JP2005224244A - エキソヌクレアーゼの存在下での線状二本鎖dnaの安定化 - Google Patents

エキソヌクレアーゼの存在下での線状二本鎖dnaの安定化 Download PDF

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Abstract

【課題】エキソ核酸分解攻撃に対して安定化された二本鎖ポリヌクレオチドを生成するための代替方法を提供すること。
【解決手段】(i)一本鎖または二本鎖ポリヌクレオチドを提供する工程;(ii)(a)該ポリヌクレオチドの3'末端に相補的な配列、(b)(a)に隣接する第一のオペレーター、(c)(b)に隣接し、第一の5'末端一本鎖ヌクレオチド配列、(d)該ポリヌクレオチドの5'末端と同一の3'末端ヌクレオチド配列、(e)(d)に隣接する第二のオペレーター、(f)(e)に隣接し、5'末端ヌクレオチド配列からなる第二の一本鎖オリゴヌクレオチドを提供する工程;(iii)増幅反応混合物を提供し、それによりエキソ核酸分解攻撃に対して安定化された二本鎖線状ポリヌクレオチドを生成する工程を含む、方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、エキソヌクレアーゼの存在下での二本鎖線状ポリヌクレオチドの安定性を増加するための方法に関する。さらに、本発明は、エキソ核酸分解の(exonucleolytic)攻撃に対して安定化された二本鎖線状ポリヌクレオチド、ならびにかかる安定化された二本鎖線状ポリヌクレオチドを含有する組成物を提供する。
エキソヌクレアーゼは、デオキシリボヌクレオチド鎖またはリボヌクレオチド鎖の末端結合の加水分解を触媒してモノヌクレオチドを放出するヒドロラーゼクラスの酵素である。エキソ核酸分解活性は、DNA複製、DNA修復、翻訳DNA合成、DNA組換え、細胞周期制御およびDNA損傷チェックポイント機能などのプロセス中にゲノムの完全性を維持するために必要とされる多数のDNA(デオキシリボ核酸)ポリメラーゼ中に見出されている。多くのポリメラーゼ(例えば、polsγ、δおよびε)は、DNAポリメラーゼポリペプチド中に3'-5'エキソヌクレアーゼ酵素活性を含む。この酵素活性は、ポリメラーゼを校正することができ、不正確に重合されたヌクレオチドを摘出することによりそのDNA合成の正確性を向上させる。さらに、さらなる自律性3'-5'エキソヌクレアーゼおよび5'-3'エキソヌクレアーゼは公知である(非特許文献1)。エキソヌクレアーゼは、その特異性に関してさらに異なる。従って、幾つかのエキソヌクレアーゼは、一本鎖(ss)または二本鎖(ds)DNAのいずれかを特異的に分解し、幾つかのエキソヌクレアーゼは、両方の型を分解し得る。表1は、Escherichia coli(E. coli)のエキソヌクレアーゼに関する全体像である。
E. coliにおいて、主要な校正3'-5'エキソヌクレアーゼ活性はPolIIIのεサブユニットにあり、一方、主要な5'-3'エキソヌクレアーゼ活性はExoVIIにある。著しく、ExoVは、ssおよびds DNAに対してATP(アデノシン三リン酸)依存性エキソ核酸分解活性、ss DNAに対してATP独立性エンド核酸分解活性を有する。
線状DNA分子の分解は、分子生物学の特定の方法を適用する場合、幅広く公知かつ常習的な問題である。例えば、無細胞DNA依存性インビトロ転写および翻訳は、環状二重らせんDNAの発現および長い線状DNAの発現に関する実施においてかなり申し分なくはたらく。より短い線状DNA断片を発現する試みは、限られた成功しか有していなかった。使用されるDNAが小さければ小さいほど、相当量の遺伝子産物を得ることは難しかった。これらの困難性は無細胞抽出物中のエキソヌクレアーゼの存在に起因することが定着した。従って、E. coliのS30溶解物がインビトロで転写され翻訳される場合、ExoVが線状DNAの分解を担うことが示された。
ExoV(エキソヌクレアーゼV)は、3つのサブユニット(recB、recC、redDの遺伝子産物)から構成される。無細胞E. coli溶解物中での線状DNA分子の安定性を増加する従来のアプローチは、ExoVサブユニットをコードする遺伝子を変異させることであった。非特許文献2は、ExoVの欠損(遺伝子recB、recCの排除;株recB21)後、E. coli株CF300を使用して線状DNA鋳型から開始する改良タンパク質合成を記載する。非特許文献3は、ExoVを欠くE. coli株からの改良インビトロ連結転写−翻訳系の調製を記載する。非特許文献4は、さらに、recB21株においてRNaseおよびポリヌクレオチドホスホリラーゼ遺伝子(rna-19、pnp-7)を突然変異させ(株CLB7)、1時間インキュベーション期間後、線状DNA鋳型を用いて有意に高いタンパク質発現を達成した。非特許文献5は、SL119株ともいわれるExoV欠陥recD BL21株を使用し、PCR生成鋳型から開始するインビトロタンパク質合成の方法を初めて記載する。線状鋳型を使用するインビトロ転写および翻訳のための株SL119の溶解物が市販されている(Promega)。
上記の変異方法の欠点は、記載のE. coli変異体が野生型よりも増殖が遅く、またこれらの株から得られた溶解物が有意に乏しい合成速度を有することである。明らかに、ExoVは細菌の代謝に重要な役割を果たす。従って、インビトロ連結転写および翻訳の無細胞抽出物を生成する場合、エキソヌクレアーゼが存在する溶解物を使用することが重要であることは明らかである。
エキソ核酸分解(exonucleolytic degradation)に対して線状DNAを保護するための別の考えられる方法は、線状DNAの両末端で保護基をヌクレオチドに共有結合することによって、または特定の修飾されたヌクレオチドを組み込むことによってのいずれかで核酸を修飾することである。一本鎖DNAまたはRNA分子は、アルキル基で末端を保護することによって、塩基を修飾することによって保護され得る(非特許文献6)。非特許文献7は、4-ヒドロキシ-N-アセチルプロリノール、L-セリノールで末端を保護することによる、または3'-3'-ホスホジエステル結合による一本鎖DNA分子の安定性の増加を示す。非特許文献8は、2'-5'-リボ-および3'-5'-デオキシリボヌクレオチドセグメントを含有する混成骨格オリゴヌクレオチドを記載する。単一または混成ホスホロチオエート結合および化学修飾オリゴヌクレオチド、例えば、メチルホスホネートおよびホスホルアミデートは、より安定で、かつエキソヌクレアーゼによりさらに緩徐に分解される。非特許文献9は、ホスホロチオエートを含むRNAがヌクレアーゼに対してより安定であり、従って、より高い翻訳効率を有することを示す。しかしながら、概して、低量のタンパク質しか生成することができなかった。非特許文献10は、3'末端にヘアピンループ構造を有するオリゴヌクレオチドを記載し、エキソヌクレアーゼによる分解に対する抵抗が増加することを示す。非特許文献11は、DNA断片d(GCGAAGC)が形成するヘアピンがE. coli抽出物由来のヌクレアーゼに対して極めて耐性であることを示す。非特許文献12は、同じヘアピンを用いたハイブリダイゼーションによるmRNAの3'末端の安定化がE. coli抽出物を用いたインビトロ翻訳の効率において200倍の増加を生ずることを記載する。非特許文献13は、ペプチド骨格に結合された塩基を含む合成分子(ペプチド核酸、PNA)がE. coli抽出物中の加水分解切断に対して耐性であり、アンチセンス分子として使用され得ることを示す。非特許文献14は、DNA中のIgG分子を結合した抗DNA免疫複合体が核酸分解からDNAを保護し得ることを記載する。
特許文献1は、3'末端および5'末端でホスホルアミダイト結合を有するオリゴヌクレオチドを開示する。特許文献2は、ヌクレオチドのリン酸塩部分における1または2の非架橋酸素が硫黄含有基(例えば、ホスホチオエート)、アルキル基(例えば、メチルまたはエチル基)、窒素含有基(例えば、アミン)、またはセレニウム含有基で置換されている、ヌクレオチド誘導体を含むエキソヌクレアーゼ耐性一本鎖DNAオリゴヌクレオチドの使用を開示する。特許文献3は、3'末端でブチルまたはブタノールなどの化学部分により、糖分子上の3'または2'位の水素原子を置換することにより修飾されたエキソヌクレアーゼ耐性核酸を開示する。
さらに、ブチルブロッキング基は5'末端について開示される。特許文献4は、3'-5'エキソヌクレアーゼ耐性クエンチャードメインを含む蛍光エネルギー移動標識オリゴヌクレオチドを開示する。特許文献5は、インターカレント剤、メチルチオリン酸塩、カルボジイミド、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール、イソ尿素、ポリペプチドまたはタンパク質を含むヌクレアーゼ耐性ヌクレオチド化合物を開示する。特許文献6は、エキソ核酸分解活性に対する安定性が増加したダンベル形線状二本鎖DNA分子を調製するための方法を記載する。特許文献7は、テトラエチレングリコールなどのジオールをいずれかまたは両方の末端で有するヌクレアーゼ耐性オリゴヌクレオチドを開示する。
エキソ核酸分解攻撃に対する線状鋳型DNAの保護のためのストラテジーはないが無細胞インビトロ発現系は、先行技術に記載される。特許文献8において、Hechtは、PCR反応で生じた鋳型を用いて開始するタンパク質の無細胞合成のための方法を記載する。この方法において、ファージプロモーター領域を含む全遺伝子配列は、プラスミドから増幅される。インビトロ転写後、ウサギ網状赤血球由来の溶解物が翻訳のために使用される。この方法によると、5'CAPで転写後修飾されたmRNAを使用して57μg/mlのタンパク質を生成することが可能であった。非特許文献15は、2ステップPCR反応で生じた鋳型を用いて開始するタンパク質の無細胞合成のためにE. coli由来のS30抽出物を使用する。この方法において、標的遺伝子はまず、2つの遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプライマーの助けによりPCR反応において増幅され、その後、T7プロモーターおよびリボソーム結合部位を増幅された遺伝子に融合するためにいわゆるメガプライマーが使用される第二のPCR反応に供される。しかしながら、放射能によって検出可能な量のタンパク質を生成することが可能なのみであった。非特許文献16は、E. coli由来のS30抽出物を使用して、PCR反応で生じた鋳型を用いて開始するタンパク質の無細胞合成を立証する。この方法において、放射能によって検出可能な量のタンパク質を生成することが可能なのみであった。非特許文献17は、中空繊維反応器中でE. coli由来のS30抽出物を使用して、PCR反応で生じた鋳型を用いて開始する少なくとも80μg/mlタンパク質反応混合物を生成する。特許文献9は、単一ステップPCR反応で生じた鋳型を用いて開始するタンパク質の無細胞合成のための網状赤血球由来の抽出物を開示する。この方法において、T7プロモーターおよびリボソーム結合部位は標的遺伝子に融合される。この方法でさえ、低量のタンパク質しか生成されなかった。
ウサギ網状赤血球由来の真核生物溶解物は比較的ヌクレアーゼがないが、これらの溶解物は経済的に大量に生成され得ないということが欠点である。これらは非常に小さなタンパク質収量しか見込めない。同じことが、困難な方法で調製されたか、さもなければ翻訳阻害因子で強く汚染され得るかのいずれかの小麦麦芽由来の溶解物に当てはまる。
対照的に、E. coli溶解物は、ずっと大量のタンパク質を生ずる。しかしながら、記載されたE. coli由来の溶解物を調製する方法は、線状DNA鋳型を用いて約1時間までの比較的短い反応期間を可能にするだけである。なぜならば、その後、これらのDNA鋳型は、溶解物に含まれるエキソヌクレアーゼによって完全に分解されるからである。E. coliエキソヌクレアーゼ変異体(すなわち、エキソヌクレアーゼ欠陥株)から得られた溶解物は、比較可能な野生型(例えば、A19株など)よりも有意に乏しい合成性能を有する。mRNAを保護するための方法は、初めにインビトロ転写が実施されなければならず、その後保護されたmRNAが溶解物に添加され得るという不利を有する。これもまた、連結反応および連続RNA合成を可能にできない。RNAを保護するための方法は、非特許文献18、非特許文献19に記載される。
特許文献10は、無細胞インビトロ転写および翻訳系において線状DNAの安定性を改良するための方法を開示する。この文献は、無細胞発現系で発現されたタンパク質の収量が、非特異的線状DNAをエキソヌクレアーゼ含有溶解物に添加することによって増加され得ることを開示する。
DNA結合タンパク質またはDNA結合タンパク質複合体が、自身が結合するDNAを保護することもまた当業者にとって公知である。非特許文献19は、配列特異的DNA結合タンパク質を検出するための遊離線状DNA上のエキソヌクレアーゼ保護アッセイを記載する。このアッセイ方法を使用して、Drosophila細胞の天然のクロマチン中の熱ショック遺伝子TATAボックス領域に構造的に結合されるタンパク質因子を粗抽出物から分画した。しかしながら、引用文献中の保護アッセイ(および文献に典拠を示された多くの他のDNAse保護アッセイ)は、タンパク質結合の境界をDNA上に配置することを意図された。
米国特許第6027913号明細書 国際公開第90/15065号パンフレット 国際公開第94/16090号パンフレット 国際公開第00/40592号パンフレット 国際公開第03/072051号パンフレット 欧州特許第0431523号明細書 欧州特許第0967274号明細書 米国特許第5245022号明細書 米国特許第5571690号明細書 欧州特許第1251168号明細書 Shevelev, I.V.およびHubscher, U., Nature Reviews Molecular Cell Biology (2002) 3: 364-376 Yang, H.L.ら, (1980) Proc Natl Acad Sci USA 77:7029-7033 Jackson, M.ら, FEBS Lett. (1983) 163:221-224 Bassett, C.LおよびRawson, J.R. J Bacteriol (1983) 156:1359-1362 Lesley, S.A.ら, J Biol Chem (1991) 266:2632-2638 Pandolfi, D.ら, (1999) Nucleosides Nucleotides. 18:2051-2069 Verheijen, J.C.ら(2000) Bioorg Med Chem Lett 10:801-804 Kandimalla, E.R.ら, Nucleic Acids Res (1997) 25:370-378 Tohda, H.ら, J Biotechnol (1994) 34:61-69 Tang, J.Y.ら, Nucleic Acids Res (1993) 21:2729-2735 Hirao, I.ら, FEBS Lett (1993) 321:169-172 Yoshizawa, S.ら, Nucleic Acids Res (1994) 22:2217-2221 Good, LおよびNielsen, P.E. Proc Natl Acad Sci USA (1998) 95:2073-2076 Burdick, G.およびEmlen, W. J Immunol (1985) 135:2593-2597 Martemyanov, K.A.ら, FEBS Lett (1997) 414:268-270 Yang, J.ら, J Bacteriol (2000) 182:295-302 Nakano, H.ら, (1999) Biotechnol Bioeng 64:194- 199 Tohda, H.ら, J Biotechnol (1994) 34:61-69 Wu, C. Nature (1985) 317:84-87
現状の方法は特定の不利を有する。従って、本発明により解決される課題は、エキソ核酸分解攻撃に対して安定化された二本鎖ポリヌクレオチド、すなわち二本鎖DNAを生成するための代替方法を提供することである。
すなわち、本発明の要旨は以下である:
〔1〕エキソ核酸分解攻撃に対して安定化された二本鎖線状ポリヌクレオチドを生成するための方法であって、
(i)一本鎖または二本鎖ポリヌクレオチドを提供する工程;
(ii)(a)該ポリヌクレオチドの3'末端のヌクレオチド配列に相補的な7〜25ヌクレオチドの3'末端ヌクレオチド配列、
(b)(a)に隣接する第一のオペレーター、
(c)(b)に隣接し、1〜15ヌクレオチドからなる第一の5'末端ヌクレオチド配列
からなる第一の一本鎖オリゴヌクレオチド、および
(d)該ポリヌクレオチドの5'末端のヌクレオチド配列と同一の7〜25ヌクレオチドの3'末端ヌクレオチド配列、
(e)(d)に隣接する第二のオペレーター、
(f)(e)に隣接し、1〜15ヌクレオチドからなる第二の5'末端ヌクレオチド配列
からなる第二の一本鎖オリゴヌクレオチドを提供する工程;
(iii)増幅反応混合物を提供し、該増幅反応混合物に該ポリヌクレオチドならびに該第一のおよび第二の一本鎖オリゴヌクレオチドプライマーを添加する工程;
(iv)工程(iii)で得られた混合物中で該第一のおよび/または第二の一本鎖オリゴヌクレオチドを該ポリヌクレオチドにアニーリングする工程;
(v)ポリメラーゼ連鎖反応により該ポリヌクレオチドを増幅し、それにより二本鎖線状ポリヌクレオチドを生成する工程;
(vi)工程(ii)(b)のオペレーターに結合し得る第一の因子および工程(ii)(e)のオペレーターに結合し得る第二の因子を提供し、工程(v)の二本鎖線状ポリヌクレオチドを工程(ii)(b)のオペレーターに結合し得る第一の因子および工程(ii)(e)のオペレーターに結合し得る第二の因子の両者と接触させ、
ここで、オペレーターに結合し得る該第一のおよび第二の因子のそれぞれは、
(A)DNA結合タンパク質、
(B)DNA結合タンパク質複合体、
(C)DNA結合タンパク質またはDNA結合タンパク質複合体および該DNA結合タンパク質またはDNA結合タンパク質複合体に結合する補因子
からなる群より選択され、
それによりエキソ核酸分解攻撃に対して安定化された二本鎖線状ポリヌクレオチドを生成する工程
を含む、方法;
〔2〕工程(ii)における(b)および(e)のオペレーターのうち少なくとも1つが天然に存在する原核生物起源のオペレーターであることを特徴とする、前記〔1〕記載の方法;
〔3〕工程(ii)における(b)および(e)のオペレーターのうち少なくとも1つが、それぞれ天然に存在する原核生物起源のオペレーターの、少なくとも1ヌクレオチドの付加、欠失または交換によるバリアントであることを特徴とする、前記〔1〕および〔2〕いずれか記載の方法;
〔4〕工程(vi)におけるオペレーターに結合し得る第一のおよび第二の因子のそれぞれが、
(A)工程(ii)の(b)および(e)のオペレーターのうちの少なくとも1つを結合し得る原核生物リプレッサー;
(B)工程(ii)の(b)および(e)のオペレーターのうちの少なくとも1つを結合し得る、コリプレッサーまたは抗インデューサーにより結合される原核生物リプレッサー
からなる群より選択されることを特徴とする、前記〔1〕および〔3〕いずれか記載の方法;
〔5〕工程(ii)における(b)および(e)のオペレーターが同一であることを特徴とする、前記〔1〕〜〔4〕いずれか記載の方法;
〔6〕工程(vi)におけるオペレーターに結合し得る第一のおよび第二の因子が同一であることを特徴とする、前記〔5〕記載の方法;
〔7〕工程(ii)における少なくとも1つのオペレーターおよび工程(vi)におけるオペレーターに結合し得る少なくとも1つの因子が、
(I)配列番号:1のEscherichia coli LacオペレーターおよびEscherichia coli Lacリプレッサー;
(II)配列番号:1のEscherichia coli LacオペレーターおよびEscherichia coli Lacリプレッサーに結合するオルトニトロフェニルフコシドを有するEscherichia coli Lacリプレッサー;
(III)配列番号:4のEscherichia coli LacオペレーターのバリアントおよびEscherichia coli Lacリプレッサー;
(IV)配列番号:4のEscherichia coli LacオペレーターのバリアントおよびEscherichia coli Lacリプレッサーに結合するオルトニトロフェニルフコシドを有するEscherichia coli Lacリプレッサー
からなる群より選択されることを特徴とする、前記〔1〕〜〔6〕いずれか記載の方法;
〔8〕前記〔1〕〜〔7〕いずれか記載の方法により得られうるエキソ核酸分解攻撃に対して安定化された二本鎖線状ポリヌクレオチド;
〔9〕エキソヌクレアーゼを含有する水溶液および前記〔8〕記載の方法により得られうるエキソ核酸分解攻撃に対して安定化された二本鎖線状ポリヌクレオチドを含む組成物;
〔10〕エキソヌクレアーゼを含有する水溶液が連結された転写および翻訳のための無細胞反応混合物であり、
ここで、該無細胞反応混合物が前記〔1〕の工程(ii)(b)のオペレーターに結合し得る第一の因子および前記〔1〕の工程(ii)(e)のオペレーターに結合し得る第二の因子を含むことを特徴とする、前記〔9〕記載の組成物;
〔11〕無細胞反応混合物がさらに、前記〔1〕の工程(ii)(b)または(e)のオペレーターに結合し得る因子をコードする核酸を含み、該核酸が該無細胞反応混合物中で発現され、オペレーターに結合し得る該因子を提供することを特徴とする、前記〔10〕記載の組成物;ならびに
〔12〕無細胞反応混合物がEscherichia coli溶解物であることを特徴とする、前記〔10〕および〔11〕いずれか記載の組成物。
本発明によれば、エキソ核酸分解攻撃に対して安定化された二本鎖ポリヌクレオチド、すなわち二本鎖DNAを生成するための代替方法が提供され得る。本発明者らは、二本鎖線状DNAの両末端にDNA結合タンパク質に対する標的配列を付加することにより、2つの付加標的配列を有する二本鎖線状DNAは、DNA結合タンパク質と接触した場合に、エキソ核酸分解攻撃に対する安定性を増加することを予期せず見出した。
上で考察したように、このような安定化二本鎖DNA(ポリヌクレオチド)は、無細胞発現系、すなわち、転写および翻訳をつなげるための無細胞反応混合物において鋳型DNAとして使用される場合に、特定の利点を示す。しかしながら、本発明の安定化二本鎖ポリヌクレオチドのさらなる有利な適用が可能である。
発明の要旨
従って、本発明の第一の局面は、エキソ核酸分解攻撃に対して安定化された二本鎖線状ポリヌクレオチドを生成するための方法であって、(i)一本鎖または二本鎖ポリヌクレオチドを提供する工程;(ii)(a)該ポリヌクレオチドの3'末端のヌクレオチド配列に相補的な7〜25ヌクレオチドの3'末端ヌクレオチド配列、(b)(a)に隣接する第一のオペレーター、(c)(b)に隣接し、1〜15ヌクレオチドからなる第一の5'末端ヌクレオチド配列からなる第一の一本鎖オリゴヌクレオチド、および(d)該ポリヌクレオチドの5'末端のヌクレオチド配列と同一の7〜25ヌクレオチドの3'末端ヌクレオチド配列、(e)(d)に隣接する第二のオペレーター、(f)(e)に隣接し、1〜15ヌクレオチドからなる第二の5'末端ヌクレオチド配列からなる第二の一本鎖オリゴヌクレオチドを提供する工程;(iii)増幅反応混合物を提供し、該増幅反応混合物に該ポリヌクレオチドならびに該第一のおよび第二の一本鎖オリゴヌクレオチドプライマーを添加する工程;(iv)工程(iii)で得られた混合物中で該第一のおよび/または第二の一本鎖オリゴヌクレオチドを該ポリヌクレオチドにアニーリングする工程;(v)ポリメラーゼ連鎖反応により該ポリヌクレオチドを増幅し、それにより二本鎖線状ポリヌクレオチドを生成する工程;(vi)工程(ii)(b)のオペレーターに結合し得る第一の因子および工程(ii)(e)のオペレーターに結合し得る第二の因子を提供し、工程(v)の二本鎖線状ポリヌクレオチドを工程(ii)(b)のオペレーターに結合し得る第一の因子と工程(ii)(e)のオペレーターに結合し得る第二の因子の両者と接触させ、ここで、オペレーターに結合し得る該第一のおよび第二の因子のそれぞれは、(A)DNA結合タンパク質、(B)DNA結合タンパク質複合体、(C)DNA結合タンパク質またはDNA結合タンパク質複合体および該DNA結合タンパク質またはDNA結合タンパク質複合体に結合する補因子からなる群より選択され、それによりエキソ核酸分解攻撃に対して安定化された二本鎖線状ポリヌクレオチドを生成する工程を含む、方法である。本発明の別の局面は、本発明および上記方法により得られうるエキソ核酸分解攻撃に対して安定化された二本鎖線状ポリヌクレオチドである。本発明の別の局面は、エキソヌクレアーゼを含有する水溶液および本発明および上記方法により得られうるエキソ核酸分解攻撃に対して安定化された二本鎖線状ポリヌクレオチドを含む組成物である。
詳細な説明
本明細書中で使用される場合、用語「リプレッサー」は、標的構造遺伝子に機能的に連結された特異的なオペレーターに結合することにより標的構造遺伝子の発現を阻害するように作用する分子をいい、用語「リプレッサー遺伝子」は、リプレッサー分子をコードする遺伝子をいう。本明細書中で使用される場合、用語「オペレーター」は、リプレッサーが特異的に結合する核酸上の特異的部位をいい、このような特異的結合は関連構造遺伝子の発現をブロックする。典型的に、リプレッサーは、核酸へのRNAポリメラーゼの結合をブロックすることによってmRNAへの構造遺伝子の転写を妨げることにより作用する。従って、リプレッサー分子が存在しない場合、RNAポリメラーゼは核酸に結合し、転写を始めることができ、リプレッサー分子が存在する場合、RNAポリメラーゼは、核酸への結合および転写が妨げられ、従って発現が効率的にブロックされる。本発明によれば、好ましいリプレッサーは、(A)DNA結合タンパク質、(B)DNA結合タンパク質複合体、および(C)DNA結合タンパク質またはDNA結合タンパク質複合体および該DNA結合タンパク質またはDNA結合タンパク質複合体に結合する補因子からなる群より選択される。オペレーターへのリプレッサーの結合は、補因子がリプレッサーに結合する場合、増加され得る。このような補因子は、コリプレッサーまたは抗インデューサーとして当業者に公知である。その例は、E. coli Lacリプレッサーに結合するオルトニトロフェニルフコシド(Bell, C.E.およびLewis, M. Curr Opin Struct Biol (2001) 11:19-25)である。別の例は、E. coliプリンリプレッサーに結合するヒポキサンチンである。リプレッサーは、1より多くの補因子により結合され得る。その例は、E. coliプリンリプレッサーに結合するヒポキサンチンおよびグアニンである(Choi, K.Y.およびZalkin, H. J Bacteriol (1992) 174:6207-6214)。
用語「リプレッサー」はまた、該リプレッサーのアミノ酸付加、欠失または交換によるバリアントを含むことが理解される。リプレッサーが単一のDNA結合タンパク質からなっているのではなくDNA結合タンパク質複合体である場合、そのバリアントは、該複合体の少なくとも1つのサブユニットにおいてアミノ酸付加、欠失または交換を含む。バリアントがオペレーター結合し得るままであることも理解される。
同様に、用語「オペレーター」は、該オペレーターのヌクレオチド付加、欠失または交換によるバリアントを含む。変形体は、リプレッサーのオペレーターへの結合が可能なままであることが理解される。
本明細書中で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド」は、100ヌクレオチド長までのDNA分子に対して使用される。用語「ポリヌクレオチド」は、100ヌクレオチド長より長いDNA分子に対して使用される。
用語「増幅する(to amplify)」、「増幅する(amplifying)」および「増幅(amplification)」は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用を意味することが理解される。PCRは、少量の短いオリゴヌクレオチドフランキング配列(プライマー)から規定の長さおよび配列の特異的DNAまたはRNA断片を大量に生成するためのインビトロ方法である。本質的な工程は、二本鎖標的分子の熱変性、プライマーのその相補的配列へのアニーリング、およびDNAポリメラーゼを用いる酵素合成によるアニーリングされたプライマーの伸長を含む。核酸を増幅するためのPCRを実施するための方法および増幅反応混合物は、当業者に周知であり、米国特許第4,683,195号明細書および種々の他の刊行物(例えば、Sambrook, Fritsch & Maniatis, Molecular Cloning, A Laboratory Manual,第3版, CSHL Press, 2001)の教示を含む。
本発明の第1の局面は、エキソヌクレオチド分解性攻撃(exonucleolytic attack)に対して安定化された二本鎖直鎖ポリヌクレオチドを生成する方法であり、該方法は、(i) 一本鎖または二本鎖ポリヌクレオチドを提供する工程;(ii) (a) 該ポリヌクレオチドの3'-末端のヌクレオチド配列に相補的な7〜25ヌクレオチドの3'-末端ヌクレオチド配列、(b) (a)に近接する第1のオペレーター、(c) (b)に近接し、1〜15ヌクレオチドからなる第1の5'-末端ヌクレオチド配列、からなる第1の一本鎖オリゴヌクレオチド、ならびに、(d) 該ポリヌクレオチドの5'-末端のヌクレオチド配列と同一な7〜25のヌクレオチドの3'-末端ヌクレオチド配列、(e) (d)に近接する第2のオペレーター、(f) (e)に近接し、1〜15ヌクレオチドからなる第2の5'-末端ヌクレオチド配列、からなる第2の一本鎖オリゴヌクレオチドを提供する工程;(iii) 増幅反応混合液を提供し、該増幅反応混合液に該ポリヌクレオチドならびに第1および第2の一本鎖オリゴヌクレオチドプライマーを添加する工程;(iv) 工程(iii)で得られた混合液中で、第1および/または第2の一本鎖オリゴヌクレオチドを該ポリヌクレオチドにアニーリングする工程;(v) ポリメラーゼ連鎖反応により該ポリヌクレオチドを増幅し、それにより二本鎖直鎖ポリヌクレオチドを生成する工程;(vi) 工程(ii)(b)のオペレーターに結合可能な第1の因子、および工程(ii)(e)のオペレーターに結合可能な第2の因子を提供し、工程(v)の二本鎖直鎖ポリヌクレオチドを、工程(ii)(b)のオペレーターに結合可能な第1の因子と工程(ii)(e)のオペレーターに結合可能な第2の因子の両方と接触させ、ここで、オペレーターに結合可能な第1および第2の因子のそれぞれは(A) DNA結合タンパク質、(B) DNA結合タンパク質複合体、(C) DNA結合タンパク質またはDNA結合タンパク質複合体およびDNA結合タンパク質またはDNA結合タンパク質複合体に結合する補因子、からなる群より選択され、それによりエキソヌクレオチド分解性攻撃に対して安定化された二本鎖直鎖ポリヌクレオチドを生成する工程を含む。
従って、第1および第2のオリゴヌクレオチドはポリヌクレオチドを増幅するために使用されるプライマー対を表す。実質的に、増幅によって、該ポリヌクレオチドの両末端はオペレーター配列および更なる末端配列(1〜15ヌクレオチドを含む)の各末端への付加により伸長される。PCRプロセスの過程における、2つのオリゴヌクレオチドの該ポリヌクレオチドに対する選択的ハイブリダイゼーションは、工程(ii)における(a)および/または(d)の3'-末端ヌクレオチド配列により媒介される。つまり、工程(ii)の(a)および/または(d)の3'-末端ヌクレオチド配列が、該ポリヌクレオチドにハイブリダイズする。1回目のアニーリングの場合、任意のオリゴヌクレオチドの残りの部分、すなわちオペレーターおよび5'-末端ヌクレオチド配列はハイブリダイズしない。増幅が一本鎖ポリヌクレオチドで開始し、続いて2回目のPCRサイクルが完了する場合、両オリゴヌクレオチドの残りの部分は伸長した鋳型の末端を形成する。
リプレッサーのオペレーターへの結合に関する周知の例は、大腸菌のLacオペロンに見出される。Lacオペロンは3つの連続したリーディングフレームにおいて、ラクトース(グルコース−ガラクトース二糖類)の代謝に関係する3つのタンパク質:グルコースおよびガラクトースを形成するためのラクトースの加水分解に関係するβ−ガラクトシダーゼ(LacZとも呼ばれる);ラクトースを細胞に入れるパーミアーゼ;およびラクトース様化合物を修飾するトランスアセチラーゼ、をコードする。LacオペロンmRNA合成は5'末端のプロモータードメインにより制御される。ラクトースが存在しない状況では、オペロンの転写は特異的なDNA配列、つまりプロモーター内に存在するLacオペレーターに対して高い親和性を有する37-kDaタンパク質である、LacIとしても知られるLacリプレッサーにより阻害される。Lacリプレッサーは大腸菌ゲノム内の他の場所に存在するLacI遺伝子により合成される。lacオペロンのオペレーター部位は広く研究されている。オペレーター部位のヌクレオチド配列はほぼ完全な逆転反復を示し、この領域におけるDNAが対称性のほぼ二回軸を有することを示す。オペレーター部位の対称性は通常、オペレーター部位に結合するリプレッサータンパク質における対称性に対応する。
大腸菌細胞において、ラクトースの非存在下にあるlacリプレッサータンパク質は、オペレーターに結合して転写を阻害する。lacリプレッサーは37 kDaサブユニットのダイマーとして存在し得、2つのダイマーはしばしば、共にテトラマーを形成する。ラクトースの非存在下において、リプレッサーは非常に強く迅速にオペレーターに結合する。lacリプレッサーがDNAに結合する場合、それはRNA鎖の合成用鋳型として作用する塩基をさらすために、結合RNAポリメラーゼがDNAを局所的にほどくのを妨げる。lacリプレッサーはオペレーターDNAに、ゲノム中のランダムな部位に結合するのと比べて4×106倍の強さで結合する。この高度な選択性により、大腸菌ゲノム内で他の部位が大過剰な状態(4.6×106)でさえリプレッサーはオペレーターを効率的に見出すことができる。リプレッサー−オペレーター複合体の分離定数はおよそ0.1 pM(10-13 M)である。結合定数率(1010 M-1 s-1)は著しく高く、三次元的なサーチに対応する水性培養液から遭遇するよりも、むしろ一次元的なサーチに対応するDNA分子に沿って広がることによりリプレッサーはオペレーターを見出すことを示す。
完全な大腸菌ゲノム配列の調査は、オペレーター配列に隣接した1次オペレーター部位の500 bp以内の2つの部位を明らかにする。他のlacリプレッサーダイマーは、特に一次オペレーター部位でlacリプレッサーダイマーとの協同相互作用により促進される場合、これらの部位に結合し得る。lacオペレーター部位の配列にほぼ適合する他の部位は、大腸菌ゲノム配列の残部に存在しない。従ってlacリプレッサーのDNA結合特異性は、大腸菌ゲノム内でほぼ唯一の部位を特定するために充分である。
lacリプレッサーの三次元構造は様々な形態で決定されている。各モノマーはDNAに結合する小さなアミノ末端ドメインならびにダイマーおよびテトラマーの形成を媒介する大きなドメインからなる。該アミノ末端ドメインのペアは共に機能的DNA結合ユニットを形成する。lacリプレッサーとlacオペレーター配列を含むオリゴヌクレオチド間の複合体は、構造的に特性付けされている。lacリプレッサーはヘリックスのDNAの主要溝への挿入ならびに塩基対端およびホスホジエステル骨格と一連の接触によってDNAを結合する。例えば、ヘリックスにおけるアルギニン残基はオペレーター内でグアニン残基と共に水素結合のペアを形成する。他の塩基は直接接触はしないが、局所的なDNA構造におけるそれらの効果による結合に重要であり得る。予測される通り、オペレーターの2回軸は、2つのDNA結合ドメインに関する2回軸と同時に起こる。
リガンド結合は大腸菌lacリプレッサーなどの調節タンパク質における構造変化を誘導し得る。ラクトース自身はこの効果を有さず;むしろアロラクトース、α−1,4結合を有するものよりもα−1,6結合を有するガラクトースとグルコースの組み合わせ、がこの効果を有する。従って、アロラクトースはlacオペロンのインデューサーとも言われる。アロラクトースは、誘導の前に存在するわずかなβ−ガラクトシダーゼ分子により低レベルで生成されるβ−ガラクトシダーゼ反応の副産物である。イソプロピルチオガラクトシド(IPTG)等のいくつかの他のβ−ガラクトシドは酵素の基質ではないが、β−ガラクトシダーゼ発現の強力なインデューサーである。
インデューサーがlacリプレッサーに結合している場合、該リプレッサーのオペレーターDNAに対する親和性は著しく低下する。インデューサーは各モノマー内の大きなドメインの中央に結合する。この結合はDNA結合ドメインと共に界面へ移行する局所的な配座変化を導く。2つの小DNA結合ドメイン間の関係は修正され、その結果それらは容易にDNAに同時に接触できず、DNA結合親和性における劇的な減少を誘導する(Berg, J., Tymoczko, J, Stryer, L.(編) Biochemistry, 第5版, W. H. Freeman and Company, New York)。結果として、Lacリプレッサー/ラクトース複合体はより頻繁にオペレーターから解離し、プロモーターをRNAポリメラーゼに接近しやすくして、それによりmRNA転写のレベルを増加させる。
逆に、例えば、オルトニトロフェニルフコシド(ONPF)などの抗インデューサーは、LacリプレッサーのLacオペレーターへの結合親和性を増加させることにより、アロステリックにLacリプレッサーLacオペレーター複合体を安定化させる(Choi, K.Y.およびZalkin, H. J Bacteriol (1992) 174:6207-6214; Bell, C.E.およびLewis, M. Curr Opin Struct Biol (2001) 11:19-25)。
オペレーター結合配座はLacリプレッサーのバリアントにおいて安定していることが示されている。該バリアントにおいてLacIポリペプチドの110位のアラニン残基はリシン残基で置換されている(Muller-Hartmann, H.およびMuller-Hill, B. J Mol Biol (1996) 257:473-478)。
バクテリオファージを含む原核生物由来のリプレッサーと同種のオペレーターの他の組み合わせは当業者に公知である。最も研究されているリプレッサーオペレーター複合体のいくつかは、Kercher, M.A.ら Curr Opin Struct Biol (1997) 7:76-85に列挙される。従って、本発明の別の好ましい態様において、工程(ii)における(b)および(e)の少なくとも1つのオペレーターは原核生物起源の天然に存在するオペレーターである。例として、配列番号:1、配列番号:2および配列番号:3は大腸菌由来の天然に存在するLacオペレーターを表す。配列番号:4は人工的かつ対称的なLacオペレーターを示す。配列番号:5および配列番号:6はプリンオペロンの大腸菌オペレーターの配列の例を示す。従って、本発明の別の好ましい態様において、工程(ii)における(b)および(e)の少なくとも1つのオペレーターは、原核生物起源のそれぞれの天然に存在するオペレーターの、少なくとも1つのヌクレオチドの付加、欠失または交換によるバリアントである。
更に、本発明の別の好ましい態様において、工程(vi)におけるオペレーターに結合可能な第1および第2の因子のそれぞれは、(A) 工程(ii)の(b)および(e)のオペレーターの少なくとも1つを結合可能な原核生物リプレッサー;(B) コリプレッサーまたは抗インデューサーにより結合される原核生物のリプレッサー、ここでコリプレッサーまたは抗インデューサーにより結合される原核生物のリプレッサーは工程(ii)の(b)および(e)のオペレーターの少なくとも1つに結合可能である、からなる群より選択される。
本発明の別の好ましい態様において、工程(ii)における(b)および(e)のオペレーターは同一である。本発明の更に別の好ましい態様において、工程(iv)におけるオペレーターに結合可能な第1および第2の因子は同一である。
本発明の別の好ましい態様において、工程(ii)における少なくとも1つのオペレーター、および工程(vi)におけるオペレーターに結合可能な少なくとも1つの因子は、配列番号:5の大腸菌プリンオペレーター、およびヒポキサンチン、または任意にヒポキサンチンとプリンリプレッサーに結合したグアニンを有する大腸菌プリンリプレッサー;配列番号:6の大腸菌プリンオペレーター、およびヒポキサンチン、または任意にヒポキサンチンとプリンレセプターに結合したグアニンを有する大腸菌プリンリプレッサーからなる群より選択される。
本発明の別の好ましい態様において、工程(ii)における少なくとも1つのオペレーター、および工程(vi)におけるオペレーターに結合可能な少なくとも1つの因子は、(I)配列番号:1の大腸菌Lacオペレーター、および大腸菌Lacリプレッサー;(II)配列番号:1の大腸菌Lacオペレーター、およびLacリプレッサーに結合しているオルトニトロフェニルフコシドを有する大腸菌Lacリプレッサー;(III) 配列番号:4の大腸菌Lacオペレーターのバリアント、および大腸菌Lacリプレッサー;(IV) 配列番号:4の大腸菌Lacオペレーターのバリアント、およびLacリプレッサーに結合しているオルトニトロフェニルフコシドを有する大腸菌Lacリプレッサーからなる群より選択される。
本発明の別の好ましい態様において、工程(ii)における少なくとも1つのオペレーター、および工程(vi)におけるオペレーターに結合可能な少なくとも1つの因子は、配列番号:1の大腸菌Lacオペレーター、および大腸菌Lacリプレッサーのバリアントであり、ここで該バリアントはLacIポリペプチドのアミノ酸交換により特性付けられる、つまり110位のアラニン残基はリシン残基で置換される。かかるバリアントはオペレーター結合配座において安定であることが公知である(Muller-Hartmann, H.およびMuller-Hill, B. J Mol Biol (1996) 257:473-478)。
いくつかのトランス作用因子、すなわちオペレーターに結合可能な因子は、真核生物にもまた存在する。かかる因子は酵母において転写調節を担う、つまりそれらはエンハンサー様上流活性化配列(UAS)に結合する。本明細書において、「エンハンサー様上流活性化配列」は用語「オペレーター」に包含されることが理解される。従って、本発明の別の好ましい態様において、工程(ii)における(b)および(e)の少なくとも1つのオペレーターは真核生物起源の天然に存在するオペレーターまたはそのバリアントである。本発明の更により好ましい態様において、オペレーターは酵母由来のエンハンサー様上流活性化配列である。更により好ましくは、オペレーターは酵母Saccharomyces cerevisiae由来のエンハンサー様上流活性化配列である。オペレーターが真核生物起源の上流活性化配列のいくつかのコピーからなることもまた好ましい。
特に、GCN4またはGAL4タンパク質はそれぞれオペレーターに結合可能な真核生物因子の例示として考えられている。GCN4はアミノ酸生合成経路に関連する多くの遺伝子の転写を活性化させる。アミノ酸飢餓に対する応答において、GCN4タンパク質レベルは上昇し、次いで、アミノ酸生合成遺伝子のレベルを上昇させる。GCN4により認識されるUASは、主要な認識配列エレメントATGACTCATを含む。そのため、工程(ii)における少なくとも1つのオペレーターは、配列ATGACTCATの1〜4つのコピーからなり、工程(vi)におけるオペレーターに結合可能な少なくとも1つの因子はGCN4であることがさらにより好ましい。オペレーターにおいて、GCN4認識配列のコピーがそれぞれスペーサー配列により連結されていることが更により好ましい。
GAL4は、ガラクトース代謝に関連する遺伝子のプロモーターに対するUASの活性化に関連する。GAL4はこれらのプロモーター内の同様に対称な17 bp配列を有する4つの部位にダイマーとして結合する。Liang, S.D.ら, Mol Cell Biol (1996) 16:3773-3780 は野生型ならびにGAL4結合が増強した人工的に改変されたGAL4認識配列を記載する。従って、本発明の更により好ましい態様において、工程(ii)における少なくとも1つのオペレーターは配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10および配列番号:11、からなる群より選択される配列の1つまたは2つのコピーからなり、ならびに工程(vi)におけるオペレーターに結合可能な少なくとも1つの因子はGAL4である。オペレーターがGAL4認識配列の2つのコピーを含む場合、前記コピーはスペーサー配列により連結されていることが更により好ましい。
本発明の別の局面は、本発明の方法および上述の方法により得られうるエキソヌクレオチド分解性攻撃に対して安定化された二本鎖直鎖ポリヌクレオチドである。本発明の好ましい態様において、該ポリヌクレオチドはポリペプチドをコードする。該ポリヌクレオチドは連続したオープンリーディングフレームにおいてポリペプチドをコードすることが非常に好ましい。該ポリヌクレオチドはオープンリーディングフレームの上流のリボソーム結合部位をさらに含むことが更により好ましい。好ましくは原生生物起源のリボソーム結合部位、より好ましくは大腸菌リボソーム結合部位である。該ポリヌクレオチドはオープンリーディングフレームの上流のプロモーターおよびリボソーム結合部位を更に含むことが更により好ましい。好ましくは、オープンリーディングフレームの上流のプロモーターおよびリボソーム結合部位は原核生物プロモーターである。非常に好ましくは、プロモーターはファージプロモーターである。また非常に好ましくは、大腸菌プロモーターである。
更に本発明の別の局面は、エクソヌクレアーゼと、本発明の方法および上記に詳述した方法により得られうるエキソヌクレオチド分解性攻撃に対して安定化された二本鎖直鎖ポリヌクレオチドを含む水溶液を含有する組成物である。本発明の好ましい態様において、エキソヌクレアーゼを含む水溶液は連続した(coupled)転写および翻訳のための無細胞反応混合液であり、ここで、無細胞反応混合液は上記[1]工程(ii)(b)のオペレーターに結合可能な第1の因子および上記[1]工程(ii)(e)のオペレーターに結合可能な第2の因子を含む。連続した転写および翻訳のためのインビトロシステムは当該分野で公知である。本発明の好ましい態様において、無細胞反応混合液は大腸菌溶解物である。かかる場合、(ii)(b)および(ii)(e)の任意の工程において大腸菌由来オペレーターを使用することは、通常同種のリプレッサーが抽出物に含まれることから有利である。大腸菌細胞におけるLacリプレッサーなどの多くのリプレッサーは構成的に発現される。そのため(ii)(b)および(ii)(e)の任意の工程において、大腸菌Lacオペレーターまたはそのバリアントを選択することが非常に好ましい。
オペレーターに結合可能な因子を形成するために、連続した転写よび翻訳のための無細胞反応混合液内で、オペレーターに結合可能な因子を発現または同時発現することもまた可能である。従って、本発明の別の態様において、無細胞反応混合液は更に、オペレーターに結合可能な因子を提供するために無細胞反応混合液中で発現される、上記[1]工程(ii)(b)または(e)のオペレーターに結合可能な因子をコードする核酸を含む。例えば、大腸菌抽出物を基にした連続した転写および翻訳のための無細胞反応混合液中でLacリプレッサーの濃度を上昇させることが望ましい場合、LacIポリペプチドは反応混合液中で発現され得る。この場合、LacIポリペプチドのバリアントを発現することもまた可能である。非常に好ましいのは、110位でのアラニンからリシンへのアミノ酸変換を有するLacIポリペプチドが発現することである。かかるバリアントはオペレーター結合配座において安定することが公知である(Muller-Hartmann, H.およびMuller-Hill, B. J Mol Biol (1996) 257:473-478)。別の例として、大腸菌抽出物を基にした連続した転写および翻訳のための無細胞反応混合液中に、GAL4を提供することが望ましい場合、GAL4ポリペプチドは反応混合液中で発現され得る。
オペレーターに結合可能な前記因子を提供することの別の可能性は、前記因子を独立して合成することである。例えば、大腸菌抽出物を基にした連続した転写および翻訳のための無細胞反応混合液中にGAL4を提供することが望ましい場合、GAL4ポリペプチドは独立して発現され、精製され、次いで反応混合液に加えられ得る。
オペレーターに結合可能な因子がアロステリックリプレッサーである場合、本発明の望ましい効果を達成するために、その同種のオペレーターへの因子の親和性を減少させる任意の補因子の存在が好ましくは最小化されることが理解される。一般的に、連続した転写および翻訳のための無細胞反応混合液を調製するために使用されている溶解物は、好ましくは前記補因子の非存在下で生育される大腸菌培養液から調製される。例えば、Lacリプレッサーは好ましくはアロステリックリプレッサーとして選択される。連続した転写および翻訳のための無細胞反応混合液を調製するために使用される溶解物は、次いでラクトースまたはアロラクトースの非存在下で生育されている大腸菌培養液から好ましく調製される。
逆に、アロステリックリプレッサーの結合がコリプレッサーまたは抗インデューサーにより増強される場合、連続した転写および翻訳のための無細胞反応混合液は前記コリプレッサーもしくは抗インデューサーまたは前記コリプレッサーもしくは抗インデューサーの前駆体の存在下で生育されている大腸菌培養液から調製され得、ここで前駆体は大腸菌細胞中で前記コリプレッサーまたは抗インデューサーを形成するために変換される。あるいは、抽出物が調製された後にコリプレッサーまたは抗インデューサーが添加され得る。例として、Lacリプレッサーのlacオペレーターへの結合は、オルトニトロフェニルフコシド(ONPF)の存在下で増強され、ここでONPFはLacリプレッサーに結合し、Lacリプレッサーのオペレーター結合配座を安定させる。従って、大腸菌細胞の抽出物を基にした連続した転写および翻訳のための無細胞反応混合液中でポリヌクレオチドを安定させる場合、ポリヌクレオチドの側面においてLacリプレッサーをその同種のオペレーターへ結合させるために、ONPFが反応混合液に添加されることが好ましい。
更に、アロステリックリプレッサーの増強は1より多いコリプレッサーを必要とし得る。かかる場合、第1および第2のコリプレッサーが溶解物に添加されることが好ましい。第1および第2のコリプレッサーを必要とする好ましいアロステリックリプレッサーは、この場合好ましくは溶解物に添加されているヒポキサンチンおよびグアニンを有するプリンリプレッサーである。
本発明の更に別の態様は、望ましいポリペプチド、リボソーム結合部位、およびプロモーターをコードするリーディングフレームを含有する直鎖二本鎖ポリヌクレオチドからの、連続した転写および翻訳のための無細胞反応混合液中での望ましいポリペプチドの発現を増加させるための方法であり、(α)直鎖二本鎖ポリヌクレオチドから、本発明の方法によりエキソヌクレオチド分解性攻撃に対して安定化された二本鎖直鎖ポリヌクレオチドを生成する工程;(β)安定化された二本鎖直鎖ポリヌクレオチドを無細胞反応混合液に添加する工程;(γ)無細胞反応混合液をインキュベートし、望ましいポリペプチドを形成する工程を含む。
以下の実施例、参考文献、配列表および図面は本発明の理解を助けるために提供されるが、その真の範囲は添付の特許請求の範囲に示される。本発明の趣旨を逸脱すること無しに、示された手順において修正がなされ得ることが理解される。
実施例1
二本鎖線状DNAの生成
Lacオペレーター配列を分子の両末端に含む線状DNA分子へのLacリプレッサーの安定化効果を評価するため、GFP(緑色蛍光タンパク質)に対する遺伝子を有する配列番号:12のDNA断片を、別々の増幅反応において、2つのプライマー対lacOs/lacOr(配列番号:14および配列番号:15)およびNlacOs/NlacOr(配列番号:16および配列番号:17)を使用してpIVEX2.3GFPから増幅した(図1)。この断片は、RTS(迅速翻訳系)Linear Template Generation Set(LTGS、His-tag;Roche Diagnostics GmbH、Mannheim、カタログ番号:3186237)により作製したDNA断片に対応しており、インビトロ転写/翻訳のための全ての必要な要素を含んでいた。1つの断片を、LTGS由来の標準アウタープライマーと同じ配列および5'末端にさらなる10塩基を有するプライマーを使用して増幅した。対照として、末端6塩基の下流にさらに21塩基のlacオペレーターを含むプライマー対を用いて第二の断片を作製した。
実施例2
エキソヌクレアーゼを含む転写および翻訳をつなげるための無細胞反応混合物中の二本鎖線状DNA
各PCRの3μlアリコートを、製造業者のプロトコルに従い(30℃)50μlのRTS 100HY転写/翻訳混合物中で、バッチおよび連続交換(CECF)様式の両方でインキュベートした。CECF反応について、RTS 500HYキット由来の1mlの供給溶液を使用した。
LacIタンパク質の同時発現のため、3μg/mlのベクターpIVEXlacIを反応に添加し、一方、対照反応はpIVEXlacIベクター(すなわち、配列番号:13に含有されるLacIコーディング配列をpIVEXベクターに挿入した)を含まなかった。最後に、10μg/mlのオリジナル発現ベクターpIVEX2.3GFPを、LacIの同時発現をするおよびしない対照として使用した。
バッチ反応を振とうせずに4時間行い、一方、CECF反応をProteoMaster装置中で900rpmで振とうしながら6時間インキュベートした。インキュベーション後、GFP色素体の生成のために、反応を一晩4℃で維持した。図2は得られた反応の量を示す(A:CECF様式、B:バッチ様式)。
実施例3
収量の比較
図3に示すように、GFP蛍光を測定することにより定量した収量の差をウエスタンブロッティングにより確認した。PCR断片中のlacオペレーター配列の存在は、バッチ(図3の左側)およびCECF様式(図3の右側)の両方で、非保護断片と比較して収量において有意な増加を生じた。同時発現しないバッチ反応において約90%およびCECF反応において40%の増加は、溶解物にすでに存在するLacIタンパク質の安定化効果を示す。同時発現は絶対収量の低下を誘導するが、保護断片と非保護断片との間の相対的な差の向上を誘導する。
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実施例1の、フランキングlacオペレーター配列無し(NlacO)および有り(lacO)のGFPのインビトロ転写/翻訳のための直鎖鋳型。左のレーンはサイズマーカーフラグメントを含む。 実施例2の、GFP蛍光を決定することにより測定されたGFPの産生。 実施例3の、ウエスタンブロッティングにより測定されたGFPの産生。

Claims (12)

  1. エキソ核酸分解攻撃に対して安定化された二本鎖線状ポリヌクレオチドを生成するための方法であって、
    (i)一本鎖または二本鎖ポリヌクレオチドを提供する工程;
    (ii)(a)該ポリヌクレオチドの3'末端のヌクレオチド配列に相補的な7〜25ヌクレオチドの3'末端ヌクレオチド配列、
    (b)(a)に隣接する第一のオペレーター、
    (c)(b)に隣接し、1〜15ヌクレオチドからなる第一の5'末端ヌクレオチド配列
    からなる第一の一本鎖オリゴヌクレオチド、および
    (d)該ポリヌクレオチドの5'末端のヌクレオチド配列と同一の7〜25ヌクレオチドの3'末端ヌクレオチド配列、
    (e)(d)に隣接する第二のオペレーター、
    (f)(e)に隣接し、1〜15ヌクレオチドからなる第二の5'末端ヌクレオチド配列
    からなる第二の一本鎖オリゴヌクレオチドを提供する工程;
    (iii)増幅反応混合物を提供し、該増幅反応混合物に該ポリヌクレオチドならびに該第一のおよび第二の一本鎖オリゴヌクレオチドプライマーを添加する工程;
    (iv)工程(iii)で得られた混合物中で該第一のおよび/または第二の一本鎖オリゴヌクレオチドを該ポリヌクレオチドにアニーリングする工程;
    (v)ポリメラーゼ連鎖反応により該ポリヌクレオチドを増幅し、それにより二本鎖線状ポリヌクレオチドを生成する工程;
    (vi)工程(ii)(b)のオペレーターに結合し得る第一の因子および工程(ii)(e)のオペレーターに結合し得る第二の因子を提供し、工程(v)の二本鎖線状ポリヌクレオチドを工程(ii)(b)のオペレーターに結合し得る第一の因子および工程(ii)(e)のオペレーターに結合し得る第二の因子の両者と接触させ、
    ここで、オペレーターに結合し得る該第一のおよび第二の因子のそれぞれは、
    (A)DNA結合タンパク質、
    (B)DNA結合タンパク質複合体、
    (C)DNA結合タンパク質またはDNA結合タンパク質複合体および該DNA結合タンパク質またはDNA結合タンパク質複合体に結合する補因子
    からなる群より選択され、
    それによりエキソ核酸分解攻撃に対して安定化された二本鎖線状ポリヌクレオチドを生成する工程
    を含む、方法。
  2. 工程(ii)における(b)および(e)のオペレーターのうち少なくとも1つが天然に存在する原核生物起源のオペレーターであることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 工程(ii)における(b)および(e)のオペレーターのうち少なくとも1つが、それぞれ天然に存在する原核生物起源のオペレーターの、少なくとも1ヌクレオチドの付加、欠失または交換によるバリアントであることを特徴とする、請求項1および2いずれか記載の方法。
  4. 工程(vi)におけるオペレーターに結合し得る第一のおよび第二の因子のそれぞれが、
    (A)工程(ii)の(b)および(e)のオペレーターのうちの少なくとも1つを結合し得る原核生物リプレッサー;
    (B)工程(ii)の(b)および(e)のオペレーターのうちの少なくとも1つを結合し得る、コリプレッサーまたは抗インデューサーにより結合される原核生物リプレッサー
    からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1および3いずれか記載の方法。
  5. 工程(ii)における(b)および(e)のオペレーターが同一であることを特徴とする、請求項1〜4いずれか記載の方法。
  6. 工程(vi)におけるオペレーターに結合し得る第一のおよび第二の因子が同一であることを特徴とする、請求項5記載の方法。
  7. 工程(ii)における少なくとも1つのオペレーターおよび工程(vi)におけるオペレーターに結合し得る少なくとも1つの因子が、
    (I)配列番号:1のEscherichia coli LacオペレーターおよびEscherichia coli Lacリプレッサー;
    (II)配列番号:1のEscherichia coli LacオペレーターおよびEscherichia coli Lacリプレッサーに結合するオルトニトロフェニルフコシドを有するEscherichia coli Lacリプレッサー;
    (III)配列番号:4のEscherichia coli LacオペレーターのバリアントおよびEscherichia coli Lacリプレッサー;
    (IV)配列番号:4のEscherichia coli LacオペレーターのバリアントおよびEscherichia coli Lacリプレッサーに結合するオルトニトロフェニルフコシドを有するEscherichia coli Lacリプレッサー
    からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜6いずれか記載の方法。
  8. 請求項1〜7いずれか記載の方法により得られうるエキソ核酸分解攻撃に対して安定化された二本鎖線状ポリヌクレオチド。
  9. エキソヌクレアーゼを含有する水溶液および請求項8記載の方法により得られうるエキソ核酸分解攻撃に対して安定化された二本鎖線状ポリヌクレオチドを含む組成物。
  10. エキソヌクレアーゼを含有する水溶液が連結された転写および翻訳のための無細胞反応混合物であり、
    ここで、該無細胞反応混合物が請求項1の工程(ii)(b)のオペレーターに結合し得る第一の因子および請求項1の工程(ii)(e)のオペレーターに結合し得る第二の因子を含むことを特徴とする、請求項9記載の組成物。
  11. 無細胞反応混合物がさらに、請求項1の工程(ii)(b)または(e)のオペレーターに結合し得る因子をコードする核酸を含み、該核酸が該無細胞反応混合物中で発現され、オペレーターに結合し得る該因子を提供することを特徴とする、請求項10記載の組成物。
  12. 無細胞反応混合物がEscherichia coli溶解物であることを特徴とする、請求項10および11いずれか記載の組成物。
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