JP2005223411A - 電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子機器内におけるデータ伝送の高速化に伴う種々の問題は配線が困難な部分を電磁波信号(電波)により無線転送すれば一気に解決できる。しかしながら、従来の無線通信技術による情報伝送は同一電子機器内であっても、通信に用いられる電磁波信号が漏洩するため、安全性に問題があり、盗聴などによって通信の安全性を脅かされる。
【解決手段】情報を発信する情報発信部、前記情報発信部の情報を暗号化する暗号部と、前記暗号部により暗号化された情報を電磁波信号により送信する無線送信部と、前記無線送信部により送信された電磁波信号を受信する無線受信部と、前記無線受信部で受信した信号を復号する復号部と、暗号鍵を生成する鍵生成部と、前記暗号部および復号部に前記鍵生成部により生成された暗号鍵を有線通信にて配信する。
【選択図】 図1

Description

本発明は表示素子や撮像素子など高速なデータ転送を必要とする素子を内蔵する電子機器に関する。
近年、携帯電話やノートブックコンピュータ、デジタルカメラなどの機能向上は目覚しく内蔵される表示素子や撮像素子の高分解能、高精細化が求められますます複雑化してきている。特に携帯電話においてはカメラ機能の内蔵や表示の大型化などの高機能化とともに小型軽量化、低消費電力化が求められその筐体構造もクラムシェル型と呼ばれる折り畳み型が主流になってきている。
このような要請から、実装基板は複数にわたることが多く、その場合表示素子や撮像素子とそれらのデータを制御するCPUは別基板に搭載されることが多い。必然的にCPUと表示素子または撮像素子との間の結線が長くなる。素子の高分解能化に伴いそれらの線路の信号周波数が高くなり接続が困難になってきている。特にクラムシェル型構造では細いヒンジ部分を介して両者が接続される構造となる。表示素子や撮像素子の高分解能化に伴い両基板間でやり取りされるデータ量も多くなり高速転送技術が必要となってきている。この問題を解決するために高速データ伝送の方式としてたとえば(LVDS:Low Voltage Differential Signaling)を表示体や撮像素子の接続に使う(特許文献1および特許文献2)ことが提案されている。特許文献3および特許文献4等ではこの方式でも十分な解決が得られないとして新たな方法が提案されている。
また、半導体製造技術の進歩は目覚しく、システムオンチップとして集積度はますます上り1チップ内に入る半導体回路は全て搭載しようとする傾向がある。そのために半導体チップと外部回路との接続のピン数が膨大となり数百本を超えることも珍しくない。また、半導体回路の動作周波数も高くなり従来のワイヤボンディングを介して外部と接続する方法では高周波特性が問題となり正しく外部との信号やり取りが困難となってきている。このような問題に対し非特許文献1ではチップ間の接続を無線化する研究が報告されている。
しかしながら、最近の表示体の大型化はこれらの技術でも十分な性能を得られない。十分な対ノイズ特性(耐干渉性、与干渉性)を得るには細心の設計と調整が要求される。LVDSでは信号レベルが小さいため必然的にデジタルICでアナログ信号を扱うことになり消費電力が大きくなるという問題があった。
また信号を精度よく伝送するためには整合の取れたインピーダンス終端が必要であるが、インピーダンス終端が必要な線の数が多い上に伝送インピーダンスはせいぜい100オームくらいなのでそれらの終端抵抗に消費される電力が容認できないほどに大きくなってしまうという問題もあった。
さらに、また配線がヒンジ部などの可動部を通る場合は折れ曲がり具合により特性インピーダンスが変化するため状況によってインピーダンス不整合が生じ折れ曲がり部での反射等により信号劣化を引き起こす。このために伝送されるデータの速度が制限されたり、実装方法や部品の配置が制約を受けるという問題点があった。
また、さらに当然のことながらヒンジ部を介してやり取りされる信号数は数十本となる上に基板上の配線を使用できないのでフレキシブル基板をコネクタを介して接続することになる。フレキシブル基板やコネクタによる接続はコストが高い上に接続信頼性も低いという欠点を有していた。
さらに転送データの高速化に伴う配線数の増大は配線のための物理的スペースを要し当然の事ながら機器のデザインに対し大きな制約を課すことになる。
さらに、このような高速で大量のデータを長い配線によって引き回すこと線路からの放射電磁界が増えては他の電子機器あるいは自分自身への電磁波妨害の要因となる。従来の信号線による信号伝送では受電端での振幅レベルが規定されており受電端で十分な品質を確保しても信号の振幅レベルを下げることができない。すなわちEMI対策が困難になり結果として機器デザインへの制約やコストアップを引き起こしている。また、送信側の駆動は受電端の負荷に加え線路の浮遊容量も同時に駆動することになるため信号伝達に余分なエネルギーを必要としている。すなわち消費電力を増大させる結果となっている。
これらの問題は同一の電子機器内に従来の無線通信技術を導入し、配線が困難な部分のデータ転送を電磁波信号(電波)により無線転送すれば一気に解決できる。
しかしながら、従来の無線通信技術による情報伝送は同一電子機器内であっても、通信に用いられる電磁波信号が漏洩するため、安全性に問題があった。すなわち盗聴などによって通信の安全性が脅かされる。
そこで本発明は、上述のような従来の同一電子機器内の情報伝送に関する種々の問題や制約を無線通信技術の応用により除去する場合の安全性上の問題点を解決し、従来の情報伝送方式の欠点や制約を除去し低コストで信頼性の高い電子機器を実現することを目的とする。
特許公報3086456(欄44) 特許公報3330359(欄46) 特許公報3349426 特許公報3349490 「日経マイクロデバイス」2003年12月号161ページ
本発明にかかる電子機器は情報を発信する情報発信部、前記情報発信部の情報を暗号化する暗号部と、前記暗号部により暗号化された情報を電磁波信号により送信する無線送信部と、前記無線送信部により送信された電磁波信号を受信する無線受信部と、前記無線受信部で受信した信号を復号する復号部と、暗号鍵を生成する鍵生成部と、前記暗号部および復号部に前記鍵生成部により生成された暗号鍵を有線通信にて配信する有線通信部より構成される。
上記構成によれば電子機器内において無線でやり取りされる情報は暗号で送られるためそれが第三者に漏洩しても暗号鍵が無い限り解読できず安全性を向上させることができる。暗号鍵は頻繁に更新することが可能でしかも有線通信にて相手側に伝送されるため暗号鍵が第三者に渡ることも無い。すなわち暗号を用いる場合に問題となる鍵配布時の問題(KDP:Key Distribution Problem)がない。
本発明にかかる電子機器は乱数を生成する乱数生成部と、前記乱数発生部により発生された乱数を有線通信により配信する有線通信部と、情報を発信する情報発信部と、前期情報発信部の発信した情報に前記乱数を加算する加算部と、前記加算部により加算された情報を電磁波信号により送信する無線送信部と、前記無線送信部より送信された電磁波信号を受信する無線受信部と、無線通信部にて受信された情報から前記乱数を減算し復号する減算部より構成される。
上記構成によれば電子機器内において無線でやり取りされる情報は乱数と加算されているので漏洩しても第三者が内容を知ることができず安全性が確保される。乱数は頻繁に変更できしかも有線通信にて受信側に送信されるので、加算される乱数が第三者に盗まれることもない。
本発明にかかる電子機器は拡散符号を生成する拡散符号生成部と、前記拡散符号生成部により発生された拡散符号を有線通信により配信する有線通信部と、情報を発信する情報発信部と、前期情報発信部の発信した情報を前記拡散符号により拡散変調する変調部と、前記変調部により変調された情報を電磁波により送信する無線送信部と、前記電磁波信号を受信する無線受信部と、前記無線受信部にて受信された情報を前記拡散符号により逆拡散する復調部にて構成される。
上記構成によれば電子機器内において無線でやり取りされる情報は拡散符号により拡散変調されているので信号が漏洩しても第三者は拡散符号が無い限り復調する事ができず内容を知ることができないので安全性が確保される。拡散符号は頻繁に変更できしかも有線通信にて受信側に送信されるので、拡散符号が第三者に盗まれることもない。また、拡散利得を稼ぐことによりこの無線通信路が当該電子機器に影響を与えたり、逆に電子機器が発する電磁波信号や電磁波ノイズの影響を受けることが無い。
本発明にかかる電子機器の前記変調部はUWB(Ultra Wide Band)信号への変調を行い、前記復調部はUWB信号からの復調を行うことを特徴とする。
上記構成によれば、UWBの拡散利得によりこの無線通信路が当該電子機器に影響を与えたり、逆に電子機器が発する電磁波信号や電磁波ノイズの影響を受けることが無い。またUWB通信は特に近距離通信に向きかつ大量のデータ伝送を簡単な回路で実現できるのでコスト上のメリットが大きい。
本発明にかかる電子機器は記憶部と、前記記憶部に記憶された情報を表示する表示体と、前記表示体の駆動順序に合わせて前記記憶部から前記情報を読出し出力する表示制御部と、前記表示制御部が読み出した前記情報に基づき前記表示体を駆動する表示体駆動部とを備える。
上記構成によれば表示体を持つ電子機器において、表示体と表示体コントローラ間のデータ伝送は無線通信により行われ、有線による信号送受は低周波の安全性確保のための信号のみとなるので配線数は激減しまた残された配線もきわめて容易である。特にクラムシェル構造を取り狭いヒンジを通じて液晶表示体と表示コントローラ間で信号伝送を行う携帯電話端末などにおいて大きな効果がある。
本発明にかかる電子機器は撮像素子と、前記撮像素子が撮影した画像信号を読み出し出力する撮像制御手段とを備えることを特徴とする。
上記構成によれば撮像素子を持つ電子機器において、撮像素子により撮影した画像データの伝送を無線通信により行うことができ、有線による信号送受は低周波の安全性確保のための信号のみとなるので配線数は激減しまた残された配線もきわめて容易になる。特にクラムシェル構造を取り狭いヒンジを通じて撮像素子とCPU間で信号伝送を行う携帯電話端末などにおいて大きな効果がある。
本発明にかかる電子機器の有線通信部は電源線に信号を重畳し通信することを特徴とする電子機器
上記構成によれば有線通信部は電源線に重畳された信号により通信を行うのでそのための特別な配線の必要がなくきわめて少ない配線数で大量のデータを簡単に伝送することが可能となる。
以上述べたように、本発明の上記構成によれば、電子機器の同一機器内のような極近距離に電磁波による無線データ伝送を安全に使うことが可能となり、従来の高速データ伝送に伴う種々の問題や実装上の問題を除去することができ低コストで高信頼性かつ低消費電力で安全性の高い電子機器を実現することができる。
以下、本発明の実施形態を図面を使って説明する。
図1は本発明にかかる電子機器の実施例の要部を示す概念図である。送信部ブロック112から受信部ブロック113へデータを送信するものとする。送信情報をもつ回路101からその情報を受信する回路104へ情報伝送を行う。回路101の発する送信情報は鍵バッファ回路103が保持する暗号鍵を使って暗号器114で暗号化し変調器102により変調し送信アンテナ110より電磁波信号(電波)として送信する。暗号鍵は鍵発生回路116が発生し発生された暗号鍵は鍵バッファ回路103に送り保持するとともに有線路107を通じて送信し受信部ブロック113内の鍵バッファ回路105に記憶させる。前記送信アンテナ110より発せられ空間(無線伝播路108)を伝播する電磁波信号は受信アンテナ111により受信され復調器106により復調され、復号器115により復号された後、回路104へ出力される。
鍵バッファ回路103および鍵バッファ回路105は鍵発生回路116が暗号鍵を送っている間はそれまで保持していた暗号鍵を保持し続け、鍵発生回路116が暗号鍵を転送し終わった後に、互いに同期して暗号鍵を更新する。鍵発生回路116が頻繁に鍵を更新することでより安全性が高まる。
鍵発生回路116は受信部ブロック内113にあり、有線路107を通じて送信部ブロック112内の鍵バッファ回路103に送出しても良い。
暗号器114および復号器115で使用する暗号は公開鍵暗号のような複雑なアルゴリズムを用いる必要が無い。なぜならば暗号鍵は同一機器内のような至近距離でしかも有線通信にて伝送されるため、暗号鍵配布に際して暗号鍵が盗まれたり改竄されるなどの心配が無いため、複雑な暗号鍵配布手続きを取ることなく直接共通鍵暗号を使用することができるからである。
本発明によれば、電子機器内部のデータ伝送を無線にて伝送することにより、高速データ伝送の必要な配線を無くし、電子機器動作の高速化に伴い発生する種々の問題が安全性を損なうことなく一気に解決できる。
図2は本発明にかかる電子機器の他の実施例の要部を示す概念図である。送信部ブロック212から受信部ブロック213へデータを送信するものとする。送信情報をもつ回路201からその情報を受信する回路204へ情報伝送を行う。回路201の発する送信情報は乱数発生器205によって発生される乱数を加算器214により加算し変調器202により変調し送信アンテナ210より電磁波信号(電波)として送信する。乱数発生器205により発生された乱数は同時に有線路207を通して受信部ブロック213にある減算器215にも配信される。前記送信アンテナ210より発せられ空間(無線伝播路208)を伝播する電磁波信号は受信アンテナ211により受信され復調器206により復調されたのち、減算器215により乱数発生器205から配信されて来る乱数で減算され復号された後、回路204へ出力される。
加算回路214はガロア体(GF(2))上の加算が回路が単純な排他的論理和回路で構成できるため簡単である。回路201がシリアルデータを出力する場合は単純に1ビット乱数と排他的論理和を取るだけで実現できる。またGF(2)では加算と減算は同一の(等価な)演算であるため、復号に必要な減算器も排他的論理和回路で実現でき構成が簡単である。回路201の発するデータがシリアルでなくパラレルデータのときはビット毎に乱数と排他的論理和をとり桁上りを無視すれば計算が簡単となる。乱数発生器205による乱数発生を頻繁に行い乱数を常に更新しつづければシステムの安全性はさらに高まる。
乱数発生器205は受信部ブロック213の中にあり、有線路207を通じて送信部ブロック212内の加算器214に送出しても良い。
本発明によれば、電子機器内部のデータ伝送を無線にて伝送することにより、高速データ伝送の必要な配線を無くし、電子機器動作の高速化に伴い発生する種々の問題を安全性を損なうことなく一気に解決できる。
図3は本発明にかかる電子機器のさらに他の実施例の要部を示す概念図である。送信部ブロック312から受信部ブロック313へデータを送信するものとする。送信情報をもつ回路301からその情報を受信する回路304へ情報伝送を行う。回路301の発する送信情報は拡散変調器302により拡散変調し送信アンテナ310より電磁波信号(電波)として送信する。拡散変調に用いる拡散符号は拡散符号発生器303により発生される。拡散符号発生器303にて発生された拡散符号は拡散符号バッファ回路314に送られ蓄えられる。同時に拡散符号発生器303にて発生された拡散符号は有線路307を通じて受信部ブロック内313の拡散符号バッファ回路315にも送られ蓄えられる。拡散変調器302は拡散符号バッファ回路314に蓄えられている拡散符号により送信情報を拡散変調する。前記送信アンテナ310より発せられ空間(無線伝播路308)を伝播する電磁波信号は受信アンテナ311により受信され復調器306により逆拡散され、回路104へ出力される。逆拡散に用いる拡散符号は送信時に拡散変調した符号と同じものを同じタイミングで使用する。二つの拡散符号バッファ回路314および315はそのために同期して作動するよう制御される。
拡散符号発生器303は受信部ブロック内313にあり、有線路307を通じて送信部ブロック312内の拡散符号バッファ回路314に送出しても良い。
拡散符号は拡散符号発生器303によっていつでも自由に発生できる。変更された拡散符号は二つの拡散符号バッファ回路314および拡散符号バッファ回路315の働きにより常に送受間で同期しトラッキングが保たれているため拡散符号は必要に応じて自由にいつでも変更できる。また非常に長い拡散符号を使用することもできる。
第三者が漏洩電磁波信号を受信し解読を試みても拡散符号が分からないと解読ができず、また拡散符号は電子機器内の有線通信にて受信側に通知されているので第三者が拡散符号を盗むことは非常に困難である。そのため、システムは非常に安全性が高い。
長い拡散符号を用いたり、拡散符号を頻繁に変えたりするとさらに安全性は高まる。
本発明によれば、電子機器内部のデータ伝送を無線にて伝送することにより、高速データ伝送の必要な配線を無くし、電子機器動作の高速化に伴い発生する種々の問題を安全性を損なうことなく一気に解決できる。
図4は本発明にかかる電子機器の一実施例を示す図である。実施例では電子機器は本体部405と表示部412に分けられヒンジ407を介して一体化されている。403は本体部基板で電子機器本体の機能制御を受け持つ。電子機器には様々な入出力デバイス例えばキーボードや表示装置が接続される。404は入力装置としてのキーボード、406は表示装置としての液晶表示体である。408は本体部基板403上の電子回路の制御によって表示データを生成する液晶コントローラである。液晶コントローラ408が発生する表示データは乱数発生器413の発生する乱数と加算され変調器400に送られ変調され送信アンテナ409より電磁波(電波)に変換され空間を伝播する。送信アンテナ409より送信された電磁波信号は受信アンテナ410により受信され復調器402により復調された後、減算器414により送信時に加算された乱数を減算し表示データに復元される。表示データは液晶ドライバ401に送られ液晶表示体406に表示される。
乱数発生器413で発生した乱数は有線路411を通って減算器414に伝送される。この信号は伝送データ速度に比較して低いレートで十分なので、また必要な信号線の本数も少ないのでヒンジを通って配線することは容易である。配線や部品配置の自由度も増し同図のように信号の送信部である変調器400や送信アンテナ409および受信部である復調器402や受信アンテナ410をヒンジから遠いところに配置することも可能である。部品の配置の制約が減り機器のデザインや使い勝手を向上する上での設計上の自由度が格段に増えることになる。
伝送しようとするデータが高速化するに伴い伝送線路内を伝送させることは困難となるが空間内の電磁波による伝送はより容易になってくる。一方、電磁波信号の漏洩による盗聴などの安全上の問題は本実施例のように乱数を加算して無線信号とすれば、加算した乱数を知られない限り解読は不可能である。加算した乱数は電子機器内の有線路で受信側に送られるため第三者が乱数を知ることは不可能であり安全性は高い。近年の半導体素子製造技術の向上に伴いこのようにして高周波の無線伝送の変復調器を簡略化し組み込むことはわずかなコストで可能であり実用性の高いものである。
図5は本発明にかかるデータ伝送および電子機器の実施例の要部のブロック図である。液晶表示体を表示素子に持つ電子機器を例に説明する。CPU501は電子機器全体を制御し、またMPEGやJPEGなどの圧縮画像データの伸張や撮像素子で撮像した画像データを使って、表示体に表示する画像データを生成しビデオメモリ502に書き込む。液晶コントローラ503は液晶表示体517の駆動順序に沿ってビデオメモリ502より表示データ525を読み出し、表示体の水平同期信号523、垂直同期信号524とともにロジック回路504へ出力する。ロジック回路504は表示データ525に並直変換およびプリアンブル付与などのデータの並べ替えを行い通信パケットを構築する。一次変調器505はこの信号にパルス発生器506によって発生されるパルス列を変調する。一次変調にはパルス列に対しパルス位置変調やバイフェーズパルス変調などが利用できる。一次変調を受けた信号は拡散符号発生器508により発生された拡散符号で拡散変調器507により拡散変調される。
拡散変調されたパルス列はパルス整形回路509によりスペクトル密度の低い広帯域パルスとなるように非常に短時間のパルスに波形整形を受けた後送信アンテナ510によって電磁波として放射される。放射される電磁界はサイン波に変調をかけたものではなく非常に細いパルス列である。このように短パルスで広帯域のパルスを使用する通信はインパルスラジオ(Impulse Radio)またはUWB(Ultra Wide Band)通信方式と呼ばれるものである。
放射された電磁波は無線伝播路526を通って受信アンテナ511に受信され、必要に応じてプリアンプ512により増幅された後、相関器514によってパルス発生器513の発生するパルステンプレートとの相関が計算される。前記相関器514出力は拡散符号発生器508から有線路527を通って送られてくる拡散符号によって逆拡散回路515で逆拡散されたのち復調器517で復調され一次変調前の信号(ロジック回路504にて構成された通信パケット)に変換される。ロジック回路518は復調器517により復元された通信パケットから液晶ドライバを駆動するための表示データ信号519、水平同期信号520、垂直同期信号521およびXドライバのXクロック信号522を発生し液晶表示体に送り表示を行う。受信側では逆拡散に必要な拡散符号が送信側から有線路527により送られてくるので拡散符号を持つ必要がなく、また逆拡散のための同期捕捉も不要であり受信側の回路は極めて簡素化される。
UWBを近距離通信のインターフェースとして持つ電子機器の場合、電子機器内のデータ伝送に本実施例を適用しようとすると互いに干渉し重大な妨害となる可能性があるが、これは時間軸上の窓を同期させる、周波数ホッピングを行いそのホッピングシーケンスを同期させるなどの方法で回避できる。
上記構成によれば変調操作は時間軸上のみで行われ構成要素のほとんどがパルスを扱うデジタル回路のみで実現でき回路素子のIC化が容易である。短パルスの採用によって時間方向の拡散利得を稼ぎ電子機器本来の機能として発射される電波との耐干渉、与干渉特性を改善するばかりでなく通信伝送路としてのマルチチャネル化も図ることができる。
UWB通信の本質はきわめてスペクトル密度の低い短パルスを使用することにある。UWBを使用する場合、放射エネルギーの法的な上限はEMIで規制される不要放射レベル程度まで許容されており、免許を要しない無線局の上限よりはるかに(20dB程度)緩い。このため携帯電話のような本来の目的である強い電波を内部で発生するような電子機器においても、十分な通信品質を確保できるリンクバジェットの設定が容易となる。使用するパルスはパルス幅を狭くして波高値を高く設定できるのでプリアンプ512を省略することが可能である。
UWB通信では漏洩する電磁波そのものが極めて微弱なスペクトル密度であり、気づかれないように第三者が傍受することが本質的に困難である。本実施例ではさらに拡散符号が電子機器内部の閉じた空間内で有線により受信側に伝えられるため、拡散符号を第三者が知ることができない。さらに拡散符号はいつでも変更できるのでさらに安全性が高くなる。
本実施例の構成によればコストをほとんど増やさずに高い安全性を保ちながら表示体へのデータ伝送の高速化に伴う従来の様々の問題を回避できる
図6は本発明にかかる電子機器の実施例の要部のブロック図を示す図であり、本発明にかかる情報伝送方式を撮像素子を用いる電子機器に応用した例を示す。撮像素子601は制御回路602から発生される水平同期信号620および垂直同期信号621により起動され撮像した画像データ619を出力する。ロジック回路603はこれらの信号を受けて無線伝送のためのパケットを構築する。該パケットは暗号器604により暗号化され変調器605により変調し送信アンテナ607から電磁波として放射される。
暗号に用いる鍵は鍵発生回路615により発生され、送信側の鍵バッファ回路606および受信側の鍵バッファ回路611に同時に送出される。鍵バッファ回路606と鍵バッファ回路611は送受信双方で同期して暗号器604および複合器613に暗号鍵を出力し複合器613が正しく複合できるよう働く。受信側の鍵バッファ回路611へは鍵発生回路615から有線路623を通って送出される。
前記送信アンテナ607から送信された電磁波信号は無線伝播路(空間)622を通って伝播し受信アンテナ608で受信されプリアンプ609で増幅され、バンドパスフィルタ610により不要な帯域外信号を除去して復調器612により復調される。復調された信号は復号器613により暗号が解かれ直並列変換回路614に送られる。直並列変換回路614は復調された受信パケットの中から画像データ部分を抽出し画素毎に直並列変換を行い画素データを生成する。
ロジック回路616は復調された画素データに合わせてビデオメモリ617に書きこむためのメモリアドレスを発生し直接またはCPU618を介して画像データをビデオメモリ617の該アドレスに書きこむ。CPU618はビデオメモリ617をアクセスし画像データを様々なアプリケーションに使用する。
無線通信路622により伝播する信号が漏洩しこれを第三者が盗聴したとしても暗号がかかっているため第三者が暗号鍵を手に入れない限り伝送データの内容を知ることは非常に困難である。暗号鍵は同一機器内のような至近距離内の有線通信路により有線伝送されているため第三者が暗号鍵を知ることは不可能であり安全性は非常に高い。暗号鍵は有線線路623を通じて常につながっているので、いつでも変更ができる。暗号鍵を頻繁に変更すれば安全性はさらに高まる。
本実施例では鍵発生回路615がデータの送信側におかれているがデータの受信側において通信路623を通って送信側の鍵バッファ回路606に送っても同様の効果が得られる。
上記構成、すなわち撮像素子からのデータ伝送を暗号化し無線伝送することで撮像素子の大型化に伴いより顕在化してきた、消費電力、配線位置の制約、EMI対策、信頼性確保など有線伝送によって生じる種々の問題を安全性を損なうことなく除去できる。
図7は本発明にかかる電子装置のさらに他の実施例の要部を示す概念図である。送信部ブロック712から受信部ブロック713へデータを送信するものとする。701は送信すべき情報を有する回路であり704は前記送信情報を受信する回路である。回路701の発する送信データは秘話回路703により秘話処理を施され変調器702により変調され送信アンテナ710より電磁波として送信される。秘話回路703はまた秘話コードを発生し、秘話コードを重畳回路715により電源線に重畳し電源とともに有線にて受信部ブロックへ信号伝達する。秘話処理は上記実施例で説明したような、乱数の加減算や暗号化、拡散変調などを適用できる。また秘話コードは乱数や暗号鍵、拡散符号に相当する。
前記送信アンテナ710より発せられ空間(無線伝播路708)を伝播する送信データを運ぶ電磁波信号は受信アンテナ711により受信され復調器706により復調され、復号器705へ出力される。復号器705は、電源線に重畳され有線伝送され分離回路714により分離された秘話コードを使用して受信データに課せられた秘話処理をはずし復号して、回路704へ伝達する。秘話コードはデータの受信部ブロック713から送信部ブロック712へ送信されることもありその場合は秘話コードは受信部ブロック713の側で発生され、714が重畳回路、715が分離回路となる。
秘話コードは電源線707に電源とともに重畳され送信部ブロック712、受信部ブロック713の間で送受信される。電源716は送信部ブロック712内のすべての回路に電源供給し、秘話回路703の発する秘話コードは重畳回路715により電源線に重畳される。重畳回路715の内部の詳細を一転鎖線717内に説明する。端子728は電源716に接続され、端子729は電源線707に接続される。秘話回路703より発する秘話コードは端子725からハイパスフィルタ724を通じて電源線707に重畳される。ローパスフィルタ727により重畳された秘話コードの信号は端子728側には漏洩せず、従って送信部ブロック712のすべての回路は正しく作動する。電源線707に重畳された秘話コードは分離回路714により分離され、復号器705に伝えられる。一転鎖線718内に分離回路714の内部を詳述する。端子721は電源線707に接続される。端子721に入った秘話コードの信号はハイパスフィルタ723により分離され端子720より復号器705に伝送される。ローパスフィルタ722は重畳されている秘話コードの情報の漏洩を阻止するので端子719からは電源より供給されるエネルギーのみが伝送され、端子719を通じて受信部ブロック内のすべての回路に正しく電源を供給する。秘話コードが受信部ブロック713の側から送信部ブロック712の側に送られるときは重畳回路712と分離回路714の回路の機能は逆になるが図1に示すようにそれぞれの回路構成は同一でもよい。
このような構成をとることにより無線伝送する信号の安全性を保つために使用する秘話コードは電源線に重畳して伝送されるため最小の配線数で電子機器内の信号のやり取りが可能となり、簡素な方法で信頼性および安全性の高い電子機器を実現することができる。
特にこのような構成を半導体チップ間のデータ伝送に用いると、チップ間の信号は秘話処理を課して無線で行なわれ、秘話処理のための秘話コードは電源線に重畳し伝送されるので、必要な配線は電源だけとなり半導体チップの実装が安全性を損なうことなく極めて容易にできる。
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、例えば電子機器に内蔵するハードディスクドライブなどの記憶装置とCPUとの接続等、幅広い用途に適用できる。
本発明の電子機器の一実施例を示す図。 本発明の電子機器の他の一実施例を示す図。 本発明の電子機器のさらに他の一実施例を示す図。 本発明の電子機器のさらに他の一実施例を示す図。 本発明の電子機器のさらに他の一実施例を示す図。 本発明にかかる実施例5および実施例6を詳述するタイム図。 本発明の電子機器のさらに他の一実施例を示す図。
符号の説明
101,201、301、701:・・・送信情報をもつ回路
104,204、304、704:・・・情報を受信する回路
312:・・・送信部ブロック
313:・・・受信部ブロック
103、105、606:・・・鍵バッファ回路
107、207,307、411、527,623:・・・有線路
108、211、308,526、622、708:・・・無線伝播路
208、303、408、503:・・・液晶コントローラ
102、202,308、400,605、702:・・・変調器
110、210、310、409、510、607、710:・・・送信アンテナ
111、211、311,410、511、608、711:・・・受信アンテナ
106、202、306、402、517、612,706:・・・復調器
112、212、312、712:・・・送信部ブロック
113、213,313、713:・・・受信部ブロック
114:・・・暗号器
115:・・・復号器
116、615:・・・鍵発生回路
214:・・・加算器
215、414:・・・減算器
205、413:・・・乱数発生器
303、508:・・・拡散符号発生器
314、315:・・・拡散符号バッファ回路
505:・・・一次変調器
303,507:・・・拡散変調器
515:・・・逆拡散回路
406、517:・・・液晶表示体
601:・・・撮像素子
703:・・・秘話回路
707:・・・電源線
714:・・・分離回路
715:・・・重畳回路

Claims (7)

  1. 情報を発信する情報発信部、前記情報発信部の情報を暗号化する暗号部と、前記暗号部により暗号化された情報を電磁波信号により送信する無線送信部と、前記無線送信部により送信された電磁波信号を受信する無線受信部と、前記無線受信部で受信した信号を復号する復号部と、暗号鍵を生成する鍵生成部と、前記暗号部および復号部に前記鍵生成部により生成された暗号鍵を有線通信にて配信する有線通信部より構成されることを特徴とする電子機器。
  2. 乱数を生成する乱数生成部と、前記乱数発生部により発生された乱数を有線通信により配信する有線通信部と、情報を発信する情報発信部と、前期情報発信部の発信した情報に前記乱数を加算する加算部と、前記加算部により加算された情報を電磁波信号により送信する無線送信部と、前記無線送信部より送信された電磁波信号を受信する無線受信部と、無線通信部にて受信された情報から前記乱数を減算し復号する減算部より構成されることを特徴とする電子機器。
  3. 拡散符号を生成する拡散符号生成部と、前記拡散符号生成部により発生された拡散符号を有線通信により配信する有線通信部と、情報を発信する情報発信部と、前期情報発信部の発信した情報を前記拡散符号により拡散変調する変調部と、前記変調部により変調された情報を電磁波により送信する無線送信部と、前記電磁波信号を受信する無線受信部と、前記無線受信部にて受信された情報を前記拡散符号により逆拡散する復調部にて構成されることを特徴とする電子機器。
  4. 請求項3おいて、
    前記変調部はUWB信号への変調を行い、前記復調部はUWB信号からの復調を行うことを特徴とする電子機器。
  5. 請求項1ないし4のいずれかおいて、
    記憶部と、前記記憶部に記憶された情報を表示する表示体と、前記表示体の駆動順序に合わせて前記記憶部から前記情報を読出し出力する表示制御部と、前記表示制御部が読み出した前記情報に基づき前記表示体を駆動する表示体駆動部とを備えることを特徴とする電子機器。
  6. 請求項1ないし4のいずれかおいて、
    撮像素子と、前記撮像素子が撮影した画像信号を読み出し出力する撮像制御手段とを備えることを特徴とする電子機器。
  7. 請求項1乃至7のいずれかにおいて
    有線通信部は電源線に信号を重畳し通信することを特徴とする電子機器。
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