JP2005226699A - ダイナミックダンパ - Google Patents
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Abstract
【課題】 支持金具と取付ブラケットの取り付けが簡易で、かつ取付ブラケットの錆防止処理が簡易である安価なダイナミックダンパを提供する。
【解決手段】 ダイナミックダンパ10は、互いに所定距離離れて対向して配置されたL字状の一対の支持金具11と、その対向する垂直板部12間に配置された質量金具16と、各垂直板の対向面と質量金具の両端間を弾性的に連結する一対のゴム弾性体17を有する。支持金具は、一対の水平板部13の取付孔14を取付ブラケット21の突出部22に挿嵌して、突出部を径方向外方に曲げることにより取付ブラケットに固定されている。取付ブラケットには、予め表面全面に組成比率がアルミニウム6重量%,マグネシウム3重量%,残部が亜鉛及び不可避的不純物からなる溶融Zn−Al−Mgメッキ層が形成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】 ダイナミックダンパ10は、互いに所定距離離れて対向して配置されたL字状の一対の支持金具11と、その対向する垂直板部12間に配置された質量金具16と、各垂直板の対向面と質量金具の両端間を弾性的に連結する一対のゴム弾性体17を有する。支持金具は、一対の水平板部13の取付孔14を取付ブラケット21の突出部22に挿嵌して、突出部を径方向外方に曲げることにより取付ブラケットに固定されている。取付ブラケットには、予め表面全面に組成比率がアルミニウム6重量%,マグネシウム3重量%,残部が亜鉛及び不可避的不純物からなる溶融Zn−Al−Mgメッキ層が形成されている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、車両のエンジンを支持するエンジンマウントのメンバ等の制振対象部材に、取付ブラケットによって固定されるダイナミックダンパに関する。
従来、この種のダイナミックダンパとしては、例えば図5に示すように、所定距離を隔てて互いに対向する一対のL字状の支持金具1の対向面にそれぞれゴム弾性体層2を介して横長の直方体形状の質量金具3が接着固定されており、さらに長尺板である取付ブラケット4に一対の支持金具1が重ね合わされて、両者に設けた取付孔を介してボルト5及びナット6により取り付けられたものが知られている。ダイナミックダンパの取付ブラケット4には、通常は錆び防止のためにカチオン塗装が施されている。このダイナミックダンパは、取付ブラケット4を車両側取付部7に載置して、ボルト8等によって取付部7に固定される。なお、同様の構造のダイナミックダンパについては、例えば特許文献1にも示されている。
特開平6−272733号公報
ところで、この種のダイナミックダンパは、例えば、質量金具の重量が1kg以下であり、その共振周波数が100Hz以上で使用されることが多く、そのような場合には、支持金具と取付ブラケットの固定部分に加わる振動が小さい。そのため、支持金具と取付ブラケットとの取付強度がそれほど要求されていないので、上記ボルト及びナットによる強固な固定は必ずしも必要とはされていない。かえって、ボルト及びナットによる固定では、部材コストを要すると共に、取り付けの手間を要するため、支持金具と取付ブラケットとの取り付けコストが高価になるという問題がある。また、取付ブラケットに施される錆び防止のためにカチオン塗装については、塗装コストが高価であるため、ダイナミックダンパのコストアップの原因となっている。
本発明は、上記した問題を解決しようとするもので、支持金具と取付ブラケットの取り付けが簡易で、かつ取付ブラケットの錆防止処理が簡易である安価なダイナミックダンパを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の構成上の特徴は、金属板を挟角が90°以上になるように折り曲げた略L字状の支持金具の一方の板部の挟角に対する反対側面にゴム弾性体を介して質量金具が取り付けられており、支持金具の他方の板部にて板状の取付ブラケットに固定されており、取付ブラケットにより制振対象である相手部材に取り付けられるダイナミックダンパであって、他方の板部が取付孔を設けており、一方、取付ブラケットには、予め板面から起立した取付孔の内径より小さい外径の筒形の突出部を設けておき、他方の板部が取付孔にて突出部に挿嵌されて取付ブラケットに重ね合わされた状態で、突出部の先端側が径方向外方に曲げられて取付孔の周縁部分に重ね合わされていることにある。
上記のように構成した発明においては、取付ブラケットに予めバーリング加工等により設けられた円筒形の突出部に、突出部の外径より大きい内径の取付孔を有する支持金具の他方の板部を、その取付孔にて挿嵌して取付ブラケットに重ね合わせた状態で、突出部の先端側をローラ加締め等によって径方向外方に曲げて他方の板部の取付孔の周縁に重ね合わせることにより、他方の板部が取付ブラケットに簡単に固定される。そのため、本発明によれば、支持金具の取付ブラケットへの取り付けにおいて、ボルトナット等の別部材が不要になると共に、別部材を用いた場合に比べて取り付けの手間が低減する。なお、本発明による別部材を用いない、支持金具と取付ブラケットの取り付けの場合、従来のボルト及びナットを用いた取り付けに比べて取付強度が低くなるが、質量金具の重量が1kg以下で、その共振周波数が100Hz以上で使用されるダイナミックダンパのように、支持金具と取付ブラケットの固定部分に加わる振動が小さい場合には、固定部分の信頼性の面でも問題にはならない。
また、上記ダイナミックダンパにおいて、取付ブラケットが普通鋼板製であって、予めその表面に、アルミニウム6重量%,マグネシウム3重量%,残部が亜鉛及び不可避的不純物からなる溶融Zn−Al−Mgメッキ層を形成することができる。なお、亜鉛、アルミニウム及びマグネシウムの組成比率としては、亜鉛91%−アルミニウム6%−マグネシウム3%が好ましいが、この組成比率がわずかに変動したものであってもよい。
このように、取付ブラケットは、バーリング加工等によって突出部が設けられ、さらに突出部がローラ加締め等により外方に広げることにより、メッキ層で被覆された普通鋼板表面が荒されて鋼素材が露出した状態にされているが、普通鋼板からなる取付ブラケットの表面には、予めアルミニウム6重量%,マグネシウム3重量%,残部が亜鉛及び不可避的不純物からなる溶融Zn−Al−Mgメッキ層が形成されている。そのため、溶融Zn−Al−Mgメッキ層が雨や結露等で濡れることにより、メッキ層から亜鉛,アルミニウム,マグネシウムが溶け出して、上記加工等により生じた鋼素地の露出面が緻密なマグネシウム含有亜鉛系保護被膜によって覆われる。その結果、本発明によれば、取付ブラケットの鋼素地露出面からの腐食の進行が防止され、取付ブラケットの長期にわたっての信頼性が確保される。また、この溶融Zn−Al−Mgメッキ層の形成のコストは、通常の溶融亜鉛メッキ等と同等であり、従来行われていたカチオン塗装に比べて大幅に安価であるため、ダイナミックダンパが一層安価に提供される。
本発明によれば、ダイナミックダンパの支持金具と取付ブラケットの取り付けが、別部材を用いることなく、しかも短時間で簡易に行われるため、ダイナミックダンパのコストが低減する。さらに、本発明によれば、取付ブラケットに予め溶融Zn−Al−Mgメッキ層を形成しておくことにより、突出部等の加工により生じた普通鋼板の露出面における錆びの発生を安価にかつ確実に抑えることができ、取付ブラケットの信頼性を安価にかつ長期にわたって確保することができる。
以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1及び図2は、実施例である車両の取付部に取り付けられるダイナミックダンパ10を一部破断正面図及び平面図により示したものである。図3は、ダイナミックダンパの取付ブラケットへの取り付け状態を各拡大断面図により示したものである。ダイナミックダンパ10は、互いに所定距離離れて対向して配置されるL字状の一対の支持金具11と、両支持金具11の対向する垂直板部12間に配置された直方体形状の質量金具16と、各垂直板部12の対向面と質量金具16の長手方向両端間を弾性的に連結する一対のゴム弾性体17を有し、さらに、支持金具11の一対の水平板部13をその取付孔14が取付ブラケット21の突出部22に挿嵌された状態で突出部22を径方向外方に曲げることにより取付ブラケット21に固定されている。なお、以下の説明において、ダイナミックダンパ10の各部の上下及び左右関係については、図1の上下及び左右に合わせることにする。
支持金具11は、長方形の金属板の曲げ加工により形成された挟角が90°で互いに直交する一方の板部である垂直板部12と他方の板部である水平板部13とを一体で有しており、垂直板部12と水平板部13の境界は円弧状に丸められている。水平板部13の中心位置には、円形の取付孔14が設けられている。一対の支持金具11は、各水平板部13が同一平面上に配置されると共に、一対の垂直板部12が水平板部13を外側に向けて互いに対向して配置されている。一対の垂直板部12間には長尺状の直方体形状の質量金具16が、長手方向の両端面が垂直板部12とわずかに隙間を隔てて配置されている。質量金具16は、その上面が垂直板部12の上端と略同一高さであり、その下面が垂直板部12の下端よりわずかに上方になるように配置されている。
各垂直板部12と質量金具16の長手方向両端面間には、一対のゴム弾性体17が加硫成形により形成されて、各垂直板部12と質量金具16の両端面間を弾性的に連結している。また、ゴム弾性体17からは、薄肉のゴム被覆層18が、質量金具16の直方体の上下面及び前後面側にその各稜の近傍を除いて一体となって長手方向にわずかに延びて質量金具16表面を被覆している。
取付ブラケット21は、図2及び図3−1に示すように、平坦な長方形の普通鋼板製であり、予め上記一対の水平板部13に設けた取付孔14位置に合わせて板面にバーリング加工を施して、板面に垂直に突出した円筒形の突出部22を設けている。突出部22は、外径が上記取付孔14の内径よりわずかに小さくされている。また、取付ブラケット21は、長手方向の両端及び中央位置でかつ幅方向両端の6ヶ所に取付穴23を設けている。図3−2に示すように、取付ブラケット21には、一対の支持金具11の各水平板部13が取付孔14にて突出部22に挿嵌されて取付ブラケット21に重ね合わされており、さらに、突出部22の取付孔14からの突出部分がローラ加締め法によって径方向外方に曲げられて、曲げ部22aが水平板部13の取付孔14周縁部分に重ね合わされる。すなわち、支持金具11の水平板部13が、ボルトナット等の固定のために別部材を用いることなくしかも簡易な手法により取付ブラケット21に固定されている。
また、取付ブラケット21を構成する加工前の長方形の普通鋼板には、予め表面全面に組成比率がアルミニウム6重量%,マグネシウム3重量%,残部が亜鉛及び不可避的不純物からなる溶融Zn−Al−Mgメッキ層が形成されている。この溶融Zn−Al−Mgメッキ層は、近年開発されたものであり、このメッキ層を施した鋼板は商品名ZAM(日新製鋼株式会社製)として知られている。ZAMについては、以下のような性質があることが知られている。上記組成の溶融Zn−Al−Mgメッキ層の施された普通鋼板に切断や曲げ加工を施した場合に、加工面に鋼素地が露出するが、メッキ層が雨や結露等で濡れることにより、メッキ層から亜鉛,アルミニウム,マグネシウムが溶け出して、鋼板の露出端面が緻密なマグネシウム含有亜鉛系保護被膜で覆われるため、普通鋼板の露出面から腐食の進行が防止される。
本実施例においても、取付ブラケット21が形成される過程で、穴あけ加工やバーリング加工により突出部22が形成され、さら突出部22がローラ加締めにより曲げられることにより、鋼素材の露出がもたらされる。以上のように形成されたダイナミックダンパ10は、図1に示すように、取付ブラケット21を車両側取付部7に載置して、取付穴23にボルト24を挿嵌して取付部7に螺着させることにより取付部7に固定される。
上記実施例においては、予めバーリング加工により起立した円筒形の一対の突出部22を設けた取付ブラケット21に対して、一対の支持金具11の水平板部13が取付孔14を突出部22に挿嵌することにより重ね合わされた状態で、突出部22の先端側をローラ加締め法等によって径方向外方に曲げることにより、曲げ部22aが水平板部13の取付孔14周縁部分に重ね合わされ、水平板部13が取付ブラケット21に簡単に取り付けられる。そのため、本実施例においては、従来のダイナミックダンパのように、支持金具11と取付ブラケット21の取り付けのためのボルトナット等の別部材が不要になると共に、取付作業の手間が大幅に削減される。その結果、本実施例においては、従来に比べてダイナミックダンパ10の製造コストが大幅に低減する。
なお、本実施例のように、別部材を用いない支持金具11と取付ブラケット21の取り付けの場合、従来のボルト及びナットを用いた取り付けに比べて取付強度がわずかに低くなる。しかし、本実施例のダイナミックダンパは、質量金具16の重量が1kg以下で、その共振周波数が100Hz以上で使用されるものであるため、支持金具11と取付ブラケット21の固定部分に加わる振動が小さくなっている。そのため、本実施例においては、支持金具11と取付ブラケット21の固定部分の強度の低下が、固定部分の信頼性の面で問題になることはない。
また、本実施例においては、取付ブラケット21にバーリング加工等によって突出部22を設けたり、さらに突出部22をローラ加締め等により外方に広げることにより、加工部分の鋼板表面に鋼素材が露出した状態となる。しかし、取付ブラケット21の表面には、予めアルミニウム6重量%,マグネシウム3重量%,残部が亜鉛及び不可避的不純物からなる溶融Zn−Al−Mgメッキ層が形成されている。そのため、溶融Zn−Al−Mgメッキ層が雨や結露等で濡れることにより、メッキ層から亜鉛,アルミニウム,マグネシウムが溶け出して、取付ブラケット21の鋼素地露出面が緻密なマグネシウム含有亜鉛系保護被膜によって覆われる。その結果、本実施例においては、取付ブラケット21の鋼素地露出面からの腐食の進行が防止され、その長期にわたっての信頼性が確保される。しかも、この溶融Zn−Al−Mgメッキ層の形成のコストは、通常の溶融亜鉛メッキ等と同等であり、従来行われていたカチオン塗装に比べて大幅に安価であるため、取付ブラケット21がさらに安価に提供される。
なお、本実施例においては、一対の支持金具により、ゴム弾性体を介して1つの質量金具を保持しているが、これに代えて、図4に変形例として示すように、1つの支持金具11で1つの質量金具16Aを保持する構造のダイナミックダンパ10Aを取付ブラケット21Aによって相手部材7に取り付ける場合にも、本発明を同様に適用することができる。また、本実施例においては、支持金具の両板部の挟角は直角になっているが、90°より大きくすることも可能であり、これによっても、ローラ加締め法による取付ブラケットの突出部の径方向外方への曲げ加工は可能である。その他、上記実施例に示したダイナミックダンパについては一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々変更して実施することが可能である。
本発明のダイナミックダンパは、支持金具と取付ブラケットとの固定にボルトナット等の別部材が不要であると共に取付の手間が少なく、さらに取付ブラケットの加工後の錆の発生を安価に防止できるので、有用である。
10…ダイナミックダンパ、11…支持金具、12…垂直板部、13…水平板部、14…取付孔、16…質量金具、17…ゴム弾性体、21…取付ブラケット、22…突出部、22a…曲げ部。
Claims (2)
- 金属板を挟角が90°以上になるように折り曲げた略L字状の支持金具の一方の板部の挟角に対する反対側面にゴム弾性体を介して質量金具が取り付けられており、該支持金具の他方の板部にて板状の取付ブラケットに固定されており、該取付ブラケットにより制振対象である相手部材に取り付けられるダイナミックダンパであって、
前記他方の板部が取付孔を設けており、一方、前記取付ブラケットには、予め板面から起立した前記取付孔の内径より小さい外径の筒形の突出部を設けておき、前記他方の板部が前記取付孔にて前記突出部に挿嵌されて前記取付ブラケットに重ね合わされた状態で、該突出部の先端側が径方向外方に曲げられて該取付孔の周縁部分に重ね合わされていることを特徴とするダイナミックダンパ。 - 前記取付ブラケットが普通鋼板製であって、予めその表面に、アルミニウム6重量%,マグネシウム3重量%,残部が亜鉛及び不可避的不純物からなる溶融Zn−Al−Mgメッキ層が形成されていることを特徴とする前記請求項1に記載のダイナミックダンパ。
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Cited By (5)
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JP2012207695A (ja) * | 2011-03-29 | 2012-10-25 | Toyo Tire & Rubber Co Ltd | ダイナミックダンパ |
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CN111405748A (zh) * | 2020-04-28 | 2020-07-10 | 景德镇市宏亿电子科技有限公司 | 一种薄板印制电路板及其加工方法 |
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2004
- 2004-02-12 JP JP2004034753A patent/JP2005226699A/ja active Pending
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