジペートなどのアジピン酸エステル、ポリカプロラクトンやポリカーボネートなどの脂肪族ポリエステル等をソフトセグメントとするポリウレタンが挙げられ、なかでも、比較的分解しにくいポリエーテルをソフトセグメントとするポリウレタンを用いることが好ましい。また、鎖延長剤としては1,4−ブタンジオールやエチレングリコールなどの短鎖ジオールあるいはエチレンジアミンなどのジアミンが使用される。これらのポリウレタンは、プレポリマー法、ワンショット法、その他の方法により合成することができる。
本発明のドレナージカテーテル用チューブ1において、外層2を形成するポリウレタン系樹脂は、25〜37℃のガラス転移温度を有することが好ましい。このようなチューブ1を備えたドレナージカテーテルでは、通常の室温において、外層2の剛性が比較的高くなるので、体内への挿入がより容易となり、体内への挿入後は、体温により外層2が柔軟になるので、患者へ与える苦痛がより小さくなる。
本発明のドレナージカテーテル用チューブ1の内層3は、中間層4を介して、外層2の内側に設けられた層であり、ポリオレフィン系樹脂により形成される。本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン)、ポリプロピレン、ポリブテン−1、1,2−ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー、スチレン−ブタジエンブロック共重合体水素化物(SEB)、あるいはこれら樹脂の少なくとも2種以上の混合物が挙げられる。
本発明のドレナージカテーテル用チューブ1は、内層3がポリオレフィン系樹脂により形成されているので、チューブ1のコシを十分に保ち、強度を十分にすることができ、チューブ1の内腔を流れる胆汁などの体液により劣化しにくい。したがって、本発明のドレナージカテーテル用チューブ1を備えたドレナージカテーテルは、患者の体内に容易に挿入することができ、体内でのチューブの破断が防止される。
本発明のドレナージカテーテル用チューブ1の内層3を形成するポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレンを用いることが好ましく、高密度ポリエチレンを用いることが特に好ましい。ポリオレフィン系樹脂として、ポリエチレンを用いることで、チューブ1のコシと強度がより大きくなり、さらには、チューブ1の内表面が滑らかになって、チューブ1の内腔における体液の流通を容易にすることができる。
本発明のドレナージカテーテル用チューブ1の中間層4は、外層2と内層3との間に位置しており、接着性ポリオレフィン樹脂により形成される。この中間層4の接着性ポリオレフィン樹脂は、接着に寄与する極性基を導入することにより変性されたポリオレフィンであり、導入される極性基としては、例えば、カルボン酸基、ジカルボン酸無水物基、エポキシ基、水酸基などが挙げられ、なかでも、カルボン酸基、ジカルボン酸無水物基が好ましい。
ポリオレフィンにこれらの極性基を導入する方法としては、オレフィン単量体と極性基を有するエチレン性不飽和単量体とを共重合する方法、及び、ポリオレフィンに極性基を有する化合物をグラフト反応させる方法が挙げられる。
オレフィン単量体と極性基を有するエチレン性不飽和単量体とを共重合する方法で接着性ポリオレフィン樹脂を得る場合において、用いるオレフィン単量体としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、酢酸ビニル、エチルアクリレートなどのモノオレフィン単量体が用いられ、必要に応じて、共役ジオレフィン単量体、非共役ジオレフィン単量体を使用することができる。極性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、無水シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸無水物;アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基を有する単量体;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等の水酸基を有する単量体;などが挙げられる。その他、エチレン性不飽和カルボン酸エステル、エチレン性不飽和カルボン酸アミド等を使用することもできる。
ポリオレフィンに極性基を有する化合物をグラフト反応させる方法で接着性ポリオレフィン樹脂を得る場合において、ポリオレフィンとしては、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン)、ポリプロピレン、ポリブテン−1、1,2−ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー、スチレン−ブタジエンブロック共重合体水素化物(SEB)が挙げられ、極性基を有する化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、無水シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸無水物;エチレン性不飽和カルボン酸エステル;エチレン性不飽和カルボン酸アミド;等が挙げられ、なかでも、エチレン性不飽和ジカルボン酸無水物が好ましく、無水マレイン酸が特に好ましい。
本発明のドレナージカテーテル用チューブ1の中間層4として用いる接着性ポリオレフィン樹脂としては、ポリオレフィンに極性基を有する化合物をグラフト反応させてなるものが好ましい。グラフト反応法は、特に限定されず、公知の反応条件を採用すればよい。例えば、ポリオレフィンと極性基を有する化合物とを溶媒の存在下または不存在下に、ラジカル発生剤の存在下、またはラジカル発生剤の不存在下に加熱することによって、極性基を有する化合物を付加することができる。グラフト反応によれば、ポリオレフィン骨格に効率的に極性基を導入することができるので、極性基を有する化合物の残留を非常に少なくすることができ、ドレナージカテーテル用チューブ1の安全性が高くなる。
接着性ポリオレフィン樹脂としては、内層3のポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィンに、極性基を有する化合物をグラフト反応させてなるものが好ましい。このような接着性ポリオレフィン樹脂を用いることで、溶融時における内層3と中間層4の相溶性がより高くなり、内層3と中間層4の接合強度が向上する。したがって、内層3をポリエチレンにより形成する場合は、接着性ポリオレフィン樹脂として、ポリエチレンに極性基を有する化合物をグラフト反応させてなるものを用いることが好ましい。なお、ポリエチレンに極性基を有する化合物(無水マレイン酸)をグラフト反応させてなる接着性ポリオレフィン樹脂は、アドマー(登録商標)として市販されている。
接着性ポリオレフィン樹脂は、前述のようにポリオレフィン骨格を有しているので、ポリオレフィン系樹脂と相溶性が良い。したがって、ポリオレフィン系樹脂と接着性ポリオレフィン樹脂とは、共押し出しすることなどにより、溶融状態で接触させることで、強固に接合することができる。また、接着性ポリオレフィン樹脂は、前述のように接着に寄与する極性基を有しているので、当該極性基と反応して結合可能な被着体と接合することができる。したがって、ウレタン結合を有するポリウレタン系樹脂と接着性ポリオレフィン樹脂とは、共押し出しすることなどにより、溶融状態で接触させることで、強固に接合することができる。
従来、ポリウレタン系樹脂とポリオレフィン系樹脂からなる多層チューブは、ポリウレタン系樹脂層とポリオレフィン系樹脂層を強固に接合することが困難であるため、製造が困難であったが、本発明のドレナージカテーテル用チューブ1では、ポリウレタン系樹脂からなる外層2と、ポリオレフィン系樹脂からなる内層3との間に、接着性ポリオレフィン樹脂により形成された中間層4を備えることにより、各層が強固に接合されたチューブ1を提供することができる。また、後述するように、接着性ポリオレフィン樹脂よりなる中間層4は、外層2、内層3と共に共押し出しして得ることができるので、本発明のドレナージカテーテル用チューブ1は、外層2と内層3を接着剤等で接合する場合等に比べて、容易に製造することができる。
本発明のドレナージカテーテル用チューブ1の外層2、内層3、中間層4には、それぞれ、本発明を逸脱しない範囲において、他の樹脂を混合することができる。また、外層2、内層3、中間層4には、必要に応じて、アロイ化剤、相溶化剤、硬化剤、安定剤、着色剤等の各種添加物を配合してもよい。
さらに、外層2、内層3、中間層4には、X線不透過物質を添加してもよい。X線不透過物質を添加したドレナージカテーテル用チューブ1を用いたドレナージカテーテルでは、体内に挿入したカテーテルをX線透視により確認することが可能となる。添加するX線不透過物質としては、例えばタングステン、硫酸バリウム、酸化ビスマス、金、白金等が挙げられる。
本発明のドレナージカテーテル用チューブ1は、目的とするドレナージカテーテルの種類により異なるが、通常、外径が1〜20mmであり、内径が0.5〜18mmである。また、外層2の厚さは、チューブ1全体の厚さに対して、30〜94%であることが好ましく、60〜90%であることがさらに好ましい。内層3の厚さは、チューブ1全体の厚さに対して、5〜50%であることが好ましく、5〜30%であることがさらに好ましい。中間層4の厚さは、チューブ1全体の厚さに対して、1〜20%であることが好ましく、5〜10%であることがさらに好ましい。
本発明のドレナージカテーテル用チューブ1は、25℃における引張弾性率が、70N/mm以上であり、かつ、37℃における引張弾性率が、40N/mm以下であることが好ましい。チューブ1がこのような性質を備えることにより、通常の室温において、チューブ1の剛性が十分となるので、体内への挿入がより容易となり、体内への挿入後は、体温によりチューブ1が柔軟になるので、患者へ与える苦痛がより小さくなる。なお、チューブ1にこのような性質を備えさせるためには、外層2を25〜37℃のガラス転移温度を有するポリウレタン系樹脂により形成して、各層2、3、4の厚さを調整すればよい。
また、本発明のドレナージカテーテル用チューブ1は、37℃における破断強度が、1000N/cm以上であることが好ましい。チューブ1がこのような性質を備えることにより、体内での破断のおそれがさらに小さくなる。なお、チューブ1の破断強度が不足する場合は、通常、内層3のポリオレフィン系樹脂として、より破断強度の大きいものを選択するか、内層3の厚さの比率を高くすればよい。
本発明のドレナージカテーテル用チューブ1の製造方法は特に限定されず、公知の多層チューブの製造方法により製造することができるが、外層2、内層3、中間層4を共押し出しする方法によって製造することが簡便であり、好ましい。また、共押し出しする際に、異径押出法を適用して、チューブ1の長さ方向に沿って、チューブ1の外径を変化させることもできる。
本発明のドレナージカテーテル用チューブ1は、消化液や血液などの体液を体外へ排出させるために用いるドレナージカテーテルを構成するために用いられるものである。ドレナージカテーテルとしての種類は特に限定されず、PTCD用ドレナージカテーテル、外科手術時用(胸部・腹部)ドレナージカテーテル、吸引用ドレナージカテーテル等、各種のドレナージカテーテルを構成するために用いることができるが、なかでも、PTCD用ドレナージカテーテルを構成するために好適に用いることができる。
次に、前述のドレナージカテーテル用チューブ1を備えてなる、本発明のドレナージカテーテルに係る実施形態として、ドレナージカテーテル用チューブ1によりPTCD用ドレナージカテーテルを構成した一例について、図面を参照しつつ詳述する。
図2は本発明のドレナージカテーテルの実施形態の全体形状を示す平面図であり、図2(A)は内芯が挿入された状態を示し、図2(B)は内芯が挿入されない状態を示す。
図2に示すドレナージカテーテル10は、PTCDに用いられるドレナージカテーテルであって、狭窄した胆管を別部材により事前に拡張する作業を要することなく、容易に胆管に挿入可能であることを特徴とするものである。このドレナージカテーテル10は、遠位端側が胆管内に挿入されるカテーテルチューブ11と、該カテーテルチューブ11の近位端に接続されたハブ18により形成されている。また、図2(A)に示されるドレナージカテーテル10では、ハブ18の近位端側から、カテーテルチューブ11の内部を長手方向に貫いて、カテーテルチューブ11より剛直な内芯19が挿入されている。
カテーテルチューブ11は、異径押出法を用いて前述のドレナージカテーテル用チューブを製造して得たものであり、外径が長手方向に沿って実質的に同一である本体部12と、本体部12の遠位端側に連なり、遠位端側に向かって外径が細くなる第1テーパー部13と、第1テーパー部13の遠位端側に連なり、外径が長手方向に沿って実質的に同一である細径直胴部14と、細径直胴部14の遠位端側に連なり、遠位端側に向かって外径が細くなる第2テーパー部15とが形成されている。そして、カテーテルチューブ11の内部には、長手方向全長にわたってルーメン16が形成されている。
カテーテルチューブ11の本体部12は、外径が長手方向に沿って実質的に同一であり、その外径D1は通常1.0〜20.0mmであり、好ましくは1.5〜15.0mmであり、さらに好ましくは2.0〜4.0mmである。カテーテルチューブ11の本体部12がこのような外径D1を有することで、本体部12の胆管内への挿入を可能にしながら、その内部に形成されたルーメン16を、胆汁を流通させるために十分な径にすることができる。カテーテルチューブ11の本体部12の肉厚は、通常0.1〜5.0mmである。また、本体部12の長さは、80〜500mmが好ましい。
カテーテルチューブ11の細径直胴部14は、外径が長手方向に沿って実質的に同一であり、その外径D2は、本体部12の外径D1の20〜80%であり、好ましくは30〜80%であり、さらに好ましくは40〜75%である。本体部12の外径D1に対して、そのような外径D2を有する細径直胴部14をカテーテルチューブ11に設けることにより、狭窄した胆管内に細径直胴部14を挿入して留置することで狭窄した胆管の拡張を行なうことができるので、狭窄した胆管を事前に拡張することなく本体部12を容易に胆管内に挿入することができる。カテーテルチューブ11の細径直胴部14の肉厚は、通常0.1〜4.0mmである。
カテーテルチューブ11の細径直胴部14の長さは、30〜250mmであり、好ましくは40〜200mmであり、さらに好ましくは50〜150mmである。細径直胴部14の長さが30mm未満であると、胆管内の狭窄に対して長さが不足し、狭窄した胆管の拡張を十分に行なえないおそれがあり、250mmを超えると、本体部12を胆管内の狭窄部に挿入する際に細径直胴部14が邪魔になり、ドレナージカテーテル10の操作性が低下するおそれがある。
カテーテルチューブ11の細径直胴部14は、内芯19が挿入されない状態では曲線状となり、内芯19が挿入された状態では実質的に直線状となるように構成されることが好ましい。内芯19が挿入されない状態の細径直胴部14は、図2(B)に示すように渦巻形状となることがより好ましい。カテーテルチューブ11の細径直胴部14を胆管内に挿入する際は、細径直胴部14が直線状であることが好ましいが、本体部12を胆管内に挿入する際に、細径直胴部14が直線状のままであると、カテーテルチューブ11の遠位端が膵管の出口に達して、膵炎を誘発するおそれがある。これに対して、内芯19の挿入又は非挿入に応じて細径直胴部14の形状が変化するように構成すれば、胆管内への本体部12の挿入を行ないながら、徐々に細径直胴部14の内部のルーメン16から内芯19を抜き取ることで、細径直胴部14が胆管内で曲線状に丸まり、膵管の出口にカテーテルチューブ11の遠位端が達しないので膵炎を防止することができる。渦巻形状の周回数は、1.5〜3.0回であることが好ましく、1.5〜2.0回であることがさらに好ましい。周回数を1.5回未満とすると、渦巻形状の最外円の半径が大きくなり、胆管内でかさばるおそれがあり、3.0回を超えると、内芯19の挿抜作業が困難になるおそれがある。また、渦巻形状の最外円の半径は、5〜20mmであることが好ましい。なお、必ずしも、細径直胴部14全体を曲線状にする必要はなく、膵管の出口にカテーテルチューブ11の遠位端が達するのを防止できる範囲で一部を曲線状にすることができる。また、カテーテルチューブ11の曲線状になる部分が、第1テーパー部13、第2テーパー部15及び本体部12に及んでいても良い。
カテーテルチューブ11の本体部12と細径直胴部14との間には、遠位端側に向かって外径が細くなる第1テーパー部13が設けられている。このような第1テーパー部13を設けることにより、細径直胴部14を留置して胆管を拡張した後、カテーテルチューブ11をさらに押し進めることで、比較的容易に本体部12を胆管内に挿入することができる。第1テーパー部13のテーパー面の角度は、カテーテルチューブ11の長手軸に対して3°〜45°であることが好ましく、第1テーパー部13の長さは5〜80mmであることが好ましい。
カテーテルチューブ11の細径直胴部14の遠位端側には、遠位端側に向かって外径が細くなる第2テーパー部15が設けられており、本実施形態では、第2テーパー部15がカテーテルチューブ11の最遠位端に位置している。このような第2テーパー部15を設けることにより、狭窄の度合いが激しい場合であっても、比較的容易に細径直胴部14を胆管内に挿入することができる。第2テーパー部15の遠位端の外径は0.3〜10mmであることが好ましい。また、第2テーパー部15のテーパー面の角度は、カテーテルチューブ11の長手軸に対して3°〜45°であることが好ましく、第2テーパー部15の長さは1〜30mmであることが好ましい。
長手方向に沿って外径が変化するカテーテルチューブ11を得る方法としては、前述のドレナージカテーテル用チューブを異径押出法で製造して得る方法の他、ドレナージカテーテル用チューブを、一定の外径を有するチューブとして得た後に、熱溶融加工や切削加工により長手方向に沿って外径が変化する形状とする方法が挙げられる。また、細径直胴部14を内芯19が挿入されない状態で曲線状になるように賦形する手法としては、曲線状に形状付けされた芯棒を細径直胴部14内に挿入して、細径直胴部14を加熱する手法が挙げられる。
カテーテルチューブ11には、外周面から内部のルーメン16に貫通する側孔17が形成されていることが好ましい。この側孔17から、胆管内の胆汁をカテーテルチューブ11のルーメン16内に取り込み、体外に排出することができる。カテーテルチューブ11に形成される側孔17は、本体部12の遠位端から近位端に向かって60mmの位置から細径直胴部14の近位端から遠位端に向かって50mmの位置の間に設けられることが好ましい。
側孔17の形状は、特に限定されず、円形状、楕円形状、多角形状など種々の形状とすることができる。側孔17の数は、特に限定されないが、2〜12個程度が好ましい。また、側孔17の1つあたりの開口面積は、特に限定されないが、0.1〜80mm程度が好ましい。
ドレナージカテーテル10のハブ18は、内腔を有する筒状体であり、カテーテルチューブ11の近位端にカシメ、ネジ止め、接着などの手段によって接続されている。ハブ18の内腔は、カテーテルチューブ11のルーメン16と連通しており、このハブ18を介して、ルーメン16への内芯19等の挿入、体内への薬液等の注入、体外への胆汁等の排出等が可能になっている。また、ハブ18は、近位端側に他の医療用具を接続可能に構成されている。ハブ18を構成する材料は特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン系、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルポリアミド、ポリエステルポリアミド、ポリカーボネート、ABS樹脂、AS樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等の各種樹脂材料を用いることが好ましい。
内芯19は、ドレナージカテーテル10のハブ18からカテーテルチューブ11のルーメン16に挿入される直線状体である。内芯19は、カテーテルチューブ11より大きな剛性を有し、細径直胴部14が曲線状に賦形されたカテーテルチューブ11のルーメン16に挿入することで、細径直胴部14を実質的に直線状にすることができる。内芯19の長さは、カテーテルチューブ11に挿入した際に、カテーテルチューブ11の遠位端より1〜30mm突出するように設定されることが好ましい。内芯19の外径は、通常0.5〜10mmであり、カテーテルチューブ11のルーメン16の径と略同一であることが好ましい。また、内芯19には、内部にガイドワイヤを挿通可能なように長手方向に沿って貫通する内腔を設けることが好ましい。内芯19に設ける内腔の径は通常0.3〜9mmである。内芯19を構成する材料としては、内芯19が十分な剛性を備えるように、ステンレス、真鍮、Ni−Ti合金などの金属材料や、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミドなどの高い曲げ弾性率を有する樹脂材料を用いることができる。また、内芯19の遠位端部には、容易に狭窄した胆管内に挿入できるようにテーパー部を設けることが好ましい。さらに、内芯19の近位端側には、ドレナージカテーテル10のハブ18と嵌合可能なコネクタ20を設けることが好ましい。
次に、本実施形態のドレナージカテーテルの使用方法の一例について説明する。
まず、穿刺針等を用いて、患者の腹壁から肝臓を貫通して、胆管内に達する穿孔を設け、その穿孔からガイドワイヤを挿入して、先端側を胆管内に留置する。
次に、内芯を挿入したドレナージカテーテルのカテーテルチューブをガイドワイヤに沿わせて胆管内に挿入して、細径直胴部を胆管内の狭窄部に位置させ、その状態でしばらく留置して、狭窄部を拡張させる。この際、本発明のドレナージカテーテル用チューブを備えたドレナージカテーテルでは、チューブが十分なコシを有するので、カテーテルの挿入、及び、細径直胴部による胆管内狭窄部の拡張が容易となる。
細径直胴部による胆管内狭窄部の拡張が十分に行われたら、内芯を少しずつ抜き出しながら、さらにカテーテルチューブを胆管内へ押し進めて、本体部を胆管内の狭窄部に留置する。この際、本発明のドレナージカテーテル用チューブを備えたドレナージカテーテルでは、チューブの表面が柔軟であるので、胆管壁に与える応力が小さくなり、患者へ与える苦痛が小さくなる。
本体部が胆管内の狭窄部に留置されると、第1テーパー部近傍に設けられた側孔が胆管内の胆汁の滞留部に達し、この側孔から胆汁がカテーテルチューブのルーメン内に流れ込み、ハブを介して体外に排出される。なお、通常、胆管内は外圧よりも圧力が高くなっていることから、特に吸引等を行なわなくても、胆汁の排出が行われる。本発明のドレナージカテーテル用チューブを備えたドレナージカテーテルでは、カテーテルチューブの内層がポリオレフィン系樹脂により形成されているので、胆管内への留置が長期間にわたっても、胆汁等により内層が劣化しにくく、体内でのチューブの破断が防止される。
ドレナージカテーテルを体外に取り出す際は、内芯を少しずつ細径直胴部内部のルーメンに挿入して、細径直胴部を近位端側から徐々に直線状に戻しながら、カテーテルチューブを体外に引き出せばよい。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。例えば、本発明のドレナージカテーテル用チューブを備えたドレナージカテーテルにおいて、前述した長手方向に沿ってチューブの外径が変化する構造とせず、チューブの外径が一定の構造としても良い。
図1は、本発明のドレナージカテーテル用チューブの断面図である。 図2は本発明のドレナージカテーテルの実施形態の全体形状を示す平面図であり、図2(A)は内芯が挿入された状態を示し、図2(B)は内芯が挿入されない状態を示す。
符号の説明
1 ドレナージカテーテル用チューブ
2 外層
3 内層
4 中間層
10 ドレナージカテーテル
11 カテーテルチューブ
12 本体部
13 第1テーパー部
14 細径直胴部
15 第2テーパー部
16 ルーメン
17 側孔
18 ハブ
19 内芯
20 コネクタ

Claims (6)

  1. ポリウレタン系樹脂からなる外層と、ポリオレフィン系樹脂からなる内層との間に、接着性ポリオレフィン樹脂からなる中間層を備えるドレナージカテーテル用チューブ。
  2. 前記外層のポリウレタン系樹脂が、25〜37℃のガラス転移温度を有する請求項1に記載のドレナージカテーテル用チューブ。
  3. 前記内層のポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレンである請求項1または2に記載のドレナージカテーテル用チューブ。
  4. 前記中間層の接着性ポリオレフィン樹脂が、内層のポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィンに極性基を有する化合物をグラフト反応させてなる樹脂である請求項1〜3に記載のドレナージカテーテル用チューブ。
  5. 前記内層のポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレンであり、前記中間層の接着性ポリオレフィン樹脂が、ポリエチレンにエチレン性不飽和ジカルボン酸無水物をグラフト反応させてなる樹脂である請求項1〜4に記載のドレナージカテーテル用チューブ。
  6. 請求項1〜5に記載のドレナージカテーテル用チューブを備えてなるドレナージカテーテル。
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