JP2005213191A - 消炎鎮痛外用剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】非ステロイド抗炎症剤含有外用剤の非ステロイド抗炎症剤を含有し、皮膚よりも深い部分にある組織において優れた浸透性や拡散性を有し、そのため、皮膚刺激性が少ないのみならず、非ステロイド抗炎症剤を炎症や痛みのある筋肉や関節組織などに効率的に投与でき、またその浸透性拡散性向上による血中濃度上昇に伴う副作用がほとんどない消炎鎮痛外用剤を提供する。
【解決手段】非ステロイド抗炎症剤としてCOX−2選択的阻害剤を選択し、これに抗ヒスタミン剤を添加して外用剤とすれば、上記問題をすべて解決できることを見いだして、効果、低副作用の両面で非常に優れた外用剤の開発に成功したものである。

Description

本発明は抗炎症剤を含有し、皮膚よりも深い部分にある組織において優れた浸透性や拡散性を有し、副作用のほとんどない消炎鎮痛外用剤に関するものである。
消炎鎮痛剤には消化管潰瘍を起こしやすい欠点をもつ。そのおもな理由は、血管拡張と粘膜の保護に働くPG(PGE2、PGI2)が減少してしまうためである。また、PG合成酵素のCOX(シクロオキシゲナーゼ)活性が抑制されると、代わりにリポキシゲナーゼの活性が亢進してロイコトリエンが増え、胃液の分泌が減少する。同時に、消化管粘膜を破壊する「活性酸素」が増え、潰瘍が起こされる。
また、消炎鎮痛剤の副作用には、胃腸障害以外に、腎障害、肝障害、皮膚の発疹などがあり、命にかかわる副作用として「アスピリン喘息」と呼ばれる喘息発作の誘発がある。喘息の発作は、気管支が収縮することで誘発される。消炎鎮痛剤によってCOXの作用が抑えられると、代わりにリポキシゲナーゼの活性が上昇し、気管支を収縮させるロイコトリエンが増え、喘息の症状が引き起こされる。
また、このような副作用を少しでも減らす目的で、消化管で吸収されてから活性型に変換され作用を発揮するタイプ(プロドラッグ)の消炎鎮痛剤(ロキソプロフェンなど)があるが、体への作用機序は従来の製剤と同じなので、胃腸障害等はほとんど減っていない。
しかしながら、このような副作用を激減させるためにCOX−2選択的阻害剤の開発が注目されている。COXにはCOX−1およびCOX−2等のアイソザイムがあり、COX−1は胃粘膜の保護に働くタイプであり、阻害すると上述の胃腸障害やアスピリン喘息などの副作用を引き起こす。しかしCOX−2は外傷や炎症が起こると急激に増えるタイプで、体の中にもともとあり、痛みを強める活性をもつ。COX−2選択的阻害剤であるエトドラク、メロキシカム等は胃腸障害を非常に起こしにくい薬剤であり、非常に有用である。また、COX−2のみを阻害する場合には、ロイコトリエンは増加しないので、喘息誘発の危険が少ない。このようにCOX−2選択的阻害剤がCOX−2のみを阻害するのであれば非常に良い薬剤であるが、COX−2のみを100%選択阻害する薬剤はいまだ開発されていない。すなわち、いわゆるCOX−2選択的阻害剤はこれまでの臨床成績により従来の非ステロイド抗炎症剤と同程度の鎮痛・消炎効果が認められ、消化管障害は少なくなっていますが、添付文書の副作用欄からは、依然として消化器障害の項は削除されておらず、やはり非ステロイド抗炎症剤の本来持つ副作用について十分な注意が必要とされている現実がある。
また、COX−2選択的阻害剤のほかにこのような副作用をほとんどなくする技術として非ステロイド抗炎症剤の外用化がある。非ステロイド抗炎症剤を経皮にて患部に送り込むこの方法は薬剤濃度が患部の局所で高めることができこれら副作用を比較的生じ難い剤形としての開発が進められてきた。
しかし、非ステロイド系抗炎症剤の中には経皮吸収投与量が悪く、外用剤として投与した場合の効果が、経口投与した場合に比べて極端に低下する場合がある。そこで非ステロイド系抗炎症剤の経皮吸収投与量を改善する技術が検討されてきた。
例えば、特許文献1にはインドメタシン貼付剤が開示されており、当該貼付剤は経皮吸収性に優れる上に皮膚刺激も問題ない旨が記載されている。この他にも経皮吸収性の改善を解決問題にし、非ステロイド系消炎鎮痛剤が皮膚を解して血中に到達するまでを観点において設計された技術は多い。
しかしながら、血中濃度を指標とした経皮吸収性の評価試験は非ステロイド抗炎症剤のドラッグデリバリーシステムの価値を評価するには決して満足できるものではない。なぜなら、非ステロイド抗炎症剤を含有する外用剤は局所的な消炎鎮痛を目的とするものであり、鎮痛剤が到達すべき点は、血中ではなく炎症や痛みを発している組織自体であるからである。つまり、高い薬剤血中濃度を得るには、薬物は毛細血管が存在する真皮に到達できれば十分であるが、炎症や痛みを発する組織は、通常それより深部に存在する筋肉や関節組織であることが多い。そのため、非ステロイド抗炎症剤が十分な消炎鎮痛効果を発揮するには真皮より深い部分へ到達することが必須である。それにもかかわらず、従来の製剤設計では、真皮より深い部位への浸透性や拡散性は考慮されていなかったのが実状である。
また、非ステロイド抗炎症剤の経皮吸収投与量を改善するもう一つの方法として非ステロイド抗炎症剤の製剤中濃度を高くする方法がある。
製剤中濃度を高濃度にすれば投与する皮膚単位面積あたりの薬物量が増加し、経皮吸収投与量も増加する。しかし、非ステロイド抗炎症剤の外用剤において、非ステロイド抗炎症剤の製剤中濃度を高くすることはと経皮吸収上、製剤上の重要な問題がある。
まず、経皮吸収上の問題点として挙げられるのは非ステロイド抗炎症剤の生体組織内拡散性の問題である。従来、非ステロイド抗炎症剤の製剤濃度は1%の製剤でもそれ以上の濃度の製剤でも吸収量がほぼ同じで効果も変わらないことから、通常1%程度が適値とされているが、その現象は非ステロイド抗炎症剤の皮下組織内での拡散性が低いことに起因している。
非ステロイド抗炎症剤含有の外用剤を投与すると、非ステロイド抗炎症剤が皮膚に移行する。しかし、非ステロイド抗炎症剤の拡散性が低い場合には非ステロイド抗炎症剤が皮膚組織でとどまってしまう。その結果、皮膚組織における非ステロイド抗炎症剤濃度が上昇し、皮膚組織内での非ステロイド抗炎症剤が飽和した状態となる。よって、非ステロイド抗炎症剤の外用剤から皮膚組織への移行が鈍化していく。
つまり、外用剤の非ステロイド抗炎症剤の放出が非常に良い製剤であっても、皮膚組織での非ステロイド抗炎症剤の拡散が悪い場合には、製剤から皮膚への移行速度は、皮膚組織内で律速となる。そのため、低濃度に比べて高濃度非ステロイド抗炎症剤含有外用剤の吸収効率の鈍化が起こると考えられ、いくら非ステロイド抗炎症剤の濃度を上げたとしても消炎鎮痛効果にあまり反映されない。
また、皮下組織での非ステロイド抗炎症剤の拡散の問題を解決せずに高濃度非ステロイド抗炎症剤製剤を使用すると、皮膚刺激などの問題で安全性が低下するおそれがある。それは、皮膚組織での非ステロイド抗炎症剤濃度の上昇に伴い非ステロイド抗炎症剤そのものが刺激を引き起こすことが考えられるからである。
一方、特許文献2に記載されているジクロフェナクナトリウム含有乳化外用剤では、結晶中のジクロフェナクナトリウム濃度と共に、薬剤塗布部直下の筋肉組織中のジクロフェナクナトリウム濃度も試験されている。しかし、この筋肉中薬剤濃度は決して満足できるレベルではない上に、筋肉組織中での薬剤の拡散という観点からの実験はなされていない。
また、製剤の構成に関しては、特許文献3の貼付剤は、インドメタシン、ポリエチレングリコール、水溶性高分子化合物および架橋剤を構成成分としており、特許文献4の外用剤は、ジクロフェナクナトリウム、カルボン酸ジアルキルエステル、オレイルアルコールおよび多価アルコールを構成成分としている。つまり、これらの製剤では、溶媒等の皮膚吸収を利用して薬剤の経皮吸収性の向上を図っているが、この溶媒等は組織中で速やかに拡散することから、深部では薬剤を運搬できるほどの溶媒濃度は保てない。そのため、深部組織へ非ステロイド抗炎症剤を到達させることは困難である。
また、たとえ消炎鎮痛剤の浸透性を高めたとしても、次の問題が引き起こされる。それは、消炎鎮痛剤の浸透性が上がると逆に消炎鎮痛剤の血中濃度が上がりやすく胃腸障害などの副作用を起こしやすくなることである。というのも、浸透性が向上すると消炎鎮痛剤の毛細血管に対する接触が必然的に多くなり血中に取り込まれる量も増加するからである。
これらの技術に対して、特許文献5に記載の外用消炎鎮痛剤組成物は、非ステロイド抗炎症剤と共に、溶媒ではなく抗ヒスタミン剤を含有することを要旨としている。しかし、経皮吸収性を実験モデル型にて評価しており、そのモデル型では皮下組織への非ステロイド系抗炎症剤の拡散までは考慮されたものではなかった。すなわち、皮膚より深い組織での浸透性や拡散性は全く考慮されていない。
特許文献5に記載の外用消炎鎮痛組成物は抗ヒスタミン剤の配合により消炎鎮痛剤の浸透性が向上することは認識しておらず、局所の深い患部にまで消炎鎮痛剤が到達可能となったことに気づいていない。一方、消炎鎮痛剤の浸透性が上がると血中濃度もそれに伴って上昇し、前述の副作用を引き起こしやすくなることも気づいておらず、従来の技術では効果と副作用のジレンマに陥ってしまう。
また、特許文献5には非ステロイド系抗炎症剤と抗ヒスタミン剤の配合により、消炎鎮痛外用剤として効果が向上されることを要旨としている。特許文献1,2ともに非ステロイド系抗炎症剤が3%を超える高濃度の外用製剤については検討がなされていなかった。
更には、特許文献5には非ステロイド系抗炎症剤としてCOX−2選択的阻害剤についての記載がない。
特開2001−26540号公報 特開平9−12452号公報 特開2001−26540号公報 特開平9−12452号公報 特開2002−128698号公報
上述したようにこれまでにも非ステロイド抗炎症剤を含有する外用剤であって、皮膚透過性の改善を期したものは種々知られていた。
しかし従来の技術では、高濃度の非ステロイド抗炎症剤の利用技術について、皮下組織での非ステロイド抗炎症剤の拡散を考慮したものはなかった。また、非ステロイド抗炎症剤の拡散性、透過性の向上により血中濃度が上昇し副作用が発現する可能性を考慮したものはなかった。
そこで、本発明が解決すべき課題は非ステロイド抗炎症剤含有外用剤の非ステロイド抗炎症剤を含有し、皮膚よりも深い部分にある組織において優れた浸透性や拡散性を有し、そのため、皮膚刺激性が少ないのみならず、非ステロイド抗炎症剤を炎症や痛みのある筋肉や関節組織などに効率的に投与でき、またその血中濃度上昇に伴う副作用がほとんどない消炎鎮痛外用剤を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく、非ステロイド抗炎症剤の高濃度含有外用剤を種々調整し、その組織拡散性につき鋭意研究を重ねた。その結果、非ステロイド抗炎症剤としてCOX−2選択的阻害剤を選択し、これに抗ヒスタミン剤を添加して外用剤とすれば、上記問題をすべて解決できることを見いだして、本発明を完成した。
即ち、本発明の消炎鎮痛本発明の消炎鎮痛外用剤は、COX−2選択的阻害剤および抗ヒスタミン剤を含有することを特徴とする。
上記COX−2選択的阻害剤のCOX−2/COX−1のIC50の比が0.1以下であり、更に好ましくはその比が0.01以下であることを特徴とする。
上記COX−2選択的阻害剤がエトドラクであり、上記抗ヒスタミン剤がジフェンヒドラミンであることを特徴とする。
本発明に係る非ステロイド抗炎症剤であるCOX−2選択的阻害剤を含有する消炎鎮痛外用剤は、皮膚吸収性に優れるのみならず、それ以降の組織内での浸透性や拡散性が顕著に改善されている。その結果薬剤吸収の鈍化が抑制されることから、製剤中にCOX−2選択的阻害剤を比較的多く添加しても、その作用効果をそのまま発揮でき、皮膚刺激もない。また、非ステロイド抗炎症剤の皮下組織内での浸透性拡散性の向上はその血中濃度を上昇させるが、非ステロイド抗炎症剤にCOX−2選択的阻害剤を選択しているため、副作用がほとんど表れず、COX−2選択的阻害剤の経口投与よりも副作用が低く、抗炎症効果も十分に発揮できることが考えられる。
従って、本消炎鎮痛外用剤は消炎鎮痛剤として極めて優れたものである。
本発明に係る外用剤が享有する最大の特長は、抗ヒスタミン剤を含有せしめることにより、非ステロイド抗炎症剤が皮膚を透過した後における皮膚組織以下での浸透性や拡散性に極めて優れ、そのため非ステロイド抗炎症剤の血中濃度がある程度高まったとしても非ステロイド抗炎症剤がCOX−2選択的阻害剤であるため副作用が極端に少ないと考えられ、COX−2選択的阻害剤の経口投与よりも副作用が低く、抗炎症効果も十分に発揮できる点にある。
即ち、従来にも非ステロイド抗炎症剤と抗ヒスタミン剤を併用した外用剤は存在したが、主として皮膚透過性の向上を目的としたものであって、患部へ直接薬剤が到達するための拡散性等は考慮されていなかった。また、拡散性向上による非ステロイド抗炎症剤の血中濃度の上昇による副作用についても考慮はなされていなかった。
しかし、本発明者らは、非ステロイド抗炎症剤としてCOX−2選択的阻害剤を選択し、抗ヒスタミン剤を併用すれば、深部組織への浸透性や拡散性を顕著に改善でき、副作用がほとんどないことを見出して、本発明を完成した。
また、本発明の外用剤は経皮吸収性にも優れる上に、薬剤濃度の上昇に伴う吸収効率の鈍化も改善されており、更には高濃度の非ステロイド抗炎症剤を含有する製剤が有する皮膚刺激性も抑制されている。
以下に、斯かる特徴を発揮する本発明の実施形態について説明する。
本発明に使用される「COX−2選択的阻害剤」は、非ステロイド抗炎症剤のうちCOX−1よりもCOX−2を特に選択的に阻害するものをいい、医療用として使用されているものであれば特に限定はされないが、具体的にはCOX活性を50%抑制する濃度IC 50のCOX−2/COX−1の比が0.1以下の非ステロイド抗炎症剤が好ましい。また、その比が0.01以下である非ステロイド抗炎症剤 が更に好ましい。COX−2/COX−1の比が0.1以上であると胃腸障害などの副作用が引き起こされる可能性があり好ましくない。COX−2/COX−1の比が0.01以下のものは胃腸障害等の副作用がほとんど引き起こされる可能性がないので特に好ましい。
更に具体的には例えばエトドラク、メロキシカム、セレコキシブ、ロフェコキシブ、パーコキシブ等が挙げられ、エトドラクが特に好ましい。後述する実施例により、エトドラクが良好な結果を示すことが実証されているからである。
本発明に使用される「抗ヒスタミン剤」は、従来医療用抗ヒスタミン剤として使用されているものであれば特に限定はされないが、例えばジフェニルピラリン、ジフェンヒドラミン、シプロヘプタジン、トリプロリジン、プロメタジン、ホモクロルシクリジン、アリメマジン、クレマスチン、クロルフェニラミン、メキタジン等のヒスタミン受容体H1阻害剤、およびこれらの塩を挙げることができ、これらより一種または二種以上を選択して使用することが好ましい。
これら抗ヒスタミン剤のうち、ジフェンヒドラミンが、特に好ましい。後述する実施例において良好な結果を示すことが実証されているからである。
また、使用される「抗ヒスタミン剤」は、アミノ基などの陽イオンを有するものが好ましい。当該陽イオン基とアリール酢酸系非ステロイド抗炎症剤の酢酸構造におけるカルボキシル基がイオン会合することにより、それぞれのイオン基部分を疎水性部分で被覆して薬物動態を改善し、溶解性、非ステロイド系消炎鎮痛剤高濃度外用剤における経皮吸収性、拡散性及び皮膚刺激性が改善されると考えられるからである。
例えば、これら抗ヒスタミン剤をエトドラクと共に溶解する場合、エトドラク単独の場合には溶解し難かった溶媒、例えばエステル類にも溶解するようになり、溶解剤の選定に対する幅が広がり、より良好な製剤の調整が可能となる。また、エトドラクを溶解するのに量が多く必要な溶解剤にも相溶性が良くなり、少量の溶解剤で溶解できるようになり、製造時にも困難が少なくなる。その上、エトドラクとこれらの抗ヒスタミン剤とを加温混合するだけでも油状分を形成し、溶解剤無しでも製剤化が可能となる。即ち、本発明は抗ヒスタミン剤を高濃度非ステロイド抗炎症剤含有外用剤の経皮吸収性向上や皮膚刺激性の低減に使用するだけでなく、COX−2選択的阻害剤の溶解補助剤又は溶解剤としても用い得る。更に、その理由は明らかではないが、これら抗ヒスタミン剤を含有せしめることにより、COX−2選択的阻害剤の経皮吸収性も改善され得る。
抗ヒスタミン剤の含有割合は、COX−2選択的阻害剤1質量部に対して0.1〜5質量部である場合に特に上記効果が高い。
本発明の外用剤に配合されるCOX−2選択的阻害剤の配合量は制限されないが、外用剤全体に対して0.5〜50質量%が好ましい。更に好ましくは3〜30%質量%で、特に好ましくは5〜20%である。配合量0.5質量%未満であると抗炎症効果があまり期待できず、配合量3%以上になるとCOX−2選択的阻害剤に対する抗ヒスタミン剤による効果が発揮でき、質量5%以上でさらにその効果が良好となるからである。また、50質量%を超えると副作用が強くなり、20質量%を超えると製剤的に問題が多くなるからである。また、本発明の外用剤に配合される抗ヒスタミン剤の配合量は、外用剤全体に対して0.1〜30質量%が好ましく、更に1〜20質量%が好ましい。配合量が1質量%未満であるとCOX−2選択的阻害剤に対する効果が不十分となり、50質量%を超えると副作用が強くなることがあるからである。
本発明の有効成分として利用できる抗ヒスタミン剤の塩としては、例えばフッ化水素塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩等のハロゲン化水素酸塩;硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩等の低級アルカンスルホン酸塩;ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等のアリールスルホン酸塩;オルニチン酸塩、グルタミン酸塩のようなアミノ酸塩;および、フマル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、タンニン酸塩等のカルボン酸塩を挙げることができる。
本発明に係る外用剤の剤型としては、例えば軟膏剤、ローション剤、エアゾール剤、硬膏剤、水性パップ剤などを挙げることができるが、外用剤として用いられている剤形であるならば、特に限定はされない。
本発明の外用剤には,必要に応じて,基剤(例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ポリイソブチレン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(共)重合体、ポリアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリイソブチレン、ポリブテン、液状ポリイソプレン等のゴム類;ワセリン、セタノール、ミツロウ、ラノリン、流動パラフィン等の油類;カルボキシビニルポリマー、アクリル酸デンプン、ポリアクリル酸ナトリウム、カルメロースナトリウム等の水溶性高分子;グリセリン;マクロゴール;無水ケイ酸等)、賦形剤(例えば、白糖などの糖類;デキストリンなどのデンプン誘導体;カルメロースナトリウムなどのセルロース誘導体;キサンタンガムなどの水溶性高分子等)、着色剤,滑沢剤(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムのようなステアリン酸金属塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウムのようなラウリル硫酸塩;前記の賦形剤におけるデンプン誘導体等)、結合剤(例えば、前記の賦形剤やマグロゴール等)、乳化剤、増粘剤、湿潤剤(例えば、グリセリン等)、安定剤(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベンのようなパラヒドロキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾールのようなフェノール類;チメロサール;無水酢酸;ソルビン酸等)、保存剤、溶剤(例えば、水、プロピレングリコール、ブチレングリコール、イソプロパノール、エタノール、グリセリン、セバシン酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、パルミチン酸ミルスチル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、リグノセリン酸セリル、セロチン酸ラクセリル、ラクセル酸ラクセリル等)、溶解補助剤、懸濁化剤(例えば、カルメロースナトリウム等)、抗酸化剤(例えば亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、酢酸トコフェロール、d1−α−トコフェロール等)、佐薬(例えばハッカ油、L−メントール、カンファー、チモール、酢酸トコフェロール、グリチルレチン酸、ノニル酸ワニリルアミド、トウガラシエキス等)、緩衝剤、pH調整剤などを通常の配合量で配合できる。
本発明に係る外用剤の使用量は、含有有効成分の種類、患者の症状や年齢等により異なるが、一般的には、成人に対して1日1回〜数回適用することが好ましい。更に好適には、1日1〜2回適用するが、症状によっては投与回数を増やしてもよい。
次に、実施例および試験例を示し、本発明を更に詳しく説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。なお、本実施例および比較例における配合量の値は、全て質量%である。
(試験例1)筋肉組織でのCOX−2選択的阻害剤浸透拡散試験
先ず、表1の配合比に従って、COX−2選択的阻害剤であるエトドラクを含有する供試液No.1、2を調製した。
Figure 2005213191
表1の配合に従って調製した、COX−2選択的阻害剤であるエトドラクを含有する供試液N0.1、2を用い、肉片に対する浸透拡散性を試験した。
まず、直径9cmのシャーレにガーゼをひき、供試液No.1,2を10g加えて湿らせた。赤みの牛肉を2×2×4cmの直方体状に切り出し、ガーゼ上に2×2cmが底面となる様に肉片をおき、ラップして4℃で48時間放置した。その後、肉片を下層より1cmごとに切り出し、下から画分0〜1cm,1〜2cm,2〜3cmの3つの画分において、エトドラクの濃度を測定した。濃度測定は、肉片をすり潰してメタノールで抽出した後、高速液体クロマトグラフィーにて行った。試験は各供試液につきN=6で行い、その結果を平均値にて表2に示す。
尚、画分0〜1cmは供試液と直接接触していた部分であるので、結果より除外した。
Figure 2005213191
当該結果より、エトドラクの浸透拡散性はジフェンヒドラミンを配合した場合に顕著に改善され、深さ2〜3cmの画分にまで及ぶことが分かった。従って、COX−2選択的阻害剤の抗ヒスタミン剤添加による浸透拡散性の向上効果は、実際の筋肉組織で観察されることが実証された。
非ステロイド抗炎症剤を常用している患者にとってその副作用は甚大な苦痛を伴い、生命の危険さえも脅かされている。本発明を利用することによって、そのような患者に経口製剤を含めて今までに無く副作用のない、かつ、良好な消炎鎮痛効果を有する非常に有用な抗炎症外用剤を提供することができる可能性がある。

Claims (4)

  1. COX−2選択的阻害剤および抗ヒスタミン剤を含有することを特徴とする消炎鎮痛外用剤。
  2. 上記COX−2選択的阻害剤のCOX−2/COX−1のIC50の比が0.1以下であることを特徴とする請求項1に記載の消炎鎮痛外用剤。
  3. 上記COX−2選択的阻害剤のCOX−2/COX−1のIC50の比が0.01以下であることを特徴とする請求項1、2および3に記載の消炎鎮痛外用剤。
  4. 上記COX−2選択的阻害剤がエトドラクであり、上記抗ヒスタミン剤がジフェンヒドラミンであることを特徴とする請求項1、2および3に記載の消炎鎮痛外用剤。
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