JP2005233869A - 微細構造検査装置及び微細構造検査方法 - Google Patents

微細構造検査装置及び微細構造検査方法 Download PDF

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Abstract

【目的】 検査対象の物体の微細な構造を短時間で検査することを可能とする。
【構成】 検査対象のフォトマスク7を検査領域の全面に亘り略均一な光量でフォトマスク7による回折光が発生するように照明系20により照明し、上記回折光のうち所定の次数以上の高次回折光を選択的に入射させる位置に対物レンズを備える結像光学系8を配置し、その対物レンズによるフォトマスク7の像の光強度分布をCCDカメラ4によって検出し、その検出結果を画像処理装置3によって解析してフォトマスク7の微細構造に関する情報を取得する。このとき、照明系20による照明を、斜光照明により行うようにするとよい。
【選択図】 図28

Description

この発明は、物体の微細な構造を検査する微細構造検査装置及び微細構造検査方法に関する。特に、半導体集積回路(IC)等の半導体装置を製造する際にフォトリソグラフィー処理の露光工程で多く用いられるフォトマスクにおける欠陥の検出に好適な微細構造検査装置及び微細構造検出方法に関する。
半導体集積回路はフォトリソグラフィー技術を用いて製造されているが、その性能の高度化や容量の大規模化に伴い、解決すべき問題が頻出している。フォトリソグラフィーは、まずフォトマスクと呼ばれる原版を写真術によって作成し、それを更に写真術を用いて大量に転写コピーする技術である。これは、一般の写真においてまずカメラでネガを作成し、引き伸ばし機によって大量の印画紙へのコピーを作成する過程に似ている。従って、フォトマスクに瑕疵があると欠陥品が生産されることになるので、フォトマスクに瑕疵があってはならない。
この瑕疵にはいろいろなものが存在し得る。例えばフォトマスクに、転写され得るような傷やゴミが在ってはならないことは勿論である。
そして、最も重要な瑕疵のひとつがパターン寸法(CD:Critical Dimension)の変動である。最近では、転写された回路パターンの寸法は0.1μm(マイクロメートル:1/1000mm)以下とすることが必要であり、将来はもっと細くなっていくと予定されている。一般にフォトマスクは、回路寸法よりも4倍の大きさで作成されているので、回路寸法が0.1μmであれば、対応するフォトマスクには0.4μmの大きさの回路パターンが描かれる。これをステッパなどの転写露光装置でウエハ上の感光剤に縮小露光し、現像して半導体の回路パターンを形成している。
現在、半導体回路パターンの許容寸法変動は回路パターン自体の寸法の1割程度までであり、回路寸法(線幅)が0.1μmであれば0.01μmが変動許容範囲である。従って、この場合のフォトマスクの許容寸法変動はその4倍の0.04μm、即ち40nm(ナノメートル:1/1,000,000mm)である。従って、フォトマスクの製造工程では許容寸法変動を超えないように管理する必要がある。
ところで、フォトマスクの製造工程での製造誤差がこの許容寸法変動を超えないように管理されたとしても、この許容寸法以下の極微細な変動はフォトマスクの随所に存在する。それはフォトマスク製造装置の「機械誤差」や「現像工程」等での僅かなゆらぎに起因するものであり、管理限界を超えるようなものである。このような微細で局所的な寸法の変動は、通常は転写されない。何故ならこのような微細な寸法は通常、転写装置の光学的な解像限界を超えているからである。
しかし、ある特別な条件の下では、このような微細変動がウエハ上にさまざまな形状のスポットとして転写されることがある。例えば、前述したように半導体の回路寸法が0.1μmであれば0.01μmが変動許容範囲である。従って、この場合のフォトマスクの許容寸法変動はその4倍の0.04μm、即ち40nmであるが、これよりも小さな局所的な変動、例えば20nmの変動が転写されてしまうことがある。無論これは半導体の性能に重大な影響を及ぼすことになる。フォトマスクのこのような欠陥は「ローカルCD欠陥」と呼ばれている。
また、フォトマスクはエレクトロンビーム描画装置(EB描画装置)を用いて作成される。そして、このようなEB描画装置は点の列でパターンを描画するが、折り返し点や繰り返しポイントで機械的段差を生じることがある。この段差もフォトマスクの欠陥の一種であり、EB段差欠陥と呼ばれている。最近のCCD(電荷結合素子)デバイス等では、この段差が10nmを超えるとデバイス性能に影響があると言われている。なお、EB段差欠陥はローカルCD欠陥の一種である。
以上のようなローカルCD欠陥は、フォトマスクの製造工程での管理限界以下であり、製造工程中での発見は非常に困難であるため、最終検査工程で検査される。
そして一般的には、フォトマスクにおけるこれらの瑕疵の有無を、フォトマスク上のパターン寸法を計測して設計値と比較する所謂「寸法計測」によって検査していた。しかし、ローカルCD欠陥は局所的でかつ極微細な寸法変動であるため、このような方法では分解能が不足していて検査できない場合が多かった。その理由は以下のようなものである。
すなわち、極微細な数十nm以下の寸法を光学的に、即ち顕微鏡を用いて計測するためには、その光学系の解像力がレーリー解像限界以上であることが必要である。無収差で円形状開口の光学系では、レーリー解像限界Rは、光学系の開口数NAと照明波長λを用いて
R=0.61λ/NA
という関係式で表わされる。ここで、NAはNumerical Apertureの略で、光学系の口径を示し、空気中では点状のレンズのNAはゼロ、無限大口径レンズのNAは1である。つまり、現実のレンズは0より大きく1より小さいNAを持つ。
レーリー解像限界Rは、その光学系で解像できる最小のパターン寸法を示すものと理解してよい。これに対して、解像力あるいは分解能はRの逆数、すなわち1/Rで表されるものであり、通常は1mm中に何本までの線を分解できるかを示すものである。従って、レーリー解像限界の小さな光学系は、解像力あるいは分解能が高い光学系である。
例えば、水銀ランプの発する最短波長の紫外線(λ=365nm)を用い、理論的限界の、即ち無限大口径のレンズ(NA=1)を用いたとしても、そのレーリー解像限界は223nmであり、これより微細なパターンを解像することは出来ない。このことは、約200nm以下のローカルCD欠陥を検知することは難しいことを意味する。あるいは、この光学系の解像力(分解能)は、5000本/mmであり、これ以上細かく分解することはできないと言ってもよい。
また、極短紫外線を用いた光学顕微鏡や電子顕微鏡のような、分解能が十分である寸法検査装置を用いるとしても、膨大な検査時間を必要とし、実用できない。
例えば100mm(100mm×100mm角)のフォトマスク全体を検査するとし、30nmのローカルCD欠陥を見つけるものとすると、検査分解能は通常、検査エリアの千分の一程度であるから、一回の検査エリアが30μm(30μm×30μm角)程度になるように倍率を設定しなければならない(30nmの1000倍=30μm)。そうすると、検査回数は千百万回強必要となる(一辺100mm/30μm=3333なので、検査回数は3333回)。
一回の検査に要する時間が仮に0.1秒とすると、検査時間は百十万秒即ち約13日弱となる。一方、フォトマスクの検査は、数十分から数時間以内で完了しなければ実用的ではない。そして、上述のような10nm程度のサイズのEB段差欠陥を検出しようとすれば、さらに長時間の検査が必要になってしまう。つまり、従来の方法や装置でローカルCD欠陥やEB段差欠陥を検査することは困難であった。
さらに、分解能の高い寸法検査装置を作成するためには高価な機材を用いなければならないため、検査装置のコストアップにつながるという問題もあった。
このような問題を解決するための技術として、本件出願人は、特許文献1あるいは特許文献2に記載のような技術を提案している。これらの公報に記載の検査方法によれば、検査対象のパターンを解像しないような光学系を用いて検査対象を観察し、その像の光強度分布を解析することにより、フォトマスク上のローカルCD欠陥あるいは位相シフトマスク上のローカル位相欠陥のようなごく微細な欠陥も短時間で発見することができる。
特開2002−296762号公報 特開2003−15270号公報
今後半導体の回路パターンが更に微細化してゆくと、ローカルCD欠陥やEB段差欠陥自体の寸法も小さくなり、その発見はさらに困難になる。そして前述したように、従来の「寸法計測」という方法では、この問題を解決することは困難である。
この発明は、このような問題を解決し、検査対象の物体の微細な構造を短時間で検査することを可能とすることを目的とし、特に、フォトマスクのEB段差欠陥のようなごく微細な欠陥の発見に好適な装置及び方法を提供することを目的とする。また、このような検査を安価な設備で行うことができるようにすることも目的とする。
なお、この目的については、上記の特許文献1あるいは特許文献2に記載の装置及び方法によっても相当程度達成されるが、本願発明は、これらとは全く異なる理論的背景に基づいて上記の課題を解決しようとするものである。
上記の目的を達成するため、この発明は、微細構造検査装置において、検査対象の物体を検査領域の全面に亘り略均一な光量で照明する照明手段と、対物レンズと、上記対物レンズによる上記物体の像の光強度分布を検出するセンサと、そのセンサによる検出結果を解析して上記物体の微細構造に関する情報を取得する解析手段とを設け、上記照明手段による照明を、上記物体による回折光が発生する照明とし、上記対物レンズを、上記回折光のうち所定の次数以上の高次回折光を選択的に入射させる位置に配置したものである。
このような微細構造検査装置において、上記照明手段を、上記物体を斜光照明により照明する手段とするとよい。
さらに、上記検査対象の物体を周期的な透過窓を有する平面状の物体とし、上記照明手段による照明光の波長をλμm、上記透過窓の周期をdμm、上記対物レンズに入射させる所定の高次回折光の次数をn次として、上記照明手段を、照明光が上記対物レンズの光軸に対してsinθ=n・λ/dを満たす角度θで上記物体に入射するような照明を行う手段とするとよい。
さらに、上記照明手段による照明光の波長をλμm、上記透過窓の周期をdμmとして、上記対物レンズを、その開口数NAがNA<λ/dを満たすレンズとするとよい。
さらにまた、上記所定の次数を+11次又は−11次とするとよい。
さらに、上記対物レンズに入射させる高次回折光の次数に応じて上記照明手段による照明光の波長を変化させる手段を設けるとよい。
また、この発明の微細構造検査方法は、検査対象の物体を検査領域の全面に亘り略均一な光量でその物体による回折光が発生するように照明し、上記回折光のうち所定の次数以上の高次回折光を選択的に入射させる位置に対物レンズを配置し、その対物レンズによる上記物体の像の光強度分布をセンサによって検出し、そのセンサによる検出結果を解析手段によって解析して上記物体の微細構造に関する情報を取得するものである。
このような微細構造検査方法において、上記照明を、斜光照明により行うようにするとよい。
さらに、上記検査対象の物体を周期的な透過窓を有する平面状の物体とし、上記照明に用いる照明光の波長をλμm、上記透過窓の周期をdμm、上記対物レンズに入射する所定の高次回折光の次数をn次として、上記照明を、照明光が上記対物レンズの光軸に対してsinθ=n・λ/dを満たす角度θで上記物体に入射するように行うようにするとよい。
さらに、上記照明に用いる照明光の波長をλμm、上記透過窓の周期をdμmとして、
上記対物レンズとして、その開口数NAがNA<λ/dを満たすレンズを用いるようにするとよい。
さらにまた、上記所定の次数を+11次又は−11次とするとよい。
さらに、上記対物レンズに入射させる高次回折光の次数に応じて上記照明に用いる照明光の波長を変化させるようにするとよい。
以上のようなこの発明の微細構造検査装置及び微細構造検査方法によれば、検査対象の物体の微細な構造を短時間で検査することを可能とすることができる。また、このような検査を安価な設備で行うことができる。
以下、この発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
〔検査原理:図1乃至図27〕
この発明による微細構造検査装置及び微細構造検査方法は、従来のように検査対象の物体上のパターン寸法を計測するのではなく、その物体が作り出す回折光分布のうち高次の回折光を選択的に用い、その高次の回折光を結像させて得た像を解析するものである。そしてこのためには、光学系の開口数や、結像のためのレンズの配置を適切に定めることが重要である。
このように高次の回折光のみにより再合成した像は、もはや検査対象の物体におけるパターンと相似ではなくなり、寸法計測は出来なくなる。というより、もとのパターンとは似ても似つかないものになる。しかし、パターンの微細な情報だけを抽出できるという性質を持っている。そして、このことを用いて、物体上のパターン、特に格子状パターンの微細なゆがみや位置ズレなどの情報だけを抽出できる。即ち、例えば半導体装置製造用フォトマスクのローカルCD欠陥やEB段差欠陥だけを抽出して像にし、欠陥検知を行うことも可能となる。
そこで、この検査原理について図1乃至図27を用いて説明する。以下の説明においては、検査対象の物体が半導体装置製造用のフォトマスクである場合を例として説明する。なお、以降の説明において「フォトマスク」といった場合には、このような半導体装置製造用のフォトマスクを指すものとする。
まず、図1に、フォトマスクにおけるローカルCD欠陥の例を示す。
この例は、フォトマスク上のパターンの一部が製造工程上の不具合や誤差または「ゆらぎ」によって変動しているものである。欠陥部のフォトマスク上の寸法は、Dnm×Wμmである。パターン自体の線幅は透過部がLμm、不透過部がSμmである。図1には3本のパターンしか示していないが、実際には多数のパターンが並べられている。
ウエハ上にスポットを転写するローカルCD欠陥の実例としては、例えば、L,S=0.09μm,D=20nm,W=10μmのものがある。このように微細な寸法の欠陥は、通常の光学顕微鏡では解像力が不足するため見ることが出来ない。また、電子顕微鏡等を用いたとしても、寸法計測精度が不十分であったり、十分な精度があっても検査時間が膨大になってしまい、現実的な時間で検査することは至難である。
また、図2に、フォトマスクにおけるEB段差欠陥の例を示す。
この図においては、(a)にはラインアンドスペースパターンを、(b)には格子状パターンを示しており、それぞれ矢視部にEB段差欠陥があるパターンを示している。この図に示した欠陥は、特に(b)においては、位置を示されなければ図Bのような明瞭な拡大図でも認識し難い程度のものであるが、この程度の欠陥であっても製造するデバイスの性能を損う場合がある。図Bに示したEB段差欠陥のサイズは、パターンの周期を0.1〜0.2μm程度とした場合、10〜20nm程度であり、このようなサイズの欠陥を通常の光学装置を用いて発見することはできない。
しかしながら、このような微細な欠陥であっても、その欠陥が写真術により転写されるものであれば、その光分布に変動が内包されているのであるから、光分布を詳細に分析することにより、転写され得るローカルCD欠陥やEB段差欠陥を発見することができると考えられる。そして、高次の回折光には、物体構造のより微細な情報が含まれていることから、微細な欠陥や段差等の情報もフォトマスクの回折光分布の高次光に含まれていると考えられ、高次光を強調して検出し、これを解析することで、微細構造のみを抽出して欠陥の有無を検知することができると考えられる。
このためには、検査対象の物体に対する照明や、回折光を集光するための光学系の構成が重要となるが、ここで物体(フォトマスク)を照明する事によって生じる回折光分布と拡大光学系(顕微鏡)による像形成との関係を概略する。
まず、Abbeによる以下のような結像理論が知られている。図3は、この結像理論について説明するための図であり、回折光の光路に付した数字は、回折光の次数を示す。
この結像理論によれば、物体Xを平行ビームで照明すると、入射波(入射光)Iは物体によって回折され回折光Dが生じるが、回折角の小さな回折光はレンズYに入射する。そして、レンズに入射した回折波(回折光)はレンズの作用でその焦平面FPにフラウンホーファー回折像Zを形成する。フラウンホーファー回折像とは、物体寸法に比較して十分遠方に出来る回折像であるが、レンズの焦平面は無限遠の共役面であるから(つまり無限遠と同じであるから)、ここに出来る回折像は、フラウンホーファー回折像である。
また、物体Xの回折光分布は、レンズYの作用により像面IPで再合成され、像面IPに物体Xの像Wを形成する。レンズYが無限に大きければ全ての回折光がレンズYを通過して再合成されるため像Wは物体Xと完全に相似なものとなる。しかし、レンズYの大きさには限りがあるため、大きな角度を持った回折光はレンズを通過することが出来ない。開口数の定義により、物体XとレンズYの間は空気であるとすると、開口数がNAであるレンズYに入射できる回折光は、回折角θが下記式(1)を満たすものに限られる。
sinθ<NA ……(1)
ここで、回折光のうち、入射方向と同じ物を0次光と呼び、図の上の方向に回折したものを、回折角の小さい順に+1次光、+2次光、・・・と呼び、図の下方向に回折したものを、回折角の小さい順に−1次光、−2次光、・・・と呼ぶことにする。そして、物体が周期的に配置された多重スリット状の透過窓を持つとし、その周期をd、照明に用いたビームの波長をλとすると、n次回折光の回折角θは、下記式(2)を満たす角である。
sinθ=nλ/d ……(2)
また、式(1),(2)から、開口数NAのレンズに入射できる回折光は、次数nの絶対値が下記式(3)で表される値n以下のものであることがわかる。
=d・NA/λ ……(3)
そしてこの式から、例えばNA=0.5,λ=0.6μmとし、スリット周期を5μmとすると、−4次光から4次光までがレンズに入射できることがわかる。逆に言えば、通常の光学系ではこの程度の次数の回折光しかレンズに入射しないため、高次回折光はカットされ、その上でレンズを通過した低次の回折光のみで再合成が行われて像が形成されると言える。このため、通常の光学系による像では物体構造の細かな情報がカットされてしまう。即ち、レンズはロウパスフィルターの働きをするのである。
次に、図4に多重スリット状の透過窓を持つ物体の例を示し、図5にその物体のフラウンホーファー回折像の例を示す。なお、これらの図はライトロン株式会社製のシミュレータ「OPTIMAG−PRO(商品名)」を用いたシミュレーションにより作成した図であるが、実際に実験してもこれと同様な結果を得ることができる。以下、検査原理の説明に使用する図については、特に断らない限り同様である。
またここでは、具体例として、CCD作成用フォトマスクのEB段差欠陥(〜10nm)を検知する例を念頭に置いて説明する。このようなフォトマスクには、現状で多くの問題が発生しており、欠陥検査の要求が強いものである。
このようなフォトマスクは、一般に約10〜15μmのホールパターンの繰り返しで構成されている。そこで、ここではマスクパターンの透過窓の配置周期は11μmとする。また、照明に使用する光源は波長0.546μmの単色光源とする。しかし、これらの数値が変動しても、回折光の回折角やレンズが満たすべきNAの条件が変化するのみで、定性的には同様な結果が得られる。
図5の回折像は、図4に示したような多重スリット状の透過窓を持つ物体に図3に示したように平行ビームを当てた場合の回折光分布を示している。ただし、図5において、回折像は図4の場合よりも拡大して表示している。そして、この光分布において、図4に示した物体は図で水平方向は一様であるので、水平方向には回折が起こらず、回折光分布のスペクトルが出ない。しかし、図で垂直方向には、回折光分布のスペクトルが出ている。図中に示した数字は、その横のスポットを形成している回折光の次数を示す。
物体のパターンが規則的にかつ無限に繰り返していれば高次光(絶対値が大きい次数の回折光)は点状であるが、有限パターンの場合や、パターンに微細な変動がある場合は広がりを持っている。この例では物体のパターンは有限であるので、高次光によるスポットも広がりを持っている。また、パターンが中心対称な場合、偶数次回折光はほぼ零となる。
また、図5に示したフラウンホーファー回折像のうち絶対値が5以上の次数の成分をカットしてから再合成し、結像させて得られる像を図6に、その像の7−7線に沿う光強度分布を図7に示す。そして、これらの図から、特に図7から、フラウンホーファー回折像の高次回折光をカットすることは、物体の構造情報からこれをフーリエ変換した場合の高周波成分を除去することと全く同じ効果であることがわかる。
ところで、以上説明してきたような回折光の性質から、特定の回折光をカットすることによって像の構造を大きく変えられることが知られている。ここで、この点について説明する。
まず、図8に碁盤目状の透過窓を有する物体の例を示し、図9にその物体のフラウンホーファー回折像の例を示す。
図9の回折像は、図8に示したような碁盤目状の透過窓を持つ物体に図3に示したように平行ビームを当てた場合の回折光分布を示している。図8に示したような物体は、図で水平方向、垂直方向共に一様でないため、回折光も水平方向、垂直方向に共に分布し、図9に示したような回折光分布を形成する。
ここで、例えば焦平面FP上に図10に示すような垂直方向にスリットの入ったマスクを配置し、これを透過した回折光のみを再合成し、結像させて像を得るとすると、その像は、図11に示すような水平方向の縞模様になる。そしてこれは、図8に示したような碁盤目状の透過窓を持つ物体とは似ても似つかない像である。しかし、このようになる理由は、以下のように考えることができる。
すなわち、図10に示したマスクを透過した回折光は、もはや垂直方向にのみスペクトルを有するようになる。そしてこのようなスペクトルは、図4及び図5を用いて説明したように、水平方向が均一なパターンによる回折光のスペクトルとして得られるものである。従って、このような回折光を再合成して結像させると、水平方向が均一な図11に示したようなパターンが得られるのである。
同様に、図12に示したようなマスクにより回折光に垂直方向のスペクトルのみを残すと、その回折光を再合成し、結像させて得られる像は、図13に示すように水平方向に均一な縞模様になる。また、図14に示すようなマスクにより斜め方向のスペクトルのみを残すと、その回折光を再合成し、結像させて得られる像は、図15に示すように斜め方向の縞模様になる。
また、昔から、解像力の向上の為には物体を斜めから照明すると良いことが知られている。このことは、上述のような回折光の性質から、以下のように考えれば納得できるものである。図16は、この点について説明するための図である。
図16には、図4に示したような多重スリット状の透過窓を持つ物体Xを平行光線で照明した場合の回折光の進路を示しており、(a)にはレンズYの光軸に平行に照明した場合の例を、(b)にはその光軸に対して斜めに照明した場合の例を示している。
この図からわかるように、光軸に平行に照明した場合は−3次光から+3次光までがレンズYに入射できるとすると、斜めに照明すれば例えば−5次光から+1次光までをレンズYに入射させられることになる。すなわち、レンズの光軸に対して斜めに照明すると、照明光の入射角に対して大きな回折角を有する高次の回折光をレンズYに入射させることができるのである。このような照明は、斜光照明と呼ばれる。
高次の回折光は、物体構造の微細な情報を含んでいるため、高次の回折光を再回折(合成)させて得た像は、低次の回折光のみを再回折させて得た像より微細な部分の再現性に優れることになる。ただし、+側の高次光と−側の高次光が均等に含まれていないため、像自体の忠実度は低下するので、寸法計測や形状確認の目的に使用するには注意を要する。
ここで、図17に、図8に示した碁盤目状の透過窓を有する物体の像の例を示す。(a)は、光軸に平行な照明を行って0次光及び±1次光をレンズに入射させ、これを結像させて得た像、(b)は斜光照明を行って0次光、+1次光及び+2次光を結像させて得た像である。
この図からわかるように、低次の(絶対値が小さい次数の)回折光のみを結像させた(a)の像よりも、より高次の(絶対値が大きい次数の)回折光の情報が含まれる(b)の像の方が、明部と暗部の境界がはっきりし、解像力が向上しているように見える。なお、(b)の像では、透過窓の縦横比が狂っていたり、透過窓の中央部にライン上の暗部が生じていたりと、忠実度は(a)の像よりも低下している。このように、斜光照明では物体と像との相似関係が狂うので寸法計測の目的に使うのには注意が必要である。
以上がAbbeの結像理論である。
ローカルCD欠陥のような微細構造を検出するためには、図17に示したような高次の回折光を用いることによる解像力の向上が極めて重要である一方で、後述するように、微細構造のみを検出すればよいのであれば、このような忠実度の低下は全く問題にならず、微細構造のみを拡大できる点でむしろ好ましいとさえ言える。
そこで、次に高次の回折光だけを結像させて得られる像について考える。この場合、像はもはや照明光を透過させた物体と相似ではなくなる。というより、もとの物体とは似ても似つかないものになる。しかし、透過物体の微細な情報だけを抽出できるという面白い性質も併せ持っているのである。そして、この性質を利用することにより、格子状物体の微細なゆがみや位置ズレなどの情報だけを抽出することができる。すなわち、例えばフォトマスクからnmレベルのローカルCD欠陥やEB段差欠陥だけを抽出して像にすることができる。
ここで、フォトマスクにおけるEB段差欠陥の検出を例として、このような高次回折光を利用した物体の微細構造の検出についてさらに説明する。
図2を用いて上述した通り、EB段差欠陥は、EB描画装置を用いてフォトマスクを作成する際に生じることがある機械的段差による欠陥であり、最近のCCDデバイス等では、この段差が10nmを超えるとデバイス性能に影響があると言われている。
図18に、ここでの説明に使用する、EB段差欠陥を有するフォトマスクパターンの例を示す。このフォトマスクパターンは、周期的に配置された多重スリット状の透過窓を持ち、矢視部分にEB段差欠陥であるサイズ10nmの段差を有するものである。ただし、10nmの段差を図示することは困難であるので、図では段差を誇張して示している。
図19に、図18に示したフォトマスクパターンをマスクに垂直な光源で照明した場合に得られる回折光分布を示す。図中の数字は、その横のスポットを形成している回折光の次数を示す。
図19からわかるように、回折光分布には0次以外の偶数次の回折光は現われず、全体としてはEB段差欠陥がない場合のものとあまり変わらない。そして、現実には不可能であるが、全ての回折光を再合成し、結像させて像を得ると、もとのパターンと同様な像が得られる。また、このうち低次の回折光のみを再合成し、結像させて像を得ると、EB段差欠陥のないフォトマスクパターンの像が得られる。すなわち、微細な構造の欠落した像になってしまう。逆に高次回折光のみを結像させれば、段差部分のみが強調された像を得ることができる。
そこで、図20に、図19に示した回折光のうち高次光のみを結像させて得られる像を示す。この図においては、+19次光のみを用いて得られる像を示しており、スポット部分だけでなく、隣接次数の回折光を含まない範囲でスポットの周囲部分の光も用いて像を得ている。また、回折光は高次になるほど光量が低下し、高次光による像は実際には極めて暗いものとなるが、図には像のコントラストを強調すると共に全体の明るさを見やすいレベルに調整した状態を示している。
図20に矢印で示す通り、EB段差欠陥を含む図18に示したフォトマスクパターンについて、高次光のみを結像させて得られる像には、黒い縦線(周囲より光量の小さい線状の部分)が生じる。また、この縦線の像中での相対位置は、フォトマスクパターン中におけるEB段差欠陥の相対位置と一致する。パターンの一部のみの像を撮像した場合には、縦線の像中での相対位置は、撮像した部分内におけるEB段差欠陥の相対位置と一致する。
そして、図示は省略するが、EB段差欠陥のない図4に示したようなパターンについて得られる同様な高次光による像には、図20の像で出現したような縦線は現れない。従って、図20の像に出現している縦線は、EB段差欠陥に起因して出現したものであると考えることができる。
また、ここでは+19次光を用いて得られる像のみを示したが、他の高次光による像でも同様である。絶対値がいくつ以上の次数であれば図20のような縦線が出現するかは、パターンの周期や照明光の波長あるいはEB段差欠陥のサイズによって異なるが、ここでシミュレーションているような条件下では、概ね絶対値が11以上の次数の回折光を用いれば、10nm程度のEB段差欠陥でも検出可能な線として出現する。
この点についてさらに説明する。
一般には、n次の回折光の周期は、透過窓の基本周期dの1/|n|倍となる。例えば、ここで例に挙げたようなd=11μmの場合には、+11次回折光は周期1μmの正弦波(正弦波的に変動している光強度分布)となる。そして、この+11次回折光の近辺には欠陥(微細構造)の情報を含んだ回折光成分があり、それが正弦波に重畳される。従って、レンズを通過するのは基本周期がd/|n|の正弦波が欠陥によってわずかに乱されたような強度分布を有する光になる。そして、ここで使用するレンズは低開口数(低NA)であるので、この強度分布を解像することはできず、像面上にはほとんど均一な強度分布の像ができる。
しかし、欠陥による乱れの部分は像面上に強度分布の変動となって現れる。そして、このような乱れは一般に正弦波の周期の1/100程度まで検出することができる。従って、このここで用いている条件下では1μm/100=10nm程度のサイズの欠陥に起因する乱れまで検出可能であるといえる。
このように、透過窓の基本周期dと使用する回折光の次数の絶対値とから欠陥の検出限界を見積もることができる。従って、使用する回折光の次数は、検出しようとする欠陥のサイズをΔdとして、下記式4を満たすように定めればよいことがわかる。
|n|>0.01×d/Δd ……(4)
また一方で、低次の回折光ほど回折角が小さく検出機構の設計が容易であり、得られる像が明るくなるので、欠陥が検出可能な範囲でできるだけ低次の回折光を使用することが好ましい。実際に何次の回折光を検査に使用するかは、上記式(4)を参考に、検査対象に応じて得られる像のシミュレーションを行って定めることもできる。
また、図21に、図18に示したフォトマスクパターンについて+15次光と+19次光とを再合成し、これを結像させて得られる像を示す。この図においても、明るさ及びコントラストの調整を行っている。
図21から、複数の高次光を再合成し、これを結像させて得た像にも図20と場合と同様な縦線が出現していることがわかる。しかしこの場合には、次数の異なる回折光が互いに干渉するため、像にはその干渉による横縞が生じてしまう。この横縞の周期は、もとのパターンの周期とは異なるものである(19−15=4なので、もとの周期の1/4の高周波である)。
ところで、+15次光がレンズの光軸に平行になるような角度で斜光照明を行った場合、+19次光は、レンズの光軸に平行な照明を行った場合の+4次光の位置に生じることになる。従って、±2次光まで入射させることができる開口数NAを持つレンズを用い、+17次光がレンズの光軸に平行になるような角度で斜光照明を行うようにして+15次光と+19次光及びその近傍の光以外を遮光して結像させることにより、図21に示したような像を得ることができる。
なお、以上のような複数の高次光を再合成した場合の縦線と横縞についても、単独の高次光の場合と同様、他の次数の高次光の再合成及び結像による得られる像にも出現する。
以上の図18乃至図21を用いて説明した内容は、実験的にも検証できるし計算によっても証明できる。
以上から、EB段差欠陥のような微細構造の有無を検出するには、高次の回折光による像を解析すればよいことが分かる。また、干渉を避けるためには、単独の高次回折光による像を解析することがより好ましいこともわかる。
しかし、高次回折光は大きな回折角を持つため、レンズの光軸と平行に照明したのでは、極めて大きな開口数のレンズを用いなければこれをレンズに入射させることができない。例えば、図18に示したようなマスクパターンにおいて、パターンの周期d=11μm、照明光の波長λ=0.546μmであるとすると、上述の式(2)から、+15次光の回折角は48.12°、+19次光の回折角は70.58°である。そして、これを上記式(1)に当てはめると、+15次光と+19次光はそれぞれ開口数が約0.74及び0.94のレンズを用いなければ入射させることができないことがわかる。また、十分な開口数のレンズを用いた場合でも、別途高次光のみを分離する手段を設ける必要が生じる。
そこで、照明をレンズの光軸と上記の角度、例えば+15次光の場合は48.12°、+19次光の場合は70.58°、をなす斜光照明とすれば、これらの高次光はレンズの光軸に平行な光路を進む。従って、このようにすれば、開口数の低いレンズであっても高次の回折光を入射させることができる。すなわち、レンズの光軸に対し、レンズに入射させたい高次光の回折角と同じ角度をなすような斜光照明を行うことにより、微細構造だけを抽出するような検出光学系を設計することが可能となるのである。
例えば、対物レンズの光軸と物体面とが垂直になるように検出光学系を配置した場合、照明光の波長をλμm、透過窓の周期をdμm、対物レンズに入射させる高次回折光の次数をn次として、照明光を対物レンズの光軸に対して下記式(5)を満たす角度θをなすような斜光照明を行うようにすればよい。
sinθ=n・λ/d ……(5)
また、対物レンズの光軸と物体面とが垂直であることは必須ではなく、照明光の物体面に対する入射角をα、回折光の回折角をβとすると、αとβの間には下記式(6)の関係がある。そこで、照明光の入射角αと対物レンズに入射させる次数nとに応じて定まる回折角βの位置に対物レンズを配置するようにすることも考えられる。
sinβ−sinα=n・λ/d ……(6)
そして、レンズの開口数を適当な値に調整することにより、特定の高次光のみを選択的にレンズに入射させ、それ以外の光をカットすることができる。なお、「選択的に入射させる」とは、所望の回折光が他の光よりも効率よく入射(又は透過)できるように光学系を構成する、という意味で、所望の回折光以外の光を完全に排除することが必須であるという意味ではない。
ここで、n次光がレンズの光軸を通るような斜光照明を用いた場合、そのn次光だけを透過させ、傍にあるn−1次光やn+1次光を透過させないための開口数NAの条件は、上述の式(2)から次の式(7)のようになる。
NA<λ/d ……(7)
例えば、λ=0.546μm、d=11μmであるなら、NA<0.05が条件となる。またλ=0.75μm、d=11μmであるならNA<0.068が条件となる。この数値は、通常用いられるレンズのNAに比べてかなり低いものであるが、光学系に絞りを設けることにより、容易に実現することができる。
なお、斜光照明と高次光を用いる場合には、高次光の周囲の回折光の混入具合によって欠陥部に対応する像が様々に変化するので、必要な光量が得られる範囲でなるべく小さいNAのレンズを用いることが好ましい。
また、上述の式(2)からわかるように、光の回折角は、パターンの周期dに依存して変化する。従って、多様なパターン周期のフォトマスクにおけるEB段差欠陥を検出しようとする場合、レンズのNAが小さいと、回折角が変化した場合に高次回折光がレンズに入射しなくなってしまうことも考えられる。このような場合には、回折角が照明光の波長λにも依存することを利用し、照明光の波長をブロードにして、dが変化してもいずれかの波長に対する高次回折光がレンズに入射できるようにすると良い。
またこのとき、レンズのNAとパターン周期dが決まっているならば、λ>NA・dとなるような範囲の波長λの光のみを用いることにより、同一波長の光について複数の次数の回折光がレンズに入射することを防止できる。逆に言えば、この式を満たす範囲であれば、どのような波長成分を含む光で照明を行っても構わない。
この場合において、複数の波長について回折光がレンズに入射することも考えられるが、異なる波長の光は互いにインコヒーレントであるから、得られる像は、それぞれの高次光による像をインコヒーレントに重ね合わせたものになる。これは、回折光の次数が波長によって異なっていても、全ての波長について同じであっても、同様である。ただし、1つの波長について複数の異なる次数の回折光がレンズに入射した場合、像には図21に示したような干渉による縞が生じることになる。この縞が生じても解析に重大な支障を来すことはないが、NAが全てのd及びλについて上記式(7)の条件を満足していれば、1つの波長について1つの次数の回折光のみをレンズに入射させることができるので、干渉による縞の発生を防止できる。
次に、以上のような考え方に基づき、図22に示すような碁盤目状の透過窓を有するフォトマスクに対して、図23に示すような斜光照明を行った場合の回折光及び像の状態について説明する。
図22に示したフォトマスクは、各矢視部分にEB段差欠陥を有するものである。そして、斜光照明は、図23においてZ軸をレンズの光軸とし、入射光束とX軸及びY軸とがなす角α,βをどちらも67.29°とし、入射光束とZ軸とがなす角γが約33.09°(下記の条件の場合、+11次光の回折角に相当)となるように行っている。また、フォトマスクM上のパターン配列方向に対して45°の角度をなす方向から入射光を照射している。なお、パターンの周期d=11μm(スペース部分が10μm、ライン部分が1μm)、照明光の波長λ=0.546μmである。結像に用いるレンズの開口数NA=0.035である。
まず、この場合の回折光分布(スペクトル)は、図24に示す通りである。この図においては、全ての次数の回折光を示し、光量を所定の閾値で2値化してコントラストを強調した状態で示している。
また、フォトマスクを透過した直後(フォトマスクから2μm程度のごく近傍)での光の振幅分布は、図25に示す通りである。この図では、光の振幅が大きい位置ほど白っぽくなるように示している。この状態は、フレネル回折による光分布である。さらに、その状態での光の位相分布を図26に示す。この図では、位相(0〜360°)が0°に近い位置ほど黒っぽく、360°に近い位置ほど白っぽく示している。
また、レンズによって得られる像の光強度分布は図27に示す通りである。この図では、コントラストを強調し、光強度が大きい位置ほど白っぽくなるように示している。上記の条件では、レンズに+11次の回折光を選択的に入射させることになる。従って、図27に示した像は、+11次の回折光を結像させて得た像であり、この像には、フォトマスク上のEB段差欠陥と対応する位置に、黒い線が出現している。そして、上述したように、この線の出現により、EB段差欠陥の存在とその位置を認識することができる。
このように、高次回折光とそれに対応したNAのレンズを用いれば、フォトマスクのEB段差欠陥のような、周期的なパターンが局所的に微細に変動している部分だけを抽出して像にすることが可能である。そして、以上の解析は、実験事実と完全に符合し、実際にごく微細なEB段差欠陥を数百〜数千倍に拡大して検出することができる。また、通常は、対物レンズも倍率を有するので、欠陥部分の像はさらに対物レンズの倍率分拡大される。こうして、低NA、低倍率の対物レンズを用いてごく微細な(10nmレベルの)EB段差欠陥のような構造の変化を検出しうるのである。
例えば、照明光の波長をλ、レンズの開口数をNAとすると、点の像のサイズΔQは下記式(8)で表わせる。
ΔQ=λ/NA ……(8)
そして、ここで用いた条件では、λ=0.546μm、NA=0.035であるから、ΔQ=0.546/0.035=15.6μmとなる。そして、ごく微細なEB段差欠陥も、概ねこのサイズに拡大される。なお、像中に現れるサイズは、欠陥の大きさが異なってもほぼ同一である。例えば、10nmの欠陥の像は15.6μm+10nm≒15.61μm、50nmの欠陥の像は15.6μm+50nm≒15.65μmとなる。
従って、10nmの欠陥は15.61μm/10nm≒1560倍に、50nmの欠陥は15.65μm/50nm≒313倍に拡大されることになる。
また、例えば2倍の対物レンズを用いれば欠陥の像はさらに2倍に拡大され、約31μmの大きさとなる。そして、通常のCCD等による光センサの分解能が5〜10μmであることから、このような大きさの像は十分検出可能である。
従って、このような検査原理によって検査を行う場合、像を高倍率で拡大する必要がないことから、1回の検査エリアを広く取ることができるため、広い面積に亘って検査を行う必要がある場合でも短時間で検査を行うことができる。また、検査時の画像処理負担もあまり大きくならない。また、可視光の光源や低倍率、低NAの対物レンズといった安価な機材を用いて検査装置を構成することができるので、装置のコストが安いもので済み、検査を安価な設備で行うことができる。
なお、ここでは検査対象のパターン周期が11μmである場合を例に挙げて説明したが、線幅0.1μmの半導体デバイスを製造するためのフォトマスクのような、パターン周期が0.8μm程度の物体についても、同様な検査原理に基づく検査が可能である。この場合、例えば照明の光源として波長45nmのFレーザーを用いるとすると、上述の式(2)から、11次回折光の回折角が約38°になることがわかる。従って、この角度で斜光照明を行うことにより、上述の場合と同様に+11次光をレンズに選択的に入射させ、欠陥部分を拡大して検出することができる。
さらに細かいパターンあるいは粗いパターンを有する物体の検査についても同様な手法を適用可能であることは、いうまでもない。また、このことからもわかるように、ここでいう「光」が可視光に限られることはない。
〔実施形態:図28乃至図36〕
次に、以上のような検査原理に基づいて物体の微細構造を検査する、この発明の微細構造検査装置の実施形態について説明する。この微細構造検査装置は、この発明の微細構造検査方法の実施形態により検査対象の物体を検査する装置である。またここでは、この微細構造検査装置の一例としてフォトマスク上のEB段差欠陥の有無を検査するフォトマスク検査装置について説明する。
図28は、そのフォトマスク検査装置の概略構成を示す正面図である。
図28に示すように、このフォトマスク検査装置は、検査機本体1,ローダ2,画像処理装置3を備えている。
また、検査機本体1はCCDカメラ4,XYZテーブル5,マスクホルダ6,結像光学系8,架台13,照明系20を備えている。
CCDカメラ4は、撮像手段であり、結像光学系8によって形成される像の光強度分布をセンサによって検出してこれを画像データに変換する装置である。このCCDカメラ4は画像処理装置3に接続されていて、取得した画像データは画像処理装置3に転送されて解析される。
XYZテーブル5は、移動手段であり、検査対象であるフォトマスク7を固定するマスクホルダ6を保持し、結像光学系8の対物レンズとの位置を調整するためのテーブルである。このXYZテーブル5は、水平方向の位置を調整して検査領域に合わせるための電動XYテーブルと、対物レンズとフォトマスク7との間隔を調節してフォーカスを合わせるための電動Zテーブルとを備えている。
マスクホルダ6は、検査対象の平面状の物体であるフォトマスク7を固定するためのホルダであり、XYZテーブル5を構成する電動XYテーブルに固定されている。フォトマスク7のマスクホルダ6へのセットは、人の手によって行っても、ローダと呼ばれる自動装着装置によって行ってもよい。マスクホルダ6からの取り外しも、人の手によって行っても、アンローダと呼ばれる自動脱却装置によって行ってもよい。この実施形態においては、上述のローダとアンローダの機能を併せ持つローダ2によって行うこととしている。
結像光学系8は、透過照明されたフォトマスク7の像をCCDカメラ4の受光面上に結像させるための光学系であり、照明系20はその透過照明を行うための光学系である照明手段であるが、これらについては後に詳述する。
架台13は、検査機本体1の全体を強固に保持するためのもので、ゆれや振動を防止する構造を持つものである。
ローダ2は架台14上に載置され、マスクホルダ6にフォトマスク7の着脱を行うための装置であるが、このフォトマスク検査装置に必須の構成ではない。
画像処理装置3は、架台15上に載置された画像解析手段であり、CPU,ROM,RAM等によって構成されるコンピュータ本体10と、表示装置(モニタ)11とを備え、公知のパーソナルコンピュータ(PC)を用いることもできる。CCDカメラ4が取得した画像データは、この画像処理装置3に転送してマスク処理やフィルタ処理等の後述する解析処理を行い、フォトマスク7におけるEB段差欠陥の有無を判定する。またこの画像処理装置3は、このフォトマスク検査装置全体を統括制御する制御手段でもある。
このようなフォトマスク検査装置によって検査を行う場合、フォトマスク7にEB段差欠陥があるときは、高次回折光を結像させて得たCCDカメラ4の画像に、図27等に示したような黒又は白の線が発生する。そこで、画像処理装置3が、解析処理によってその線を発見した場合には、その位置にEB段差欠陥があったものとしてその位置を記憶する。欠陥の詳細を出力する場合には、記録した欠陥の部分の画像データを解析し、寸法誤差等の必要なデータを計算してモニタ11に表示させるようにしてもよい。
既に述べたように、このフォトマスク検査装置は、EB段差欠陥が作り出す、高次回折光による像中の光強度分布変動を検知することによりその存在を検出する。従って、照明系20と結像光学系8による像面照度の変動は、EB段差欠陥が作り出す光強度分布変動に比べて十分に小さくしなければならない。そうしなければEB段差欠陥が作り出す光強度分布変動は光学系による変動に覆い隠されてしまうからである。
この実施形態のフォトマスク検査装置においては、光学系における光強度分布変動を低減し、均一な照明を行うために、図29に示す光学系を採用している。次に、この光学系について説明する。
この光学系においては、光源であるランプ21として、なるべく照明に使用しようとする波長の光量の大きいランプを使用するとよい。観察対象にしようとする高次の回折光では、照明光に比べて光量が非常に小さくなってしまうためである。そして、このような用途に適するランプとしては、例えば波長0.546μmの光で照明する場合には、メタルハライドランプが考えられる。また、波長0.365μmの光であれば、水銀ランプが考えられる。しかし、ハロゲンランプ、キセノンランプ等の使用も考えられ、また他の波長で照明を行おうとする場合には、もちろん照明波長に対応して適切なランプを選択すればよい。もちろん、可視光線を発する光源に限られることはない。
以上のようなランプ21から放射された光は、カイルプリズム22で放射状に拡散される。これは、ランプ21の中心光量が周辺に比較して強いので、中心部の光量を周辺部に分散させて光の強さを平均化させるためである。
カイルプリズム22を通過した光は第1のカレイドスコープ23に入射する。カレイドスコープは万華鏡セルであり、ランプの虚像を多数個作り、光を多重化することで照明光量の均一化を行うための光学素子である。
第1のカレイドスコープ23を通過した光は、ランプハウスと光学系を遠くに離して熱による変動を防ぐ為に光ファイバ24を通し、さらに第2のカレイドスコープ25を通過させる。
その後、照明光を単波長化するための干渉フィルタ26及び、平行光線で照明するケーラー照明を行うためのコンデンサ27を通してフォトマスク7を照明する。ここで、図2ではXYZテーブル5とマスクホルダ6は図示を省略しており、図1に示した照明系20は光ファイバ24からコンデンサ27までの構成である。また、ブロードな波長の照明光を使用しようとする場合には、干渉フィルタ26に代えてハイカット(短波長光カット)フィルタを使用するとよい。
フォトマスク7を透過した光は、対物レンズ28によって集光され、リレーレンズ29を介してCCDカメラ4のセンサによる受光面に結像される。リレーレンズ29は、倍率を僅かに変更することでモアレの発生を抑止するための光学素子である。フォトマスクの像パターンとCCDカメラの画素ピッチが整数比の関係にあると、モアレパターンが像面上に発生することがあるため、これを防ぐために、例えば0.8倍乃至1.2倍程度のリレーレンズ29を用いて、像の倍率を変更してモアレの発生を防止するとよい。
なお、斜光照明を行うため、第2のカレイドスコープ25からコンデンサ27までの光学系は、対物レンズ28の光軸と位置をずらして設けている。そして、対物レンズ28は、フォトマスク7による回折光のうち所定の次数以上の高次回折光を選択的に入射させる位置に配置する。このとき、複数の次数の回折光を入射させるようにしてもよいが、ここでは、単一の次数の回折光及びその周辺の光のみを入射させるようにしている。
そして、このために必要な条件は、検査原理の説明において述べた通り、照明光の波長をλμm、フォトマスク7における透過窓の周期をdμm、対物レンズ28に入射させる回折光の次数をn次として、照明光が対物レンズ28の光軸に対してsinθ=n・λ/dを満たす角度θでフォトマスク7に入射するようにすることと、対物レンズ28として開口数NAがNA<λ/dの条件を満たすレンズを使用することである。
また、斜光照明の角度を変更するため、第2のカレイドスコープ25からコンデンサ27までの光学系の位置を調整するための駆動機構を設けてもよい。あるいは、第2のカレイドスコープ25からコンデンサ27までの光学系を、対物レンズ28の光軸に対して傾けて設けたり、その傾きの角度を調整するための駆動機構を設けたりしてもよい。また、対物レンズ28からCCDカメラ4までの光学系について位置や角度を調整するようにすることも考えられる。
さらに、照明に用いる光の波長を変化させることによって照明光の回折角度を制御し、光学系を移動させずに対物レンズ28に入射させる高次回折光の次数を変更したり、回折光が適当な光路を進むように回折角の調整を行ったりする手段を設けることも考えられる。
〔第1の動作例〕
次に、この実施形態のフォトマスク検査装置の動作例として、実際の検査方法について説明する。ここでは、繰り返しパターンすなわち周期的な透過窓を有するフォトマスクを検査する場合を例に挙げて説明する。
前述したように、対物光学系としては低倍率低開口数のものを採用する。この実施形態では、2.5倍の対物レンズを用い、CCDカメラとして2/3インチのものを用いている。この場合には、一回に画像を取り込むことができる検査領域のサイズは約2.5mmである。従って、100mmのフォトマスク全体を検査するのに必要な回数は約1600回であり、1回の検査時間を0.1秒とすると、EB段差欠陥を数分程度という非常に短い時間で検査可能となる。
またこの場合、波長λ=0.546μmの可視光を用いてθ≒33°の斜光照明を行い、NA=0.035の対物レンズを使用するとすると、例えばd=11μmのパターン周期を有するフォトマスクに発生するサイズ10nmのEB段差欠陥を、約3900倍(サイズ39μm)に拡大して検出することができる。
また、検査対象のフォトマスクには、その特性から、図30に示すように、配線パターン等を形成する部分に対応する粗パターン領域111と、メモリパターン等を形成する部分に対応する微細パターン領域112とがある。このうち、粗パターン領域111には微細な欠陥が発生してもあまり問題にならないので、検査対象となるのは、微細な欠陥が問題となる微細パターン領域112である。
そこで、画像の濃度分布(透過光強度分布)を検査し、微細パターンに対応する適切な濃度部分を切り出す処理を行う。換言すれば、粗パターン領域111を遮蔽するマスクを作成し、全画像に対してマスク処理を行う。このフォトマスク検査装置においては、光学系は低解像度で微細パターンを解像できないものであるから、微細パターン部分の標準的な濃度は、その透過部と不透過部の幅から求められる。そこで、この濃度から大幅にずれた部分が長く連続した領域をマスクするようにすればよい。なお、ここで「濃度」とは画像の白レベルのことである。従って、「濃度が高い」場合には画像が白く、マスクの透過率が大きいことになる。またこのマスクは、検査対象のフォトマスクの設計パターンを基に作成することもできる。
この実施形態のフォトマスク検査装置は、前述のように、回折光のうち所定の次数以上の高次回折光を選択的に対物レンズに入射させることにより、フォトマスク上のEB段差欠陥程度の微細なパターンのみの情報を取り出して結像させるようにしている。そして、もしEB段差欠陥があれば、図27等に示したように、周囲と光量が異なる線状の部分が像中に出現する。また、EB段差欠陥はフォトマスク中に水平又は垂直方向(外周に平行又は垂直な方向)に形成されることが多いので、この線状の部分も、これと対応して像中に水平又は垂直方向に出現することが多い。
図31に、実際にフォトマスク検査装置を用いてEB段差欠陥を有するフォトマスクを検査した場合に得られる画像の例を示す。ここでの検査に用いたフォトマスクは、故意にEB段差を創り込んだものであり、その他の条件は、図22乃至図27を用いて上述したシミュレーションの場合と同様である。
そして、図31に示すのは、対物レンズ28に入射した高次回折光の像をCCDカメラ4の撮像面上に結像させ、これを撮像して得た画像である。そして、この画像中には水平及び垂直方向にEB段差欠陥に起因する線状の部分が出現していることがわかる。
このような線状の部分を自動的に検出するための手法としては、例えば画像中の各画素の濃度値を列毎(縦方向)及び行毎(横方向)に足し合わせ、その和を解析することが考えられる。濃度値は、暗い画素ほど大きい値を取るものとするが、後述の絶対値微分フィルタによる処理を行う場合、明るい画素ほど大きい値を取る画素値を用いても、同様な結果を得ることができる。
図32(a)に、図31に示した画像に対して列毎に濃度値の和を求めた結果を模式的なグラフとして示すが、EB段差欠陥に起因する線状の部分が存在する列については、周囲の列と比べて濃度値が極端に大きくなるピークPが生じる。従って、このようなピークPが存在するか否かを判断すればよい。
また、和そのものには、EB段差欠陥以外に起因する濃度値の変動、CCDにおける暗電流ノイズ、照明系の照度不均一等により、列によって多少のゆらぎが生じる。そして、このようなゆらぎをEB段差欠陥に起因するピークPと明確に区別するためには、ある種の絶対値微分フィルタを用い、濃度値変化を増幅するとよい。ただし、ここで用いるフィルタはソーベルフィルタのように平均レベルが0になるものではなく、平均レベルは変化させないものが望ましい。
図32(b)に、(a)に示した結果に対し絶対値微分フィルタを用いた処理を行った結果を同様な模式的なグラフとして示すが、この処理により、ピークPを残したまま、ピークP以外の部分ではグラフをほぼ平坦とすることができ、周囲よりも急峻な変化を有するピークPの部分を強調することができる。
また、このフィルタ処理を行うことで、変化部分を強調すると同時に、欠陥部分の濃度が最大値を持つようにすることができる。すなわち、濃度値自体の変化方向が正の方向でも負の方向でも、この処理を行うことにより、変分を全て正の値として検出できる。図31に示した例では欠陥部が周囲に比較して黒くなっているが、高次回折光の位相は激しく反転するため、実際には欠陥部は周囲に比較して黒くなったり白くなったりするので、前処理としてこのような絶対値微分を行い、周囲との絶対値差を取ることが好ましい。
そして、EB段差欠陥がある場合、その場所を特定するには、フィルタ後の濃度値が最大となる場所を求めれば良い。欠陥が無い場合は、フィルタ処理後の各列の濃度値はほぼ一定値となるが、上述の要因によるゆらぎを完全に排除することはできないので、この幅をΔとする。
濃度の最大値からΔだけ下のレベルでフィルタ処理後の値を2値化すると、欠陥が無い場合は、図33(a)に示すように、ほとんど全ての列が「1」となる。ここで「1」は閾値より濃度値の和が大きいことを表わす。一方EB段差欠陥がある場合は、図33(b)に示すように、最大値からΔだけ下のレベルで2値化しても欠陥部分だけが安定して「1」である。
このような処理を行い、2値化により「0」レベルの中に安定した「1」レベルの場所ができるならば、その場所にEB段差欠陥が存在し、全体的に「1」レベルになるならば無欠陥であると判断することができる。
行方向についてももちろん同様な処理が可能である。そして、このような処理によれば、低い処理負荷でEB段差欠陥の位置を検出することができる。
なお、ここで説明した方式では、画像中に斜め方向に線状の部分が出現した場合には、うまく検出できない場合がある。列毎や行毎に濃度値の和を取るので、周囲との濃度値の差が多数の列や行に分散され、急峻なピークとならないためである。そこで、このような場合に対応するためには、画像を、画像中の線分を検出するハフ(Hough)変換のようなアルゴリズムを用いて解析し、線分の位置や方向を求めることが考えられる。
また、以上のような解析を行うに当たっては、図21に示したような干渉による縞が存在すると大きなノイズとなるので、1つの次数のみの高次回折光による像を解析に使用することが好ましい。
次に、この実施形態のフォトマスク検査装置を用いた実際の検査手順について説明する。この手順は、図32及び図33を用いて説明した手法を用いたものである。
このフォトマスク検査装置を用いてフォトマスクを検査する場合、ユーザは、まず図28に示したフォトマスク検査装置のマスクホルダ6に、検査対象であるフォトマスク7を手動又はローダ2を用いて自動でセットし、画像処理装置3の図示を省略したキーボードやマウスを用いて、検査するエリア、照明光量、フォーカスなどを適切に設定する。そして、検査の開始を指示すると、この装置は図34のフローチャートに示す動作を開始する。この動作は、画像処理装置3のCPUが所要の制御プログラムを実行し、フォトマスク検査装置全体を統括制御して行うものである。
この動作においては、まずステップS1で、XYZテーブル5によって検査対象のフォトマスク7を検査開始点に移動し、ステップS2でその検査エリアにおける像をCCDカメラ4によって画像データとして取り込み、画像処理装置3に転送する。
そしてステップS3で、その画像データに前述したマスク処理を行い、検査対象となる微細パターン領域のデータのみを取り出す。このとき、図32及び図33を用いて説明した手法を用いて画像を解析するためには、取り出した画像が矩形状であることが好ましい。
以下のステップS4乃至S14の解析処理は、列に関する処理と行に関する処理は独立したものであり、これらを並行して行うことも順次行うこともできるが、処理内容は同様なものであるため、繰り返し図示することを避け、ここでは同時に行うものとする。この場合において、列と行で判断の分岐が異なることも考えられるが、最終的に双方の処理がステップS14まで進んだ段階で以降の処理に進むものとする。
これらの処理においては、まずステップS4で画像中の各画素の濃度値を列毎及び行毎にそれぞれ足し合わせ、その和を記憶する。そして、ステップS5でその和に対して上述した一種の絶対値微分フィルタによるフィルタ処理を行う。
そしてステップS6で、フィルタ処理後のデータについて最大値を求め、その最大値よりΔだけ小さい値を閾値としてそのデータを2値化した2値化データを作成する。Δについては上述した通りである。
その後、ステップS7に進んで2値化後のデータがほとんど「1」かどうか判断し、NoであればステップS8に進んで欠陥ありと判断する。ここで、「ほとんど」の基準は、データが「1」であるラインの数として、検査エリアにそれだけの数の欠陥があるとはとても考えられないような数、例えば総ライン数の1/10〜1/20(例えば総ライン数が500なら25〜50)などを適宜設定するとよい。
そして、ステップS8からステップS9に進んで、そのデータが「1」であった位置及びXYテーブル5の位置を欠陥の位置として記録する。データが「1」の領域がある程度広い場合には、その中心の位置を記録するとよい。
その後、ステップS10でΔを適当なだけ増加させて、再度フィルタ処理後のデータについてその最大値よりΔだけ小さい濃度を閾値としてその画像データを2値化した2値化データを作成する。そして、ステップS6に戻って処理を繰り返す。
1度目のステップS6の判断では、EB段差欠陥が複数あった場合でもそのうち画像での濃度変化が最大になるものしか検出できないが、EB段差欠陥が発見された場合にこのように閾値を下げて再度判定を行うことにより、画像での濃度変化がより小さいEB段差欠陥も検出できるようになる。なお、ある検査位置においてステップS9を2度以上実行する場合には、新たに発見されたEB段差欠陥のみのデータを記録するようにしてもよい。また、Δの変化量は、Δの初期値やフィルタ処理後のデータの最大値、求める解析精度等に応じて定めればよい。
ここで、EB段差欠陥が検出された場合にステップS10でΔを増加させていくと、次第に検出されるEB段差欠陥の数(すなわちデータが「1」のラインの数)が増してくるが、その数が実際には検査エリアに存在し得ないと考えられる数になった場合には、新たにEB段差欠陥として検出されるものはノイズであると考えられる。
従って、ステップS7で判断基準の例として示した「総ライン数の1/10〜1/20」は、数としては「ほとんど」全画面とは言えないような僅かなライン数であるが、このようなノイズが検出された場合にそれ以上EB段差欠陥はないと判断するためには好適な基準である。なお、EB段差欠陥がない場合又はΔを増加させた結果閾値がローカルCD欠陥のない領域の濃度よりも下がった場合には直ちにぼぼ全域に亘ってデータが「1」になるが、この場合にはデータが「1」のライン数はもちろん総ライン数の1/10〜1/20以上であり、データはほとんど「1」であると判断される。
ステップS7でYesであれば、ステップS11でステップS7の判断が現在の検査位置において初回かどうか判断する。
初回であればステップS12に進んで現在の検査位置にはEB段差欠陥はないと判断し、ステップS14に進む。初回でなければ、ステップS13に進んで現在の検査位置にはこれまでに検出した以上のEB段差欠陥はないと判断し、ステップS14に進む。
ステップS14では、現在位置が検査の最終位置であるかどうか判断し、最終位置であれば終了する。最終位置でなければ、ステップS15に進んでXYZテーブル5によってフォトマスク7を次の検査エリアを検査する位置に移動し、ステップS2に戻って処理を繰り返す。
このような処理によって、フォトマスク上のEB段差欠陥の位置と数を検出することができる。そして、この検出結果は、処理中あるいは処理後に、モニタ11に表示させるようにするとよい。
なお、上記の処理において、ステップS3からS13の画像処理と、それ以外のデータ取り込み処理を順に行う例を示しているが、画像データを記憶する記憶手段の容量に余裕がある場合には、画像データの取り込みと画像処理を並列に行ってもよく、画像データを先に蓄積してしまうようにしてもよい。
また、この実施形態においては対物レンズとして倍率が2.5倍のものを用いたが、対物レンズの倍率はこれに限られるものではないことは言うまでもない。しかし、倍率が低すぎるとEB段差欠陥による光量変動をCCDカメラで解析するに十分な程拡大できず、倍率が高すぎると1回に検査できる検査エリアが小さくなってしまうので、EB段差欠陥により出現する線状部分の幅をCCDカメラの2画素分程度の大きさに拡大できるような倍率とするとよい。
また、発見した欠陥の位置情報を、電子顕微鏡等の、検査範囲は狭くともより詳細な解析を行うことができる外部の装置に転送する手段を設けてもよい。このようにすれば、高解像度の検査装置を有効に活用して欠陥の詳細を知ることができる。
〔第2の動作例〕
次に、一般的な論理回路を形成するためのフォトマスク(以下「ロジックマスク」と呼ぶ)を検査する場合の動作例について説明する。
一定のパターンが繰り返すフォトマスクでは、欠陥のない部分では高次回折光による像が概ね均一となり、EB段差欠陥部に起因する線状部が像中に出現した。しかし、ロジックマスクでは同一パターンの繰り返しはほとんど無く、それに従って入射光の回折角も場所によって異なり、EB段差欠陥部に起因する像の変化も単純な形状で現れるとは限らない。従って、上述の第1の動作例の場合と同様な解析を行うことは困難である。
しかし、高次回折光に微細な構造の情報が含まれることは周期的なパターンの場合と変わりがなく、高次回折光による像を解析することにより、ある程度以上のサイズのパターンの情報を排除し、ロジックマスクの微細な構造変化、即ちローカルCD欠陥やEB段差欠陥のような欠陥を検出することは可能であると考えられる。
ところで、通常フォトマスクでは同じ回路パターンが別の場所に複数個作られる。また、ローカルCD欠陥やEB段差欠陥はフォトマスク製造工程のゆらぎによって発生するため、別の場所に作られた同一パターンの同じ場所に欠陥が発生する確率は極端に小さく、ゼロであるとみなして良い。
そこで、ロジックマスクの場合には、フォトマスク上の2つのパターンについて高次回折光による像の光強度分布(又は濃度分布)を比較することにより、ローカルCD欠陥の検出を行うことができる。両方とも正常なパターンであれば、光強度分布の差は0となり、一方に欠陥がある場合には、光強度分布の差が検出される。
なお、ロジックマスクの場合には、パターンが周期的でなかったり、周期が位置によって変動したりするため、入射光の回折角が一定しない。従って、特定波長の光のみで照明すると低開口数の対物レンズ28には回折光が入射しない恐れがある。そこで、検査原理についての説明で述べた通り、波長のブロードな照明光を用い、少なくともいずれかの波長の光について回折光が対物レンズ28に入射するようにするとよい。
また、繰り返しパターンの多いCCD作成用やメモリ作成用のフォトマスクの場合でも、この動作例の手法を適用することは当然可能であり、像中で光強度が変化する部分の形状が特定できないようなローカルCD欠陥の検出には、この手法が有効である。
なお、周期的でないパターンに対して光を入射させた場合の回折光は、連続スペクトル状になる。しかし、このような場合でも、高次回折光が微細構造の情報を含むことに変わりはない。そして、検査原理の説明で述べた通り、高次回折光は低次回折光よりも入射角と回折角の差(入射角が0°の時には回折角そのもの)が大きいものである。従って、このような領域の光を対物レンズ28に入射させるように照明系や集光光学系を設計することにより、高次回折光を多く含む光を対物レンズ28に入射させることができる。このような配置も、高次回折光を「選択的に」対物レンズ28に入射させる配置に該当するものとする。
また、この際、回路のルール(線幅)や、検査対象の物体のパターン周期のヒストグラム等に従って定める基本ピッチをパターンの周期dとして用いて、検査に適した照明光の波長、回折角やレンズの開口数を見積もることができる。
ここで、上述の光強度分布の差の検出例を図35に模式的に示す。正常なパターンとローカルCD欠陥のあるパターンの光強度分布をそれぞれ測定して差を求めると、図35に示すような光分布の変動が得られる。縦軸は2つのパターンにおける光強度の差を示し、横軸は位置を示す。この例の場合は中央付近に欠陥があるため、光強度の差が大きくなっているが、欠陥のない周辺部では差は0である。また、ローカルCD欠陥が無い場合は、光強度の差は全体的に0となる。
ただし、このような解析を行うためには、2つの光強度分布の位置を正確に合わせて差を求めなければならない。位置合わせの精度が不足する場合には、欠陥によらないパターンの光強度分布自体に依存する差が見えてしまう。従って、その差がローカルCD欠陥による光量の変動よりも十分に小さくなるように位置合わせをしなければならない。
次に、この動作例におけるロジックマスクの検査手順について図36を用いて説明する。この検査手順は、第1の動作例において説明した検査手順と同様な点が多いため、図36のフローチャートにおいて図34のフローチャートの処理と対応する部分には同一のステップ番号を付し、その説明は省略するか簡単にする。また、この例では1つのロジックマスク上に2つの同じパターンが形成されているものとする。
ユーザは、まず図28に示したフォトマスク検査装置のマスクホルダ6に、検査対象であるフォトマスク7を手動又はローダ2を用いて自動でセットし、画像処理装置3の図示を省略したキーボードやマウスを用いて、検査するエリア、照明光量、フォーカスなどを適切に設定する。そして、検査の開始を指示すると、この装置は図36のフローチャートに示す処理を開始する。
まず、ステップS1で検査対象のフォトマスク7を検査開始点に移動し、ステップS21で1番目のパターンの検査エリアにおける高次回折光による像をCCDカメラ4によって画像データとして取り込み、画像処理装置3に転送する。
そして、ステップS22でフォトマスクを2番目のパターンにおける対応する検査位置に移動し、2番目のパターンの検査エリアにおける像を同様にCCDカメラ4によって画像データとして取り込み、画像処理装置3に転送する。
そしてステップS23で、取り込んだ2つの画像データの差の絶対値を求めて検査対象のデータとし、ステップS24でそのデータに対して絶対値微分フィルタによるフィルタ処理を施す。
そして、このフィルタ処理後のデータに対してステップS6以降の処理を図34を用いて説明した第1の動作例の場合とほぼ同様に行う。ただし、画像データの値は欠陥がない場合にはほぼ0である点が、第1の動作例の検査の場合と異なる。
このような処理によって、フォトマスク上の欠陥の位置と数を検出することができる。ただし、2つのパターンの画像データの差の絶対値に対して処理を行っているため、2つのパターンのどちらに実際に欠陥があるかを決定することはできない。
また、その欠陥の形状、例えば透過部の拡大によるものなのか縮小によるものなのかも決定できない。この情報を得るためには例えば、検査完了後、発見された欠陥の位置を電子顕微鏡等の装置に与えてその位置を詳細に観察すればよい。
なお、図36のフローチャートにおいては、検査位置1エリア毎に2つのパターンの画像データを取りこむ例を示しているが、画像データを記憶する記憶手段の容量に余裕がある場合には、まず1番目のパターンについて1ライン或いは全ての画像データを取り込んでから2番目のパターンについて対応する領域の画像データを画像データの取り込み、画像処理を行うようにしてもよい。
このようにすれば、フォトマスクを移動させる距離が減少し、検査時間を短縮することができる。また、画像データの取り込みと画像処理を並列して行うようにしてもよいことは、CCD作成用やメモリ作成用フォトマスクの検査の場合と同様である。
1つのフォトマスク上に3つ以上の同一のパターンが形成されている場合には、2つずつのパターンを選択して上述の検査手順を繰り返すか、1番目のパターンについて画像データを全て記憶しておき、他のパターンのデータを順次1番目のパターンのデータと比較するようにするとよい。
また、複数同一の回路パターンを形成しないフォトマスクを検査する場合には、その設計パターンによる高次の回折光が検査用の対物レンズを通して作り出すであろう光分布と、フォトマスクによる高次の回折光を実際に結像させた光分布の差を分析するようにしてもよい。
フォトマスク上の位置を指定すれば、その位置の設計上のパターン形状と寸法を求めることができる。光学系の開口数、収差、照明波長およびコヒーレンスレシオは既知であるので、H.H.Hopkinsの部分コヒーレント結像理論を用いて、そのパターンにより発生する高次回折光による像の光強度分布が計算できる。この計算を行う光強度分布算出手段としては、画像処理装置3を用いることもできるし、外部のコンピュータ等を用いて計算したデータを画像処理装置3に入力するようにしてもよい。この計算による値と実際にCCDカメラで測定した光量分布の差を求めても、上述の場合と同様にローカルCD欠陥を検出することができる。
このような微細構造検査装置によれば、任意のフォトマスクについてフォトマスク上の微細な欠陥を高速に検知することが可能となる。
また、以上説明してきたような微細構造検査装置及び検査方法によれば、従来の検査装置では発見が極めて困難であったサイズの欠陥を高速、高精度で発見することができる。例えばフォトマスクにおけるローカルCD欠陥やEB段差欠陥を高速、高精度で発見することができ、フォトマスクの検査効率を飛躍的に改善することができる。検査対象の物体は半導体回路形成用のフォトマスクに限られるものではないが、このようなフォトマスクの検査には、上述の微細構造検査装置及び検査方法は特に好適である。
また、欠陥のある場所やサイズのデータを電子顕微鏡その他の検査装置に転送するようにすれば、ローカルCD欠陥について効率的に観察を行うことができ、ローカルCD欠陥発生のプロセス解明や、欠陥修正を行う可能性を与えることもできる。
また、上述の実施形態で説明した装置構成や測定条件、解析手法等は一例に過ぎず、検査対象や用途に応じて適宜変更してよいことはもちろんである。
また、上述の実施形態及び動作例においては、ローカルCD欠陥の検査に用いる例について説明したが、ごみや傷あるいはむら等による欠陥の場合でも光量分布の変動は当然起こるため、これらを検出するための異物検査装置として用いることもできることは言うまでもない。
さらに、透過照明が可能なものであれば、水晶ガラスウエハや大容量記録装置のメディア等の欠陥検査、及び組織における異常細胞の検出等にも用いることができる。
以上の説明から明らかなように、この発明の微細構造検査装置及び検査方法によれば、検査対象の物体の微細な構造を短時間で検査することを可能とすることができる。また、このような検査を安価な設備で行うことができる。
従って、例えば半導体装置製造用フォトマスクの検査に適用することにより、フォトマスクにおけるローカルCD欠陥やEB段差欠陥を高速、高精度で発見することができ、半導体装置の歩留まり向上に大きく貢献することができる。
この発明の微細構造検査装置及び検査方法によって発見しようとする微細構造の例として、フォトマスクにおけるローカルCD欠陥の例を示す図である。 同じくフォトマスクにおけるEB段差欠陥の例を示す図である。 Abbeの結像理論について説明するための図である。 多重スリット状の透過窓を持つ物体の例を示す図である。 図4に示した物体のフラウンホーファー回折像の例を示す図である。 図5に示したフラウンホーファー回折像の±5次以上の成分をカットしてから再合成し、結像させて得られる像を示す図である。 その像の7−7線に沿う光強度分布を示す図である。 碁盤目状の透過窓を有する物体の例を示す図である。 図8に示したその物体のフラウンホーファー回折像の例を示す図である。 図9に示した回折光の一部を遮蔽するマスクの例を示す図である。
図9に示した回折光のうち、図10に示したマスクを透過した回折光のみを再合成し、結像させて得られる像を示す図である。 図9に示した回折光の一部を遮蔽するマスクの別の例を示す図である。 図9に示した回折光のうち、図12に示したマスクを透過した回折光のみを再合成し、結像させて得られる像を示す図である。 図9に示した回折光の一部を遮蔽するマスクのさらに別の例を示す図である。 図9に示した回折光のうち、図14に示したマスクを透過した回折光のみを再合成し、結像させて得られる像を示す図である。 斜め照明と解像力の関係について説明するための図である。 図8に示した碁盤目状の透過窓を有する物体の像の例を、レンズの光軸に平行な照明を行った場合と斜光照明を行った場合について示す図である。 EB段差欠陥を有するフォトマスクパターンの例を示す図である。 図18に示したフォトマスクパターンをマスクに垂直な光線で照明した場合に得られる回折光分布を、明暗反転した状態で示す図である。 図19に示した回折光のうち高次光のみを結像させて得られる像を示す図である。
図18に示したフォトマスクパターンについて+15次光と+19次光とを再合成し、これを結像させて得られる像を示す図である。 碁盤目状の透過窓を有するフォトマスクの例を示す図である。 そのフォトマスクを照明する斜光照明の光線の向きについて説明するための図である。 図22に示したフォトマスクを図23を用いて説明した斜光照明により照明した場合に得られる回折光分布を示す図である。 同じくフォトマスクを透過した直後での光の振幅分布を示す図である。 同じくフォトマスクを透過した直後での光の位相分布を示す図である。 同じく高次光をレンズに選択的に入射させた場合に得られる像の光強度分布を示す図である。 この発明の微細構造検査装置の実施形態であるフォトマスク検査装置の概略構成を示す正面図である。 そのフォトマスク検査装置に備える光学系の構成を示す図である。 そのフォトマスク検査装置の第1の動作例において検査対象となるフォトマスクの特性について説明するための図である。
実際にフォトマスク検査装置を用いてEB段差欠陥を有するフォトマスクを検査した場合に得られる画像の例を示す図である。 図31に示した画像に対して列毎に濃度値の和を求めた結果及びその結果に対して絶対値微分フィルタを用いた処理を行った結果をそれぞれ模式的なグラフとして示す図である。 絶対値微分フィルタによる処理後のデータの解析法について説明するための図である。 図28に示した画像処理装置が第1の動作例において実行する検査処理の内容を示すフローチャートである。 第2の動作例における光強度分布の差の検出例を模式的に示す図である。 図28に示した画像処理装置が第2の動作例において実行する検査処理の内容を示すフローチャートである。
符号の説明
1…検査機本体、2…ローダ、3…画像処理装置、4…CCDカメラ、5…XYZテーブル、6…マスクホルダ、7…フォトマスク、8…結像光学系、10…コンピュータ本体、11…表示装置、13,14,15…架台、20…照明系、21…ランプ、22…カイルプリズム、23…第1のカレイドスコープ、24…光ファイバ、25…第2のカレイドスコープ、26…干渉フィルタ、27…コンデンサ、28…対物レンズ、29…リレーレンズ

Claims (12)

  1. 検査対象の物体を検査領域の全面に亘り略均一な光量で照明する照明手段と、
    対物レンズと、
    前記対物レンズによる前記物体の像の光強度分布を検出するセンサと、
    該センサによる検出結果を解析して前記物体の微細構造に関する情報を取得する解析手段とを備え、
    前記照明手段による照明は、前記物体による回折光が発生する照明であり、
    前記対物レンズを、前記回折光のうち所定の次数以上の高次回折光を選択的に入射させる位置に配置したことを特徴とする微細構造検査装置。
  2. 請求項1記載の微細構造検査装置であって、
    前記照明手段は、前記物体を斜光照明により照明する手段であることを特徴とする微細構造検査装置。
  3. 請求項2記載の微細構造検査装置であって、
    前記検査対象の物体が周期的な透過窓を有する平面状の物体であり、
    前記照明手段による照明光の波長をλμm、前記透過窓の周期をdμm、前記対物レンズに入射させる所定の高次回折光の次数をn次として、
    前記照明手段を、照明光が前記対物レンズの光軸に対してsinθ=n・λ/dを満たす角度θで前記物体に入射するような照明を行う手段としたことを特徴とする微細構造検査装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項記載の微細構造検査装置であって、
    前記検査対象の物体が周期的な透過窓を有する物体であり、
    前記照明手段による照明光の波長をλμm、前記透過窓の周期をdμmとして、
    前記対物レンズは、その開口数NAがNA<λ/dを満たすレンズであることを特徴とする微細構造検査装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項記載の微細構造検査装置であって、
    前記所定の次数が+11次又は−11次であることを特徴とする微細構造検査装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項記載の微細構造検査装置であって、
    前記対物レンズに入射させる高次回折光の次数に応じて前記照明手段による照明光の波長を変化させる手段を設けたことを特徴とする微細構造検査装置。
  7. 検査対象の物体を検査領域の全面に亘り略均一な光量でその物体による回折光が発生するように照明し、前記回折光のうち所定の次数以上の高次回折光を選択的に入射させる位置に対物レンズを配置し、該対物レンズによる前記物体の像の光強度分布をセンサによって検出し、該センサによる検出結果を解析手段によって解析して前記物体の微細構造に関する情報を取得することを特徴とする微細構造検査方法。
  8. 請求項7記載の微細構造検査方法であって、
    前記照明を、斜光照明により行うようにしたことを特徴とする微細構造検査方法。
  9. 請求項8記載の微細構造検査方法であって、
    前記検査対象の物体が周期的な透過窓を有する平面状の物体であり、
    前記照明に用いる照明光の波長をλμm、前記透過窓の周期をdμm、前記対物レンズに入射する所定の高次回折光の次数をn次として、
    前記照明を、照明光が前記対物レンズの光軸に対してsinθ=n・λ/dを満たす角度θで前記物体に入射するように行うようにしたことを特徴とする微細構造検査方法。
  10. 請求項7乃至9のいずれか一項記載の微細構造検査方法であって、
    前記検査対象の物体が周期的な透過窓を有する物体であり、
    前記照明に用いる照明光の波長をλμm、前記透過窓の周期をdμmとして、
    前記対物レンズとして、その開口数NAがNA<λ/dを満たすレンズを用いるようにしたことを特徴とする微細構造検査方法。
  11. 請求項7乃至10のいずれか一項記載の微細構造検査方法であって、
    前記所定の次数が+11次又は−11次であることを特徴とする微細構造検査方法。
  12. 請求項7乃至11のいずれか一項記載の微細構造検査方法であって、
    前記対物レンズに入射させる高次回折光の次数に応じて前記照明に用いる照明光の波長を変化させるようにしたことを特徴とする微細構造検査方法。
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