JP2005221153A - 熱分解反応用鋼管 - Google Patents

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淳一 樋口
Kenji Hamaogi
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Abstract

【課題】外面から加える熱を効率よく鋼管内面に伝達できて熱分解反応を促進させ得るとともに、鋼管出口における圧力損失が小さく、しかもコーキングによるリブ頂部の剥離損傷が少なくデコーキング作業の頻度を小さくすることが可能な熱分解反応用鋼管の提供。
【解決手段】管内周面に管の長手方向に延びる複数条のリブ1が管本体と一体に成形された熱分解反応用鋼管であって、前記のリブ1は、その横断面形状が二等辺三角形状で、その頂角部分が凸状の円弧面または実質的に平滑な平面であり、その長手方向に任意の角度で頂部に向かって互いに逆方向に開脚する流体供給方向の上流側傾斜面3aと下流側傾斜面3bおよび管の軸心線に対して平行な任意の幅の底面3cを有する凹部3が任意の間隔をおいて形成されている熱分解反応用鋼管。
【選択図】図3

Description

本発明は、管の内周面に管軸方向に延びる複数条のリブを有し、高い熱交換性を具備する熱分解反応用鋼管、より詳しくは、例えば管内部の炭化水素類に管外面から加えられる熱によって熱分解反応を起こさせてオレフイン(Cn2n)を得るのに使用するのに好適な熱分解反応用鋼管に関する。
エチレン(C24)等のオレフイン(Cn2n)は、炭化水素類(ナフサ、天然ガス、エタン等)を熱分解することにより製造される。具体的には、反応炉内に配管された25Cr−25Ni系や25Cr−38Ni系に代表される高Cr−高Ni合金、あるいはSUS304等に代表されるステンレス鋼からなる鋼管の内部に炭化水素類を水蒸気とともに供給し、鋼管外面から熱を加えることにより、鋼管内面で炭化水素類を熱分解反応させてオレフイン系炭化水素類(エチレン、プロピレン等)を得る。
したがって、炭化水素類を未反応のまま反応炉外に排出させないためには、鋼管外面から加えられる熱を効率よく鋼管内面に伝達させることが必要となる。また、鋼管の内部に供給される炭化水素類と水蒸気との混合ガスは、高い圧力で鋼管入口から供給されるが、混合ガスと反応後のガスは反応炉内で鋼管入口から鋼管出口まで長い距離を移動するため、鋼管出口でのガス圧の低下は避けられない。管内のガス流れを円滑にするには、鋼管入口で高い圧力をかければよいが、おのずと限界があるだけでなく、供給能力の高いポンプが必要で設備費が嵩みコストアップを招く。このため、鋼管は管内面での圧力損失が小さいものほどよい。
一方、上記のような熱分解反応用鋼管では、熱分解反応に伴って不可避的に炭素が生成し、この炭素が鋼管内面に付着し堆積する。これは、コーキングと称される現象である。コーキングが起こると、内面に付着して堆積した炭素が鋼管外面より加えられる熱の混合ガスへの伝達を妨げ、熱分解反応効率が低下する。また、付着、堆積した炭素が鋼管内部に拡散し、いわゆる浸炭を引き起こして鋼管を脆化させ、浸炭部分からの損傷を招く。さらに、付着、堆積した炭素が剥離して鋼管内に堆積すると、ガス流れが阻止されて熱分解反応が妨げられるだけでなく、上記の損傷を招き、堆積が著しい場合には爆発等の重大事故の原因となる。
このため、実操業では、定期的に付着した炭素を除去するデコーキングと称される作業が行われるが、デコーキング作業には反応炉の運転休止が必要であるため、生産性低下の要因の一つとなる。熱分解反応用としての鋼管については、以上のようなことを考慮の上、鋼管設計を行うことが必要である。
特許文献1、2、3および4には、以下に述べるような鋼管が提案されている。すなわち、特許文献1および2に示される鋼管は、横断面形状が二等辺三角形で、その頂角部分が凸状の円弧面であり、高さが数mmから十数mmの管の長手方向に連続する複数条の螺旋状リブを管内面に管本体と一体に形成した鋼管である。
また、特許文献3および4に示される鋼管は、上記と同様の横断面形状と高さを有する肉盛溶接リブを管の内面に種々の形態で設けた鋼管である。このような鋼管によれば、混合ガスの反応サイトである内表面積が大きく、リブによってガス流れに乱流が生じるので熱分解反応が促進される。
しかし、特許文献1〜4に示される鋼管のうち、リブが管の長手方向に連続しているものは、リブによる乱流発生効果が小さく、管中心部の混合ガスの管内面に対する接触頻度が不十分で熱分解反応の促進程度が十分でなく、より高い収率を達成する上で問題があった。
また、特許文献3および4に示される鋼管のうち、リブが分断されているものは、リブによる乱流発生効果が大きく、管中心部の混合ガスの管内面に対する接触頻度が十分で熱分解反応の促進程度は大きいものの、リブの分断面が管内面に対して実質的に垂直なために圧力損失が大きく、大容量のポンプが必要になるという問題があった。さらに、特許文献3および4に示される溶接によってリブを形成した鋼管では、溶接接合部を滑らかにすることができないので、その部分にコーキングが発生しやすい。
なお、内部の流体に乱流を生じさせて熱伝導効率を高めるようにした伝熱管としては、例えば特許文献5〜7に示されるように、内径に対する比が0.05以下で、深さの絶対値が0.5mm以下の溝を多数形成し、溝間に高さが溝の深さと同じ突起(前記のリブに相当)を種々の配設形態で形成させた銅もしくは銅合金またはアルミニウムもしくはアルミニウム合金からなる、いわゆる内面溝付管と称される管がある。
しかし、上記の内面溝付管は、特許文献5〜7に記載されているように、管内部の流体が冷媒で、冷凍機や空気調和装置等における蒸発器や凝縮器用として開発されたものであり、炭化水素類の熱分解反応用として利用できない。その理由は、材料自体が炭化水素類の熱分解環境に適さないだけでなく、材料を炭化水素類の熱分解環境に適するものに置換したとしても、溝の深さが浅すぎるためにコーキングによって溝が早期に埋まってしまい、頻繁なデコーキング作業が必要で、商業的に成り立たないからである。また、仮に頻繁なデコーキング作業を行うことを前提に使用するとしても、突起の体積が小さすぎるため、浸炭により突起が早期に脆化して剥離損傷してしまう。特に、特許文献5および6に示される内面溝付管のように、突起の頂部が尖っているものは、頂部の剥離損傷が著しく、使用に耐えない。
特開昭58−173022号公報
特開平1−127896号公報 特開平6−109392号公報 特開平9−243284号公報 特開平9−94612号公報 特開平10−103887号公報 特開2000−283680号公報
本発明は、上記の実状に鑑みてなされたもので、反応サイトである管内表面に対する管軸心部分の未反応ガスの接触頻度を大きくして熱分解反応を促進させ得るとともに、鋼管出口における圧力損失が小さく、しかもコーキングによるリブ頂部の剥離損傷の恐れが小さくて、デコーキング作業の頻度を少なくすることが可能な熱分解反応用鋼管を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、反応サイトである管内表面に対する管軸心部分の未反応ガスの接触頻度を大きくして熱分解反応を促進させることができて、しかも鋼管出口における圧力損失が小さく、かつデコーキング作業の頻度を少なくし得る熱分解反応用鋼管を得るべく種々検討し、次のことを知見した。
(A)熱分解反応用鋼管では、前述したように、乱流により反応サイトである管内表面に対する管軸心部分の未反応ガスの接触頻度が大きくて、熱分解反応効率が高いことが必要である。さらに、コーキングに起因する浸炭に伴う鋼管内面、中でもリブ頂部の剥離損傷、および鋼管出口での圧力損失を考慮する必要がある。
(B)コーキングとこれに伴う浸炭によって鋼管内面、特にリブの頂部が剥離損傷しないためには、リブの横断面形状は、特許文献1〜4に示されるのと同様に二等辺三角形状で、その頂角部分が凸状の円弧面または実質的に平滑な平面を有する形状にする必要がある。
(C)反応サイトである管内表面に対する管軸心部分の未反応ガスの接触頻度を大きくするためには、特許文献3および4に示されるのと同様に、管の長手方向に連続して設けられたリブに所定の間隔を置いて、管軸心に平行な底面を有する凹部を設ける必要がある。
(D)しかし、凹部の両側面を管軸心に対して垂直な面にすると鋼管出口での圧力損失が大きくなるので、凹部の両側面は、いずれもリブの頂部に向かって互いに逆方向に開脚した傾斜面にする必要がある。
以上の知見に基づく本発明の要旨は、下記(1)から(4)までの特徴を持つ熱分解反応用鋼管にある。
(1)管内周面に管の長手方向に延びる複数条のリブが管本体と一体に成形された熱分解反応用鋼管であること。
(2)上記のリブは、その横断面形状が二等辺三角形状で、その頂角部分が凸状の円弧面または実質的に平滑な平面であること。
(3)上記のリブには、管の長手方向に任意の角度で上記リブの頂部に向かって互いに逆方向に開脚する流体供給方向の上流側傾斜面と下流側傾斜面を有し、かつ管の軸心線に対して平行な任意の幅の底面を有する凹部が設けられていること。
(4)上記の凹部は、任意の間隔をおいて形成されていること。
上記本発明の熱分解反応用鋼管を構成する凹部は、下記の(a)〜(f)のうちの少なくとも1つを満たすものであることが望ましい。
(a)深さd(mm)がリブの高さh(mm)の0.4倍以上、即ち、d/hが0.4以上であること。
(b)上流側傾斜面の開脚角度θ1が40〜70°、下流側傾斜面の開脚角度θ2が45°以下であること。
(c)底面の幅Wが5〜20mmであること。
(d)配設ピッチPが50〜200mmであること。
(e)複数条のリブが螺旋状であること。
(f)上記(e)の螺旋状リブの傾斜角度φが10〜60゜であること。
本発明の熱分解反応用鋼管は、リブの頂部が凸状の円弧面または実質的に平滑な平面である。従って、コーキングにより浸炭が発生してもリブの頂部が損傷しにくい。また、リブには、管の長手方向に底面を有する凹部が設けられているので、乱流発生効果が大きく、管軸心部を流れる流体の管内面に対する接触頻度が大きいために熱分解反応効率が高い。さらに、凹部を形成する両側面がリブの頂部に向かって互いに逆方向に開脚する傾斜面とされているので、管の長手方向への流体流れが円滑であり、鋼管出口における圧力損失が小さい。このため、本発明の熱分解反応用鋼管によれば、少ないエネルギーでエチレン等のオレフインの収率を高めることができる。また、本発明の鋼管は、耐コーキングに性にも優れるので、製造装置自体の稼働率をも向上させることができる。
以下、図面に基づいて本発明の熱分解反応用鋼管について説明する。図1は本発明の熱分解反応用鋼管の一例を示す横断面、図2は本発明の熱分解反応用鋼管の他の一例を示す横断面、図3は図1のA−A線矢視縦断面図であるとともに図2のB−B線矢視縦断面図であり、図4は図1に示す熱分解反応用鋼管の場合における管内面の周方向展開図、図5は図1に示す熱分解反応用鋼管の他の場合における管内面の周方向展開図である。
図1および図2には、鋼管の内面に高さhのリブ1を8条有するものを示してある。そのリブは、全体的な形状が二等辺三角形状で、頂部の形状が実質的に平滑な平面(図1参照)、または凸状の円弧面(図2参照)の横断面形状を持っている。これらのリブ1は周方向に等間隔に管本体と一体に成形されており、隣り合うリブの間には谷部2が形成されている。なお、ここでは、リブ1が8条のものが示されているが、その数に制限はなく、例えば2〜24条であってもよい。
図4および図5に示すように、リブ1と谷部2は管の長手方向全長にわたって形成されている。図3に示すとおり、リブ1には幅W、深さdの管の軸心線に平行な底面3c、白抜き矢印で示される内部流体である炭化水素類(ナフサ、天然ガス、エタン等)の流れ方向の上流側に位置する開脚角度θ1の上流側傾斜面3a、および下流側に位置する開脚角度θ2の下流側傾斜面3bとで構成される凹部3が所定のピッチPで形成されている。なお、図1および図2中の符号Doは外径、Diは谷底内径、Dmはリブ山内径、tは管肉厚(谷底部肉厚)である。
上記のように、リブ1に凹部3を設けると、管内面の表面積が減少する。従って、表面積に係る熱伝達効率は低下するが、谷部2を流れる流体が凹部3を通って隣の谷部2に流入してリブ1による乱流発生効果が増大し、管の軸心部分を流れる流体の管内面に対する接触頻度が表面積減少に伴う熱伝達効率低下を補って余りあるほどに増し、結果として熱分解効率が向上する。また、凹部3はその両側の面がリブ1の頂部に向かって互いに逆向きに開脚する傾斜面3a、3bとなっているので、図3に白抜き矢印で示される方向への流体流れが円滑に行われ、鋼管出口における圧力損失が小さくなる。
ここで、外径Do、管肉厚t、リブ1の高さh、リブ1の条数、並びに凹部の深さd、幅W、上流側開脚角度θ1、下流側開脚角度θ2およびピッチP等は、要求される熱分解効率や許容できる鋼管出口の圧力損失の程度に応じて適宜設定すればよい。しかし、凹部の各部の寸法とリブ1の形成態様は、前述した(a)〜(f)の条件を満たすようにするのが望ましい。理由は次のとおりである。
(a)凹部の深さd:
凹部による乱流発生効果はその深さdが深いほど大きくなり、深さdがリブ1の高さhの0.4倍以上の場合にその効果が極めて大きくなる。このため、凹部の深さdはリブ1の高さhの0.4倍以上とするのが望ましい。より望ましいのは0.5倍以上である。なお、上限は特に制限されない。しかし、管肉厚tの保証、表面積減少による熱交換特性の低下との相互バランス、および後述する方法による実際の製造を考慮すると、dの上限はhの1倍未満とするのが望ましい。一層好ましいのは0.9倍以下である。
(b)凹部の上流側傾斜面3aの開脚角度θ1と下流側傾斜面3bの開脚角度θ2
上流側傾斜面3aの開脚角度θ1は、40〜70°とするのが望ましい。傾斜面3aおよび3bともに、その開脚角度θ1が70゜を超えると、鋼管内を流れる流体に十分な乱流強度を与えることができず、十分な効果が期待できない。一方、40゜未満であると、凹部内において過剰な循環流が発生し、過大な圧力損失を招くとともに、コーキング発生の面からも好ましくない。より望ましいのは45〜60゜、さらに望ましいのは50〜55゜である。
下流側傾斜面3bの開脚角度θ2は、45°以下とするのが望ましい。より望ましいのは30°以下である。これは、開脚角度θ1が開脚角度θ2よりも小さいと、凹部内における過剰な循環流がより生じやすくなり、コーキングの発生と圧力損失が起きる傾向にあるのからである。すなわち、開脚角度θ2は、開脚角度θ1と同程度か、より小さくするのが望ましいのである。なお、開脚角度θ2の下限は10°が望ましい。
(c)凹部の底面の幅W:
凹部が2つの傾斜面3aおよび3bのみで形成された底面を有しないV字状の場合には、当該位置での局所的な流れの変化が大きく、圧力損失の増大を招くだけで乱流発生効果が小さい。しかし、2つの傾斜面3aと3bとの間に管の軸心線に対して平行な底面3cを有する凹部にすると、谷部2を流れる流体が鋼管の軸心部に円滑に移動でき、圧力損失の増大が抑制されるだけでなく乱流発生効果も大きくなる。そのためには、凹部の幅Wは5mm以上とするのが望ましい。鋼管の内外径などのスペックに応じて設計すればよいが、あまり広くしすぎると内表面積が減少し、結果として伝熱効率が低下するので、その上限は20mmとするのが望ましい。
(d)凹部の配設ピッチP:
凹部の配設ピッチPが大きいと、それだけ凹部の数も少なくなり、大きな乱流発生効果は期待できない。このため、配設ピッチPは狭い方がよく、200mm以下とするのが望ましい。より好ましいのは100mm以下である。しかし、あまり狭くしすぎると、内表面積が減少して伝熱効率が低下するだけでなく、圧力損失も大きくなるので、下限は50mmとするのが望ましい。
(e)複数条のリブの形成態様とリブに対する凹部の形成態様:
複数条のリブ1は、図4に示すように、管軸心に対して平行であってもよい。しかし、乱流発生効果をより高めるためには、図5に示すように、管軸心に対して傾斜角度φで傾いていること、即ち、螺旋状であることが望ましい。そして、その傾斜角度φは10°〜60°が望ましい。
以上に説明した本発明の熱分解反応用鋼管は、次のようにして製造することができる。すなわち、リブ1が管の軸心線に対して平行な製品は、その外周面に谷部2に対応する山部とリブ1に対応する谷部とが軸心線と平行な状態で形成されたマンドレルを備えた熱間押出製管プレス、またはその外周面に前記と同様の山部と谷部とが軸心線と平行な状態で形成されたプラグを備えた冷間引抜き製管機により、高さhが管長手方向で同一の内面ストレートリブ付き管を製造し、この内面ストレートリブ付き管のリブ1に後述するいずれかの手段により凹部3を形成する。
一方、リブ1が管の軸心線に対して傾斜角度φで傾いている製品は、上記の内面ストレートリブ付き管に捩り加工を加えるか、またはその外周面に谷部2に対応する山部とリブ1に対応する谷部とが螺旋状に形成されたプラグを備えた冷間引抜き製管機により、高さhが管長手方向で同一の内面螺旋リブ付き管を製造し、この内面螺旋リブ付き管のリブ1に次に述べるいずれかの手段により凹部3を形成する。
凹部3の成形は、製品管が短い場合には切削法によってもよいが、次の方法による方が効率的である。すなわち、その方法は、外径がリブ山内径Dmと等しく、その外周面に高さが深さdと等しく、頂部が実質的に平滑で、かつ一方の側面が開脚角度θ1、他方の側面が開脚角度θ2と等しい傾斜面に成形された螺旋状突起を有するプラグを備えた冷間引抜き製管機によって成形する方法である。この方法による場合、凹部の配設ピッチPは、前記螺旋状突起のプラグの軸心線に対する傾斜角度、言い換えれば、螺旋角度によって決まる。
リブ1と谷部2の形状が図1および図6に示す形状であり、リブ1が図5に示すように管の軸心線に対して傾斜角度φで傾いており、かつリブ1に図3に示す凹部3が形成され、各部の寸法が表1と表2に示す値の熱分解反応用鋼管を準備し、シミュレーションを行った。
Figure 2005221153
Figure 2005221153
シミュレーションでは、熱分解反応を考慮することなく表3に示す条件のもとに、市販のFEM解析プログラムを利用して、鋼管内部の流体に関する質量保存の式、運動量保存の式、エネルギー保存の式、および化学種の輸送方程式を連立させ、3次元熱流動解析モデルにより鋼管内部の流動と伝熱挙動を評価し、管内の有効粘性係数(×10-3Pa・s)、言い換えれば有効熱伝導度または有効拡散係数を計算した。なお、このとき、乱流の影響を考慮するため、乱流モデルを利用した。
Figure 2005221153
ここで、有効粘性係数(有効熱伝導度または有効拡散係数)とは、乱流に起因する運動量、エネルギーまたは物質の移動を示す係数であり、熱伝達効率と撹拌効率に寄与する係数であることから、この係数を調査することによって熱伝達と撹拌の総合的な評価が可能である。この係数が大きいほど、伝熱効率が向上するとともに、内部流体の撹拌効率が向上する。撹拌効率の向上は、反応の面から見ると、ナフサや天然ガス、さらにはエタン等の炭化水素類と水蒸気との混合ガスである原料ガスとエチレン等のオレフインである反応生成ガスの移動が活発になり、原料の反応サイトへの移動が容易になるため、反応が促進されることを意味する。
図7から図10までは、解析結果の一例を示す図で、図7は凹部3の深さdと有効粘性係数との関係を示す図、図8は凹部3の底面3cの幅Wを広げた場合における深さdと有効粘性係数との関係を示す図、図9は凹部3の配設ピッチPと鋼管出口における平均温度との関係を示す図、図10は凹部3の配設ピッチPと鋼管出口における平均温度偏差との関係を示す図である。
図7および図8から明らかなように、リブ1に凹部3を形成したものは凹部3を形成しないものに比べて有効粘性係数が大きい。その有効粘性係数は凹部3の深さdが深いほど大きく、乱流促進効果が優れており、熱分解反応用鋼管としてより好ましい特性を有していることがわかる。また、図7と図8の対比から明らかなように、凹部3の配設ピッチPが狭い方が、即ち、Wが小さい方が、有効粘性係数が高い傾向にあり、熱分解反応用鋼管として、より好ましい特性を有していることがわかる。
なお、図7および図8において、鋼管入口から1m程度入った位置で有効粘性係数が最小となっているのは、リブ1を形成した解析領域に十分に発達した乱流を入口境界条件として与えるために、この領域にはリブを形成せず、かつ加熱なしの助走区間1mを設けたためである。
図9から明らかなように、鋼管出口における平均温度は、凹部3の配設ピッチPが狭い方が高い。また、図10から明らかなように、鋼管出口における平均温度偏差は、凹部3の配設ピッチPが狭い方が小さい。ここで、鋼管出口における平均温度が高いということは、鋼管外面から加えられた熱が効率よく伝熱していることを意味している。また、鋼管出口における平均温度偏差が小さいということは、均一に温度が分布していること、言い換えれば、平均温度偏差の値が大きいほど、鋼管の中心部は冷たく内面近傍のみが局所的に加熱された状態にあることを意味する。すなわち、図9および図10から、凹部3の配設ピッチPは200mm以下とするのが望ましいことがわかる。より好ましいのは100mm以下である。
なお、図10の縦軸の値は、鋼管出口における平均温度をTmean(K)、同一断面上の任意の位置の温度をTlocal(K)とした場合、下記の(1)式により求められる値△Tである。
△T=1/S ∫s √(Tlocal−Tmeands ・・・(1)
リブ1と谷部2の形状が図1および図6に示す形状であり、リブ1が図5に示すように管の軸心線に対して傾斜角度φで傾いており、かつリブ1に図3に示す凹部3が形成された、各部の寸法が表4と表5に示す値の熱分解反応用鋼管を想定し、上記実施例1と同様にシミュレーションを行った。
Figure 2005221153
Figure 2005221153
まず、凹部の下流側傾斜面3bの開脚角度θ2を45°に固定し、上流側傾斜面3aの開脚角度θ1を20〜70°に変化させて、出口における有効粘性係数と圧力降下量を調べた。有効粘性係数は、前述のとおりのものであり、また、圧力降下量とは、凹部を一つ含む50mmの間の圧力減少量(上流と下流の圧力差)である。圧力降下量は、高いほど好ましい。ガス輸送のための供給能力の高いポンプの必要がなくなるか、または、ポンプを設置するにしても、供給能力の高いポンプである必要なくなり、設備費コストを下げることができるからである。
図11は、上流側傾斜面3aの開脚角度θ1と有効粘性係数との関係を示す図である。図12は、上流側傾斜面3aの開脚角度θ1と圧力降下量との関係を示す図である。
図11から明らかなように、有効粘性係数は開脚角度θ1が40〜70°で高くなる。望ましいの45〜60°である。また、図12に示すように、圧力降下量は開脚角度θ1が50°近傍で最大値をとる。従って、開脚角度θ1は、50〜55°がより望ましい。
次に、凹部の上流側傾斜面3aの開脚角度θ1を45°に固定し、下流側傾斜面3bの開脚角度θ2を20〜70°に変化させ、同様の調査をした。
図13は、下流側傾斜面3bの開脚角度θ2と有効粘性係数との関係を示す図である。図14は、下流側傾斜面3bの開脚角度θ2と圧力降下量との関係を示す図である。
図13に示すように、有効粘性係数は、開脚角度θ2が45°以下で高くなる。より望ましいのは30°以下である。また、図14に示す圧力降下量からも、開脚角度θ2は小さな方が好ましいことがわかる。
リブ1と谷部2の形状が図2に示す形状であり、リブ1が図5に示すように管の軸心線に対して傾斜角度φで傾いており、かつリブ1に図2に示す凹部が形成された各部の寸法が表6に示す値の熱分解反応用鋼管を製造した。
Figure 2005221153
製造した熱分解反応用鋼管を実機の反応炉に組み込み、ナフサと水蒸気との混合ガスを原料ガスとするエチレンの製造に供した。その結果、効率よく熱分解反応を進めることができ、凹部を有しない従来の熱分解反応用鋼管に比べて、熱伝達効率の向上が顕著であった。
本発明の熱分解反応用鋼管は、少ないエネルギーでエチレン等のオレフインの収率を高め得るだけでなく、耐コーキング性にも優れるので、製造装置自体の稼働率をも向上させることができる。本発明の鋼管は、エチレン等のオレフインの製造に限らず、熱伝導性が高いことと圧力損失が小さいこと等が要求されるあらゆる熱分解反応用鋼管として利用できる。
本発明の熱分解反応用鋼管の一例を示す横断面である。 本発明の熱分解反応用鋼管の他の一例を示す横断面である。 図1のA−A線矢視縦断面図であるとともに図2のB−B線矢視縦断面図である。 図1の熱分解反応用鋼管の場合における管内面の周方向展開図である。 図1の熱分解反応用鋼管の他の場合における管内面の周方向展開図である。 実施例の熱分解反応用鋼管の細部形状と寸法の説明図である。 深さdと有効粘性係数との関係を示す図である。 幅Wを広げた場合の深さdと有効粘性係数との関係を示す図である。 ピッチPと鋼管出口における平均温度との関係を示す図である。 ピッチPと鋼管出口における平均温度偏差との関係を示す図である。 上流側傾斜面3aの開脚角度θ1と有効粘性係数との関係を示す図である。 上流側傾斜面3aの開脚角度θ1と圧力降下量との関係を示す図である。 下流側傾斜面3bの開脚角度θ2と有効粘性係数との関係を示す図である。 下流側傾斜面3bの開脚角度θ2と圧力降下量との関係を示す図である。
符号の説明
1 リブ
2 谷部
3 凹部
3a 上流側傾斜面
3b 下流側傾斜面
3c 底面

Claims (8)

  1. 管内周面に管の長手方向に延びる複数条のリブが管本体と一体に成形された熱分解反応用鋼管であって、上記のリブは、その横断面形状が二等辺三角形状で、その頂角部分が凸状の円弧面または実質的に平滑な平面であり、上記のリブには、管の長手方向に任意の角度で上記のリブの頂部に向かって互いに逆方向に開脚する流体供給方向の上流側傾斜面と下流側傾斜面を有し、かつ、管の軸心線に対して平行な任意の幅の底面を有する凹部が任意の間隔をおいて形成されていることを特徴とする熱分解反応用鋼管。
  2. 凹部の深さd(mm)とリブの高さh(mm)との比、すなわちd/hが0.4以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱分解反応用鋼管。
  3. 凹部の上流側傾斜面の開脚角度θ1が40〜70゜であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱分解反応用鋼管。
  4. 凹部の下流側傾斜面の開脚角度θ2が45°以下であることを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の熱分解反応用鋼管。
  5. 凹部の底面幅Wが5〜20mmであることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の熱分解反応用鋼管。
  6. 凹部の配設ピッチPが50〜200mmであることを特徴とする請求項1から5までのいずれかに記載の熱分解反応用鋼管。
  7. 複数条のリブが螺旋状であることを特徴とする請求項1から6までのいずれかに記載の熱分解反応用鋼管。
  8. リブの傾斜角度φが10〜60゜であることを特徴とする請求項7に記載の熱分解反応用鋼管。
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