JP2005216386A - リニアテープドライブ装置及び磁気ヘッド装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁気テープの磁気ヘッドとのあたりを所定の関係に確実に設定することにより記録再生の安定化と高密度化を図る。
【解決手段】複数数の磁気ヘッド素子が、磁気テープ51の幅方向をトラック幅方向として配列されて成る磁気ヘッドチップ61が前方部に配置された磁気ヘッド構体62を設け、この磁気ヘッド構体62に、磁気ヘッドチップ61を挟んで、磁気テープの走行方向の先方側及び後方側にそれぞれ磁気テープ案内手段の一部となる固定ガイド体90を配置し、この固定ガイド体90の、磁気ヘッドチップとの構体と一体化された構成とすることによって、このガイド体の設定位置の精度を高め、ひいては固定ガイド体90による磁気テープ51の上記磁気ヘッドチップ61に対するラップ角度の設定精度を高め、磁気テープの磁気ヘッドとのあたりを所定の関係に確実に設定することができるようにする。
【選択図】図2
【解決手段】複数数の磁気ヘッド素子が、磁気テープ51の幅方向をトラック幅方向として配列されて成る磁気ヘッドチップ61が前方部に配置された磁気ヘッド構体62を設け、この磁気ヘッド構体62に、磁気ヘッドチップ61を挟んで、磁気テープの走行方向の先方側及び後方側にそれぞれ磁気テープ案内手段の一部となる固定ガイド体90を配置し、この固定ガイド体90の、磁気ヘッドチップとの構体と一体化された構成とすることによって、このガイド体の設定位置の精度を高め、ひいては固定ガイド体90による磁気テープ51の上記磁気ヘッドチップ61に対するラップ角度の設定精度を高め、磁気テープの磁気ヘッドとのあたりを所定の関係に確実に設定することができるようにする。
【選択図】図2
Description
本発明は、リニアテープドライブ装置及び磁気ヘッド装置に係る。
昨今、例えばコンピュータシステムで取り扱うデータ量の多大化によってそのバックアップ装置として磁気テープを用いたデータストレージシステムの需要が大きい。
このデータストレージシステムとして、リニアテープドライブ方式によるストレージシステムがある。
このリニアテープシステムの多くは、サーボバンド方式が採用されている(例えば特許文献1参照)。
このデータストレージシステムとして、リニアテープドライブ方式によるストレージシステムがある。
このリニアテープシステムの多くは、サーボバンド方式が採用されている(例えば特許文献1参照)。
図7は、リニアテープシステムにおけるテープフォーマットを模式的に例示したもので、磁気テープTの長手方向に沿って延長する、複数のサーボバンドSB(SB1,SB2,SB3・・・)が、テープの幅方向に、並置配列され、これらサーボバンドSB間で仕切られて複数のデータバンドDB(DB1,DB2,DB3・・・)が形成される。
これらデータバンドDBには、それぞれテープの長手方向に、多数のデータトラック(図示せず)が平行配列される。
これらデータバンドDBには、それぞれテープの長手方向に、多数のデータトラック(図示せず)が平行配列される。
磁気テープTは、多チャネル型の磁気ヘッドHDによって、選択されたデータバンドにおいて、複数のデータトラックが、同時に、記録・再生される構造となっている。
磁気ヘッドHDは、例えば図8に示すように、それぞれ複数の記録磁気ヘッド素子1Wと、再生磁気ヘッド素子1Rとを組みとする磁気ヘッド素子1Dが、トラック幅方向に、2列配列されている。
各列の磁気ヘッド素子1Dの配置間隔は、同一データバンドDBにおける間歇的位置にあるデータトラックの間隔に対応して選定される。
また、各列の磁気ヘッド素子1Dの列の両端には、この磁気ヘッド素子1Dによる記録、再生状態におけるデータバンドDBの両側のサーボバンドSBからのサーボ信号を読み出すサーボ信号の再生磁気ヘッド素子1Sが配置される。
磁気ヘッドHDは、例えば図8に示すように、それぞれ複数の記録磁気ヘッド素子1Wと、再生磁気ヘッド素子1Rとを組みとする磁気ヘッド素子1Dが、トラック幅方向に、2列配列されている。
各列の磁気ヘッド素子1Dの配置間隔は、同一データバンドDBにおける間歇的位置にあるデータトラックの間隔に対応して選定される。
また、各列の磁気ヘッド素子1Dの列の両端には、この磁気ヘッド素子1Dによる記録、再生状態におけるデータバンドDBの両側のサーボバンドSBからのサーボ信号を読み出すサーボ信号の再生磁気ヘッド素子1Sが配置される。
一方、磁気テープTは、磁気ヘッドHDに対して往復摺動移行するが、この往復移行に際し、磁気ヘッドHDが、テープの幅方向に所定量移行することによって、異なる複数のデータトラックに対して記録ないしは再生を行うようにしている。
そして、記録時においては、その往路及び復路において、それぞれ磁気テープTの移行によって先行する側(いわゆるリーディング側)の列にある記録磁気ヘッド素子1Wによって対応するトラックに対する信号記録を行い、同時にこの記録状態を、後方側(いわゆるトレイリング側)の列の再生磁気ヘッド素子1Rによってモニタする。
再生時には、2列の再生磁気ヘッド素子1Rのいずれかによって、記録されたデータ信号の再生がなされる。
そして、記録時においては、その往路及び復路において、それぞれ磁気テープTの移行によって先行する側(いわゆるリーディング側)の列にある記録磁気ヘッド素子1Wによって対応するトラックに対する信号記録を行い、同時にこの記録状態を、後方側(いわゆるトレイリング側)の列の再生磁気ヘッド素子1Rによってモニタする。
再生時には、2列の再生磁気ヘッド素子1Rのいずれかによって、記録されたデータ信号の再生がなされる。
そして、上述した記録、再生において、磁気ヘッド素子列の両端のサーボ信号再生磁気ヘッド素子1Sによって、その記録、再生がなされるデータバンドDBを挟む両側のサーボバンドSBからサーボ信号を読み出し、これによって、磁気ヘッドHDの対象のデータトラックに対する微小移動によるトラッキングサーボを行うようにしている。
このようなリニアテープにおけるLTO(Linear Tape Open)ドライブでは、磁気ヘッドHDは、選択されたデータバンドの選択された組のデータトラックに、対応する磁気ヘッド素子を位置させるための粗動追従機構と、上述したサーボ信号によるトラッキングサーボを行う微小移動を行うための微動追従機構によって、それぞれ磁気テープTの幅方向の移行がなされる。
このように、トラック選定を行う粗動追従機構とは別にトラッキング専用の微動追従機構を設けているのは、高密度化の要請によりトラック密度が高められたリニアテープにおいて、より微動の高速追従するためのトラッキングサーボが必要とされるからである。
これに対し、圧電素子を重ね合わせたバイモルフ構成による微動追従機構を用いるものの提案がなされている(特許文献2)。
特開2000−48431号公報
特開平6−20243号公報
上述したように、リニアテープドライブ装置において高記録密度化の要求に応じて、より高いトラック密度、より狭小なトラック幅が要求され、これに伴ってリニアテープドライブ装置の磁気ヘッド素子に対する磁気テープの位置関係の設定は、より正確に行われる必要がある。このため、磁気ヘッド素子と、この磁気ヘッド素子に対するテープ位置を規定するテープガイドの位置関係の設定もより正確になされることが必要とされる。
したがって、リニアテープドライブ装置及び磁気ヘッド装置を製造する場合、その組立て製造に高精度化が要求されるので、これによって歩留まりの低下、生産性の低下これによるコスト高を来たすこととなる。
本発明は、このような問題の改善を図ることができるリニアテープドライブ装置及び磁気ヘッド装置を提供することを目的とするものである。
本発明は、このような問題の改善を図ることができるリニアテープドライブ装置及び磁気ヘッド装置を提供することを目的とするものである。
本発明によるリニアテープドライブ装置においては、磁気テープの長手方向に延長する磁気トラックが、磁気テープの幅方向に多数本配列形成されるリニアテープが用いられるリニアテープドライブ装置であって、上記磁気テープの巻回部を有するテープカセットが装着されるテープカセット装着部と、 磁気ヘッド装置と、上記テープカセットから引き出された上記磁気テープを、上記磁気ヘッド装置に案内する磁気テープ案内手段とを有し、上記磁気ヘッド装置には、複数の磁気ヘッド素子が配列された磁気ヘッドチップを、前方部に有する磁気ヘッド構体が設けられ、上記磁気ヘッドチップは、上記磁気テープの幅方向をトラック幅方向として直線的に配列された複数の磁気ヘッド素子を有し、上記磁気ヘッド構体には、上記磁気ヘッドチップを挟んで、上記磁気テープの走行方向の先方側及び後方側にそれぞれ上記磁気テープ案内手段の一部となる固定ガイド体が、上記磁気ヘッド構体と機械的に一体に設けられ、上記固定ガイド体によって上記磁気テープの上記磁気ヘッドチップに対する摺接状態の設定がなされることを特徴とする。
また、本発明による磁気ヘッド装置は、磁気テープの長手方向に延長する磁気トラックが、磁気テープの幅方向に多数本配列形成されるリニアテープ用いられる磁気ヘッド装置であって、複数の磁気ヘッド素子が配列された磁気ヘッドチップを、前方部に有する磁気ヘッド構体が設けられ、上記磁気ヘッドチップは、上記磁気テープの幅方向をトラック幅方向として直線的に配列された複数の磁気ヘッド素子を有し、上記磁気ヘッド構体には、上記磁気ヘッドチップを挟んで、上記磁気テープの走行方向の先方側及び後方側にそれぞれ上記磁気テープ案内手段の一部となる固定ガイド体が、上記磁気ヘッド構体と機械的に一体に設けられ、上記固定ガイド体によって上記磁気テープの上記磁気ヘッドチップに対する摺接状態の設定がなされることを特徴とする。
また、本発明は、上述したリニアテープドライブ装置及び磁気ヘッド装置において、上記固定ガイド体は、上記磁気テープ案内面が研磨されており、上記磁気テープとの摺接による磁気テープに対する損傷の低減化がなされたジルコニア系セラミックによって構成されることを特徴とする。
また、本発明は、上述したリニアテープドライブ装置及び磁気ヘッド装置において、 上記磁気ヘッドチップと磁気テープとの摺接面を平坦面、もしくは彎曲面とし、かつ上記磁気テープの走行方向の後方側及び先方側の端縁を断面屈曲形状の稜線によって形成し、該稜線に沿って上記磁気テープを摺接する構成とすることを特徴とする。
また、本発明は、上述したリニアテープドライブ装置及び磁気ヘッド装置において、 上記固定ガイド体により、上記磁気ヘッドチップに対する上記磁気テープのラップ角度を0.5度から5度の範囲に設定することを特徴とする。
また、本発明は、上述したリニアテープドライブ装置及び磁気ヘッド装置において、上記磁気ヘッド構体には、上記磁気ヘッドチップが微動追従機構を介して取着され、該磁気ヘッド構体は、上記磁気テープの幅方向に、移動させる粗動追従機構に連結され、上記微動追従機構は、対のバイモルフ素子が相対向して配置されるツインバイモルフ型アクチュエータより成り、上記対のバイモルフ素子間に、上記磁気ヘッドチップが連結され、上記微動追従機構によって、上記磁気ヘッドチップが、上記磁気ヘッド構体に対してトラック幅方向に微小移動する構成とされ、上記粗動追従機構によって、上記磁気ヘッド構体がトラック幅方向に移動する構成とされることを特徴とする。
また、本発明は、上述したリニアテープドライブ装置及び磁気ヘッド装置において、上記磁気ヘッド構体には、上記磁気ヘッドチップが微動追従機構を介して取着され、該磁気ヘッド構体は、上記磁気テープの幅方向に、移動させる粗動追従機構に連結され、上記微動追従機構は、対のバイモルフ素子が相対向して配置されるツインバイモルフ型アクチュエータより成り、上記対のバイモルフ素子間に、上記磁気ヘッドチップが連結され、上記微動追従機構によって、上記磁気ヘッドチップが、上記磁気ヘッド構体に対してトラック幅方向に微小移動する構成とされ、上記粗動追従機構によって、上記磁気ヘッド構体がトラック幅方向に移動する構成とされることを特徴とする。
また、本発明は、上述したリニアテープドライブ装置及び磁気ヘッド装置においては、上記磁気ヘッドチップのトラック幅方向の両端が、上記バイモルフ素子にチップベースを介して連結され、該チップベースは、上記バイモルフ素子の変位端の変位に応じて変位し得る程度の剛性を有する弾性片より形成されることを特徴とする。
また、本発明は、上述したリニアテープドライブ装置及び磁気ヘッド装置において、上記磁気ヘッド構体の中央部には、上記磁気ヘッドチップが上記微動追従機構を介して配置され、該中央部の両外側に、所要の間隔を保持して対向する対向壁部を有し、該対向壁部によって、上記磁気ヘッドチップからの導出配線が形成されたフレキシブル配線基板の案内部が形成され、上記フレキシブル配線基板は、その導出配線が、上記磁気ヘッドチップから背部方向に導出され、その導出方向から上記磁気ヘッド素子の配列方向に沿って屈曲させたL字状パターンを有し、該L字状パターンの屈曲部から配線先端側の基板面を、上記案内部を介して対向壁部の内壁面から外壁面に沿うように、上記磁気ヘッドチップのトラック幅方向にU字状に湾曲させることによって、上記磁気ヘッド構体を上記粗動追従機構により移動することを特徴とする。
また、本発明は、上述したリニアテープドライブ装置及び磁気ヘッド装置において、上記固定ガイドは、上記対向壁部の前方部に該対向壁部と一体に固定されて形成されることを特徴とする。
上述したように、本発明のリニアテープドライブ装置及び磁気ヘッド装置においては、複数の磁気ヘッド素子が配列された磁気ヘッドチップを前方に有する磁気ヘッド構体を有し、この磁気ヘッド構体に、磁気テープ案内手段の一部を構成するガイド、特に磁気ヘッド素子に対する磁気テープの摺接状態を規定するテープガイド、つまり磁気ヘッドに対する正確な位置設定を行うためのテープガイドを、磁気ヘッド構体自体に固定ガイドとして配置するものである。このようにすることによって、通常におけるように磁気テープの位置設定を行うガイドを、磁気ヘッド構体とは独立した位置に配置する構成とする場合に比し、両者の位置関係を正確に設定することができ、また、組立ての簡易化を図ることができる。
そして、このテープガイドは、回転することなく固定されたガイドとして構成されることから、回転に伴うぶれの発生を回避でき、磁気ヘッド素子に対する磁気テープの摺動状態の設定を所定位置で確実に行うことができる。
また、この固定ガイドは、研磨されたジルコニア系セラミックによって滑面として構成され、磁気テープとの摩擦係数を小さくできるので、磁気テープの損傷、損耗を、効果的に回避することができる。
また、磁気ヘッドチップの前方面、すなわち、磁気テープとの摺接面が平坦面もしくは例えば円筒面、楕円筒面等の湾曲面で形成され、この磁気ヘッドチップの前方面に対する磁気テープの走行方向の先方側及び後方側の端縁が屈曲断面による稜線によって形成されること、更に、上述したように、固定ガイド体によって、磁気ヘッドチップに対する磁気テープの摺動状態を高精度に設定することにより、ラップ角度を0.5°〜5°に選定することができ、このラップ角度の選定によって、磁気ヘッドチップの端縁において、効果的に磁気テープに付着して到来する境界層の空気を掻き落として排除することができる。したがって、境界層の空気が、磁気ヘッドチップの前方面と、磁気テープとの間に入り込むことによる、磁気テープと磁気ヘッドチップの磁気ヘッド素子との対向状態を不安定にする不都合を回避でき、安定した記録ないしは再生を行うことが可能となる。
また、本発明のリニアテープドライブ装置及び磁気ヘッド装置によれば、磁気ヘッドチップが、微動追従機構を介して磁気ヘッド構体に取り付けられる一方、この磁気ヘッド構体が、磁気テープの幅方向に、移動させる粗動追従機構に連結された構成となっている。そして、先ず、粗動追従機構によって磁気ヘッド構体を粗動させ、磁気ヘッドチップを、それぞれ目的とするデータトラックに各磁気ヘッド素子が対向するように移動させる。そして同時にあるいは少し遅れて、微動追従機構のバイモルフ素子に制御電圧すなわちサーボ信号電圧を印加することよって、各データトラックに対する各磁気ヘッド素子のトラッキングサーボ動作を行っている。
また、この微動追従機構は、ツインバイモルフ型のアクチュエータとして、対のバイモルフ素子間に剛性を有する磁気ヘッドチップを配置した構成とすることにより、磁気ヘッドチップを、安定してトラック幅方向に平行移動することができる。すなわち、対のバイモルフ素子間に剛性部材を配置するに代えて、この構成では、磁気ヘッドチップ自体を配置する構成としたことによって、部品点数の減少、組立て工数の減少を図ることができ、ひいては精度の向上を図ることができるものである。
更に、磁気ヘッドチップとバイモルフ素子とを、上述した所要の剛性及び弾性を有するチップベースを介して連結し、バイモルフ素子に対してサーボ信号電圧を印加することによってバイモルフ素子を撓曲させ、その遊端をトラック幅方向に変位させる。
このとき、チップベースが所要の剛性を有するため、このチップベースは、トラック幅方向に追従変位するが、このとき、チップベースは、その弾性によってバイモルフ素子の撓曲方向と逆向きの撓曲が生じるため、結果として、磁気ヘッドチップのトラック幅方向の微小移動は、バイモルフ素子の遊端の円弧を描く変位が、より確実に補正されてより平行移動に近いものとなる。
したがって、固定ガイドによる磁気テープの磁気ヘッドチップに対する摺接状態の安定化と相俟ってより正確にトラッキングが行われる。
このとき、チップベースが所要の剛性を有するため、このチップベースは、トラック幅方向に追従変位するが、このとき、チップベースは、その弾性によってバイモルフ素子の撓曲方向と逆向きの撓曲が生じるため、結果として、磁気ヘッドチップのトラック幅方向の微小移動は、バイモルフ素子の遊端の円弧を描く変位が、より確実に補正されてより平行移動に近いものとなる。
したがって、固定ガイドによる磁気テープの磁気ヘッドチップに対する摺接状態の安定化と相俟ってより正確にトラッキングが行われる。
また、本発明構成によれば、磁気ヘッド構体の中央部に磁気ヘッドチップを配置し、その両外側に対向壁部が設けられており、磁気ヘッドに接続されたフレキシブル配線基板は、磁気ヘッドチップから背部方向に導出され、その導出方向から磁気ヘッド素子の配列方向に沿って屈曲させた逆L字状パターン(図6参照)を有し、この逆L字状パターンの屈曲部から配線先端側の基板面を、対向壁部にそってU字状に湾曲させた構成(図4参照)とすることによって、磁気ヘッドチップ及び磁気ヘッド構体がトラック幅方向に移動する際に、フレキシブル配線基板が柔軟に変形して、その移動を阻害することがないようにしている。
以下、本発明によるリニアテープドライブ装置及び磁気ヘッド装置の実施の形態を図1から図6に基づいて説明する。
図1は、本発明によるリニアテープドライブ装置の実施の形態例の概略構成図を示すものである。
図1は、本発明によるリニアテープドライブ装置の実施の形態例の概略構成図を示すものである。
リニアテープドライブ装置50は、磁気テープ51の巻回部52を有するテープカセット53が装着されるテープカセット装着部54と、後述する本発明による磁気ヘッド装置60と、テープカセット53から引き出された磁気テープ51を、磁気ヘッド装置60に案内する例えば複数のガイドピンないしはガイドローラ等の案内体55GRを有する磁気テープ案内手段55とを有している。
図示の例では、テープカセット53内に配置された磁気テープ51の第1の巻回部52と対になる第2の巻回部56がカセット53外に配置され、これら第1および第2の巻回部52と56との間に磁気ヘッド装置60を通じて磁気テープ51が往復移行するようになされている。
磁気テープ1は、図7で説明した磁気テープTにおけると同様に、その長手方向に沿って延長する複数のサーボバンドSB(SB1,SB2,SB3・・・)が、テープの幅方向に、所要の間隔を保持して並置配列され、これらサーボバンドSB間で仕切られて複数のデータバンドDB(DB1,DB2,DB3・・・)が形成される。
これらデータバンドDBには、それぞれテープの長手方向に、多数のデータトラック例えば16本、あるいは32本等の所定本数のデータトラックが平行配列される。
これらデータバンドDBには、それぞれテープの長手方向に、多数のデータトラック例えば16本、あるいは32本等の所定本数のデータトラックが平行配列される。
次に、本発明による磁気ヘッド装置の実施形態例を図2から図5に基づいて説明する。
図2は、本発明による磁気ヘッド装置60の一実施形態例の要部の斜視図、図3は、その前方部の上面図、図4は、図2の分解図、図5は、磁気ヘッド装置60の背面図である。
磁気ヘッド装置60は、図2〜図4に示すように、磁気ヘッドチップ61が、前方部に配置された磁気ヘッド構体62を有している。
図2は、本発明による磁気ヘッド装置60の一実施形態例の要部の斜視図、図3は、その前方部の上面図、図4は、図2の分解図、図5は、磁気ヘッド装置60の背面図である。
磁気ヘッド装置60は、図2〜図4に示すように、磁気ヘッドチップ61が、前方部に配置された磁気ヘッド構体62を有している。
磁気ヘッドチップ61は、図6に模式的斜視図を示すように、磁気テープのデータトラックに対する記録磁気ヘッド素子1Wと再生磁気ヘッド素子1Rとが並置された複数の磁気ヘッド素子1Dが、例えば16個、トラック幅方向に、インラインに例えば約100μmの間隔をもって配列される。そして、このインラインに配列された、磁気ヘッド素子列が、例えば約1.5mmの間隔で、2列に配列され、そして各列それぞれの対応する磁気ヘッド素子1Dが、同一トラック上に位置するように配列されている。
更に、磁気ヘッドチップ61には、磁気ヘッド素子1Dの各列の両端に、サーボ信号の再生磁気ヘッド素子1Sが形成されている。
各列の磁気ヘッド素子1Dは、データバンドにおける所定の本数分のデータトラック間隔をもって間欠的に配置され、磁気テープの繰り返し往復走行に応じて、磁気ヘッド構体62を後述する粗動追従機構によってトラック幅方向に移行させることによって、順次、各データトラックに対する記録ないしは再生を行うようにしている。
各列の磁気ヘッド素子1Dは、データバンドにおける所定の本数分のデータトラック間隔をもって間欠的に配置され、磁気テープの繰り返し往復走行に応じて、磁気ヘッド構体62を後述する粗動追従機構によってトラック幅方向に移行させることによって、順次、各データトラックに対する記録ないしは再生を行うようにしている。
この磁気ヘッド構成において、磁気テープの往路または復路にあって、一方の列の磁気ヘッド素子1Dの記録磁気ヘッド素子1Wによって、対応するデータトラックに対する記録を行うとき、このデータトラックの記録状態を、このデータトラックに位置する他方の列の磁気ヘッド素子1Dの再生磁気ヘッド1Rによってモニタするようにしている。
また、磁気ヘッドチップ61の前方面、すなわち磁気テープとの摺動面61SFは、平坦面もしくはトラック幅方向を軸とする円筒面、楕円筒面等の彎曲面とすることができ、そのテープ走行方向の先方側及び後方側のトラック幅方向に沿う縁部61RLが、断面屈曲形状の稜線を形成し、この稜線に磁気テープ51が摺接するようになされる。
また、磁気ヘッドチップ61の前方面、すなわち磁気テープとの摺動面61SFは、平坦面もしくはトラック幅方向を軸とする円筒面、楕円筒面等の彎曲面とすることができ、そのテープ走行方向の先方側及び後方側のトラック幅方向に沿う縁部61RLが、断面屈曲形状の稜線を形成し、この稜線に磁気テープ51が摺接するようになされる。
磁気ヘッドチップ61の各列の磁気ヘッド素子1Dは、一対の磁気ヘッドチップ素子61A、61Bが接合合体されて構成される。
各磁気ヘッドチップ素子61A、61Bは、例えばMR(磁気抵抗効果)型の再生磁気ヘッド素子によって再生磁気ヘッド素子1S及びサーボ信号の再生磁気ヘッド素子1Rを配列形成し、この上にそれぞれ電磁誘導型の薄膜磁気ヘッド素子からなる記録磁気ヘッド素子1Wを積層形成した構造になっている。
各磁気ヘッドチップ素子61A、61Bは、例えばMR(磁気抵抗効果)型の再生磁気ヘッド素子によって再生磁気ヘッド素子1S及びサーボ信号の再生磁気ヘッド素子1Rを配列形成し、この上にそれぞれ電磁誘導型の薄膜磁気ヘッド素子からなる記録磁気ヘッド素子1Wを積層形成した構造になっている。
上述したサーボ信号の再生磁気ヘッド素子1S及び磁気ヘッド素子1Dの配列部、すなわち磁気ヘッド素子群の形成部は、磁気ヘッドチップ61のトラック幅方向の略中央部に構成され、そのトラック幅方向の全長は、テープ幅より大に、例えばテープ幅が1/2インチである場合、このテープ幅の2倍に相当する幅に選定される。このように磁気ヘッドチップ長を選定することにより、磁気ヘッドチップ61が磁気テープの幅方向に対して相対的移行をする際に、磁気テープ51との当たりが全域において均一になされるようにすることができる。
そして、磁気ヘッドチップ61を構成する各磁気ヘッドチップ素子61A、61Bの各磁気ヘッド素子の端子に接続された導出配線63が形成されたフレキシブル基板64が、磁気ヘッドチップ61の背部方向に導出される。そして、このフレキシブル基板64は、磁気ヘッドチップからの導出方向から磁気ヘッド素子の配列方向(トラック幅方向)に向けて、図6に示すように屈曲して延長させた同図において逆L字状パターンとして形成される。
磁気ヘッド構体62は、例えば図2及び図4に示すように、先端に磁気ヘッドチップ61が配置される中央部62Aと、その両側に所要の間隔を保持して対向する対向壁部62Bを有する、全体としてE字状をなすブロックによって構成することができる。
この磁気ヘッド構体62の中央部62Aの先端部すなわち前方部に、微動追従機構としてのトラッキング機構67を介して、磁気ヘッドチップ61が配置される。
この磁気ヘッド構体62の中央部62Aの先端部すなわち前方部に、微動追従機構としてのトラッキング機構67を介して、磁気ヘッドチップ61が配置される。
このトラッキング機構67としては、磁気ヘッド構体62の中央部62Aに、磁気ヘッドチップ61のトラック幅方向の全長に対応する間隔をもって対向するように、中央部62Aの両端面に、それぞれ一端が固定された一対のバイモルフ素子65が配置されている。
更に、これらバイモルフ素子62の遊端(変位端)には、例えば中間部においてコの字型に屈曲させたチップベース66の一端が取着されている。このチップベース66は、例えばカーボン繊維入りの樹脂等によって形成される。
更に、これらバイモルフ素子62の遊端(変位端)には、例えば中間部においてコの字型に屈曲させたチップベース66の一端が取着されている。このチップベース66は、例えばカーボン繊維入りの樹脂等によって形成される。
そして、これら一対のチップベース66の遊端に図2及び図3に示すように、磁気ヘッドチップ61の両端が接着される。
このように、一対のバイモルフ素子65からなるいわゆるツインバイモルフ型アクチュエータによって微動追従機構としてのトラッキング機構67が構成され、磁気ヘッドチップ61の微動追従が行われる。
このように、一対のバイモルフ素子65からなるいわゆるツインバイモルフ型アクチュエータによって微動追従機構としてのトラッキング機構67が構成され、磁気ヘッドチップ61の微動追従が行われる。
このトラッキング機構67は、バイモルフ素子65にトラッキング制御信号を印加することによりバイモルフ素子67を撓曲させ、これら間に配置された磁気ヘッドチップ61を、その多チャネル配列方向、すなわちトラック幅方向に微小移動させて、磁気ヘッド素子を対応するデータトラックにトラッキングさせるように動作する。
例えば、トラッキング機構67は、±150ボルトで、±20μmの変位量を得ることができるものであり、これによって、トラッキングエラーを許容偏差内に抑えることが可能となる。
例えば、トラッキング機構67は、±150ボルトで、±20μmの変位量を得ることができるものであり、これによって、トラッキングエラーを許容偏差内に抑えることが可能となる。
また、本発明の実施の形態例においては、トラッキング機構67によって微小移動がなされる磁気ヘッドチップ61に、ダンピング機構68が設けられている。
このダンピング機構68は、図2〜図4に示すように、例えば磁気ヘッドチップ61の両端に機械的に連結したダンピング体69が配置され、これを囲んで粘弾性材の保持部70が配置される。
このダンピング機構68は、図2〜図4に示すように、例えば磁気ヘッドチップ61の両端に機械的に連結したダンピング体69が配置され、これを囲んで粘弾性材の保持部70が配置される。
図2〜図4で示した例は、テープ幅方向に関する磁気ヘッドチップの移動を抑制する構成とした場合である。これにより過渡的な変位応答で不必要なオーバーシュートを軽減する効果を得る。
この場合、ダンピング体69は、磁気ヘッド素子の、差動磁気ギャップの深さ方向と交叉する面に配置された例えば長方形の板状に構成され、保持部70は、その内形状が、この板状のダンピング体69を囲む扁平空間を形成する形状とされる。
この場合、ダンピング体69は、磁気ヘッド素子の、差動磁気ギャップの深さ方向と交叉する面に配置された例えば長方形の板状に構成され、保持部70は、その内形状が、この板状のダンピング体69を囲む扁平空間を形成する形状とされる。
このダンピング機構68の組み立ては、例えば次のような手順で行われる。
まず、磁気ヘッド構体62に固定された1対のバイモルフ素子65の遊端にそれぞれ接合されたチップベース66に差し渡って磁気ヘッドチップ61の両端を接着する。
その後、2本の支持体71を、対向壁部62Bの前方面に差し渡って例えばねじ止めする。そして、保持部70A及び70Bを、これら保持部70A及び70Bのコの字状をなす枠部70A1及び70B1内に、磁気ヘッドチップ61に配置されたダンピング体を挿入させるように配置した状態で、両支持体71に差し渡って同様に例えばねじ止めによって固定する。
まず、磁気ヘッド構体62に固定された1対のバイモルフ素子65の遊端にそれぞれ接合されたチップベース66に差し渡って磁気ヘッドチップ61の両端を接着する。
その後、2本の支持体71を、対向壁部62Bの前方面に差し渡って例えばねじ止めする。そして、保持部70A及び70Bを、これら保持部70A及び70Bのコの字状をなす枠部70A1及び70B1内に、磁気ヘッドチップ61に配置されたダンピング体を挿入させるように配置した状態で、両支持体71に差し渡って同様に例えばねじ止めによって固定する。
図3に示すように、ダンピング体69と保持部70の枠部70A1及び70B1の内壁面との間には、粘弾性材80が介在され、ダンピング体69が粘弾性材80と接触した状態となる。
一方、図2及び図4に示すように、磁気ヘッドチップ61の背部方向に導出されたフレキシブル配線基板64は、例えば上述した逆L字状屈曲部よりの延長部を、磁気ヘッド構体62の両対向壁部62Bの内壁面に沿ってトラック幅方向に湾曲させ、更に、両対向壁部62Bの上端を巡ってU字状に外壁面に沿って湾曲させて磁気ヘッド構体62外に導出する。
以上のように、磁気ヘッドチップ61とフレキシブル配線基板64の配置関係を構成したので、トラッキング機構67による磁気ヘッドチップ61のトラック幅方向の移動、更には後述する磁気ヘッド構体62の粗動追従機構72(図5参照)によるトラック幅方向移動の際に、その移動が、フレキシブル基板64によって阻害されることがない。
そして、特に本発明の磁気ヘッド構体62においては、磁気ヘッドチップ61を挟んでその両側、すなわち磁気テープが磁気ヘッドチップ61から引き出される先方側及び後方側に、磁気ヘッドチップ1に対する磁気テープの摺接状態を規定する一対の固体ガイド体90が配置されている。具体的には、図3に示すように、この固定ガイド体90によって磁気ヘッドチップ1に対する磁気テープ51のラップ角度α及びβが決定されるようになっている。
この固定ガイド90によって規定されるラップ角α及びβは、0.5°〜5°に選定される。これは、この範囲で、上述した磁気テープ51の境界層の空気を効果的に掻き落とすことができ、かつ磁気ヘッドチップ61の磁気ヘッド素子の磁気ギャップが臨む前方面に、磁気テープ51が良好にランディングすることができることによる。
そして、このラップ角度を精度良く保つことは、良好な記録、再生を行う上で極めて重要である。すなわち、このラップ角度が0.5°をわずかに下回った場合でも、上述した境界層の空気の掻き落としが阻害され、ラップ角度が5°を越えると、磁気テープ51の剛性によって、磁気ヘッドチップ61の磁気ヘッド素子の磁気ギャップが臨む面への磁気テープのランディングが良好になされなくなって、適切な記録、再生が阻害されるのである。
なお、固定ガイド体90に対するラップ角は、さほど高い精度を必要とするものではなく、テープが過渡的に浮上しない量の例えば0.5°以上であれば十分である。
なお、固定ガイド体90に対するラップ角は、さほど高い精度を必要とするものではなく、テープが過渡的に浮上しない量の例えば0.5°以上であれば十分である。
固定ガイド体90は、例えば図2〜図4に示されるように、磁気テープ51との摺動面がトラック幅方向を軸とする円筒面を有する円柱ないしは円筒体によって構成されており、その両端において取り付け具91によって対向壁部62Bの両面に固定治具91を介してねじ止め等によって固定される。
図示の例のように、この取り付け位置は、例えば支持体71によって規定された位置に配置されるようにする。
図示の例のように、この取り付け位置は、例えば支持体71によって規定された位置に配置されるようにする。
上述したように、磁気ヘッドチップ61に対する磁気テープ51のラップ角度は、高精度に設定することが磁気ヘッドにおける記録再生特性において重要なことであることから、このラップ角度を規定する固体ガイド90の位置設定は、高い精度を必要とする。
更に、磁気ヘッド装置60は、図5に示すように、磁気ヘッド構体62をトラック幅方向に移動させる粗動追従機構72を有する。
この磁気ヘッド構体62は、トラック幅方向に移動可能に構成されるが、この移動方向を中心として回転することがないように設定される。
この磁気ヘッド構体62は、トラック幅方向に移動可能に構成されるが、この移動方向を中心として回転することがないように設定される。
粗動追従機構72は、例えばリニアテープドライブ装置のシャーシ等の固定基板に取り付けられたステップモータ等の駆動部73を有する。この駆動部73の回転軸74は、その軸方向がトラック幅方向に配置され、この回転軸74に連結具75を介して、螺杆(ねじ)76が、回転可能に一体に連結される。
一方、磁気ヘッド構体62に螺杆76と螺合する螺孔77が貫通形成される。
このように、駆動部73の回転軸74の回転により螺杆76を回転させることによって、この螺杆76に沿って磁気ヘッド構体62をトラック幅方向に移動させるようにしている。
一方、磁気ヘッド構体62に螺杆76と螺合する螺孔77が貫通形成される。
このように、駆動部73の回転軸74の回転により螺杆76を回転させることによって、この螺杆76に沿って磁気ヘッド構体62をトラック幅方向に移動させるようにしている。
この構成による磁気ヘッド装置60によれば、上述した粗動追従機構72によって、磁気ヘッド構体62をトラック幅方向に移動させることができ、これによって磁気ヘッドチップ61を、選定された所定のデータバンドにおける所定の幅方向の位置に移動させ、それぞれの磁気ヘッド素子1Dを、目的とするデータトラックに対向させるようにしている。
そして、このとき、サーボ信号の再生磁気ヘッド素子1Sは、この選択されたデータトラックの両側に位置するサーボバンドに対向するように、磁気ヘッド素子1Dとの位置関係が設定されているものである。したがって、このサーボ信号の再生磁気ヘッド素子1Sによって、サーボ信号の読み出しがなされ、サーボ信号が検出される。
そして、このとき、サーボ信号の再生磁気ヘッド素子1Sは、この選択されたデータトラックの両側に位置するサーボバンドに対向するように、磁気ヘッド素子1Dとの位置関係が設定されているものである。したがって、このサーボ信号の再生磁気ヘッド素子1Sによって、サーボ信号の読み出しがなされ、サーボ信号が検出される。
このサーボ信号の検出によって得たトラッキング制御信号電圧が、トラッキング機構67を構成するツインバイモルフ型アクチュエータにおける両バイモルフ素子65に印加され、これにより、磁気ヘッドチップ61がトラック幅方向に微小移動し、磁気ヘッド素子1Dを、各データトラックに対してトラッキング制御することができる。
このように、ツインバイモルフ型アクチュエータを用いることによって、磁気ヘッドチップ61は、安定してトラック幅方向の微小移動を行うことができるものであるが、更に、この構成においては、磁気ヘッドチップ61を、一対のバイモルフ素子65の遊端(変位端)にチップベース66を配置し、これらチップベース66の遊端間に、剛性の磁気ヘッドチップ61が配置されているので、磁気ヘッドチップ1は、バイモルフ素子65の遊端が描く弧によって磁気テープ面と垂直方向の変位が抑制され、平行状態を保持した状態でトラック幅方向に移動される。
すなわち、サーボ信号の再生磁気ヘッド素子1Sによってサーボバンドから読み出された制御信号電圧をバイモルフ素子65に印加することによって、バイモルフ素子65が撓曲し、その遊端に変位が生じる。これによって所要の剛性及び弾性を有するチップベース66がトラック幅方向に移動し、磁気ヘッドチップ61をトラック幅方向に微小移動させる。このとき、チップベース66が、バイモルフ素子65の撓曲方向とは反対側に幾分撓曲されるため、バイモルフ素子65の遊端が描く弧を、チップベース66の逆向きの撓曲によって緩和することができ、磁気ヘッドチップ61のトラック幅方向への移動を同一面内で平行移動させることができる。これにより、磁気テープ51と磁気ヘッドチップ61との対接関係を、微動追従機構によるトラック幅方向への移動において、均一とすることができる。
また、上述したように、磁気ヘッドチップ61の長さを磁気テープ51の幅の2倍に選定することによって、磁気テープの幅方向に関する磁気ヘッドチップ61の全移動に関して良好なあたりを得ることができる。
例えば、テープの幅を1/2インチ、磁気ヘッドの磁気ギャップのトラック幅を5μm、トラックピッチを100μmに設定すると、磁気ヘッドチップ61の、トラック幅方向の両端の磁気ギャップの間隔は、約1.7mmに達する。そして、磁気ヘッド素子形成部を磁気テープが良好に摺動するために、磁気ヘッド素子の形成部の上下に、少なくとも300μm程度の磁気テープ摺動面を設ける必要があり、このために、磁気ヘッドチップ61としては、トラック幅方向の全長として約2.3mmを必要とする。
例えば、テープの幅を1/2インチ、磁気ヘッドの磁気ギャップのトラック幅を5μm、トラックピッチを100μmに設定すると、磁気ヘッドチップ61の、トラック幅方向の両端の磁気ギャップの間隔は、約1.7mmに達する。そして、磁気ヘッド素子形成部を磁気テープが良好に摺動するために、磁気ヘッド素子の形成部の上下に、少なくとも300μm程度の磁気テープ摺動面を設ける必要があり、このために、磁気ヘッドチップ61としては、トラック幅方向の全長として約2.3mmを必要とする。
この場合、上述したように、磁気テープ51の幅を1/2インチ(12.65mm)とすると、全長2.3mm程度の磁気ヘッドチップ61は、磁気テープの全幅の一部分しか摺動しない。
このとき、摺動しているテープ部分と非接触のテープ部分とではそのテンションに差が生じる。その結果、テープ幅方向へ不要な力が発生するので、これが正確なトラッキングを得ようとするときの障害となる。
このとき、摺動しているテープ部分と非接触のテープ部分とではそのテンションに差が生じる。その結果、テープ幅方向へ不要な力が発生するので、これが正確なトラッキングを得ようとするときの障害となる。
そこで、上述した磁気ヘッドチップ61に対するラップ角度α及びβを例えば2°とし、両固定ガイド90と磁気ヘッドチップ61の磁気ヘッド素子までのスパン(距離)が25.5mmであるとすると、この場合、ラップ角度2°をもってラップしたテープテンションと、ラップしないテープテンションとの差は0.3Nとなり、例えば通常のテープテンションが1Nとすると、これらラップしたテープテンションと、しないテープテンションとの差は30%にも達し、このテンションの差は、テープ幅方向への不要な力を発生することになり、記録再生特性の低下、テープの損傷、損耗を来たし、好ましくない。
そこで、前述したように、磁気ヘッドチップ61の全体の長さは、磁気テープの幅を超えた長さ、すなわち、テープ幅が、1/2インチである場合、テープ幅の約2倍の、25mmとすることが望ましい。
ところで、本発明による磁気ヘッド装置の組み立て製造において、磁気ヘッドチップ61の突き出し量の設定、及び固定ガイド90の設定は、例えば図2で示す磁気ヘッド構体62の背面位置を基準面Bとして、この基準面Bから磁気ヘッドチップ61及び固定ガイド90までの距離を設定することによってなされる。
しかしながら、上述したように、磁気ヘッドチップ61の長さが長い場合、そのモーメントが大きくなることから、多数の各磁気ヘッド素子1Dのそれぞれに関して、小さい公差をもって組み立てることが重要となる。
しかしながら、上述したように、磁気ヘッドチップ61の長さが長い場合、そのモーメントが大きくなることから、多数の各磁気ヘッド素子1Dのそれぞれに関して、小さい公差をもって組み立てることが重要となる。
このため、まず、バイモルフ素子65の各一端にチップベース66を接合し、これらバイモルフ素子65の各他端を、磁気ヘッド構体62の中央部62Aの前方のトラック幅方向の両端面に、例えばねじ止めによって固定する。
そして、その後、マニピュレータによって上述した基準面Bを基準として、磁気ヘッドチップ61の突き出し量の設定、あおり(zenith)、アジマス(azimuth)等の調整を、例えば予め磁気ヘッドチップ61に付しておいたマークを基準にして行い、この調整位置で、チップベース66の遊端に、例えば瞬間的に接着が可能な接着剤によって磁気ヘッドチップ61の両端を接合する。
そして、その後、マニピュレータによって上述した基準面Bを基準として、磁気ヘッドチップ61の突き出し量の設定、あおり(zenith)、アジマス(azimuth)等の調整を、例えば予め磁気ヘッドチップ61に付しておいたマークを基準にして行い、この調整位置で、チップベース66の遊端に、例えば瞬間的に接着が可能な接着剤によって磁気ヘッドチップ61の両端を接合する。
以上の手順により、高い精度を期待することができる。これに比し、例えばバイモルフ素子65を、チップベース66を介して磁気ヘッドチップ1の両端に固定したヘッドアッセンブリを形成し、これを、ヘッドチップ1の上述した各位置関係を測定しつつ、バイモルフ素子65の端部を、磁気ヘッド構体62の中央部62Aの上述した前方部に、ねじ止め等によって固定する手順によるときは、磁気ヘッドチップ61の長さが、25mmにも及ぶ場合、そのモーメントが大であることから高い精度の組立てが、極めて困難となる。
そして、固定ガイド体90においても、上述した基準面Bを基準として、これと所定の距離の面及び磁気ヘッドチップ61との距離、すなわちスパンが選定されて、上述した所定のラップ角度が得られる位置に取着される。
この固定ガイド90は、上述したように、磁気テープの磁気ヘッドチップ61に対するラップ角度を規定するものであり、このラップ角度は、例えばわずか2°であることから、磁気ヘッドチップ61と、固定ガイド90とのスパンが25.5mmでは、ヘッドの突き出し量は、わずか0.89mmとなる。したがって、上述した磁気ヘッドチップアッセンブリの取り付けと共に、このラップ角度を規定するガイド体90との位置関係は、極めて高い精度を必要とする。
ところが、通常のリニアテープドライブ装置においては、ラップ角度等の磁気ヘッドチップに対する摺接状態を規定するガイドが、磁気ヘッド装置とは別体の固定部側、例えばドライブ装置のシャーシ等の基板側に配置されることから、磁気ヘッドチップ61との位置関係の設定の誤差は大きく、また、リニアテープドライブ装置の組み立て製造にはかなりの時間と手間を要する。
ところが、通常のリニアテープドライブ装置においては、ラップ角度等の磁気ヘッドチップに対する摺接状態を規定するガイドが、磁気ヘッド装置とは別体の固定部側、例えばドライブ装置のシャーシ等の基板側に配置されることから、磁気ヘッドチップ61との位置関係の設定の誤差は大きく、また、リニアテープドライブ装置の組み立て製造にはかなりの時間と手間を要する。
これに対し、上述の本発明構成によれば、磁気ヘッド構体62に、磁気テープ案内手段の一部を構成するガイド、特に磁気ヘッド素子に対する磁気テープの摺接状態、殊にラップ角度を規定するガイドを、固定ガイド90として設ける構成としたことによって、両者の位置関係を正確に設定することができるとともに、高い精度で目的とする磁気ヘッド装置とリニアテープドライブ装置を構成することができる。更に、この結果、歩留まりの向上、量産性の向上、コストの低廉化を図ることができるものである。
このように、本発明構成では、磁気ヘッドチップ61及び固定ガイド90の取り付け精度が向上するので、データトラックの幅の狭小化、高密度化を図ることができ、記録密度の向上が図られる。
このように、本発明構成では、磁気ヘッドチップ61及び固定ガイド90の取り付け精度が向上するので、データトラックの幅の狭小化、高密度化を図ることができ、記録密度の向上が図られる。
なお、図示した例においては、固定ガイド体90が、円筒ないしは円柱による磁気テープとの摺接面が円筒面である場合であるが、楕円面等のトラック幅方向を軸とする彎曲筒面によって構成することもできる。また、上述した例では、固定ガイド体90が、磁気ヘッド構体62と別体に構成して磁気ヘッド構体62に取着した場合であるが、磁気ヘッド構体62の例えば対向壁部62Bの前方面に一体に成型した構成とすることもできる。
また、図示した実施の形態例においては、磁気ヘッド構体62が、中央部62Aに、対向壁部62Bが、取り付けられた状態を示しているが、これらを一体物として作製することもできるなど、上述した実施の形態例に限らず、本発明構成において種々の変更を行うことができることはいうまでもないことである。
1R・・・再生磁気ヘッド素子、1W・・・記録磁気ヘッド素子、1D・・・磁気ヘッド素子、50・・・リニアテープドライブ装置、51・・・磁気テープ、52・・・(第1の)巻回部、53・・・テープカセット、54・・・テープカセット装着部、55・・・磁気テープ案内手段、55GR・・・案内体、60・・・磁気ヘッド装置、61・・・磁気ヘッドチップ、61A・・・磁気ヘッドチップ素子、61SF・・・前方面(摺動面)、61RL・・・縁部、62・・・磁気ヘッド構体、62A・・・中央部、62B・・・対向壁部、63・・・導出配線、64・・・フレキシブル配線基板、65・・・バイモルフ素子、66・・・チップベース、67・・・微動追従機構(トラッキング機構)、68・・・ダンピング機構、69・・・ダンピング体、70・・・保持部、70A,70B・・・保持部材、71・・・支持体、72・・・粗動追従機構、73・・・駆動部、74・・・回転軸、75・・・連結具、76・・・螺杆、77・・・螺孔、80・・・粘弾性材、90・・・固定ガイド
Claims (16)
- 磁気テープの長手方向に延長する磁気トラックが、磁気テープの幅方向に多数本配列形成されるリニアテープが用いられるリニアテープドライブ装置であって、
上記磁気テープの巻回部を有するテープカセットが装着されるテープカセット装着部と、
磁気ヘッド装置と、
上記テープカセットから引き出された上記磁気テープを、上記磁気ヘッド装置に案内する磁気テープ案内手段と
を有し、
上記磁気ヘッド装置には、複数の磁気ヘッド素子が配列された磁気ヘッドチップを、前方部に有する磁気ヘッド構体が設けられ、
上記磁気ヘッドチップは、上記磁気テープの幅方向をトラック幅方向として直線的に配列された複数の磁気ヘッド素子を有し、
上記磁気ヘッド構体には、上記磁気ヘッドチップを挟んで、上記磁気テープの走行方向の先方側及び後方側にそれぞれ上記磁気テープ案内手段の一部となる固定ガイド体が、上記磁気ヘッド構体と機械的に一体に設けられ、上記固定ガイド体によって上記磁気テープの上記磁気ヘッドチップに対する摺接状態の設定がなされること
を特徴とするリニアテープドライブ装置。 - 上記固定ガイド体は、上記磁気テープ案内面が研磨されており、上記磁気テープとの摺接による磁気テープに対する損傷の低減化がなされたジルコニア系セラミックによって構成されること
を特徴とする請求項1に記載のリニアテープドライブ装置。 - 上記磁気ヘッドチップの磁気テープとの摺接面を平坦面、もしくは彎曲面とし、かつ上記磁気テープの走行方向の後方側及び先方側の端縁を断面屈曲形状の稜線によって形成し、該稜線に沿って上記磁気テープを摺接する構成とすること
を特徴とする請求項1に記載のリニアテープドライブ装置。 - 上記固定ガイド体により、上記磁気ヘッドチップに対する上記磁気テープのラップ角度を0.5度から5度の範囲に設定すること
を特徴とする請求項1に記載のリニアテープドライブ装置。 - 上記磁気ヘッド構体には、上記磁気ヘッドチップが微動追従機構を介して取着され、
該磁気ヘッド構体は、上記磁気テープの幅方向に、移動させる粗動追従機構に連結され、
上記微動追従機構は、対のバイモルフ素子が相対向して配置されるツインバイモルフ型アクチュエータより成り、
上記対のバイモルフ素子間に、上記磁気ヘッドチップが連結され、
上記微動追従機構によって、上記磁気ヘッドチップが、上記磁気ヘッド構体に対してトラック幅方向に微小移動する構成とされ、
上記粗動追従機構によって、上記磁気ヘッド構体がトラック幅方向に移動する構成とされること
を特徴とする請求項1に記載のリニアテープドライブ装置。 - 上記磁気ヘッドチップのトラック幅方向の両端が、上記バイモルフ素子にチップベースを介して連結され、
該チップベースは、上記バイモルフ素子の変位端の変位に応じて変位し得る程度の剛性を有する弾性片より形成されること
を特徴とする請求項5に記載のリニアテープドライブ装置。 - 上記磁気ヘッド構体の中央部には、上記磁気ヘッドチップが上記微動追従機構を介して配置され、該中央部の両外側に、所要の間隔を保持して対向する対向壁部を有し、該対向壁部によって、上記磁気ヘッドチップからの導出配線が形成されたフレキシブル配線基板の案内部が形成され、
上記フレキシブル配線基板は、その導出配線が、上記磁気ヘッドチップから背部方向に導出され、その導出方向から上記磁気ヘッド素子の配列方向に沿って屈曲させたL字状パターンを有し、該L字状パターンの屈曲部から配線先端側の基板面を、上記案内部を介して対向壁部の内壁面から外壁面に沿うように、上記磁気ヘッドチップのトラック幅方向にU字状に湾曲させることによって、上記磁気ヘッド構体を上記粗動追従機構により移動すること
を特徴とする請求項1に記載のリニアテープドライブ装置。 - 上記固定ガイドは、上記対向壁部の前方部に該対向壁部と一体に固定されて形成されること
を特徴とする請求項7に記載のリニアテープドライブ装置。 - 磁気テープの長手方向に延長する磁気トラックが、磁気テープの幅方向に多数本配列形成されるリニアテープ用いられる磁気ヘッド装置であって、
複数の磁気ヘッド素子が配列された磁気ヘッドチップを、前方部に有する磁気ヘッド構体が設けられ、
上記磁気ヘッドチップは、上記磁気テープの幅方向をトラック幅方向として直線的に配列された複数の磁気ヘッド素子を有し、
上記磁気ヘッド構体には、上記磁気ヘッドチップを挟んで、上記磁気テープの走行方向の先方側及び後方側にそれぞれ上記磁気テープ案内手段の一部となる固定ガイド体が、上記磁気ヘッド構体と機械的に一体に設けられ、上記固定ガイド体によって上記磁気テープの上記磁気ヘッドチップに対する摺接状態の設定がなされること
を特徴とする磁気ヘッド装置。 - 上記固定ガイド体は、上記磁気テープ案内面が研磨されており、上記磁気テープとの摺接による磁気テープに対する損傷の低減化がなされたジルコニア系セラミックによって構成されること
を特徴とする請求項9に記載の磁気ヘッド装置。 - 上記磁気ヘッドチップと磁気テープとの摺接面を平坦面、もしくは彎曲面とし、かつ上記磁気テープの走行方向の後方側及び先方側の端縁を断面屈曲形状の稜線によって形成し、該稜線に沿って上記磁気テープを摺接する構成とすること
を特徴とする請求項9に記載の磁気ヘッド装置。 - 上記固定ガイド体により、上記磁気ヘッドチップに対する上記磁気テープのラップ角度を0.5度から5度の範囲に設定すること
を特徴とする請求項9に記載の磁気ヘッド装置。 - 上記磁気ヘッド構体には、上記磁気ヘッドチップが微動追従機構を介して取着され、
該磁気ヘッド構体は、上記磁気テープの幅方向に、移動させる粗動追従機構に連結され、
上記微動追従機構は、対のバイモルフ素子が相対向して配置されるツインバイモルフ型アクチュエータより成り、
上記対のバイモルフ素子間に、上記磁気ヘッドチップが連結され、
上記微動追従機構によって、上記磁気ヘッドチップが、上記磁気ヘッド構体に対してトラック幅方向に微小移動する構成とされ、
上記粗動追従機構によって、上記磁気ヘッド構体がトラック幅方向に移動する構成とされること
を特徴とする請求項9に記載の磁気ヘッド装置。 - 上記磁気ヘッドチップのトラック幅方向の両端が、上記バイモルフ素子にチップベースを介して連結され、
該チップベースは、上記バイモルフ素子の変位端の変位に応じて変位し得る程度の剛性を有する弾性片より形成されること
を特徴とする請求項13に記載の磁気ヘッド装置。 - 上記磁気ヘッド構体の中央部には、上記磁気ヘッドチップが上記微動追従機構を介して配置され、該中央部の両外側に、所要の間隔を保持して対向する対向壁部を有し、該対向壁部によって、上記磁気ヘッドチップからの導出配線が形成されたフレキシブル配線基板の案内部が形成され、
上記フレキシブル配線基板は、その導出配線が、上記磁気ヘッドチップから背部方向に導出され、その導出方向から上記磁気ヘッド素子の配列方向に沿って屈曲させたL字状パターンを有し、該L字状パターンの屈曲部から配線先端側の基板面を、上記案内部を介して対向壁部の内壁面から外壁面に沿うように、上記磁気ヘッドチップのトラック幅方向にU字状に湾曲させることによって、上記磁気ヘッド構体を上記粗動追従機構により移動すること
を特徴とする請求項9に記載の磁気ヘッド装置。 - 上記固定ガイドは、上記対向壁部の前方部に該対向壁部と一体に固定されて形成されること
を特徴とする請求項15に記載の磁気ヘッド装置。
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