JP2005214828A - 故障判定手段を有する変位測定装置および変位測定装置の故障検出方法 - Google Patents

故障判定手段を有する変位測定装置および変位測定装置の故障検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】即座に回路の異常を検出する変位測定装置の故障判定手段および故障検出方法を提供する。
【解決手段】変位測定装置および故障判定手段は、変位量検出部に一対のコイルを有するセンサ部とトランジスタからなるブリッジ駆動部とを有する。センサ部から出力される過渡応答信号は固定部材に対する可動部材の変位に伴って変動し、ブリッジ駆動部に変位測定装置駆動パルスを入力し各コイルによる過渡応答の差分を検出し応答波形を求める。変位測定装置が正常なら応答波形が常に特定時間に通過する点である特異点をサンプリングし、特異点を通過するか否かを検出して故障を判断する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、回転運動の角度変位または往復運動の変位を相補的なインピーダンス変化から略比例的な変位として検出するとともに故障を検出する変位測定装置およびそのような変位測定装置における故障検出方法に関する。
従来から、相補的なインピーダンス変化から略比例的な変位として検出する変位測定装置において、ブリッジ駆動部をパルス駆動することで変位量検出部を駆動し、その定常状態の応答信号から変位を検出する故障判定手段であって、故障検出を行う場合、コイルを接続する端子の接合不具合や、ブリッジ部を駆動するためのトランジスタの故障を検出するのに過渡応答が収束してからの定常状態の信号を取り込み、記憶部に記憶させておいた組立初期値と比較して故障を検出する故障判定手段に係る発明が知られている(たとえば、特許文献1参照)。図4の(a)ないし(d)に示すタイムチャートにおいて、等価回路30に入力される前記ステップ信号とこのステップ信号に対応して現われる応答波形g(t)との関係を示す。この図4のタイムチャートにおいては横方向が時間tの経過を示し、(a)に示す変位測定装置の駆動パルスとしてのステップ信号がt=t1からt=t5’までの区間が変位量測定と故障検出の1サイクルであり、(b)に示す前記ステップ信号に対応してあらわれる応答波形g(t)の信号値を(c)に示すサンプリング信号によって、このサンプリング信号の立下り時間t=t2までサンプリングして変位量を測定するとともに、(d)に示すサンプリング信号によって、このサンプリング信号の立下り時間t=t3’までサンプリングして故障検出を行う。
図6ないし図10は、この従来の故障判定手段が用いられた、変位測定装置2を車両用の電動パワーステアリング装置に適用した構造例である。前記電動パワーステアリング装置を構成する変位測定装置2および減速ギアの断面構造を示す図8において、ハウジング41内には、トーションバー42を介して連結された入力軸43(図6参照)及び出力軸44がそれぞれ軸受46a,46b,46cによって回転自在に支持されている。前記入力軸43、前記出力軸44及び前記トーションバー42は同軸に配置されており、前記入力軸43の他端部側にはユニバーサルジョイント48b,48aを介して操向ハンドル47(図6参照)が回転方向に一体に取り付けられており、前記出力軸44の他端部側は、ピニオン部49aとラック部49bとが噛合して形成されたピニオンラック機構49(図8参照)を介してタイロッド49cに連結されている(図6参照)。従って、操縦者が前記操向ハンドル47を操舵することによって発生した操舵力は、前記入力軸43、前記トーションバー42、前記出力軸44及びステアリング装置を介して転舵輪に伝達される。
また、前記出力軸44には、これと同軸で且つ一体に回転するウオームホイール53が固着されており、モータ(図示せず)の回転軸に固着されたウオームギア54と噛合している。前記モータ(図示せず)の回転力は、前記ウオームギア54及び前記ウオームホイール53を介して前記出力軸44に伝達され、前記モータ(図示せず)の回転方向を適宜切り換えることにより、前記出力軸44に任意の方向の操舵補助トルクが付与される。なお、前記モータ(図示せず)はモータコントロールユニット62と信号を交信することで制御される。
そして、図8に示すように、前記入力軸43の前記出力軸44に近接する側における端部近傍の外側には、磁性材料で構成されたセンサシャフト部50が形成されており、図7に示すように、前記センサシャフト部50の表面には、軸方向に延びた複数(図示の例では9個)の凸部51が円周方向に沿つて等間隔に形成されており、それぞれの前記凸部51の相互間は溝部52を形成している。
また、前記センサシャフト部50の外側には、前記センサシャフト部50に接近して導電性で且つ非磁性の材料、例えばアルミニウムで構成された円筒部材55が前記センサシャフト部50と同軸に配置されており、前記円筒部材55の延長部56は前記出力軸44の端部57の外側に固定されている。
そして、前記円筒部材55には、前記センサシャフト部50の表面の前記凸部51に対向する位置に、円周方向に等間隔に配置された複数個の長方形の窓58a,…,58aからなる第1の窓列と、前記第1の窓列から軸方向にずれた位置に、前記窓58aと同一形状で、円周方向の位相が前記窓58a,…,58aと180度異なる複数個の長方形の窓58b,…,58bからなる第2の窓列とが設けられている。
より具体的には図9及び図10に示すように、前記円筒部材55の周面を周方向にN等分(本最良の形態においてはN=9)した角度を一周期角度θ(=360/N、本最良の形態においてはθ=40度)とし、前記出力軸44から遠い側の部分では一周期角度θの一方の端からa度の部分が前記窓58a,…,58aとなり、残りのb度(=θ−a)の部分が塞がっており、また、前記窓58a,…,58aとの位相が半周期(θ/2)ずれるように、前記出力軸44から近い側の部分では一周期角度θの他方の端からa度の部分が前記窓58b,…,58bとなり、残りのb度(=θ−a)部分が塞がっている。尚、溝部52,…,52の間の横断面凸型の凸部51の周方向幅をc度、溝部52,…,52の周方向幅をd度、前記円筒部材55及び前記出力軸44間(前記入力軸43及び前記出力軸44間)の相対回転可能範囲をe度としている。ただし、前記トーションバー42に捩れが生じていないとき(操舵トルクが零)に、例えばc=20度の場合、図9に示すように前記窓58aの周方向幅中央部と溝部52の周方向の一方の端部(前記凸部51の一方のエッジ部)とが重なり、図10に示すように前記窓58bの周方向幅中央部と前記溝部52の周方向の他方の端部(凸部51の他方のエッジ部)とが重なり合うようになっている。従って、前記窓58a及び前記溝部52の重なり状態と、前記窓58b及び前記溝部52の重なり状態とは周方向で逆になっており、前記窓58a,前記58bの周方向幅中央部と前記溝部52の周方向幅中央部とはそれぞれθ/4ずつずれている。尚、本最良の形態においてはb>a、d>c、e<θ/4となっている。
また、前記円筒部材55は、同一規格のコイル5及び6が巻き付けられたヨーク59で包囲されている。即ち、前記コイル5及び6は前記円筒部材55と同軸に配置されており、前記コイル5は前記窓58a,…,58aが形成された部分を包囲するようにヨーク59に巻き付けられ、前記コイル6は前記窓58b,…,58bが形成された部分を包囲するように前記ヨーク59に巻き付けられている。そして、前記コイル5及び6のリード線(図示せず)は前記ハウジング41のセンサケース60の内部に配設された制御基板61に接続されている。
図2は、図6ないし図10にて示す変位測定装置2を回路図として表したものであり、この変位測定装置2が故障判定手段1をも形成する。この回路図において、前記変位測定装置2は変位量検出部3および信号処理部4から成り、前記変位量検出部3を形成するコイル5,6と直列に接続された抵抗値の等しい2つの抵抗7,8を有し、前記コイル5,6と前記抵抗7,8とによってブリッジ回路としてのセンサ部9を形成している。このセンサ部9において、前記コイル5及び6同士の接続部は、PNP型トランジスタ10からなるブリッジ駆動部11のコレクタ端子に接続される。そして、前記ブリッジ駆動部11はエミッタ端子が接地され、ベース端子は前記信号処理部4の出力端子に接続されている。そして、前記ブリッジ駆動部11の駆動を制御する制御電圧Vはステップ信号としての方形波であり、その方形波の出力間隔は前記信号処理部4のサンプリング・クロックに同期している。
さらに、前記変位量検出部3は差動増幅器13とリファレンス部14とからなる信号検出部12を備えており、前記センサ部9において、前記コイル5と前記抵抗7との接続部は前記差動増幅器13の非反転入力端子15に、前記コイル6と前記抵抗8との接続部は前記差動増幅器13の反転入力端子16にそれぞれ接続され、前記コイル5及び前記抵抗7間の電圧である一方の出力電圧Vと、前記コイル6及び前記抵抗8間の電圧であるブリッジ回路の他方の出力電圧Vとが差動増幅器13に入力される。尚、前記差動増幅器13には、前記信号処理部4のリファレンス端子17に接続されたリファレンス部14に接続されて、中央値としてのリファレンス電圧Vrの供給を受ける。前記差動増幅器13は、増幅率をGとして下記(1)式で表わされる出力電圧Vを出力する。
=G×(V−V)+Vr…(1)
そして、前記差動増幅器13の出力電圧Vは前記信号処理部4のA/D端子18に入力されて前記信号処理部4においてA/D変換される。
前記信号処理部4はMPUやA/D変換器、D/A変換器等のインタフェース回路等で構成され、リファレンス電圧を供給するリファレンス端子17、A/D変換器に信号を入力するためのA/D端子18、方形波電圧を出力するトランジスタ信号出力端子19、前記変位量検出部3の動作異常を知らせる信号を出力するError信号出力端子20、変位量の検出結果を出力する変位量出力端子21を備えている。
ここで、図6ないし図10に示す変位測定装置2の動作を説明する。
まず、操向ハンドル47が操舵されていない状態では、入力軸43と出力軸44に相対的な回転が発生していないため、センサシャフト部50の凸部51と円筒部材55との重なりが両窓列ともに等しいため、センサシャフト部50の凸部51と重なる円筒部材55を透過する磁束の面積がコイル5およびコイル6の内周部においてそれぞれ等しくなるため、両コイルに電流を流してコイル内周部に磁束を発生させたとき、前記円筒部材55の表面を流れる渦電流の大きさが等しく、さらに、前記円筒部材55の表面を流れる渦電流によって前記コイル5および前記コイル6より発生する磁束の変化を妨げる方向に生じる磁束の大きさが等しくなるので、両コイル間の逆誘導起電力は等しくなり、V=Vという関係が成立するため、前記(1)式より出力電圧V=Vとなる。
次に、右か左に操舵した場合には、トーションバー42が捩れて入力軸43と出力軸44とに相対的な回転が発生するため、センサシャフト部50の凸部51と円筒部材55との重なりが両窓列で異なり、センサシャフト部50の凸部51と重なる円筒部材55を透過する磁束の面積が一方の窓列で大きくなり、他方の窓列では小さくなる。そして、このような両窓列のセンサシャフト部50の凸部51と重なる円筒部材55を透過する磁束の面積の変化によってそこに流れる渦電流の大きさが変化し、コイルから発生する磁束の変化を妨げる方向に発生する磁束の量は一方のコイル側で減少するとともに他方のコイル側で増加し、その結果逆誘導起電力の大きさが一方のコイル側では減少するとともに他方のコイル側では増加して、両コイル5、6間の電圧に相互差が生じる。本最良の形態においてはLからの信号は差動増幅器13の非反転入力端子15に、Lからの信号は差動増幅器13の反転入力端子16に入力されており、前記差動増幅器13は前記両入力端子15,16にそれぞれ入力された信号を差動増幅する。仮にL側の逆誘導起電力が小さい場合にはL側の逆誘導起電力が大きくなるためにL側の電圧は大きくなり、L側の電圧は小さくなる。したがって、この場合においてV−V≠0であるため、上記(1)式において差動増幅器からの出力VはV=G×(V−V)+Vr≠Vrの関係となる。そして、一方に操舵した場合と他方に操舵した場合、両窓列のセンサシャフト部50の凸部51と円筒部材55とが重なる面積が相対的な関係を持っているため、一方に操舵した場合にはV=G×(V−V)+Vr>Vrとなり、他方に操舵した場合にはV=G×(V−V)+Vr<Vrとなり、したがって、前記差動増幅器13の出力Vがリファレンス電圧より大きくなるか小さくなるかを認識することで操舵方向を判断できる。そして、前記差動増幅器13の出力を信号処理部4のA/D端子18に入力し、前記差動増幅器13の出力値を変位量として判断する。以上のようなハードウェアとソフトウェアとの構成によって変位測定装置2を構成している。
特開平11−37865号公報
しかし、上記特許文献1に記載した発明においては、故障のタイプによってはセンサ部からの出力が定常状態になるのを待たなければ(すなわち、図4を例にあげると、(b)に示す応答波形g(t)が定常状態となるt=t3’以降になるのを待たなければ)故障の検出を行うことができない場合があるため、変位量の検出を行った後に何も動作や処理を行わない無駄な時間ができ、変位量を検出して回路の異常を調べるまでの無駄時間のため、サイクルタイムが長くなるという問題がある。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、即座に回路の異常を検出することを可能とする変位測定装置の故障検出方法および故障判定手段を有する変位測定装置を提供するものである。
本発明による前記課題の解決は、前記固定部材に対する中立点を有するとともにこの中立点から所定の範囲内で可動自在に配設された可動部材と、前記固定部材と前記可動部材との相対的な位置関係によって互いに相補的な電気的特性変化を生ずるように配設された一対のインピーダンス素子とを備え、前記一対のインピーダンス素子を変位測定装置駆動パルスによって駆動し前記変位測定装置駆動パルスによる過渡応答の信号の差分を検出することにより前記可動部材の前記中立点からの変位を測定する変位測定装置において、前記変位測定装置が正常であれば前記過渡応答の信号が特定時間において常にとる特定値としての特異点を監視することで故障を検出する故障判定手段を有することを特徴とする変位測定装置によって達成される。
また、本発明による前記課題の解決は、前記可動部材は印加されるトルクにより周方向の捩れの角度変位を生ずるトーションバーであり、前記トーションバーの少なくとも一方の端部近傍に前記一対のコイルを配設して前記捩れの角度変位を検出することを特徴とする変位測定装置によって効果的に達成される。
さらに、本発明による前記課題の解決は、前記可動部材は前記一対のコイルのうち一方の軸方向大きさと略同一範囲内で軸方向に可動自在であることを特徴とする変位測定装置によっても一層効果的に達成される。
また、本発明による前記課題の解決は、固定部材と、前記固定部材に対する中立点を有するとともにこの中立点から所定の範囲内で可動自在に配設された可動部材と、前記固定部材と前記可動部材との相対的な位置関係によって互いに相補的な電気的特性変化を生ずるように配設された一対のインピーダンス素子とを備え、前記一対のインピーダンス素子を変位測定装置駆動パルスによって駆動し前記変位測定装置駆動パルスによる過渡応答の信号の差分を検出することにより前記可動部材の前記中立点からの変位を測定する変位測定装置の故障検出方法において、前記可動部材を前記中立点から変位させたときに前記変位測定装置が正常であれば前記過渡応答の信号が常に経過する時点としての特異点を監視することで故障を検出することを特徴とする変位測定装置の故障検出方法によって達成される。
本発明によれば、特異点を用いることで定常状態まで待つことなくセンサ回路の故障を検出し、変位測定装置の故障検出に要するサイクルタイムを短縮できるので、変位測定装置のサンプリング数を増やしてトルク値の精度や安定度を向上させることができ、また、電動パワーステアリング装置に代表される変位測定装置を用いた各種機器の誤動作を防止できる。
以下、本発明を実施するための一の最良の形態について図面を参照して説明する。
図3は、図2に示す、故障判定手段1を形成する変位測定装置2の回路図におけるセンサ部9のいずれか一方側のコイルと抵抗との直列回路についての等価回路図である。この等価回路30においては、抵抗31と、インダクタンス32と、抵抗分33と、インダクタンス34と、抵抗分35とが直列に接続され、両端部は開放端を形成する。そして、前記抵抗分33及び前記インダクタンス34の接続点と前記抵抗分35の開放端側との間においては抵抗分36とインダクタンス37とによって励磁回路が形成されている。そして、前記等価回路30において、前記抵抗31は前記図2の回路図における前記抵抗7または8に、前記インダクタンス32は前記図2の回路図における前記コイル5または前記コイル6の漏えいインダクタンス分に、前記抵抗分33は前記図2の回路図における前記コイル5または前記コイル6の直流抵抗分に、前記インダクタンス34は前記図2の回路図における前記コイル5または前記コイル6の2次側漏えいインダクタンス分に、前記抵抗分35は前記図2の回路図における渦電流路の等価抵抗に、前記インダクタンス37は前記図2の回路図における前記コイル5または前記コイル6の励磁インダクタンス分に、前記抵抗分36は前記図2の回路図における前記コイル5または前記コイル6の鉄損の等価抵抗に、それぞれ相当するものである。
そして、前記等価回路30の開放端にステップ信号が入力されると、応答波形があらわれる。図4の(e)ないし(h)に示すタイムチャートにおいて、前記等価回路30に入力される前記ステップ信号とこのステップ信号に対応して現われる応答波形g(t)との関係を示す。この応答波形g(t)の大きさは、前記センサ部9を形成するブリッジ回路の一方側と他方側との不平衡の大きさに比例して変動する。図5に示すのは、さまざまな応答波形g(t)の模式図38a,38b,38c,38d,38eであり、このうち、正常動作時の各応答波形38a,38b,38c,38dが交差する点が応答波形の特異点(以下単に「特異点」と称する。)39である。以下、この特異点39について説明する。
図2に示す変位測定装置2において前記コイル5,6に電流を流すことにより前記コイル5,6の周囲に磁界が形成され磁束が発生し、その磁束が前記円筒部材55を透過する。そして、前記円筒部材55には前記磁束を打ち消す方向に2次電流としての渦電流が流れる。
そして、この構成において前記コイル5,6にステップ電圧を印加すると、このステップ電圧は方形波であるために、印加直後は高周波成分が多く、その後徐々に高周波成分が減って低周波成分が残ることになる。したがって、ステップ電圧を印加した直後は高周波成分が多いため、応答波形g(t)は急峻に変化し、その後高周波成分が減って低周波成分が残ることになるので、応答波形g(t)はなだらかな変化となる。
ここで、前記抵抗31の値をR、前記インダクタンス32の値をL、抵抗分33の値をr、前記インダクタンス34の値をL、前記抵抗分35の値をr、抵抗分36の値をr、インダクタンス37の値をLとし、前記両開放端の間に存在する開放端電圧の値をVとし、前記抵抗31及び前記インダクタンス32の接続点と前記抵抗分35側の開放端との間存在する電圧の値をVとする。そして、前記等価回路30において2次側漏洩インダクタンスを無視するものとして、前記インダクタンス34を除去して伝達関数を求めると

Figure 2005214828
となる。操向ハンドル47を操舵すると、センサシャフトと前記円筒部材55との位相がずれ、窓58a,…58a,58b,…58bにおいて磁束が透過する窓部の面積と位置とが変化するので、前記円筒部材55上の渦電流路の等価抵抗分35が変化する。ここで、r>>rであると仮定すると、r≒rも同様に変化するといえる。
ゆえに、伝達関数V/Vのステップレスポンスをf(t)とおくと、このf(t)は前記(2)式にS領域におけるステップ入力を示す1/sを乗じたものを逆ラプラス変換することによって導出され、次式のように表される。

Figure 2005214828
ただし、α、βは分母2次式の根(実根)である。
ここで、操舵によってrが中央値から±εだけ変化すると考える。すなわち一方のコイルにおいては(1+ε)rとなるとき、他方は(1−ε)rとなる。よって、操向ハンドル47を操舵したときの応答波形をg(t)とおくと、この応答波形g(t)は、(1−ε)rに対応する(α,β)で決まるf(t)から(1+ε)rに対応する(α,β)で決まるf(t)を減算して得られ、したがって前記応答波形g(t)は次式のように表される。

Figure 2005214828
この近似的な応答波形g(t)の模式図は、図5に示す曲線38a,38b,38c,38dのような形状を呈する。この図5において、横軸方向のパラメータは時間であり、また、縦軸方向のパラメータは信号の大きさであって、前記操向ハンドル47の操舵によりεの大きさが増大するにつれて曲線の縦軸方向の振幅が大きくなる。そして、前記応答波形g(t)はある特定の時間(図5においてはt=t3)において特定の値(図5においてはg(t)=0)をとり、この特定の値が前記特異点39を形成する。すなわち、前記特異点39は、前記変位測定装置2が正常に動作している限りにおいて、応答波形の振幅の大きさに関係なく常にステップ電圧の印加時(図5においてはt=t1)から一定時間経過後の特定時間(図5においてはt=t3)にあらわれ、動作正常時においては常に同一の値(図5においてはg(t)=0)をとる。
一方、図6に示す変位測定装置2に何らかの故障が生じた場合、たとえばコイルがハンダ付け不良などの原因により抵抗値が増大した場合、図2に示す回路において、センサ部9を流れる電流が正常時と異なる場合や、センサ部9の平衡が崩れる場合がある。これにより、前記ブリッジ駆動部11にステップ電圧を印加して前記センサ部9に電流を流しても、前記センサ部9からの出力電圧が正常値とは異なる値を示すため、前記応答波形g(t)は前記特異点39を通過しなくなる。
したがって、前記特異点39において前記応答波形g(t)の信号をサンプリングし、正常時の前記応答波形g(t)の特異点39の値と比較することにより、変位測定装置2の故障を検出することが可能になる。
ゆえに、図4(h)に示すように、前記変位測定装置2の駆動電圧に対応して前記差動増幅器13から出力される出力波形g(t)に対し、特異点における前記出力波形g(t)の大きさをサンプリングすることによって、前記変位測定装置2の故障を検出することが可能になる。
なお、図4および図5には、特異点39の値すなわち応答波形g(t3)の値が定常状態の応答波形g(t)=0の値と同様にg(t3)=0である場合を模式図に示したが、前記特異点39の値は定常状態時の前記応答波形g(t)=0の値と必ずしも一致する必要はなく、たとえばg(t3)=K(ただしK≠0)という応答波形であってもよく、この場合には、どのような応答波形g(t)であっても動作正常時にはg(t3)=Kという特異点を通過するので、上述の特異点を用いた前記変位測定装置2の故障の検出は可能である。
以下に本発明の最良の形態における故障判定手段の一の実施例について、図面を参照して説明する。
この一の実施例において、故障判定手段1は図6ないし図10に示す変位測定装置2のハードウェア構成と兼用している。そして、この故障判定手段1の回路図は図2に示す変位測定装置2の回路図と同一である。そして、この故障判定手段1においては、センサ部9からの応答波形g(t)が特異点39を通過するか否かをソフトウェア的に判断することで前記変位測定装置2の故障を検出する。
図1に示すのは、この一実施例に示す故障判定手段1において故障検出の手順を示すフローチャートである。以下、このフローチャートに基づいて本実施例に係る故障判定手段の動作と作用を説明する。なお、この説明における時間tの値は図4に示す時間tの値に一致するものとする。
まず、変位測定装置駆動パルスをハイレベルにするとセンサがスタートし(ステップS1)、タイマを駆動する。この瞬間がt=t1にあたり、前記変位測定装置駆動パルスによってトランジスタ10が駆動し、ブリッジ部に電流が流れる。
次に、前記タイマのカウントがt=t2の直前からt=t2の時点まで変位量サンプリング信号出力をハイレベルにして変位量をサンプリングしコントローラのA/D部に取り込み、コントローラの記憶部(図示せず)に記憶する(ステップS2)。
次に、前記タイマのカウントがt=t3の直前からt=t3の時点まで特異点サンプリング信号出力を1にして応答波形g(t3)の値をサンプリングしコントローラのA/D部に取り込み、コントローラの記憶部(図示せず)に記憶する(ステップS3)。
次に、前記ステップS3において前記コントローラのA/D部に取り込んだ前記応答波形g(t3)が特異点39と一致するかどうかを確認する(ステップS4)。この一実施例においては、t=t3のときのg(t3)の値すなわち信号値0の地点が特異点39である。そして、前記応答波形g(t3)が前記特異点39に一致することが確認された場合にはトルク値を出力するとともに正常フラグを立てる(ステップS5)。一方、前記ステップS4において前記応答波形g(t3)が前記特異点39に一致しないことが確認された場合には、異常フラグを立てる(ステップS6)。
次に、前記ステップS5または前記ステップS6を経たのち、前記タイマのカウントがt=t4の時点において前記変位測定装置駆動パルスをローレベルにし(ステップS7)、センシングを終了する(ステップS8)。なお、前記ステップS3にて検出された変位量は前記変位量出力端子21から出力され、前記ステップS4において前記応答波形g(t3)が特異点39を通過しない場合には、Error信号が前記Error信号出力端子20から出力される。
このように、応答波形g(t)における正常時の特異点を外れているかどうかを確認することにより、センシング開始から故障検出までに要する時間は、従来の故障検出方法に要する時間の数分の一に短縮される。そして、図4に示すとおり、本発明の故障検出の1サイクル(t=t1からt=t5までの区間)は、従来の故障検出の1サイクル(t=t1からt=t5’までの区間)よりも大幅に短縮される。
なお、上記一実施例においては、故障判定手段1を適用した変位測定装置2を車両用の電動パワーステアリング装置に用いた場合について説明したが、本発明を用いる対象はこれに限定されるものではない。
次に、本発明の最良の形態における故障判定手段の他の実施例について、図面を参照して説明する。
他の実施例においては、たとえば直動装置などの直動変位を検出する場合のように、コイルの軸方向に沿った直線変位を測定する変位測定装置に故障判定手段1を適用する。この場合の変位測定装置は変位量検出部と信号処理部(図示せず)からなり、図11に示すのは、前記本発明に係る故障判定手段1を適用する変位測定装置としての直動装置等の変位量検出部72である。この変位量検出部72は、磁性体によって形成されて図2のセンサシャフト50の軸方向の凸部51のかわりに、少なくとも2列の円周方向の凸部74を備えた軸部73を用い、非磁性導電性部材を用いて形成され円周方向の前記凸部74に対向する位置に少なくとも2列にわたって窓58a,…,58a,58b,…58bを設けた円筒部材55を設けるとともに、前記出力軸333の軸方向の移動によって前記凸部74と前記窓58a,…58a,58b,…,58bとの対向状態が相補的に変化するように構成する。
そして、前記他の実施例において、変位測定装置を形成する信号処理部(図示せず)は前記一の実施例に適用する信号処理部4と同一であり、前記故障判定手段1の回路図は図2に示す変位測定装置2の回路図と同一である。そして、前記他の実施例においても故障判定手段1は、応答波形g(t)が特異点39を通過するか否かによって故障を検出する。そして、近似的な応答波形g(t)は図4に示す曲線形状となる。
そして、前記他の実施例における故障検出の手順は、図1に示すフローチャートと同じであり、前記他の実施例の作用も前記一の実施例と同じである。
なお、上記一実施例および他実施例においては、故障判定手段はソフトウェア的に構成したが、これに限定されるものではなく、ハードウェアの構成によって実現することもできる。
また、前記一の実施例と前記他の実施例においては、前記故障判定手段1は前記変位測定装置2は前記変位量検出部3と前記信号処理部4とからなる構成としたが、これに限定されるものではなく、前記故障判定手段1のうち前記信号処理部4を図6に示すコントロールユニット62の構成に内包するものとしてもよい。
本発明の一実施例における故障判定手段のフローチャートである。 同上故障判定手段の回路図である。 同上故障判定手段の回路図におけるセンサ部のいずれか一方側のコイルと抵抗との直列回路についての等価回路図である。 同上故障判定手段の動作タイミングを示すタイムチャートである。 同上故障判定手段の応答波形を示す模式図である。 同上故障判定手段を適用した電動パワ−ステアリング装置のコントロ−ルユニットの一例を示すブロック図である。 同上故障判定手段を適用した電動パワーステアリング装置の円筒部材及びその周囲の斜視図である。 同上故障判定手段を適用した電動パワーステアリング装置の変位測定装置および減速ギアの構成を示す縦断正面図である。 同上故障判定手段を適用した電動パワーステアリング装置のA−A線における円筒部材及び出力軸の断面図である。 同上故障判定手段を適用した電動パワーステアリング装置のB−B線における円筒部材及び出力軸の断面図である。 本発明の他実施例における故障判定手段を適用した変位測定装置としての直動装置等の変位量検出部の断面図である。
符号の説明
1 故障判定手段
2 変位測定装置
5 コイル
6 コイル
39 特異点
50 可動部材としてのセンサシャフト部
55 固定部材としての円筒部材

Claims (5)

  1. 固定部材と、
    前記固定部材に対する中立点を有するとともにこの中立点から所定の範囲内で可動自在に配設された可動部材と、
    前記固定部材と前記可動部材との相対的な位置関係によって互いに相補的な電気的特性変化を生ずるように配設された一対のインピーダンス素子と
    を備え、
    前記一対のインピーダンス素子を変位測定装置駆動パルスによって駆動し前記変位測定装置駆動パルスによる過渡応答の信号の差分を検出することにより前記可動部材の前記中立点からの変位を測定する変位測定装置において、
    前記変位測定装置が正常であれば前記過渡応答の信号が特定時間において常にとる特定値としての特異点を監視することで故障を検出する故障判定手段を有する
    ことを特徴とする変位測定装置。
  2. 前記一対のインピーダンス素子はリング状に形成しそれぞれ対向して配設した一対のコイルであり、
    前記可動部材は一対のコイルをそれぞれ嵌挿する略円柱状の磁性体部材を有し、
    前記磁性体部材と前記一対のコイルとの間に略円筒形で非磁性導電性の円筒部材を配設する
    ことを特徴とする請求項1記載の変位測定装置。
  3. 前記可動部材は印加されるトルクにより周方向の捩れの角度変位を生ずるトーションバーであり、前記トーションバーの少なくとも一方の端部近傍に前記一対のコイルを配設して前記捩れの角度変位を検出する
    ことを特徴とする請求項2記載の変位測定装置。
  4. 前記可動部材は前記一対のコイルのうち一方の軸方向大きさと略同一範囲内で軸方向に可動自在である
    ことを特徴とする請求項2記載の変位測定装置。
  5. 固定部材と、前記固定部材に対する中立点を有するとともにこの中立点から所定の範囲内で可動自在に配設された可動部材と、前記固定部材と前記可動部材との相対的な位置関係によって互いに相補的な電気的特性変化を生ずるように配設された一対のインピーダンス素子とを備え、前記一対のインピーダンス素子を変位測定装置駆動パルスによって駆動し前記変位測定装置駆動パルスによる過渡応答の信号の差分を検出することにより前記可動部材の前記中立点からの変位を測定する変位測定装置の故障検出方法において、前記可動部材を前記中立点から変位させたときに前記変位測定装置が正常であれば前記過渡応答の信号が常に経過する時点としての特異点を監視することで故障を検出することを特徴とする変位測定装置の故障検出方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN107766630A (zh) * 2017-10-10 2018-03-06 中国矿业大学 高速铁路桥梁支座在设计使用寿命内累积磨损的评估方法

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