JP2005232512A - 水素−酸素混合ガスを容器に密封充填する方法及びその装置 - Google Patents

水素−酸素混合ガスを容器に密封充填する方法及びその装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 水素及び酸素を、高い燃焼効率を持つ水素−酸素混合ガスの形態で容器に充填して、長期に渡って安定した状態で安全に取り扱う。
【解決手段】 電解液14を収容する密閉可能な電解槽10Aと、電解液に接して配置される陽極部材2x及び陰極部材2y並びにこれらの間に電圧を印加する電源34を含んでなる電気分解手段と、電解液の振動攪拌を行う振動攪拌手段16とを有する水素−酸素混合ガス発生部を用いて、電解液に対して振動攪拌下での電気分解を行い、これにより発生する水素−酸素混合ガスを電解槽の内部と連通する配管10B”を介して容器に導入し、しかる後に容器を閉じる。水素−酸素混合ガスは、H:54〜70モル%、H:0.12〜0.45モル%、H(トリチウム)及びHD:0.03〜0.14モル%、OH:0.3〜1.2モル%、16O:1.0〜4.2モル%、O:5〜27モル%を含む。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水素及び酸素を含む水素−酸素混合ガスを容器へ密封充填する方法及びその装置に関するものである。
ファラデーによって電気分解技術が開発され、これにより水の電気分解生成物として、2:1の比率の水素及び酸素からなる水素−酸素ガスが得られることが知られている。これまでに、水素−酸素ガスの研究はそれなりに続けられてきたが、実用性のある技術は、オーストラリアのブラウン エネルギー システム テクノロジー ピー ティー ワイ社(Brown Energy System Technology PTY.LTD.)のユル・ブラウン博士(Dr. Yull Brown)の開発に係るガス発生機であり、これに関連する特許文献としては、登録実用新案第3037633号公報(特許文献1)がある。
この技術は、水素−酸素ガスを発生させる電解槽の構造において、四方にボルト孔が形成され、中心の上側及び下側にガス流通長孔と電解液流通長孔とが互いに垂直になるように形成された多数個の電極板と、前記電極板の間に設置され外側に突出されたボルトハウジング孔が形成された多数個のスペーサを相互交番的に結合させ、スペーサの内周縁面にはオーリングでシーリングして電解液充填質を形成するとともに、前記の電極板の両側には電流連結ボルトとガス連結ニップル及び電解液連結ニップルとを持つ電解槽仕上板を装着して、前記電極板のボルト孔、スペーサのボルトハウジング孔及び電解槽仕上板のボルト孔に挟まれたステイボルトにナットを締結して電極板、スペーサ及び電解槽仕上板を相互結合させて構成したものである。しかしながら、ここでは、水素ガスと酸素ガスとを別々に分離して回収しており、水素ガスと酸素ガスとの混合ガスを回収するようにしてはいない。
同様な前記ガス発生機に関連する特許文献としては、特許第3130014号公報(特許文献2)がある。
しかしながら、従来方法では、電解槽内に設けられた電極板の隣接するものどうしの間には、ショートしないだけの距離として最も短くとも50mmの間隔をとらねばならない。それより短い距離に接近させると、過電流となり、事故が発生しやすくなる傾向にある。このため、従来の装置及び方法では、電流密度を高めて水素−酸素ガスを高い効率で発生させることには限界があり、十分な効率が得られていなかった。また、水素と酸素との十分な混合が行われずに引火の危険性を生じ、大量発生には不向きであった。
一方、電解槽の大きさには自ずと上限があるため、一台の水素−酸素ガス発生装置によって生産される水素−酸素ガスの量にも上限がある。しかるに、実用的見地からは、出来るだけ小さな装置によって単位時間当たり出来るだけ多くの量の水素−酸素ガスを生産することが望ましい。この点においても、従来の装置では、装置の小型化と水素−酸素ガスの発生量の向上との双方を満足させることは困難であった。
一方、国際特許公開WO95/06144号公報(特許文献3)には、水の電気分解方法において、水中に入れた電極を、酸素分子、水素分子又は水分子のいずれか一つが共振する固有振動の振動数、具体的には6000〜120000回/分(100〜2000回/秒)の振動数で振動させ、あるいは固有振動の波長の倍数波長で振動させて、酸素分子、水素分子又は水分子のいずれか一つを共振させるとともに、電極を磁界内において帯磁させ、水中に通電して水を電気分解する方法が開示されている。この技術は、結局のところ電極に付着する水素泡の分離を促進しようとするだけのものであって、振動により水を流動撹拌させようとする技術思想はなく、水素ガスの発生量もそれほど向上はしない。
ところで、ガスを燃焼装置へと供給する形態としては、一般に、供給配管を介して燃焼装置へと直接供給するか、または容器に充填し燃焼装置の近くに搬送した上で該容器から燃焼装置へと供給している。特に後者の場合には、搬送の効率化のために加圧状態で容器に充填されている。
しかるに、水素−酸素ガスについては、従来、爆発の危険性が高いことから、水素と酸素とを混合した混合ガスの形態で取り扱うこと特に容器に充填して保管することは、できないものと考えられていた。したがって、従来は、水の電解により生成する水素と酸素とを別々に捕集し、水素ガス及び酸素ガスとして別々の容器に充填し、別々に使用していた。これは、水の電解により水素と酸素とが生成するにもかかわらず、これらを別々に取り扱い、再びこれらを所要割合で混合して燃焼させ、または通常は水素を空気と混合して燃焼させるという、効率の低い手法である。
そこで、本発明者は、電解条件を改善して単位時間当たり電極単位面積当たりに発生する水素ガス及び酸素ガスの量を十分に増大させ、もって装置の小型化及び装置当たり(即ち電解槽の単位容積当たり)の水素−酸素ガス発生量の向上を可能となし、これらのガスをそれぞれ別個に又は混合ガスの形態で捕集するようにし、安全で燃焼時の火炎温度が高い水素と酸素との混合ガスを発生させることを可能にし、また隔膜を使用することで水素ガスと酸素ガスとを高い効率で別個に発生させることが可能な、水素−酸素ガス発生のための装置及び方法を提案した(国際特許公開WO02/090621号公報(特許文献4)及び国際特許公開WO03/048424号公報(特許文献5)参照)。
この装置及び方法を用いて発生せしめられる水素−酸素ガスは、燃焼により無公害で発生するエネルギーが大きく、工業上または民生上で様々な用途への適用が考えられる。しかるに、工業上または民生上での現実的適用のためには、発生装置で発生したガスを燃焼装置へと供給する際の取り扱い性が重要な要素となる。
登録実用新案第3037633号公報 特許第3130014号公報 国際特許公開WO95/06144号公報 国際特許公開WO02/090621号公報 国際特許公開WO03/048424号公報
そこで、本発明は、上記のような水の電解により生成する水素と酸素とを水素ガス及び酸素ガスとして別々の容器に充填して取り扱うことの効率の低さに鑑みて、発生装置で発生する水素及び酸素を、高い燃焼効率を持つ水素−酸素混合ガスの形態で1つの容器に充填して、長期に渡って安定した状態で安全に取り扱うことを目的とするものである。
本発明によれば、以上の如き目的を達成するものとして、
電解液を収容する密閉可能な電解槽と、該電解槽内の前記電解液に接するように配置される陽極部材及び陰極部材並びにこれら陽極部材及び陰極部材の間に電圧を印加する電源を含んでなる電気分解手段と、前記電解槽内の電解液の振動攪拌を行う振動攪拌手段とを有する水素−酸素混合ガス発生部を用いて、密閉された電解槽内の電解液に対して振動攪拌下での電気分解を行い、これにより発生する水素−酸素混合ガスを前記電解槽の内部と連通する配管系を介して容器に導入し、しかる後に前記容器を閉じることを特徴とする、水素−酸素混合ガスの容器への密封充填方法、
が提供される。
本発明の一態様においては、前記水素−酸素混合ガスを前記容器に導入するに際し又は前記容器に導入した後に前記水素−酸素混合ガスの圧縮を行う。本発明の一態様においては、前記容器への水の注入により前記水素−酸素混合ガスの圧縮を行う。
本発明の一態様においては、前記電解液として5重量%〜30重量%の電解質を含み液温20℃〜100℃でpH7〜10のものを用いて、直流電圧2〜5Vで電流密度7A/dm〜40A/dmとなるように前記電気分解を行なう。本発明の一態様においては、前記電解質が水溶性のアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物である。本発明の一態様においては、前記電気分解の電源として直流パルス電源を用いる。本発明の一態様においては、前記振動攪拌は前記電解液中で振動羽根を振幅0.1〜30mm且つ振動数200〜12000回/分で振動させて行われる。
また、本発明によれば、以上の如き目的を達成するものとして、
電解液を収容する密閉可能な電解槽と、該電解槽内の前記電解液に接するように配置される陽極部材及び陰極部材並びにこれら陽極部材及び陰極部材の間に電圧を印加する電源を含んでなる電気分解手段と、前記電解槽内の電解液の振動攪拌を行う振動攪拌手段とを有する水素−酸素混合ガス発生部、及び
前記電解槽の内部と連通し且つ前記水素−酸素混合ガスを充填すべき容器との接続開口を持つ配管系と、前記接続開口に接続される前記容器の内部及び該容器の内部と連通する前記配管系の少なくとも一部を減圧する減圧手段とを有する水素−酸素混合ガス送給部
を備えていることを特徴とする、水素−酸素混合ガスの容器への密封充填装置、
が提供される。
本発明の一態様においては、密封充填装置は、前記容器に充填される水素−酸素混合ガスを圧縮する圧縮手段を備えている。本発明の一態様においては、前記圧縮手段は前記配管系中に介在する0.1〜70MPaに圧縮する圧縮機からなる。本発明の一態様においては、前記圧縮手段は前記容器内に水を注入する水注入ポンプを含む。
本発明の一態様においては、前記電解槽は密閉用の蓋部材を有しており、該蓋部材を貫通するようにして前記電解槽内部と前記配管系とが連通しており、前記振動棒は前記蓋部材を貫通して延びており、該蓋部材と前記振動棒との間には前記振動棒の振動を許容し且つ前記水素−酸素混合ガスの通過を阻止するシール手段が介在している。
本発明の一態様においては、前記振動攪拌手段は、少なくとも1つの振動発生手段と、該振動発生手段に連係して前記電解槽内で振動する少なくとも1つの振動棒及び該振動棒に取り付けられた少なくとも1つの振動羽根からなる振動撹拌部材とを含む。本発明の一態様においては、前記振動撹拌手段の振動発生手段は振動モータを含み、前記振動撹拌手段は前記振動モータを10Hz〜500Hzの振動数で振動させるよう制御するインバータを含む。
本発明の一態様においては、前記振動撹拌部材は、更に、前記振動棒と前記振動発生手段との連結部に又は前記振動棒の振動羽根を取り付けた部分より前記連結部に近い部分に設けられた電気的絶縁領域を有する。本発明の一態様においては、前記振動撹拌部材の前記振動棒の前記電気的絶縁領域に対する前記振動羽根を取り付けた部分の側に通電線が接続されており、該通電線は前記電気分解手段の電源に接続されている。本発明の一態様においては、前記通電線と電気的に接続されている前記振動攪拌手段の一部が前記電気分解手段の陽極部材及び陰極部材の少なくとも一方として機能する。本発明の一態様においては、前記電気分解手段の電源は直流パルス電源である。
更に、本発明によれば、以上のような方法により又は以上のような装置により前記容器に密封充填され、
:54〜70モル%、
H:0.12〜0.45モル%、
(トリチウム)及びHD:0.03〜0.14モル%、
OH:0.3〜1.2モル%、
16O:1.0〜4.2モル%、
:5〜27モル%、
を含んでなる水素−酸素混合ガスが提供される。換言すれば、以上のような方法又は装置において水素−酸素混合ガスは特に上記の組成を持つものである。
更に、本発明によれば、
:54〜70モル%、
H:0.12〜0.45モル%、
及びHD:0.03〜0.14モル%、
OH:0.3〜1.2モル%、
16O:1.0〜4.2モル%、
:5〜27モル%、
を含む水素−酸素混合ガスを常圧状態または加圧状態で封入してなる容器、が提供される。
本発明によれば、以下のような特徴を持つ水素−酸素混合ガスを、容器に充填し、実質上組成変動させることなく保存することができ、水素−酸素混合ガスの工業上及び民生上の利用範囲を飛躍的に拡大することができる:
(1)振動撹拌手段または絶縁式振動撹拌手段を併用すると、陽極部材と陰極部材との間隔を小さく(たとえば20mm以下に)しても電解が良好に行なわれ、特に陽極部材及び陰極部材に対して高い均一性と高い流速とをもって電解液が接触するので、電気分解に必要なイオン供給が十分となり、結果として高電流密度が可能となり水素−酸素混合ガスの発生効率を大幅に向上させることができ、また高速電解が可能となる。
(2)電極間の間隔を低減することが可能になったことに伴い、1つのガス発生装置あたりの水素−酸素混合ガスの発生量を大幅に向上させることができる。
(3)ガス発生効率を大幅に向上させることが可能になったことに伴い、陽極部材及び陰極部材の数を大幅に低減しても、十分なガス発生量を得ることが出来、装置の小型化が可能である。特に、絶縁式振動撹拌手段を用いたものでは、振動羽根や電極用補助羽根を陽極部材または陰極部材として兼用できるので、一層の装置の小型化が可能である。
(4)振動撹拌手段または絶縁式振動撹拌手段の使用により、電解液中での水素−酸素ガスの泡立ちがなく、電気抵抗が大きくなることはない。これは、本発明により得られる水素−酸素混合ガスが極めて高純度であり且つHやOになる以前の発生期の水素や酸素に近い状態にあるためと推測される。
また、本発明によれば、
(5)深夜の安い電力を利用して、水素−酸素混合ガスを作り、これを貯蔵することにより、大需要に対する弾力的対応が可能である。電解の電源として直流パルス波形のものを用いれば、一層電力の節約になる。
(6)本発明により容器に密封充填された水素−酸素混合ガスは、安全で危険のないカセットコンロの燃料供給源とすることができる。
(7)本発明により容器に密封充填された水素−酸素混合ガスを使用して、従来の蓄熱冷暖房よりも優れた冷暖房装置を提供することができる。
(8)本発明により容器に密封充填された水素−酸素混合ガスを用いて、小型、中型、大型の都市ゴミや産業廃棄物の焼却炉の燃焼を行なうことができ、これによれば無公害焼却が可能であるとともに経済性が高い。とくに、本発明により容器に密封充填された水素−酸素混合ガスを用いたゴミ焼却では、燃焼の立ち上がり時点から高温燃焼が可能となり、塩素などのハロゲン系廃棄物を燃焼させても、ダイオキシンなどは発生しない。
(9)本発明により容器に密封充填された水素−酸素混合ガスによれば、ボイラーやガスタービン等への燃料供給が可能である。
(10)本発明により容器に密封充填された水素−酸素混合ガスの燃焼には空気を必要とせず、燃焼により生ずる成分は水のみであるから、安全で無公害のクリーンなガス供給源として有用である。特に、水素ガスを空気と混合して燃焼させる場合に比べて、騒音を低下すべくバーナー先端からの噴出速度を低くしても窒素酸化物の発生が殆ど無く、またバーナーの炎孔を分割して分割火炎を形成しても窒素酸化物の発生が殆ど無く、更に長時間バーナーを使用しても先端が赤熱することがない。
さらに、
(11)本発明により容器に密封充填された水素−酸素混合ガスは、船舶の燃料としても有用である。
(12)本発明により容器に密封充填された水素−酸素混合ガスを溶接、溶断またはろうづけに使用した場合、アセチレンガスを用いた場合と比較して、酸素供給量を25〜50%程度低減することが出来、またガス中にカーボン成分を含まないので、溶接部位、溶断箇所またはろうづけ部位の黒化がない。
(13)本発明により容器に密封充填された水素−酸素混合ガスを用いて溶接、溶断またはろうづけ等の作業を行う場合、アセチレンガスやプロパンガスを用いて実施する場合に比べて、約60〜70%のコスト低減が可能である。
以上の様な本発明においては、振動撹拌手段の振動羽根により電解液中に強力な振動流動が生ぜしめられるので、電解液は陽極部材及び陰極部材と十分良好な均一性をもって且つ十分な供給量をもって接触せしめられる。このため、陽極部材と陰極部材との間の距離を従来より著しく小さくしても、それらの間に電気分解に必要なイオンを十分に供給することが可能になり、また電極に発生する電解熱を迅速に放熱することができる。従って、高い電流密度で電気分解を行なって、高い効率で水素−酸素ガスを発生させることができる。また、以上の様に陽極部材と陰極部材との間の距離を小さくすることで、単位容積あたりに配置される電極の有効表面積を十分に高めることができるので、電解槽を小型化しても十分な量の水素−酸素ガスを発生させることができる。
特に、以上の様な振動撹拌手段による電解液の振動撹拌を併用して電気分解を行なう場合には、電極近傍にて発生する水素や酸素が気泡を形成する前に電解液面へと運ばれて気相へと移行するので、電解液中にて生成せしめられた水素や酸素が電極表面に気泡として付着し電気抵抗を増加させるようなことがない。このため、上記の様に容易に高い電流密度での電気分解の実現が可能になるのである。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
図56は、本発明による水素−酸素混合ガスを容器に密封充填する方法の実施に使用される本発明の装置の一実施形態を示す模式図である。図56において、符号200は水素−酸素混合ガス発生装置(水素−酸素混合ガス発生部)を示す。水素−酸素混合ガス発生装置200は、後述するように、電解液を収容する密閉可能な電解槽と、該電解槽内の電解液の電気分解を行う電気分解手段と、電解槽内の電解液の振動攪拌を行う振動攪拌手段とを有する。電解槽には密閉された内部空間の圧力を検知する圧力計210が付設されている。
符号202は水素−酸素混合ガス送給装置(水素−酸素混合ガス送給部)を示す。水素−酸素混合ガス送給装置202は、電解槽の内部と連通し且つ水素−酸素混合ガスを充填すべき容器204との接続開口を持つ配管系(212,220を含む)と、前記接続開口に接続される容器204の内部及び該容器の内部と連通する配管系220の少なくとも一部を減圧する減圧手段としての真空ポンプ236とを有する。
配管系212は、その一方の端部が水素−酸素混合ガス発生装置200の密閉電解槽に接続されることで、該電解槽の内部空間と連通している。配管系212にはバルブ214及びフィルタ216が介在している。配管系212の他方の端部は逆火防止タンク(後述の図21のシールポットと同様なもの)218に接続されている。該逆火防止タンク218には上記配管系220の一方の端部が接続されており、該配管系220の他方の端部が上記容器204との接続開口とされている。配管系220には、逆火防止タンク218の内部と連通するように、その圧力検知のための圧力計222及び安全弁224が接続されている。また、配管系220には、バルブ226、逆止弁228、圧縮機230、バルブ232及び圧力計234が介在している。圧縮機230としては、往復動圧縮機、ターボ圧縮機、回転圧縮機、軸流圧縮機または遠心圧縮機を使用することができる。また、配管系220のバルブ232と容器204との間の部分に真空ポンプ236を接続する配管に、バルブ238が設けられている。
一方、逆火防止タンク218には、配管系240を介してバーナー250が接続されている。配管系240には、炎止め(フレームレスト)242、バルブ246、炎止め248及びバルブ252が介在している。これらは、後述の図22の燃焼装置と同様なものである。
容器204としては、充填される水素−酸素混合ガスの圧力に応じて、当該圧力のガスの密封充填に適する強度のものを使用することができ、例えば、JIS−B8241に規定される継目なし鋼製高圧ガス容器、あるいはJIS−B8230に規定される小形継目なし鋼製高圧ガス容器を使用することができる。また、容器204としては、アルミニウム製軽量耐圧容器を使用することも可能である。容器は所望の容量のものとすることができ、容量としては40リットル、500リットル等が例示される。
以下、本実施形態の動作を説明する。なお、水素−酸素混合ガス発生装置200での水素−酸素混合ガス発生に関する動作については、後述する。
先ず、配管系220の接続開口を容器204の所定のバルブ付き開口部に接続し、該容器のバルブを開く。バルブ238を開き、真空ポンプ236を作動させて、容器204及び配管系220の一部の内部を減圧する。次に、バルブ238を閉じ、水素−酸素混合ガス発生装置200で水素−酸素混合ガスを発生させ、バルブ214,226,232を開き、圧縮機230を作動させる。これにより、水素−酸素混合ガスを、配管系212,220を介して容器204内へと圧入する。その圧力は、たとえば、0.1〜70MPaである。次に、バルブ232を閉じ、容器のバルブを閉じて、容器204を配管系220の容器接続開口から取り外す。
図57は、本発明による水素−酸素混合ガスを容器に密封充填する方法の実施に使用される本発明の装置の更に別の実施形態の一部を示す模式図である。図57において、図56におけると同様の機能を有する部分には同一の符号が付されている。本実施形態では、配管系220において、バルブ260が設けられており、該バルブ260と容器接続開口との間に水注入配管262の一方端が接続されている。該水注入配管262は、ブースターポンプ(水注入ポンプ)266及びバルブ268を備えており、他端に水タンク264が接続されている。
本実施形態では、水注入配管262のバルブ268を閉じた状態で、水素−酸素混合ガスを配管系212,220を介して容器204内へと圧入した後に、バルブ260を閉じ、バルブ268を開き、ブースターポンプ266で水タンク264内の水を容器204へと注入する。次に、バルブ268を閉じ、容器のバルブを閉じて、容器204を配管系220の容器接続開口から取り外す。これにより、容器204内の水素−酸素混合ガスの圧力が更に高められる。その圧力は、たとえば、0.1〜70MPaである。
図58は、本発明による水素−酸素混合ガスを容器に密封充填する方法の実施に使用される本発明の装置の更に別の実施形態の一部を示す模式図である。図58において、図56及び図57におけると同様の機能を有する部分には同一の符号が付されている。本実施形態では、容器204として両口タイプのものを使用し、一方の口には配管系220の容器接続開口を接続し、他方の口に水注入配管262を接続している。
本実施形態では、容器204の上記他方の口を閉じた状態で図56の実施形態と同様にして容器204に水素−酸素混合ガスを充填する。次に、図57の実施形態と同様にして容器の上記他方の口から水を注入する。
以上の図56〜図58の実施形態において、圧縮機230を省略してもよい。特に、ブースターポンプ266を備えた図57〜図58の実施形態においては、圧縮機230を省略してもよい。
以下、上記水素−酸素混合ガス発生装置200の具体的な実施の形態を説明する。尚、図面において、同様な機能を有する部材又は部分には同一の符号が付されている。
図1〜図3は本発明方法の実施される水素−酸素混合ガス発生装置の一実施形態の構成を示す図である。ここで、図1は断面図であり、図2は平面図であり、図3は断面図である。
これらの図において、10Aは電解槽であり、該電解槽には電解液14が収容されている。16は振動撹拌手段である。該振動撹拌手段16は、電解槽10Aとは別に配置された支持台100に防振ゴムを介して取り付けられた基台16a、該基台に下端を固定された振動吸収部材としてのコイルバネ16b、該コイルバネの上端に固定された振動部材16c、該振動部材に取り付けられた振動モータ16d、振動部材16cに上端を取り付けられた振動棒(振動伝達ロッド)16e、該振動棒の下半部において電解液14に浸漬する位置に回転不能に複数段に取り付けられた振動羽根16fを有する。振動モータ16d及び振動部材16cを含んで振動発生手段が構成され、該振動発生手段が振動棒16eと連係している。また、振動棒16e及び振動羽根16fを含んで振動撹拌部材が構成され、該振動撹拌部材と上記振動発生部材とを含んで振動撹拌手段が構成されている。コイルバネ16b内には、後述の図11その他に示されているように、棒状のガイド部材を配置することができる。
尚、振動発生手段としては、振動発生源として一般の機械式振動モータを用いたもの以外にマグネット振動モータやエアー振動モータ等を用いたものを使用することも可能である。
振動モータ16dは例えばインバータを用いた制御により例えば10〜500Hz、好ましくは10〜120Hz、更に好ましくは20〜60Hzで振動する。振動モータ16dで発生した振動は、振動部材16c及び振動棒16eを介して振動羽根16fに伝達される。振動羽根16fは、電解液14中で所要の振動数で先端縁が振動する。この振動は、振動羽根16fが振動棒16eへの取り付け部分から先端縁へと「しなる」ように発生する。この振動の振幅及び振動数は、振動モータ16dのものとは異なるが、振動伝達経路の力学的特性及び電解液14との相互作用の特性などに応じて決まり、本発明では、好ましくは振幅0.1〜30mmで、振動数200〜12000回/分、更に好ましくは200〜5000回/分、特に好ましくは500〜3000回/分とする。
図6は振動部材16cへの振動棒16eの取り付け部111の拡大断面図である。振動棒16eの上端に形成されたオネジ部に、振動部材16cの上側から振動応力分散部材16g1及びワッシャ16hを介してナット16i1,16i2を適合させており、振動部材16cの下側から振動応力分散部材16g2を介してナット16i3,16i4を適合させている。振動応力分散部材16g1,16g2は、振動応力分散手段として用いられており、例えばゴムからなる。振動応力分散部材16g1,16g2は、例えば硬い天然ゴム、硬い合成ゴム、合成樹脂等のショアーA硬度80〜120、好ましくは90〜100の硬質弾性体により構成することができる。とくに、ショアーA硬度90〜100の硬質ウレタンゴムが耐久性、耐薬品性の点で好ましい。振動応力分散手段を使用することにより、振動部材16cと振動棒16eとの接合部分の近辺への振動応力の集中が防止され、振動棒16eが折れにくくなる。とくに、振動モータ16dの振動周波数を100Hz以上に高くした場合の振動棒16eの折れ発生防止の効果は顕著である。
図7は振動部材16cへの振動棒16eの取り付け部111の変形例を示す拡大断面図である。この変形例は、図6の取り付け部とは、振動部材16cの上側に振動応力分散部材16g1を配置しないこと、及び振動部材16cと振動応力分散部材16g2との間に球面スペーサ16xを介在させたことが異なるのみであり、他は同様である。
図8は振動棒16eへの振動羽根16fの取り付け部の拡大断面図である。振動羽根16fの各々の上下両側には、振動羽根固定部材16jが配置されている。隣接する振動羽根16fどうしの間には固定部材16jを介して振動羽根16fの間隔設定のためのスペーサリング16kが配置されている。尚、最上部の振動羽根16fの上側及び最下部の振動羽根16fの下側には、図1に示されているように、スペーサリング16kを介して又は介することなく、振動棒16eに形成されたオネジに適合するナット16mが配置されている。図8に示されているように、各振動羽根16fと固定部材16jとの間にフッ素系樹脂やフッ素系ゴムなどからなる振動応力分散手段としての弾性部材シート16pを介在させることで、振動羽根16fの破損を防止することができる。弾性部材シート16pは、振動羽根16fの破損防止効果を一層高めるために、固定部材16jから若干はみ出すように配置するのが好ましい。図示されているように、上側の固定部材16jの下面(押圧面)は凸状面とされており、下側の固定部材16jの上面(押圧面)は対応する凹状面とされている。これにより、固定部材16jにより上下方向から押圧される振動羽根16fの部分は湾曲せしめられ、振動羽根16fの先端部は水平面に対して角度αをなしている。この角度αは、例えば−30°以上30°以下好ましくは−20°以上20°以下とすることができる。特に、角度αは、−30°以上−5°以下または5°以上30°以下、好ましくは−20°以上−10°以下または10°以上20°以下とするのが好ましい。固定部材16jの押圧面を平面とした場合には、角度αは0°である。角度αは、全ての振動羽根16fについて同一である必要はなく、例えば、下方の1〜2枚の振動羽根16fについては−の値(即ち下向き:図8に示される向き)とし、それ以外の振動羽根16fについては+の値(即ち上向き:図8に示されるものと逆の向き)とすることができる。
振動羽根16fとしては、弾力性のある金属板、合成樹脂板またはゴム板などを用いることができる。振動羽根16fの厚みは、振動条件や電解液14の粘度などにより好ましい範囲は異なるが、振動撹拌手段16の作動時に、振動羽根が折れることなく、振動撹拌の効率を高めるように振動羽根16fの先端部分が“フラッター現象”(波打つような状態)を呈するように設定される。振動羽根16fがステンレス鋼板などの金属板からなる場合には、その厚みは0.2〜2mmとすることができる。また、振動羽根16fが合成樹脂板やゴム板からなる場合には、その厚みは0.5〜10mmとすることができる。振動羽根16fと固定部材16jとを一体成形したものを使用することもできる。この場合は、振動羽根16fと固定部材16jとの接合部に電解液14が浸入し固形分が固着して洗浄に手間がかかるというような問題を回避することができる。
金属製の振動羽根16fの材質としては、チタン、アルミニウム、銅、鉄鋼、ステンレス鋼、磁性鋼などの磁性金属、これらの合金が挙げられる。合成樹脂製の振動羽根16fの材質としては、ポリカーボネート、耐熱塩化ビニル系樹脂などが挙げられる。振動羽根は、プラスチック部材の表面にめっきなどにより導電処理を施したものであってもよい。
電解液14内での振動羽根16fの振動に伴って発生する振動羽根の“フラッター現象”の程度は、振動モータ16dの振動の周波数、振動羽根16fの長さ(固定部材16jの先端縁から振動羽根16fの先端縁までの寸法:図33のD)と厚み、及び電解液14の粘度や比重などによって変化する。与えられた周波数においてもっともよく“しなる”振動羽根16fの長さと厚みとを選択することができる。振動モータ16dの振動の周波数と振動羽根16fの厚みとを一定にして、振動羽根16fの長さを変化させてゆくと、振動羽根のしなりの程度は図9に示すようになる。即ち、長さmが大きくなるに従って、ある段階までは大きくなるが、それをすぎるとしなりの程度Fは小さくなり、ある長さのときには殆どしなりがなくなり、さらに振動羽根を長くするとまたしなりが大きくなるという関係をくりかえすことが判った。
振動羽根の長さは、第1回目のピークを示す長さLか、第2回目のピークを示す長さLを選択することが好ましい。LにするかLにするかは、系の振動を強くするか流動を強くするかに応じて適宜選択できる。
振動周波数37〜60Hz、75kWの振動モータでステンレススチール(SUS304)製の振動羽根の種々の厚みのものについて、L及びL求めたところ、以下のような結果が得られた。
厚み
0.10mm 約15mm ―
0.20mm 約25mm 約70mm
0.30mm 約45mm 110〜120mm
0.40mm 約50mm 140〜150mm
0.50mm 約55mm 約170mm
尚、この実験において、振動棒16eの中心から固定部材の先端までの距離は27mmであり、振動羽根16fの傾斜角度αは上向き15°(+15°)とした。
以上のような振動攪拌手段16としては、以下の文献(これらは本発明者の発明に係る特許出願に関するものである)及び本出願人による特許出願である特願2001−135528、特願2001−338422に記載されているような振動撹拌機(振動撹拌装置)を使用することが可能である:
特開平3−275130号公報(特許第1941498号),
特開平6−220697号公報(特許第2707530号),
特開平6−312124号公報(特許第2762388号),
特開平8−281272号公報(特許第2767771号),
特開平8−173785号公報(特許第2852878号)
特開平7−126896号公報(特許第2911350号),
特開平9−40482号公報(特許第2911393号),
特開平11−189880号公報(特許第2988624号),
特開平7−54192号公報(特許第2989440号),
特開平6−330395号公報(特許第2992177号),
特開平6−287799号公報(特許第3035114号),
特開平6−280035号公報(特許第3244334号),
特開平6−304461号公報(特許第3142417号),
特開平10−43569号公報(特許第3320984号),
特開平10−309453号公報,
特開平11−253782号公報,
特開2000−317295号公報,
特開2001−288591号公報,
特開2002−53999号公報,
特開2002−121699号公報,
特開2002−146597号公報。
本発明において、振動撹拌手段16は、図1に示されている様に、電解槽の両端部に配置しても良いが、一方の端部のみに配置しても良い。また、振動羽根として両側に対称的に延びているものを使用すれば、振動撹拌手段16を電解槽の中央に配置し、その両側に後述の様な電極群を配置することも可能である。
なお、本発明において、特開平6−304461号公報に記載されている様な振動羽根が電解槽の底部に存在するタイプの振動撹拌手段を用いることにより、電解槽内の電極群の配置スペースが広くなり、電解槽の容積あたりのガス発生量を高めることができるとともに、上下方向に沿って電極を配置する場合には電極として後述の多孔性のものを使用する必要がなくなるという利点がある。
再び図1〜図3を参照する。本実施形態では、電解槽10Aの両端部にそれぞれ上記の様な振動撹拌手段16が配置されている。電解槽10Aの中央部には、電極対和構成する板状の陽極部材2x及び板状の陰極部材2yが互いに平行に配置されている。一方の振動撹拌手段16は陽極部材2xの表面(主面)と対向するように配置されており、他方の振動撹拌手段16は陰極部材2yの表面(主面)と対向するように配置されている。
陽極部材2x及び陰極部材2yの材料としては、通常の水の電気分解に使用されるものを使用することができる。たとえば、陽極部材として二酸化鉛、マグネタイト、フェライト、黒鉛、白金、パラジウム、Pt−Ir合金、チタン合金、貴金属被覆チタン(例えば白金被覆チタン)などが例示でき、陰極部材としてパラジウム、ロジウム、ニッケル、ニッケル合金(Ni−Mo,Ni−Co,Ni−Fe,Ni−Mo−Cd,Ni−S,ラネーニッケル等)、チタン合金等の貴金属が例示できる。白金被覆チタンは、電極としての使用時の電流量を低下させずに製造の際の使用白金量を低減するために、次のような方法により製造することができる。即ち、亜硝酸白金アミン等を用いてチタンに白金をメッキするに際して、付着力の優れた均一なメッキをするために、表面を十分に洗浄し、塩酸かフッ酸で腐食して表面を粗くする。メッキ直前に予備処理として表面活性化処理を行う。これは、たとえば52%フッ酸125ミリリットルを含む氷酢酸895ミリリットルの液中に4分間浸漬し、その直後水洗する。メッキ後処理として400〜540℃で10〜60分加熱すれば、メッキ層の応力が除去され、付着力が向上する。この処理作業は、大気雰囲気下でも可能であり、メッキが付いていない部分に薄い酸化皮膜ができる。
陽極と陰極との間の距離は、例えば5mm〜400mmである。
陽極部材2x及び陰極部材2yは板状体であるから、これを多孔性のものとすることで、図1に示すように、振動撹拌手段16の振動羽根16fによる振動撹拌で発生せしめられる電解液14の流動を遮るように振動羽根16fを向いた方向に対してほぼ直角に設けられる場合にも、小孔を通って電解液14がスムースに流動することができる。小孔の形状は円形状でも多角形状でもよく、特に制限はない。また、小孔の大きさや数は電極本来の目的と多孔性にする目的との双方のバランスを考えて、適宜設定するのが好ましい。電極における小孔の面積割合は、有効面積(即ち電解液14と接触する面積)で、電極面積が50%以上となる様にするのが好ましい。多孔性電極は網状または籠状であっても良い。
陽極部材2x及び陰極部材2yは、それぞれ不図示の陽極主ブスバー及び陰極主ブスバーに接続されており、これら陽極主ブスバー及び陰極主ブスバーは図1に示されている電源34に接続されている。該電源34と陽極部材2x及び陰極部材2yとを含んで電気分解手段が構成される。
電源34は、直流を発生するものであればよく、通常の平滑な直流でもよいが、その他の種々の波形の電流を使用することができる。この様な電解電流の波形は、例えば、「電気化学」第24巻398〜403頁、同449〜456頁、1996年4月15日全国鍍金材料組合連合会発行「めっき技術ガイド」378〜385頁、昭和58年6月15日(株)広信社発行「表面技術総覧」301〜302頁、同517〜527頁、同1050〜1053頁、昭和46年7月25日日刊工業新聞社発行「めっき技術便覧」365〜369頁、同618〜622頁等に記載されている。
本発明では、とりわけ、エネルギー効率の向上の観点から、パルス波形のうちの矩形波パルス波形のものを使用することが好ましい。この様な電源(電源装置)は、交流電圧から矩形波状電圧を作成することができるものであり、このような電源は例えばトランジスタを用いた整流回路を有するものであり、パルス電源装置として知られている。このような電源装置または整流器としては、トランジスタ調整式電源、ドロッパー方式の電源、スイッチング電源、シリコン整流器、SCR型整流器、高周波型整流器、インバータデジタル制御方式の整流器(例えば(株)中央製作所製のPower Master)、(株)三社電機製作所製のKTSシリーズ、四国電機株式会社製のRCV電源、スイッチングレギュレータ式電源とトランジスタスイッチとからなりトランジスタスイッチがON−OFFすることで矩形波状のパルス電流を供給するもの、高周波スイッチング電源(交流をダイオードにて直流に変換した後にパワートランドスタで20〜30KHzの高周波をトランスに加えて再度整流、平滑化し出力を取り出す)、PR式整流器、高周波制御方式の高速パルスPR電源(例えばHiPRシリーズ((株)千代田))などが利用可能である。
陽極部材と陰極部材との間に印加する電圧は、通常の水の電気分解の場合と同様である。
電解液14は、電解質を含む水である。電解質としては、水溶性のアルカリ金属水酸化物(KOH、NaOHなど)またはアルカリ土類金属水酸化物(例えばBa(OH)、Mg(OH)、Ca(OH)など)、あるいは第4級アルキルアンモニウムなど、またリン酸や硫酸など、従来公知のものを使用することができる。これらの中でもKOHが好ましい。電解液中の電解質の含有量は、5〜30%が好ましい。また、電解液のpHは、7〜10であるのが好ましい。但し、NaClやHClのように電気分解によりハロゲンガスを発生するものは、大量に使用した場合の環境汚染防止の観点から使用を避けるのが好ましい。
図1〜図3に示されている様に、電解槽10Aの上部には密閉用の蓋部材10Bが付設されている。該蓋部材には、電解により発生する水素−酸素混合ガスを回収するための水素−酸素混合ガス取出口10B’が設けられている。該取出口10B’には、水素−酸素混合ガス採取管10B”が接続されている。これらの蓋部材10B及び水素−酸素混合ガス採取管10B”を含んで、水素−酸素混合ガス捕集手段が構成される。尚、この水素−酸素混合ガス採取管10B”が、上記配管系212を構成している。
この実施形態では、水素及び酸素は水素−酸素混合ガスとして回収される。
電解槽10A及び蓋部材10Bの材質としては、例えばステンレススチール、銅、その他の金属あるいはポリカーボネート等の合成樹脂が例示される。尚、電解槽10Aには、内部の電解液14のレベル調整のための配管10A’が接続されている。
振動撹拌手段16の振動棒16eは、蓋部材10Bを上下方向に貫通して延びている。この貫通は、図4及び図5に示されている様に、蓋部材10Bに設けられた開口の内端縁に付された固定部材10Dと振動棒16eの外面に付された固定部材10Eとの間をゴム板等のフレキシブル部材10Cにより気密にシールしたものとすることができる。あるいは、気密シールのための手段は、振動棒16eにサポートベアリングの内輪を取り付け、該サポートベアリングの外輪を蓋部材10Bの開口の内端縁に取り付け、外輪に対して内輪を上下に適宜のストロークにわたって移動可能にしたものであっても良い。この様なストロークユニットとしては、THK(株)製NS−A型(商品名)、NS型(商品名)、NOK社製オイルシールVC型(商品名)、SC型(商品名)が例示される。あるいは、蓋部材10Bに設けられた開口に、振動棒16eが通過する部分のみ開口せるゴム板またはその積層体等の気密シール手段を取り付けてもよい。このシール手段としては例えば、ゴム、特に変形性良好な軟らかいゴムが使用できる。振動棒の上下振動の振幅は、通常20mm以下、好ましくは10mm以下、特に好ましくは5mm以下であり、その下限は例えば0.1mm以上、好ましくは0.5mm以上といった程度であるから、シール部材としてゴムなどを使用することで、追従が可能となり摩擦熱の発生も少なく良好な気密状態が実現される。シール手段としては、更に好ましくは後述の図62に示すようなものを使用することができる。
電解は、液温20〜100℃で、直流電圧2〜5Vで電流密度7〜40A/dmで行なうのが好ましい。電解により発生する水素−酸素混合ガスは、図21に示されている様に、ガス採取管10B”に接続されたシールポット10B”’を経て取り出される。シールポット10B”’もガス捕集手段を構成する。図22は、ガス発生装置により回収された水素−酸素ガスを利用するガス燃焼装置の一例を示す図である。水素−酸素混合ガスは、所要の容量のガス溜め、除湿器及び炎止めタンクを経て燃焼ノズルへと供給される。
水素ガスと酸素ガスとの混合ガスは燃焼時の色が無色であるため、燃焼装置においては、火炎の状態を観察することが可能なように、炎止めタンク内にアルコール系溶剤を入れておき、これをガスに添加して火炎を着色させるようにしている。このアルコール系溶剤としてはメタノールからヘキサンまで各種のものが使用される。本発明により得られる水素−酸素ガスの燃焼の際には上記アルコール系溶剤の種類によって火炎温度に大きな差があることが判明した。例えば、ヘキサンを使用すると火炎は大きくなりガスの使用量も少なくてよいが、火炎温度はメタノールに比較して著しく低い。実験によれば、0.5mm厚のチタン板に火炎を当ててその溶融状態を観察したところ、ヘキサンを用いた場合には5分程度でようやく溶融したが、メタノールを用いた場合には3秒程度で溶融した。また、アルコール系溶剤の添加量によっても火炎温度が大きく異なり、この添加量を低減することが火炎温度を向上させるのに有効であることが判明した。実験によれば、チタン板(400x20x0.5mm)、タンタル部材(150x3mmφ)及びタングステン板(120x15x0.8mm)の燃焼試験において、アルコール系溶剤として、メタノール100%、メタノール50%:水50%及びメタノール25%:水75%を使用した場合の溶解(チタン、タンタル)または昇華(タングステン)に至る時間は次のとおりであった。
試料 溶剤(メタノール容積%)
100% 50% 25%
チタン 4秒 3秒 1秒
タンタル 4秒 3秒 1秒
タングステン 7秒 5秒 2秒
以上のように、炎止めタンク内に入れるアルコール系溶剤としては、メタノールが好ましく、しかもこれを水(純水が好ましい)と混合し、メタノール容積%を10〜35%とすることが望ましい。メタノール容積%を20%程度とすることで火炎温度をより高くすることが出来る点では有利であるが、メタノール容積%を30%程度とすることで火炎の持続性を高めることが出来る点で有利である。
図10は振動撹拌手段の一変形例を示す断面図である。この例では、基台16aは、振動吸収部材41を介して電解槽10Aの上部に取り付けられた取り付け台40上に固定されている。また、取り付け台40には、垂直方向に上方へと延びた棒状のガイド部材43が固定されており、該ガイド部材43はコイルバネ16b内に位置している。振動モータ16dとそれを駆動するための電源136との間には、振動モータ16dの振動周波数を制御するためのトランジスタ・インバータ35が介在している。電源136は、例えば200Vである。このような振動モータ16dの駆動手段は、上記その他の本発明の実施形態においても使用することができる。
図11は振動撹拌手段の一変形例を示す断面図である。この例では、振動部材16cに垂直方向に下方へと延びた棒状の上側ガイド部材144が固定されており、取り付け台40に垂直方向に上方へと延びた棒状の下側ガイド部材145が固定されており、これらガイド部材144,145はコイルバネ16b内に位置している。上側ガイド部材144の下端と下側ガイド部材145の上端との間には、振動部材16cの振動を許容するような適度の間隙が形成されている。
図12は振動撹拌手段の一変形例を示す断面図である。この例では、振動モータ16dは、振動部材16の上側に付設された付加的振動部材16c’の下側に取り付けられている。また、振動棒16eは、電解槽10A内において分岐して2つの部分134とされており、これら2つのロッド部分134の間に振動羽根16fが掛け渡されて取り付けられている。
図13及び図14は振動撹拌手段の一変形例を示す断面図である。この例では、最も下側の振動羽根16fが下向きに傾斜しており、その他の振動羽根16fが上向きに傾斜している。このようにすると、電解槽10Aの底部に近い部分の電解液14の振動撹拌を充分に行うことができ、電解槽底部に溜りが発生するのを防止することができる。また、振動羽根16fの全部を下向きに傾斜させることができる。
図15及び図16は本発明装置を構成する振動撹拌手段の電解槽への取り付けの他の形態を示す断面図であり、図17はその平面図である。図15及び図16はそれぞれ図17のX−X’断面及びY−Y’断面に相当する。
この形態では、振動吸収部材として上記コイルバネ16bに代えてゴム板2と金属板1,1’との積層体3が用いられている。即ち、積層体3は、電解槽10Aの上端縁部に固定された取り付け部材118に防振ゴム112を介して取り付けられた金属板1’をボルト131により固定し、該金属板1’上にゴム板2を配置し、該ゴム板2上に金属板1を配置し、これらをボルト116及びナット117により一体化することで形成されている。
振動モータ16dは支持部材115を介してボルト132により金属板1に固定されている。また、振動棒16eの上端部はゴムリング119を介して積層体3特に金属板1とゴム板2とに取り付けられている。即ち、上側金属板1は図1その他に記載されている実施形態の振動部材16cの機能をも発揮するものであり、下側金属板1’は図1その他に記載されている実施形態の基台16aの機能をも発揮するものである。そして、これら金属板1,1’を含む積層体3(主としてゴム板2)が図1その他に記載されているコイルバネ16bと同様な振動吸収機能を発揮する。
図18A〜18Cは積層体3の平面図を示す。図15〜17の形態に対応する図18Aの例では、積層体3には振動棒16eを通すための貫通孔5が形成されている。また、図18Bの例では、積層体3は貫通孔5を通る分割線により2分割された2つの部分3a,3bからなり、これによれば装置組立の際に振動棒16eを容易に通すことができる。また、図18Cの例では、積層体3は、電解槽10Aの上端縁部に対応する環形状をなしており、中央部に開口6が形成されている。
図18A,18Bの例では、電解槽10Aの上部が積層体3により塞がれ、これにより上記の蓋部材10Bと同等の機能が発揮される。
図19A,19Bは、このような積層体3による電解槽の閉塞(シール)の様子を示す断面図である。図19Aの形態では、ゴム板2が貫通孔5において振動棒16eに当接してシールがなされる。また、図19Bの形態では、積層体3の開口部6において該積層体3と振動棒16eとに取り付けられこれらの間の空隙を塞ぐフレキシブルシール部材136’が設けられている。
図20A〜20Eに振動吸収部材としての積層体3の例を示す。図20Bの例は上記図15〜17の実施形態のものである。図20Aの例では、積層体3は金属板1とゴム板2とからなる。図20Cの例では、積層体3は上側金属板1と上側ゴム板2と下側金属板1’と下側ゴム板2’とからなる。図20Dの例では、積層体3は上側金属板1と上側ゴム板2と中間金属板1”と下側ゴム板2’と下側金属板1’とからなる。積層体3における金属板やゴム板の数は、例えば1〜5とすることができる。尚、本発明においては、ゴム板のみから振動吸収部材を構成することも可能である。
金属板1,1’,1”の材質としては、ステンレス鋼、鉄、銅、アルミニウム、その他適宜の合金を使用することができる。金属板の厚さは、例えば10〜40mmである。但し、積層体以外の部材に対して直接固定されない金属板(例えば上記中間金属板1”)は0.3〜10mmと薄くすることができる。
ゴム板2,2’の材質としては、合成ゴム又は天然ゴムの加硫物を使用することができ、JISK6386で規定される防振ゴムが好ましく、更に特に静的剪断弾性率4〜22kgf/cm好ましくは5〜10kgf/cm、伸び250%以上のものが好ましい。合成ゴムとしては、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ニトリル−クロロプレンゴム、スチレン−クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、エピクロルヒドリン系ゴム、アルキレンオキシド系ゴム、フッ素系ゴム、シリコーン系ゴム、ウレタン系ゴム、多硫化ゴム、フォスファゼンフッ素ゴムを例示することができる。ゴム板の厚さは、例えば5〜60mmである。
図20Eの例では、積層体3は上側金属板1とゴム板2と下側金属板1’とからなり、ゴム板2が上側ソリッドゴム層2aとスポンジゴム層2bと下側ソリッドゴム層2cとからなる。下側ソリッドゴム層2a,2cのうちの一方を除去してもよいし、更に複数のソリッドゴム層と複数のスポンジゴム層とを積層したものであってもよい。
図23は、振動撹拌手段16の変形例を示す図である。この例では、振動モータ16dが電解槽10Aの側方に位置しており、振動部材16cが電解槽10Aの上方へと水平に延びている。そして、該振動部材16cに振動棒16cが取り付けられている。この構成によれば、電解槽10Aに対する上記蓋部材10Bの着脱が容易になる。尚、図23には電解槽10Aの一側方に位置する振動撹拌手段16のみが示されているが、電解槽10Aの両側方に振動撹拌手段16を配置してもよい。
以上の実施形態においては、陽極部材及び陰極部材の少なくとも一方の表面に対向するように振動撹拌手段の振動撹拌部材を配置することで、陽極部材または陰極部材が1つであっても、その高いガス発生効率に基づき、装置あたりの高いガス発生量を得ることが出来る。
図24〜図26は本発明方法の実施される水素−酸素混合ガス発生装置の一実施形態の構成を示す図である。ここで、図24〜図25は断面図であり、図26は平面図である。
本実施形態においては、振動撹拌手段として絶縁式のものを用いている。即ち、絶縁式振動撹拌部材として、振動部材16cに上端を取り付けられた振動棒上部分16e’と、該振動棒上部分の下方に絶縁領域16e”を介して取り付けられた振動棒下部分16eとを含んでなる振動棒を使用している。
振動モータ16dとそれを駆動するための不図示の電源(例えば200V)との間には、振動モータ16dの振動周波数を制御するためのトランジスタ・インバータが介在している。このような振動モータ16dの駆動手段は、その他の本発明の実施形態においても使用することができる。振動モータ16dは、インバータを用いた制御により、上記実施形態と同様に10〜500Hzで振動する。振動モータ16dで発生した振動は、振動部材16c及び振動棒(16e,16e’,16e”)を介して振動羽根16fに伝達される。なお、以下の説明において、簡単化のために、振動棒の符号を16eのみで代表させて用いる。
図27は、振動棒の電気的絶縁領域16e”の近傍を示す部分拡大断面図である。また、図28は電気的絶縁領域16e”の斜視図を示し、図29はその平面図を示す。
電気的絶縁領域16e”は、例えば合成樹脂またはゴムで形成することができる。電気的絶縁領域16e”は、振動棒を構成するものであるから、振動により破損せず、振動モータの振動を効率よく伝達でき、十分な絶縁性を発揮する材料を選択するのが好ましい。この様な観点から硬質ゴムが最も好ましい。その一例としては、硬質ポリウレタンゴムを挙げることができる。なお、このような絶縁材料のみからなる部材では強度的に不十分である場合には、絶縁性を損なわない範囲で、絶縁部材のみからなる部材の周囲などを例えば金属などで補強して、所要の機械的強度を得ることができる。
絶縁領域16e”は、具体的には、例えば、図示される様な硬質ゴム製の円柱状絶縁部材(多角形状等形状は任意)よりなり、その中央の上部分及び下部分に、振動棒上部分16e’及び振動棒下部分16eをそれぞれ嵌合させるための嵌合用穴124,125が設けられている。これらの嵌合用穴は上下には貫通しておらず、そのため、これら嵌合用穴の間の非貫通部分は絶縁部として機能する。
上下の嵌合用穴を貫通させた場合には、振動棒上部分16e’と振動棒下部分16eとが接触しないように、上記非貫通部分に対応する箇所に絶縁材料を充填するか、絶縁に十分な程度の空間を設ける。円柱状絶縁部材の嵌合用穴124,125は、振動棒上部分16e’と振動棒下部分16eの接合のために機能する。接合は、ネジ止め(たとえば、図示されている様に、振動棒上部分16e’の下端部と振動棒下部分16eの上端部とに雄ネジを切り、嵌合用穴124,125に雌ネジを切って、両者を結合させ、必要に応じて更にその上にワッシャーリングを当て、ビス止めする)でもよいし、接着剤による接合でもよい。いずれにしても、これらの部分の構造は、本発明の目的を達成できれば、その他のいかなる構造であってもよい。
たとえば、振動棒の直径が13mmの場合には、絶縁領域16e”は、長さ(高さ)Lが例えば100mmであり、外径rが例えば40mmであり、嵌合用穴124,125の内径rが13mmである。
図27及び図24〜図25に示されている様に、振動棒下部分16eの上部には、絶縁領域16e”の直下にて通電線127が接続されている。通電線127は電源34に接続されている。ここで、図1に示されているように、一方の絶縁式振動撹拌手段16(陽極部材2xに近接する方)の通電線127は電源の正極に接続されており、他方の絶縁式振動撹拌手段16(陰極部材2yに近接する方)の通電線127は電源の負極に接続されている。陽極部材2x及び陰極部材2yは、それぞれ図26に示される陽極主ブスバー201及び陰極主ブスバー202を介して電源34に接続されている。
振動棒下部分16e、固定部材16j及び振動羽根16fは導電性部材例えば金属からなる。これにより、一方の絶縁式振動撹拌手段の振動棒下部分16e、固定部材16j及び振動羽根16fをも陽極部材として利用し、他方の絶縁式振動撹拌手段の振動棒下部分16e、固定部材16j及び振動羽根16fをも陰極部材として利用して通電し、電気分解を行うことが出来る。更には、陽極部材及び陰極部材のうちの少なくとも一方を除去して、電気分解を行うことも可能である。
本実施形態のように、振動羽根16fを陽極部材または陰極部材として利用する際には、特にこれらとは別の陽極部材または陰極部材を使用しない場合のように電極面積が不足する時には、出来るだけ振動羽根の面積を増加させるのが好ましい。そのためには、振動羽根の長さは、第2回目のピークを示す長さLまたは第3回目のピークを示す長さLを選択することが好ましい。
本実施形態では、絶縁式振動撹拌手段により電解液を振動撹拌しながら電気分解を行うので、非絶縁式の振動撹拌手段を用いた場合と同様に、陽極部材と陰極部材との間の距離を例えば20〜400mmとしてもショートすることなく電解処理を行なうことができる。
陽極部材2xの材料としては、上記実施形態で説明したものや、Pt、Pt合金、Pt族金属、合金被覆を有するもの、Ni、Ni合金、Fe、Fe合金、炭素鋼、ステンレス鋼等が挙げられる。
本実施形態においては、振動棒上部分16e’は絶縁領域16e”により振動棒下部分16eとは電気的に絶縁されているので、振動棒下部分16eを介する通電の影響が振動モータ16dへと及ぶことはない。更に、本実施形態では、絶縁領域16e”が熱絶縁性をも有するので、振動棒上部分16e”は振動棒下部分16eとは熱的にも絶縁され、電解液14の温度の影響が振動モータ16dへと及ぶことは少ない。
また、本実施形態の装置において、絶縁式振動撹拌手段の振動羽根を陽極部材又は陰極部材として用いずに電気分解を行なう場合においても、絶縁領域16e”が存在するので、電解液14内の通電の影響が振動モータ16dへと及ぶことがないという利点がある。
図30は、絶縁式振動撹拌手段の他の実施形態を示す側面図である。この実施形態は、振動棒下部分16eに、振動羽根16fの他にこれと交互に配置された電極用補助羽根16f’を取り付けたことが、図24〜図26の実施形態と異なる。電極用補助羽根16f’は、導電性を有しており、振動棒下部分16eと電気的に接続されていて、電解液14に対する通電の際の一方の電極として機能し、従って振動撹拌の機能は必須ではない。電極用補助羽根16f’を使用する目的は電極面積の増加と当該電極と反対側の電極との間隔の低減とにあるので、電極用補助羽根16f’の大きさ(面積)は振動羽根16fより大きいほうが好ましく、また図示されている様に、補助羽根16f’の先端縁(右端縁)は振動羽根16fの先端縁(右端縁)より更に右方へと突出しているのが好ましい。
電極用補助羽根16f’は、振動羽根と振動羽根との中間に位置する様に振動棒に取り付けるのが好ましいが、必ずしもこれに限定されることはなく、振動撹拌の効果を著しく低減させない限りは、上下一方の振動羽根に近接して配置することも可能である。振動棒下部分16eへの電極用補助羽根16f’の取り付けは、振動羽根16fの取り付けと同様にして行なうことができる。
電極用補助羽根16f’の材質としては、電極として使用され得るものであればよいが、振動棒の振動に従って振動するものであるから、振動に耐え得ることが要求され、例えば振動羽根として使用可能な導電体例えば金属例えばチタン(表面に白金めっきを施すことができる)またはステンレス(表面に白金めっきを施すことができる)を使用することができる。尚、電極用補助羽根16f’を使用する場合には、振動羽根16fは必ずしも導電性材料からなる必要はなく、合成樹脂製のものを使用することも可能である。
図31及び図32は絶縁式振動撹拌手段の他の実施形態を示す断面図である。本実施形態では、2つの振動棒にわたって各振動羽根が取り付けられている。
図33は振動羽根16fの近傍を示す断面図である。振動羽根16fは固定部材16jからはみ出した部分が振動流動の発生に寄与するのであり、このはみ出した部分は幅Dで長さDである。本実施形態では、複数の振動棒にわたって各振動羽根が取り付けられているので、各振動羽根の面積を十分大きくとることができる。かくして、大きな振動流動を得ることができ、また電極として使用される面積を大きくすることが可能である。
本実施形態においては、図示はしないが、図24〜図26に関し説明した様な電気分解手段の電源34が使用される。本実施形態においても、図30の実施形態と同様に、電極用補助羽根を使用することができる。
図35は絶縁式振動撹拌手段の実施形態の構成を示す断面図である。本実施形態の絶縁式振動撹拌手段16においては、振動モータ16dは、電解槽10A外に配置されていて、振動部材16cが電解槽10Aの方へと延びている。本実施形態においても、図示はしないが、図24〜図26に関し説明した様な電気分解手段の電源34が使用される。本実施形態においても、図30の実施形態と同様に、電極用補助羽根を使用することができる。また、図では絶縁式振動撹拌手段が電解槽の片側にのみ配置されているが、もう一方の側にも同様な絶縁式振動撹拌手段を配置することが可能である。
図36は絶縁式振動撹拌手段の他の実施形態を示す断面図である。本実施形態では、図35の実施形態と同様な振動モータ16d、振動部材16c、振動棒上部分16e’及び絶縁領域16e”の組が、電解槽14の両側に配置されている。そして、振動棒下部分16eは、コの字形状をなしており、その2つの垂直部分が2つの絶縁領域16e”にそれぞれ対応して配置されている。これら2つの垂直部分の上端がそれぞれ絶縁領域16e”を介して2つの振動棒上部分16e’にそれぞれ接続されている。振動羽根16fは、振動棒下部分16eの水平部分にほぼ垂直に取り付けられている。図では振動羽根16fは上方に突出しているが、下方に突出していてもよい。また、振動羽根16fは垂直方向に対して傾斜をもって配置されてもよいことは上記と同様である。
図示されている絶縁式振動撹拌手段の上方突出の振動羽根を陽極部材として使用し、他の絶縁式振動撹拌手段の下方突出の振動羽根を陰極部材として使用して、電解処理を行うことが出来る。この場合、後述の図40に関し説明するように、双方の絶縁式振動撹拌手段の振動はね同士を互いに入り組んだ形態とすることが可能である。
本実施形態のように、本発明においては、振動棒は必ずしも上下方向を向いて配置される必要はなく、電解槽の形状などに応じて適宜の形状及び配置のものを使用することが出来る。
本実施形態においても、図示はしないが、図24〜図26に関し説明した様な電気分解手段の電源34が使用される。本実施形態においても、図30の実施形態と同様に、電極用補助羽根を使用することができる。
図37〜図39は本発明方法の実施される水素−酸素混合ガス発生装置の一実施形態の構成を示す図である。ここで、図37〜図38は断面図であり、図39は平面図である。本実施形態は、図24〜図26の実施形態において電極用補助羽根16f’を追加使用したものに相当する。
図40〜図41は本発明方法の実施される水素−酸素混合ガス発生装置の一実施形態の構成を示す図である。ここで、図40は部分断面図であり、図41は断面図である。
本実施形態では、2つの絶縁式振動撹拌手段が電解槽10A内に配置されており、一方の絶縁式振動撹拌手段の隣接する電極用補助羽根16f’どうしの間に他方の絶縁式振動撹拌手段の電極用補助羽根16f’が位置している。これにより、2つの絶縁式振動撹拌手段の一方を陽極側として使用し且つ他方を陰極側として使用することで、大面積の陽極部材と陰極部材とを互いに近接して配置することができ、電流密度を著しく向上させることができる。このような非接触で互いに入り組んだ形態での陽極部材と陰極部材との配置は、2つの絶縁式振動撹拌手段の振動羽根同士でも同様にして行うことが出来る。
本実施形態においては、互いに上下方向に近接して配置される陽極部材(振動羽根または電極用補助羽根)と陰極部材(振動羽根または電極用補助羽根)との距離を例えば5〜50mmとすることができる。
本実施形態においては、2つの絶縁式振動撹拌手段の電極用補助羽根16f’どうしが接触してショートするのを防止するために、図34に示す様に、電極用補助羽根16f’の両面の外周部等を絶縁テープ16faなどの貼付や絶縁塗料の塗布などにより絶縁部とすることが好ましい。電極部材として使用する振動羽根16f同士を同様にして互い違いに配置することも可能であり、その場合にも同様な絶縁部を形成することが出来る。或いは、同様な絶縁効果を得るために、同等の形状を有するプラスチック製絶縁板を配置してもよい。
図42〜図44は、絶縁式振動撹拌手段の構成を示す模式図である。これらの例では、共通の振動部材16cに複数の振動棒が接続されている。各振動棒下部分16eに接続される通電線127は、それぞれ電源の図示される極に接続されるが、これに限定されることはなく、適宜変更してもよい。
以上の実施形態においては、絶縁式振動撹拌部材の一部(例えば、振動羽根、電極用補助羽根)を陽極部材または陰極部材として使用することで、絶縁式振動撹拌部材以外の陽極部材または陰極部材がなくとも、その高いガス発生効率に基づき、装置あたりの高いガス発生量を得ることが出来る。
図45は絶縁式振動撹拌手段の他の実施形態の構成を示す部分断面図であり、図46はその部分側面図である。
本実施形態では、2つの振動棒下部分16eを機械的に接続する様に取り付けられている振動羽根16e及び固定部材16jを2つの群に区分し、第1の群を一方の振動棒下部分16eと電気的に接続させ、第2の群を他方の振動棒下部分16eと電気的に接続させ、これら2つの群の間で電圧を印加することで、電解液14に通電し電解処理を行なう様にしている。
即ち、図45において、上側から奇数番目の振動羽根16f及び固定部材16jは、右側の振動棒下部分16とは電気的に接続されているが、左側の振動棒下部分16とは絶縁ブッシュ16s及び絶縁座金16tを介して取り付けられることで電気的に絶縁されている。一方、上側から偶数番目の振動羽根16f及び固定部材16jは、左側の振動棒下部分16とは電気的に接続されているが、右側の振動棒下部分16とは絶縁ブッシュ16s及び絶縁座金16tを介して取り付けられることで電気的に絶縁されている。かくして、上側から奇数番目の振動羽根16f及び固定部材16jを第1の群とし、上側から偶数番目の振動羽根16f及び固定部材16jを第2の群とし、左側の振動棒下部分16に接続されている通電線127と右側の振動棒下部分16に接続されている通電線127との間に不図示の処理用電源により所要の電圧を印加することで、第1の群(陽極部材)と第2の群(陰極部材)との間で電解液14に通電することができる。尚、図46では絶縁ブッシュ16s及び絶縁座金16tの図示が省略されている。
本実施形態においては、絶縁領域16e”は振動棒16eと振動発生手段を構成する振動部材16cとの間に設けられている。即ち、ここでは、絶縁領域16e”が、上記実施形態における振動部材16cへの振動棒16eの取り付け部111の機能を兼ねている。
本実施形態においては、陽極側となる振動羽根16fとしてはチタンの表面に白金めっきを施したものが好ましく用いられ、陰極側となる振動羽根16fとしてはチタンが好ましく用いられる。
本実施形態によれば、絶縁式振動撹拌手段に対する給電のみで電解処理が可能となるので、装置をコンパクトなものとすることができる。また、振動羽根16fを陽極部材及び陰極部材のそれぞれとして兼用しているので、この点からも装置のコンパクト化がなされている。
図47は絶縁式振動撹拌手段の他の実施形態の構成を示す部分側面図である。
本実施形態では、図45及び図46の実施形態における上側から偶数番目の振動羽根16fに代えて陽極部材16f”を使用している。この陽極部材16f”は、振動撹拌には寄与せず、図の右側にのみ延びている。陽極部材16f”としては、例えばチタン製ラス網(表面に白金めっきを施したもの)が好ましく用いられる。一方、上側から奇数番目の振動羽根16fに対してスペーサ16uを介して陰極部材16f”’を追加している。この陰極部材16f”’も、振動撹拌には寄与せず、図の右側にのみ延びている。陰極部材16f”’としては、例えばチタン板が好ましく用いられる。尚、陰極部材の場合と同様に、陽極部材とともに振動羽根を取り付けてもよい。
本実施形態では、振動羽根16fとは別に電極部材としての陽極部材16f”及び陰極部材16f”’を使用しているので、電極材料の選択の自由度が増加する。
図48は本発明方法の実施される水素−酸素混合ガス発生装置の一実施形態の構成を示す断面図である。本実施形態は、図45〜図46の絶縁式振動撹拌手段を2つ使用したものである。
以上の実施形態においては、絶縁式振動撹拌部材に陽極部材及び陰極部材の双方を取り付けて、これらの間で電解液を介して通電することで電解処理を行うので、装置の小型化が可能であり、更にその高いガス発生効率に基づき、装置あたりの高いガス発生量を得ることが出来る。
図49〜図50は本発明方法の実施される水素−酸素混合ガス発生装置の一実施形態の構成を示す断面図である。本実施形態では、振動撹拌手段として非絶縁式のものが用いられており、陽極部材及び陰極部材からなる電極対として、図45〜図46の絶縁式振動撹拌手段と類似の構成体を使用したものである。即ち、上下方向に互いに平行に配列された2本の導電性棒状体116eに、陽極部材116f”及び陰極部材116f”’を図45〜図46の絶縁式振動撹拌手段の第1群の振動羽根及び第2群の振動羽根の場合と同様にして取り付け、各導電性棒状体116eを電源の正極及び負極の所要のものに接続している。
図51及び図52は本発明方法の実施される水素−酸素混合ガス発生装置の一実施形態の構成を示す断面図である。本実施形態では、絶縁式振動撹拌手段16の振動羽根16fを陰極部材として使用し、陽極部材86として、図53に示される円柱状チタン網ケースを水平方向に保持したものを用いている。陽極部材84の保持手段82は例えば陽極ブスバーである。
陽極部材84としては、例えばチタン製ラス網(表面に白金めっきを施したものが好ましい)からなるものを使用することが出来る。図54にラス網陽極部材の正面図を示す。上部に吊下げ用の孔が2つ設けられており、中央部から下部にかけて網状部とされており、この網状部が電解液中に浸漬される。
図55A〜55Eは、振動発生手段と振動撹拌部材との接続形態の例を示す模式図である。図55Aの例では、振動発生手段の振動部材16cに直接振動撹拌部材の振動棒16eが接続されている。これに対して、図55B〜図55Eの例では、振動部材16cに中間部材16ccが取り付けられており、該中間部材16ccに振動棒16eが接続されている。
以上の実施形態で述べた振動撹拌手段及び絶縁式振動撹拌手段の各部の構成は、絶縁式振動撹拌手段のものが所要の絶縁性及び所要の導電性を要求されることを除けば、互いに他のものへの転用が可能である。
図59〜図60は本発明方法の実施される水素−酸素混合ガス発生装置の一実施形態の構成を示す断面図であり、図61はその部分拡大図である。本実施形態では、振動撹拌手段として非絶縁式のものが用いられており、陽極部材及び陰極部材からなる電極対として、上下方向に互いに平行に配列された4本の導電性棒状体116e’の2本づつを横連結導電性棒状体116eにより連結し、図49〜図50の実施形態と同様にして導電性棒状体116eに陽極部材116f”及び陰極部材116f”’を取り付け、各導電性棒状体116e’を電源の正極及び負極の所要のものに接続している。
また、本実施形態では、振動棒16eが貫通する蓋部材10Bの部分に図62に示すようなシール手段が設けられている。即ち、シール手段は、蓋部材10Bに取り付けられた軸支持ボス部10H、及びその上下に合成ゴム製パッキン10Jを介して取り付けられた合成樹脂製のシート部材10Kを有しており、シート部材の部分と振動棒の部分との間にはシリコーン樹脂10Lが充填されている。これにより、極めて優れたシール性能が得られる。
本発明により水素−酸素混合ガス発生装置で発生せしめられ容器に充填される水素−酸素混合ガスは、所謂ブラウンガスとして知られているものとは異なり、
:54〜70モル%、
H:0.12〜0.45モル%、
及びHD:0.03〜0.14モル%、
OH:0.3〜1.2モル%、
16O:1.0〜4.2モル%、
:5〜27モル%、
を含んでなるものである。この水素−酸素混合ガスは、以下の点で、所謂ブラウンガスとして知られているものとは異なる。即ち、振動撹拌手段を併用すると、陽極部材と陰極部材との間隔を小さくしても電解が良好に行なわれ、特に陽極部材及び陰極部材に対して高い均一性と高い流速とをもって電解液が接触するので、電気分解に必要なイオン供給が十分となり、電解液中での水素−酸素ガスの泡立ちがなく、電気抵抗が大きくなることはない。かくして、本発明により得られる水素−酸素ガスはHやOになる以前の発生期の水素や酸素等に近い状態の活性成分(活性水素、活性酸素)の含有率が高い。
また、本発明により容器に充填された水素−酸素混合ガスは、長期に渡る保存(たとえば6ヶ月程度)の後にもその成分の変動が少ないことが分かった。すなわち、図56〜58に示される装置で容器に充填された水素−酸素混合ガスについて、充填直後に燃焼させてスペクトル分析器によりスペクトルを測定したところ、図63に示すようなスペクトルが得られた。このスペクトルによれば、620nm近傍に活性成分であるOH基の存在を示すピークが認められ、また630nm近傍には活性成分である原子状水素Hαの存在を示すピークが認められる(原子状水素としてはHα、Hβ及びHγが知られており、そのエネルギーはHα、Hβ及びHγの順に低くなるが、いずれも活性で高エネルギーのものである)。このようなスペクトルは、振動攪拌下での電解で得られた水素−酸素混合ガスにのみ認められるものであり、振動攪拌を用いない電解で得られるガスでは実質上認められないものである。さらに、図56〜58に示される装置で容器に充填された水素−酸素混合ガスについて、充填から1ヶ月後に同様にしてスペクトル分析器によりスペクトルを測定したところ、図63と同様な、620nm近傍にOH基の存在を示すピーク及び630nm近傍にはHαの存在を示すピークが認められるスペクトルが得られた。かくして、本発明によれば、従来不安定なものと考えられていたOH基やHαを含む活性の高い水素−酸素混合ガスを長期に亘り安定に保存することができる。
本発明により容器に充填された水素−酸素混合ガスについて、二重収束質量分析計(電子科学株式会社製:商品名EMD−D5SK)を用いて、下記の条件下:
イオン加速電圧:1200V
イオン化方式:電圧衝撃型
分解能:500
イオン飛行距離:26cm
真空度:5×10−7
フルスケール:5V
で質量分析を行った。
この分析に供した水素−酸素混合ガスは、振動攪拌手段を設けた電解槽から発生したガスを図22のガス溜めに貯蔵し、1つは図21のシールポットを通して得られた処理ガスであり、他の1つはシールポットを通さないで得られた生ガスである。シールポットはガスを着色して取り扱い上便利にするために用いられ、シールポット内にはメタノール30%と水70%とからなるアルコール水溶液が充填されており、シールポットに生ガスを供給すると、生ガスはメタノール水溶液中を泡状に通過する。そのため、得られた処理ガスの成分は生ガスの成分とは幾分異なる。
質量分析で得られたデータ(チャート)の一部を図64(生ガス)及び図65(処理ガス)に示す。処理ガスでは、生ガスの構成成分の他に、メタノールに起因すると思われる質量の高い成分が含まれている。いずれにしても、これらのチャートから、本発明のガスは、従来のガスに比べて、H、H及び/またはHD、OH及び16Oをも含有している点に大きな特徴があることが分かる。
但し、図64及び図65での高さは全て同一の条件で測定して表示したものではなく、図示されるGAINが(1)の質量については実際の高さの100倍の高さを示し、図示されるGAINが(2)の質量については実際の高さの10倍の高さを示し、図示されるGAINが(3)の質量については実際の高さを示している。即ち、GAIN(2)及びGAIN(3)の質量については該当するガス成分量が少なすぎるので、増幅して測定したものである。
これらの図から求めたガス組成を以下の表1に示す。
Figure 2005232512

(A),(a):ゴム性容器に採取;測定時真空度8×10−7Torr;ガス採取後0.5時間目に測定
(B),(b):ゴム性容器に採取;測定時真空度8×10−7Torr;ガス採取後24時間目に測定
(C),(c):ガスバリヤー用容器に採取;測定時真空度5×10−7Torr;ガス採取後1時間目に測定。
これによっても、本発明により、従来不安定なものと考えられていた酸素原子、水素原子等の活性成分を多く含んだ水素−酸素混合ガスを長期に亘り安定に保存することができることが分かった。
本発明により得られる容器充填済みの水素−酸素混合ガスは、容易に所望の場所へと搬送し、上記のバーナーのような燃焼装置へと供給して、高い熱エネルギーの発生を伴って燃焼させることができる。その燃焼に際しては空気を必要とせず、従って、燃焼により窒素酸化物等の環境汚染物質を生成することがない。上記燃焼装置は、たとえば、航空機、自動車、船舶等の動力装置、発電装置、ガス切断機、ボイラー、その他への適用が可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
[実施例1]
図40〜41に関し説明した装置を用いて、以下の条件で水素−酸素混合ガスを発生させた。
電解槽:
ステンレススチール(SUS304)製(内面に厚さ2mmの耐熱性塩化ビニル樹脂貼付)
740mm×2100mm×700mm(H)
蓋部材:
ステンレススチール(SUS304)製、図62のシール構造を採用
絶縁式振動撹拌手段:
振動モータ:(株)村上精機製作所製、400W×3相×200V、6台
インバーターにより40Hzで駆動
振動羽根:チタン製、6枚、
図34のようにポリテトラフルオロエチレン製絶縁テープを貼付
極間距離:双方の絶縁式振動撹拌手段の隣接電極用補助羽根同士の間隔を
20mmに設定
電解液:蒸留水中に電解質KOHを8重量%添加したもの、温度55℃
陽極−陰極間の印加電圧:1.5V(直流)
電流密度:30A/dm
水素ガスと酸素ガスとの混合ガスを極めて効率よく発生させることが出来た。
得られた混合ガスを燃焼させたところ、150mm程度の長さの細い火炎が形成された(炎止めタンク内の溶剤としてメチルアルコールを用いた)。タングステン棒が約2秒で白煙を上げて気化し、棒に穴があいた。4000℃以上の火炎が得られているものと推定される。
本実施例で得られた混合ガスは爆発(爆鳴)を伴わずに、安全に使用出来るところに特長がある。また、長時間の火炎の発生の継続が可能である。なお、火炎を停止すると、爆縮し、燃焼装置のノズル内部が真空になるため、音が発生する。
本実施例で得られる混合ガスは、従来のブラウンガスまたは前記日本国登録実用新案に記載のガスとは異なり、燃焼により形成される火炎を溶接に無公害にて使用することが出来、工業的に十分に利用可能であることがわかった。従来の水素ボンベ及び酸素ボンベからの混合ガスと比較すると、燃焼温度(火炎温度)が向上し、エネルギー発生量が優れていた。従って、実用装置として好適に使用可能であることがわかった。
以上のガス発生装置を含む図56に記載の充填装置(圧縮機として水素圧縮に使用される水素圧縮機を使用)を用いて、上記のようにして発生させた混合ガス(生ガス)を20リットルの継目なし鋼製高圧ガス容器に、10MPaの圧力に充填した。充填後1ケ月の混合ガスを用いて燃焼を行ったところ、充填直後すなわち発生当初のものと同様な結果が得られた。
充填直後及び充填後1ケ月の混合ガス(生ガス)について、それぞれ上記方法で成分分析を行ったところ、充填直後のものでは、
:58モル%、
H:0.2モル%、
及びHD:0.05モル%、
OH:0.9モル%、
16O:3.9モル%、
:23モル%、
その他(HO他):13.95モル%、
の結果が得られ、更に充填後1ケ月のものでは、
:56モル%、
H:0.4モル%、
及びHD:0.03モル%、
OH:0.4モル%、
16O:1.7モル%、
:23モル%、
その他(HO他):18.47モル%、
の結果が得られた。従って、本実施例の混合ガスは、容器に充填し保存した場合、組成変動が殆ど無いことが分かった。
[実施例2]
図37〜39に関し説明した装置を用いて、以下の条件で水素−酸素混合ガスを発生させた。
電解槽:
ステンレススチール(SUS304)製(内面に耐熱性塩化ビニル樹脂被覆プラスチゾル仕上げ)
400mm×700mm×550mm(H)
蓋部材:
ステンレススチール(SUS304)製、図62のシール構造を採用
絶縁式振動撹拌手段:
振動モータ:150W×3相×200V、2軸タイプ、2台
インバーターにより40Hzで駆動
振動羽根:チタン製、6枚、図33の寸法D=55mm
電極用補助羽根:チタン製、2枚(最上部及び最下部にのみ使用)、
図33の寸法D=150mm
陽極部材及び陰極部材:
図54のチタン製ラス網電極(厚さ3.0mm、ラス部厚さ1.5mm、
網目の対角線長さ:一方10mm、他方20mm)
極間距離:チタン製ラス網電極間を20mmに設定(互いに平行)
電極部材の面積が小さいのを電極用補助羽根の表面積で補っている
電解液:蒸留水中に電解質KOHを25重量%添加したもの、温度55℃
陽極−陰極間の印加電圧:1.4V(直流)
電流密度:20A/dm
水素ガスと酸素ガスとの混合ガスを極めて効率よく発生させることが出来た。
得られた混合ガスを燃焼させたところ、100mm程度の長さの細い火炎が形成された。タングステン棒が白煙を上げて気化し、棒に穴があいた。3000℃程度の火炎が得られているものと推定される。
本実施例で得られた混合ガスは爆発(爆鳴)を伴わずに、安全に使用出来るところに特長がある。また、長時間の火炎の発生の継続が可能である。なお、火炎を停止すると、爆縮し、燃焼装置のノズル内部が真空になるため、音が発生する。
本実施例において、装置の中央(陽極部材と陰極部材との中間)に隔膜を配置して、陽極部材側及び陰極部材側で別々にガスを捕集すると、水素ガスと酸素ガスとを別々に得ることが出来る。これを混合させることで、実施例1と同様な混合ガスとして使用することが出来る。但し、最初から分離せずに混合ガスとして捕集した方が燃焼時の火力が勝っていた。
以上のガス発生装置を含む図56に記載の充填装置(圧縮機として水素圧縮に使用される水素圧縮機を使用)を用いて、上記のようにして発生させた混合ガス(生ガス)を20リットルの継目なし鋼製高圧ガス容器に、40MPaの圧力に充填した。充填後1ヶ月の混合ガスを用いて燃焼を行ったところ、充填直後すなわち発生当初のものと同様な結果が得られた。
充填直後及び充填後1ケ月の混合ガス(生ガス)について、それぞれ上記方法で成分分析を行ったところ、充填直後のものでは、
:60モル%、
H:0.3モル%、
及びHD:0.05モル%、
OH:1.0モル%、
16O:2.5モル%、
:18モル%、
その他(HO他):18.15モル%、
の結果が得られ、更に充填後1ケ月のものでは、
:57モル%、
H:0.3モル%、
及びHD:0.045モル%、
OH:0.8モル%、
16O:2.0モル%、
:20モル%、
その他(HO他):19.855モル%、
の結果が得られた。従って、本実施例の混合ガスは、容器に充填し保存した場合、組成変動が殆ど無いことが分かった。
[実施例3]
図24〜26に関し説明した装置を用いて、以下の条件で水素−酸素混合ガスを発生させた。
電解槽:
ステンレススチール製(内面に厚さ2mmの耐熱性塩化ビニル樹脂貼付)
740mm×2100mm×700mm(H)
蓋部材:
ステンレススチール(SUS304)製、図62のシール構造を採用
絶縁式振動撹拌手段:
振動モータ:(株)村上精機製作所製、400W×3相×200V、6台
インバーターにより40Hzで駆動
振動羽根:チタン製(陽極部材または陰極部材を兼用)、6枚
陽極部材及び陰極部材:
図53の円柱状チタン網製ケース(籠体)電極を積み重ねたもの
電解液:蒸留水中に電解質KOHを25重量%添加したもの、温度55℃
陽極−陰極間の印加電圧:1.4V(直流)
電流密度:20A/dm
水素ガスと酸素ガスとの混合ガスを極めて効率よく発生させることが出来た。
得られた混合ガスを燃焼させたところ、実施例2と同様に細い火炎が形成された。3000℃程度の火炎を定常的に得ることが出来た。
本実施例において、装置の中央(陽極部材と陰極部材との中間)に隔膜を配置して、陽極部材側及び陰極部材側で別々にガスを捕集すると、水素ガスと酸素ガスとを別々に得ることが出来、別々に燃焼に使用することが出来るが、これを混合させることで、実施例1と同様な混合ガスとして爆発の危険性なく安全に溶接に使用することが出来る。
以上のガス発生装置を含む図56に記載の充填装置(圧縮機として水素圧縮に使用される水素圧縮機を使用)を用いて、上記のようにして発生させた混合ガス(生ガス)を20リットルの継目なし鋼製高圧ガス容器に、10MPaの圧力に充填した。充填後1ヶ月の混合ガスを用いて燃焼を行ったところ、充填直後すなわち発生当初のものと同様な結果が得られた。
充填直後及び充填後1ケ月の混合ガス(生ガス)について、それぞれ上記方法で成分分析を行ったところ、充填直後のものでは、
:55モル%、
H:0.2モル%、
及びHD:0.07モル%、
OH:0.8モル%、
16O:3.5モル%、
:19モル%、
その他(HO他):21.43モル%、
の結果が得られ、更に充填後1ケ月のものでは、
:54モル%、
H:0.2モル%、
及びHD:0.07モル%、
OH:0.75モル%、
16O:2.5モル%、
:19モル%、
その他(HO他):23.48モル%、
の結果が得られた。従って、本実施例の混合ガスは、容器に充填し保存した場合、組成変動が殆ど無いことが分かった。
[実施例4]
図30に関し説明したタイプの装置を用いて、以下の条件で水素−酸素混合ガスを発生させた。
電解槽:
ステンレススチール製(内面にプラスチックコート)
700mm×300mm×350mm(H)
蓋部材:
図16,17,18,19B、20Aに関し説明したもの、図62のシール構造を採用
絶縁式振動撹拌手段:
振動モータ:(株)村上精機製作所製、750W×3相×200V
インバーターにより40Hzで駆動
振動羽根:チタン製(陽極部材または陰極部材を兼用)、5枚、
図8のα=15°
振動棒:チタン合金製、直径16mm
振動羽根用固定部材:チタン製
弾性部材シート(図8における16p):テフロン(登録商標)シート
電解液:蒸留水中に電解質KOHを30重量%添加したもの、温度55℃
陽極−陰極間の印加電圧:2.7V(直流)
電流密度:20A/dm
水素ガスと酸素ガスとの混合ガスを極めて効率よく発生させることが出来た。
得られた混合ガスを図22の燃焼装置(溶剤してメタノールを使用)を使用して、燃焼させたところ、着色した100mm程度の細長い火炎が形成された。チタン棒に穴をあけることができ、推定3000℃程度の火炎による溶接への利用が可能であった。
以上のガス発生装置を含む図56に記載の充填装置(圧縮機として水素圧縮に使用される水素圧縮機を使用)を用いて、上記のようにして発生させた混合ガス(生ガス)を20リットルの継目なし鋼製高圧ガス容器に、10MPaの圧力に充填した。充填後1ヶ月の混合ガスを用いて燃焼を行ったところ、充填直後すなわち発生当初のものと同様な結果が得られた。
充填直後及び充填後1ケ月の混合ガス(生ガス)について、それぞれ上記方法で成分分析を行ったところ、充填直後のものでは、
:60モル%、
H:0.2モル%、
及びHD:0.045モル%、
OH:0.8モル%、
16O:3.0モル%、
:13モル%、
その他(HO他):22.955モル%、
の結果が得られ、更に充填後1ケ月のものでは、
:59モル%、
H:0.2モル%、
及びHD:0.045モル%、
OH:0.8モル%、
16O:3.0モル%、
:13モル%、
その他(HO他):23.955モル%、
の結果が得られた。従って、本実施例の混合ガスは、容器に充填し保存した場合、組成変動が殆ど無いことが分かった。
[実施例5]
図49〜50に関し説明した装置(但し、振動撹拌手段は絶縁式のものとした)を用いて、以下の条件で水素−酸素混合ガスを発生させた。
電解槽:
ステンレススチール製(内面塩化ビニール被覆)、厚さ6mm
320mm×220mm×440mm(H)
蓋部材:
ステンレススチール製、図62のシール構造を採用
絶縁式振動撹拌手段:
振動モータ:安川電機(株)製、75W×3相×200V
インバーターにより45Hzで駆動
振動羽根:ステンレス製、下向き1枚、上向き3枚、図8のα=±15°
電極対:
陽極部材:白金板、8枚
陰極部材:ステンレススチール板、9枚
振動撹拌部材からの距離:25mm
電解液:蒸留水中に電解質KOHを20重量%添加したもの、常温
陽極−陰極間の印加電圧:4V(直流)
電流:100A
水素ガスと酸素ガスとの混合ガスを極めて効率よく発生させることが出来た。
得られた混合ガスを、図22の燃焼装置(シールポットの溶剤としてメタノール使用)を用いて燃焼させたところ、チタン板(400x20x0.5mm)、タンタル部材(150x3mmφ)及びタングステン板(120x15x0.8mm)をいずれも数秒で溶解(チタン、タンタル)または昇華(タングステン)させることが出来た。これにより推定すると約7000〜8000℃の高温の火炎が安定して長時間得られた。
以上のガス発生装置を含む図56に記載の充填装置(圧縮機として水素圧縮に使用される水素圧縮機を使用)を用いて、上記のようにして発生させた混合ガス(生ガス)を20リットルの継目なし鋼製高圧ガス容器に、10MPaの圧力に充填した。充填後1ヶ月の混合ガスを用いて燃焼を行ったところ、充填直後すなわち発生当初のものと同様な結果が得られた。
充填直後及び充填後1ケ月の混合ガス(生ガス)について、それぞれ上記方法で成分分析を行ったところ、充填直後のものでは、
:63モル%、
H:0.2モル%、
及びHD:0.06モル%、
OH:1.0モル%、
16O:4.0モル%、
:24モル%、
その他(HO他):7.74モル%、
の結果が得られ、更に充填後1ケ月のものでは、
:62モル%、
H:0.2モル%、
及びHD:0.06モル%、
OH:0.9モル%、
16O:3.8モル%、
:24モル%、
その他(HO他):9.04モル%、
の結果が得られた。従って、本実施例の混合ガスは、容器に充填し保存した場合、組成変動が殆ど無いことが分かった。
[実施例6]
図47に関し説明した振動撹拌手段を用いて、以下の条件で水素−酸素混合ガスを発生させた。
電解槽:
ステンレススチール製(内面塩化ビニール被覆)
750mm×500mm×500mm(H)
蓋部材:
ステンレススチール製、図62のシール構造を採用
振動撹拌手段:
振動モータ:安川電機(株)製、250W×3相×200V
インバーターにより50Hzで駆動
振動羽根:ステンレス製
陽極部材:チタン板
陰極部材:白金めっきチタン板
電解液:蒸留水中に電解質KOHを15重量%添加したもの、60℃
陽極−陰極間の印加電圧:1.5V(直流)
電流密度:20A/dm
水素ガスと酸素ガスとの混合ガスを極めて効率よく発生させることが出来た。
得られた混合ガスを用いて、3000℃程度で容易に金属溶接を行うことが出来た。これにより推定すると約7000〜8000℃の高温の火炎が得られた。
本実施例によれば、水素−酸素ガス発生装置の小型化及び軽量化ができた。
以上のガス発生装置を含む図56に記載の充填装置(圧縮機として水素圧縮に使用される水素圧縮機を使用)を用いて、上記のようにして発生させた混合ガス(生ガス)を20リットルの継目なし鋼製高圧ガス容器に、10MPaの圧力に充填した。充填後1ヶ月の混合ガスを用いて燃焼を行ったところ、充填直後すなわち発生当初のものと同様な結果が得られた。
充填直後及び充填後1ケ月の混合ガス(生ガス)について、それぞれ上記方法で成分分析を行ったところ、充填直後のものでは、
:58モル%、
H:0.28モル%、
及びHD:0.07モル%、
OH:0.9モル%、
16O:3.0モル%、
:19モル%、
その他(HO他):18.75モル%、
の結果が得られ、更に充填後1ケ月のものでは、
:58モル%、
H:0.2モル%、
及びHD:0.05モル%、
OH:0.8モル%、
16O:2.8モル%、
:19モル%、
その他(HO他):19.15モル%、
の結果が得られた。従って、本実施例の混合ガスは、容器に充填し保存した場合、組成変動が殆ど無いことが分かった。
[実施例7]
図49〜50に関し説明した装置(但し、振動撹拌手段は絶縁式のものとした)を用いて、以下の条件で水素−酸素混合ガスを発生させた。
電解槽:
ステンレススチール製(内面ポリカーボネートフィルム被覆)
320mm×220mm×440mm(H)
蓋部材:
ステンレススチール製(内面ポリカーボネートフィルム被覆)、図62のシール構造を採用
絶縁式振動撹拌手段:
振動モータ:(株)村上精機製作所製、75W×3相×200V
インバーターにより45Hzで駆動
振動羽根:チタン製、4枚、下向き
振動棒:チタン製、2軸タイプ、
電極対:
陽極部材:白金メッキしたステンレススチール板
陰極部材:ステンレススチール板
振動撹拌部材からの距離:25mm
電解液:蒸留水中に電解質KOHを20重量%添加したもの、40℃
陽極−陰極間の印加電圧:4V(直流)
電流:100A
水素ガスと酸素ガスとの混合ガスを極めて効率よく発生させることが出来た。
得られた混合ガスを、図22の燃焼装置(シールポットの溶剤としてメタノール使用)を用いて燃焼させたところ、タンタル及びチタンの溶断が可能であった。
以上のガス発生装置を含む図58に記載の充填装置(圧縮機として水素圧縮に使用される水素圧縮機を使用)を用いて、先ず圧縮機により、上記のようにして発生させた混合ガスを20リットルの継目なし鋼製高圧ガス容器に、0.3MPaの圧力に充填した。その後、ブースターポンプにより、容器内に水を注入して、容器内の圧力を10MPaとした。充填後1ヶ月の混合ガス(生ガス)を用いて燃焼を行ったところ、充填直後すなわち発生当初のものと同様な結果が得られた。
充填直後及び充填後1ケ月の混合ガス(生ガス)について、それぞれ上記方法で成分分析を行ったところ、充填直後のものでは、
:70モル%、
H:0.28モル%、
及びHD:0.07モル%、
OH:1.2モル%、
16O:4.2モル%、
:20モル%、
その他(HO他):4.25モル%、
の結果が得られ、更に充填後1ケ月のものでは、
:68モル%、
H:0.25モル%、
及びHD:0.05モル%、
OH:1.0モル%、
16O:4.0モル%、
:18モル%、
その他(HO他):8.7モル%、
の結果が得られた。従って、本実施例の混合ガスは、容器に充填し保存した場合、組成変動が殆ど無いことが分かった。
[実施例8]
図59〜62に関し説明した装置(但し、振動撹拌手段は絶縁式のものとした)を用いて、実施例7と同様にして水素−酸素混合ガスを発生させ、タンタル及びチタンの溶断を行ったところ、実施例7と同様な結果が得られた。
以上のガス発生装置を含む図58に記載の充填装置(圧縮機として水素圧縮に使用される水素圧縮機を使用)を用いて、先ず圧縮機により、上記のようにして発生させた混合ガスを20リットルの継目なし鋼製高圧ガス容器に、0.3MPaの圧力に充填した。その後、ブースターポンプにより、容器内に水を注入して、容器内の圧力を10MPaとした。充填後1ヶ月の混合ガス(生ガス)を用いて燃焼を行ったところ、充填直後すなわち発生当初のものと同様な結果が得られた。
充填直後及び充填後1ケ月の混合ガス(生ガス)について、それぞれ上記方法で成分分析を行ったところ、充填直後のものでは、
:60モル%、
H:0.15モル%、
及びHD:0.05モル%、
OH:0.4モル%、
16O:2.0モル%、
:19モル%、
その他(HO他):18.4モル%、
の結果が得られ、更に充填後1ケ月のものでは、
:58モル%、
H:0.12モル%、
及びHD:0.03モル%、
OH:0.3モル%、
16O:1.0モル%、
:15モル%、
その他(HO他):25.55モル%、
の結果が得られた。従って、本実施例の混合ガスは、容器に充填し保存した場合、組成変動が殆ど無いことが分かった。
本発明における水素−酸素混合ガス発生装置の構成を示す断面図である。 図1の装置の平面図である。 図1の装置の断面図である。 図1の装置の部分拡大断面図である。 図1の装置の部分拡大平面図である。 図1の装置の振動部材への振動棒の取り付け部の拡大断面図である。 振動部材への振動棒の取り付け部の変形例を示す拡大断面図である。 図1の装置の振動棒への振動羽根の取り付け部の拡大断面図である。 振動羽根の長さとしなりの程度との関係を示すグラフである。 振動撹拌手段の変形例を示す断面図である。 振動撹拌手段の変形例を示す断面図である。 振動撹拌手段の変形例を示す断面図である。 振動撹拌手段の変形例を示す断面図である。 振動撹拌手段の変形例を示す断面図である。 本発明における水素−酸素混合ガス発生装置を構成する振動撹拌手段の電解槽への取り付けの形態を示す断面図である。 図15に示される装置の断面図である。 図15に示される装置の平面図である。 積層体の平面図である。 積層体による電解槽の閉塞の様子を示す断面図である。 積層体の断面図である。 本発明における水素−酸素混合ガス発生装置のガス捕集手段の一部を示す図である。 水素−酸素混合ガス発生装置により回収された水素−酸素ガスを利用するガス燃焼装置の一例を示す模式図である。 振動撹拌手段の変形例を示す断面図である。 本発明における水素−酸素混合ガス発生装置の構成を示す断面図である。 図24の装置の断面図である。 図24の装置の平面図である。 振動棒の電気的絶縁領域の近傍を示す部分拡大断面図である。 振動棒の電気的絶縁領域の斜視図である。 振動棒の電気的絶縁領域の平面図である。 絶縁式振動撹拌手段の側面図である。 絶縁式振動撹拌手段の断面図である。 絶縁式振動撹拌手段の断面図である。 振動羽根の近傍を示す断面図である。 電極用補助羽根を示す図である。 絶縁式振動撹拌手段の断面図である。 絶縁式振動撹拌手段の断面図である。 本発明における水素−酸素混合ガス発生装置の構成を示す断面図である。 図37の装置の断面図である。 図37の装置の平面図である。 本発明における水素−酸素混合ガス発生装置の構成を示す部分断面図である。 図40の水素−酸素混合ガス発生装置の断面図である。 絶縁式振動撹拌手段の構成を示す模式図である。 絶縁式振動撹拌手段の構成を示す模式図である。 絶縁式振動撹拌手段の構成を示す模式図である。 絶縁式振動撹拌手段の構成を示す部分断面図である。 図45の装置の部分側面図である。 絶縁式振動撹拌手段の構成を示す部分側面図である。 本発明における水素−酸素混合ガス発生装置の構成を示す断面図である。 本発明における水素−酸素混合ガス発生装置の構成を示す断面図である。 図49の装置の断面図である。 本発明における水素−酸素混合ガス発生装置の構成を示す断面図である。 図51の装置の断面図である。 電極部材を構成する円柱状チタン網ケースの斜視図である。 電極部材の正面図である。 振動発生手段と振動撹拌部材との接続形態を示す模式図である。 本発明による水素−酸素混合ガスを容器に密封充填する装置を示す模式図である。 本発明による水素−酸素混合ガスを容器に密封充填する装置を示す模式図である。 本発明による水素−酸素混合ガスを容器に密封充填する装置を示す模式図である。 本発明方法における水素−酸素混合ガス発生装置の構成を示す断面図である。 本発明方法における水素−酸素混合ガス発生装置の構成を示す断面図である。 図59の装置の部分拡大図である。 シール手段を示す図である。 水素−酸素混合ガスの燃焼により得られたスペクトルを示す図である。 水素−酸素混合ガス(生ガス)の質量分析で得られたデータの一部を示す図である。 水素−酸素混合ガス(処理ガス)の質量分析で得られたデータの一部を示す図である。
符号の説明
2x 陽極部材
2y 陰極部材
10A 電解槽
10B 蓋部材
10B” 水素−酸素混合ガス採取管
14 電解液
16 振動撹拌手段
16d 振動モータ
16e 振動棒(振動伝達ロッド)
16e” 絶縁領域
16f 振動羽根
35 トランジスタ・インバータ
127 通電線
200 水素−酸素混合ガス発生装置(水素−酸素混合ガス発生部)
202 水素−酸素混合ガス送給装置(水素−酸素混合ガス送給部)
204 容器
212,220配管系
218 逆火防止タンク
230 圧縮機
236 真空ポンプ
240 配管系
242,248 炎止め(フレームレスト)
250 バーナー
262 水注入配管
266 ブースターポンプ(水注入ポンプ)
264 水タンク

Claims (23)

  1. 電解液を収容する密閉可能な電解槽と、該電解槽内の前記電解液に接するように配置される陽極部材及び陰極部材並びにこれら陽極部材及び陰極部材の間に電圧を印加する電源を含んでなる電気分解手段と、前記電解槽内の電解液の振動攪拌を行う振動攪拌手段とを有する水素−酸素混合ガス発生部を用いて、密閉された電解槽内の電解液に対して振動攪拌下での電気分解を行い、これにより発生する水素−酸素混合ガスを前記電解槽の内部と連通する配管系を介して容器に導入し、しかる後に前記容器を閉じることを特徴とする、水素−酸素混合ガスの容器への密封充填方法。
  2. 前記水素−酸素混合ガスを前記容器に導入するに際し又は前記容器に導入した後に前記水素−酸素混合ガスの圧縮を行うことを特徴とする、請求項1に記載の水素−酸素混合ガスの容器への密封充填方法。
  3. 前記容器への水の注入により前記水素−酸素混合ガスの圧縮を行うことを特徴とする、請求項2に記載の水素−酸素混合ガスの容器への密封充填方法。
  4. 前記電解液として5重量%〜30重量%の電解質を含み液温20℃〜100℃でpH7〜10のものを用いて、直流電圧2〜5Vで電流密度7A/dm〜40A/dmとなるように前記電気分解を行なうことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の水素−酸素混合ガスの容器への密封充填方法。
  5. 前記電解質が水溶性のアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物であることを特徴とする、請求項4に記載の水素−酸素混合ガスの容器への密封充填方法。
  6. 前記電気分解の電源として直流パルス電源を用いることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の水素−酸素混合ガスの容器への密封充填方法。
  7. 前記振動攪拌は前記電解液中で振動羽根を振幅0.1〜30mm且つ振動数200〜12000回/分で振動させて行われることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の水素−酸素混合ガスの容器への密封充填方法。
  8. 電解液を収容する密閉可能な電解槽と、該電解槽内の前記電解液に接するように配置される陽極部材及び陰極部材並びにこれら陽極部材及び陰極部材の間に電圧を印加する電源を含んでなる電気分解手段と、前記電解槽内の電解液の振動攪拌を行う振動攪拌手段とを有する水素−酸素混合ガス発生部、及び
    前記電解槽の内部と連通し且つ前記水素−酸素混合ガスを充填すべき容器との接続開口を持つ配管系と、前記接続開口に接続される前記容器の内部及び該容器の内部と連通する前記配管系の少なくとも一部を減圧する減圧手段とを有する水素−酸素混合ガス送給部
    を備えていることを特徴とする、水素−酸素混合ガスの容器への密封充填装置。
  9. 前記容器に充填される水素−酸素混合ガスを圧縮する圧縮手段を備えていることを特徴とする、請求項8に記載の水素−酸素混合ガスの容器への密封充填装置。
  10. 前記圧縮手段は前記配管系中に介在する0.1〜70MPaに圧縮する圧縮機からなることを特徴とする、請求項9に記載の水素−酸素混合ガスの容器への密封充填装置。
  11. 前記圧縮手段は前記容器内に水を注入する水注入ポンプを含むことを特徴とする、請求項9に記載の水素−酸素混合ガスの容器への密封充填装置。
  12. 前記電解槽は密閉用の蓋部材を有しており、該蓋部材を貫通するようにして前記電解槽内部と前記配管系とが連通しており、前記振動棒は前記蓋部材を貫通して延びており、該蓋部材と前記振動棒との間には前記振動棒の振動を許容し且つ前記水素−酸素混合ガスの通過を阻止するシール手段が介在していることを特徴とする、請求項8〜11のいずれかに記載の水素−酸素混合ガスの容器への密封充填装置。
  13. 前記振動攪拌手段は、少なくとも1つの振動発生手段と、該振動発生手段に連係して前記電解槽内で振動する少なくとも1つの振動棒及び該振動棒に取り付けられた少なくとも1つの振動羽根からなる振動撹拌部材とを含むことを特徴とする、請求項8〜12のいずれかに記載の水素−酸素混合ガスの容器への密封充填装置。
  14. 前記振動撹拌手段の振動発生手段は振動モータを含み、前記振動撹拌手段は前記振動モータを10Hz〜500Hzの振動数で振動させるよう制御するインバータを含むことを特徴とする、請求項8〜13のいずれかに記載の水素−酸素混合ガスの容器への密封充填装置。
  15. 前記振動撹拌部材は、更に、前記振動棒と前記振動発生手段との連結部に又は前記振動棒の振動羽根を取り付けた部分より前記連結部に近い部分に設けられた電気的絶縁領域を有することを特徴とする、請求項8〜14のいずれかに記載の水素−酸素混合ガスの容器への密封充填装置。
  16. 前記振動撹拌部材の前記振動棒の前記電気的絶縁領域に対する前記振動羽根を取り付けた部分の側に通電線が接続されており、該通電線は前記電気分解手段の電源に接続されていることを特徴とする、請求項15に記載の水素−酸素混合ガスの容器への密封充填装置。
  17. 前記通電線と電気的に接続されている前記振動攪拌手段の一部が前記電気分解手段の陽極部材及び陰極部材の少なくとも一方として機能することを特徴とする、請求項15〜16のいずれかに記載の水素−酸素混合ガスの容器への密封充填装置。
  18. 前記電気分解手段の電源は直流パルス電源であることを特徴とする、請求項8〜17のいずれかに記載の水素−酸素混合ガスの容器への密封充填装置。
  19. 前記水素−酸素混合ガスは
    :54〜70モル%、
    H:0.12〜0.45モル%、
    及びHD:0.03〜0.14モル%、
    OH:0.3〜1.2モル%、
    16O:1.0〜4.2モル%、
    :5〜27モル%、
    を含んでなることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の水素−酸素混合ガスの容器への密封充填方法。
  20. 請求項1〜7のいずれかに記載の方法により前記容器に密封充填され、
    :54〜70モル%、
    H:0.12〜0.45モル%、
    及びHD:0.03〜0.14モル%、
    OH:0.3〜1.2モル%、
    16O:1.0〜4.2モル%、
    :5〜27モル%、
    を含んでなる水素−酸素混合ガス。
  21. 前記水素−酸素混合ガスは
    :54〜70モル%、
    H:0.12〜0.45モル%、
    及びHD:0.03〜0.14モル%、
    OH:0.3〜1.2モル%、
    16O:1.0〜4.2モル%、
    :5〜27モル%、
    を含んでなることを特徴とする、請求項8〜18のいずれかに記載の水素−酸素混合ガスの容器への密封充填装置。
  22. 請求項8〜18のいずれかに記載の装置により前記容器に密封充填され、
    :54〜70モル%、
    H:0.12〜0.45モル%、
    及びHD:0.03〜0.14モル%、
    OH:0.3〜1.2モル%、
    16O:1.0〜4.2モル%、
    :5〜27モル%、
    を含んでなる水素−酸素混合ガス。
  23. :54〜70モル%、
    H:0.12〜0.45モル%、
    及びHD:0.03〜0.14モル%、
    OH:0.3〜1.2モル%、
    16O:1.0〜4.2モル%、
    :5〜27モル%、
    を含む水素−酸素混合ガスを常圧状態または加圧状態で封入してなる容器。
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