JP2005232592A - 粉末冶金用鉄基混合粉 - Google Patents

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聡 上ノ薗
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Abstract

【課題】圧縮性に優れ、かつ充填性にも優れた粉末冶金用鉄基粉末混合粉を提供する。
【解決手段】アトマイズ純鉄粉と表面に好ましくは粒径20〜100μmの銅粉を部分拡散化して付着させたアトマイズ鉄粉とからなる鉄基粉末と、黒鉛粉末と、あるいはさらに切削性改善用粉末と、さらに遊離潤滑剤と、を含み、黒鉛粉末と切削性改善用粉末とを鉄基粉末表面に結合剤により固着させ、見掛け密度が3.1Mg/m以上とする。鉄基粉末は、少なくとも、鉄基粉末全量に対し、粒径45μm未満の粒子を18.5質量%以下、粒径75μm以上150μm未満の粒子を46質量%以上、粒径150μm以上180μm未満の粒子を10質量%未満、粒径180μm以上の粒子を0.5質量%以下、を含む粒度分布を有する粉末とする。なお、黒鉛粉末は、付着度が85%以上となるように、鉄基粉末表面に固着することが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、粉末冶金用鉄基粉末混合粉に係り、とくに金型への鉄基粉末混合粉の充填性向上に関する。
一般に、粉末冶金用鉄基粉末混合粉(以下、鉄基混合粉ともいう)は、ベースとなる鉄基粉末に、銅粉、黒鉛粉、燐化鉄粉等の合金用粉末と、ステアリン酸亜鉛等の潤滑剤と、さらに必要に応じ、切削性改善用粉末と、を混合して、製造されている。しかし、この鉄基混合粉は、大きさ、形状および密度の異なる、複数種の粉末を含んでいるため、混合後の輸送や、ホッパへの装入や払い出し、あるいは金型に充填し加圧成形等を行うに際し、混合粉のなかで粒子が均一に分布しなくなり、粒子径、形状、化学組成に関し偏析を生じやすい。
例えば、鉄粉と黒鉛粉との混合粉は、輸送中の振動により輸送容器内で鉄粉と黒鉛粉とがそれぞれ勝手に運動し、移動して、混合粉内で均一分布しなくなる。とくに、比重の軽い黒鉛粉が輸送容器内で表面に浮き上がることは良く知られている。また、ホッパに装入された鉄粉と黒鉛粉との混合粉は、ホッパ内の移動に際し偏析を生じる。このため、ホッパから排出される混合粉は、排出の初期、中期、終期でそれぞれ黒鉛粉濃度が大きく異なることもよく知られている。
このような偏析が生じた混合粉を加圧成形して成形体としさらに、焼結して最終製品である焼結体とすると、焼結体ごとに組成が変動し、そのため寸法や強度が大きくばらつき、不良品が生じることにもなる。また、鉄粉に混合する銅粉、黒鉛粉、燐化鉄粉等はいずれも鉄粉より微粉末であるため、混合粉の比表面積を増大させ、その流動性を低下させる。しかも流動性の低下は、混合粉の成形金型への充填速度を低下させ、成形体の生産性を低下させる原因にもなる。
このような偏析を防止する技術として、例えば、特許文献1には、鉄基粉末表面にステアリン酸亜鉛を結合剤として黒鉛粉を付着させた鉄基混合粉が提案されている。また、本発明者らは、特許文献2に、結合剤として金属石鹸と脂肪酸とを用いて合金用粉末を、鉄基粉末表面に付着させる方法を提案した。また、特許文献3には、金属元素を含まない結合剤を用いて合金用粉末を鉄基粉末表面に付着させた鉄基混合粉が提案されている。特許文献3に記載された技術によれば、焼結炉の汚染が軽減できるとしている。
しかしながら、鉄基粉末として、特許文献1、特許文献2、特許文献3に記載された偏析防止技術を施したアトマイズ鉄粉を用いた鉄基混合粉は、成形金型への充填性、特に幅の狭い部分への充填性、に問題を残していた。このような鉄基混合粉を、例えば、ギヤ形状の金型へ充填すると、幅の狭い歯先部分への充填密度が他の部分に比べて小さくなる。このような、部位による充填密度の相違は、焼結時に寸法変化率の部位による相違を生じ、製品(焼結体)の寸法精度が低下することが懸念される。また、このような歯先部分の充填密度の低下は、歯先の焼結密度の低下を招き、ギヤ強度が低下する恐れがある。通常、ギヤにおいては、歯先部分に最大の応力が作用するため、歯先の充填密度を高くすることが望まれている。
このような問題に対し、例えば、特許文献4には、鉄基混合粉を成形金型に均一に充填する方法が提案されている。特許文献4に記載された技術は、粉箱内にガスを流出させるパイプを設置し、該パイプを利用して粉箱内の鉄基混合粉層中にガスを流出させ、鉄基混合粉を均一に充填する方法である。
特開平1-219101号公報 特開平3-162502号公報 特許第3004800号公報 特開平9-267195号公報
しかしながら、特許文献4に記載された技術では、特殊な装置を必要とするため製造コストの高騰を招くという問題がある。
一方、最近では、地球環境保全という観点から、自動車等の燃費低減が要望され、車両の軽量化が図られている。このような傾向に呼応して、自動車部品においても部品の小型化が指向されている。このため、部品にかかる応力が高くなる傾向にあり、高い強度を有する部品が要望されるようになってきた。鉄基焼結部品では、同一成分であれば密度が高いほど高い強度を有するため、原料粉としての鉄基混合粉に優れた圧縮性を有することが要望されている。圧縮性の観点からは、鉄基粉末としてアトマイズ鉄粉が還元鉄粉より優れているが、しかしアトマイズ鉄粉には充填性に劣るという問題が残されていた。
本発明は、かかる従来技術の問題を有利に解決し、圧縮性に優れ、かつ充填性にも優れた粉末冶金用鉄基混合粉を提案することを目的とする。
本発明者らは、上記した課題を達成するために、鉄基粉末と合金用粉末あるいはさらに切削性改善用粉末とを含む鉄基混合粉における、圧縮性と充填性に及ぼす各種要因について鋭意検討した。その結果、合金用粉末である銅粉を鉄基粉末表面に部分拡散化して付着させるとともに、該鉄基粉末を所定の粒度分布を有する粉末とすることにより、鉄基混合粉の金型への充填性が顕著に向上することを見出した。本発明は、かかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨はつぎのとおりである。
(1)鉄基粉末と、黒鉛粉末と、あるいはさらに切削性改善用粉末と、さらに遊離潤滑剤と、を含み、前記黒鉛粉末と前記切削性改善用粉末とが前記鉄基粉末表面に結合剤により固着された鉄基混合粉であって、前記鉄基粉末が、アトマイズ純鉄粉と表面に銅粉を部分拡散化して付着させたアトマイズ鉄粉とからなり、粒径45μm未満の粒子を18.5質量%以下、粒径75μm以上150μm未満の粒子を46質量%以上、粒径150μm以上180μm未満の粒子を10質量%未満、粒径180μm以上の粒子を0.5質量%以下、を含む粒度分布を有することを特徴とする粉末冶金用鉄基混合粉。
(2)(1)において、銅を、0.5〜30質量%含有することを特徴とする粉末冶金用鉄基混合粉。
(3)(1)または(2)において、前記銅粉を、粒径20〜100μmの銅粉とすることを特徴とする粉末冶金用鉄基混合粉。
(4)(1)ないし(3)のいずれかにおいて、前記黒鉛粉末の付着度が85%以上であることを特徴とする粉末冶金用鉄基混合粉。
(5)(1)ないし(4)のいずれかにおいて、前記結合剤の添加量が、前記鉄基粉末と黒鉛粉末と切削性改善用粉末との合計量100重量部に対し、0.1〜1.0重量部であることを特徴とする粉末冶金用鉄基混合粉。
(6)(5)において、前記結合剤が、ステアリン酸、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ステアリン酸アミドとエチレンビスステアリン酸アミドとの溶融混合物およびエチレンビスステアリン酸アミドのうちから選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする粉末冶金用鉄基混合粉。
(7)(5)において、前記結合剤が、オレイン酸、スピンドル油、タービン油のうちから選ばれた1種または2種以上とステアリン酸亜鉛との加熱溶融物であることを特徴とする粉末冶金用鉄基混合粉。
(8)(1)ないし(7)のいずれかにおいて、前記遊離潤滑剤の含有量が、前記鉄基粉末と黒鉛粉末と切削性改善用粉末との合計量100重量部に対し、0.1〜0.5重量部であることを特徴とする粉末冶金用鉄基混合粉。
(9)(8)において、前記遊離潤滑剤が、熱可塑性樹脂粉、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウムのうちから選ばれた1種以上を含み、あるいはさらにステアリン酸、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ステアリン酸アミドとエチレンビスステアリン酸アミドとの溶融混合物、エチレンビスステアリン酸アミド、分子量1万以下のポリエチレン、およびエチレンビスステアリン酸アミドと分子量1万以下のポリエチレンとの溶融混合物のうちから選ばれた1種または2種以上を含むことを特徴とする粉末冶金用鉄基混合物。
(10)(9)において、前記熱可塑性樹脂粉が、単量体であるアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルおよび芳香族ビニル化合物のうちから選ばれた少なくとも1種を前記熱可塑性樹脂粉全量に対し50質量%以上含有し、かつ一次平均粒径が0.03〜5μm、凝集平均粒径が5〜50μm、溶液比粘度法で測定した平均分子量が3万〜500万の熱可塑性樹脂粉であることを特徴とする粉末冶金用鉄基混合物。
本発明によれば、金型への充填性に優れ、とくに幅の狭いキャビティを有する金型へ充填しても、質量ばらつきの少ない成形体を製造することができるという、産業上格段の効果を奏する。
本発明の粉末冶金用鉄基混合粉は、鉄基粉末と、黒鉛粉末と、あるいはさらに切削性改善用粉末と、さらに、結合剤、遊離潤滑剤と、を含み、見掛け密度が3.1Mg/m以上である鉄基混合粉である。
本発明で使用する鉄基粉末は、アトマイズ純鉄粉と、アトマイズ純鉄粉表面に銅粉を部分拡散化して付着させたアトマイズ鉄粉との混合粉を使用する。アトマイズ純鉄粉を使用することにより、鉄基混合粉の圧縮性が向上する。銅粉を拡散付着させていないアトマイズ純鉄粉の好適な混合量は、鉄基粉末全体に対して、99質量%以下であるが、特に50〜90質量%混合することが好ましい。本発明で主として使用するアトマイズ純鉄粉は、溶湯から水アトマイズ法で製造された、C:0.3質量%未満、O:0.3〜0.9質量%を含む水アトマイズ純鉄粉とすることが好ましい。鉄粉中のC含有量が0.3質量%以上では、仕上還元処理後に得られる鉄粉の圧縮性が低下する。また、O含有量が0.3質量%未満では、銅粉の部分拡散化熱処理時にCuの拡散が促進され固溶硬化して鉄粉の圧縮性が低下する。アトマイズ純鉄粉のC、O以外の不可避的不純物としては、0.2質量%以下のSi、0.2質量%以下のMn、0.01質量%以下のP、0.01質量%以下のSが許容できる。
本発明では、合金用粉末としての銅粉を、アトマイズ純鉄粉の表面に部分拡散化して付着させる。銅粉をアトマイズ純鉄粉表面に部分拡散化して付着することにより、鉄基混合粉の充填性が顕著に向上する。
銅粉を、アトマイズ純鉄粉の表面に部分拡散化して付着させるには、好ましくは粒径20〜100μmの銅粉を、アトマイズままの純鉄粉に、混合し混合粉としたうえで、熱処理を施しアトマイズ純鉄粉表面に銅粉を部分拡散させる方法が好ましい。付着させる銅粉の粒径が20μm未満では、部分拡散化付着させたのち施される仕上還元熱処理中に鉄粉粒子中に拡散するCu量が増加し、鉄基混合粉の圧縮性が低下する。一方、粒径が100μmを超えて大きくなると、拡散付着が不十分となり、鉄基混合粉の充填性が低下する原因となる。銅粉の平均粒径としては、篩分級により得られた粒度分布を基に質量規準の積算分率50%における粒径を採用した。銅粉は純銅粉(電解銅粉、アトマイズ銅粉、これらをさらに粉砕あるいは造粒したもの)でもよいが、1質量%以下の混入元素は許容される。
また、銅は、鉄基混合粉全量に対し、0.5〜30質量%とすることが好ましい。銅が1質量%未満では、所期した合金化効果が期待できない。一方、30質量%を超えると、製造コストの高騰を招く。
銅粉の部分拡散化付着熱処理としては、特開昭53−92306号公報に記載された2回熱処理を行う方法でもよいが、還元雰囲気中、好ましくは水素ガスを含むガス雰囲気中で、昇温速度:20〜150℃/min、熱処理温度:820〜1000℃とする熱処理を行う方法が好ましい。この方法によれば、1回の熱処理で銅粉の部分拡散化付着が可能となり、経済的にも有利となる。
なお、銅粉が鉄基粉末に充分付着しているか否かは、鉄基混合粉全体中の銅の含有率に対する、325 メッシュ(45μm)を通過した鉄基混合粉中の銅の含有率の比、すなわち(325 メッシュを通過した鉄基混合粉中の銅の含有率)/(鉄基混合粉全体中の銅の含有率)で定義される銅付着度で、例えば評価することができる。すなわち、銅粉の凝集粒径が5〜28μmであるのに対して 325メッシュを通過する鉄基粉末粒子数は比較的少ないので、遊離状態(鉄基粉末表面に付着していない)の銅粉が多いほど、前記の銅付着度の値は大きくなる。他方、銅粉が全て鉄基粉末に(鉄基粉末粒径に関係なく)均一に付着していれば、銅付着度は1となる。本発明者らは、偏析やダスト等について検討・調査した結果、銅付着度が2以下であれば実際上問題ないことを確認した。
さらに、本発明で使用する鉄基粉末は、圧縮性と充填性の観点から、鉄基混合粉全量に対し、粒径45μm未満の粒子を18.5質量%以下、粒径75μm以上150μm未満の粒子を46質量%以上、粒径150μm以上180μm未満の粒子を10質量%未満、粒径180μm以上の粒子を0.5質量%以下、を含む粒度分布を有する粉末とする。なお、充填性の観点からは、粒径180μm以上の粒子を0.1質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは、最大粒径を180μm未満とすることである。また、更なる充填性向上の観点からは、粒径75μm以上150μm未満の粒子を48質量%以上とすることが好ましく、より好ましくは、50質量%以上である。また、更なる充填性向上の観点からは、粒径45μm未満の粒子を15.0質量%未満、さらに好ましくは、12.7質量%未満である。
鉄基混合粉の粒度分布で、少なくとも、粒径45μm未満の粒子が18.5質量%超、粒径75μm以上150μm未満の粒子が46質量%未満、粒径150μm以上180μm未満の粒子が10質量%以上、粒径180μm以上の粒子が0.5質量%超、のいずれかを満足する場合には、鉄基混合粉の充填性が劣化する。なお、粒径45μm以上75μm未満の粒子は、圧縮性、充填性に大きな影響を及ぼさないため、本発明ではとくにそれらの含有量を限定しない。
なお、鉄基粉末の粒度分布は、日本粉末冶金工業会規格JPMA P02−1992に規定されるふるい分布法により測定された値を用いるものとする。
本発明の混合粉製造で使用する鉄基粉末は、上記した粒度分布を有し、かつ見掛け密度が2.85Mg/m以上、好ましくは2.90Mg/m以上の鉄粉とする。これにより、圧縮性と充填性を兼ね備えた鉄基混合粉となる。見掛け密度が2.85Mg/m未満では、鉄基混合粉の充填性が大きく低下する。なお、見掛け密度は、日本粉末冶金工業会規格JPMA P06−1992に準拠して測定する。使用する鉄基粉末は、例えば市販のアトマイズ純鉄粉や、解砕された銅粉の部分拡散化熱処理を施されたアトマイズ鉄粉、篩で分級したのち、上記した粒度分布となるように配合することが好ましい。
なお、本発明の鉄基混合粉は鉄基粉末の他に、合金元素粉としての黒鉛粉末、結合剤、遊離潤滑剤、および好ましくは切削性改善用粉末を含有する。黒鉛粉末、切削性改善用粉末は、鉄基粉末と黒鉛粉末と切削性改善用粉末との合計量に対し、それぞれ3質量%以下、5質量%以下、とすることが好ましい。また、結合剤、遊離潤滑剤は、鉄基粉末、黒鉛粉末、あるいはさらに切削性改善用粉末との合計量100重量部に対し、それぞれ0.1〜1.0重量部、0.1〜0.5重量部とすることが好ましい。そのため、本発明の鉄基混合粉の製造にあたり使用する鉄基粉末中の銅含有量は、最終的な鉄基混合粉中の含有量よりも10質量%程度大きくして配合を行う。また、本発明の鉄基混合粉の製造にあたり使用する鉄基粉末の粒度分布は、ほぼ鉄基混合粉の粒度分布となるが、鉄基混合粉に対する鉄基粉末の含有量が95質量%以上の場合は、鉄基粉末の粒度分布が鉄基混合粉の粒度分布に一致する。
また、本発明では、黒鉛粉末、あるいはさらに切削性改善用粉末を、結合剤を用いて鉄基粉末表面に固着させる、偏析防止処理を施す。これにより、遊離した状態で存在する黒鉛粉末、切削性改善用粉末が減少し、鉄基混合粉の充填性が向上する。なお、黒鉛粉末の固着程度を示す付着度は85%以上とすることが好ましい。黒鉛粉末の付着度が85%未満では、所望の充填性が得られず充填性不十分となる。なお、本発明でいう黒鉛粉末の付着度は、粒径が75μm(200 メッシュ)〜150μm(100 メッシュ)の鉄基混合粉( 100メッシュを通過しかつ 200メッシュを通過しない鉄基混合粉)のC分析値に対する鉄基混合粉全体のC分析値との比をいうものとする。合金用粉末として鉄基混合粉に含有される黒鉛粉末は、鉄基粉末、黒鉛粉末、あるいはさらに切削性改善用粉末の合計量に対し、3質量%以下とすることが好ましい。なお、合金化効果(焼結体の強度や焼入れ性の改善)の観点から 0.3質量%以上の添加が好ましい。
また、鉄基混合粉には、焼結体の切削性を改善する切削性改善用粉末が必要に応じ混合されるが、切削性改善用粉末としては、焼結体に要求される特性を考慮して、タルク粉、金属硫化物粉、CaF2などの金属フッ化物粉、いわゆるヒドロキシアパタイトや燐酸水素1水素カルシウム、ピロリン酸カルシウムなどのリン酸Ca化合物粉等が選定される。切削性改善用粉末は、鉄基粉末、黒鉛粉末および切削性改善用粉末の合計量に対し、5質量%以下混合することが好ましい。
本発明では、黒鉛粉末、あるいはさらに切削性改善用粉末を鉄基粉末表面に固着し、偏析を防止するために、結合剤が混合される。結合剤としては、ステアリン酸、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ステアリン酸アミドとエチレンビスステアリン酸アミドとの溶融混合物およびエチレンビスステアリン酸アミドのうちから選ばれた1種または2種以上、あるいは、オレイン酸、スピンドル油、タービン油のうちから選ばれた1種または2種以上とステアリン酸亜鉛との加熱溶融物とすることが好ましい。本発明では、結合剤の含有量は、鉄基粉末と黒鉛粉末と切削性改善用粉末との合計量100重量部に対し、0.1〜1.0重量部とすることが好ましい。0.1重量部未満では、黒鉛粉等の偏析防止効果が認められない。一方、1.0重量部を超えて含有すると、鉄基混合粉の充填性が低下する。
また、鉄基混合粉には、鉄基混合粉の流動性を高め、金型への充填性を改善するとともに鉄基混合粉を金型中で加圧成形する際に摩擦熱で溶融ないし軟化して成形体の抜き出し力を低下させるために潤滑剤が混合される。潤滑剤がこのような作用を発揮するには、潤滑剤が遊離潤滑剤として存在する必要がある。本発明でいう、遊離潤滑剤とは、鉄基混合粉中で鉄基粉末、黒鉛粉末等とは結合せず、遊離して存在する潤滑剤とする。遊離潤滑剤の含有量は、鉄基粉末、黒鉛粉末、切削性改善用粉末の合計量100重量部に対し、0.1〜0.5重量部とすることが好ましい。遊離潤滑剤の含有量が0.1重量部未満では、鉄基混合粉の充填性が低下する。一方、0.5重量部を超えて含有すると充填性が低下するとともに成形密度が低下する。遊離潤滑剤を上記の範囲で含有させることにより、鉄基混合粉の見掛密度は3.1Mg/mまで高まる。
遊離潤滑剤としては、熱可塑性樹脂粉、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウムのうちから選ばれた1種または2種以上とするか、あるいは熱可塑性樹脂粉、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウムのうちから選ばれた1種以上に、さらにステアリン酸、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ステアリン酸アミドとエチレンビスステアリン酸アミドとの溶融混合物、エチレンビスステアリン酸アミド、分子量1万以下のポリエチレン、およびエチレンビスステアリン酸アミドと分子量1万以下のポリエチレンとの溶融混合物のうちから選ばれた1種または2種以上を添加したものとしてもよい。
なお、熱可塑性樹脂粉、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウムのうちから選ばれた1種または2種以上の含有量は、鉄基混合粉の流動性、金型への充填性の観点から、鉄基粉末、黒鉛粉末、切削性改善用粉末の合計量100重量部に対し、0.05重量部以上とすることが好ましい。
また、熱可塑性樹脂粉は、単量体であるアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルおよび芳香族ビニル化合物のうちから選ばれた少なくとも1種を、熱可塑性樹脂粉全量に対し50質量%以上含有し重合したものとすることが好ましい。なお、単量体は、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルおよび芳香族ビニル化合物のうちの1種を単独、あるいは2種以上組み合わせても、いずれでもよい。
アクリル酸エステルとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、t−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルアクリレート、n−オクチルアクリレート等が例示できる。
メタクリル酸エステルとしては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート等が例示できる。なお、なかでもメチルメタクリレートが好適である。
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、およびこれらの単量体のベンゼン核に、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が置換された単量体、たとえば、ビニルトルエン、イソブチルスチレン等が例示できる。
また、上記した3種の単量体のうちの少なくとも1種の単量体に、共重合可能な他の単量体を、上記した3種の単量体全量に対し、50質量%未満添加して、熱可塑性樹脂粉としたものを遊離潤滑剤として使用してもよい。
上記した3種の単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、
アクリル酸、メタクリル酸、2−エチルアクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸などの不飽和モノカルボン酸;
マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸等の不飽和ジカルボン酸やその無水物;
マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル等の不飽和ジカルボン酸のモノエステルやその誘導体;
グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジル−p−ビニルベンゾエート、メチルグリシジルイタコネート、エチルグリシジルマレエート、グリシジルビニルスルホネート等のクリシジルエーテル類;
ブタジエンモノオキシド、ビニルシクロヘキセンモノオキシド、5,6−エポキシヘキセン、2−メチル−5,6−エポキシヘキセン等のエポキシドオレフィン類;
アアクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;
ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、シクロペンタジエン等の共役ジエン系化合物;
1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン等の非共役ジエン系化合物;
を挙げることができる。
また、共重合可能な単量体として、反応性が実質上等しい2個以上の二重結合を有する架橋性単量体を、上記した3種の単量体全量に対し0.1〜2質量%添加してもよい。
架橋性単量体としては、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、オリゴキシエチレンジアクリレート、オリゴキシエチレンジメタクリレート、さらにはジビニルベンゼン等の芳香族ジビニル単量体、トリメリット酸トリアクリル、トリアニルイソシアネート等を用いることができる。
そして、これら熱可塑性樹脂粉は、一次平均粒径が0.03〜5μm、凝集平均粒径が5〜50μm、溶液比粘度法で測定した平均分子量が3万〜500万の熱可塑性樹脂粉とすることが好ましい。
本発明でいう、一次平均粒径とは図2に示すように、熱可塑性樹脂粉の個々の粒子(一次粒子1)の粒径3の平均値を意味する。また、凝集平均粒径とは、一次粒子1が凝集して形成する凝集粒子2の粒径4の平均値を意味する。一次平均粒径は、走査型電子顕微鏡で凝集粒子を観察し、撮像した写真から、凝集粒子を形成している一次粒子50個以上の径(一次粒径)を実測し、平均したものである。また、凝集平均粒径は、同様に走査型電子顕微鏡で凝集粒子を観察し撮像した写真から、凝集粒子50個程度について粒径を測定し平均した値である。
また、本発明では、平均分子量は、溶液比粘度法で測定するものとする。溶液比粘度法とは、試料樹脂0.2gをテトラヒドロフラン50mlに溶解した溶液の35℃における粘度Aを、同じ温度の溶媒(テトラヒドロフラン)の粘度Bに対する比、A/B(比粘度)として求め、平均分子量既知の各種標準ポリスチレンで予め定めた比粘度−平均分子量の関係から、試料樹脂の平均分子量を求める方法である。
熱可塑性樹脂粉の一次平均粒径は0.03〜5μmとすることが好ましい。一次平均粒径が0.03μm未満では、鉄基混合粉の製造コストが高騰し、工業製品として高価になりすぎる。一方、5μmを超えると、成形体密度が低下する。なお、一次平均粒径は0.03〜3μmとするのがより好ましい。
熱可塑性樹脂粉の凝集平均粒径は、5〜50μmとすることが好ましい。凝集平均粒径が5μm未満では、鉄基混合粉の流動性、ホッパ排出性が低下する。一方、50μmを超えて大きくなると、焼結体の引張強さが従来品より低下する。なお、凝集平均粒径は、10〜40μmとすることがより好ましい。
なお、熱可塑性樹脂粉は、一次平均粒径の異なる2種以上の熱可塑性樹脂粉を混合することができるが、その場合、混合した各粉末の粒径の平均値(各粉末のそれぞれの質量を用いた荷重平均)が0.03〜5μmとなるように混合比率を調整することが好ましい。
さらに、熱可塑性樹脂粉の溶液比粘度法で測定した平均分子量は3万〜500万の範囲内とすることが好ましい。平均分子量が3万未満では、鉄基混合粉の製造コストが高くなる。一方、平均分子量が500万超えでは、鉄基混合粉の流動性とホッパ排出性が従来品より低下する。
上記した熱可塑性樹脂粉の製造方法については、本発明では特に限定されないが、従来よりポリメチルメタクリレート等の微細樹脂粉末の製造に用いられている方法がいずれも好適である。これらの方法のなかでも、粒径が極微細とならず、且つ球状粒子が得られる重合法、例えば、微細懸濁重合法、乳化重合法、播種乳化重合法などが好適である。
微細懸濁重合法としては、ラジカル重合開始剤として油溶性開始剤を用い、重合開始前に単量体油滴の粒径を均質化処理して予め調節し、均質分散重合させる方法が好適である。
油溶性のラジカル重合開始剤としては、例えば、
ベンゾイルパーオキサイド、ジー3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;
ジイソプロピルパーオキシジカ−ボネート、ジーsec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類;
t−ブチルパーオシキピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート等のパーオキシエステル類;
アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、ジサクシニックアッシドパーオキサイド等の有機過酸化物;
2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2´−アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物;
などを使用することができる。
また、これらのラジカル重合開始剤は、1種を単独でも、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。その使用量は、単量体の種類と量及び仕込方式などによって適宜選択することができるが、通常、使用単量体100重量部当り、0.001〜5.0重量部の範囲で使用することが好ましい。
なお、微細懸濁重合法の実施に際しては、通常、界面活性剤や分散剤が用いられる。
界面活性剤としては、例えば、
ラウリル硫酸エステルナトリウム、ミリスチル硫酸エステルナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩類;
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩類;
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸エステル塩類;
ラウリン酸アンモニウム、ステアリン酸カリウム等の脂肪酸塩類;
ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩類;
ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸エステル塩類;
ドデシルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤類;
ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のソルビタンエステル類;
ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類等のノニオン性界面活性剤類;
セチルピリジニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド等のカチオン性界面活性剤;
などを挙げることができる。
また、分散剤としては、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン等を挙げることができる。
これらの界面活性剤や分散剤は、1種を単独でも、あるいは2種以上を組み合わせて用いても良い。その使用量は、通常、使用単量体100重量部当り、0.05〜5重量部、好ましくは0.2〜4重量部の範囲で適宜選択することができる。
また、該微細懸濁重合法では、まず水性媒体中に、油溶性開始剤、単量体、界面活性剤及び必要に応じて用いられる高級脂肪酸類や高級アルコール類などの重合助剤その他の添加剤を加えて予め混合し、ホモジナイザーにより均質化処理して、油滴の粒径調整を行う。ホモジナイザーには、例えば、コロイドミル、振動攪拌機、二段式高圧ポンプ、ノズルやオリフィス等からの高圧噴出、超音波攪拌等が利用できる。加えて、油滴粒径の調節は、均質化処理時の剪断力の制御、重合中の攪拌条件、反応装置の形式、界面活性剤や添加剤の量等に影響されるが、これらは、簡単な予備実験により適当な条件を選択することができる。そして、全単量体の均質化処理液を重合缶に送り、ゆっくりと攪拌しながら昇温し、通常30〜80℃の範囲の温度において重合を行う。
このようにして一次平均粒径が0.03〜5.0μmの熱可塑性樹脂粉末の粒子が均質に分散した乳化液または懸濁液を得ることができる。この乳化液又は懸濁液を噴霧乾燥したり、あるいは、熱可塑性樹脂粒子を凝集した後に、ろ過して液漿を分離し、乾燥、粉砕することで熱可塑性樹脂粉末を得ることができる。その熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、反応温度や重合度調節剤で所望の値に調節すれば良い。
次に、本発明に係る鉄基混合粉の好ましい製造方法の一例について説明する。
まず、アトマイズ純鉄粉と、アトマイズ純鉄粉表面に銅粉を部分拡散化して付着させたアトマイズ鉄粉とからなり、上記したような粒度分布を有する鉄基粉末に、黒鉛粉末あるいはさらに切削性改善用粉末と、さらに結合剤を、鉄基粉末、黒鉛粉末および切削性改善用粉末の合計量100重量部に対して、0.1〜1.0重量部配合して混合し、混合物とする。結合剤としては、ステアリン酸、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ステアリン酸アミドとエチレンビスステアリン酸アミドとの溶融混合物およびエチレンビスステアリン酸アミドのうちから選ばれた1種または2種以上とすることが好ましい。
この混合物を加熱しながら混合して、一次混合物とする。一次混合物の加熱温度は、結合剤が1種の場合には、その融点より10〜100℃高い温度で、結合剤が2種以上の場合には、それら結合剤の融点のうちの最低値より10℃以上、それら結合剤の融点のうちの最高値以下の温度とすることが好ましい。この加熱により、少なくとも1種の結合剤を溶融させる。上記した下限温度未満では、結合剤の結合機能が発揮されず、また上記した上限温度を超えると、熱分解等により結合機能が低下すると共に、ホッパ排出性が低下する。
ついで、この一次混合物を冷却することにより、鉄基粉末の表面に黒鉛粉末あるいはさらに切削性改善用粉末が強固に付着する。
鉄基粉末の表面に黒鉛粉末あるいはさらに切削性改善用粉末を固着した一次混合物に、さらに潤滑剤を、鉄基粉末、黒鉛粉末および切削性改善用粉末の合計量100重量部に対し、0.1〜0.5重量部添加しさらに混合(二次混合)し、鉄基混合粉とすることが好ましい。二次混合の温度は、添加する潤滑剤の最低の融点未満とすることが好ましい。なお、より好ましくは室温である。二次混合で添加した潤滑剤は遊離潤滑剤となり、鉄基粉末等とは結合せず遊離状態で混合粉中に存在する。二次混合で添加する潤滑剤としては、上記した熱可塑性樹脂粉、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウムのうちから選ばれた1種または2種以上を必ず含み、必要に応じて、ステアリン酸、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ステアリン酸アミドとエチレンビスステアリン酸アミドとの溶融混合物、エチレンビスステアリン酸アミド、分子量1万以下のポリエチレン、エチレンビスステアリン酸アミドと分子量1万以下のポリエチレンとの溶融混合物、のうちから選ばれた1種または2種以上を含む潤滑剤とすることが好ましい。
また、本発明の鉄基混合粉は次のような(1)〜(4)の工程により製造してもよい。
(1)アトマイズ純鉄粉と、アトマイズ純鉄粉表面に銅粉を部分拡散化して付着させたアトマイズ鉄粉とからなり、上記したような粒度分布を有する鉄基粉末に、黒鉛粉末あるいはさらに切削性改善用粉末とを加えて、さらに液状の結合剤をスプレー噴霧したのち混合して一次混合物とする。液状の結合剤としては、オレイン酸、スピンドル油、タービン油のうちの1種または2種以上を用いることが好ましい。
(2)これら一次混合物に、ステアリン酸亜鉛を添加し、混合して二次混合物とする。ステアリン酸亜鉛の添加量は、オレイン酸、スピンドル油、タービン油のうちの1種または2種以上との合計量で、鉄基粉末、黒鉛粉末および切削性改善用粉末の合計量100重量部に対して、0.1〜1.0重量部の範囲とする。
(3)その二次混合物を、110〜150℃に加熱しながら混合する。この加熱により、少なくともステアリン酸亜鉛とオレイン酸、スピンドル油、タービン油のうちの1種以上が加熱溶融する。ついで、この二次混合物を冷却することにより、鉄基粉末の表面に黒鉛粉末あるいはさらに切削性改善用粉末が強固に付着する。
(4)鉄基粉末の表面に黒鉛粉末あるいはさらに切削性改善用粉末を固着した二次混合物に、さらに潤滑剤を添加して、三次混合して、鉄基混合粉とする。三次混合の温度は、添加する潤滑剤の融点のうちの最低値未満とすることが好ましい。なお、より好ましくは室温である。また、添加する潤滑剤の量は、鉄基粉末、黒鉛粉末および切削性改善用粉末の合計量100重量部に対して、0.1〜0.5重量部とすることが好ましい。三次混合時に添加した潤滑剤は、鉄基粉末等とは結合せず遊離状態で存在する、遊離潤滑剤となる。三次混合で添加する潤滑剤としては、上記した熱可塑性樹脂粉、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウムのうちから選ばれた1種または2種以上を必ず含み、必要に応じて、ステアリン酸、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ステアリン酸アミドとエチレンビスステアリン酸アミドとの溶融混合物、エチレンビスステアリン酸アミド、分子量1万以下のポリエチレン、エチレンビスステアリン酸アミドと分子量1万以下のポリエチレンとの溶融混合物、のうちから選ばれた1種または2種以上を含む潤滑剤とすることが好ましい。
なお、本発明の鉄基混合粉は、上記した製造方法に限定されるものでないことはいうまでもない。
本発明の鉄基混合粉は、一般の粉末冶金における工法を適用して、機械部品の製造に供することができる。具体的には、本発明の鉄基混合粉を、金型に充填し圧縮成形したのち、必要に応じてサイジングを行い、焼結し、焼結体とする。焼結後さらに浸炭焼入れ、光輝焼入れ、高周波焼入れ等の熱処理を施し、製品(機械部品等)とする。
なお、たとえば、有機溶剤に溶解あるいは分散させた結合剤と、鉄基粉末と、合金粉末あるいはさらに切削性改善用粉末とを混合したのち、有機溶媒を蒸発させ、鉄基粉末表面に合金粉末、切削性改善用粉末を固着させ、しかるのちに潤滑剤を添加混合して鉄基混合粉としてもよい。
(実施例1)
表1に示すNo.1〜No.4のアトマイズ純鉄粉(水アトマイズまま未還元)に、表1に示す種類、粒径の異なるNo.イ〜No.ヘの銅粉を表1に示す混合量添加し、混合して混合粉とした。ついでこれら混合粉に、銅粉の部分拡散化付着熱処理を施し、ついで、解砕、分級し、表2に示す粒度分布、見掛け密度を有する、表面に銅粉が部分拡散化付着したアトマイズ鉄粉No.1〜No.7とした。なお、粒度分布は、日本粉末冶金工業会規格JPMA P02−1992規定のふるい分布法を用いた。見掛け密度は日本粉末冶金工業会規格JPMA P06−1992に準拠して測定した。部分拡散化付着熱処理は、得られた上記混合粉をH2雰囲気の熱処理炉に装入し、昇温速度:50℃/minで昇温し、880℃で1h間保持する熱処理とした。
ついで、表3に示す粒度分布を有する市販のアトマイズ純鉄粉(鉄粉No.a、No.b)または表3に示す粒度分布に調整したアトマイズ純鉄粉(鉄粉No.c)に、表2に示す粒度分布、見掛け密度を有する表面に銅粉が部分拡散化付着したアトマイズ鉄粉(アトマイズ鉄粉No.1〜No.7)を、表4に示す組合せ、混合量で添加し、混合して表4に示す粒度分布、見掛け密度を有する鉄基粉末(鉄基粉末No.A〜No.M)とした。なお、鉄粉No.aはJFEスチール製KIP301A(銘柄)、鉄粉No.bはJFEスチール製KIP260A(銘柄)である。なお、鉄基粉末No.F〜No.Mは、予めアトマイズ純鉄粉を表4に示す粒度分布となるように篩い分けしたのち、表2に示す銅粉が部分拡散化付着したアトマイズ鉄粉を表4に示す混合量添加しVブレンダーで混合し鉄基粉末とした。なお、鉄基粉末No.Nは、銅粉が部分拡散化付着したアトマイズ鉄粉を含まないアトマイズ純鉄粉(アトマイズ純鉄粉No.a)のみの鉄基粉末である。
表4に示す鉄基粉末990gと、黒鉛粉末(平均粒径23μm)10gとに、結合剤として
表7に示す配合量のオレイン酸、スピンドル油、タービン油のうちの1種をスプレー噴霧したのち、混合する一次混合を行った。なお、鉄基混合粉No.16(従来例)では、鉄基粉末として銅粉が表面に部分拡散化付着した鉄系粉末を使用しない鉄基粉末No.N(アトマイズ純鉄粉のみ)を用い、鉄基粉末に黒鉛粉末、さらに銅粉(電解銅粉:平均粒径23μm)を添加した。また、鉄基混合粉No.22およびNo.23においては、黒鉛粉末の添加量を変えると共に、切削性改善用粉末を添加した。いずれの場合も、各粉末の含有率は表7に示した値に従い、また、鉄基粉末、合金用粉末および切削性改善用粉末の合計は1000gとした。
ついで、一次混合した混合粉に、結合剤として表7に示す量のステアリン酸亜鉛を添加して、加熱混合機に装入して十分に混合して混合物とした。そして、この混合物を表7に示す二次混合加熱温度に加熱しながら混合し、二次混合物とした。
引き続き、二次混合物を混合しながら85℃以下に冷却した。さらに40℃まで冷却した後、遊離潤滑剤となる、表7に示す種類、量の潤滑剤を添加し、均一になるように三次混合したのち、加熱混合機から排出し、鉄基混合粉とした。なお、三次混合時に添加した熱可塑性樹脂粉の記号と種類との関係は表5に、組成、重合法、一次平均粒径、凝集平均粒径および平均分子量とともに示す。また、熱可塑性樹脂粉、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム以外の遊離潤滑剤の記号と種類の関係を表6に示す。
得られた鉄基混合粉について、黒鉛粉末の付着度、見掛け密度、充填性、圧粉密度(圧縮性)、を求めた。測定方法を以下に示す。
(1)黒鉛粉末の付着度
鉄基混合粉に含まれる黒鉛粉の偏析程度を示す尺度として、黒鉛粉末の付着度を測定した。得られた鉄基混合粉を篩分けし、100メッシュ(目開き:150μm)の篩を通過し、200メッシュ(目開き:75μm)の篩を通過しない粉について、炭素の定量分析を行った。また、得られた鉄基混合粉全体の炭素の定量分析も行った。これらの結果から、下記に定義される黒鉛粉末の付着度を用いて、偏析性を評価した。この値が大きいほど、鉄基混合粉での黒鉛粉末の偏析が小さいことを意味する。
黒鉛粉末の付着度(%)={(100メッシュを通過し200メッシュを通過しない範囲の粒度の鉄基混合粉のC分析値)/(鉄基混合粉全体のC分析値)}×100
(2)銅粉の付着度(銅付着度)
鉄基混合粉を篩分けし、 325 メッシュ(目開き:45μm)の篩を通過する粉について、銅の定量分析を行った。また、篩分け前の、鉄基混合粉全体の銅の定量分析も行った。これらの結果から、下記に定義される銅粉の付着度を評価した。この値が小さく1に近いほど、鉄基粉末への銅粉の付着が強固であることを意味する。
銅粉の付着度=( 325メッシュを通過する粒度の鉄基混合粉の銅分析値)/(鉄基混合粉全体の銅分析値)
(3)見掛け密度
得られた鉄基粉末混合粉の見掛け密度は、日本粉末冶金工業会規格JPMA P06−1992に準拠して測定した。
(4)充填性
図1にその配置を模式的に示す装置を用いて、得られた鉄基混合粉の充填性を調査した。鉄基混合粉150gを充填した粉箱(大きさ:100×60×20mm)を、200mm/sの速度で金型方向に移動させ、t=0.5mmのキャビテイ(長さ60×深さ60mm)を有する金型の真上で停止させ、1s間保持し、鉄基混合粉を金型に充填したのち200mm/sの速度で後退させた。充填後、480MPaの圧力で成形し成形体とした。なお、同一鉄基混合粉で10個の成形体を作製した。
得られた成形体の質量を測定し、充填密度(=(成形体質量)/(キャビティの体積))を求めた。この充填密度を鉄基混合粉の見掛け密度で割った値を充填値として、充填性を評価した。なお、充填値は成形体10個の平均とした。充填値が大きいほど充填性がよいことを示す。また、各鉄基混合粉について、得られた成形体(10個)の質量ばらつきから、質量ばらつきの平均成形体質量に対する比、(質量の標準偏差)/(平均成形体質量)、を求め、各鉄基混合粉の成形体質量ばらつきを評価した。なお、従来例(鉄基混合粉No.16)の値を基準(=1.00)として相対値で評価した。
(5)圧粉密度(圧縮性)
得られた鉄基混合粉を、直径25mmφ×高さ20mmのタブレットに圧力490MPaで成形し、成形体とした。これら成形体の密度(圧粉密度)を測定し、圧縮性を評価した。
得られた結果を表8に示す。
本発明例はいずれも、見掛け密度が3.10Mg/m3以上であり、黒鉛粉末の付着度が85%以上と大きく偏析性が小さく、さらに充填値が0.84以上と充填性に優れ、さらに圧粉密度が6.85Mg/m3以上と圧縮性に優れており、成形体の質量ばらつきも従来例に比べ小さい混合粉となっている。なお、部分拡散化付着させる銅粉の粒径が好適範囲(20μm以下)を外れる本発明例(鉄基混合粉No.11)では圧粉密度(圧縮性)が若干低下している。
一方、鉄基粉末の粒度分布および/または見掛け密度が本発明の範囲を外れる比較例は、
充填値が小さく充填性が劣化して、成形体の重量ばらつきが大きくなっている。鉄基粉末として、表面に銅粉を部分拡散化付着した鉄粉を使用しない従来例(鉄基混合粉No.16)は、充填値が低く充鎮性が低下し、特に成形体の質量ばらつきが大きくなっている。
(実施例2)
表4に示す鉄基粉末990gと、黒鉛粉末(平均粒径23μm)10gと、表9に示す種類、量の結合剤とを加熱混合機に装入して十分に混合し、さらに、混合を続けながら、表8に示す一次混合加熱温度に加熱する一次混合を行った。引き続き、混合しながら、一次混合物を85℃以下に冷却した。さらに、40℃まで冷却した後、遊離粉末となる、表9に示す種類、量の潤滑剤を添加し、均一になるように二次混合したのち、加熱混合機から排出し、鉄基混合粉を得た。なお、鉄基混合粉No.2−16(従来例)では、鉄基粉末を銅粉が表面に部分拡散化付着したアトマイズ鉄粉を使用しない鉄基粉末No.N(アトマイズ純鉄粉のみ)とし、この鉄基粉末No.N970gに,黒鉛粉末10gと、さらに銅粉(電解銅粉:平均粒径23μm)20gを添加し、一次混合した。
また、鉄基混合粉No.2−18においては、切削性改善用粉末を添加し、No.2−19においては、黒鉛粉末の添加量を変えると共に、切削性改善用粉末を添加した。この場合も、各粉末の含有率は表9に示した値に従い、また、鉄基粉末、合金用粉末および切削性改善用粉末の合計は1000gとした。
なお、二次混合時に添加した熱可塑性樹脂粉の記号と種類との関係は表5に、組成、重合方法、一次粒径、凝集粒径および平均分子量とともに示す。また、熱可塑性樹脂粉、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム以外の遊離潤滑剤の記号と種類の関係を表6に示す。
得られた鉄基混合粉について、実施例1と同様に、黒鉛粉末の付着度、銅粉の付着度、見掛け密度、充填性、圧粉密度(圧縮性)を測定した。なお、成形体質量ばらつきは、従来例(鉄基混合粉No.2−16)の値を基準(=1.00)として相対値で評価した。
得られた結果を表10に示す。
本発明例はいずれも、見掛け密度が3.1 Mg/m3以上であり、黒鉛粉末の付着度が85%以上と大きく偏析性が小さく、さらに充填値が0.89以上と充填性に優れ、さらに圧粉密度が6.85Mg/m3以上と圧縮性に優れており、成形体の重量ばらつきも従来例に比べ小さい混合粉となっている。なお、部分拡散化付着させる銅粉の粒径が好適範囲(20μm以上)を外れる本発明例(鉄基混合粉No.2−11)では圧粉密度(圧縮性)が若干低下している。
一方、鉄基粉末の粒度分布および/または見掛け密度が本発明の範囲を外れる比較例は、
充填値が小さくなり充填性が劣化し、成形体の質量ばらつきが大きくなっている。
(実施例3)
実施例1の鉄基混合粉No.1,20,16および実施例2の鉄基混合粉No.2−1およびNo.2−16について、それぞれ1トンを製造した。各々の混合粉を用いた粉末冶金法により、図3Aおよび図3Bに示す形状の、厚さ10mmの平歯車を連続で1000個製造した(寸法の単位はmm)。図3Aの歯部は略記形式で示したが、基準ピッチ円径(一点鎖線で示された基準ピッチ円の直径)38mm,歯先径40mm,歯数38個(モジュール=1)の歯である。なお歯形はインボリュート歯形とした。
歯車形状への混合粉の充填は、図3Aをキャビティ部の平面形状とする金型を用いた、図1に類似の充填装置を用いて行った。ここで、粉箱は移動速度 250m/sec でキャビティ直上に到達させた後、一旦停止させ、進行方向に対して前後に5mmずつ3回往復運動(シェイク運動)させた後、 250m/sec の速度で後退させた。シェイク中の粉箱の移動速度も 250m/sec とした。成形密度は 6.8Mg/m3 とした。
得られた製品歯車の質量を測定し、その質量の標準偏差を測定した。得られた標準偏差を、供試粉No.2−16を1.00とした相対値で比較した。その結果を表11に示す。また、図1の装置を用い、t=1.0mm とした他は実施例1と同様の条件で調査した充填値の値を併せて表11に記す。t=1.0mm のキャビティでは、粒度分布を制御しただけの従来例と本発明例との相違は明確ではないが、t=0.5mm のキャビティでは相違が見られる。さらに、実機充填性における評価では、形状、特に歯の幅( 1.6mm程度)から予想されるよりはるかに質量ばらつきが低減され、34〜44%も低減するという格段の効果が、本発明によって得られている。
なお、成形品の質量ばらつきの低減は、原料歩留りおよび成形生産性(時間当たりの合格品製造量)の改善につながるため、実機における充填性の重要な指標となる。
充填性評価用試験装置の概要を模式的に示す説明図である。 一次粒子粒径、凝集粒子粒径の定義を示す説明図である。 平歯車の形状を示す平面図である。 平歯車の形状を示す断面図である。
符号の説明
1 一次粒子
2 凝集粒子
3 一次粒子の粒径
4 凝集粒子の粒径
5 平歯車

Claims (10)

  1. 鉄基粉末と、黒鉛粉末と、あるいはさらに切削性改善用粉末と、さらに遊離潤滑剤と、を含み、前記黒鉛粉末と前記切削性改善用粉末とが前記鉄基粉末表面に結合剤により固着された鉄基混合粉であって、前記鉄基粉末が、アトマイズ純鉄粉と表面に銅粉を部分拡散化して付着させたアトマイズ鉄粉とからなり、粒径45μm未満の粒子を18.5質量%以下、粒径75μm以上150μm未満の粒子を46質量%以上、粒径150μm以上180μm未満の粒子を10質量%未満、粒径180μm以上の粒子を0.5質量%以下、を含む粒度分布を有することを特徴とする粉末冶金用鉄基混合粉。
  2. 銅を、0.5〜30質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の粉末冶金用鉄基混合粉。
  3. 前記銅粉を、粒径20〜100μmの銅粉とすることを特徴とする請求項1または2に記載の粉末冶金用鉄基混合粉。
  4. 前記黒鉛粉末の付着度が85%以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の粉末冶金用鉄基混合粉。
  5. 前記結合剤の添加量が、前記鉄基粉末と黒鉛粉末と切削性改善用粉末との合計量100重量部に対し、0.1〜1.0重量部であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の粉末冶金用鉄基混合粉。
  6. 前記結合剤が、ステアリン酸、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ステアリン酸アミドとエチレンビスステアリン酸アミドとの溶融混合物およびエチレンビスステアリン酸アミドのうちから選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする請求項5に記載の粉末冶金用鉄基混合粉。
  7. 前記結合剤が、オレイン酸、スピンドル油、タービン油のうちから選ばれた1種または2種以上とステアリン酸亜鉛との加熱溶融物であることを特徴とする請求項5に記載の粉末冶金用鉄基混合粉。
  8. 前記遊離潤滑剤の添加量が、前記鉄基粉末と黒鉛粉末と切削性改善用粉末との合計量100重量部に対し、0.1〜0.5重量部であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の粉末冶金用鉄基混合粉。
  9. 前記遊離潤滑剤が、熱可塑性樹脂粉、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウムのうちから選ばれた1種以上を含み、あるいはさらにステアリン酸、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ステアリン酸アミドとエチレンビスステアリン酸アミドとの溶融混合物、エチレンビスステアリン酸アミド、分子量1万以下のポリエチレン、およびエチレンビスステアリン酸アミドと分子量1万以下のポリエチレンとの溶融混合物のうちから選ばれた1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項8に記載の粉末冶金用鉄基混合物。
  10. 前記熱可塑性樹脂粉が、単量体であるアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルおよび芳香族ビニル化合物のうちから選ばれた少なくとも1種を前記熱可塑性樹脂粉全量に対し50質量%以上含有し、かつ一次平均粒径が0.03〜5μm、凝集平均粒径が5〜50μm、溶液比粘度法で測定した平均分子量が3万〜500万の熱可塑性樹脂粉であることを特徴とする請求項9に記載の粉末冶金用鉄基混合物。
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