JP2005220706A - 波緩衝体及びそれを用いた波緩衝装置 - Google Patents

波緩衝体及びそれを用いた波緩衝装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 港口や港内に設置することによって、進行波、特に大時化時に生じるような長周期波の流れを緩和し、湾内の静穏度の向上を図ることのできる波緩衝体、及びそれを用いた波緩衝装置を提供すること。
【解決手段】 波緩衝体1は、複数個の波緩衝部材が連結されてなり、可撓性及び透水性を有し、海中に吊り下げて用いられる。波緩衝装置は、波緩衝体1と、海上に浮かんで、該波緩衝体1を海中に吊り下げた状態に保持可能な浮体2とからなる。
【選択図】 図1




Description

本発明は、波緩衝体及びそれを用いた波緩衝装置に関する。
外洋に面している港は、台風等の襲来を受けると、その港口から侵入する大波が激しい流れとなって港内の奥まで進入する。そのような場合には、船舶を港内に係留することができない。
即ち、大時化時に港口から侵入する高波は、波の谷から山までの海水が一塊のうねりとなって港内に押し寄せ、特に、水平力の強い大波が連続して襲来すると、大きな水魂は相乗して、増幅しながら力を増して、港ロ一帯の水位を押し上げ港内に進入する。この押し上げられた上昇水は、回折しながら津波のようなうねりとなり、港内の水位の低い方に大河の様な底うねりとなって流れ込み、波力と水位の力の均衡する所まで進入すると停止する。次に、波高の低い寄せ波や大きな引き波に変わると、港口の水位のバランスが崩れ、港内の海水は、港口から港外に向かって一気に排出される。このような力の強い流れはしばらく止まらないで一方向に流れ出るため、港内を移動する長周期波は、複雑な流れとなって時化が収まるまで、出たり入ったりを繰り返えす。そして、このような波の影響範囲に係留している船舶は、流れが変化する都度、激しく横移動し、係留ロープに大きな張力が働くため、港内に係留出来ない。
そのため、大時化時には、大型船を危険を冒して港外に避難させることが行われているが、これが、船舶の走錨による座礁や転覆、これに伴う油の流出事故等の原因となることが多い。
港内の静穏度を高めて安全な港にするためには、防波堤を二重三重に設けることが考えられるが、防波堤のような構造物は、波浪で流失しない様に海底から頑丈に築造されるため、断面も比較的大きく、その分費用も嵩むため、早急な整備は困難である。
押し寄せる波を静める手段として、海上に浮かばせた状態で用いられる浮消波堤が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このような浮消波堤は、比較的小さな波を静めることができるが、大時化時に生じるような激しい流れを緩和する効果は期待できない。
特開2002−339332号公報
従って、本発明の目的は、港口や港内に設置することによって、進行波、特に大時化時に生じるような長周期波の流れを緩和し、湾内の静穏度の向上を図ることのできる波緩衝体、及びそれを用いた波緩衝装置を提供することにある。
本発明は、複数個の波緩衝部材が連結されてなり、可撓性及び透水性を有し、海中に吊り下げて用いられる波緩衝体を提供することにより、上記の目的を達成したものである。
また、本発明は、上記の波緩衝体と、海上に浮かんで、該波緩衝体を海中に吊り下げた状態に保持可能な浮体とからなる波緩衝装置を提供することにより、上記の目的を達成したものである。
本発明の波緩衝体によれば、港口や港内に、海中に吊り下げた状態に設置することによって、進行波、特に大時化時に生じるような長周期波の流れを効果的に緩和することができ、湾内の静穏度の向上を図ることができる。
本発明の波緩衝装置によれば、港口や港内に設置することによって、進行波、特に大時化時に生じるような長周期波の流れを効果的に緩和することができ、湾内の静穏度の向上を図ることができる。
本発明の波緩衝体及び波緩衝装置は、防波堤等の、海底から築造する構造物に比較して製造及び設置コストが格段に低い。
以下、本発明を好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の一実施形態としての波緩衝体10は、図1及び図2に示すように、連結された複数個の波緩衝部材11からなり、可撓性及び透水性を有し、海中に吊り下げて用いられる。
波緩衝体10は、可撓性を有している。
波緩衝体10は、海中に吊り下げたときに自重により垂直方向の張力を生じる。可撓性を有することによって、垂直方向の張力から、進行波に対する抵抗力が生じ、その抵抗力で波力に抵抗して、波力を減衰させることができる。
波緩衝体10の可撓性は、個々の波緩衝部材11が撓むことを意味するものではなく、複数個の波緩衝部材11からなる波緩衝体10を全体として見たときの可撓性を有していれば良い。
本実施形態の波緩衝体10においては、波緩衝部材11同士を、チェーン等の可撓性又は屈曲性の連結部材13を用いて連結することにより、波緩衝体10に可撓性を持たせている。可撓性又は屈曲性の連結部材としては、チェーンの他、ロープ、金属製のフック等を挙げることができる。
チェーンを用いた連結は、例えば、隣接する波緩衝部材それぞれに、一部が埋没し他の一部が露出するようにチェーンを固定しておき、チェーンの露出した部分同士をシャックル等の開環可能な環状部材で連結する。波緩衝部材同士の連結方法としては、隣接する波緩衝部材それぞれに鉄筋等でループ状の係合部を形成しておき、両波緩衝部材の係合部同士を、シャックル等の開環可能な環状部材や該環状部材とチェーン等との組合せにより連結することもできる。また、隣接する波緩衝部材それぞれに連結用の貫通孔を直接形成し、両貫通孔にチェーンやワイヤー等を挿通して両者を連結することもできる。
波緩衝体10は、海中、特に湾口や湾内の波や流れが進行するところに吊り下げて用いられる。波力は、海の深部より表層付近が大きく、その表層付近の波は、波緩衝体10の比較的海面に近い部分を押しながら、波緩衝体10を通過する。波緩衝体10は、波緩衝部材11がチェーン等の可撓性又は屈曲性の連結部材13で連結されており、可撓性を有するため、波の流れが、波緩衝体10を通過する際には、図2に示すように、波緩衝体10の上部が波に押されて撓んだ状態となる。そして、波の通過後に波力が抜けると、自重で下方に引張力が働き、これにより波緩衝体10は、ほぼ垂直に戻り次の波力に抵抗する。
他方、極端に大きな異常波力が働いた場合には、波の流れの一部が波緩衝体10の緩衝面の上端から下端に向かって波緩衝体10に沿って流れ、その下端を凧の帯のように押し上げたような状態で下から抜けていくので、波緩衝体10や、それを吊るす浮体2その他の構造体、浮体2を海上の所定の位置に係留する係留手段3等(以下、波緩衝体10等ともいう)の破損を防止することができる。
また、波緩衝体10は、透水性を有している。
透水性を有することにより、波緩衝体10に当たる進行波をある程度透過させることができるため、波緩衝体10等の破損を防止することができる。特に、浮体2を用いた場合に透水性がないと、浮体2を海上の所定の位置に係留するロープ32等に過大な張力がかかり、ロープ32が切れる等、係留手段3による係留が困難となる。
波力から波緩衝体10等の破損を防止する観点から、波緩衝体10の透水部分の割合は10〜90%であることが好ましく、より好ましくは10〜50%であり、特に好ましくは10〜30%である。
波緩衝体10の透水部分の割合(%)は、波緩衝体10の何れか一方の面における、波緩衝部材間の隙間や波緩衝部材の透水孔などの透水部分の合計面積をaとし、その透水部分の面積を含む前記面の全体の面積をbとしたときに、透水部分の割合(%)=(a/b)×100で求められる。尚、波緩衝体10の一方の面と他方の面とで透水部分の割合の算出値が異なる場合、少なくとも一方の面から算出した透水部分の割合が上述した各範囲内であれば良い。
本実施形態の波緩衝体10においては、図1及び図2に示すように、海の深さ方向及び水平方向のそれぞれに波緩衝部材11が連結されている。波緩衝部材11は、面的に連結されている。
水平方向に連結された波緩衝部材11同士の連結部も、上下方向の連結部と同様に、チェーン等の可撓性又は屈曲性の連結部材14で連結されている。
上述した透水部分の割合(%)は、連結部材13や14の長さや、波緩衝部材11に設ける透水孔12の大きさを適宜に変更することにより調節することができる。
海の深さ方向における、波緩衝部材11の連結数は、波緩衝体10を設置する海の深さ、個々の波緩衝体10の海の深さ方向の長さ(以下、垂直方向の高さともいう)等に応じて適宜に決定できるが、3〜50個程度であることが好ましく、より好ましくは5〜30個であり、特に好ましくは10〜20個程度である。
波緩衝部材11は、垂直方向の高さが大きくなりすぎると、波力が強く働きすぎて破損し易くなるため、波緩衝部材11の大きさ、特に波緩衝部材の垂直方向の高さは比較的小さいことが好ましい。また、波緩衝部材11が小さい方が波緩衝体10の可撓性を高めることができるので好ましい。このような観点から、波緩衝部材11の垂直方向の高さT(図1参照)は10〜300cm程度であることが好ましく、30〜100cm程度であることがより好ましい。
図3に示す波緩衝体10’及び波緩衝装置1’は、波緩衝部材として、断面略正方形状の角棒状の波緩衝部材11Aを用いたものであり、波緩衝部材11Aがスペーサ19を介して多数連結されてなる。角棒状の波緩衝部材11Aに代えて、円形等、任意の断面形状の棒状の波緩衝部材を用いることもできる。
水平方向における、波緩衝部材11の連結数は、波緩衝体10の水平方向の全長をどの程度にするかや、波緩衝部材11の同方向の長さ等に応じて、適宜に決定でき、例えば2〜100個程度とすることができる。海上に一定長さの緩衝壁を形成する場合、緩衝壁の全長を、一つの波緩衝体10により形成することもできるし、複数の波緩衝体10を並べてそれらを連結したり、波緩衝体10を吊り下げる浮体2同士を連結して形成することもできる。一つの波緩衝部材11の水平方向の長さL(図1参照)は、例えば0.5〜10mとすることができ、好ましくは1〜3mである。
波緩衝部材11は、複数連結されて波緩衝体10に面を形成し、その面で波力に抵抗して波を緩衝するものであるため、波緩衝体10の面を形成し易い形状であることが好ましく、ある程度の肉厚(例えば15〜50cm)を有する扁平な立方体形状であることが好ましい。また、互いに平行な一対の面を有することが好ましい。
本実施形態における波緩衝部材11は、立方体形状であり、上下面、左右の側面及び前後面を有し、その前後面が波緩衝体10の両面を形成している。前後面間の距離は、上下面間の距離及び左右の側面間の距離それぞれより小さく、前後面の各面積(透水孔の面積を含む)は、上下面の各面積及び左右の各側面よりも大きい。海の深さ方向に隣接する波緩衝部材11同士は、上下面が連結部材13を介して連結されており、水平方向に隣接する波緩衝部材11同士は、側面同士が連結部材14を介して連結されている。
波緩衝体10の重さは、垂直方向に適度な張力を発生させ、波緩衝体10に通常の波には抵抗するが、極端に高い波圧には抵抗しながら後退して破損を回避するようにする観点から、深さ方向に直交し且つ水平な方向である延長方向(図1中に矢印Pで示す方向)1m当たりの重量(t)が、水中重量で0.5〜10tであることが好ましく、水中重量で1〜5tであることがより好ましい。
波緩衝体10の海の深さ方向の長さは、最大波高の少なくとも1倍以上であることが好ましく、2〜5倍であることがより好ましく、特に好ましくは2〜3倍である。
本実施形態の波緩衝体10における波緩衝部材11は、コンクリート及び/又は鉄を主体として形成されるものであり、具体的には、コンクリート又は鉄筋コンクリートからなる。波緩衝部材11は、前後面が略正方形状であり、前後面間を貫通するように透水孔12が形成されている。
本発明における波緩衝部材は、コンクリート及び/又は鉄を主材とし、これに石や布やゴム等を組み合わせてなる複合体であっても良い。また、本発明における波緩衝部材は、波緩衝体の両面を形成する前後面の形状が、正方形状の他、長方形状、菱形状、楕円形状、三角形状等であっても良い。長方形状の場合、その長辺は、水平方向又は垂直方向の何れの方向に延びていても良い。また、波緩衝部材に設ける透水孔12は、断面円形のものの他、長方形状、正方形状、楕円形状、三角形状、菱形状等、任意の形状とすることができる。また、波緩衝部材は、透水孔を有しないものであっても良く、透水孔と有するものと透水孔を有しないものを混在させても良い。
図4は、波緩衝部材の他の例を示すものである。図4に示す各波緩衝部材は、例えば上述した波緩衝体10の構成部材として、図1に示す波緩衝部材11に代えて用いることができる。
図4(a)に示す波緩衝部材11Bは、コンクリート又は鉄筋コンクリートからなり、正方形状の透水孔12が9個形成されている。図4(b)に示す波緩衝部材11Cは、コンクリート若しくは鉄筋コンクリート又はH型鋼等の鉄からなる四角形状の枠体15の内部に、金網、合成樹脂製若しくは天然繊維製の網等の網状体16を固定したものである。編み目の寸法等は、透水部分の割合をどの程度にするか等に応じて適宜に設定することができる。また、網状体16に代えて、フェンスや布を張ることもできる。図4(c)に示す波緩衝部材11Dは、コンクリート又は鉄筋コンクリートからなり、長方形状の縦長の透水孔12がそれぞれ垂直方向に延びるように複数形成されている。図4(d)に示す波緩衝部材11Eは、コンクリート又は鉄筋コンクリートからなり、長方形状の横長の透水孔12がそれぞれ水平方向に延びるように複数形成されている。図4(e)に示す波緩衝部材11Fは、波緩衝部材11Cと同様の枠体15の内部に、複数の古タイヤ17をワイヤーやチェーン等の固定部材を介して面状に固定したものである。
更に他の波緩衝部材として、金網等に石を詰めたものを用いることもできる。
本実施形態の波緩衝体10は、海中に吊り下げて用いる。海中に吊り下げる方法は特に制限されないが、海上に築造した構造物(例えば、桟橋、橋桁、海底に打ち込んだ2本の杭間に掛け渡すように固定した桁材等)から吊るす方法や、図2に示すように、海上に浮かばせた浮体2から吊り下げる方法がある。
海中に吊り下げ下端を自由にしておく理由は、仮に波緩衝体の下端を海底に固定すると、大時化時に波力が下端から抜けないため、波緩衝体が大きな波力を抱え込み、波緩衝体等が波力に耐えられない恐れがあるからである。また、荒天時の潮位は、通常より約2m程度も上昇することがあり、浮体2から吊り下げる場合には、仮に下端が固定されていると浮体2が水没し、波力の強い表層波が越波し、波の緩衝効果が低下する等の問題もある。更に、浮体2と波緩衝部材11に大きな浮力と張力が働き連結部等の損傷の原因にもなる。
本実施形態の波緩衝体10は、図2に示すように、海上に浮かばせた浮体2から吊り下げて用いることが特に好ましい。本発明の一実施形態としての波緩衝装置は、上述した波緩衝体10と、海上に浮かんで、該波緩衝体を海中に吊り下げた状態に保持可能な浮体2とからなる。
浮体2から吊り下げることにより、水位変動に対応して波緩衝体10が上下に変位するため、一番強い表面波を適切な位置で受けることができ、波力の強い表層波を効果的に緩衝させることができる。また、過大な波が波緩衝体に働いた場合に、その波の流れが、下端と海底面の間を抜けやすくなる。
尚、波緩衝体は、下端が大波で簡単に舞い上がらないように、その下端の重量を調整することが好ましい。例えば、下端部には、他の波緩衝部材よりも重量のある波緩衝部材を固定することができる。
浮体2の浮力は、復元力を高めるため、波緩衝体の重量の2倍以上、好ましくは2〜10倍あることが好ましい。
浮体2の材質としては、発泡スチロール等の樹脂発泡体、鉄や樹脂製の中空体等を挙げることができる。浮体2は、海の深さ方向(垂直方向)に直列した複数の波緩衝部材からなる縦の列の全部に対して一つ設けても良いし、隣接する複数列に一つあるいは各列毎に一つ設けても良い。複数列に一つあるいは各列毎に設けた浮体は、隣接する浮体間が水平方向に屈曲可能なように連結することが好ましい。
波緩衝体10が波に押されて流されて水平移動すると抵抗体にならないため、浮体2及びそれに吊り下げられた波緩衝体10が、海上の所定の位置に留まるようにロープ32等の係留手段3で固定することが好ましい。係留手段3による固定は、波緩衝体10の上端部にロープ32等を直接結んで固定しても良いし、図2に示すように、波緩衝体10を吊り下げた浮体2にロープ32等を結んで固定しても良い。図1及び図2に示す例では、波緩衝体10の最上部に位置する波緩衝部材11を、それぞれ連結部材13,14と同様の連結部材15により浮体2の下面に固定してあり、該浮体2における、波緩衝体10の延長方向Pの複数箇所に、それぞれロープ32の一端部を固定し、それらのロープ32の他端部を、海底に設置した重量物31に固定することにより、該浮体2を固定してある。係留手段3は、水位変動による浮体2の上下動を阻害しないものであり、そのような係留手段3としては、従来、船舶の係留に用いられているもの、例えばチェーンやロープ等を特に制限なく用いることができる。
波緩衝体10を用いた波緩衝装置1は、湾口や港内の波や流れの通過点に設置することが好ましい。図5は、複数の波緩衝装置1を、湾口の両側それぞれ3重にして設置した例を示す図である。
港内の波や流れの通過点に設置された波緩衝体10は、波の進行方向に撓んだり揺れたりしながら、波に抵抗し、波力を緩衝する。
即ち、波緩衝体10に遮られた波は、波緩衝体10を通過した周囲の波より進行速度が若干遅くなり、僅かではあるが直進する波との間に位相差が生じる。これにより波の進行速度が遅くなり波力が減衰する。また、周囲の波は波緩衝体10の下端や横から波緩衝体10の背後に回析し緩衝する。また、波緩衝体の背後に回折した波の幅(進行方向に直交する方向の長さ)が拡がると、波力も分散されて減衰するため、波力のエネルギーを緩衝する。
本実施形態の波緩衝体10によれば、港口や港内に、海中に吊り下げた状態に設置することによって、進行波、特に大時化時に生じるような長周期波の流れを効果的に緩和することができ、湾内の静穏度の向上を図ることができる。
波緩衝体10は、長周期波や通常の波を緩衝する効果があり、また、波消しにも有効である。更に、波緩衝体10は、下端部を自由にして、海中に吊り下げて用いるため、波緩衝体に過大な荷重がかかるのを防止でき、比較的大きな波にも対応可能である。
本実施形態の波緩衝装置1によれば、波緩衝体10を海上に浮かべた浮体2に吊り下げた状態で移動できるため、設置撤去や施行が容易である。また、浮体2を引っ張ることにより必要な場所に移設することが容易である。更に、複数の波緩衝装置1を延長方向Pに沿う方向に連結して幅の広い緩衝壁を形成できる一方、必要のない場合等には、切り離して並列に浮かしておくことことにより保管場所が狭くて済む。更に、水位の変動に追随するため、水面の進行波を捉えて減衰させることができる。
本発明の波緩衝体及び波緩衝装置は、次のような利用方法も可能である。
即ち、港内の長周期波の通過する場所に波緩衝体を吊り下げて設置することで波の緩衝効果があるが、これを更に二重三重に設置すれば波力を減少させる効果が更に高まる。
また、港内の反射波は、砂浜のような緩傾斜護岸、波消ブロックを設置することで低減することができるが、直立壁が多いと港内が波立ち小型船の係留が難しい。このため、波緩衝体を桟橋の杭間から水中に垂らしたり、反射波の発生する場所に設置することにより反射波を軽減することができる。また、外洋に面している港湾工事の稼動率を上げるため、作業中の周囲に使用したり、海浜の前面に設置して海岸侵食対策にも利用可能である。
<試験例>
波力の減衰効果を調べるために以下の試験を行った。
(予備試験)
長さ1.0m、幅0.6m、深さ80cmの浴槽に30cmの水を張り、洗面器で、長手方向に波長を合わせてかき混ぜ30cm以上の反射波を起こし、放置したままで波高が1cm以下に低下するまでの反射波の回数(波が浴槽の長手方向一端部の壁面に当たる回数)を計測した。波緩衝体を設置しない場合の反射波の回数は約250回〜300回で、最初の数回の大波は下側の水も水面と同じリズムで激しく振幅し、長周期波状態となり、波が小さくなるにしたがい、表面だけの反射波による表面波に戻った。
(試験1,2,3)
予備試験と同様の波を生じさせた直後に、浴槽の長手方向中央位置に、網目3cm、糸の太さ2mmの工事用ネットを、浴槽の長手方向に直角になるように、上から下まで縦にピンと張った。工事用ネット1枚のみの場合、波高が1cm以下に落ち着くまでに170回であった。工事用ネット2枚重ねにした以外は全く同様にして実験したところ112回であった。次に、太さ0.2mmの塩化ビニル製の糸をパンチパーマ状にした網目1cm程度のものを3層に重ねて厚さ0.5cm、縦11cmのマットとし、このマットを水面に垂直に立てる以外は同様にして実験したところ112回であった。試験1〜3は、何れの波緩衝体もその透水部分の割合が90%以上で、反射波の回数は減ったが、最初の大波はすんなり透過してあまり効果が無かった。
(試験4)
次に、水を透過しない発泡スチロール製の1枚の板を、下を水が通過するように板の下を10cmを開けて水面から20cmの範囲に垂直に立て、試験1と同様にして回数を測定すると16〜20回であった。最初の大波は、板の下方を通って勢い良く往復し底うねり状となり、板は波に押されてその都度湾曲しペコペコと波の進行する方向に動き折れそうであり、これを抑えるのに力を要した。
(試験5)
次に、高さ20cmの間に47本の細い丸い茎が平行に配されているすだれを、50cmの幅に切り、下端に重さ450gのトタンはさみをくくりつけてこれを重みとし、下端をフリーにした試験緩衝体を1枚作り、これを用いて試験1と同様にして測定すると20〜26回であった。この試験緩衝体における透水部分の割合は約25%であった。最初の強い波で、表面の波が試験緩衝体の面に沿って下端に向かって流れ、試験緩衝体の下端が押されてJの字状態になり、下から水が通過したが、程なく重さと波力のバランスが取れると垂直になった。
次に、上記の試験緩衝体からすだれの茎を5本外して42本にした。このときの透水部分の割合は約30%であり、同様に測定すると50回であった。更に5本を外し37本にして透水部分の割合を約50%とすると50〜79回、10本抜いて27本にして透水部分の割合を約70%とすると60〜70回で、誤差も有るが透過率50%の場合とあまり変わらなかった。尚、試験緩衝体を抑える力は波力が抜けるため最初から殆ど気にならなかったため、透水部分の割合の少ない25%が良いと考えた。
上記の結果から、波の進行方向にどの様な遮蔽物を設けても、波力を弱めて静穏度を高める効果がある。また、大波では底うねりが強く長周期波状態となり下端の流れが強いため下端が舞上がり、この舞上がりを防ぐためには、下部の自重を重くして張力を高めれば遮蔽効果が向上する事が判った。また遮蔽物の前後とも水位上昇が早く、同じ水位になり効果があったのか判りにくいため、下端からの水位上昇を遅らせるため、波緩衝体は垂直に長く垂らす事と、透水部分の割合は比較的小さいほうが良い。また、水が透過する構造であると、波力が抜け、波緩衝体に働く波力や係留ロープへの張力を減らすことが出来ることも判った。また、水面だけの反射波は、すだれの空隙から波が透過することが判った。尚、この水面だけの反射波となった時、すだれの下端は完全に垂直になった。
図1は、本発明の波緩衝体及び波緩衝装置の一実施形態を示す斜視図である。 図2は、図1の波緩衝体及び波緩衝装置を設置した状態を示す図である。 図3は、本発明の波緩衝体及び波緩衝装置の他の実施形態を示す図である。 図4は、波緩衝体を構成する波緩衝部材の他の例を示す図である。 図5は、波緩衝体及び波緩衝装置を湾口又は湾内に設置する方法の一例を示した模式俯瞰図である。
符号の説明
1,1’ 波緩衝装置
10,10’ 波緩衝体
11,11A〜11F 波緩衝部材
12 透水孔
13 垂直方向の連結部材
14 水平方向の連結部材
2 浮体

Claims (6)

  1. 複数個の波緩衝部材が連結されてなり、可撓性及び透水性を有し、海中に吊り下げて用いられる波緩衝体。
  2. 前記波緩衝部材は、海の深さ方向に3〜50個連結されている請求項1記載の波緩衝体。
  3. 前記波緩衝部材が、水平方向にも複数個連結されている請求項1又は2記載の波緩衝体。
  4. 透水部分の割合が10〜90%である請求項1〜3の何れか記載の波緩衝体。
  5. 前記波緩衝部材が透水孔を有する請求項1〜4の何れか記載の波緩衝体。
  6. 請求項1〜4の何れかに記載の波緩衝体と、海上に浮かんで、該波緩衝体を海中に吊り下げた状態に保持可能な浮体とからなる波緩衝装置。

JP2004032391A 2004-02-09 2004-02-09 波緩衝体及びそれを用いた波緩衝装置 Pending JP2005220706A (ja)

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