JP2005220389A - 穴拡げ性に優れた複合組織鋼板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 穴拡げ等の加工が必要な自動車構造部材に適する、穴拡げ性に優れた複合組織鋼板の製造方法を提供する
【解決手段】 mass%で、C:0.01〜0.2%、Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.08%以下、S:0.03%以下、Al:0.01〜0.1%、N:0.01%以下で、残部が実質的に鉄からなる鋼の熱延板を調製し、この熱延板を700℃〜900℃で箱型焼鈍し、続いて冷間圧延し、その後にAc1点以上Ac3点以下の温度範囲で焼鈍する。これにより、硬質第二相の粒が連結して主相のフェライト粒が被覆され、かつ、1個のフェライト粒の全周長をL、フェライト粒の周囲に存在する硬質第二相の長さをL2としたときに、L2≧0.7×Lの関係式を満足する組織形態を有する複合組織鋼板を得る。
【選択図】 図2
【解決手段】 mass%で、C:0.01〜0.2%、Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.08%以下、S:0.03%以下、Al:0.01〜0.1%、N:0.01%以下で、残部が実質的に鉄からなる鋼の熱延板を調製し、この熱延板を700℃〜900℃で箱型焼鈍し、続いて冷間圧延し、その後にAc1点以上Ac3点以下の温度範囲で焼鈍する。これにより、硬質第二相の粒が連結して主相のフェライト粒が被覆され、かつ、1個のフェライト粒の全周長をL、フェライト粒の周囲に存在する硬質第二相の長さをL2としたときに、L2≧0.7×Lの関係式を満足する組織形態を有する複合組織鋼板を得る。
【選択図】 図2
Description
本発明は、穴拡げ性に優れた複合組織鋼板の製造方法に関し、特に自動車等の構造部材に適する複合組織鋼板の製造方法に関する。
近年、自動車産業においては、環境問題等を背景として、高強度鋼板の適用による自動車車体の軽量化が検討されている。自動車用構造材に要求される特性としては、強度とともに穴拡げ性等の種々の加工性、破壊への耐性が挙げられる。ここで、穴拡げ試験時や疲労破壊での亀裂は、鋼中の硬質な非金属介在物を起点として発生し、硬質第二相間を伝播して進展し、これにより最終的に破壊に至る。
このような亀裂の発生、進展を防止するため、清浄性を向上させて硬質第二相を減少させる等の対応が取られているが、硬質第二相の比率を下げるだけでは穴拡げ性の著しい改善は望めないことが、多くの研究で明らかにされてきた。そこで、硬質第二相を有する鋼板に高加工性を付与するために、鋼板の組織形態を制御する方法が種々提案されている。
例えば、特許文献1には、主相フェライトと第二相(ベイナイト、パーライト)の組織形態について開示されている。また特許文献2には主相ポリゴナルフェライトと第二相(ベイナイト)を微細分散させる方法が、特許文献3には主相(ポリゴナルフェライト)の粒界に板状セメンタイトを微細分散させる方法が、それぞれ開示されている。しかしながら、これらはいずれも第二相を微細分散させる方法であり、穴拡げ加工時の亀裂の発生を抑制することに着目してなされた発明である。
特開平5−51646号公報
特開平5−98353号公報
特開平9−170048号公報
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、穴拡げ等の加工が必要な自動車構造部材に適する、穴拡げ性に優れた複合組織鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、複合組織鋼板において、従来技術では不十分であった穴拡げ性を大幅に改善して上記課題を解決するために、硬質第二相を活用し、かつ、その硬質第二相の組織形態に着目して、硬質第二相の形態が穴拡げ性に及ぼす影響について検討を重ねた。その結果、亀裂の発生を抑制するとともにその亀裂の進展を抑制することが重要であり、硬質第二相がフェライト粒界に連続的に分布し、このフェライト粒の硬質第二相による被覆率が所定の条件を満たす組織形態とすることにより亀裂の発生およびその進展を抑制できること、および、このような組織形態は熱間圧延後の焼鈍条件を規定することにより得られることを知見した。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものであり、硬質第二相の粒が連結して主相のフェライト粒が被覆され、かつ、1個のフェライト粒の全周長をL、フェライト粒の周囲に存在する硬質第二相の長さをL2としたときに、L2≧0.7×Lの関係式を満足する、穴拡げ性に優れた複合組織鋼板の製造方法であって、mass%で、C:0.01〜0.2%、Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.08%以下、S:0.03%以下、Al:0.01〜0.1%、N:0.01%以下で、残部が実質的に鉄からなる鋼の熱延板を調製し、前記熱延板を700℃〜900℃で箱型焼鈍し、続いて冷間圧延し、その後にAc1点以上Ac3点以下の温度範囲で焼鈍することを特徴とする穴拡げ性に優れた複合組織鋼板の製造方法、を提供する。
本発明においては、さらに前記熱延板は、Cr:1%以下、Mo:1%以下、V:1%以下、Ni:1%以下、B:0.01%以下、Ti:0.3%以下、Nb:0.3%以下のうち1種以上を含有することが好ましい。
本発明によって得られた複合組織鋼板は、穴拡げ加工時の亀裂の発生が抑制され、かつ、亀裂の進展も抑制されるために、穴拡げ加工性に優れる。
以下、本発明の疲労特性に優れた複合組織鋼板の製造方法について詳細に説明する。ここでは、(I)成分組成、(II)鋼板の組織、(III)製造条件、に分けて説明することとする。
(I)成分組成について
本発明では、mass%で、C:0.01〜0.2%、Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.08%以下、S:0.03%以下、Al:0.01〜0.1%、N:0.01%以下で、残部が実質的に鉄からなる熱延板を調製する。この熱延板は、さらに、Cr:1%以下、Mo:1%以下、V:1%以下、Ni:1%以下、B:0.01%以下、Ti:0.3%以下、Nb:0.3%以下のうち1種以上を含有してもよい。
本発明では、mass%で、C:0.01〜0.2%、Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.08%以下、S:0.03%以下、Al:0.01〜0.1%、N:0.01%以下で、残部が実質的に鉄からなる熱延板を調製する。この熱延板は、さらに、Cr:1%以下、Mo:1%以下、V:1%以下、Ni:1%以下、B:0.01%以下、Ti:0.3%以下、Nb:0.3%以下のうち1種以上を含有してもよい。
C:0.01〜0.2%
Cは、一定量の硬質第二相を生成させ、硬質第二相の強度を確保するために必要な元素であり、そのためにC含有量を0.01%以上とする。一方、その含有量が0.2%を超えると、加工性、溶接性の劣化が著しく、本発明によって得られる複合組織鋼板が対象とする自動車用鋼板に適さないため、C含有量は0.2%以下とする。硬質第二相の連続性を強固にし、かつフェライト粒界を占有するのに必要な量と硬質第二相の強度を高めることにより、穴拡げ性を向上させることが可能であることから、C含有量は望ましくは0.1%以上である。
Cは、一定量の硬質第二相を生成させ、硬質第二相の強度を確保するために必要な元素であり、そのためにC含有量を0.01%以上とする。一方、その含有量が0.2%を超えると、加工性、溶接性の劣化が著しく、本発明によって得られる複合組織鋼板が対象とする自動車用鋼板に適さないため、C含有量は0.2%以下とする。硬質第二相の連続性を強固にし、かつフェライト粒界を占有するのに必要な量と硬質第二相の強度を高めることにより、穴拡げ性を向上させることが可能であることから、C含有量は望ましくは0.1%以上である。
Si:2.0%以下
Siは、強度確保および低温変態相を安定して得るために有効な元素であるが、その含有量が2.0%を超えると、赤スケールによる表面性状劣化、メッキ密着性の低下、化成処理の不良等の問題が顕著となり、実用鋼板として適さない。したがって、Si含有量を2.0%以下とする。
Siは、強度確保および低温変態相を安定して得るために有効な元素であるが、その含有量が2.0%を超えると、赤スケールによる表面性状劣化、メッキ密着性の低下、化成処理の不良等の問題が顕著となり、実用鋼板として適さない。したがって、Si含有量を2.0%以下とする。
Mn:3.0%以下
Mnは、一般に鋼中のSをMnSとして析出させてスラブの熱間割れを防止するのに有効である。本発明では、硬質第二相を形成させるために、焼入れ性を向上させるMnを一定量添加することが望ましい。しかし、Mn含有量が3.0%を超えると、スラブコストの著しい上昇を招くだけでなく、加工性の劣化を招く。したがって、Mn含有量を3.0%以下とする。焼入れ性向上を発揮させるためには、Mn含有量を0.3%以上、さらには0.8%以上とすることが望ましい。
Mnは、一般に鋼中のSをMnSとして析出させてスラブの熱間割れを防止するのに有効である。本発明では、硬質第二相を形成させるために、焼入れ性を向上させるMnを一定量添加することが望ましい。しかし、Mn含有量が3.0%を超えると、スラブコストの著しい上昇を招くだけでなく、加工性の劣化を招く。したがって、Mn含有量を3.0%以下とする。焼入れ性向上を発揮させるためには、Mn含有量を0.3%以上、さらには0.8%以上とすることが望ましい。
P:0.08%以下
Pは、強度確保および低温変態相を安定して得るために有効な元素であるが、その含有量が0.08%を超えると、耐二次加工脆性を劣化させる等の弊害を生じる。また、亜鉛メッキ鋼板とした場合に合金化処理性の低下を引き起こす。したがって、P含有量を0.08%以下とする。
Pは、強度確保および低温変態相を安定して得るために有効な元素であるが、その含有量が0.08%を超えると、耐二次加工脆性を劣化させる等の弊害を生じる。また、亜鉛メッキ鋼板とした場合に合金化処理性の低下を引き起こす。したがって、P含有量を0.08%以下とする。
S:0.03%以下
Sは、熱間加工性を低下させ、スラブの熱間割れ感受性を高め、その含有量が0.03%を超えると、微細なMnSの析出により加工性を劣化させる。したがって、S含有量を0.03%以下とする。
Sは、熱間加工性を低下させ、スラブの熱間割れ感受性を高め、その含有量が0.03%を超えると、微細なMnSの析出により加工性を劣化させる。したがって、S含有量を0.03%以下とする。
Al:0.01〜0.1%
Alは、鋼の脱酸に寄与するとともに、鋼中の不用な固溶Nを窒化物として固定する役割がある。この効果は、Al含有量が0.01%未満では十分ではなく、0.1%を超えても含有量に見合う効果が得られない。したがって、Al含有量を0.01〜0.1%の範囲とする。
Alは、鋼の脱酸に寄与するとともに、鋼中の不用な固溶Nを窒化物として固定する役割がある。この効果は、Al含有量が0.01%未満では十分ではなく、0.1%を超えても含有量に見合う効果が得られない。したがって、Al含有量を0.01〜0.1%の範囲とする。
N:0.01%以下
Nは、時効性の観点から固溶状態で残存させることは望ましくなく、その含有量は少ない方がよい。N含有量が0.01%を超えると、過剰な窒化物の存在により延性、靭性が劣化する。したがって、N含有量を0.01%以下とする。
Nは、時効性の観点から固溶状態で残存させることは望ましくなく、その含有量は少ない方がよい。N含有量が0.01%を超えると、過剰な窒化物の存在により延性、靭性が劣化する。したがって、N含有量を0.01%以下とする。
Cr、Mo、V:それぞれ1%以下
Cr、Mo、Vは、フェライト生成元素であり、フェライト相+低温変態相の複合組織を得るために有効であるから、必要に応じて添加することができる。しかし、含有量がそれぞれ1%を超えると、コストに見合う効果が得られないので、Cr、Mo、Vを添加する場合は、その含有量をそれぞれ1%以下とする。
Cr、Mo、Vは、フェライト生成元素であり、フェライト相+低温変態相の複合組織を得るために有効であるから、必要に応じて添加することができる。しかし、含有量がそれぞれ1%を超えると、コストに見合う効果が得られないので、Cr、Mo、Vを添加する場合は、その含有量をそれぞれ1%以下とする。
Ni:1%以下
Niは、溶接性を阻害せずに、焼入れ性および靭性を向上させる効果があるから、必要に応じて添加することができる。しかし、その含有量が1%を超えても、コストに見合う効果が得られない。このため、Niを添加する場合には、その含有量を1%以下とする。
Niは、溶接性を阻害せずに、焼入れ性および靭性を向上させる効果があるから、必要に応じて添加することができる。しかし、その含有量が1%を超えても、コストに見合う効果が得られない。このため、Niを添加する場合には、その含有量を1%以下とする。
B:0.01%以下
Bは、焼入れ性向上に有効な元素であり、低温変態相を安定して生成するために、必要に応じて添加することができる。但し、Bを0.01%を超えて添加してもコストに見合う効果が得られないので、Bを添加する場合には、その含有量を0.01%以下とする。
Bは、焼入れ性向上に有効な元素であり、低温変態相を安定して生成するために、必要に応じて添加することができる。但し、Bを0.01%を超えて添加してもコストに見合う効果が得られないので、Bを添加する場合には、その含有量を0.01%以下とする。
Ti、Nb:それぞれ0.3%以下
Ti、Nbは、窒化物を形成し、Nを固定する働きがある。Alに代わり、Ti、NbによりNを固定することにより、結晶粒の微細化が図られ靭性が向上するので、必要に応じてこれら元素を添加してもよい。但し、これらの含有量がそれぞれ0.3%を超えても、コストに見合う効果が得られないので、これらを添加する場合には、その含有量をそれぞれ0.3%以下とする。
Ti、Nbは、窒化物を形成し、Nを固定する働きがある。Alに代わり、Ti、NbによりNを固定することにより、結晶粒の微細化が図られ靭性が向上するので、必要に応じてこれら元素を添加してもよい。但し、これらの含有量がそれぞれ0.3%を超えても、コストに見合う効果が得られないので、これらを添加する場合には、その含有量をそれぞれ0.3%以下とする。
本発明によって得られる複合組織鋼板には、上記成分の他、残部は実質的に鉄であればよく、不可避的な不純物や、発明の作用・効果を損なわない範囲内の他の微量元素が含まれることが許容される。
(II)鋼板の組織について
本発明の複合組織鋼板は、フェライト粒が硬質第二相により被覆されている組織形態を有する。そして、その占有率(被覆率)は次の関係式を満足することが必要である。
L2≧0.7×L
但し、L:1個のフェライト粒の全周長
L2:フェライト粒の周囲に存在する硬質第二相の長さ
本発明の複合組織鋼板は、フェライト粒が硬質第二相により被覆されている組織形態を有する。そして、その占有率(被覆率)は次の関係式を満足することが必要である。
L2≧0.7×L
但し、L:1個のフェライト粒の全周長
L2:フェライト粒の周囲に存在する硬質第二相の長さ
従来から、複合組織鋼板は、優れた強度−延性バランスを示すため、自動車用鋼板等に広く使用されている。さらに、上述したように、硬質第二相を活用した穴拡げ性の改善も試みられてきた。しかしながら、従来技術では、十分な穴拡げ特性の改善が達成されていないのが現状である。
本発明者らは、特に硬質第二相の組織形態に注目し、硬質第二相の組織形態を変化させた系統的試料を準備し、電子顕微鏡下で亀裂伝播の観察を行った。その結果、穴拡げ時の亀裂発生・伝播挙動に硬質第二相の組織形態が極めて重要な役割を果たしていることを知見した。すなわち、従来技術にみられる硬質第二相とフェライト相の界面に発生した亀裂は、フェライト相内を進展後、貫通する。しかし、フェライト粒が硬質第二相により被覆されることにより、硬度差の大きい相界面が増加し、割れの発生源となる局所的応力が緩和される。しかも、進展してきた亀裂は硬質第二相で停留し、容易に亀裂は進展せず、穴拡げ性を向上させることを知見した。このため、本発明では、フェライト粒が硬質第二相により被覆された組織形態とすることを要件としている。これにより、穴拡げ性を大幅に向上させることができる。
本発明によって得られる、フェライト粒が硬質第二相により被覆された組織形態を有する複合組織鋼板(以下「本発明鋼板」という)のミクロ組織の一例を、従来鋼板と合わせて図1に示す。本発明鋼板(図1(B))は、従来鋼板(図1(A))とは全く異なる組織形態、すなわちマルテンサイトを主体とする硬質第二相(図1(B)において黒く見える部分)によりフェライト粒(図1(B)において白く見える部分)粒が被覆された組織形態を有する。但し、本発明において、不可避的に、局部的な硬質相の不連続が存在することがあり得る。
次に、「硬質第二相によりフェライト粒が被覆された組織形態」について詳細に説明する。硬質第二相によるフェライト粒の被覆とは、フェライト粒に接した状態の硬質第二相が存在し、隣りあうフェライト粒の間が硬質第二相によって占有された形態を言う。しかし、フェライト粒の全周を被覆した形態である必要はない。このとき、被覆率は、前記関係式‘L2≧0.7×L’に示されるように70%以上であればよく、85%以上であることがより望ましい。硬質第二相とは、マルテンサイト、ベイナイト、パーライト、残留オーステナイト等の低温変態相であり、これらの1種または2種以上を含むものである。
本発明によって得られる複合組織鋼板の組織観察およびフェライト粒の被覆率の測定は、通常の組織観察と同様に、以下の手法により実施することができる。すなわち、まず鋼板の特定部(エッジ近傍等の非定常部以外の部位)の任意位置から組織観察用のサンプルを切出し、板表面を除く位置を観察部位とする。このとき、断面方向からの観察では、断面観察用に埋め込み研磨し、複合組織を顕在化するのに適切なエッチング液を用いて腐食させた後、板厚の1/4位置を観察すればよい。また平面からの観察では、表面を板厚の1/4研磨し、同じく腐食後、観察すればよい。このとき、観察装置として光学顕微鏡を用いることもできるが、硬質第二相が微細な場合は、電子顕微鏡を用いることが好ましい。このような観察装置を用い10視野程度撮影後、画像解析装置に画像データを取り込み、解析することで、硬質第二相によるフェライト粒の被覆率を確認することができる。
(III)製造条件について
硬質第二相によりフェライト粒が被覆された組織形態を有する複合組織鋼板は、上記(I)で説明した組成を有する鋼を調製し、この鋼に通常の熱間加工仕上げ圧延を行った後、得られた熱延板を700℃〜900℃で箱型焼鈍し、続いてこれに冷間圧延を施し、さらにAc1点以上Ac3点以下の温度で連続焼鈍することによって得られる。このような組織を有する複合組織鋼板を得るためには、熱延板組織をフェライトと硬質第二相からなる組織に制御することが非常に重要である。本発明者らは、様々な箱型焼鈍温度、冷延条件により、種々の冷延組織を得、この冷延組織が二相域焼鈍後の硬質第二相の組織形態に及ぼす影響を詳細に調査した。その結果、硬質第二相を効率よく生成させるために、700℃〜900℃で箱型焼鈍を行い、冷間圧延後の焼鈍温度をAc1点以上Ac3点以下と規定する。
硬質第二相によりフェライト粒が被覆された組織形態を有する複合組織鋼板は、上記(I)で説明した組成を有する鋼を調製し、この鋼に通常の熱間加工仕上げ圧延を行った後、得られた熱延板を700℃〜900℃で箱型焼鈍し、続いてこれに冷間圧延を施し、さらにAc1点以上Ac3点以下の温度で連続焼鈍することによって得られる。このような組織を有する複合組織鋼板を得るためには、熱延板組織をフェライトと硬質第二相からなる組織に制御することが非常に重要である。本発明者らは、様々な箱型焼鈍温度、冷延条件により、種々の冷延組織を得、この冷延組織が二相域焼鈍後の硬質第二相の組織形態に及ぼす影響を詳細に調査した。その結果、硬質第二相を効率よく生成させるために、700℃〜900℃で箱型焼鈍を行い、冷間圧延後の焼鈍温度をAc1点以上Ac3点以下と規定する。
本発明は、冷延鋼板、亜鉛系メッキ鋼板の製造を主対象とする。溶融亜鉛メッキ鋼板においては合金化処理を施してもよい。また。これら溶融亜鉛メッキ鋼板には、メッキ後にさらに有機被膜処理を施してもよい。本発明においては、スラブを熱間圧延するにあたり、加熱炉で加熱後に圧延してもよいし、加熱することなく直接圧延してもよく、得られた熱延鋼板に対して焼きならしまたは焼きなまし処理を施してもよい。
冷延条件としては、冷圧率を通常の範囲内で40〜80%程度とすればよい。但し、冷圧率の高い方が微細なフェライト粒が得られるので、焼鈍時間および最終的な穴拡げ性の観点から有利である。
表1に示す鋼番1〜7を溶製後、連続鋳造によりスラブを製造した。これらのスラブを1200℃に加熱後、通常操業の条件で熱間圧延を行い、熱延鋼板を製造した。この熱延鋼板を表2に示す条件で箱型焼鈍し、さらに酸洗後、冷間圧延を行い、連続焼鈍に通板した。これらの鋼板について、最終ミクロ組織と硬質第二相によるフェライト粒の被覆率、引張強度および穴拡げ性を調査した。
表2にこれらの結果を示す。また、図2に被覆率と穴拡げ率との関係を示す。硬質第二相によるフェライト粒の被覆率が前記関係式‘L2≧0.7×L’を満足する場合が本発明例であり、この関係式を満たさない場合が比較例である。表2および図2に示される通り、比較例の穴拡げ率は50%以下であり、穴拡げ性の向上がみられなかったのに対し、本発明例の穴拡げ率は60%以上あり、穴拡げ性が大幅に向上することが確認された。
本発明によって得られた複合組織鋼板は、穴拡げ等の加工が必要な自動車構造部材に好適である。
Claims (2)
- 硬質第二相の粒が連結して主相のフェライト粒が被覆され、かつ、1個のフェライト粒の全周長をL、フェライト粒の周囲に存在する硬質第二相の長さをL2としたときに、L2≧0.7×Lの関係式を満足する、穴拡げ性に優れた複合組織鋼板の製造方法であって、
mass%で、C:0.01〜0.2%、Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.08%以下、S:0.03%以下、Al:0.01〜0.1%、N:0.01%以下で、残部が実質的に鉄からなる鋼の熱延板を調製し、前記熱延板を700℃〜900℃で箱型焼鈍し、続いて冷間圧延し、その後にAc1点以上Ac3点以下の温度範囲で焼鈍することを特徴とする穴拡げ性に優れた複合組織鋼板の製造方法。 - さらに前記熱延板は、Cr:1%以下、Mo:1%以下、V:1%以下、Ni:1%以下、B:0.01%以下、Ti:0.3%以下、Nb:0.3%以下のうち1種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の穴拡げ性に優れた複合組織鋼板の製造方法。
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