JP2005220299A - 蛍光体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 AnBO4形以外のタングステン複合酸化物蛍光体を提供すること。
【解決手段】この課題を解決するために本発明は、母体材料として化学式((R4+M2+)1-x A3+ 2x)(QO4)3(ただし、RはZr、Hfまたはこれらの混合系で示される4価の金属元素、MはMg,Ca,Sr,Ba,Raまたはこれらの混合系で示される2価の金属元素、QはW,Moから選択される6価の金属元素、AはAl、Sc、Y、Lu、Ga,Inから選択される3価の金属元素またはこれらの混合系で示される金属元素、0≦x<1)で示されるタングステン複合酸化物を用いるものである。これにより、2価と4価のイオンの組み合わせを選択することが可能となり、蛍光体の母体材料の選択肢が大幅に拡大する。
【選択図】 図2
【解決手段】この課題を解決するために本発明は、母体材料として化学式((R4+M2+)1-x A3+ 2x)(QO4)3(ただし、RはZr、Hfまたはこれらの混合系で示される4価の金属元素、MはMg,Ca,Sr,Ba,Raまたはこれらの混合系で示される2価の金属元素、QはW,Moから選択される6価の金属元素、AはAl、Sc、Y、Lu、Ga,Inから選択される3価の金属元素またはこれらの混合系で示される金属元素、0≦x<1)で示されるタングステン複合酸化物を用いるものである。これにより、2価と4価のイオンの組み合わせを選択することが可能となり、蛍光体の母体材料の選択肢が大幅に拡大する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、蛍光体材料に関する。
従来蛍光体として、ZnSやY2O3を母体としEu2+、Eu3+、Tb3+などの希土類酸化物を発光中心とする蛍光体が多く開発され実用されている。
一方、錯イオン形発光中心を持つ蛍光体も古くからよく知られており、広く実用されている。発光中心となる代表的な錯イオンは、WO4 2-、MoO4 2-、VO4 3-などがよく知られていて、蛍光体は一般にAnBO4形で表される。
このうち、WO4 2-を発光中心にもつ化合物は、一般にMWO4(M2+:アルカリ土類金属)の化学式で表され、MgWO4,CaWO4、PbWO4が蛍光体として使用されている。また、CdWO4やZnWO4では単結晶での発光も確認されている。またこれらのタングステン酸化合物は、蛍光体の母体材料として使用され発光中心となるEu2+、Eu3+、Tb3+などと組み合わせて用いる場合もある。(非特許文献1)
「蛍光体ハンドブック」(株)オーム社 特開2003−089572号公報
「蛍光体ハンドブック」(株)オーム社
AnBO4形の錯イオン蛍光体は、Aイオンの選択肢が2価の金属元素の場合でのみ報告されている。本発明はAnBO4形以外のタングステン複合酸化物蛍光体を提供しようとする。
この課題を解決するために本発明は、母体材料として化学式((R4+M2+)1-xA3+ 2x)(QO4)3(ただし、RはZr、Hfまたはこれらの混合系で示される4価の金属元素、MはMg,Ca,Sr,Ba,Raまたはこれらの混合系で示される2価の金属元素、QはW,Moから選択される6価の金属元素、AはAl、Sc、Y、Lu、Ga,Inから選択される3価の金属元素またはこれらの混合系で示される金属元素、0≦x<1)で示されるタングステン複合酸化物を用いるものである。
本発明の請求項1記載の発明は、母体材料と発光中心からなる蛍光体であって、母体材料が化学式((R4+M2+)1-x A3+ 2x)(QO4)3(ただし、RはZr、Hfまたはこれらの混合系で示される4価の金属元素、MはMg,Ca,Sr,Ba,Raまたはこれらの混合系で示される2価の金属元素、QはW,Moから選択される6価の金属元素、AはAl、Sc、Y、Lu、Ga,Inから選択される3価の金属元素またはこれらの混合系で示される金属元素、0≦x<1)で示されるタングステン複合酸化物を含むことを特徴とし、母体材料の選択肢が広がるという作用を有する。
本発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載のRはZr,Hfまたはこれらの混合系で示される4価の金属元素、MはMg、QはWで示される6価の金属元素であることを特徴とし、母体材料が負または低い熱膨張を示すことを特徴とし、温度変化の激しい蛍光体の使用環境において熱膨張、収縮による蛍光体膜構造の変化やガラス基板との熱膨張の差による蛍光体の剥離を防止する作用を有する。
本発明の請求項3記載の発明は、RはHf、MはMg、QはWであることを特徴とし、負または低い熱膨張示すことを特徴とし、温度変化の激しい蛍光体の使用環境において熱膨張、収縮による蛍光体膜構造の変化による蛍光体の剥離を防止する作用を有する。
本発明の請求項3記載の発明は、RはHf、MはMg、QはWであることを特徴とし、負または低い熱膨張示すことを特徴とし、温度変化の激しい蛍光体の使用環境において熱膨張、収縮による蛍光体膜構造の変化による蛍光体の剥離を防止する作用を有する。
本発明により、2価と4価のイオンの組み合わせを選択することが可能となり、蛍光体の母体材料の選択肢が大幅に拡大する。
以下 本発明の実施の形態について具体的に示す。
(実施の形態1)
母体材料となる、((R4+M2+)1-x A3+ 2x)(QO4)3(ただし、RはZr、Hfまたはこれらの混合系で示される4価の金属元素、MはMg,Ca,Sr,Ba,Raまたはこれらの混合系で示される2価の金属元素、QはW,Moから選択される6価の金属元素、AはAl、Sc、Y、Lu、Ga,Inから選択される3価の金属元素またはこれらの混合系で示される金属元素、0≦x<1)で示される複合酸化物は、通常RO2で示される酸化物(RはZr,またはHf)とMO(MはMg、Ca,Sr,Ba,Ra)とA2O3(Aは3価の金属元素)とQO3(Qは、WまたはMo)から作製できる。また、これら母体材料は、混合粉砕、仮焼成、粗粉砕、成形、本焼成のプロセスにより作製可能である。蛍光体は、この母体材料に加えて発光中心を添加して再焼成して容易に作成することが出来る。
母体材料となる、((R4+M2+)1-x A3+ 2x)(QO4)3(ただし、RはZr、Hfまたはこれらの混合系で示される4価の金属元素、MはMg,Ca,Sr,Ba,Raまたはこれらの混合系で示される2価の金属元素、QはW,Moから選択される6価の金属元素、AはAl、Sc、Y、Lu、Ga,Inから選択される3価の金属元素またはこれらの混合系で示される金属元素、0≦x<1)で示される複合酸化物は、通常RO2で示される酸化物(RはZr,またはHf)とMO(MはMg、Ca,Sr,Ba,Ra)とA2O3(Aは3価の金属元素)とQO3(Qは、WまたはMo)から作製できる。また、これら母体材料は、混合粉砕、仮焼成、粗粉砕、成形、本焼成のプロセスにより作製可能である。蛍光体は、この母体材料に加えて発光中心を添加して再焼成して容易に作成することが出来る。
本構成による母体材料は、例えばx=0のとき、(HfMg)(WO4)3、(ZrMg)(WO4)3、(HfCa)(WO4)3、(ZrCa)(WO4)3、(ZrxHf1-xMg)(WO4)3(0<x<1)、(ZrxHf1-xCa)(WO4)3(0<x<1)、(ZrMgxCa1-x)(WO4)3(0<x<1)、(HfMgxCa1-x)(WO4)3(0<x<1)、(HfMg)(WyMo1-yO4)3(0<y<1)、(ZrMg)(WyMo1-yO4)3(0<y<1)などであって、上記化学式で示される複合酸化物であれば、これらの複合酸化物に限定されない。
例えばx=0.5の時、((HfMg)0.5A3+)(WO4)3、((ZrMg)0.5A3+)(WO4)3、((HfCa)0.5A3+)(WO4)3、((ZrCa)0.5A3+)(WO4)3、((HfMg)0.5A3+)(MoO4)3、((ZrMg)0.5A3+)(MoO4)3、((ZrxHf1-xMg)0.5A3+)(WO4)3(0<x<1)、((ZrxHf1-xCa)0.5A3+)(WO4)3(0<x<1)、((ZrMgxCa1-x)0.5A3+)(WO4)3(0<x<1)、((HfMgxCa1-x)0.5A3+)(WO4)3(0<x<1)、((HfMg)0.5A3+)(WyMo1-yO4)2(0<y<1)、((ZrMg)0.5A3+)(WyMo1-yO4)3(0<y<1)、((HfMg)0.5A3+)(WyMo1-yO4)3(0<y<1)などであり、上記化学式で示される複合酸化物であれば、これらの複合酸化物に限定されない。
A3+で示される3価の金属元素は、Al、Sc,Y,Ga,In,Lu,Cr,Erなどから選択されるが、これらの混合系を用いてもよい。混合系は、例えば(AlSc)3+ x、(Al1.3Sc0.7)3+ x、(Al1.5Sc0.5)3+ x、(Al1.8Sc0.2)3+ x、(AlY)3+ x、(Al0.7Y1.3)3+ x、(Al0.9Y1.1)3+ x、(Al1.4Y0.6)3+ x、(AlLu)3+ x、(Al1.2Lu0.8)3+ x、(Al1.4Lu0.6)3+ x、(Al1.9Lu0.1)3+ x、(AlIn)3+ x、(Al0.5In1.5)3+ x、(Al1.5In0.5)3+ x、(Al1.8In0.2)3+ x、(ScYb)3+ x、(Sc0.3IYb1.7)3+ x、(Sc1.4Yb0.6)3+ x、(Sc1.8Yb0.2)3+ xなどであり、混合して2種以上の元素を用いてもよい。
上記化合物のうち、2価の金属としてはマグネシウムを用いると熱膨張の絶対値の小さいものを得ることが出来るので、熱膨張収縮による蛍光体膜の変形を防止できるのでより好ましい。
これら複合酸化物の原材料としては、各構成金属元素の酸化物、水酸化物、炭酸塩などを用いることができる。例えば、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化スカンジウム、酸化インジウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどである。また、各構成金属元素の有機金属化合物、例えば、金属アルコキシド、金属アセチルアセトナート、酢酸金属塩、メタクリル酸金属塩、アクリル酸金属塩などを挙げることができる。
さらに原料として、A2+WO4(A2+:2価の金属元素または2価の金属元素の混合系)や、A4+W2O8(A4+:4価の金属元素または4価の金属元素の混合系)または、A3+ 2W3O12(A3+:3価の金属元素または3価の金属元素の混合系)などの複合酸化物を混合焼成して作製することも可能である。
A3+ 2W3O12のうちAlW3O12のみが正の線熱膨張係数を有することが報告されている。他のAQ3O12、(RM)(QO4)3は、ほとんどが負の熱膨張を有するため低い熱膨張を有する((RM)1-x A2x)(QO4)3を作製する場合には、A3+としてAlを含むことがより好ましく、熱膨張収縮による蛍光体の剥離を防止することができる。
母体材料に添加する発光中心は、遷移金属イオン発光中心、希土類イオン発光中心、錯イオン発光中心、Ia−VIIb化合物、IIa−VIb化合物、IIb−VIb化合物、IIIb−IIIb化合物から選択される。母体材料中にWO4 2-、MoO4 2-が含まれているため、この錯イオンと反応しない希土類イオン発光中心が添加量による発光強度の制御が容易であるため、より好ましい。なお、これについて後述する。
蛍光体の原料としては、上記原料の精製を注意深く行う必要があり、不純物となる希土類元素や重金属を除去しなければならない。精製法としては、一般に用いられているアルカリ法、酸法を必要に応じて用いてよい。
(蛍光体の製法について)
一般に複合酸化物は、原料である金属酸化物をボールミルなどの方法を用いて混合粉砕または混錬したのち、仮焼成、粗粉砕、成型、本焼成の順で作製可能である。本発明の材料もこれら一般的な製造方法により作製可能である。また、混合粉砕工程で十分微粒子化を行えば、仮焼成なしで同等の試料を作製することも可能である。
一般に複合酸化物は、原料である金属酸化物をボールミルなどの方法を用いて混合粉砕または混錬したのち、仮焼成、粗粉砕、成型、本焼成の順で作製可能である。本発明の材料もこれら一般的な製造方法により作製可能である。また、混合粉砕工程で十分微粒子化を行えば、仮焼成なしで同等の試料を作製することも可能である。
本実施の形態の混合粉砕、粗粉砕の方法としては、ライカイ機や湿式ボールミルだけでなく、遊星ミル、媒体ミル(例えばアトライター、振動ミル)などの混合粉砕方法であれば湿式乾式を問わず均一な混合粉砕が可能であり、本発明の効果を得ることが可能である。
焼成温度は、タングステン複合酸化物は900℃〜1200℃が好ましく、モリブデン酸化物は700℃〜1000℃が好ましい。焼成温度がこれより低い場合には酸化物の反応が十分でなく所望の化合物を得ることができない。また、これより高い場合には、化合物が溶融したり、化合物中の酸化タングステンや酸化モリブデンが昇華したりする傾向が見られる。なお、これらの条件は原料の選択などによって、決定すればよい。
本実施の形態の混合粉砕、粗粉砕の方法としては、ライカイ機や湿式ボールミルだけでなく、遊星ミル、媒体ミル(例えばアトライター、振動ミル)などの混合粉砕方法であれば湿式乾式を問わず均一な混合粉砕が可能であり、本発明の母体材料を得ることが可能である。
発光中心となる遷移金属イオン、希土類イオンは、付活剤として母体材料に導入する。付活剤は、例えば、Tl3+、Pb2+、Sb3+、Mn4+、Eu3+などであって、この場合は空気中で焼成してよい。Sn2+、Eu2+、Ce3+、Mn2+、Tb3+を付活剤とする場合は、必要に応じて弱還元雰囲気中で焼成する。
不活処理温度は母体材料であるタングステン酸化物、モリブデン酸化物が分解、昇華してしまうため1100℃以下で行うことが好ましい。
また、実際にランプ用、ブラウン管用に使用する際には、スラリー中での分散性を改良するためにケイ酸塩化合物や二酸化ケイ素を混合したり、コントラストの向上を狙って顔料を混合したりする場合もある。これらの表面処理は、蛍光体特性と用途に応じて行えばよい。
本発明のより具体的な実施の形態について具体的な実施例を示すが、本発明はこれらのみに限定されない。
(実施例1)
実施例1として(HfMg)(WO4)3を作製し、Eu3+を添加した前後の蛍光スペクトルの測定を行った。
実施例1として(HfMg)(WO4)3を作製し、Eu3+を添加した前後の蛍光スペクトルの測定を行った。
出発原料として、HfO2(関東化学製、純度99.5%)とMgO(キシダ化学製)とAl2O3(関東化学製、純度99.5%)とWO3(高純度化学製、純度4N)を十分精製した後、モル比1:1:3で正確に秤量し、純水を溶媒とした湿式ボールミルにより144hの混合粉砕を行った。一昼夜乾燥して水分を除いたのち、得られた原料紛を1100℃で焼成を行い、母体材料を作製した。ライカイ機による粗粉砕を行ったのち、粉末X線回折の測定を行い、(HfMg)(WO4)3の作製の確認をして母体材料とした(図1)。
付活剤としてEu2O3(高純度化学製)を母体材料に0.5〜10wt%加えて、大気中1000℃で付活処理を行い試料とした。
得られた試料2の励起波長を254nmとした場合の蛍光スペクトルを図2に示す。Eu3+による蛍光(5D0→7F2(〜620nm)および5D0→7F1(〜590nm))が確認された。また、Eu3+に加えてWO4 2-を発光中心とする蛍光も同時に確認された。励起波長を195nmとした場合も、同様な蛍光が確認され、蛍光体が作製できていることが確認できた。
図3に励起波長254nmの場合の、Eu3+添加量と初期輝度の関係を示す。添加量としては5wt%近辺でもっとも高い輝度を示したが、10wt%以下であれば、蛍光体として実用上問題はないと考えられる。
試料2の蛍光体を加圧成型して焼成後φ5mm、高さ10mmになるサンプルを焼成し、熱機械分析を使用した熱膨張係数の測定を行った。結果を図4に示す。熱膨張係数は、室温から1000℃までの熱膨張係数は−0.6〜−2.2×10-6/Kであった。一般に使用されている母体材料のY2O3(+7〜+10×10-6/K)やCaWO4、MgWO4(+5〜+8×10-6/K)と比較して使用される温度範囲での熱膨張係数が小さいことから、熱膨張収縮による蛍光体膜の変形が小さく剥離を防止する効果をもつことがわかった。
(実施例2)
実施例2としてAl2(WO4)3と(HfMg)(WO4)3から、((HfMg)1-xxAl2x)(WO4)3で示される母体材料を作製した。
実施例2としてAl2(WO4)3と(HfMg)(WO4)3から、((HfMg)1-xxAl2x)(WO4)3で示される母体材料を作製した。
Al2(WO4)3は、出発原料として、Al2O3(関東化学製、純度99.5%)とWO3(高純度化学製、純度4N)をモル比1:3で正確に秤量し、(実施例1)と同様に湿式ボールミル、乾燥を行ったのち、1000℃で焼成を行い、ライカイ機による粗粉砕を行って試料とした。(HfMg)(WO4)3は、実施例1で作製したものを用いた。
Al2(WO4)3と(HfMg)(WO4)3の試料を((HfMg)1-xxAl2x)(WO4)3においてx=0.3、0.5、0.7になるようにそれぞれ正確に秤量し、それぞれライカイ機を用いて混合を行って、1100℃で焼成して3種類の母体材料とした。粉末X線回折測定を行い上記複合酸化物の作製を確認した(図5)。
続いて、付活剤としてEu2O3(高純度化学製)を母体材料にそれぞれ5wt%加えて、大気中1000℃で付活処理を行い試料とした(試料、5,6,7)。
得られた試料6の励起波長を254nmとした場合蛍光スペクトルを図6に示す。Eu3+による蛍光が確認された。また、Eu3+に加えてWO4 2-を発光中心とする蛍光も同時に確認された。励起波長を195nmとした場合も同様な蛍光が確認され、蛍光体が作製されていることが確認できた。
続いて、熱膨張係数の測定結果を図7に示す。
試料5,6,7とも+2×10-6K-1以下の低い熱膨張係数を示す材料であることがわかった。特にx=0.3付近では、ゼロに近い熱膨張係数を示すことがわかった。
これらの結果から、化学式((HfMg)1-xxAl2x)(WO4)3で示されるタングステン酸複合酸化物を母体材料とした蛍光体が、低い熱膨張係数をもち熱膨張収縮による蛍光体膜の変形が小さく、剥離を防止する効果をもつことがわかる。
(実施例3)
実施例3として(ZrCa)(WO4)3を母体材料とした蛍光体を作製し、蛍光スペクトルの測定を行った。
実施例3として(ZrCa)(WO4)3を母体材料とした蛍光体を作製し、蛍光スペクトルの測定を行った。
(ZrCa)(WO4)3は、出発原料として、ZrO2(第一希元素製、純度99.5%)とCaCO3(関東化学製)とWO3(高純度化学製、純度4N)をモル比1:1:3で正確に秤量し、同様に湿式ボールミル、乾燥を行ったのち、1000℃で仮焼成を行いライカイ機による粗粉砕を行って母体材料とした。
続いて、付活剤としてEu2O3(高純度化学製)を母体材料に5wt%加えて、還元雰囲気中1000℃で付活処理を行い試料とした(試料8)。
得られた試料8の蛍光スペクトルを測定したところ、励起波長を254nmとした場合、および励起波長を195nmとした場合に、Eu2+による青色の蛍光が確認された。また、Eu2+に加えてWO4 2-を発光中心とする蛍光も同時に確認され、蛍光体が作製されていることが確認できた。
試料8の熱膨張係数を測定したところ、+1.0×10-6K-1の低い熱膨張係数を示す材料であることがわかった。
これらの結果から、化学式(HfCa)(WO4)3で示されるタングステン酸複合酸化物を母体材料とした蛍光体が、低い熱膨張係数をもち熱膨張収縮による蛍光体膜の変形が小さく剥離を防止する効果をもつことがわかった。
(実施例4)
実施例4として(AlIn)(WO4)3と(HfMg)(WO4)3から、((HfMg)0.5(AlIn)0.5)(WO4)3を作製した。
実施例4として(AlIn)(WO4)3と(HfMg)(WO4)3から、((HfMg)0.5(AlIn)0.5)(WO4)3を作製した。
(AlIn)(WO4)3は、In2O3(関東化学製)とAl2O3とWO3とをモル比1:1:3で正確に秤量し、同様に湿式ボールミル、乾燥を行った後、1000℃で仮焼成を行い、粉末X線回折により(AlIn)(WO4)3が出来ていることを確認して用いた。(HfMg)(WO4)3は、実施例1で作製した試料を使用した。
(AlIn)(WO4)3と(HfMg)(WO4)3の仮焼成粉を用いて、((HfMg)0.5(AlIn)0.5)(WO4)3になるようにモル比1:1で秤量した後、ライカイ機を用いて混合を行い、1100℃で焼成し母体材料とした。
続いて、付活剤としてTb4O7(高純度化学製)を母体材料に5wt%加えて、還元雰囲気中1000℃で付活処理を行い試料とした(試料9)。
得られた試料9の蛍光スペクトルを測定したところ、励起波長を254nmとした場合、および励起波長を195nmとした場合に、Tb3+による青色の蛍光が確認された。また、Tb3+に加えてWO4 2-を発光中心とする蛍光も同時に確認され、蛍光体が作製されていることが確認できた。
試料9の熱膨張係数を測定したところ、+1.5×10-6K-1以下の低い熱膨張係数を示す材料であることがわかった。
これらの結果から、化学式((HfMg)0.5(AlIn)0.5)(WO4)3で示されるタングステン酸複合酸化物を母体材料とした蛍光体が、低い熱膨張係数をもち熱膨張収縮による蛍光体膜の変形が小さく剥離を防止する効果をもつことがわかった。
本発明にかかる蛍光体は、蛍光灯、表示管、カラーブラウン管、プラズマディスプレイ、無機EL,などの波長に感度をもち、種々の蛍光体用途に応用が可能である。
Claims (4)
- 母体材料と発光中心からなる蛍光体であって、母体材料が化学式((R4+M2+)1-x A3+ 2x)(QO4)3(ただし、RはZr、Hfまたはこれらの混合系で示される4価の金属元素、MはMg,Ca,Sr,Ba,Raまたはこれらの混合系で示される2価の金属元素、QはW,Moから選択される6価の金属元素、AはAl、Sc、Y、Lu、Ga,Inから選択される3価の金属元素またはこれらの混合系で示される金属元素、0≦x<1)で示されるタングステン複合酸化物を含むことを特徴とする蛍光体。
- RはZr,Hfまたはこれらの混合系で示される4価の金属元素、MはMg、QはWで示される6価の金属元素であることを特徴とする請求項1記載の蛍光体。
- RはHf、MはMg、QはWであることを特徴とする請求項1、2記載の蛍光体。
- 発光中心がランタノイドまたはTl,Pb,Mn,Sn,Fe,Tiのうち少なくとも1つの元素であることを特徴とする請求項1,2,3記載の蛍光体。
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