JP2005224248A - 細胞成分を単離する方法、装置及び試薬 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 液体溶液中の細胞からリボ核酸(RNA)のような細胞成分を単離するための試薬、方法及び装置。本装置は、(i)RNA抽出溶媒、複数のミクロンサイズ粒子及び少なくとも1個の大きな粒子を有するホールダー;(ii) 該ホールダーに取りはずしできるように留められかつ該液体培養液及び該抽出溶媒を含むのに十分な容積のある空洞を有するカバー組み立て部分;及び(iii) 該容器の往復運動時に該大きな粒子によって破壊されるように適応された脆い密閉層であって、該密閉層が該大きな粒子によって破壊されるまで該液体培養液から該抽出溶媒を分離するように適応されている該密閉層を含む。
【選択図】 なし
Description
RNAは、ホルモン、酵素及び生命の全ての形態の存在に不可欠な構造組織を含む無数のタンパク質の発現を生じる連続の生物反応に重要な成分である。研究のために並びに診断及び治療上の使用に大量のRNAが非常に求められている。
植物細胞及び寄生虫、酵母及び細菌を含む微生物は、潜在的なRNA源であるが、RNA源の細胞壁は非常に強いので、RNA源としてそれらを使用することは困難であり、時間を要しかつ高価な設備を必要とするものである。
細菌からのRNA単離は、細胞壁が溶解に容易に感受性でないので困難である。細菌からRNAを単離する現在のプロトコールは、しばしば、細菌細胞を溶解するリゾスタフィン又はリゾチームのような酵素を使用するのに続いてリボヌクレアーゼを不活性化する変性剤を添加するものである。しかしながら、これらの方法は、大量の高純度RNAの単離に有効でないことがわかった。
更に、ガラスビーズがRNA単離の方法に用いられたが、ビーズがホモジェナイザーを塞ぐ原因になることからホモジェナイザー型装置と共にガラスビーズを用いて本発明の結果を得ることはできない。ガラスビーズは、細胞から核酸を単離するためにビーズビーターと共に用いられた。しかしながら、この方法に対する欠点は、この方法が細胞を粉砕して内容物を培養液中に遊離させ、RNAのような不安定な細胞成分が放出される酵素によって急速に分解されるという事実にある。
従って、細胞からRNAのような細胞成分を単離する従来の方法に伴う上記の欠点を考慮すると、当該技術において真核細胞及び原核細胞の両方からそのような成分の効率のよい単離に適切な試薬、方法及び装置がなお求められていることは明らかである。
a)複数のミクロンサイズ粒子を含みかつチオシアン酸グアニジニウム又は塩化グアニジニウムが2M であるpH約4〜4.5の水性バッファー中全重量に基づいて約40〜60重量%のフェノールを含む抽出溶媒の存在下に往復エネルギーを加えることにより、該RNAをそれを含む細胞源から機械的に遊離させる工程;
b)水不溶性有機溶媒を加えて該水性抽出溶媒相と有機相を含む2相混合液を形成し、該RNAが該水相に溶解されると共に該DNA及びタンパク質が該有機相又は該相間の界面に集められる工程;及び
c)水溶性低級アルカノールを添加することにより該水相から該RNAを沈殿させる工程:
を含む方法を提供することである。
更に、本発明の別の目的は、RNAをDNA及びタンパク質と共にそれを含む細胞源から単離する方法であって、
a)複数のミクロンサイズ粒子を含みかつpH約4〜4.5の水性バッファー中全重量に基づいて約40〜60重量%のフェノール及び約0.1〜1重量%の清浄剤を含む抽出溶媒の存在下に該RNAをそれを含む細胞源から機械的に遊離させる工程;
b)水不溶性有機溶媒を加えて該水性抽出溶媒相と有機相を含む2相混合液を形成し、該RNAが該水相に溶解されると共に該DNA及びタンパク質が該有機相又は該相間の界面に集められる工程;及び
c)水溶性低級アルカノールを添加することにより該水相から該RNAを沈殿させる工程:
を含む方法を提供することである。
(i)RNA抽出溶媒、複数のミクロンサイズ粒子及び少なくとも1個の大きな粒子を有するホールダー;
(ii) 該ホールダーに取りはずしできるように留められかつ該液体培養液及び該抽出溶媒を含むのに十分な容積のある空洞を有するカバー組み立て部分;及び
(iii) 該容器の往復運動時に該大きな粒子によって破壊されるように適応された脆い密閉層であって、該密閉層が該大きな粒子によって破壊されるまで該液体培養液から該抽出溶媒を分離するように適応されている該密閉層:
を含む容器を提供することである。
(i)抽出溶媒及び該RNAが抽出される細胞の壁を破壊するのに適切な粒径を有する複数の粒子を含むホールダー;及び
(ii) 該容器からの内容物の漏れを防止するために往復運動中に該容器を密閉するカバー組み立て部分:
を含み、該抽出溶媒の容量が該細胞壁の破壊の結果として放出された該RNAの実質的に全てを溶解するのに十分な容量である容器を提供することである。
(i)抽出溶媒並びに該RNAが抽出される細胞の壁を破壊するのに適切な粒径を有する複数の粒子及び少なくとも1個の大きな粒子を含むホールダー;
(ii) 該容器を密閉して往復運動中に該容器からの内容物の漏れを防止するカバー組み立て部分であって、その中に液体培養液中にRNA細胞源を含む空洞があるカバー組み立て部分;及び
(iii) 該抽出溶媒と該培養液との間に配置された脆いシールであって、該大きな粒子の衝撃によって往復運動中に破壊されるように適応されて該容器の内容物の混合を可能にするシール:
を含む容器を提供することである。
“RNAを単離する試薬及び方法”と称する出願第08/227,516号に記載された発明は、緩衝抽出溶媒中に清浄剤を使用する以外は前の出願の新規な方法と同様である。
後者の出願の方法は、出願第08/227,514号の方法の利点の全てを有し、更に、高価ではなくかつ用いるのに都合のよい抽出剤を使用している。更に、この方法は、一般的には、グアニジニウム法より高い収量を与える。
本方法の利点は、より多くの細胞が極めて短時間に破壊されるのでより多くのRNAが抽出剤に放出されることである。実際に、本方法は、そのような短時間、まさに30秒〜5分で完了し、冷却を必要とせず、使用試薬がRNAseを含まないことが確実である特別の工程を用いる必要がない。RNAseは、RNAを分解させる汚染酵素である。
他の態様においては、本発明は、RNA又は他の細胞成分の単離方法を行うための新規な容器に関する。本容器は、カバー組み立て部分と以後“ホールダー”と呼ばれる抽出剤及び他の成分を含む下の方の部材から構成される。
前述の目的及び他の目的、以後明らかになるであろう本発明の利点及び特徴と共に、下記の本発明の好適実施態様の説明及び請求の範囲によって本発明の本質を明らかに理解することができる。
図1は、ホールダーとそのカバーを含む容器を示す本発明の1実施態様の側断面図である。
図2〜図4は、本発明の容器の他の実施態様の側断面図である。
図5は、FastPrepTM装置を用いて1.2%未変性アガロースゲルで行われEtBrで染色された種々のマウス組織から精製されたRNAを示す図である。レーン1:肝臓;レーン2:腎臓;レーン3:脳;レーン4:脾臓;レーン5:筋肉。
18S及び28SrRNAバンドだけが示されている。
図6は、B−アクチンプライマーを用いるマウス肝臓RNAに関するRT−PCRの結果を示す図である。増幅する前に、試料をDNaseIで処理した。レーン1:123bpラダー;レーン2:逆転写及び増幅;レーン3:逆転写のないときの増幅。
図7は、S.アウレウス(aureus)のsarA転写物のプライマー拡張を示す図である。FastRNATM試薬及びFastPrepTM機を用いてRNAを精製した。そのRNAを32P放射能標識オリゴヌクレオチドプライマーに対してアニールし、逆転写酵素で拡張してプライマー拡張産物を得た。DNA鋳型(標識GATC)及び同一プライマーとの配列決定反応を行うことにより、sarA転写物の転写開始部位がsarAクローンの101位にマッピングされた(矢印参照)。試料1及び試料2は、同一方法による2種類の異なるRNA標品を示す。
図8は、親株ISP479C及びcar変異株1E3のα−溶血素転写物のノーザンブロットである。転写物のサイズは、約1.8kbであった。OD6501.1及び1.7は、各々後期指数期相及び後指数期相に対応する。
図9は、親株ISP479C、car変異株1E3及び導入体1E3−2のプロテインA転写物のノーザンブロットである。ISP479Cのagr変異株、B2は、正の対照として含められる。プロテインA転写物は、約1.9kbである。矢印は、RNAマーカーとして役立つ23SリボソームRNAバンドを示す。
更に詳細には、本発明は、細胞壁を破壊しRNAを放出するのに十分なエネルギーを特定の抽出剤中の使用RNA源の細胞壁に加えることに関する。破壊的抽出法は、カオトロピック剤、即ち、細胞内で分子構造及び分子反応を無秩序にするか或いは破壊することができる物質の存在下に行われる。
下記のものは、本明細書及び請求の範囲全体に用いられる用語の定義である。
“重量”なる語は、特にことわらない限り全重量に対する重量を意味する。
“天然源”なる語は、植物細胞及び組織、真核細胞及び組織並びに原核細胞を含む細胞の生物試料を与える供給源を意味する。
本発明の破壊的抽出法は、フェノール約40〜60重量%の存在下にカオトロピック剤として使用化合物が約2〜5モルである組成物を与えるのに十分なチオシアン酸グアニジニウム又は塩化グアニジニウムのようなグアニジニウム化合物を含むpH約4〜4.5の水性バッファー中で行われる。また、抽出剤は、適切な界面活性剤を0.1〜1重量%含んでもよい。細胞を抽出培養液の中に直接破壊することにより、RNAを分解するRNAaseのようなタンパク質からRNAのような不安定な細胞成分が直ちに分離される。
典型的には、有効な供給源としては、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)、ナイセリア・メニンギチジス(Neisseria meningitidis)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(酵母)及びクラミドロモナス・レインハルドチイ(Chlamydolomonas reinhardtii)(藻類)が挙げられる。
場合によっては、当業者に周知の常法によってDNAを高収量及び高純度で回収することができる。
そこで、本発明の抽出溶媒として有効でありかつ非常に短時間、典型的には1/2時間未満で完了することができる非常に便利な手順により高収量で例外的に高純度のRNAを分離及び単離することを可能にする新規な試薬が発見された。 本発明の新規な試薬は、フェノール約40〜60重量%及び界面活性剤約0.1〜1重量%及びpH約4〜4.5を有する水性バッファーを含む混合液である。このpHで、フェノールは水性培養液に不溶性である。結果として、この混合液は2相混合液である。
場合によっては、当業者に周知の常法により高収量及び高純度でDNAを回収することができる。
1.これまで他のフェノール抽出培養液を用いた均質化法に対して処理しにくかった細菌細胞及び植物細胞のようなRNA源に対する適用性。
2.DNAで実質的に汚染されていない高収量産物としてRNAの回収。
3.バッチ又は連続プロセスにおける少量及び大量のRNAの両方の生産に対する適用性。
4.冷却せず、RNAseを含まない試薬を用いずに及び長時間の細胞破壊法によって生じるDNA断片で汚染されることなくプロセスを行うことを可能にする非常に短時間での完了。
5.超遠心分離を必要としない。
6.本発明の新規な試薬は、実質的に臭いがなく、魅力のある市販価格で容易に入手できる。
細胞増殖の過程において、ホルモン、酵素及び他のタンパク質のような種々のタンパク質の変換及び発現のために異なるいろいろなRNAが生産される。そのようなタンパク質の必要量の発現に続いて、そのようなタンパク質をコードするRNAを急速に分解することにより細胞はタンパク質産生を続けることが制限される。従って、増殖又は活性の異なる段階の成熟細胞は、同一RNA分子の異なる量又は異なるRNA分子の異なる量を含んでいる。
従って、短命であるRNA種を単離及び同定するために細胞の増殖環中の異なる段階の生存細胞からRNAを抽出することが重要となる。
本発明の容器は、高度に精製されたRNAをDNA及び他の不純物、主にタンパク質と共にそれを含む天然源から得るために機械的エネルギーを加えることによる細胞破壊が可能である。本発明の細胞破壊に関係する機械的エネルギーの重要な1態様は、破裂風船の方法で細胞壁を粉砕するように好ましくはミクロン又はサブミクロンサイズのビーズ又は等価な発射物様物体の存在下に往復運動を加えるものである。ブレンダー又は他のホモジェナイザーで生じるような回転エネルギーは、細胞が単純に回転することから有効でなく、相互に及び細胞をビーズ間で粉砕させるビーズと効率よく衝突しない。
用いられる抽出溶媒は、上記のグアニジニウム塩含有液である。
グアニジンタイプのカオトロピック剤を含む抽出試薬は、フェノールの自然酸化を制限しかつ抽出試薬の貯蔵寿命を向上させる酸化防止剤を任意に含めてもよい。典型的には、有効な酸化防止剤としては、2−メルカプトエタノール、ジチオトレイトール、2−ヒドロキシキノリン及びシステインのような有機酸化防止剤が挙げられる。
本発明の実施における第1工程は、細菌のような細胞RNA源、生物組織の真核細胞又は植物細胞の細胞壁を機械的に破壊することである。これは、種々の市販の機器のいずれによっても達成され、オクラハマ州、バートルスビルのBioSpec Productsから市販されているミニビーズビーターのようなビーズビーターが現在好ましい。他の機器も用いうる。
RNAの放出は、抽出溶媒中に懸濁した細菌細胞又は他のRNA源を用いて行われる。必要とされる時間は、細菌、酵母及び植物細胞のような種々のRNA源の細胞サイズがかなり異なるのでRNAが抽出される供給源のサイズに主に左右される。細菌又は他の供給源の小さなバッチの場合には、30秒が適当である。大きなバッチの場合には、2又は3分がしばしば必要とされる。RNA種の半減期が非常に短いものがある(1〜2分)ことから時間は重要な要因である。
ほとんどのRNAが緩衝溶媒に放出される際の破壊工程の終わりに、溶媒は実質的に水不溶性である有機溶媒で抽出される。溶媒は、抽出手順の終わりに添加される。典型的に有効な溶媒としては、クロロホルムのような置換及び無置換低級炭化水素が含まれる。
本発明は、上述した新規な試薬で実施される場合に特に有効である。試薬は、pH約4の水性バッファー中に選ばれた量のフェノール及び少なくとも1種の清浄剤を含有する2相混合液である。水素イオン濃度がこのレベルである場合に、RNAが水に可溶性でありDNAが不溶性であることからこのpHが選ばれる。好ましい試薬は、Bio 101 製の FastRNATM試薬である。使用清浄剤は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤を含む慣用の種々の界面活性剤のいずれでもよい。
典型的に有効なアニオン清浄剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、n-デシル硫酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンが挙げられる。
本発明の実施に有効なカチオン清浄剤としては、例として臭化セチルトリメチルアンモニウム及び他のN−アルキル四級アンモニウムハロゲン化物並びにポリエトキシル化四級アンモニウム塩化物が挙げられる。
両性清浄剤としては、例えば、ココアミドプロピルベタイン、タロウイミノジプロピオン酸二ナトリウム及びココアミドベタインが挙げられる。
現在最も好ましい界面活性剤は、DNAを含まない産物の最良の収量を得ることから臭化セチルトリメチルアンモニウムである。
これらの清浄剤の全て及び他の多くの等価界面活性剤化合物は、販売元から容易に入手できる。
以前の手順と同様に、現在の多数のバッファー又は任意の酸化防止剤が用いられる。
新規な抽出溶媒を用いて行われる際の本発明の方法は、グアニジニウム塩を用いた上記の方法と実質的に同じである。
ホールダー10は、図1に垂直な断面では円形であり、本発明の全ての実施態様のように往復振盪機内にしっかりと保持されるように適応される円筒形の側壁を有することが好ましい。多数のミクロンサイズ粒子、適切にはビーズ12は液体抽出剤の中にある。ビーズはガラス又は金属であることが好ましく、直径が約0.1〜1.0mmであることが好ましい。
そのようなビーズの都合のよい数又は重量が用いられる。
研究のために、ふつうは少量のRNAだけを必要とする容器は非常に小さいものである。典型的には、全容量は約1.5〜2.5mlである。多量のRNAを得るために大きな容器が用いられる。
カバー組み立て部分11は、容器10の外側ねじ山と合う内側ねじ山15を有する。
操作では、使用者は、容器10からカバー組み立て部分11Bのねじを外し、上部リッド23Bのねじをはずし、培養液22Bを容器10に注ぐか又はピペットで移し、ここで脆い層21Bの上部に保持される。次に、カバー組み立て部分11Bがホールダーに置き換えられ、ビーズ13が脆い層21Bを破壊するように容器が振盪され、成分ミックス及び細胞壁の全部がビーズの作用により破壊されてRNAを放出する。
操作では、使用者は、ホールダー10からカバー組み立て部分11Cを取り外し、上部23Cのねじをはずし、カバー組み立て部分をねじ山26でホールダー10にねじで締める。次に、ビーズ13が脆い層21Cを破壊するように容器を振盪する。
上で示したように、容器の全容積は、密閉されると全混合液が便利に及び効率よく振盪されるような条件下に抽出溶媒、液体培養液及び他の成分を保持するように十分でなければならない。この目的の通例は、密閉管の全容積の1/3がビーズで占められ、1/3が試薬/細胞及び1/3が空間である。
比較的少量のRNAが要求される研究又は他の実験に使用する場合、容器は1つ又は複数の容器を含むキットに有機溶媒の容器及びプロセスの実施に適切な他の備品と共に包装される。キットは、RNA源として用いられる種々のサイズの細胞を収容するために異なるサイズの小ビーズを含む容器の選択が含められる。そのような容器は、20まで又はそれ以上の複数の容器でさえ保持することができる振盪機と共に特に有効である。そのような機械及び容器は、多数のRNA単離を同時に又は連続して行うことが所望される場合に特に有効である。
容器の概念は、図示され述べられた構造と等価である他の構造を用いて実施することができることは当業者に明らかであろう。例えば、カバー組み立て部分が適切な場所にしっかりとねじで締められると破壊するように脆い密閉層がホールダーの上部に固定され、もって、大きなビーズの必要が排除される。カバー組み立て部分が適切な場所にしっかりとねじで締められると密閉層を破壊するように特定の寸法に作られたカバー組み立て部分の内側に鋭い部材を密閉することにより、同様の結果が達成される。
カバー組み立て部分を、示されたねじ山と等価な手段、例えば、圧力ばねによってホールダーに固定することができることは当然のことである。
他の例として、本発明の方法及び容器は、皮膚、腸、胃、肝臓等の組織を特定の成分の単離のための成分の部分に効率よく及び急速に破砕するために用いられる。次に、個々の細胞成分、例えば、酵素が、標準クロマトグラフィー法を用いて単離される。同様に、構造成分、例えば、結合組織、膜、細胞壁成分等が分別遠心分離法によって分離される。
下記の実施例は、本発明を具体的に説明するために示されるものであり、限定するものとしてみなされるべきでなく、その真意又は範囲を逸脱することなく多くの態様が可能であることは明らかである。
下記に記載されるプロトコールを用いて下記の微生物からRNA及びDNAを単離した。
1.スタフィロコッカス・アウレウス
2.ストレプトコッカス・ピオゲネス
3.マイコバクテリウム・ツベルクローシス
4.ナイセリア・メニンギチジス
5.サッカロミセス・セレビシエ (酵母)
6.クラミドロモナス・レインハルドチイ(藻類)
1.処理されるべき10mlの細胞を遠心する(約1〜5×108/ml) 。
2.培養上清を吸引し捨てる。
3.細菌沈降物を1mlの抽出試薬に再懸濁する。
下記の成分を加えることにより5mlの抽出液を調製する。
フェノール 2 ml (40%)
10%CTAB* 0.5 ml (1%)
2M NaAcpH4 125 μl (50 mM)
1M DTT μl (1mM)
水 2.37 ml
* 臭化セチルトリメチルアンモニウム
4.試薬混合液を、約0.5ml(1.65gm)の0.1mmガラス/ジルコニアビーズ(酵母及び藻類に用いられる大きなビーズ)を含む滅菌ミクロフュージ管に移す。
5.6000 rpmで20秒間往復運動で振盪する。パルス回転させて該管の底にガラス/ジルコニアビーズを沈降させる。
6.200μl のクロロホルムを加える。2分間放置する。
7.25秒間攪拌する。
8.12,000g、4℃で15分間遠心する。
9.上方の水相を吸引する。
10.0.5mlのイソプロパノールを加える。10分間インキュベートする。
11.12,000g、4℃で10分間回転させる。
12.沈降物を70%エタノールで洗浄し、5000×gで5分間回転させる。
13. 70%エタノール洗浄液を捨て、5〜10分間風乾する。
14. 保存用RNAを100μl のピロ炭酸ジエチル処理水或いは0.5%ドデシル硫酸ナトリウムに再懸濁する。
15.DNAを得るために、DNAを含む中間相をフェノール/クロロホルム(50/50v)で2回再抽出する。上方の水相を貯蔵する。1/10容量の酢酸ナトリウム(3M pH5.2)を加える。DNAを3容量の100%エタノールで沈殿し、遠心し、70%エタノールで洗浄し、再遠心する。DNAを含む沈降物をトリスEDTAバッファーに再懸濁し、制限消化又はクローニングに用いる。
新しいマウス肝臓、腎臓、脳、脾臓及び骨格筋片(各約50mg)をカオトロピックRNA安定化試薬及び溶解マトリックスを含む2ml管に入れ、直ちにFastPrepTM装置で30〜60秒間処理する(予備均質化の必要はない)。遠心後、透明なRNA含有上清をエタノール沈殿するか又はマトリックス精製し、100μl DEPCH2Oに溶離する。10〜20μl を未変性アガロースゲルで実験する(図5)。図6は、肝臓RNAのRT−PCR分析を示す図である。
高速で簡便で高価な設備を必要としないグラム陽性菌からRNAを単離する方法は、 FastRNATM(BIO 101、カリフォルニア州、ビスタ) キットをFastPrepTM機(Savant)と共に使用した。この方法は、以前にはRNA抽出が困難であることが既知であったスタフィロコッカス・アウレウス及びサッカロミセス・セレビシエに対して用いた。
本手順として、細菌を増殖培養液中で一晩培養し、10mlの新しい培養液で1:100に希釈し、OD650nm 0.7、1.1及び1.7に対応する各々中間対数期相、後期対数期相及び後指数期相まで増殖した。次に、細菌を沈降させ(2,500×g、4℃で10分間)、1mlの試薬に再懸濁した。細胞を2mlのミクロフュージ管に移し、これに500μl のジルコニア/シリカビーズ(0.1mmサイズ)を加えた。
5μg の各試料をMOPSランニングバッファー(20mMMOPS、10mM酢酸ナトリウム、2mMEDTA、pH7.0)中1.5%アガロース〜0.66M ホルムアルデヒドゲルに電気泳動した。この方法により、A260/A280 比で証明されるように良好な純度を有するRNAの高収量を得ることができた(表1)。本抽出方法は、また、RNA収量が細菌細胞数に比例することがわかるように非常に効率がよい(表1)。RNA種の多能性もまた、ホルムアルデヒドゲルで確認された(図7)。
スタフィロコッカスRNAを、CYGP中で後期対数期相又は後指数期相まで増殖した10mlの培養液から抽出し、沈降させ、1mlの FastRNATM試薬(BIO 101) 及び0.5mlの0.1mmジルコニウム/シリカビーズに再懸濁し、高速往復ホモジェナイザー (FastPrepTM機、Savant Instruments) で6,000 rpmで20秒間振盪した。[この装置は、同時係属米国特許出願第08/294,544号の主題である。]200μl のクロロホルムを添加した後、混合液を12,000gで10分間遠心した。上方の水相のRNAをイソプロパノールで沈殿させ、DEPC処理水に再懸濁した。細胞RNA全収量は、A260/A280 比が2.0の約0.5〜1mgであった。RNA種の多能性は、ホルムアルデヒドゲルで証明された。
Claims (37)
- 細胞成分の単離方法であって、複数のミクロンサイズ粒子を含む容器内の液体培養液中細胞の懸濁液に往復機械的エネルギーを加えて細胞壁を破壊し該細胞成分を該液体培養液中に遊離させることにより該成分を機械的に遊離させる工程及び選択された該細胞成分を該培養液から単離する工程を含む方法。
- 該液体培養液がカオトロピック剤を更に含む請求項1記載の方法。
- RNAをDNA及びタンパク質と共にそれを含む細胞源から単離する方法であって、 a.複数のミクロンサイズ粒子を含みかつチオシアン酸グアニジニウム又は塩化グアニジニウムが2M であるpH約4〜4.5の水性バッファー中に全重量に基づいて約40〜60重量%のフェノールを含む抽出溶媒の存在下に往復エネルギーを加えることにより該RNAをそれを含む細胞源から機械的に遊離させる工程;
b.水不溶性有機溶媒を加えて水性抽出溶媒相及び有機相を含む2相混合液を形成し、該RNAが該水相に溶解すると共に該DNA及びタンパク質が該有機相又は該相間の界面に集まる工程;及び c.水溶性低級アルカノールを添加することにより該水相から該RNAを沈殿させる工程: を含む方法。 - 該RNAが沈殿した該水相から、ろ過又は遠心分離により該RNAを分離しかつその上清の水相を除去することにより該RNAを回収する工程を更に含む請求項3記載の方法。
- 該抽出が清浄剤又はその混合液の存在下に行われる請求項1記載の方法。
- pH約4〜4.5の水性バッファー中混合液の全重量に基づいて約40〜60重量%のフェノール及び約0.1〜1重量%の清浄剤を含む混合液を含む、RNAをDNA及びタンパク質と共にそれを含む細胞源から抽出するのに有効な試薬。
- 該清浄剤がカチオン性である請求項6記載の試薬。
- 該清浄剤が臭化セチルトリメチルアンモニウムである請求項6記載の試薬。
- RNAをDNA及びタンパク質と共にそれを含む細胞源から単離する方法であって、 a)複数のミクロンサイズ粒子を含みかつpH約4〜4.5の水性バッファー中混合液の全重量に基づいて約40〜60重量%のフェノール及び約0.1〜1重量%の清浄剤を含む抽出溶媒の存在下に該RNAをそれを含む細胞源から機械的に遊離させる工程;
b)水不溶性有機溶媒を加えて該水性抽出溶媒相及び有機相を含む2相混合液を形成し、該RNAが該水相に溶解すると共に該DNA及びタンパク質が該有機相又は該相間の界面に集まる工程;及び c)水溶性低級アルカノールを添加することにより該水相から該RNAを沈殿させる工程: を含む方法。 - 該RNAが沈殿した該水相から、ろ過又は遠心分離により該RNAを分離しかつその上清の水相を除去することにより該RNAを回収する工程を更に含む請求項9記載の方法。
- 該清浄剤がカチオン性である請求項9記載の方法。
- 該清浄剤が臭化セチルトリメチルアンモニウムである請求項11記載の方法。
- 該抽出が清浄剤又はその混合液の存在下に行われる請求項9記載の方法。
- 液体培養液中RNA含有細胞からリボ核酸(RNA)を単離するための容器であって、 (i)RNA抽出溶媒、複数のミクロンサイズ粒子及び少なくとも1個の大きな粒子を有するホールダー;
(ii)該ホールダーに取りはずしできるように留められかつ該液体培養液及び該抽出溶媒を含むのに十分な容積のある空洞を有するカバー組み立て部分;及び (iii)該容器の往復運動時に該大きな粒子によって破壊されるように適応された脆い密閉層であって、該密閉層が該大きな粒子によって破壊されるまで該液体培養液から該抽出溶媒を分離するように適応されている密閉層: を含む容器。 - 該ミクロンサイズ粒子が直径約0.1〜1.0mmのガラスビーズである請求項14記載の容器。
- 該空洞と該ホールダーの合計容量が約1.5〜3mlである請求項14記載の容器。
- 該抽出剤液がpH4〜4.5の水性バッファー中フェノールとカオトロピック剤の混合液を含む請求項14記載の容器。
- 該カオトロピック剤が清浄剤である請求項17記載の容器。
- 該カオトロピック剤がチオシアン酸グアニジニウム又は塩化グアニジニウム又は清浄剤である請求項17記載の容器。
- 該密閉層が該ホールダー内にある請求項14記載の容器。
- 該カバー組み立て部分の該空洞が底壁を有し、該密閉層が少なくとも該底壁部分を形成する請求項14記載の容器。
- RNAの抽出及び回収を可能にするRNA含有細胞の抽出破壊に有効な往復振盪機内にしっかりと保持されるように適応された容器であって、 (i)抽出溶媒及び該RNAが抽出される細胞の壁を破壊するのに適切な粒径を有する複数の粒子を含むホールダー;及び (ii)該容器からの内容物の漏れを防止するために往復運動中に該容器を密閉するためのカバー組み立て部分: を含み、該抽出溶媒の容量が該細胞壁の破壊の結果として放出した該RNAの実質的に全てを溶解するのに十分な量であるカバー組み立て部分: を含む容器。
- 該抽出剤液がpH4〜4.5の水性バッファー中フェノールとカオトロピック剤の混合液を含む請求項22記載の容器。
- 該カオトロピック剤が清浄剤である請求項23記載の容器。
- 該カオトロピック剤がチオシアン酸グアニジニウム又は塩化グアニジニウムである請求項23記載の容器。
- 該固体粒子が直径約0.1〜1.0mmのガラスビーズである請求項22記載の容器。
- 該ホールダーの容量が約1.5〜2.5mlである請求項22記載の容器。
- 該ホールダー内に脆い密閉層及び該抽出剤液中に少なくとも1個のミリメートルサイズ粒子を更に含む請求項22記載の容器。
- 該カバー組み立て部分が底壁を有する空洞及び少なくとも該底壁部分を形成する脆い密閉層を含む請求項22記載の容器。
- 往復振盪機内にしっかりと保持されるように適応されかつRNAの回収を可能にするRNA含有細胞の抽出破壊に有効な容器であって、 (i)抽出溶媒並びに該RNAが抽出される細胞の壁を破壊するのに適切な粒径を有する複数の粒子及び少なくとも1個の大きな粒子を含むホールダー;
(ii)該容器を密閉して往復運動中に該容器からの内容物の漏れを防止するカバー組み立て部分であって、その中に液体培養液中RNAの細胞源を含む空洞を有するカバー組み立て部分;及び (iii)該抽出溶媒と該液体培養液との間に配置された脆いシールであって、前記大きな粒子の衝撃によって往復運動中に破壊されるように適応されて該容器の内容物の混合を可能にするシール: を含む容器。 - 該粒子が直径約0.1〜1.0mmのガラスビーズである請求項30記載の容器。
- 該ホールダーの容量が約1.5〜3.0mlである請求項30記載の容器。
- 該抽出剤液がpH4〜4.5の水性バッファー中フェノールとカオトロピック剤の混合液を含む請求項30記載の容器。
- 該カオトロピック剤が清浄剤である請求項33記載の容器。
- 該密閉層が該容器内にある請求項30記載のキット。
- 該カバー組み立て部分が底壁を有する空洞を含み、該密閉層が少なくとも該底壁部分を形成する請求項30記載のキット。
- DNAをRNA及びタンパク質と共にそれを含む細胞源から単離する方法であって、 a)複数のミクロンサイズ粒子を含みかつチオシアン酸グアニジニウム又は塩化グアニジニウムが2M であるpH約4〜4.5の水性バッファー中全重量に基づいて約40〜60重量%のフェノールを含む抽出溶媒の存在下に往復エネルギーを加えることにより該RNAをそれを含む細胞源から機械的に遊離させる工程;
b)水不溶性有機溶媒を加えて該水性抽出溶媒相及び有機相を含む2相混合液を形成し、該RNAが該水相に溶解すると共に該DNA及びタンパク質が該有機相又は該相間の界面に集まる工程;
c)該中間相をフェノール及びクロロホルムで抽出する工程;及び d)該DNAをエタノールで沈殿させる工程: を含む方法。
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