JP2005234064A - 画像形成装置 - Google Patents

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慎一 内海
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貞夫 岡野
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Abstract

【課題】 ベルト式定着装置を備えた画像形成装置において、ジャム発生時においても用紙を無駄にせず、かつ装置本体へのダメージをなくす。
【解決手段】 第2定着部5内部には用紙を検知するインレットセンサSi,パスセンサSp,及びアウトレットセンサSoが備えられており、ジャム発生時にはこれらのセンサの検知結果に基づいて定着ロール50が順方向或いは逆方向に回転し、第2定着部5内部に存在する用紙がニップ領域N及び剥離位置Eに接触しない状態で停止する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、ベルト式定着装置を備えた電子写真方式の画像形成装置において、用紙の搬送異常が発生した場合における用紙の搬送制御に関する。
電子写真方式の画像形成装置において、ベルト式定着装置を備えたものが知られている(例えば特許文献1参照)。ベルト式定着装置とは、例えば図3のような装置であり、定着ロール50や剥離ロール54等の複数のロールと、これらのロールによって張架された定着ベルト52と、この定着ベルト52の内周面に沿って設けられた冷却器53とを備えており、トナー像が形成された用紙をこの定着ロール50が形成するニップ領域Nにおいて加熱及び加圧し、その後冷却器53で冷却してから剥離位置Eで定着ベルト52から剥離する。これによって用紙のプリント面(像担持面、すなわち定着ベルト52に密着している面)の平滑性を向上させ、高光沢の高品質画像を得ることができる。また、このとき用紙として、例えば特許文献2に示されているような、表面に熱可塑性の樹脂層を有する用紙を用いることにより、写真等の画像データを印画紙のような風合いで出力することができる。そのため、このようなベルト式定着装置を備えた画像形成装置は、写真等の画像データを高品質かつ高速に、しかも低コストで出力することが可能であり、デジタルスチルカメラで撮影した画像をコンビニエンスストアやDPEショップで気軽にプリントできるものとして、近年非常に注目されている。
しかし、ベルト式定着装置を備えた画像形成装置には、次のような問題が懸念される。
画像形成装置においては、いわゆるジャムと呼ばれる用紙の搬送異常が発生することがある。ジャムが発生した場合には、ジャムの発生した部位にそれ以上用紙が詰まるのを防ぐために、用紙の搬送を直ちに停止させ、ユーザ等がジャムの原因となっている用紙を取り出し、ジャムが解消されてから用紙搬送を再開するのが一般的である。しかしこのとき、用紙が図8に示されるようにニップ領域Nで停止してしまうと、用紙が定着ロール50によって過剰に加熱されることにより、用紙内部の水分や気泡によってブリスタと言われる気泡がプリント面に発生し、画像品質を低下させてしまう。加えて、用紙に形成されているトナー及び樹脂層が、ニップ領域Nにおいて溶融して定着ベルト52に付着してしまう「オフセット」という現象が発生し、このオフセットがその後に形成される画像に対して悪影響を及ぼすことになってしまう。このオフセットを解消するためには、例えばクリーニング用の白紙を数枚ベルト式定着装置に通し、ベルト上に付着しているトナーや樹脂層をこの白紙に写し取るような方法が一般的である。しかし、このような方法では、用紙を必要以上に消費することになり、加えてクリーニングのために無駄な時間を費やすことになる。
また、用紙が図9に示されるように剥離位置Eで停止してしまうと、用紙が定着ベルト52に密着している部分とそうでない部分とで大きな温度差が生じるために、剥離位置Eにおいて剥離ロールの軸方向に線状の画像欠陥を生じさせてしまうことが実験により明らかになっている。
特開平4−358188号公報 特開平5−216322号公報
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ベルト式定着装置を備えた画像形成装置において、ジャム発生時においても用紙を無駄にせず、かつ装置本体へのダメージのない画像形成装置を提供することにある。
上述の課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、記録材の像担持面にトナー像を形成する画像形成手段と、周回移動する無端状の定着ベルトと、当該定着ベルトの内周面に沿うように設けられた定着部材と、当該定着部材と前記定着ベルトを挟んで対向する位置に設けられ前記定着部材側に押し付けられることによって前記定着ベルトとの間にニップ領域を形成する加圧部材とを有し、前記記録材の像担持面が前記ニップ領域において前記定着ベルトの外周面に押し付けられた状態で当該記録材を加熱し、加熱後の記録材を前記定着ベルトで搬送しながら或る剥離位置で前記定着ベルト外周面から剥離させる定着手段と、前記定着手段が設けられている位置から見て前記記録材の搬送方向下流側で当該記録材の搬送異常が発生したか否かを検知する搬送異常検知手段と、前記搬送異常検知手段によって搬送異常が発生したことが検知されると、前記記録材が前記ニップ領域或いは前記剥離位置で前記定着ベルトに接触しない位置に該記録材を搬送させて停止させる搬送制御手段とを備える。
このような画像形成装置によれば、搬送異常発生時にニップ領域や剥離位置に用紙が留まることがないので、用紙を無駄にせず、かつ装置本体へのダメージを防ぐことが可能となる。
また、本発明の画像形成装置は、より好適な態様として、前記ニップ領域と前記剥離位置との間隔が前記記録材の搬送方向に沿った辺長よりも長く構成されており、前記記録材が前記ニップ領域で前記定着ベルトに接触していることを検知するためのインレットセンサと、前記記録材が前記剥離位置で前記定着ベルトに接触していることを検知するためのパスセンサとを備え、前記搬送制御手段は、前記搬送異常検知手段によって前記搬送異常が発生したことが検知され、かつ、該搬送異常時に前記インレットセンサの検知結果に基づいて前記記録材が前記ニップ領域で前記定着ベルトに接触していると判断されると、前記インレットセンサと前記パスセンサの検知結果を用いて、該記録材が前記剥離位置及び前記ニップ領域のいずれにおいても前記定着ベルトに接触しない位置まで該記録材を搬送させてから停止させる。
このようにすれば、搬送異常が発生した時点で用紙がニップ領域で定着ベルトに接触していても、定着ベルト上のニップ領域と剥離位置の間で用紙が停止するので、用紙を無駄にせず、かつ装置本体へのダメージを防ぐことが可能となる。
また、本発明の画像形成装置は、より好適な態様として、前記ニップ領域と前記剥離位置との間隔が前記記録材の搬送方向に沿った辺長よりも長く構成されており、前記記録材が前記ニップ領域で前記定着ベルトに接触していることを検知するためのパスセンサと、前記記録材が前記剥離位置で前記定着ベルトに接触していることを検知するためのアウトレットセンサとを備え、前記搬送制御手段は、前記搬送異常検知手段によって前記搬送異常が発生したことが検知され、かつ、該搬送異常時に前記パスセンサまたは前記アウトレットセンサの検知結果に基づいて前記記録材が前記剥離位置で前記定着ベルトに接触していると判断されると、前記定着ベルトを逆方向に回転させ、前記パスセンサまたは前記アウトレットセンサの検知結果を用いて、該記録材が前記剥離位置及び前記ニップ領域のいずれにおいても前記定着ベルトに接触しない位置まで該記録材を搬送させてから停止させる。
このようにすれば、搬送異常が発生した時点で用紙が剥離位置で定着ベルトに接触していても、定着ベルトが逆方向に回転して、定着ベルト上のニップ領域と剥離位置の間で用紙が停止するので、用紙を無駄にせず、かつ装置本体へのダメージを防ぐことが可能となる。
また、本発明の画像形成装置は、より好適な態様として、前記記録材が前記ニップ領域で前記定着ベルトに接触していることを検知するためのインレットセンサと、前記記録材が前記剥離位置で前記定着ベルトに接触していることを検知するためのパスセンサとを備え、前記搬送制御手段は、前記搬送異常検知手段によって前記搬送異常が発生したことが検知され、かつ、該搬送異常時に前記インレットセンサまたは前記パスセンサの検知結果に基づいて、前記記録材が前記剥離位置で前記定着ベルトに接触せず、かつ、前記記録材が前記ニップ領域で前記定着ベルトに接触していないと判断されると、該定着ベルトの回転移動を即座に停止させ、該記録材を前記状態のまま停止させる。
このようにすれば、搬送異常が発生した時点で定着ベルト上のニップ領域と剥離位置の間に用紙があっても、定着ベルトが即座に停止するので、用紙を無駄にせず、かつ装置本体へのダメージを防ぐことが可能となる。
また、本発明の画像形成装置は、より好適な態様として、前記搬送制御手段は、隣り合う記録材の搬送間隔が、前記ニップ領域と前記剥離位置との間隔から用いられる記録材の搬送方向の辺長を減算した差分よりも長くなるようなタイミングで前記記録材の搬送を制御する。
また、さらに好適な態様として、前記ニップ領域と前記剥離位置との間隔が前記記録材の搬送方向に沿った辺長よりも長く構成されており、前記記録材が前記ニップ領域で前記定着ベルトに接触していることを検知するためのインレットセンサと、前記記録材が前記ニップ領域と前記剥離位置との間の所定の位置を通過したことを検知するためのパスセンサと、前記記録材が前記剥離位置で前記定着ベルトに接触していることを検知するためのアウトレットセンサとを備え、前記搬送制御手段は、前記搬送異常検知手段によって前記搬送異常が発生したことが検知され、かつ、該搬送異常時に前記パスセンサまたは前記アウトレットセンサの検知結果に基づいて第1の記録材が前記剥離位置に接触していると判断され、かつ、該搬送異常時に前記インレットセンサまたは前記パスセンサの検知結果に基づいて第2の記録材が前記ニップ領域に接触していると判断されると、前記第1の記録材に前記剥離位置を通過させて該定着手段から排出させ、同時に、前記インレットセンサまたは前記パスセンサの検知結果を用いて、該記録材が前記剥離位置及び前記ニップ領域のいずれにおいても前記定着ベルトに接触しない位置まで該記録材を搬送させてから停止させる。
このようにすれば、複数の用紙が連続的に搬送されるような場合においても、搬送異常発生時にいずれの用紙もニップ領域或いは剥離位置で定着ベルトに接触したまま停止することがないので、用紙を無駄にせず、かつ装置本体へのダメージを防ぐことが可能となる。
また、本発明の画像形成装置は、より好適な態様として、前記搬送制御手段は、前記定着手段が設けられている位置から見て前記記録材の搬送方向上流側で搬送異常が発生した場合には、該定着手段に進入している記録材をその位置に関わらず該定着手段から搬出させる。
搬送異常の発生が定着手段よりも上流側であれば、定着手段内部に用紙を留まらせる必要がない。よって、このような場合には、用紙を停止させずに排出すればよい。
(1)構成
図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の構成を示した図である。同図に示されているように、画像形成装置100は、画像形成部1と、給紙部2と、第1定着部3と、搬送切替部4と、第2定着部5と、裁断部6と、制御部7とを備える。
本実施形態の画像形成装置100は、通常の用紙(以下、これを「普通紙」と称す)を用いた一般的な電子写真方式による低光沢の画像と、用紙表面に熱可塑性の樹脂層が設けられた用紙を用いた高光沢の高品質画像の2種類の画像の形成を行うことが可能な画像形成装置である。以下においては、このような画像形成を実現する具体的構成について詳説する。
画像形成部1は、図中の矢印a方向に回転しながら、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)各色のトナー像が形成される感光体10Y,10M,10C,10Kと、その感光体10Y,10M,10C,10Kを均一に帯電させる帯電器11Y,11M,11C,11Kと、YMCK各色の画像データに基いて変調された露光光を、帯電した感光体10Y,10M,10C,10Kに照射することによりYMCK各色の静電潜像を形成する露光器12Y,12M,12C,12Kと、感光体10Y,10M,10C,10Kに形成された静電潜像をトナーによって現像することで感光体10Y,10M,10C,10Kにトナー像を形成する現像器13Y,13M,13C,13Kと、現像器13Y,13M,13C,13Kに各色のトナーを供給するトナーボックス14Y,14M,14C,14Kとを備えている。
また、画像形成部1は、バックアップロール18や駆動ロール19に張架され、感光体10Y,10M,10C,10Kと接触しながら図中の矢印b方向に循環移動する中間転写ベルト15と、中間転写ベルト15を挟んで感光体10Y,10M,10C,10Kとニップ領域を形成し、このニップ領域において感光体10Y,10M,10C,10K周面のトナー像を中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16Y,16M,16C,16Kと、中間転写ベルト15を挟んでバックアップロール18とニップ領域を形成し、中間転写ベルト15上のトナー像を用紙に二次転写する二次転写ロール17とを備えている。
給紙部2は種々の用紙を複数の用紙トレイ20に収容しており、形成される画像に応じた用紙を供給する。用紙は複数の搬送ロール21により搬送され、二次転写ロール17とバックアップロール18とが形成するニップ領域においてトナー像が転写させられる。なお、本実施形態においては、給紙部2には普通紙を収容する用紙トレイ20Nとコート紙を収容する用紙トレイ20Cとがある。
図2はコート紙の構成を示した断面図である。同図に示されているように、コート紙の基材層L1の両面には、基材層L1への水分の浸透を防止するための吸水防止樹脂層L2が形成されており、さらに、プリント面にはトナーを埋め込ませるための受像樹脂層L3が形成されている。基材層L1としては、用紙に通常用いられる材料を任意に選択すればよいが、写真等の画像を高光沢に形成するには、白色度が高く、厚さが150〜250μm程度のものが好適である。吸水防止樹脂層L2は例えばポリエチレン等の熱可塑性樹脂であり、その厚さは5〜30μm程度が望ましい。受像樹脂層L3には、スチレン−(メタ)アクリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等の単独或いは混合したものを用いることが可能であるが、透明性及び機械的強度を考慮するとポリエステル樹脂を用いるのが望ましい。また、後述する第2定着部5の定着ベルト52での離型性を向上するために、受像樹脂層L3にパラフィン系のワックス等を離型剤として含ませてもよい。受像樹脂層L3が2μm以下になるとトナー像を埋め込んだ際に凹凸が発生して充分な平滑性が得られず、また受像樹脂層L3が20μm以上になると用紙を湾曲させた際にクラック(ひび割れ)が発生しやすくなるため、受像樹脂層L3の厚さは10μm前後が望ましい。
ここで図1に戻り、画像形成装置100の各部の説明を続ける。
第1定着部3は、内部に熱源を備えた定着ロール30と、この定着ロール30とともに用紙を狭持する加圧ベルト31と、加圧ベルト31を定着ロール30の方向へ押圧する加圧パッド32とを備え、画像形成部1によりトナー像を形成された用紙を定着ロール30と加圧ベルト31とが形成するニップ領域において加熱及び加圧することで、トナー像を用紙表面に定着させる。
搬送切替部4は、切替部材40と、搬送ロール41と、搬送ロール42とを備える。切替部材40は第1定着部3の上部に回動可能に設けられており、第1定着部3から排出された用紙の搬送方向を図中の経路A或いはBのいずれかに切り替える。経路Aに搬送された用紙は搬送ロール41によって排紙トレイT1へと排出され、経路Bに搬送された用紙は搬送ロール42によって第2定着部5へと搬送される。
第2定着部5は、用紙表面を高光沢にするために設けられている。すなわち、第2定着部5には写真等の画像のトナー像が形成されたコート紙が搬送されてくる。以下においては、第2定着部5が用紙表面を高光沢にするための具体的構成について説明する。
図3は第2定着部5の構成を詳細に示した図である。同図に示されているように、第2定着部5は、定着ロール50と、加圧ロール51と、定着ベルト52と、冷却器53と、剥離ロール54と、ステアリングロール55と、誘導部材56と、搬送ロール57と、インレットセンサSiと、パスセンサSpと、アウトレットセンサSoとを備える。なお、以下においては、用紙の「長さ」とは図中のlであるとし、この長さlに直交する方向が「幅」であるとする。
定着ロール50は、熱伝導性の高い金属製のコア501の周囲にPFA(四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂)等のフッ素樹脂がコーティングされた離型層502を有する部材である。また、コア501の内部にはハロゲンランプ等の熱源500が備わっており、定着ロール50の表面が所定の温度となるように加熱されることにより、搬送されてくる用紙表面(プリント面)をニップ領域Nにおいて加熱する。また、定着ロール50は、図示せぬ駆動装置によりその中心を軸として図中の矢印r方向に回転される。
加圧ロール51は、熱伝導性の高い金属製のコア511の周囲にゴム硬度(JIS−A)40°程度のシリコーンゴム等からなる弾性体層512が被覆されており、その表面には定着ロール50と同様の離型層513がチュービングされている。また、コア511の内部にはハロゲンランプ等の熱源510が備わっており、加圧ロール51の表面が所定の温度となるように加熱されることにより、搬送されてくる用紙をニップ領域Nにおいて裏面から加熱するとともに定着ロール50の方向へ所定の圧力で押圧する。
定着ベルト52は例えば熱硬化型ポリイミド製の無端状フィルムの表面(用紙と接する面)にフッ素ゴムやシリコーンゴム等による被覆層が形成された部材であり、定着ロール50,剥離ロール54,ステアリングロール55に張架され、回転する定着ロール50に従動して図中の矢印r方向に移動される(以下、この移動方向を「順方向」と称す)。ニップ領域Nにおいて加熱された用紙上では、トナー及び受像樹脂層L3が溶融状態にあり、この状態で定着ベルト52と密着することにより用紙表面が平滑に仕上げられる。
冷却器53は、定着ロール50と剥離ロール54との間の定着ベルト52の内周面に接して定着ベルト52の熱を吸収することにより、ニップ領域Nにおいて加熱された用紙を冷却させる。冷却器53の冷却温度は用いられるトナーや用紙の種類に応じて異なるが、用紙表面がおよそ60〜80℃となるように冷却することが望ましい。このように用紙を冷却することで、用紙表面のトナー及び受像樹脂層L3は平滑性を維持したまま固化し、用紙は定着ベルト52から容易に剥離できるようになる。
ステアリングロール55は、定着ベルト52を連続的に回転移動させたときに生じる偏り(定着ベルト52がステアリングロール55のいずれかの端部の方向へ移動する現象)を修正するために設けられている。ステアリングロール55は、その中心軸の一端が固定され(以下、こちらを「固定端」と称す)、他端が定着ロールに対して図中の矢印S1・S2方向に移動可能となっており(以下、こちらを「移動端」と称す)、例えば定着ベルト52が徐々に固定端側へと偏っていく場合には、移動端が矢印S1方向に移動することでこの偏りを修正し、逆に定着ベルト52が徐々に移動端側へと偏っていく場合には、移動端が矢印S2方向に移動することでこの偏りを修正するようになっている。
剥離ロール54は定着ベルト52の移動に従動して回転する。剥離ロール54が定着ベルト52を巻き付けながら張架することで定着ベルト52の移動方向を変化させることにより、用紙は剥離位置Eにおいて用紙自体の剛性によって自然に剥離される。剥離ロール54の外径や定着ベルト52との巻き付け角度θは、用紙の剛性や用紙と定着ベルト52との付着力に応じて決定される。なお、ニップ領域Nと剥離位置Eとの間隔をDとする。
誘導部材56は、剥離位置Eにおいて剥離した用紙を搬送ロール57へと誘導する。搬送ロール57は搬送されてきた用紙を裁断部6へと搬送する。
インレットセンサSi,パスセンサSp,及びアウトレットセンサSoはともに、例えば図示せぬ発光素子と受光素子とを備えたセンサであり、用紙表面と定着ベルト52表面の反射率の差異に基づいて用紙の通過を光学的に検知し、制御部7にその結果を通知する。インレットセンサSiはニップ領域Nよりも上流の所定の位置に設けられており、用紙がニップ領域Nで定着ベルト52に接触しているか否かを検知する。パスセンサSpはニップ領域Nと剥離位置Eとの間の所定の位置に設けられており、用紙の通過を検知する。アウトレットセンサSoは剥離位置Eよりも下流の所定の位置に設けられており、用紙が剥離位置Eで定着ベルト52に接触しているか否かを検知する。なお、ここで上流・下流とは、用紙の順方向の搬送方向に対して定義されており、「上流」とは用紙が搬送されてくる方向であり、「下流」とは用紙が搬送されていく方向である。
また、以下においては、インレットセンサSiが用紙を検出する位置とニップ領域Nとの間の用紙搬送経路の距離をLi,パスセンサSpが用紙を検出する位置と剥離位置Eとの間の用紙搬送経路の距離をLp,剥離位置EとアウトレットセンサSoが用紙を検出する位置との間の用紙搬送経路の距離をLoとし、これらの値は制御部7において記憶されているものとする。
また、説明の便宜上、以下においてはインレットセンサSi,パスセンサSp,及びアウトレットセンサSoが用紙を検知していない場合をセンサの応答が「OFF」であるとし、用紙を検知している場合をセンサの応答が「ON」であるとする。
ここで、インレットセンサSi,パスセンサSp,及びアウトレットセンサSoによって用紙の位置を判定する方法について説明する。本実施形態においては、定着ベルト52が順方向に移動する場合と順方向とは逆の方向(以下、この移動方向を「逆方向」と称す)に移動する場合とがあり、それぞれの場合において用紙位置の判定方法は異なる。そこで、以下ではそれぞれの場合の判定方法について説明する。
図4は、用紙が順方向の速度vでインレットセンサSiからアウトレットセンサSoの方向へ搬送された場合に、インレットセンサSi及びパスセンサSpが用紙を検知するタイミングをt軸(時間軸)上に示した図である。同図において、TionはインレットセンサSiの応答がOFFからONに切り替わった時間、すなわち用紙の搬送方向に対する先端を検知した時間であり、TioffはインレットセンサSiの応答がONからOFFに切り替わった時間、すなわち用紙の搬送方向に対する終端を検知した時間を示している。TponはパスセンサSpの応答がOFFからONに切り替わった時間、すなわち用紙の搬送方向に対する先端を検知した時間を示しており、TpoffはパスセンサSpの応答がONからOFFに切り替わった時間、すなわち用紙の搬送方向に対する終端を検知した時間を示している。また、t1はLi/vで表される値であり、これはインレットセンサSiが用紙の先端(または終端)を検知してから、その先端(または終端)がニップ領域Nに到達するまでの時間を示しており、同様に、t2はLp/vで表される値であり、これはパスセンサSpが用紙の先端(または終端)を検知してから、その先端(または終端)が剥離位置Eに到達するまでの時間を示している。
同図に示されたようにインレットセンサSiまたはパスセンサSpが用紙を検知すると、時間「Tion+t1」から時間「Tioff+t1」までの間は用紙がニップ領域Nに接触しており、時間「Tpon+t2」から時間「Tpoff+t2」までの間は用紙が剥離位置Eに接触している状態であると判断される。よって、時間「Tioff+t1」から時間「Tpon+t2」までの間は、用紙はニップ領域Nと剥離位置Eのいずれにも接触していない状態であると判断される。制御部7はインレットセンサSi及びパスセンサSpからの通知により時間Tion,Tioff,Tpon,及びTpoffを特定することが可能であり、Li,Lp,及びvの値をあらかじめ記憶しているので、制御部7はインレットセンサSi及びパスセンサSpによる用紙の検知結果を用いて、用紙がニップ領域Nに接触しているか、剥離位置Eに接触しているか、或いはニップ領域Nにも剥離位置Eにも接触していないのかを判断することが可能となっている。
図5は、用紙が逆方向の速度v’でアウトレットセンサSoからインレットセンサSiの方向へ搬送された場合に、パスセンサSp及びアウトレットセンサSoが用紙を検知するタイミングをt軸(時間軸)上に示した図である。同図において、TooffはアウトレットセンサSoの応答がONからOFFに切り替わった時間、すなわち用紙の搬送方向に対する終端を検知した時間を示している。また、Tp’onはパスセンサSpの応答がOFFからONに切り替わった時間、すなわち用紙の搬送方向に対する先端を検知した時間を示しており、Tp’offはパスセンサSpの応答がONからOFFに切り替わった時間、すなわち用紙の搬送方向に対する終端を検知した時間を示している。また、t3はLo/v’で表される値であり、これはアウトレットセンサSoが用紙の終端を検知してから、その終端が剥離位置Eに到達するまでの時間を示しており、同様に、t4は(D−Lp)/v’で表される値であり、これはパスセンサSpが用紙の先端(または終端)を検知してから、その先端(または終端)がニップ領域Nに到達するまでの時間を示している。
同図に示されたようにパスセンサSpまたはアウトレットセンサSoが用紙を検知すると、時間「Tooff+t3」までの間は用紙が剥離位置Eに接触しており、時間「Tpon+t4」から時間「Tpoff+t4」までの間は用紙がニップ領域Nに接触している状態であると判断される。よって、時間「Tooff+t3」から時間「Tpon+t4」までの間は、用紙はニップ領域Nと剥離位置Eのいずれにも接触していない状態であると判断される。制御部7はパスセンサSp及びアウトレットセンサSoからの通知により時間Tooff,Tpon,及びTpoffを特定することが可能であり、Lp,Lo,D,及びv’の値をあらかじめ記憶しているので、制御部7はパスセンサSp及びアウトレットセンサSoによる用紙の検知結果を用いて、用紙がニップ領域Nに接触しているか、剥離位置Eに接触しているか、或いはニップ領域Nにも剥離位置Eにも接触していないのかを判断することが可能となっている。
このようにして用紙の位置を判定することができるから、第2定着部5内部ではニップ領域Nにも剥離位置Eにも接触しない状態で用紙を停止させることができるようになっている。
ただし、ニップ領域Nと剥離位置Eとの間隔Dが用紙の長さlよりも短いと、例えば第2定着部5内部に用紙が存在する状態でジャムが発生し、用紙の搬送を停止させる必要があるような場合に、用紙がニップ領域N或いは剥離位置Eのいずれかに接触している状態で停止させざるを得なくなる。このような状態で用紙が停止すると、定着ベルト52へのトナーのオフセットや、用紙上の線状欠陥といった問題が発生してしまう。
そこで、本実施形態の第2定着部5は、ニップ領域Nと剥離位置Eとの間隔Dが用紙の長さlよりも長くなるように構成されている。このような構成を採ることにより、用紙を図3に示されたような状態、すなわちニップ領域Nにも剥離位置Eにも接触しない状態で停止させることが可能となる。
ここで図1に戻り、画像形成装置100の各部の説明を続ける。
裁断部6は、用紙の4辺を裁断し、縁なしの画像を得るために設けられている。一般に、電子写真方式の画像形成装置においては用紙の全面に画像を形成することは困難であり、その4辺には多少の余白が生じるが、例えば一般的なL判サイズの写真等では縁なしの画像が好まれている。そのため、本実施形態の画像形成装置100は、余白部分を裁断部6で裁断することにより、縁なしの画像を得ることを可能にしている。以下では、裁断部6が用紙の4辺を裁断する具体的構成を説明する。
裁断部6は、ローリングカッター60と、ギロチンカッター61と、複数の搬送ロール62と、切り屑スペース63とを備える。ローリングカッター60は回転する円盤状のカッターであり、搬送ロール62により搬送されてくる用紙を搬送方向に対して平行に裁断する。また、図6は裁断部6を上部から見た場合の図であるが、同図に示されているように、ローリングカッター60は所定の距離を隔てた2ヶ所に設けられており、用紙の両端を同時に裁断する。ギロチンカッター61は用紙の搬送方向に対して垂直に延在する2枚の板状のカッターであり、これらのカッターが搬送ロール62により搬送されてくる用紙を挟みこむようにして裁断する。このようにして裁断された用紙が搬送ロール62によって排紙トレイT2に排出される一方、用紙が裁断されることによって生じる切り屑は切り屑スペース63に収容される。
なお、画像形成装置100において、用いられる用紙のサイズ、及び裁断後の用紙のサイズは特に限定されるものではないが、本実施形態においては、高光沢の縁なし画像を得る場合には、ハガキサイズ(100mm×148mm)の用紙の4辺を裁断し、L判サイズ(89×127mm)にて出力するものとする。また、このハガキサイズの用紙は、長辺の方向が第2定着部5における用紙の搬送方向と一致するようにして搬送されるものとする。
また、本実施形態の画像形成装置100は、裁断部6内部にジャム(用紙の搬送異常)を検知するためのジャムセンサSjを備えている。ジャムセンサSjは例えば発光素子と受光素子とタイマとを備えており、発光素子が照射した光の反射光を受光素子が受光することによって、用紙の通過を光学的に検知する。ジャムの判定方法としては、例えば、用紙のサイズや搬送速度に応じた所定の時間を経過してもジャムセンサSjが用紙を検知し続けている場合や、或いは、所定の時間を経過しても次に搬送されるべき用紙が検知されない場合が挙げられ、このような場合にジャムセンサSjはジャムが発生していると判定してこの判定結果を制御部7へと通知することにより、制御部7はジャムが発生していると判断する。
なお、上述の説明からわかるように、制御部7がジャムセンサSjからの通知に基づき、ジャムが発生していると判断するタイミングと、実際に裁断部6においてジャムが発生したタイミングとは必ずしも一致するものではない。しかし、以下においては、説明が煩雑になることを避けるため、「ジャム発生時」や「ジャムが発生した場合」というのは、この「制御部7がジャムセンサSjからの通知に基づき、ジャムが発生していると判断するタイミング」のことを意味しているものとする。
また、特に図示しないが、画像形成装置100内部にはジャムセンサSjと同様のジャムセンサが裁断部6以外の各部にも備わっており、これらのジャムセンサは、該当する各部でジャムが発生していると判定すると、この判定結果を制御部7へと通知する。
制御部7はCPU(Central Processing Unit)やメモリ、タイマ等を備えており、画像形成装置100の各部の動作を制御する。具体的には、画像形成部1における各色のトナー像形成の制御や、給紙部2における用紙の選択や搬送タイミングの制御、或いは第1定着部3や第2定着部5での定着温度制御等である。なお、制御部7のメモリには、上述したLi,Lp,及びLo等の値や、用紙の搬送速度v,v’やニップ領域Nと剥離位置Eの間隔D等が記憶されている。
また、制御部7は上述のインレットセンサSi,パスセンサSp,アウトレットセンサSo,及びジャムセンサSjにより通知された各種の情報に基づき、用紙の搬送を制御する。
以上説明された構成により、画像形成装置100は給紙部2より供給された用紙上にトナー像を形成する。画像形成装置100は、一般的な低光沢の画像を形成する場合には、給紙部2において普通紙を収容する用紙トレイ20Nから用紙(普通紙)を供給し、この用紙上にトナー像を形成したあと、第1定着部3においてトナー像を定着させ、搬送切替部4において用紙の搬送方向を経路Aへと切り替え、画像が形成された用紙を排紙トレイT1へと排出する。一方、画像形成装置100が高光沢の画像を形成する場合には、給紙部2においてコート紙を収容する用紙トレイ20Cから用紙(コート紙)を供給し、この用紙上にトナー像を形成したあと、第1定着部3においてトナー像を定着させ、搬送切替部4において用紙の搬送方向を経路Bへと切り替え、第2定着部5において用紙のプリント面を高光沢にする処理を行った後、裁断部6において余白部を裁断し、縁なしの高光沢画像が形成されたL判サイズの用紙を排紙トレイT2へと排出する。
また、画像形成装置100は、高光沢の画像を形成している際に裁断部6でジャムが発生したことを検知すると、第2定着部5のニップ領域N及び剥離位置Eに用紙が停止しないように用紙の搬送を制御する。その具体的な制御方法については、以下の動作例において詳説する。
(2)動作例
図7は本実施形態の画像形成装置100において、画像形成時にジャムが発生した場合の対応処理を示したフローチャートである。本実施形態においては、主に第2定着部5よりも下流側、例えば裁断部6でジャムが発生した場合の第2定着部5における用紙搬送制御に特徴がある。その制御とは、端的に説明すれば、「ジャム発生時に、第2定着部5のニップ領域N及び剥離位置Eに用紙を停止させない」制御である。
なお、この用紙搬送制御方法は、ジャム発生時の第2定着部5における用紙位置等に応じて種々の方法があるため、以下においては、図7のフローチャートに沿って説明しながら、それぞれの方法について個別の動作例として説明する。
(2−1)動作例1
本動作例は、ジャムの発生した時点で、図8に示されているように用紙P1がニップ領域Nに接触している状態である場合に行われる用紙搬送制御の例である。このとき用紙は、それぞれが充分な間隔を有して連続的に搬送されているものとする。
画像形成装置100が画像形成を行っている間(ステップS01)、画像形成装置100の各部に備わるジャムセンサは、ジャムの発生の有無を常時判定している(ステップS02)。そして、ジャムが発生していない場合には(ステップS02;NO)、すべての画像形成ジョブが終了するまで画像形成を繰り返し(ステップS15;NO→ステップS01)、すべての画像形成ジョブが終了した時点で(ステップS15;YES)本処理を終了させる。
一方、ジャムセンサがジャムの発生を判定し(ステップS02;YES)、特に、ジャムの発生箇所が裁断部6である、すなわちジャムの発生を判定したのがジャムセンサSjである場合には(ステップS03;YES)、続いて制御部7は、第2定着部5内部のニップ領域Nにおける用紙の有無を判断する(ステップS04)。
このとき、インレットセンサSiによる用紙P1の検知結果によって、用紙P1が第2定着部5のニップ領域Nに接触していると判断されると(ステップS04;YES)、制御部7は定着ベルト52をすぐには停止させず、用紙P1を順方向にある程度移動させて、ニップ領域N及び剥離位置Eに接触しない位置で用紙P1を停止させる(ステップS05)。具体的には、図4で説明した要領で用紙P1がニップ領域Nに接触していると判断された場合に、制御部7はインレットセンサSiの応答がONからOFFに切り替わってから時間t1が経過したタイミングから、パスセンサSpの応答がOFFからONに切り替わってから時間t2が経過するタイミングまでに用紙P1の搬送を停止させれば、用紙P1を図3のようにニップ領域Nと剥離位置Eのいずれにも接触しない状態にすることが可能となる。
このように用紙P1の搬送を停止させたら、続いて、制御部7はジャムの原因となっている用紙がユーザにより除去されたかどうかの判断を繰り返し(ステップS06)、用紙が除去されたら(ステップS06;YES)、復帰サイクルを実行して以降の画像形成に備えるとともに(ステップS07)、用紙搬送を再開してそれまで停止していた用紙をすべて排出させ(ステップS08)、引き続き画像形成を実行する(ステップS01)。
(2−2)動作例2
本動作例は、ジャムの発生した時点で、図9に示されているように用紙P1が剥離位置Eに接触している状態である場合に行われる用紙搬送制御の例である。以下、同図を参照しつつ説明する。なお、ステップS04までの動作については動作例1と同様であるため、ここではその説明を省略する。なお、用紙P1が図9に示されているような状態であるか否かの判断は、パスセンサSp或いはアウトレットセンサSoによってなされる。
ステップS04の判断において、本動作例では用紙P1が剥離位置Eに接触している状態であるから、この判断は否定的となる。続いて制御部7は、第2定着部5内部の剥離位置Eにおける用紙の有無を判断する(ステップS09)。このとき、用紙P1が第2定着部5の剥離位置Eに接触していると判断されると(ステップS09;YES)、制御部7は定着ベルト52がそれまでの順方向とは異なる逆方向に移動するように定着ロール50を逆回転させ、用紙P1をある程度移動させてニップ領域N及び剥離位置Eに接触しない位置で用紙P1を停止させる(ステップS10)。具体的には、図5で説明した要領で用紙P1が剥離位置Eに接触していると判断された場合に、制御部7はアウトレットセンサSoの応答がONからOFFに切り替わってから時間t3が経過したタイミングから、パスセンサSpの応答がOFFからONに切り替わってから時間t4が経過するタイミングまでに用紙P1の搬送を停止させれば、用紙P1を図3のようにニップ領域Nと剥離位置Eのいずれにも接触しない状態にすることが可能となる。
このように用紙P1の搬送を停止させたら、続いて、制御部7はジャムの原因となっている用紙がユーザにより除去されたかどうかの判断を繰り返し(ステップS06)、用紙が除去されたと判断されると(ステップS06;YES)、復帰サイクルを実行して以降の画像形成に備えるとともに(ステップS07)、用紙搬送を再開してそれまで停止していた用紙をすべて排出させ(ステップS08)、引き続き画像形成を実行する(ステップS01)。
(2−3)動作例3
本動作例は、ジャムの発生した時点で、図10に示されているように用紙P1がニップ領域Nにも剥離位置Eにも接触していない状態である場合に行われる用紙搬送制御の例である。ここで、図7のフローチャートに従えば、ステップS09までは動作例2の動作と同様であるから、説明を省略する。なお、用紙P1が図10に示されているような状態であるか否かの判断は、インレットセンサSi或いはパスセンサSpによってなされる。
ステップS09の判断において、本動作例では用紙P1が剥離位置Eに接触していない状態であるから、この判断は否定的となる。これは、図4の説明を例とすると、インレットセンサSiが用紙P1の終端を検知してから時間t1が経過してから、パスセンサSpが用紙P1の先端を検知してから時間t2が経過するまでの間に、裁断部6においてジャムが発生した場合を示している。よって、このとき制御部7は、第2定着部5の定着ベルト52の移動を即座に停止させることで、用紙P1がニップ領域Nにも剥離位置Eにも接触していない状態を維持する(ステップS11)。
このように用紙P1の搬送を停止させたら、続いて、制御部7はジャムの原因となっている用紙がユーザにより除去されたかどうかの判断を繰り返し(ステップS06)、用紙が除去されたと判断されると(ステップS06;YES)、復帰サイクルを実行して以降の画像形成に備えるとともに(ステップS07)、用紙搬送を再開してそれまで停止していた用紙をすべて排出させ(ステップS08)、引き続き画像形成を実行する(ステップS01)。
(2−4)動作例4
上述の動作例1〜3では、1枚の用紙のみに着目した用紙搬送制御について説明した。これはつまり、着目した用紙とジャムの原因紙との間には充分な間隔が設けられており、かつ、着目した用紙よりも上流には用紙が存在しないか、或いは無視できる程度に充分な間隔設けられて用紙が搬送されている状況を想定している。しかし、実際の画像形成においては、複数枚の画像を連続的に、かつ高速に形成している場合もある。このような場合においてジャムが発生したときには、着目した用紙の前後に搬送されている用紙の位置についても考慮する必要がある。例えば、図11のように用紙が連続している場合にジャムが発生したとすると、上述した動作例の用紙搬送制御だけでは問題を解決することができず、いずれかの用紙がニップ領域N或いは剥離位置Eに接触した状態で用紙搬送が停止してしまうことになる。
そこで、本動作例においては、隣り合う用紙の搬送間隔をDp,ニップ領域Nと剥離位置Eとの間隔をD,用紙の長さをlとしたときに、制御部7が以下の数1の関係を満たすように用紙搬送を制御することとした。
(数1)
p>D−l
制御部7がこのような搬送間隔Dpで用紙を搬送すると、ニップ領域Nと剥離位置Eとの間に同時に存在する用紙が2枚以下となる。この結果、複数枚の画像を連続的に、かつ高速に形成している場合においても、上述した動作例1〜3のいずれかに示された用紙搬送制御を応用することで、ニップ領域N或いは剥離位置Eに用紙が停止しないようにすることが可能となる。
ここで一例として、用紙が図12に示されたような位置にあるときに裁断部6でジャムが発生した場合の用紙搬送制御について説明する。
図12のように、第2定着部5内部に2枚の用紙P1及びP2が存在する場合、定着ベルト52を逆方向に移動させて、用紙P1をニップ領域Nと剥離位置Eの間に停止させようとすれば、用紙P2は第2定着部5から逆方向に排出されてしまい、第2定着部5よりも上流側においてもジャムを引き起こしかねない。そのため、制御部7は、定着ベルト52を順方向に移動させて、用紙P2をニップ領域Nと剥離位置Eの間に停止させ(具体的な動作は動作例1と同様であるため、説明を省略する)、用紙P1を裁断部6へと順方向に排出する。排出された用紙P1は、裁断部6におけるジャムの原因紙とともにユーザが取り出せばよい。
このようにすれば、ジャムによる紙詰まり等の影響を最小限に止め、かつ、第2定着部5にオフセット等によるダメージを与えることを防ぐことが可能となる。
(2−5)動作例5
上述の動作例1〜4では、裁断部6、すなわち第2定着部5よりも下流側においてジャムが発生した場合の用紙搬送制御について説明した。本動作例では、第2定着部5よりも上流側、例えば画像形成部1や第1定着部3,或いは搬送切替部4等においてジャムが発生した場合の用紙搬送制御について、図7のフローチャートに沿って説明する。
画像形成装置100が画像形成を行っている間(ステップS01)、画像形成装置100の各部に備わるジャムセンサは、ジャムの発生の有無を常時判定している(ステップS02)。そして、ジャムセンサがジャムの発生を判定し(ステップS02;YES)、そのジャムの発生箇所が裁断部6以外の場所である場合には(ステップS03;NO)、裁断部6に搬送異常がないために用紙を第2定着部5に停止させる必要がないから、制御部7はジャムの発生箇所よりも上流にある用紙の搬送を直ちに停止させ、同時に、ジャムの発生箇所よりも下流にある用紙については、通常の画像形成処理を実行してこれらを排紙トレイT1或いはT2にすべて排出させる(ステップS12)。その後制御部7は、ジャムの原因となっている用紙がユーザにより除去されたかどうかの判断を繰り返し(ステップS13)、用紙が除去されたら(ステップS13;YES)、復帰サイクルを実行して以降の画像形成に備えるとともに(ステップS14)、用紙搬送を再開してそれまで停止していた用紙をすべて排出させ(ステップS08)、引き続き画像形成を実行する(ステップS01)。
以上に説明されたように、本実施形態の画像形成装置100によれば、第2定着部5のニップ領域或いは剥離位置において用紙が停止することを防止できるので、ジャム発生時においても装置本体へのダメージをなくし、その結果クリーニングにより用紙や時間を無駄にすることも防止することが可能となる。
(3)変形例
なお、本発明の実施は上述した実施形態に限定されず、以下に示されるような種々の変形が可能である。
まず、本発明の適用は、図1のようないわゆるタンデム方式の画像形成装置100に限定されるものではなく、いわゆるサイクル方式の画像形成装置であってもよい。また、同じタンデム方式の画像形成装置においても、必ずしも画像形成装置100のように中間転写ベルト15を備えた構成である必要もなく、中間転写ベルト15に代えて用紙搬送ベルトを備えた構成であってもよい。そしてもちろん、使用するトナーについてもYMCKの4色に限定されるものではなく、モノクロであってもよいし、使用する色数を増減させることも可能である。
また、上述の実施形態においては、画像形成装置100は低光沢画像と高光沢画像の2種類の画像形成を行うことが可能であるとしたが、高光沢画像専用の画像形成装置に対して本発明を適用することももちろん可能である。
また、上述の実施形態においては、インレットセンサSi,パスセンサSp,アウトレットセンサSo,及びジャムセンサSjはいずれも光学式のセンサであるとしたが、このようなセンサに限定されるものではなく、例えば用紙との接触の有無を判定することで用紙の存在を物理的に検知するようなセンサであってもよい。
本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成を示した図である。 同実施形態におけるコート紙の構成を示した断面図である。 同実施形態における第2定着部の構成を詳細に示した図である。 同実施形態において、順方向に搬送される用紙をインレットセンサ及びパスセンサが検知するタイミングを時間軸上に示した図である。 同実施形態において、逆方向に搬送される用紙をパスセンサ及びアウトレットセンサが検知するタイミングを時間軸上に示した図である。 同実施形態における裁断部6を上部から見た場合の図である。 同実施形態の画像形成装置において、画像形成時にジャムが発生した場合の対応処理を示したフローチャートである。 同実施形態の動作例1を説明するために、第2定着部における用紙の位置を示した図である。 同実施形態の動作例2を説明するために、第2定着部における用紙の位置を示した図である。 同実施形態の動作例3を説明するために、第2定着部における用紙の位置を示した図である。 同実施形態の動作例4を説明するために、第2定着部における用紙の位置を示した図である。 同実施形態の動作例4を説明するために、第2定着部における用紙の位置を示した図である。
符号の説明
100…画像形成装置、1…画像形成部、10Y,10M,10C,10K…感光体、11Y,11M,11C,11K…帯電器、12Y,12M,12C,12K…露光器、13Y,13M,13C,13K…現像器、14Y,14M,14C,14K…トナーボックス、15…中間転写ベルト、16Y,16M,16C,16K…1次転写ロール、17…2次転写ロール、18…バックアップロール、19…駆動ロール、2…給紙部、20,20N,20C…用紙トレイ、21…用紙搬送ロール、3…第1定着部、30…定着ロール、31…加圧ベルト、32…加圧パッド、4…搬送切替部、40…切替部材、41…搬送ロール、42…搬送ロール、5…第2定着部、50…定着ロール、51…加圧ロール、52…定着ベルト、53…冷却器、54…剥離ロール、55…ステアリングロール、56…誘導部材、57…搬送ロール、Si…インレットセンサ、Sp…パスセンサ、So…アウトプットセンサ、6…裁断部、60…ローリングカッター、61…ギロチンカッター、62…搬送ロール、63…切り屑スペース、Sj…ジャムセンサ、7…制御部。

Claims (7)

  1. 記録材の像担持面にトナー像を形成する画像形成手段と、
    周回移動する無端状の定着ベルトと、当該定着ベルトの内周面に沿うように設けられた定着部材と、当該定着部材と前記定着ベルトを挟んで対向する位置に設けられ前記定着部材側に押し付けられることによって前記定着ベルトとの間にニップ領域を形成する加圧部材とを有し、前記記録材の像担持面が前記ニップ領域において前記定着ベルトの外周面に押し付けられた状態で当該記録材を加熱し、加熱後の記録材を前記定着ベルトで搬送しながら或る剥離位置で前記定着ベルト外周面から剥離させる定着手段と、
    前記定着手段が設けられている位置から見て前記記録材の搬送方向下流側で当該記録材の搬送異常が発生したか否かを検知する搬送異常検知手段と、
    前記搬送異常検知手段によって搬送異常が発生したことが検知されると、前記記録材が前記ニップ領域或いは前記剥離位置で前記定着ベルトに接触しない位置に該記録材を搬送させて停止させる搬送制御手段と
    を備えた画像形成装置。
  2. 前記ニップ領域と前記剥離位置との間隔が前記記録材の搬送方向に沿った辺長よりも長く構成されており、
    前記記録材が前記ニップ領域で前記定着ベルトに接触していることを検知するためのインレットセンサと、
    前記記録材が前記剥離位置で前記定着ベルトに接触していることを検知するためのパスセンサとを備え、
    前記搬送制御手段は、前記搬送異常検知手段によって前記搬送異常が発生したことが検知され、かつ、該搬送異常時に前記インレットセンサの検知結果に基づいて前記記録材が前記ニップ領域で前記定着ベルトに接触していると判断されると、前記インレットセンサと前記パスセンサの検知結果を用いて、該記録材が前記剥離位置及び前記ニップ領域のいずれにおいても前記定着ベルトに接触しない位置まで該記録材を搬送させてから停止させる
    請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記ニップ領域と前記剥離位置との間隔が前記記録材の搬送方向に沿った辺長よりも長く構成されており、
    前記記録材が前記ニップ領域で前記定着ベルトに接触していることを検知するためのパスセンサと、
    前記記録材が前記剥離位置で前記定着ベルトに接触していることを検知するためのアウトレットセンサとを備え、
    前記搬送制御手段は、前記搬送異常検知手段によって前記搬送異常が発生したことが検知され、かつ、該搬送異常時に前記パスセンサまたは前記アウトレットセンサの検知結果に基づいて前記記録材が前記剥離位置で前記定着ベルトに接触していると判断されると、前記定着ベルトを逆方向に回転させ、前記パスセンサまたは前記アウトレットセンサの検知結果を用いて、該記録材が前記剥離位置及び前記ニップ領域のいずれにおいても前記定着ベルトに接触しない位置まで該記録材を搬送させてから停止させる
    請求項1記載の画像形成装置。
  4. 前記記録材が前記ニップ領域で前記定着ベルトに接触していることを検知するためのインレットセンサと、
    前記記録材が前記剥離位置で前記定着ベルトに接触していることを検知するためのパスセンサとを備え、
    前記搬送制御手段は、前記搬送異常検知手段によって前記搬送異常が発生したことが検知され、かつ、該搬送異常時に前記インレットセンサまたは前記パスセンサの検知結果に基づいて、前記記録材が前記剥離位置で前記定着ベルトに接触せず、かつ、前記記録材が前記ニップ領域で前記定着ベルトに接触していないと判断されると、該定着ベルトの回転移動を即座に停止させ、該記録材を前記状態のまま停止させる
    請求項1記載の画像形成装置。
  5. 前記搬送制御手段は、隣り合う記録材の搬送間隔が、前記ニップ領域と前記剥離位置との間隔から用いられる記録材の搬送方向の辺長を減算した差分よりも長くなるようなタイミングで前記記録材の搬送を制御する
    請求項2ないし4記載の画像形成装置。
  6. 前記ニップ領域と前記剥離位置との間隔が前記記録材の搬送方向に沿った辺長よりも長く構成されており、
    前記記録材が前記ニップ領域で前記定着ベルトに接触していることを検知するためのインレットセンサと、
    前記記録材が前記ニップ領域と前記剥離位置との間の所定の位置を通過したことを検知するためのパスセンサと、
    前記記録材が前記剥離位置で前記定着ベルトに接触していることを検知するためのアウトレットセンサとを備え、
    前記搬送制御手段は、前記搬送異常検知手段によって前記搬送異常が発生したことが検知され、かつ、該搬送異常時に前記パスセンサまたは前記アウトレットセンサの検知結果に基づいて第1の記録材が前記剥離位置に接触していると判断され、かつ、該搬送異常時に前記インレットセンサまたは前記パスセンサの検知結果に基づいて第2の記録材が前記ニップ領域に接触していると判断されると、前記第1の記録材に前記剥離位置を通過させて該定着手段から排出させ、同時に、前記インレットセンサまたは前記パスセンサの検知結果を用いて、該第2の記録材が前記剥離位置及び前記ニップ領域のいずれにおいても前記定着ベルトに接触しない位置まで該第2の記録材を搬送させてから停止させる
    請求項5記載の画像形成装置。
  7. 前記搬送制御手段は、
    前記定着手段が設けられている位置から見て前記記録材の搬送方向上流側で搬送異常が発生した場合には、該定着手段に進入している記録材をその位置に関わらず該定着手段から搬出させる
    請求項1ないし6記載の画像形成装置。
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