JP2005237348A - TGF−β高生産不死化ヒト由来細胞およびそれを用いたスクリーニング方法 - Google Patents

TGF−β高生産不死化ヒト由来細胞およびそれを用いたスクリーニング方法 Download PDF

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重樹 乾
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Abstract

【課題】 本発明は、TGF−β高生産不死化ヒト由来細胞およびそれを用いたスクリーニング方法を提供する事を目的とする。
【解決手段】 ヒト由来細胞を不死化することにより、TGF−β高産生不死化細胞株を取得し、本細胞とケラチノサイト細胞を被験物質の存在下に共培養して、ケラチノサイト細胞の増殖を観察することによりケラチノサイト細胞増殖促進剤をスクリーニングする、もしくは、TGF−βの産生レベルを検出することによりTGF−β産生抑制剤をスクリーニングする。もしくは本細胞を被験物質の存在下に培養し、TGF−βの産生レベルを検出することによりTGF−β産生抑制剤をスクリーニングする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、TGF−β産生抑制作用物質のスクリーニングに利用可能なTGF−β高生産不死化ヒト由来細胞および本細胞を用いたTGF−β産生抑制作用物質のスクリーニング方法に関する。
TGF−β(transforming growth factor−β)は細胞増殖促進作用または阻害作用、種々の細胞機能の促進作用または阻害作用、細胞外マトリックスの産生促進作用等、多くの活性を有するサイトカインであり、血管内皮細胞、肝細胞などの上皮細胞、毛乳頭細胞等さまざまな組織、細胞で産生されることが知られている。TGF−βは種々の細胞で細胞外マトリックス産生促進作用を示すことから、糸球体腎炎、腎硬化症、肝線維症、肝硬変、肺線維症、骨髄線維症、関節リウマチ、増殖性硝子体網膜症等を引き起こす主原因と考えられ、TGF−βの産生を抑制することにより、これら疾病の治療が可能になるものと考えられる。これまでにヒト由来細胞が産生するTGF−βの産生抑制効果を示すものとしては、網膜色素上皮細胞におけるインターフェロン(特許文献1参照)、腎臓のメサンギウム細胞におけるマクロライド化合物(特許文献2参照)、肝または肺由来細胞におけるメシル酸カモスタット等の各種化合物(特許文献3、式(I)など参照)が知られている。
また、TGF−βはケラチノサイトの増殖や機能を抑制してアポトーシスを誘導することから脱毛にも深く関わっており、TGF−βの産生抑制による育毛効果が期待できる。しかし、これまでTGF−β産生抑制により育毛効果を示す物質は知られていない。
TGF−βは潜在型として生産、分泌され、プラスミンやトロンボスポンジン等によって活性化されてはじめてその機能を発揮する。よって、産生した潜在型TGF−βの活性化に対する阻害作用を有する化合物や、TGF−βの拮抗物質にはTGF−βの作用を抑制する効果が期待できる。例えば育毛分野ではTGF−βの活性化抑制効果を有する化合物であるt−フラバノンを育毛成分として含有する育毛剤が市販されている。
更に、プラスミノーゲンアクチベーター阻害因子−1(PAI−1)産生能を有する細胞をTGF−β2および被験物質の存在下で培養し、PAI−1を測定することによるTGF−β2作用物質、例えばアンタゴニストの評価方法が開発されている(特許文献4参照)。特許文献4に開示の評価方法はTGF−β2を外部より添加して作用性を評価する方法であることから、この評価系により細胞自身が産生するTGF−β量を変化させる物質をスクリーニングすることは出来ない。
また、生体より分離した培養細胞は、初代培養の際には元の生体内での性質を保持していたとしても、継代を重ねるに従って元来の性質を失う場合が多いことが知られており、例えば培養毛乳頭細胞の男性ホルモンレセプターのmRNA発現量は継代培養により減少していくことが知られている。このように発現量の低下した細胞では外部から男性ホルモンを与えても生体内で認められるような男性ホルモンに対する応答は認められない。ケラチノサイトの強力な増殖抑制因子であるTGF−βは男性ホルモンによって産生亢進する。よってTGF−β産生抑制効果を有する物質の評価には継代培養された細胞は不適であり、また一方ではスクリーニングのために初代培養の細胞を大量に確保することは困難であることから、TGF−βの産生抑制効果を有する物質の安定評価系の確立はなされていなかった。
更に不死化ヒト毛乳頭細胞及びそれを用いた育毛剤評価法が開発されているが(特許文献5参照)、この特許文献5に記載されているSV40ウイルスLargeT抗原遺伝子を用いた不死化方法は、ヒト由来細胞に対しては既にヒト冠状動脈血管内皮細胞を用いた不死化細胞株を確立方法(特許文献6参照)が報告されており、また毛乳頭細胞ではラット・ヒゲ由来毛乳頭細胞を用いた同法による不死化株の作出に成功しており、この特許文献5の公開以前から知られていた方法であることは明らかである。
更にRT−PCRによる発現解析の結果から、取得した不死化毛乳頭細胞は不死化前のヒト毛乳頭細胞と実質的に同じTGF−β生産性を有することが示されており、不死化することでTGF−β高産生細胞株を取得することが可能とは考え難かった。
特開平10−114676号公報 特開2003−137791号公報 特開平8−333249号公報 特開2000−342296号公報 特開平11−89565号公報 特開平9−173060号公報
本発明の目的は、TGF−β高生産不死化ヒト由来細胞およびそれを用いたスクリーニング方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究の結果、ヒト由来細胞を不死化することにより継代可能な不死化細胞株を取得し、取得した不死化細胞株の中から安定してTGF−βを高生産する細胞株を評価、取得した。更に、取得したTGF−β高生産細胞株を用いてTGF−βの産生を抑制する物質のスクリーニング方法を確立することで本発明を完成するに至った。TGF−β高生産細胞株を用いたTGF−β産生抑制物質のスクリーニング方法としては、取得したTGF−β高生産細胞株に被験物質を作用させ、生産されるTGF−β量をELISA等の方法により測定してTGF−β産生抑制物質を取得する方法が提供できる。更に、TGF−β高生産細胞株と他のTGF−βシグナルを受け取る細胞株、例えばTGF−β高生産不死化毛乳頭細胞とケラチノサイトなどを同一の空間内で共培養し、生産されるTGF−β量をELISA等の方法により測定し、また一方でTGF−βシグナルを受け取る細胞の細胞増殖度を測定して、TGF−β産生抑制とTGF−βシグナルを受け取る細胞の細胞増殖とを関連付けてTGF−β生産抑制物質を評価取得する方法が提供できる。
すなわち、本発明にかかる不死化ヒト由来細胞は、不死化前のヒト由来細胞に比べて高いTGF−β産生能を有することを特徴とするものである。また、この高TGF−β産生能を有する不死化ヒト由来細胞のTGF−β産生レベルは200pg/mL/2×105細胞以上(すなわち、細胞2×105個あたりの産生量が200pg/mL以上)であることが好ましい。
本発明にかかるケラチノサイト細胞増殖促進剤のスクリーニング方法は、上記構成の不死化ヒト由来細胞とケラチノサイト細胞を被験物質の存在下に共培養し、ケラチノサイト細胞の増殖を観察する工程を有することを特徴とするものである。また、本発明にかかるTGF−β産生抑制剤のスクリーニング方法は、上記構成の不死化ヒト由来細胞とケラチノサイト細胞を被験物質の存在下に共培養し、TGF−βの産生レベルを検出する工程を有することを特徴とするものである。更に、本発明にかかるTGF−β産生抑制剤のスクリーニング方法は、上記構成の不死化ヒト由来細胞を被験物質の存在下に培養し、TGF−βの産生レベルを検出する工程を有することを特徴とするものである。
上記のヒト由来細胞としては毛乳頭細胞が好ましい。
不死化前の毛乳頭細胞のTGF−β産生量は、100pg/ml/2×105細胞以下であり、このレベルは測定のばらつきが100pg/ml以下であることを考慮すると、TGF−β産生抑制効果を正確に判定することは不可能であった。よって、TGF−β産生抑制効果を正確に判定するためには200pg/ml/2×105細胞以上のTGF−βを産生する細胞が必要と考えられ、本発明に基づいた方法によりこのTGF−β産生レベルを上回る不死化毛乳頭細胞株を取得することが可能となる。
本発明によれば、TGF−β産生抑制作用物質のスクリーニングに利用可能なTGF−β高生産不死化ヒト由来細胞を作出することが可能であり、本細胞を用いてTGF−β産生抑制作用物質をスクリーニングすること、更にはケラチノサイト細胞を被験物質の存在下に共培養し、ケラチノサイト細胞の増殖を観察することでケラチノサイト細胞増殖促進剤をスクリーニングする事が可能となった。
以下本発明を詳細に説明する。本発明は、ヒト由来細胞を不死化することにより継代可能な不死化細胞株を取得し、取得した不死化細胞株の中から安定してTGF−βを高生産する細胞株を評価、取得することに成功したことに基づいてなされたものである。このTGF−βを高生産する細胞株は不死化前よりもTGF−βを高い生産するものである。そして、このTGF−β高生産細胞株に被験物質を作用させ、生産されるTGF−β量をELISA等の方法により測定することで、TGF−β産生抑制物質を取得するための被験物質をスクリーニングすることができる。
更にはTGF−β高生産細胞株と他のTGF−βシグナルを受け取る細胞株を同一の空間内で共培養し、生産されるTGF−β量をELISA等の方法により測定し、また一方でTGF−βシグナルを受け取る細胞の細胞増殖度を測定して、TGF−β産生抑制とTGF−βシグナルを受け取る細胞の細胞増殖とを関連付けてTGF−β生産抑制物質を評価、取得することができる。この方法に用いられるTGF−βシグナルを受け取る細胞としてはTGF−β受容体を有する細胞であれば良く、例えばケラチノサイト、血管内皮細胞、肝細胞などの上皮細胞などを挙げることが出来る。これらの中では、ケラチノサイトが好ましい。
本発明のTGF−β高産生不死化細胞の取得に用いられるヒト由来細胞としては、TGF−βの生産が知られている細胞であれば良く、例えば毛乳頭細胞、メサンギウム細胞、網膜色素上皮細胞、線維芽細胞などを挙げることが出来る。これらの中では、毛乳頭細胞が好ましい。これらのヒト由来細胞は、例えば外科手術、美容整形外科手術により取得した組織から初代培養して調製することもできるが、市販の細胞を購入したり、細胞銀行(国立医薬品衛生研究所)から入手することもできる。
上記のようにして得たヒト由来細胞の不死化には、複製起点を欠失させたSV40ウイルスのLarge T抗原遺伝子が挿入されたプラスミドやウイルス等のベクターを用いることができる。例えば、複製開始点を欠失させたSV40ウイルスDNAをpBR322にクローニングしたプラスミドDNAはGluzmanらの文献(Proc.Natl.Acad.sci.USA, Vol.77, 3898-3902(1980)に記載されている。
また、複製起点を欠失させたSV40ウイルスのLarge T抗原遺伝子が挿入されたアデノウイルスベクター(Doren ら、J. Virol. Vol.50, 606-614 (1984))やSV40ウイルスのLarge T抗原遺伝子が挿入されたレトロウイルスベクター(Cepkoら、Cell, Vol.37, 1053-1062(1984);Bartekら、Proc.Natl.Acad.sci.USA, Vol.88, 3520-3524(1991))を不死化細胞の作製に用いる事もできる。さらに、温度感受性のSV40ウイルスのLarge T抗原遺伝子を使用することも可能である(Chouら、Proc.Natl.Acad.sci.USA, Vol.75, 1854-1858(1978))。
不死化細胞は、温度感受性ポリオーマウイルスLarge T抗原遺伝子(Rassoulzadegan ら、Proc. Nat. Acad. Sci. USA, Vol.80, 4354-4358 (1983))、ヒトパピローマウイルスのE6とE7遺伝子(Mungerら、J. Virol. Vol.63, 4417-4421 (1989))、テロメラーゼ遺伝子(Farwellら、Am. J.Pathology, Vol.156, 1537-1547(2000))が挿入されたプラスミドやウイルス等のベクターを細胞に導入しても取得できる。
ウイルスベクターを細胞に導入する場合はウイルスを細胞に感染させることによって細胞に導入する事ができる。
プラスミドDNAの細胞への導入方法としては、リン酸カルシウム法、DEAE−デキストラン法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法等が挙げられるが、再現性、細胞へのダメージの少なさから、リポフェクション法が好ましい。
例えば、男性型脱毛由来ヒト毛乳頭細胞に複製開始点を欠失させたSV40ウイルスDNAをpBR322にクローニングしたプラスミドDNAを細胞に導入する場合は、ヒト毛乳頭細胞がコンフルエントの30〜80%になるまで培養し、リポフェクション法によりプラスミドDNAを導入し、通常通り培養を継続する。103〜104の細胞にプラスミドDNAを導入すると、10個程度の増殖型コロニーの出現が期待できる。増殖型コロニーが出現したら、グラスリングを用いてクローニングを行い、不死化細胞クローンを取得することができる。
不死化をしていない男性型脱毛由来ヒト毛乳頭細胞に男性ホルモン受容体を一過性発現し、ヒトケラチノサイトの共培養で合成アンドロゲンR1881を添加すると、TGF−β1産生量が上昇することが報告されている(J. Investig. Dermatol. Symp. Proc.,Vo.8, 69-71, (2003))。そこで、不死化をしていない男性型脱毛由来ヒト毛乳頭細胞に男性ホルモン受容体を一過性発現し、ヒトケラチノサイトの共培養で無血清培地に合成アンドロゲンR1881を添加して培養を開始し、4日後の培養上清中のTGF−β1濃度を測定したところその濃度は70pg/mLであった。一方、同様の条件で不死化後の男性型脱毛由来ヒト毛乳頭細胞を用いた場合、培養上清中のTGF−β1濃度は600pg/mLと高いTGF−β1産生を示した。この時、ヒトケラチノサイトの細胞数は、不死化をしていない男性型脱毛由来ヒト毛乳頭細胞との共培養の場合、3.1×104であったが、不死化男性型脱毛由来ヒト毛乳頭細胞との共培養の場合、2.4×104であった。さらに、不死化後の男性型脱毛由来ヒト毛乳頭細胞は、単独培養で合成アンドロゲンR1881の非存在下でも700pg/mL〜1100pg/mLのTGF−β1産生が認められた。本発明のヒト男性型脱毛由来不死化毛乳頭細胞は不死化処理されていないヒト男性型脱毛由来毛乳頭細胞と比較して、TGF−β1産生が著しく高いことが示された。本発明は、TGF−β高生産細胞株を用いたTGF−β産生抑制物質のスクリーニング方法を提供する。この方法においては、取得したTGF−β高生産細胞株に被験物質を作用させ、生産されるTGF−β量をELISA等の方法により測定してTGF−β産生抑制物質のアッセイを行う。また本発明は、TGF−β高生産細胞株と他のTGF−βシグナルを受け取る細胞株を共培養し、生産されるTGF−β量を測定し、また一方でTGF−βシグナルを受け取る細胞の細胞増殖度を測定して、TGF−β産生抑制とTGF−βシグナルを受け取る細胞の細胞増殖とを関連付けてTGF−β生産抑制物質を評価取得する方法を提供する。
TGF−βの産生量の測定方法は、TGF−βの産生量や発現量が測定できる方法である限り特に限定されず、例えばELISA、Western Blotting、TGF−β遺伝子のRNAのNothern Blotting、リアルタイムRT−PCR、レポータージーンアッセイ等を例示することができる。これらの中でも、ELISAは市販のキットを用いて行うことができ、簡便かつ定量的であるので点から、選択するのに好ましいアッセイ法である。
細胞増殖評価法は細胞数を評価できる方法である限り特に限定されず、例えば、細胞を血球計算版でカウントする方法、MTTアッセイ法、アラマーブルーアッセイ法、各種のDNA定量法を用いることができる。
以下に、実施例および比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)毛乳頭細胞の不死化方法
美容整形外科手術の副産物として得られた男性型脱毛の頭皮より毛乳頭細胞を単離し、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM;日水製薬)に牛胎児血清(jrh Biociences)を終濃度10%になるように添加し、さらに終濃度50U/mLのペニシリンGと50μg/mLの硫酸ストレプトマイシンを加えた培地(以下増殖用培地と称す)を用いて37℃にて5%CO2存在下で培養した(J. Investig. Dermatol. Symp. Proc.,Vo.8, 69-71, (2003))。毛乳頭細胞を6 well plate(Costar)に5×105cells/wellで播種し、SV40のoriを欠失したプラスミドSV-ori-8-16(JCRB)を毛乳頭細胞に導入した。細胞導入の条件は、FuGene6(Roche)を用いて添付されたマニュアルに従って、1mL無血清DMEM培地に交換後、1μg/wellのSV-ori-8-16と3μL/wellのFuGene6を添加し、5時間処理した後、増殖用培地に戻した。導入して約20日後にSV40のプラスミドを導入した細胞からやや小さめの増殖の早い細胞からなる増殖型コロニーが9個出現し、グラスリングを用いてクローニングを行った。最終的に、DP2-SV40-No.1、DP2-SV40-No.2、 DP2-SV40-No.5、 DP2-SV40-No.6、 DP2-SV40-No.7、 DP2-SV40-No.8、DP2-SV40-No.9の7個の不死化細胞を確立した。SV-ori-8-16を導入していない毛乳頭細胞は、継代10代程度で増殖が止まったが、不死化毛乳頭細胞は10代以降も増殖を続けた。不死化前の毛乳頭細胞の倍化時間は2週間程度であったが、不死化毛乳頭細胞の倍化時間は1.5日から3日と増殖速度が速くなっていた。
(実施例2)不死化株間におけるTGF−β産生量の比較
不死化毛乳頭細胞を単独培養した場合の、培養上清中のTGF−β1濃度を調べるため、不死化毛乳頭細胞を6well plateに5×105cells/wellで播種し3.5mL増殖培地で4日培養後、3.5mL無血清−DMEM培地交換し、2日後に培養上清を回収した。培養上清のTGF−β1濃度は、ELISAキット(R&D Systems)を用いて添付のマニュアルの方法に従って測定した。
結果を図1に示す。取得したDP2-SV40-No.1、DP2-SV40-No.2、 DP2-SV40-No.5、 DP2-SV40-No.6、 DP2-SV40-No.7、 DP2-SV40-No.8の細胞培養上清は不死化前の毛乳頭細胞に比べて700pg/mL〜1100pg/mLと高いTGF−β1産生が認められた。一方、DP2-SV40-No.9の細胞培養上清は150pg/mLのTGF−β1産生が認められた。細胞培養上清に含まれるTGF−β1産生量は100pg/mL以下のバラツキが認められることから、TGF−β1産生抑制効果を評価する場合、200pg/mL以上のTGF−β1を産生する細胞が望ましいと考えられる。よって、安定して200pg/mL以上の高いTGF−β1産生レベルを示すDP2-SV40-No.1、DP2-SV40-No.2、DP2-SV40-No.5、DP2-SV40-No.6、DP2-SV40-No.7、DP2-SV40-No.8はTGF−β1産生抑制効果の評価、スクリーニングに適するものと考えられた。
(実施例3及び比較例1)不死化処理していない毛乳頭細胞におけるTGF−β産生量との比較
不死化毛乳頭細胞または、不死化していない毛乳頭細胞とヒトケラチノサイトとの共培養時のTGF−β1産生量を比較した。
ヒトケラチノサイトはヒトの皮膚から単離し、インスリン(5μg/mL)、ヒドロコルチゾン(0.4μg/mL)、エタノールアミン(0.1mM)、ホスホエタノールアミン(0.1mM)、0.1mM Ca2+、牛下垂体抽出物(30 μg protein/ml ;Clonetics)を添加したMCDB153培地(以下KGMと称す)で培養した。
不死化毛乳頭細胞または、不死化していない毛乳頭細胞を6well plate(Costar)にそれぞれ、1.7×105cells/well、5×105cells/wellで播種し、播種後1日目に、Fugene6を用いてwellあたり1μgのアンドロゲン受容体遺伝子発現プラスミドを導入した。播種後2日目に、不死化毛乳頭細胞または、不死化していない毛乳頭細胞の培地を10%活性炭・デキストラン処理牛胎児血清(HyClone社)-DMEMに交換した。また、ヒトケラチノサイト細胞をトランスウエルプレート(6wellプレート,Transwell−COL、24mm Diameter、0.4μ Pore Size、Sterile、3491、Coaster)に5.0×104cells/wellで播種した。翌日、不死化毛乳頭細胞または、不死化していない毛乳頭細胞とヒトケラチノサイト細胞の共培養を開始した。培地は、増殖因子と牛下垂体抽出物を添加していないKGM培地に合成アンドロゲンR1881(10-9M;Sigma)を添加した培地に交換した。4日後に、培養上清を回収し、ヒトケラチノサイト細胞数を測定した。培養上清のTGF−β1濃度を図2に示す。
不死化していない毛乳頭細胞(DP2)の場合は、70pg/mLであったが、不死化した毛乳頭細胞(DP2−SV40-No.8)を用いた場合は、650pg/mLと高いTGF−β1産生を示した。
図3はヒトケラチノサイト細胞数を示す。高いTGF−β1産生を示した不死化毛乳頭細胞(DP2−SV40-No.8)との共培養ではヒトケラチノサイト細胞数は、2.4×104であったが、低いTGF−β1産生を示した不死化をしていない男性型脱毛由来ヒト毛乳頭細胞(DP2)では、3.1×104であった。
(実施例4)不死化毛乳頭細胞株における配列番号1記載ペプチドのTGF−β1産生抑制効果
取得した不死化毛乳頭細胞株(DP2-SV40-No.8)を6wellプレートに5×105cells/wellで播種し、3.5mL増殖培地で1日培養後、終濃度30μMの配列番号2記載のペプチドを含む3.5mL無血清-DMEM培地に交換し、更に5日間培養した後に培養上清を回収した。培養上清のTGF−β1濃度は、ELISAキット(R&D Systems)を用いて添付のマニュアルの方法に従って測定した。結果を図4に示す。配列番号1記載のペプチドは顕著なTGF−β1産生阻害効果を示した。
(比較例2)
終濃度30μMの配列番号2記載のペプチドを含まないこと以外は実施例4記載の方法と同様に実施した。結果を図4に示す。
(実施例5)
取得した不死化毛乳頭細胞株(DP2-SV40-No.8)を6wellプレートに5×105cells/wellで播種し、3.5mL増殖培地で1日培養した。また、ケラチノサイト細胞を6wellプレートに5×104cells/wellで播種し、3.5mL増殖培地で1日培養した。培養後、終濃度30μMの配列番号2〜7記載のペプチドから選ばれる1種を含む3.5mL無血清−DMEM培地で両細胞を更に5日間共培養した後に培養上清を回収した。培養上清のTGF−β1濃度は、ELISAキット(R&D Systems)を用いて添付のマニュアルの方法に従って測定した。配列番号1〜6記載の各ペプチドのTGF−β産生抑制効果を図5に示す。また、共培養後のケラチノサイト細胞の増殖を細胞数をカウントすることにより算出した。結果を図6に示す。
(比較例3)
終濃度30μMの配列番号1〜6記載のペプチドを含まないこと以外は実施例5記載の方法と同様に実施した。結果を図5、図6、図7および図8に示す。
(実施例6)
配列番号1〜6記載のペプチドの代わりに配列番号7〜11記載のペプチドから選ばれる1種を含む無血清−DMEM培地で共培養した以外は実施例5記載の方法と同様に実施した。結果を図7および図8に示す。
なお、配列番号1〜11のアミノ酸配列を有するペプチドは定法により合成した。
確立した不死化毛乳頭細胞DP2-SV40-No.1、DP2-SV40-No.2、DP2-SV40-No.5、DP2-SV40-No.6、DP2-SV40-No.7、DP2-SV40-No.8、DP2-SV40-No.9の培養上清のTGF-β1濃度を示すグラフである。 不死化毛乳頭細胞DP2-SV40-No.8または、不死化していない毛乳頭細胞DP2とヒトケラチノサイト(KC)の共培養時の培養上清のTGF-β1濃度を示すグラフである。 不死化毛乳頭細胞DP2-SV40-No.8または、不死化していない毛乳頭細胞DP2とヒトケラチノサイト(KC)の共培養時の培養上清のKC数を示すグラフである。 不死化毛乳頭細胞における配列番号1記載のアミノ酸配列を有するペプチドのTGF−β1産生抑制効果を示す図である。 不死化毛乳頭細胞とケラチノサイト細胞との共培養下における配列番号1〜6記載のアミノ酸配列を有するペプチドのTGF−β1産生抑制効果を示す図である。 不死化毛乳頭細胞とケラチノサイト細胞との共培養下における配列番号1〜6記載のアミノ酸配列を有するペプチドのケラチノサイト細胞増殖促進効果を示す図である。 不死化毛乳頭細胞とケラチノサイト細胞との共培養下における配列番号1、7〜11記載のアミノ酸配列を有するペプチドのTGF−β1産生抑制効果を示す図である。 不死化毛乳頭細胞とケラチノサイト細胞との共培養下における配列番号1、7〜11記載のアミノ酸配列を有するペプチドのケラチノサイト細胞増殖促進効果を示す図である。

Claims (6)

  1. 不死化前のヒト由来細胞に比べて高いTGF−β産生能を有することを特徴とする不死化ヒト由来細胞。
  2. TGF−β産生レベルが200pg/mL/2×105細胞以上であることを特徴とする請求項1記載の不死化ヒト由来細胞。
  3. ヒト由来細胞が毛乳頭細胞である請求項1または2に記載の不死化ヒト由来細胞。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の不死化ヒト由来細胞とケラチノサイト細胞を被験物質の存在下に共培養し、ケラチノサイト細胞の増殖を観察することを特徴とするケラチノサイト細胞増殖促進剤のスクリーニング方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の不死化ヒト由来細胞とケラチノサイト細胞を被験物質の存在下に共培養し、TGF−βの産生レベルを検出することを特徴とするTGF−β産生抑制剤のスクリーニング方法。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の不死化ヒト由来細胞を被験物質の存在下に培養し、TGF−βの産生レベルを検出することを特徴とするTGF−β産生抑制剤のスクリーニング方法。
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