JP2005228501A - 有機el素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】 光の取り出し効率が高く、且つ容易に製造することができる有機EL素子を提供する。
【解決手段】 透明電極21上に、正孔輸送材料から成るドット22を形成し、その上に正孔輸送層23、電子輸送層24、反射電極層25をこの順に形成する。これにより、電子輸送層24と反射電極層25との界面26に凹凸形状が形成される。界面26で反射される光は、この凹凸形状のため反射の際に何らかの角度変化を受け、界面26と出射面27の間を1回以上往復する間に全反射条件を満たさなくなって出射面27から出射されるようになる。こうして出射面27からの光の取り出し効率が向上する。また、この素子は、ドット22を含めて通常の蒸着法により容易に製造することができる。
【選択図】 図3
【解決手段】 透明電極21上に、正孔輸送材料から成るドット22を形成し、その上に正孔輸送層23、電子輸送層24、反射電極層25をこの順に形成する。これにより、電子輸送層24と反射電極層25との界面26に凹凸形状が形成される。界面26で反射される光は、この凹凸形状のため反射の際に何らかの角度変化を受け、界面26と出射面27の間を1回以上往復する間に全反射条件を満たさなくなって出射面27から出射されるようになる。こうして出射面27からの光の取り出し効率が向上する。また、この素子は、ドット22を含めて通常の蒸着法により容易に製造することができる。
【選択図】 図3
Description
本発明は、ディスプレイや光源等に用いられる有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子に関するものであり、特にその光取り出し効率の改善に関する。
有機EL素子は、1987年のC. W. Tangらによるドラスティックな性能の改良がなされた後、特に日本でより深い研究開発が進められた。そして現在、有機EL素子はディスプレイの画素等として実用化されつつある。このような有機EL素子を用いたディスプレイは、自発光型であって別途照明を要しない、薄くて軽い、視野角が広い、低電圧で駆動する、等の特長を有する。
有機EL素子を用いたディスプレイを実用化するためには、素子を長寿命化することが求められる。ディスプレイにおいて必要な輝度は決まっているため、素子から光を取り出す効率を高めることにより、素子への負荷が緩和され、それにより長寿命化を図ることができる。
しかし、従来の有機EL素子は、光の取り出し効率が低い、という問題点を有する。この問題点について図1を用いて説明する。一般的な有機EL素子は、透明電極11上にp型有機半導体から成る正孔輸送層12及びn型有機半導体から成る電子輸送層13が順に積層され(この順序は逆でもよい)、その上に上部電極14が積層される。透明電極11には、例えばインジウム錫酸化物(ITO)が用いられる。透明電極11と上部電極14の間に所定の極性(図1の例では透明電極11側が正)の電圧が印加されると、正孔輸送層12内の正孔が上部電極14側に、電子輸送層13内の電子が透明電極11側に移動し、両層12、13の境界15付近で正孔と電子が再結合して発光する。こうして生じた光は全方向に放射され、透明電極11に達した光はそのまま外部に放出され、電子輸送層13と上部電極14の境界に達した光は上部電極14により反射された後、透明電極11から外部に放出される。なお、その間、光は各層の境界で屈折する。
透明電極の屈折率(ITOでは約1.9)は空気の屈折率よりも高いため、光が透明電極11と外部の界面16に臨界角θc(透明電極がITOの場合、θc〜31.8°)以上の入射角で入射すると、その光は該界面において全反射してしまい、外部に出ることができない。図1に示した光161〜163の例では、光161及び162は界面16への入射角θ1及びθ2が臨界角θcよりも小さいため外部に出ることができるのに対して、光163はその入射角θ3が臨界角θcよりも大きいため界面16で全反射される。このように全反射した光は、上部電極14により反射されて再び界面16に達するが、この過程によって界面16への入射角は変化しないため、やはり外部に出ることができない。
このように、界面16における全反射により、有機EL素子内で生じた光の大半は外部に出ることができず、そのため有機EL素子の効率が低い。例えば透明電極がITOの場合、従来の有機EL素子における取り出し効率は、最大でも(全反射以外の原因による損失がないとしても)17.5%に過ぎないと考えられている(G. Gu他、"High-external-quantum-efficiency organic light-emitting devices"、OPTICS LETTERS 第22巻 第6号 (1997年) pp. 396-398参照)。
このような全反射の影響を抑制するために、特許文献1には透明電極又はその外側に設けた透明基材の表面に、機械研磨などにより凹凸を設けて乱反射面を形成したものが記載されている。特許文献2には、透明電極の外側に、散乱材を含有する光拡散部を設けたものが記載されている。これらの構成によると、透明電極(透明基材)又は光拡散部と外部の界面へ入射する光の一部の入射角が小さくなり、外部に出ることができるようになるため、取り出し効率が高くなる。しかし、これらの方法では透明である電極等に光を散乱する要因を加えてしまうため望ましくない。
特許文献3には、反射電極の有機物層側に反射型回折格子を設けるか、又は透明電極の有機物層側に透過型回折格子を設け、格子間隔を適切に設定することにより、基板と外部との界面への光の入射角を小さくすることが記載されている。しかし、この方法は、素子の製造の際に回折格子を精密に作製しなければならないという欠点を有する。特許文献4には、透明電極の外側に、凹凸形状に形成された拡散板を設ける構成が記載されている。特許文献4には更に、拡散板に加えて、発光体と反射電極との界面が凹凸形状に形成されていることが望ましい、と記載されている。しかし、その具体的な形状や形成方法については記載されていない。
本発明が解決しようとする課題は、光の取り出し効率が高く、且つ容易に製造することができる有機EL素子を提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明に係る有機EL素子の第1の態様のものは、
a)少なくとも一方の面に凹凸を有する透明電極と、
b)透明電極の前記面を覆う発光層と、
c)前記発光層を被覆する反射電極層と、
を備えることを特徴とする。
a)少なくとも一方の面に凹凸を有する透明電極と、
b)透明電極の前記面を覆う発光層と、
c)前記発光層を被覆する反射電極層と、
を備えることを特徴とする。
なお、発光層は通常、正孔輸送層と電子輸送層の積層体で構成される。また、発光層は、更に機能分離した多積層体であってもよい。
本発明に係る有機EL素子の第2の態様のものは、
a)透明電極と、
b)透明電極の一方の面を覆う第1電荷輸送層及び第2電荷輸送層と、
c)第1電荷輸送層と第2電荷輸送層の間に介挿された凹凸部材と、
d)第2電荷輸送層を被覆する反射電極層と、
を備えることを特徴とする。
a)透明電極と、
b)透明電極の一方の面を覆う第1電荷輸送層及び第2電荷輸送層と、
c)第1電荷輸送層と第2電荷輸送層の間に介挿された凹凸部材と、
d)第2電荷輸送層を被覆する反射電極層と、
を備えることを特徴とする。
第2の態様の有機EL素子において、前記凹凸部材は、正孔及び電子に関して共に伝導性を有する材料から成るものであることが望ましい。
本発明に係る有機EL素子では、透明電極の凹凸面の上に発光層を形成することにより、発光層の表面にもその凹凸の影響が現れ、発光層と反射電極層の界面(以下、これを反射面と呼ぶ)が凹凸形状を有することとなる。このため、発光層で生成された光で反射電極層に向かうものは、反射面で反射される際に何らかの角度変化を受ける。従って、透明電極と外部の界面(出射面)で全反射された光のほとんどが、反射面と出射面の間を1回以上往復する間に全反射条件を満たさなくなり、出射面から出射されるようになる。
本発明において、透明電極の一方の面の凹凸は、透明電極自身がそのような形状に形成されていてもよいし、平面状の透明電極表面に、そのような凹凸を有する部材を載置してもよい。そのような凹凸部材には、それが接する発光層(又は電荷輸送層)と同じ材料又は同じ極性の有機半導体を用いることが望ましい。この場合、凹凸部材はその発光層(又は電荷輸送層)の一部として機能する。また、凹凸部材は、透明電極の表面全面を覆うようなものであってもよいし、所々に離散的に(スポット的に)配置されるようなドット状のものであってもよい。前者の場合、凹凸部材は透明電極から供給される正孔又は電子に関して伝導性を有するものであって且つ出射光に対して透過率の高いものである必要がある。後者の場合にもそのような材料を用いることが望ましいが、必須要件ではない。
凹凸部材は、透明電極の表面に載置するのではなく、発光層の内部に設けてもよい。前記の通り、有機ELの発光層は正孔輸送層と電子輸送層から成るため、両層の間にそのような凹凸部材を介挿させてもよい。この場合においても、凹凸部材は両層の間に連続して存在するものであってもよいし、スポット的に存在するドット状のものであってもよい。伝導性及び光透過率に関する要求性能は上記の場合と同じであるが、正孔輸送層と電子輸送層の間に介挿する凹凸部材の場合は、正孔と電子の双方に対して伝導性の良好な材料を使用することにより、その内部で正孔と電子が再結合しやすくなり、両電荷輸送層からの電荷の流入量も増加して有機EL素子の発光効率が高くなるという効果も奏するようになる。この場合、正孔と電子が効率よく再結合するためには凹凸部材の大きさは小さい方が望ましいが、小さすぎると、正孔と電子の結合により凹凸部材内で生成される励起子が凹凸部材と正孔輸送層又は電子輸送層の界面において散乱される。そのため、凹凸部材の大きさは、励起子の平均的な拡散長である30nmと中心として10nm〜50nmとすることが望ましい。
凹凸部材は、例えば、所定の位置に孔を有し、形成しようとする凹凸部材の高さよりも厚いマスクを透明電極又は第1電荷輸送層の表面に密着して載置し、その材料を蒸着することにより形成することができる。この場合、マスクの法線より傾いた方向から飛来する材料は、マスク材の縁が影となって孔の縁付近には堆積しない。そのため、マスクの孔の中心付近が高く、孔の縁付近が低いドーム状の凹凸部材が形成される。
また、凹凸部材は、所定の位置に孔を有し、透明電極又は第1電荷輸送層の表面から離間して載置し、その材料を蒸着することにより形成することもできる。このようにマスクを配置することにより、マスクの孔の外側まで材料が回り込む。孔から離れるに従い、透明電極の上面に到達する材料の量が少なくなるため、マスクの孔の中心から離れるに従って低くなる形状の凹凸部材が形成される。
更に、凹凸部材は透明電極の表面に自己組織化膜を形成するものであってもよい。例えば、透明電極又は第1電荷輸送層の表面に対して濡れ性の低い凹凸部材の溶液を散布すると、溶液は透明電極等の表面に水滴のように離散して載置される。この状態で溶液を固化することにより、凹凸部材が形成される。なお、透明電極又は第1電荷輸送層上に疎水性の材料を塗布しておき、凹凸部材の水溶液を散布するという方法をとってもよい。
本発明により、以下の効果を得ることができる。
本発明に係る有機EL素子では、透明電極表面又は発光層中に形成された凹凸が反射面の形状に反映され、反射面にも凹凸形状が形成される。このため、出射面で全反射された光のほとんどが、反射面と出射面の間を1回以上往復する間に全反射条件を満たさなくなり、出射面から出射されるようになる。これにより、高い光の取り出し効率を得ることができる。また、本発明の有機EL素子では、特定波長の共振現象や干渉・回折現象を利用していないため、見る角度によって光の強度や色調に変化が生じることがない。
本発明に係る有機EL素子では、透明電極表面又は発光層中に形成された凹凸が反射面の形状に反映され、反射面にも凹凸形状が形成される。このため、出射面で全反射された光のほとんどが、反射面と出射面の間を1回以上往復する間に全反射条件を満たさなくなり、出射面から出射されるようになる。これにより、高い光の取り出し効率を得ることができる。また、本発明の有機EL素子では、特定波長の共振現象や干渉・回折現象を利用していないため、見る角度によって光の強度や色調に変化が生じることがない。
また、本発明に係る有機EL素子は従来の通常のEL素子の製造装置をそのまま用いて製造することができるため、製造が容易であり、コストも殆ど上昇することがない。
本発明に係る有機EL素子の第1の実施例を、図2を用いて説明する。透明電極となる基板21にはITOから成る板材を用いる。基板21上に、α-NPD(Bis[N-(1-naphthyl)-N-phenyl]benzidine)から成るドット22を多数、離散的に配置する。α-NPDは従来より有機EL素子の正孔輸送層の材料として使用されているものである。ドット22の上面はドーム状とし、その高さが中心から周囲に向かうにつれて低くなるようにする。その製造方法は後述する。本実施例では、ドット22の径がφ0.8μm(φ800nm)とφ100μm(φ1×105nm)の2種類のものを作製した。ドット22の最大高さはいずれも50nmとした。
基板21及びドット22の上面を覆うように、α-NPDから成る正孔輸送層23を形成する。本実施例の場合、ドット22と正孔輸送層23は同じ材料から成るため、電気的には両者は同じ役割を有する。正孔輸送層23は一般的な蒸着法により、厚さ50nmとなるように作製する。この場合、正孔輸送層23は基板21及びドット22の上面のいずれの位置にもほぼ同じ厚さだけ積層し、正孔輸送層23の上面はドット22の形状に対応した凹凸形状を呈する。更に、正孔輸送層23の上面に、アルミキノリノール錯体 (Alq3)から成る電子輸送層24同じく蒸着法により、厚さ75nmとなるように作製する。前記同様、電子輸送層24の上面もドット22の形状に対応した凹凸形状を呈する。最後に、電子輸送層24の上面にマグネシウム−銀合金(MgAg)から成る反射電極層25を蒸着法により作製する。反射電極層25の厚さは200nmとした。
本実施例ではドット22及び正孔輸送層23にはいずれもα-NPDを用いたが、CuPc(銅フタロシアニン)等の他の正孔輸送材料を用いてもよい。また、ドット22の材料がCuPc、正孔輸送層23の材料がα-NPDというように、両者の正孔輸送材料が異なるものであってもよい。更に、ドット22に電子輸送材料を用い、その上に電子輸送層24、正孔輸送層23、反射電極層25の順に積層させてもよい。この場合には、印加電圧は図2の素子の場合とは逆極性にする。
第1実施例の有機EL素子の動作について説明する。透明電極(基板)21−反射電極層25間に、透明電極21側を正、反射電極層25側を負とする電圧を印加する。これにより、従来の有機EL素子と同様に、透明電極21から正孔輸送層23へ正孔が、反射電極層25から電子輸送層24へ電子が、それぞれ注入され、それら正孔及び電子が正孔輸送層23−電子輸送層24の界面付近で再結合して発光する。
発生した光のうち反射電極層25側に向かう光は、図3(a)に示すように、電子輸送層24−反射電極層25の界面(反射面)26において反射される。反射面26内の凹凸のある位置に入射した光とそこで反射された光は、透明電極21の出射面27に対する角度が異なる。例えば図3において、光281は、反射面に凹凸のない従来の有機EL素子では図中の1点鎖線で示す方向に進行し、臨界角θcよりも大きい入射角θ4'で出射面27に入射するため、そこで全反射される。しかし、本実施例では実線の方向に反射され、臨界角θcよりも小さい入射角θ4で出射面27に到達するため、外部に出ることができる。
図3(b)に示す光282のように、反射面26における反射により、却って出射面27への入射角θ5が大きくなってそこで全反射する光もある。しかし、このような光も、反射面26と出射面27との間を数回往復する間に反射面26中の適宜の位置で反射され、出射面27への入射角が小さくなって外部に出ることができるようになる。この図の例では、光282は反射面26による2回目の反射により出射面27への入射角θ6が臨界角θcよりも小さくなり、外部に出ることができる。
第1実施例の有機EL素子の製造方法について、図4の断面図を用いて、ドット22の形成方法を中心に説明する。基板21の上面に、ドット22の位置に対応した孔32が設けられたマスク31を載置する。マスクの厚さは、形成しようとするドット22の高さ(50nm)よりも高い30μm(3×104nm)である。その上からドット22の材料を蒸着する。図4(a)に示すように、この材料は様々な角度で孔32に入射するが、マスク31に対して斜めに入射した材料33は、マスク31の縁34の影となる領域35には到達しない。そのため、図4(b)に示すように、孔32の中心部36付近が高く、端部37付近が低い、ドーム状のドットが形成される。マスク31に多数の孔32を設けておくことにより、このようなドット22を基板21上に多数、スポット的に形成する。その後、通常の蒸着法により、正孔輸送層23、電子輸送層24、反射電極層25をこの順に積層する。
ドット22の形成方法の他の例を説明する。図5に断面図で示した例では、基板21上に、所定の高さのスペーサ43を介してマスク41を載置する。マスク41の上からドット22の材料を蒸着すると、孔部42の外側、即ち マスク部44の下部にまでこの材料が入り込む。これにより、孔部42の下方に、中心付近が高く、マスク部44の下まで裾が伸びた形状を有するドットが形成される。また、図6に上面図(a)及び断面図(b)で示すような網目状のマスク51を用いてもよい。この場合、網目52の中心付近が高く、この中心から周辺に向かうにつれて低くなる凹凸層53が形成される。
以下に、第1実施例の有機EL素子を用いた各種実験の結果を示す。
図7(a)に、径φ100μmのドットを載置した素子におけるドットの、表面段差計で観察した表面形状像を示す。明るく見える4個の円形のものがドットである。このドットの断面のプロファイルを図7(b)に示す。高さが50nm、下部の径が100μmのドットが形成されている。このドットは、その両端が基板表面(y=0の面)に対して傾斜した形状を有する。
図7(a)に、径φ100μmのドットを載置した素子におけるドットの、表面段差計で観察した表面形状像を示す。明るく見える4個の円形のものがドットである。このドットの断面のプロファイルを図7(b)に示す。高さが50nm、下部の径が100μmのドットが形成されている。このドットは、その両端が基板表面(y=0の面)に対して傾斜した形状を有する。
本実施例の有機EL素子に対して、外部量子効率の測定を行った。外部量子効率は、有機物層に注入されたキャリアが全て再結合したと仮定した時の、光の強度に対する素子外部に取り出された光の強度の割合を示すものである。また、比較のために、ドットを設けない、即ち反射面が凹凸形状を有しない従来の有機EL素子に対して同様の測定を行った。比較例の素子は、ドットを形成しないことを除いて本実施例と同じ方法により、正孔輸送層(α-NPD)の厚さが50nmのものと100nmのものの2種を作製した。この厚さは、本実施例の有機EL素子のドットと正孔輸送層を合わせた厚さの最小値及び最大値に対応する。
図8に、上記外部量子効率の測定結果を示す。横軸は素子に流れる電流密度である。いずれの実施例においても、比較例よりも高い外部量子効率が得られた。図9に、本実施例と比較例の外部量子効率を同じ電流密度(10mA及び100mA)同士、及び外部量子効率の最大値同士で比較したグラフを示す。本実施例の有機EL素子では、外部量子効率が1.2倍〜1.5倍向上している。
図10に、本実施例及び比較例の有機EL素子の発光スペクトルを示す。本実施例の2種の素子はいずれも、正孔輸送層の厚さが50nmである比較例の素子とほぼ同じ発光スペクトルを示すことから、ドットの導入により発光スペクトルは影響を受けないと言える。なお、正孔輸送層の厚さが100nmである比較例の素子は正孔輸送層の厚さが他の素子よりも厚いため、干渉効果により発光スペクトルがシフトしたものと考えられる。
本発明に係る有機EL素子の第2の実施例を、図11を用いて説明する。本実施例の有機EL素子では、ITOから成る基板(透明電極)61上にα-NPDから成る正孔輸送層62を積層し、その上面にドット63を複数個配置する。ドット63はAlq3とDCM(4-(Dicyanomethylene)-2-methyl-6-(p-dimethylaminostyryl))を同時に蒸着することにより作製する。このような材料を用いることにより、本実施例の有機EL素子では、ドット63において正孔と電子が共に伝導する。なお、ドット63は、第1実施例と同様の方法により形成することにより、その形状はそれらと同様となっている。
次に、正孔輸送層62及びドット63を覆うように、電子を輸送し、且つ正孔をブロックする特性を有するオキサジアゾール誘導体から成る電子輸送層64、及びマグネシウム−銀合金(MgAg)から成る反射電極層65をこの順に形成する。
次に、正孔輸送層62及びドット63を覆うように、電子を輸送し、且つ正孔をブロックする特性を有するオキサジアゾール誘導体から成る電子輸送層64、及びマグネシウム−銀合金(MgAg)から成る反射電極層65をこの順に形成する。
第2実施例の有機EL素子の動作を説明する。第1実施例と同様に、透明電極61−反射電極層65間に電圧を印加することにより、正孔輸送層62と電子輸送層64との界面66近傍に正孔及び電子が移動する。正孔が正孔輸送層62から電子輸送層64へ、及び電子が電子輸送層64から正孔輸送層62へ移動することはできないため、界面66付近の正孔及び電子は共にドット63に流入する。これにより、ドット63内では高い確率で正孔と電子が再結合して発光するため、高い発光効率を得ることができる。
更に、第2実施例では、ドット63の上に電子輸送層64及び反射電極層65を形成するため、反射電極層65の反射面が凹凸形状を有する。これにより、第2実施例では上記の効果に加えて、第1実施例と同様の効果を得ることができる。
11…透明電極
12、23、62…正孔輸送層
13、24、64…電子輸送層
14…上部電極
21、61…基板(透明電極)
22、63…ドット
25、65…反射電極層
27…出射面
31、41、51…マスク
32、42…孔
43…スペーサ
44…マスク部材
52…網目
53…凹凸層
12、23、62…正孔輸送層
13、24、64…電子輸送層
14…上部電極
21、61…基板(透明電極)
22、63…ドット
25、65…反射電極層
27…出射面
31、41、51…マスク
32、42…孔
43…スペーサ
44…マスク部材
52…網目
53…凹凸層
Claims (7)
- a)少なくとも一方の面に凹凸を有する透明電極と、
b)透明電極の前記面を覆う発光層と、
c)前記発光層を被覆する反射電極層と、
を備えることを特徴とする有機EL素子。 - 透明電極上に凹凸を有する部材を載置することにより上記凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
- a)透明電極と、
b)透明電極の一方の面を覆う第1電荷輸送層及び第2電荷輸送層と、
c)第1電荷輸送層と第2電荷輸送層の間に介挿された凹凸部材と、
d)第2電荷輸送層を被覆する反射電極層と、
を備えることを特徴とする有機EL素子。 - 前記凹凸部材が、正孔及び電子に関して共に伝導性を有する材料から成ることを特徴とする請求項3に記載の有機EL素子。
- 透明電極上に第1電荷輸送層、第2電荷輸送層及び反射電極層を積層して有機EL素子を製造する方法において、
透明電極上又は第1電荷輸送層上に、該層に密着して、所定の位置に孔を有し、形成しようとする凹凸部材の高さよりも厚いマスクを載置し、蒸着により透明電極上又は第1電荷輸送層上に凹凸部材を形成する工程を有することを特徴とする有機EL素子製造方法。 - 透明電極上に第1電荷輸送層、第2電荷輸送層及び反射電極層を積層して有機EL素子を製造する方法において、
透明電極上又は第1電荷輸送層上に、表面から離間して、所定の位置に孔を有するマスクを載置し、蒸着により透明電極上又は第1電荷輸送層上に凹凸部材を形成する工程を有することを特徴とする有機EL素子製造方法。 - 透明電極上に第1電荷輸送層、第2電荷輸送層及び反射電極層を積層して有機EL素子を製造する方法において、
透明電極又は第1電荷輸送層の表面に、該表面に対して濡れ性の低い凹凸部材溶液を散布し、該溶液を固化することにより透明電極又は第1電荷輸送層の表面に凹凸部材を形成する工程を有することを特徴とする有機EL素子製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004033395A JP2005228501A (ja) | 2004-02-10 | 2004-02-10 | 有機el素子 |
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JP (1) | JP2005228501A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013190622A1 (ja) * | 2012-06-18 | 2013-12-27 | パイオニア株式会社 | エレクトロルミネッセンス素子 |
JP2015503202A (ja) * | 2011-12-06 | 2015-01-29 | ノヴァレッド ゲーエムベーハー | 有機発光素子およびその製造方法 |
-
2004
- 2004-02-10 JP JP2004033395A patent/JP2005228501A/ja active Pending
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