JP2005220061A - ベンゾ[de]キノリン誘導体及びそれを有効成分とする医薬並びに食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】新規な構造を有するベンゾ[de]キノリン誘導体を提供するとともに、これを有効成分とする癌治療に有効な医薬及び、骨の脆弱化を主な原因とする骨疾患を予防又は治療する医薬並びに食品を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)
【化1】
Figure 2005220061

(式中、Rは水素原子又は低級アルキル基或いはアルケニル基を表す。Rは水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基或いはアリール基を表す。R何も置換しない非共有電子対を表すか、又は水素原子、アルキル基、アルケニル基或いはアリール基を表し、正電荷を帯びたインモニウムカチオンを形成する。)で表されるベンゾ[de]キノリン誘導体及び下記式(2)
【化2】
Figure 2005220061

で表されるベンゾ[de]キノリン誘導体。これらを有効成分とする医薬及び食品。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なベンゾ[de]キノリン誘導体及びこれを有効成分とする医薬並びに食品に関する。更に詳しくは癌治療に有効な医薬又は、骨の脆弱化を主な原因とする骨疾患を予防又は治療する医薬或いは食品に関する。
本発明のベンゾ[de]キノリン誘導体の分離源である渦鞭毛藻類は渦鞭毛植物門の単細胞生物である。植物プランクトンと呼ばれることもあるが、原生動物として扱われ渦鞭毛虫と呼ばれることもある。赤潮の原因となるものがある一方、光合成を行う種は腔腸動物や軟体動物と共生関係を営むことが知られている。近年、多くの渦鞭毛藻類が新たな生物活性天然物質の探索資源として注目され、ユニークな構造と顕著な生物活性を有する種々の化合物が報告されている(非特許文献1参照)。しかし、上記一般式(1)又は式(2)で表されるようなベンゾ[de]キノリン誘導体が得られたとの報告はない。
ところで、従来より、抗癌剤を用いる化学療法は外科的療法や放射線療法とともに癌の治療法として重要な位置を占め、種々の抗癌剤が提供されている。抗癌剤の中には、アドリアマイシン、マイトマイシン、ブレオマイシン、ビンクリスチン等の天然物に由来する抗癌剤が数多く知られている。しかしながら、これまでの抗癌剤は必ずしも満足の行かない治療成績の点や重篤な副作用の点で問題が残っているばかりか多剤耐性の問題などもあるため、更により優れた抗癌剤の出現が求められている。
また一方、骨多孔症や骨粗鬆症等は、骨の石灰質と骨基質とがともに減少することを特徴としている。これらの疾患は骨の疼痛や、骨の脆弱化による骨折の原因となることが知られており、高齢人口の増加に伴い社会問題化している。ヒトの骨は絶えず吸収と再形成を繰り返しており、骨組織において骨芽細胞による骨形成を破骨細胞による骨吸収が上回ると、骨組織が脆くなりこれらの疾患が発生すると言われている。又、物理的骨折や疲労骨折等の治療では、骨折部位の修正を行った後は専ら患者自身の治癒力に任せているのが現状である。これらの骨に関わる疾患の治療剤及び治療期間の短縮を図るものとして臨床では活性型ビタミンD3 、カルシトニン及びその誘導体やエストラジオール等のホルモン製剤、カルシウム製剤等が投与されている例がある。しかし、これらによる治療法には経口投与ができない、或いは効果の不確実性等の改善されるべき問題があり、これらに代わる新しい治療剤の開発が望まれている。
これまでに知られていない新規な構造を有する化合物は新たな作用機構を示し、より有効で、より副作用の少ない薬剤となる可能性が高い。またその作用機構によっては、抗癌剤や骨疾患治療剤以外の医薬としての効果も期待できる。
環状インモニウム構造を有する化合物はこれまでにもいくつか報告されている(非特許文献2,3参照Takada N.et al.,Tetrahedron Lett.,2001,42,3491.、Watanabe R.et al.,Tetrahedron,2002,58,6405.)が、上記一般式(1)または式(2)で表されるように置換三環性インモニウム構造(ベンゾ[de]キノリン誘導体)を有するような物質は未だ報告されたことはない。
小林淳一、石橋正己著、化学と生物、日本農芸化学会出版、1999年、37巻、316頁. Takada N.et al.,Tetrahedron Lett.,2001,42,3491. Watanabe R.et al.,Tetrahedron,2002,58,6405.
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、新規なベンゾ[de]キノリン誘導体を提供するとともに、これを有効成分とする癌治療に有効な医薬及び、骨の脆弱化を主な原因とする骨疾患を予防又は治療する医薬並びに食品を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を重ね本発明に想到したものであり、沖縄県瀬底で採集した扁形動物(コンボルタ目、Amphiscolops sp.)から分離培養した渦鞭毛藻類(Symbiodinium sp.)の藻体を抽出、分離精製して得た上記式(2)で表される新規ベンゾ[de]キノリン誘導体が、マウスリンパ性白血病細胞P388に対して増殖阻害活性を有すること、また、マクロファージRAW264細胞の破骨細胞への分化を抑制し、骨吸収抑制作用を有することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の一般式(1)
Figure 2005220061
(式中、Rは水素原子又は低級アルキル基或いはアルケニル基を表す。Rは水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基或いはアリール基を表す。Rは何も置換しない非共有電子対を表すか、又は水素原子、アルキル基、アルケニル基或いはアリール基を表し、正電荷を帯びたインモニウムカチオンを形成する。)で表されるベンゾ[de]キノリン誘導体に関する(請求項1)。
また、次の式(2)
Figure 2005220061
で表されるベンゾ[de]キノリン誘導体に関する(請求項2)。
また、請求項1か請求項2のいずれかのベンゾ[de]キノリン誘導体を有効成分とする医薬に関する(請求項3)。請求項1か請求項2のいずれかのベンゾ[de]キノリン誘導体を有効成分とする食品に関する(請求項4)。
請求項3において、抗癌性を有する請求項3に記載の医薬に関する(請求項5)。また、請求項3において、骨疾患の予防又は治療効果を有する請求項3に記載の医薬に関する(請求項6)。さらに、請求項4において、骨疾患の予防又は治療効果を有する健康食品又は機能性食品である請求項4に記載の食品に関する(請求項7)。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のベンゾ[de]キノリン誘導体は白血病細胞等の癌細胞の増殖阻害活性を持ち、例えば抗癌剤等の医薬品としての用途を有する。また、本発明のベンゾ[de]キノリン誘導体はマクロファージRAW264細胞の破骨細胞への分化を抑制し、骨吸収抑制作用を有し、例えば骨疾患の予防剤及び治療剤等の医薬品又は健康食品或いは機能性食品としての用途を有する。
上記一般式(1)中の低級アルキル基とは、炭素数1から6の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基を意味し、その具体例としてメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基を挙げることができる。アルケニル基としては、とくに炭素数1から6の直鎖状もしくは分枝状のものが好ましく、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、sec−ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等を挙げることができる。アリール基としては、その具体例としてフェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。置換基としては、低級アルキル基、アルケニル基、又はハロゲン原子等のほか、−OR(Rは水素原子、−SO _(この時Rは水素原子を表す。)、−NO、低級アルキル基、水酸基の保護基を表す。)又は−NR(R、Rは独立に水素原子又は低級アルキル基を表す。)等を挙げることができる。
また、上記一般式(1)で表されるベンゾ[de]キノリン誘導体が脱水素し、ベンゾ[de]キノリン骨格上に炭素−炭素二重結合を形成した化合物も本発明のベンゾ[de]キノリン誘導体として挙げることができる。
本発明の上記一般式(1)または式(2)で表されるベンゾ[de]キノリン誘導体は沖縄県瀬底で採集・培養した渦鞭毛藻類、Symbiodinium 属の藻体やその他本発明のベンゾ[de]キノリン誘導体を含有する渦鞭毛藻類の藻体又は海洋生物を有機溶媒で抽出後、分離精製することにより、或いは得られた化合物について公知の方法を用いて中和、エステル化等することにより得られる。
抽出に用いられる溶媒としてはメタノール、エタノール、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム等が挙げられ、クロマトグラフィはカラム、薄層及び高速液体クロマトグラフィが用いられ、カラムクロマトグラフィの充填剤としてはポリスチレン系樹脂(例えばTSK−G3000S)、イオン交換樹脂、シリカゲル、セファデックスLH−20や逆相系のRP−18等が用いられ、薄層及び高速液体クロマトグラフィとしてはシリカゲルの他、RP−18等が用いられる。
本発明における上記一般式(1)に含まれる化合物としては具体的には、
Figure 2005220061
で表されるベンゾ[de]キノリン誘導体(2)が挙げられる。
本発明の化合物は治療のために経口的あるいは非経口的に投与することができる。経口投与剤としては、散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤などの固形製剤あるいはシロップ剤、エリキシル剤などの液状製剤とすることができる。また、非経口投与剤として注射剤、直腸投与剤、皮膚外用剤、吸入剤とすることができる。これらの製剤は有効成分に薬学的に認容である製造助剤を加えることにより常法に従って製造される。更に公知の技術により持続性製剤とすることも可能である。
経口投与用の固形製剤を製造するには、有効成分と賦形剤例えば乳糖、デンプン、結晶セルロース、乳糖カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水ケイ酸などとを混合して散剤とするか、さらに必要に応じて白糖、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウムなどの崩壊剤などを加えて湿式又は乾式造粒して顆粒剤とする。錠剤を製造するにはこれらの散剤及び顆粒剤をそのままあるいはステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤を加えて打錠すればよい。これらの顆粒又は錠剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタアクリル酸、メタアクリル酸メチルコポリマーなどの腸溶性基剤で被覆して腸溶性製剤、あるいはエチルセルロース、カルナウバロウ、硬化油などで被覆して持続性製剤とすることもできる。また、カプセル剤を製造するには散剤又は顆粒剤を硬カプセルに充填するか、有効成分をグリセリン、ポリエチレングリコール、ゴマ油、オリーブ油などに溶解したのちゼラチン膜で被覆し軟カプセル剤とすることができる。
経口投与用の液状製剤を製造するには、有効成分と白糖、ソルビトール、グリセリンなどの甘味剤とを水に溶解して透明なシロップ剤、更に精油、エタノールなどを加えてエリキシル剤とするか、アラビアゴム、トラガント、ポリソルベート80、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどを加えて乳剤又は懸濁剤としてもよい。これらの液状製剤には所望により矯味剤、着色剤、保存剤などを加えてもよい。
注射剤を製造するには、有効成分を必要に応じ塩酸、水酸化ナトリウム、乳糖、乳酸ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどのpH調整剤、塩化ナトリウム、ブドウ糖などの等張化剤とともに注射用蒸留水に溶解し、無菌濾過してアンプルに充填するか、更にマンニトール、デキストリン、シクロデキストリン、ゼラチンなどを加えて真空下凍結乾燥し、用時溶解型の注射剤としてもよい。また、有効成分にレシチン、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などを加えて水中で乳化せしめ注射用乳剤とすることもできる。
直腸投与剤を製造するには、有効成分及びカカオ脂、脂肪酸のトリ、ジ及びモノグリセリド、ポリエチレングリコールなどの坐剤用基剤とを加湿して溶融し型に流しこんで冷却するか、有効成分をポリエチレングリコール、大豆油などに溶解したのちゼラチン膜で被覆すればよい。
皮膚外用剤を製造するには、有効成分を白色ワセリン、ミツロウ、流動パラフィン、ポリエチレングリコールなどに加えて必要ならば加湿して練合し軟膏剤とするか、ロジン、アクリル酸アルキルエステル重合体などの粘着剤と練合したのちポリエチレンなどの不織布に展延してテープ剤とする。
吸入剤を製造するには、有効成分をフロンガスなどの噴射剤に溶解又は分散して耐圧容器に充填しエアゾール剤とする。
上記構成を有する本発明の薬剤は、公知の製造法、例えば日本薬局方第10版製剤総則記載の方法ないし適当な改良を加えた方法によって製造することができる。
食品としては、そのまま、又は種々の栄養成分を加えて、若しくは飮食品中に含有せしめて、骨疾患の予防及び治療に有用な保健用食品又は食品素材として食される。例えば、上述した適当な助剤を添加した後、慣用の手段を用いて、食用に適した形態、例えば、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル、ペーストなどに成形して食用に供してもよく、また種々の食品、例えばハム、ソーセージなどの食肉加工食品、かまぼこ、ちくわなどの水産加工食品、パン、菓子、バター、粉乳、発酵乳製品に添加して使用したり、水、果汁、牛乳、清涼飲料などの飲料に添加して使用してもよい。
本発明の有効成分の投与量は患者の年齢、体重及び病態によって異なるが、通常1日約1mg〜1000mgであり、1乃至数回に分けて投与することが望ましい。
以下に実施例および試験例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は既述の発明の実施の形態及び以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1.渦鞭毛藻の分離、継代、培養
沖縄県瀬底で採集した扁形動物コンボルタ目(Amphiscolops sp.) 3個体を抗生物質(ペニシリンGカリウム塩6.34mg/100mL、ストレプトマイシン硫酸塩10mg/100mL)を添加した海水で洗い、メス2本を用いて、滅菌したガラスシャーレ上で細断した。静岡県用宗海岸で採取した海水をオートクレーブ滅菌した後、孔径0.45μのメンブランフィルター(ADVANTEC製、セルロースアセテイトタイプ)で濾過滅菌したESタイプの海水栄養補助剤(西澤一俊、千原光雄、「藻類研究法」、共立出版、東京、1978、283−285頁)を海水1Lに対して20mL添加したものを調製し、海水培地とした。刻んだヒラムシを抗生物質を添加した海水培地10mLが入った細胞培養フラスコ (旭テクノグラス製 底面積25cm、容積50mL)に洗い入れ、顕微鏡で様子を見ながら23日間培養した。藻体が純粋に増殖した所を選んで、先を曲げたチップを装着したピペットマンで吸引し、海水培地10mLが入った新しい細胞培養フラスコに移して20日間培養した。単一の藻体が得られるまでこの操作を繰り返し、その後も定期的に同様の操作をして継代した。
培養20−30日目の渦鞭毛藻をピペッティングにより均一に懸濁させ、その3mLを海水培地200mLを入れた300mL三角フラスコに移して培養し、30日後にピペッティングにより渦鞭毛藻を均一に懸濁した液を大量培養時の種とした。大量培養にあたっては、必要数の1L三角フラスコに海水培地を各500mL入れ、上記の種用渦鞭毛藻懸濁液を各10mL加えた。室温を25−30℃に保った室内の良く日の当たる窓際で培養した。
実施例2.ベンゾ[de]キノリン誘導体(2)の抽出、分離精製
海水培地500mLを入れた1L容三角フラスコに種用渦鞭毛藻懸濁液を10mL加えて40日間培養したもの170本分について、吸引ろ過および遠心分離を用いて藻体を湿重量で36g得た。得られた藻体を80%エタノール−水300mLに懸濁し、乳鉢ですりつぶした後、室温で3日間抽出した。濾過して得られた残渣は80%エタノール−水300mLに懸濁し、2分間沸騰、放冷後にエタノールを足してもとの液量にした。乳鉢ですりつぶし、室温で1日間抽出してろ過した。この抽出操作をもう一度繰り返した。すべてのろ液を併せて濃縮し、含水エタノール抽出物(4.5g)を得た。
上記含水エタノール抽出物(4.5g)を酢酸エチル(300mL)と水(300mL)で分配した。得られた水層を更に2回300mLの酢酸エチルで洗浄した後、酢酸エチルが完全になくなるまで減圧濃縮し、水を加えて全量を 1 L にした。内径30mmのガラスカラムにエタノールで膨潤させたポリスチレン系樹脂(東ソー製、TSK−G3000S)を高さ50mmに充填し蒸留水で十分置換した後、上記水層(1L)を流し、次いで25%エタノール、50%エタノール、75%エタノール及び100%エタノール各150mLを順次流した。50%エタノール溶出画分を集めて溶媒を留去し、緑色油状物105mgを得た。
内径17mmのガラスカラムに0.02Mリン酸緩衝溶液(pH6.9)に懸濁させた陰イオン交換樹脂(ファルマシア製、DEAESephadex A−25)を高さ170mmに充填したところへ、上記50%エタノール溶出画分(105mg)を0.02Mリン酸緩衝溶液(pH6.9)に懸濁させてのせた。0.02Mリン酸緩衝溶液(pH6.9)、0.2Mリン酸緩衝溶液(pH6.9)、2M食塩水(それぞれ50mL)を順次流した。得られた0.02Mリン酸緩衝溶液(pH6.9)溶出画分を減圧濃縮して56mgの黄色油状物を得た。
上記0.02Mリン酸緩衝溶液溶出画分(56mg)を少量のメタノール溶液とし、逆相充填剤(ナカライテクス製、Cosmosil 75C18−OPN、メタノール)を100mg充填したガラスカラムに通した後、600μLのメタノール溶液とした。これを逆相高速液体クロマトグラフィー(カラム:野村化学製、Develosil TMS UG−5、20mm×250mm;溶媒:アセトニトリル/水=20/80から40/60(グラジエント210min.)−アセトニトリル;流速:5.0mL/min.;検出:UV215nm)に、2回に分けて注入して、保持時間32分から40分までを分取、併せて濃縮して、ベンゾ[de]キノリン誘導体(2)を5.7mg、無色固体として得た。
上記ベンゾ[de]キノリン誘導体(2)の2.9mgを20%アセトニトリル−水50mLに溶解後、約1mLにまで減圧濃縮し、室温に放置して結晶化させた。残った母液をデカンテーションによって除き、少量のメタノールで結晶の表面を洗浄し、乾燥させることで無色針状結晶2.3mgを得た。
分子式 C1923NO
H−NMR(600MHz、DMSO−d):δ1.05(3H、d、J=6.2Hz、19−H)、1.25(1H、dddq、J=4.3,6.2,11.1,12.0Hz、2−H)、1.50(1H、dq、J=4.2,12.9Hz、8a−H)、1.67(1H、m、7a−H)、1.77(1H、dt、J=4.8,11.1Hz、3−H)、1.94(1H、br.dd、J=2.5,12.9Hz、8b−H)、2.03(1H、m、7b−H)、2.41(1H、br.ddd、J=2.7,11.9,12.9Hz、9−H)、2.55(1H、dd、J=11.1,11.9Hz、4−H)、2.65(1H、m、6a*−H)、2.68(1H、m、6b*−H)、3.14(1H、dd、J=14.3,12.0Hz、1a−H)、3.58(1H、dd、J=4.3,14.3Hz、1b−H)、3.65(1H、t、J=4.8Hz、12−H)、5.67(1H、ddd、J=2.7,4.8,9.6Hz、11−H)、5.79(1H、br.d、J=9.6Hz、10−H)、6.40(1H、t、J=1.8Hz、18−H)、6.53(1H、t、J=1.8Hz、14−H)、6.62(1H、t、J=1.8Hz、16−H)、9.35(1H、s、N−H)、12.8(1H、br.s、O−H). *入れ替わる可能性有り。
13C−NMR(201MHz、DMSO−d):δ15.6(q、19−C)、24.4(t、7−C)、26.2(d、2−C)、29.8(t、8−C)、33.8(t、6−C)、40.1(d、4−C)、40.8(d、3−C)、41.4(d、9−C)、41.7(d、12−C)、50.0(t、1−C)、105.8(d、16−C)、111.7(d、18−C)、112.8(d、14−C)、129.5(d、11−C)、130.4(d、10−C)、139.8(s、13−C)、154.1(s、15−C)、157.2(s、17−C)、188.0(s、5−C).
IR(KBr):3450(br)、3240(br)、1690、1610、1515、1260、1240、1140、1050cm−1
ESIMS(m/z): 400.1196[M+Na](calcd.for C1923NOSNa, 400.1195).
378.1368[M+H](calcd. for C1924NOS, 378.1375).
376.1213[M−H](calcd. for C1922NOS, 376.1219).
296.1658[M−SOH](calcd. for C1922NO, 296.1651).
[α]27 +245°(c 0.10、DMSO)
m.p. 214−215°(decomp.)
実施例3.P388増殖阻害活性試験
マウスリンパ性白血病細胞(P388)を2−ヒドロキシエチルジスルフィド5μM、硫酸カナマイシン100μg/mLを添加した10%牛胎児血清含有のRPMI−1640培地に加え、培養細胞を1x10 個/mLに調製し、前記ベンゾ[de]キノリン誘導体(2)を所定の濃度になるように添加し、CO 培養器(CO 5%、湿度100%、37℃)で4日間培養した。MTT比色法により生存細胞数を計測して、対照群に対する増殖阻害率から求めた50%細胞増殖阻害濃度(IC50)は50μg/mLであった。
実施例4.破骨細胞分化抑制試験
破骨細胞様細胞に分化するマクロファージRAW264細胞株を10%牛胎児血清加α−MEM培地に加え、96穴マイクロウェルプレートに0.4×104個/0.1mL/ウェルに調製し、CO 培養器で1日間培養した後、100ng/mL破骨細胞分化誘導因子(ODF/RANKL)を含む培地0.1mLを添加する(RANKLの終濃度50ng/mL)と同時に前記ベンゾ[de]キノリン誘導体(2)を所定の濃度になるように添加した。CO 培養器で3日間培養した後に、各ウェルの培養液を捨て、10%ホルムアルデヒド/PBS溶液で細胞を室温で15分間固定し、さらに95%エタノールを用いて室温で1分間固定した。固定終了後、固定液を捨て、室温で乾燥させた後、各ウェルについて破骨細胞初期分化マーカーである酒石酸耐性酸ホスファターゼ(TRAP)活性を測定した。即ち、各ウェル当たり0.1mLの5mMp−ニトロフェノールリン酸二ナトリウム/10mM酒石酸含有50mMクエン酸緩衝液(pH4.6)を添加して37℃で反応を開始し、20分又は発色が十分でない場合は30分後に、0.1N 水酸化ナトリウム 0.1mlを添加して反応を停止させ、遊離したp−ニトロフェノール量を分光光度計(405nm)で測定した。ベンゾ[de]キノリン誘導体(2)の各添加濃度における破骨細胞分化率(%)を化合物無添加で測定した対照群(control)のTRAP活性に対する相対値として求めた。尚、細胞をTRAP染色した後顕微鏡で観察して細胞内TRAPの状態を確認した。
前記3日間培養後、市販のCellProliferation Kit_ (ロシュ・ダイアグノスティクス社製)を用いてXTT法により生存細胞数を計測して、対照群に対する細胞生存率を求めた。図1に、細胞内のTRAP活性の測定で得た破骨細胞分化率を黒いバーで、細胞生存率を白いバーで表わしたグラフを示す。ベンゾ[de]キノリン誘導体(2)の添加によってRAW264細胞株のRANKLによる破骨細胞への分化が濃度に依存して顕著に抑制され、かつ、この時非特異的な細胞毒性は全く認められなかった。
ベンゾ[de]キノリン誘導体(2)の破骨細胞分化抑制試験の結果を表したグラフである。(実施例4)

Claims (7)

  1. 次の一般式(1)、
    Figure 2005220061
    (式中、Rは水素原子又は低級アルキル基或いはアルケニル基を表す。Rは水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基或いはアリール基を表す。Rは何も置換しない非共有電子対を表すか、又は水素原子、アルキル基、アルケニル基或いはアリール基を表し、正電荷を帯びたインモニウムカチオンを形成する。)で表されるベンゾ[de]キノリン誘導体。
  2. 次の式(2)、
    Figure 2005220061
    で表されるベンゾ[de]キノリン誘導体。
  3. 請求項1か請求項2のいずれか1項に記載のベンゾ[de]キノリン誘導体を有効成分として含有することを特徴とする医薬。
  4. 請求項1か請求項2のいずれか1項に記載のベンゾ[de]キノリン誘導体を有効成分として含有することを特徴とする食品。
  5. 抗癌性を有する請求項3に記載の医薬。
  6. 骨疾患の予防又は治療効果を有する請求項3に記載の医薬。
  7. 骨疾患の予防又は治療効果を有する健康食品又は機能性食品である請求項4に記載の食品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013520959A (ja) * 2010-03-03 2013-06-10 花王株式会社 ラウリン酸含有油脂の製造方法
US9222111B2 (en) 2011-03-24 2015-12-29 Kao Corporation Method of producing lauric acid-containing oil or fat

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