JP2005233819A - コンクリート構造物の中性化深さ測定方法およびこれに用いるプローブ - Google Patents

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Yasukatsu Yoshida
安克 吉田
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Abstract

【課題】コンクリート構造物の破壊や再度の孔空けを伴うことなく、簡易に中性化した部分の深さを測定する。
【解決手段】コンクリート構造物10にドリル1を用いて掘削孔を空け、掘削孔の内部表面にフェノールフタレイン溶液などの転写剤を付け、中性化した部分と中性化していない部分とで色分けし、この色分け位置を検知可能なプローブ3を掘削孔に挿入して中性化した部分の深さを測定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、コンクリート構造物が中性化により表面から徐々に劣化したときの中性化深さを測定する測定方法、およびこれに用いるプローブに関する。
コンクリート構造物においてアルカリ性が二酸化炭素によって低下する現象は「中性化」と呼ばれる。この中性化は、コンクリート構造物の表面から徐々に内部へ進行する。このため、コンクリート構造物の現状を把握し、劣化予防と早期対処を図るべく、コンクリート構造物の中性化した部分の深さを測定することが行われている。
コンクリート構造物の中性化した部分の深さを測定する第1の手法としては、コンクリート構造物の一部をコア抜きし、そのコア抜きした部分を検証する手法がある。
第2の手法としては、コンクリート構造物に対してドリルを用いて掘削孔を空け、そのときに発生した削り粉にフェノールフタレイン溶液を付着させ、その着色の状況をみて中性化深さを判断する手法がある。
しかしながら、上記第1の手法では、通常、コア抜きする部分は直径が100mm程度の円柱形状であり、コンクリート構造物の破壊を伴う。また、コア抜きのための専用の工具や経験を有する作業員が必要である。
上記第2の手法では、コア抜きは行わないのでコンクリート構造物の破壊を伴うことはないが、削り粉がどの深さからのものなのかが判別し難いという問題がある。また、中性化深さの判断に失敗した場合には、再度掘削孔を空け直す必要がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コンクリート構造物の破壊による影響を低減し、再度の孔空けを伴うことなく、簡易に中性化した部分の深さを測定し得るコンクリート構造物の中性化深さ測定方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、上記コンクリート構造物の中性化深さ測定方法に用いるプローブを提供することにある。
第1の本発明に係るコンクリート構造物の中性化深さ測定方法は、コンクリート構造物の表面から所定の深さまで掘削するステップと、前記掘削による掘削孔の内部表面に転写剤を付けて中性化した部分と中性化していない部分とで色分けをするステップと、前記色分けの位置を検知可能なプローブを前記掘削孔に挿入し、中性化した部分の深さを測定するステップと、を有することを特徴とする。
本発明にあっては、コンクリート構造物に設けた掘削孔の内部表面に転写剤を付けて中性化した部分と中性化していない部分とで色分けし、この色分け位置を検知可能なプローブを掘削孔に挿入して中性化した部分の深さを測定することで、従来のようにコア抜きをしたり削り粉を使うのではなく、コンクリート構造物自体の色の変化を測定するようにしている。
上記コンクリート構造物の中性化深さ測定方法において、前記測定するステップは、前記プローブの先端で前記掘削孔の内部表面に反射させた光を受光しつつ前記プローブを前記掘削孔の奥へ徐々に挿入していくステップと、前記プローブの先端が中性化した部分から中性化していない部分へ移動するときの受光した光の色の変化を検知するステップと、前記検知をしたときのプローブが挿入されている深さを測定するステップと、を有することを特徴とする。
本発明にあっては、プローブを掘削孔に挿入していく際に、中性化した部分から中性化していない部分へ移動するときの光の色の変化を検知し、このときのプローブの挿入深さを測定することで、正確かつ確実に中性化深さを測定できるようにしている。
上記コンクリート構造物の中性化深さ測定方法は、前記検知をしたときに音で知らせるステップを有することを特徴とする。
本発明にあっては、色の変化を検知したときに音で知らせることで、作業者がプローブを挿入する作業を直ちに止めて、中性化した部分の深さを測定できるようにしている。
第2の本発明に係るプローブは、内部表面に転写剤が付けられ中性化した部分と中性化していない部分とで色分けされたコンクリート構造物の掘削孔に挿入されるプローブであって、先端に設けられ、光を発する発光部と、先端に設けられ、前記発光部から発せられ前記掘削孔の内部表面で反射した光を受光する受光部と、先端が中性化した部分から中性化していない部分へ移動するときの前記受光部で受光した光の色の変化を検知する検知器と、を有することを特徴とする。
上記プローブは、前記検知器が検知したときに音を発する発音器を有することを特徴とする。また、上記プローブは、挿入方向に沿った目盛りを外部表面に有することを特徴とする。
本発明に係るコンクリート構造物の中性化深さ測定方法およびプローブによれば、コンクリート構造物の破壊による影響を低減すると共に再度の孔空けを伴うことなく、簡易に中性化した部分の深さを測定することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は、本実施の形態におけるコンクリート構造物の中性化深さ測定方法の手順を示す図である。本測定方法は、コンクリート構造物10の中性化によって劣化した部分の表面からの深さを測るための方法である(同図(a)参照)。
まず、ドリル1により、所定の深さまでコンクリート構造物10に掘削孔を空ける(同図(b)参照)。この掘削孔の直径は、次に説明するプローブ3の直径よりも若干大きい程度が望ましく、例えば2mm〜10mm程度とする。
続いて、掘削孔の内部表面に転写剤を付ける(同図(c)参照)。転写剤としては、例えばフェノールフレタイン溶液を用いる。このフェノールフレタイン溶液を霧吹き状に噴射することで掘削孔の内部表面に付着させ、あるいはフェノールフレタイン溶液を注入することで掘削孔の内部表面に塗布する。転写剤が付けられた掘削孔の内部表面では、中性化していない部分が変色する。次に、掘削孔にプローブ3を挿入する(同図(d)参照)。
図2の拡大図に示すように、このプローブ3は、挿入側の先端に発光部31および受光部32を備え、内部に発光器34と検知器35を備え、他方の先端部に発音器36を備え、外部表面に挿入方向に沿った目盛り33を備えた構成である。
図3の断面図に示すように、発光部31は発光器34からの指示によって発光し、受光部32は発光部31から発せられ掘削孔の内部表面で反射した光を受光する。そして、受光部32は、受光した光をそのまま、或いは電気信号に変換して検知器35へ伝送する。
図2に示すように、プローブの先端を徐々に掘削孔の奥へ挿入していくと、その先端が中性化した部分から中性化していない部分へ移動する際に、掘削孔の内部表面の着色状態が変わるため、受光部32で受光する光の色が変化する。検知器35は、このときの色の変化を検知し、そのタイミングで発音器36へ発音指示のための電気信号を伝送する。発音器36は、検知器35から電気信号を受けたときに、ブザーなどの音を発生する。このとき、プローブを掘削孔に挿入することを止め、目盛り33を用いてプローブが掘削孔に挿された深さを読み取るようにする。この挿入深さが、中性化した部分の深さに相当する。
したがって、本実施の形態によれば、コンクリート構造物10に設けた掘削孔の内部表面に転写剤を付けて、中性化した部分と中性化していない部分とで色分けし、この色分け位置を検知可能なプローブ3を掘削孔に挿入して中性化した部分の深さを測定するようにしたことで、従来のようにコア抜きをしたり削り粉を使うのではなく、コンクリート構造物自体の色の変化を測定するので、コンクリート構造物の破壊による影響を低減でき、簡易かつ正確に中性化深さを測定することができる。
本実施の形態によれば、プローブ3を掘削孔に挿入していく際に、中性化した部分から中性化していない部分へ移動するときの色の変化を検知し、このときのプローブ3の挿入深さを測定することで、正確かつ確実に中性化深さを測定することができる。
本実施の形態によれば、色が変化したことを検知したときに音で知らせることで、作業者がプローブを挿入する作業を直ちに止めて、中性化した部分の深さを測定することができる。これにより、作業者は特別な技術を必要とせず、簡易に中性化した部分の深さを測定することができる。
本実施の形態によれば、中性化した部分の深さの測定に失敗することがないので、ドリルを用いた孔空けは一度だけで十分であり、再度の孔空けを不要にすることができる。また、コア抜きに比べれば、より小さな径の掘削孔を空けるだけであるので、コンクリート構造物に掘削孔を設けることによる劣化等の影響を最小限に抑えることができる。
本実施の形態によれば、コンクリート構造物が仮に粉末の出にくい材質であったとしても材質に依存することなく、その現場で中性化深さを測定することができる。また、発光部、受光部、目盛りといった部品は半永久的に使用可能であるので、消耗品の取替えの必要がない。
なお、本実施の形態においては、受光部32により受光する光の色が変化したことを検知器35が検知したときに発音器36で音を出すようにしたが、これに限られるものではない。例えば、プローブの挿入深さを自動測定する測定器と表示画面を設け、受光量の変化を検知器35が検知したときに、プローブの挿入深さを自動測定し、その値を画面に表示するようにしてもよい。また、画面表示と同時に音を出すようにしてもよい。
本実施の形態のコンクリート構造物の中性化深さ測定方法は、プレストレスコンクリートや、現場打ちコンクリートの如何に関わらず、様々なコンクリート構造物に適用することができる。
一実施の形態におけるコンクリート構造物の中性化深さ測定方法の手順を示す図である。 掘削孔にプローブを挿入した状態を示す拡大断面図である。 プローブの先端において発光部から発せられて掘削孔の内部表面で反射した光を受光部で受光する状態を示す径方向断面図である。
符号の説明
1…ドリル,3…プローブ
10…コンクリート構造物
31…発光部,32…受光部
34…発光器,35…検知器
36…発音器

Claims (6)

  1. コンクリート構造物の表面から所定の深さまで掘削するステップと、
    前記掘削による掘削孔の内部表面に転写剤を付けて中性化した部分と中性化していない部分とで色分けをするステップと、
    前記色分けの位置を検知可能なプローブを前記掘削孔に挿入し、中性化した部分の深さを測定するステップと、
    を有することを特徴とするコンクリート構造物の中性化深さ測定方法。
  2. 前記測定するステップは、前記プローブの先端で前記掘削孔の内部表面に反射させた光を受光しつつ前記プローブを前記掘削孔の奥へ徐々に挿入していくステップと、
    前記プローブの先端が中性化した部分から中性化していない部分へ移動するときの受光した光の色の変化を検知するステップと、
    前記検知をしたときのプローブが挿入されている深さを測定するステップと、
    を有することを特徴とする請求項1記載のコンクリート構造物の中性化深さ測定方法。
  3. 前記検知をしたときに音で知らせるステップを有することを特徴とする請求項2記載のコンクリート構造物の中性化深さ測定方法。
  4. 内部表面に転写剤が付けられ中性化した部分と中性化していない部分とで色分けされたコンクリート構造物の掘削孔に挿入されるプローブであって、
    先端に設けられ、光を発する発光部と、
    先端に設けられ、前記発光部から発せられ前記掘削孔の内部表面で反射した光を受光する受光部と、
    先端が中性化した部分から中性化していない部分へ移動するときの前記受光部で受光した光の色の変化を検知する検知器と、
    を有することを特徴とするプローブ。
  5. 前記検知器が検知したときに音を発する発音器を有することを特徴とする請求項4記載のプローブ。
  6. 挿入方向に沿った目盛りを外部表面に有することを特徴とする請求項4又は5記載のプローブ。
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